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2008年04月22日

【アジアの米騒動】

ここ数週間、テレビや新聞でアジアの米争奪に関するニュースを頻繁に目にするようになった。つい先日も、主食の米を輸入に頼るフィリピンで市民による米騒動が頻発しているとの報道がNHKニュースで取り上げていた。一体、アジアの米に何が起こっているのだろうか?

折りしも、4月21日付タイム誌「穀物がない、大きな痛み」("No Grain, Big Pain", page 32, TIME dated on April 21, 2008)というタイトルで、インドからフィリピンまでアジアの主要作物の価格が急騰、食料不足の広がりに懸念が高まっているとの記事が掲載されていた。

No Grain, Big Pain ---- From India to the Philippines, the price of Asia's most vital food is skyrocketing, setting off worries of widespread shortages. What's causing Asia's rice crisis, and will it get worse?

【単純ではない背景】

アジア、特にタイ、ベトナム、バングラデシュ、インド、パキスタン、そしてフィリピンといった国々にとって米は主食であり、食文化そのものだ。日本も例外ではない。そんな貴重な食べ物だからこそ、自国への最近の穀物価格急騰の影響を少しでも和らげようと各々がなりふりかまわぬ対策を講じ始めたのだ。そのひとつが米輸出国の輸出規制。世界第二の米輸出国ベトナムやタイ、そして中国までもが米の輸出を大幅に規制し始めたのだ。そういった動きが米を輸入に頼るフィリピンやバングラデシュを直撃した。

しかし、米不足の原因はそれほど単純ではない。需要サイドでは中国やインドといった急速な経済発展を遂げ豊かになりつつある国々の米需要の増加、供給サイドでは旱魃などの気候変動、ベトナムでのペストの流行、さらにはエタノール燃料への穀物使用などが米価格高騰の背景にある。そして、さらにはグローバリゼーションの進展によってインドなどかつては米取引を統制していた国が自由な価格による国際市場での米取引を認め、高値で買ってくれる相手に売るようになっていることも価格高騰、米不足の背景になっているのだ。

【行き過ぎる人間活動】

ここ数年、人間活動が地球という閉ざされた環境の中ですでに「行き過ぎてしまった」のではないかという懸念を強くしている。希望を失ってはいけないが、1972年に発表されたローマクラブの「成長の限界」から既に36年。当時そしてその後修正された資源や人口、食料、環境といったシュミレーションがひとつひとつ現実のものになってきているのだ。7月の洞爺湖サミットで協議される地球温暖化、気候変動問題しかり、枯渇する石油や希少金属の価格高騰、経済のグローバル化で顕在化しつつある各地の水不足、止まらない発展途上国の人口爆発などなど。それぞれの要因が複雑に絡み合い、世界を大きく揺さぶっているのだ。

アジアの米不足もそのひとつであり、この米を巡るゼロサムゲームを一挙に解決する特効薬は存在しない。それどころか世界の他の地域に比べればまだ経済発展に成功しているアジアの食糧危機が深刻化すれば、アフリカなどの最貧国への悪影響も懸念されるだろう。さらには、世界中で食物をめぐる政情不安、国同士の対立に波及するのも時間の問題だろう。

7月の主要国首脳会議(洞爺湖サミット)で食料難と地球温暖化の関係が「深刻な問題」として議題に取り上げられる見通しとなったとの報道があったが、日本をはじめとする先進各国が国際機関と協調して、米や穀物の価格高騰への迅速な対応を協議、実行すべきだ。


《参考》


・「世界の食料確保に向けた輸出規制の動き」(4月16日付ロイター通信)  



2008年03月27日

【タイム誌への投稿】

3月31日号のタイム誌の記事“A Furious Hunger”について3月27日に投稿しましたので公開します。

After reading your article of “A Furious Hunger”, I felt that something extraordinary bad is happening and there seems little way out to solve it. Because the major causes of rocketing food prices are awfully interrelated with each other such as the climate change, population explosion, the sharp rise of oil prices, the boom of biofuels straining food supplies and so on. In addition, there seems to be a desperately growing gap between the fury by the hungry poor in some countries and the total indifference to them by the rich filled with abundant food at home. Unless the rich have the common feeling of “clear and present danger” on food with the poor and take some bold actions to fill the gap, they should know that the food shortage would soon retaliate against them. I am not the exception, living in the country of repletion, Japan.


【拙訳】

「怒りの空腹」という貴記事を読んで感じたのは、とてつもなく不吉なことが起こりつつあり、解決の手立てはなさそうだということです。何故なら、食料価格が高騰する原因には、気候変動、人口爆発、石油価格高騰、食糧供給を脅かすバイオ燃料ブームなどが深く絡みあっているからです。さらには、いくつかの国の貧しく飢えた人たちの怒りと、十分な食べ物を手にしている金持ち達の無関心の間にあるギャップが絶望的に大きくなっていることもあります。食べ物について、金持ちが貧しい人たちと「今そこにある危機」という共通認識をもって、そのギャップを埋める大胆な行動を取らない限り、いづれ自分達も食料不足というしっぺ返しを受けることを知るべきでしょう。飽食の国、日本に住む僕も例外ではありません。  


2008年03月21日

【台湾-22日に総統選挙】

"STRAIT TALKER"-「海峡の弁士」とでも訳すべきか?あるいはStraitをストレートと敢えて読み替えて、「直言居士」とでもするべきか?言い得て妙だといつもながら感心するのはタイム誌の記事のタイトルだ。 ("STRAIT TALKER", Page, 16-21,TIME dated on March 24, 2008)

3月22日に迫った台湾の新しいリーダーを決める総統選挙。2期と決められている任期が切れる与党民進党の陳 水扁(ちん すいへん)総統の後、野党国民党主席の馬英九候補と与党民進党の謝長廷候補の間で最後の熾烈な選挙戦が展開されている。

台湾独立を高々と掲げて8年間台湾を率いた陳総統・民進党の路線が引き続き国民に支持されるのか、それとも大陸中国との関係悪化で停滞気味の経済改革と中国との関係改善を掲げる馬英九候補が支持されるのか最後まで予断を許さない。

タイム誌の記事は、その馬英九候補を陳総統への果敢なる挑戦者、「ストレート・トーカー」と称して紹介しているのだ。

Ma Ying-jeou aims to transform the relationship between Taipei and Beijing. But first he must overcome a tough challenge: win election as Taiwan's President

【スマートなニューリーダー】

馬英九氏は、その容貌も経歴もスマートだ。香港生まれの「太子党(幹部の子弟)」出身の57歳。ハーバード大学で法学博士号を取得、帰国後は蒋経国に師事し国民党員として様々な行政経験を積んだ後、1998年に台北市長、2005年には国民党主席に選ばれた。

その馬候補の主張はわかりやすい。 「波風を立てるな」だ。

Ma's solution is simple: Don't rock the boat.

すなわち、陳総統の8年間に軋轢を増した中国を苛立たせず、中国との関係を改善し、台湾の経済を立て直すことだ。

The idea is to ditch the ideological hang-ups of the Chen years, stop irritating Beijing and pursue a new, pragmatic approach that focuses on improving relations with China wherever possilbe.....The most urgent matter concerns Taiwan's faltering economy.

確かに、かつてはAsian Tigerのひとつとして繁栄を謳歌していた台湾は、10%以上の成長を持続する中国本土はおろか、一人当たりのGDPでは韓国にも後塵を排しているのだ。政治的な孤立だけではなく、経済でもアジアから取り残されつつあるという危機感が国民の馬候補への支持に繋がっているのだ。

【馬候補のアキレス腱】

しかし、馬候補にもアキレス腱がある。それは彼はそもそも中国国民党であり、中国との融和を唱えれば唱えるほど、中国が主張する「ひとつの中国」に取り込まれていくのではないかという国民の懸念も厳然と存在するということだ。

もし馬候補が新総統に選ばれたとしても、チベット問題に揺れる中国がすんなりと新総統の思惑通り、経済関係だけで関係改善を進めていくかどうかは予断を許さないだろう。

いづれにしても、国民党の新総統の誕生が現実となれば、陳総統時代とは明らかに異なる政治的な動きが中国と台湾の間に出てくることは間違いないだろう。この総統選挙の行方はしばし注目しておく必要がありそうだ。  


2008年03月18日

【見放される大学】

今、日本の大学は試練のときを迎えています。優秀な学生達はあまりにも魅力のない授業や教授陣などに愛想を尽かして日本の大学に行くのをやめて、海外に流出しています。

そんな実態を反映して、多くの大学で入学者は減り、授業料収入は激減しています。日本の大学の40%近くが定員割れを起こし、授業料の値下げや学校同士の合併を余儀なくされている大学も出てきているのです。3月17日号タイム誌「学級閉鎖」"Class Dismissed"で、日本の大学の現状が採り上げられました。

Education experts say that nearly 40% of universities and colleges can't fill student quotas, forcing some schools to relax admission standards and others to merge or close.

一体、日本の大学に何が起きているのでしょうか?

【少子化より深刻な問題】

もちろん、その大きな理由は少子化です。OECDの調査によれば18歳の学生数は1990年から2007年の間に35%も減少し、2百万人から1.3百万人と70万人も減っているのです。そのおかげで(?)、選り好みさえしなければ誰でも入学できる「大学全入時代」になっているのです。

Educators have a phrase for this phenomenon: daigaku zennyu jidai, which literally means " an age when all are aceepted to college."

しかし、日本の大学はもっと根が深い問題に直面しています。それは国際競争力の喪失です。日本の大学のレベルは国際的には三流とさえ言われているのです。

その端的な証拠として、世界中の大学の評価を毎年出している英国の有力な調査報告"Times Higher Education Supplement"の2007年版によると、トップ100の大学のうち、米国37校、英国19校に比べて日本の大学は4校しか入っていないのです。

【現状打破に向けて】

こんな実態を憂えて、一部の大学では「改革」も始まっています。日本のハーバードと言われる東京大学は米国のYale大学と提携して、英語での授業を増やしたりしていますし、早稲田大学では国際教養学部を創り世界各国から優秀な学生を集めて成功しています。

しかし、今まで関税や非関税障壁で守られて来た農業や非効率な産業分野と同じく、多くの日本の大学当局、教授たち、そして文部科学省は、未だ危機意識に乏しいのではないでしょうか。世界中の知性が最も競争力があり、最も快適な場所を求めて瞬時に集まるインターネットの時代に、日本の大学はこのままでは、ますます孤立を深めていくのではとの懸念を抱くのは僕だけでしょうか?  


2008年03月07日

【タイム誌への投稿】

2月25日号のタイム誌の記事「China's Short March」について3月5日に投稿しましたので公開します。

After looking at the photos of your article, I was appalled to know that the impact of China’s Short March seems to be enormously bigger than any suburbanizations that had happened in many advanced economies, especially Japan and the United States for the last several decades.

If this kind of rapid suburbanization spreads all across China, more and more people in the middle and upper class will commute by their own cars between homes and offices, use air conditioning at home and water for gardening with emitting vast amount of carbon dioxide and to shortening the water supply, resulting to accelerate global warming in the near future.

However, we, as the citizens of the advanced economies, can’t blame them simply for high carbon emissions since we have done the same kind of behaviors in the past. Instead, we should give them some advice, technical and financial support to prevent them from going to catastrophe together with us.


【拙訳】

貴記事の写真を見て、中国の小行軍のインパクトは過去数十年にわたって日本やアメリカといった多くの先進国経済で起こった郊外化よりもはるかに大きいということに本当に驚きました。

もしもこれほどの郊外化が中国全土に急速に広がっていくならば、中流そして上流階級の人たちがますます自宅とオフィスを自家用車で通勤し、家ではエアコンを使い、庭には放水をすることで大量のCO2を排出したり、水不足を招いたりして、近い将来には地球温暖化をさらに加速させることになるだろうということです。

しかしながら、先進国の市民であるわたしたちは過去に同じような過ちを犯してきたのでCO2の排出が多いからといって中国を責めることはできません。その代わり、一緒に破滅に陥らないようにアドバイスしたり、技術協力や資金支援をすべきなのです。
  


2008年03月03日

【"Short March"って何?】

鍵を高らかに上げて未来を見つめる大勢の人々。そのタイトルには「China's Short March」(中国の小行軍)とある。2008年2月25日号のタイム誌の表紙を飾ったイラストだ。一体、ショート・マーチとは何を意味するのだろうか?

興味をそそられて、早速そのカバーストーリーをめくってみると最初のページに中国の郊外らしき場所にある売り出し中の豪勢な邸宅の写真があった。

そう、小行軍(Short March)とは1934年10月に国民党の攻勢を逃れるため中国共産党がその本拠地江西省瑞金を離れ、1万2500キロもの大行軍を行った「長征」(Long March)をもじってタイトルにしたものなのだ。それでは一体現代中国の小行軍とはいったいなんだろうか?

【巨大な郊外化のうねり】

それは中国で急速にしかも大規模に進みつつある郊外化(suburbanization)のうねりのことなのだ。

China's Short March-----Millions are moving to newly built suburbs outside China's big cities. Their migration will change the nation ---and the world.

毎年10%以上の高度成長が10年以上にわたって続く中国経済。上海や北京だけでなく中国全土の主要都市では高層ビルが次々と建設され、猛烈な都市化が進行している。そんな急速な発展を遂げている100万以上の都市の数は米国の8つ(2000年現在)に対し、中国では48都市にもなるのだ。

繁栄を謳歌する都市に貧しい農村から3億~4億人もの人々が移動し、建設業だけで18百万人もの移動労働者が従事するのだ。

人が集まればマイナス面も増幅する。工場や車の排気ガスで大気は汚染され、環境破壊が進む都市を逃れて、中産階級の人々が郊外へ郊外へと移動していくのだ。多少の違いはあっても、第二次大戦後に大勢の帰還兵が帰国し、その後も経済発展による都市の荒廃を逃れて郊外へと人口が移動した米国や日本と同じような現象がものすごい規模で今中国で起こりつつあるのだ。

上海だけでも今後10年間に5百万人もの人々が郊外へ移住すると予測されている。そのインパクトは中国だけでなく、世界中に及んでいくだろう。

【小行軍の行く末】

一体、この中国の人々の郊外への小行軍(Short March)はこれからどこへ行くのだろうか?

裕福な中産階級は郊外の恵まれた環境へ移り住むことができるだろう。しかし、冷暖房を完備した住宅から、都市までのマイカー通勤など、今のままではアメリカ型のエネルギー大量消費社会が次々と中国各地に増殖していくことになるだろう。その一方で8億~9億もの貧しい農民との格差は広がるばかりだろう。

グローバリゼーションの恩恵を受け続けようとするならば、中国政府はこの流れを止めることは出来ないだろう。そして、今までエネルギーを浪費し続けてきた米国や日本をはじめとする先進諸国もこのような中国の発展形態を「悪」だと咎めることはできないのかもしれない。

中国の小行軍・・・これは崖に向かって一目散に突き進むネズミの大群を思い起こさせる。いや、中国だけではなく、人類全体に突きつけられたグローバリゼーションの負の側面への重い課題なのかもしれない。  


2008年02月26日

【世界のタックス・ヘイブン】

皆さん、タックス・ヘイブンってご存知ですか?それは日本語では「租税回避地」と言い、税金が軽減もしくは免除される国や地域のことです。世界中の金持ちは自分たちのマネーに課税されるのを出来るだけ避けるためにオフショア・タックス・ヘイブンにマネーを移動し、時には自分たち自身も動き回るのです。

例えば、それらタックス・ヘイブンとは、スイス、ケイマン諸島、ジャージィ島(英) 、バハマ諸島などなどですが、租税回避地として最近特に世界の金持ちに非常に好まれている場所があります。どこだかご存知ですか?

そう、イギリス、特にロンドンです。

【ロンドンの金持ち外国人の怖れ】

2月18日号タイム誌で、 「マネーを持って走れ」("Take the Money and Run")というタイトルで税制改正に怯えてイギリスに住む金持ち外人が他のオフショア・ヘイブンを求めて脱出を考えているという記事が目に留まりました。

Take the Money and Run. Spooked by a proposed tax change, Britain's foreign rich consider leaving for other offshore havens

彼らはnondomicileあるいはnondom(非居住者)と呼ばれ、英国に住む市民が最高40%の税金が課せられるのに対し、所得税以外は無税という恩恵に預かっているのです。これは外国人にとっては単なる避難地(haven)どころか、天国(heaven)と言えるでしょう。だからこそ、大勢の金持ち外国人がロシア、中近東、アジアなどからロンドンに集まってきているのです。

しかし、外国人への税優遇に対する批判の高まりから英国財務省は新たに18%の税率でのキャピタル・ゲイン・タックス、さらに7年以上英国に居住する外国人に対し年6万ドルの手数料を徴収すべく準備を進めているのです(おそらく2月末までには実施?)。

こんな措置が実施されればかなりの金持ち非居住者外国人は英国から脱出すると予想されます。財務省はその数を全体の115000人のうち、3000人程度と見積もっていますが、マーケット関係者はもっと多いと見ており、そうなれば何十億というマネーが流出して経済にも重大なインパクトありと言うのです。

Britain's wealth managers are more pessimistic, predicting that nondoms will leave in droves, taking billions out of the economy and affecting everything from property prices to spending on luxury goods.

【マネーを取るか、公平を取るか】

世界の金持ちのオフショア資産は凡そ7兆ドル(日本円で約740兆円)。そのうち、スイスに27%、マン島・ダブリン等に14%、ルクセンブルクに13%、カリビアン諸島に13%、シンガポール・香港にそれぞれ5%と4%が集まっているのです(ボストン・コンサルティング・グループによる推計)

この資金を如何に多く集めるかを巡ってタックス・ヘブン同士の熾烈なマネー誘致合戦が繰り広げられており、中でも個人の機密保持を売り物にするスイスや新興勢力のドバイ、シンガポールなどが様々な金持ち優遇措置を競っているのです。

そんな中で何故イギリスは、いったん集まった金持ちに対する課税を強化してみすみすチャンスを逃そうとしているのでしょうか。公平を期すための勇気ある措置なのか、それとも気が狂ったのか・・・・

With so many countries doing all they can to lure the rich, Britain's decision to get tough on tax breaks seems either brave or crazy.

グローバリゼーションがもたらす巨額のマネー争奪戦。モラルを取るか、マネーを取るか、英国の選択にしばし注目しましょう。  


2008年02月21日

【タイム誌への投稿】

2月18日号のタイム誌の記事"Take the Money and Run"について2月20日に投稿しましたので公開します。

The decision of the British Treasury to get tough on tax breaks is not crazy, but smart and balanced. Because they are sure that money and foreigners are not the only resources to bring prosperity and development to London as well as England where a mix of dignified tradition and forward-looking openness to the rest of the world with advanced democracy has been fascinating big cash and celebrity from the parvenu Russia, the Gulf states and Asia recently. So they balanced the people of England with those from abroad, reacting to the criticism on tax breaks for foreigners from inside the country.

In fact, the other major tax havens as Switzerland, Isle of Man, Luxembourg, Singapore and Hong Kong have been attracting more overseas big money than London with the direct tax break incentives such as the secrecy of privacy in Switzerland rather than with the various charms of the country by itself.



【拙訳】

英国財務省による税制優遇措置の厳格化の決定は、気が狂ったというよりバランスの取れた賢い選択だ。なぜなら、マネーと外国人だけが英国そしてロンドンに繁栄と発展をもたらす唯一のリソースではないことを英国自身が確信しているからだ。英国は進んだ民主主義と併せて威厳のある伝統と世界に対して先を見据えた開放性を持ち合わせており、それによって成金ロシアや湾岸諸国やアジアの巨額のキャッシュや富豪たちを引きつけているのだ。だから彼らは外国人への税制優遇に対する国内からの批判に応えて、自国民と外国人の間のバランスを取ったのだ。

実際、スイス、マン島、ルクセンブルク、シンガポール、香港といった他の主要タックスヘイブンは自国が持つ様々な魅力というよりもスイスの秘密主義などといった直接的な税制優遇のインセンティブによってロンドンよりも海外から巨額のマネーを引きつけてきているのだ。
  


2008年02月01日

【タイム誌への投稿】

1月28日号のタイム誌の記事"A Tale of Three Cities"について1月30日に投稿しましたので公開します。

As your article pointed out clearly, the lifespan of cities and towns seems to vary with a certain degree of cycles as that of human beings does. New York, London and Hong Kong came back to life as a unique combined city of Nylongkong after the long debacles of social disorder, bubble burst or bankrupts. The resurgence of those three cities symbolizes the recent tidal wave of globalization in every corner of the earth and the power of greed by the people living and working there to mobilize the big money.

Where money speaks, people gather and prosper with greed. However, no one knows if we are in the right direction. I do hope they may not lose morale when money goes out and global warming comes close.


【拙訳】

貴記事がはっきり指摘されているように、都市の寿命は人間と同じく、ある一定のサイクルで変化しているようです。ニューヨーク、ロンドン、そして香港は、社会的混乱やバブル崩壊、あるいは破産という長い苦難を経て、ニューロンコンというひとつの合体都市のようになって復活しました。この三つの都市の復活が象徴するのは、地球の隅々まで行き渡ったグローバリゼーションの大波であり、そこに住み働く人たちが大金を動かす欲望の力なのです。

カネがモノを言うところに人々は集まり欲望とともに繁栄する。しかし、自分たちが正しい方向に向かっているかどうかは誰にもわかりません。望むらくは、カネがなくなり、地球温暖化が近づくとき人々がモラルを失わないことです。



【追記】

1月30日にタイム誌から「採用するかもよ」という例のメールが届きました。それにしても昨年は一度も取り上げてもらえず。よ~し、今年はがんばるぞ!

Dear Reader:

Thank you for writing. We welcome timely, insightful reactions to material we have published, and we can assure you that your observations found an attentive audience among the editors. If your comments are selected for the Inbox column, you will be notified in advance of publication. Again, our thanks for letting us hear from you. We hope that you will write again should you discover something of particular interest in the news or in our reporting of it.

Best wishes.

TIME Letters
  


2008年01月31日

【三都物語】

1月28日号タイム誌のカバーストーリーは「A Tale of Three Cities」でした。そして表紙に掲載されているのはNy・lon・kongの文字。それって何でしょう?

Ny・lon・kong -----それはグローバル経済を先導する三つの都市を合成した都市名です。すなわち、ニューヨークシティ、ロンドン、香港の合成語。その三つの都市が苦難の末に勝ち取った成功と挑戦の鍵について特集しています。

Ny・lon・kong ----How three connected cities drive the global economy. The keys to their success ---and the challenges they now face

【ダボス会議】

1月23日からスイスのダボスで始まった世界経済フォーラムは、27日に閉幕した。「今年はそこそこの景気(Goldilocks Economy)が続く年」という楽観ムードが覆っていた昨年とは打って変わって、今年のダボスはサブプライム問題以後変調を来たす世界経済の先行きや地球温暖化防止に向けた目標設定などを巡って白熱した議論が繰り広げられたようです。

そのダボス会議の焦点はグローバリゼーションの現在と未来ですが、その中心となって繁栄しているのが、70年代から80年代にかけてはそれぞれ固有の事情でどん底に喘いでいた三つの都市、すなわち、ニューヨーク、ロンドン、香港だというのがタイム誌の主張です。

ニューヨークは1975年にほとんど破産状態となり、年間2千人もの殺人が起こる犯罪都市でした。ロンドンは、1981年左派グループによる暴動などで荒廃していましたし、香港も中国返還を控えて経済が動揺、株や不動産が暴落していたのです。

【変化の源-マネー】

そんな三都市がその経済力をサービス産業に集中し、マネーの大循環で世界経済を牽引する大変貌を遂げたのです。19世紀を帝国の時代、20世紀を戦争の時代とするなら、21世紀は金融の世紀となるであろう、その中心がNy・lon・kong なのです。

The network of international trading and personal contacts that shape New York, London and Hong Kong facilitate their key industry. If the 19th century was the age of empire and the 20th one of war, so the 21st century, to date, is an age of finance.

その三都市の魅力はもちろんマネーだけでなく、ニューヨークは文化、ロンドンは世界のセレブを惹きつけるコスモポリタンな伝統、そして香港は中国という大後背地を持つグレーターチャイナとしての玄関口の機能にあるのです。

【グローバリゼーションの教訓】

フラット化する世界の中で急速に富を集め、繁栄のコアとなっているNy・lon・kong。その都市の繁栄は、国家の潜在的な競争力に支えられているとも考えられます。2007年の世界50カ国・地域の潜在競争力ランキングで1位を維持する圧倒的な競争力を誇る香港、3位の米国、4位のイギリス。(日本経済研究センターの調査)

この順位で日本は13位に甘んじています。グローバリゼーションを牽引し、世界の富を集めるには人々の欲望を次々と満たしてくれるマネーの奔流を作り出せるパワーが必要です。果たして、日本はそのマネーを集めてNy・lon・kongのような都市を目指すべきなのでしょうか。それとも独自の伝統文化を護り、静かに自らのモラルを世界に説いていくべきなのでしょうか。Ny・lon・kongが日本に突きつける課題はなかなか重たいものがありますね。  


2008年01月17日

【タイム誌への投稿】

1月14日号タイム誌の記事"Need to Weed Your Roof?"について1月14日に投稿しましたので公開します。

How encouraging to see the green covered urban roofs of the four photographs in your article! Especially when I found out that one of them was the famous green stepped office building completed in 1995 in the center of our home town Fukuoka, I almost jumped for joy.

It now seems that the tidal wave of global warming almost swallowed the urban-heat-island effect caused by the increasing number of heat-absorbing asphalts and buildings in such big cities as Chicago, New York City and Tokyo. The efforts to change the concrete jungle into the urban greenery from every roof of the buildings seem to be a small step only to reduce the urban-heat-island effect. However, with the increase of green roofs here and there, I am sure that it will lead to change our uneasy minds positively into the courage to overcome global warming.


【拙訳】

貴記事の4枚の写真にある緑に覆われた都市の屋上を見て何と勇気づけられたことでしょう! 特にその写真のうちの一枚が僕の町、福岡の中心に1995年に建てられた地元では有名な緑の階段状のビルが含まれていたことを知って飛び上がって喜びました。

地球温暖化という大波が、シカゴやニューヨーク、東京といった大都市での熱を吸収するアスファルトやビル建築の増加によって引き起こされたヒート・アイランド現象を飲み込んでしまって見える現在、ビルの屋上を緑にすることで、コンクリート・ジャングルを緑の都市空間に変える努力なんてほんの小さな一歩にしか見えないのかもしれません。しかしながら、そこらじゅうに緑の屋根を増やしていけば、きっと僕らの不安な気持ちは地球温暖化に打ち勝っていこうという勇気に変わっていくことでしょう。


【追記】

1月16日にタイム誌から「採用するかもよ」という例のメールが届きました。それにしても昨年は一度も取り上げてもらえず。よ~し、今年はがんばるぞ!

Dear Reader:

Thank you for writing. We welcome timely, insightful reactions to material we have published, and we can assure you that your observations found an attentive audience among the editors. If your comments are selected for the Inbox column, you will be notified in advance of publication. Again, our thanks for letting us hear from you. We hope that you will write again should you discover something of particular interest in the news or in our reporting of it.

Best wishes.

TIME Letters
  


2008年01月15日

【都市の屋上を緑に】

最近はヒートアイランド現象よりも地球温暖化のほうが人々の関心を集めていますが、コンクリートビルだらけの都市を冷やすのに屋上の緑化が再び脚光を浴び始めているようです。

2008年1月14日号のタイム誌に「Need to Weed Your Roof?」と題して、ワシントン、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコなど全米の大都市でビルの屋上を緑にする試みがなされているとの記事がありました。

【屋上緑化の意外な写真に歓喜】

それにしてもその記事に掲載されている四枚の写真のうち、三つはシカゴ、ニューヨーク、サンフランシスコのビルの屋上緑化の例なのですが、右上の一枚の写真はなんと福岡の天神にあるアクロス福岡ビルの階段式の緑に覆われたテラスではないですか!

これには狂喜しました。記事の中にはどこにも触れていないのですが、めったにタイム誌に掲載されることのない福岡のビルが写真として載ったのですからとびあがって喜んだんです。

それもアクロス福岡の緑はシカゴやニューヨークなどとは比べ物にならないほど立派な屋上緑化の例なのです。そのアクロス福岡と言えば、1995年に国際・文化交流の拠点を目指して、天神の旧福岡県庁跡地に建設された福岡県施設と民間施設(オフィススペース・商業施設)が同居した公民複合施設で、シンフォニーホールも中にあり、外観の南の天神中央公園に面した段状のステップガーデンは、「山」をコンセプトとした大規模な屋上緑化であり、公園と一体となったランドスケープを構成している福岡のまさにランドマークとなっている建物です。

1996年にBCS賞(建築業協会賞)を受けたくらいの立派なビルなので屋上緑化の典型的な成功例としてタイム誌が掲載してくれたのでしょう。

タイム誌の記事の内容はともかく、こういう形で福岡が紹介されるのは本当に意外でもあり、なにか1人で嬉しくなってブログに取り上げることにした次第です。
  


2008年01月05日

【タイムの今年の人】

少しお知らせするのが遅れてしまいましたが、2007年のタイム誌の「今年の人」が12月19日に発表されています。

『米タイム誌は19日、年末恒例の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」(今年の人)に、ロシアのプーチン大統領(55)を選んだと発表した。ステンゲル編集長はプーチン氏について「混乱したロシアを安定させた」と評価する一方、「ロシアの新しいツァー(皇帝)で、市民や言論の自由を考慮しないという意味では危険だ」と指摘した。

 プーチン大統領は00年の就任以来、「強国ロシア」の復活にまい進。来年5月の退任後も首相に就任する意向を表明し、政権内で引き続き影響力を誇示するものとみられる。

 「今年の人」は「世界に最も影響を与えた人物」として1927年から発表されている。今年はノーベル平和賞を受賞したゴア前米副大統領や、「ハリー・ポッター」の著者、J・K・ローリングさんらも候補になった。』(12月20日付毎日新聞)


2006年がパソコンの画面に映る「あなた」だったので、2007年のプーチンは少し意外性には欠けました。

※2007年12月31日号タイム誌の記事「今年の人」("Person of the Year")

【プーチンのロシア】

それにしてもプーチン大統領がかもし出す雰囲気は到底親しみのある指導者とは程遠いものがあります。親しみどころか冷酷、残酷なKGBのイメージを抱くのが大方の日本人なのではないでしょうか。それなのに何故ロシア国民の間ではそれほどの人気があるのか?

その答えは「安定」にあるようです。タイム誌のリチャード・ステンゲル編集長が言うように、プーチンはそのたぐいまれなる強固なリーダーシップのもとで、ロシア国民にこの100年近くロシアにはなかった安定をもたらしてくれているからでしょう。自由より、選択より先ず安定がロシアには必要だったのです。

He stands, above all, for stability - stability before freedom, stability before choice, stability in a country that has hardly seen it for a hundred years.

今、プーチンのロシアは絶好調です。広大な国土がもたらす石油資源が膨大な富をもたらし、対外債務も2005年には返済し、経済は高成長を維持しているのです。

その絶好調の経済を後ろ盾に、プーチンはメドベージェフ第一副首相を後継大統領に指名し、自身は首相として権力を温存しようとしています。

【今年も注目の人】

西欧の民主主義国家とは異質の国。そういう意味では日本と似ているのかもしれません。ただ、国民のレベルで言うと、大多数の日本人がロシアに悪感情を抱いているのとは裏腹にロシア国民は自動車や日本食、日本アニメへの親しみからか日本にものすごくいいイメージを抱いているそうです。僕たち日本人はもっとロシアのことを真剣に知る努力をすべきでしょう。

そんなまだまだ未知の国、ロシア。世界が地球温暖化を阻止するためにようやく意思統一を図ろうとしている今、石油大国で半独裁国家ロシアの意思は自国だけでなく世界の安定に寄与するのでしょうか?

もうひとりの独裁者?ブッシュ大統領が退場するであろう今年、ロシアそしてプーチンのロシアの動きから目が離せない日が続きそうです。  


2007年12月11日

【タイム誌への投稿】

12月10日号タイム誌の記事"Head Games"について12月10日に投稿しましたので公開します。

“Head Games”,TIME dated on December 10, 2007

As the father of two young daughters, I was shocked to know the fact that U.S. female soccer athletes suffered almost 40% more concussions than males did. Wasn’t there any strict guidance to prevent such female suffering on the teachers’ side at school so far?

Popular sports often require athletes to use their souls and bodies to the limit to win the game or to defeat the opponent, whether or not there are some gender differences between men and women.

However, now that the gender related vulnerability of women to men in specific sports techniques such as heading became clear, we should recommend some kind of protections or alternative sports for women to keep them safer, not only in the schoolyards but also in the professional sports, based upon the scientific research.


【拙訳】

二人の娘の父親として、米国の女子サッカー選手が男子よりも40パーセント以上も脳しんとうを起こしたという事実を知ってショックを受けました。今まで学校では先生達からそんな女子生徒の怪我を避けるための厳しいガイダンスはなかったのでしょうか?

人気のスポーツでは、選手たちは男女の性別の違いがあろうとなかろうと試合に勝つため、あるいは相手を倒すために心身ともに限界まで使うことが要求されます。

しかしながら、一部のスポーツでの性別の違いによる女性の脆弱性がハッキリとしたからには、女性たちを安全に守るために、科学的研究に基づいて学校だけでなくプロスポーツでも何らかのプロテクションや別のスポーツを推奨すべきでしょう。
  


2007年12月07日

【ヘディングは危険!】

サッカーではヘディングは日常茶飯事です。特にゴールキーパーとの激しいやり取りの中では、ヘディング・シュートが最後の決め手になることがよくありますよね。

そんなヘディングが危険?・・・・いや、誰でもということではなく男性よりも女性にリスクがあるというレポートが12月10日号タイム誌のスポーツ欄に「ヘッド・ゲーム」("Head Games")というタイトルで掲載されています。なぜ、女性にはリスクがあるのでしょうか?

Head Games ----Girls are getting more concussions than boys are. Why they are at risk

【脳しんとうを起こすリスク】

タイム誌によれば、女性は男性よりも頭を使ったゲームで脳しんとうや頭痛、めまいなどを起こす確率が格段に高いというのです。

そのひとつの証拠としてアスレチック・トレーニング・ジャーナル(Journal of Athletic Training)の調査で、米国の女学生のサッカー選手は男子のプレイヤーよりも40%以上脳しんとうを患っているという報告が紹介されています。具体的には、2005年~2006年の男女学生のサッカー選手の脳しんとう例は男子が約2万人に対して、女子は2万9千人にのぼるのだそうです。

これは由々しき問題ですね。サッカーだけでなく、バスケット・ソフトボール・ホッケーなど他の競技でも同様の傾向が見られるとのこと。

【男女の身体特性の違い?】

それほど男女で違いがあるのは何故なんでしょうか?ひとつは首の強さ。男性の首周りは女性より凡そ20%近く大きく、それだけ頑丈に出来ているそうです。一説には男性の首は、女性よりも50%以上強く出来ているとも言われています。

もうひとつは女性は衝撃を受けると、男性よりもひざまずいてバランスを崩すことが多いことも脳しんとうの遠因となっているようです。

今のところ、女子選手がこういった脳しんとうなどのリスクを減らすにはヘッドギアをしたり、首を鍛えたりするしかないのですが、もっと根本的には男女の身体特性をもう一度認識し直して、男子に合ったスポーツ、女子に合ったスポーツをそれぞれ推奨していくという基本に戻ることも必要ではないでしょうか。  


2007年12月03日

【時代は「黒」】

「黒」が今、注目されています。日本でもここ数年「黒い」商品がいたるところで見られるようになりました。黒歯磨きや黒綿棒、黒シャンプー、黒いトイレットペーパーなどの黒い生活雑貨、黒いワンピースや黒ストッキングといった黒い衣類、そして黒ゴマ、黒酢、黒烏龍茶などの黒い食品など数え上げればキリがないほどです。

もともと日本では「黒」はどちらかというと喪服や訃報や悪をイメージすることが多い色ではないでしょうか。ブラックや黒は「暗黒」や「闇」を想像してしまうからかも知れません。

しかし、「黒」は高級感や中立感もイメージさせます。そういう「黒」が持つプラスの側面が最近日本だけでなく、世界で流行ってきているのです。まさに時代は「黒」。

【黒はアジアから世界へ】

そういったプラスのイメージの「黒」が食品の世界にも押し寄せてきているという記事が12月3日号のタイム誌に「黒は素敵」("Black Is Beautiful")というタイトルで紹介されています。

Black Is Beautiful. An Asian culinary trend heads west as ebony ingredients begin to show up on fashionable menus

それは、最近、米国の高級レストランのシェフが黒い穀物から野菜、チキンにまで黒い食材を好んで使い始めたというのです。そして、こういった黒い食材はアジアに長い伝統があり、アジアからアメリカに入ってきているのです。

中国の紫黒米(forbidden rice)、シルキー・チキン(Silkie chicken) 、黒いニンジンなどはアジアでは血行をよくし、健康にいいということで長い間食材として愛されてきました。もちろん日本でも黒ゴマ、黒酢などは健康食品として親しまれており、最近ではハーゲン・ダッツも黒ゴマ入りのアイスクリームを発売したほどです。

【黒の魅力】

そういった黒い食材の新鮮な輝き、高級感に目をつけてニューヨークのレストランではどんどん取り入れられているようです。あるシェフは、「お客様の目をいかに引くようにするか」が大事だと言い、「ブラック・チキンがディナーを際立たせてくれるのです」と黒い食材の効用を説いているほどです。

"We focus on eye-catching presentation," says chef de cuisine Eric Hara. "Black chicken definitely intrigues diners."

使い方によっては「黒い」食材は毒にも薬にもなるほど難しいものですが、そういったリスクがまた腕の立つシェフや客の興味を引き、「黒はクール」と思わせるのかもしれません。しばらくは、この黒ブーム、食品の世界だけでなくいろいろな分野で続きそうですね。  


2007年11月30日

【タイム誌への投稿】

11月26日号タイム誌の記事"Water Worries"について11月29日に投稿しましたので公開します。

“Water Worries”, TIME dated on November 26, 2007

It was a fresh surprise for me that climate change has never been on the election issue in Australia before this election.

Since water is vital to every living creature on earth and climate change is taking it away from many ordinary citizens over there in the form of a long drought,it is with good reason that worry is so ballooning among them that the future course of politics in Australia could be affected by the stance on climate change by political leaders at the election as one of the important election issues.

Based upon such recognition, your article kindly indicated to me that this election would also be the turning point for many political leaders in the world to tackle climate change seriously not for a hypocritical or superficial slogan such as “Save the earth!” but for their own political survival now and in the near future. In that sense, politicians in Japan, my country, are not the exception.



《拙訳》

この選挙の前にオーストラリアでは選挙の争点として地球温暖化が一度も取り上げられたことがないというのは新鮮な驚きでした。

水というのはこの地球上のあらゆる生き物に不可欠であり、地球温暖化が長期の旱魃という形でオーストラリアの多くの市民から水を奪っているため、市民の水への心配が大きくなり、同国の政治の将来が今回の選挙での重要な争点のひとつとなった地球温暖化に関して、政治指導者がどのようなスタンスを取るかに左右されるのは当然のことです。

このような認識に立って、貴記事がわかりやすく示唆してくれているのは、今回の選挙が世界中の多くの政治指導者にとっても、「地球を救え」といった偽善的あるいは表面的なスローガンではなく、自分達の政治生命のために地球温暖化に真剣に取組む転機となるだろうということです。この意味で、日本の政治家も例外ではありません。
  


2007年11月26日

【豪州で政権交代】

オーストラリアで大きな地殻変動が起きようとしている。

『ハワード保守政権の継続か否かが争点となったオーストラリア総選挙の投票が24日、行われた。即日開票の結果、国営テレビによると、最大野党、労働党が過半数を制し、11年半ぶりに政権を奪取した。1996年の発足以来5期目を狙った与党、保守連合(自由党、国民党)のジョン・ハワード首相(68)は退陣、労働党のケビン・ラッド党首(50)が次期首相に就任する。
 ラッド新政権は選挙公約に従い、イラクの豪州戦闘部隊約550人の段階的撤退と、京都議定書の即時批准を行う見通しで、イラクや環境政策にも影響を及ぼしそうだ。
 また、ラッド党首は中国語に堪能な親中派の政治家として知られ、中豪関係が一層強化されるのは確実だ。ラッド党首は一方で日本の調査捕鯨を厳しく批判しており、ハワード政権時代に進展した日豪関係にも微妙な影響が及ぶ可能性がある。』(11月24日付産経新聞)


【選挙の争点に地球温暖化】

今回勝利した労働党のケビン・ラッド党首と敗北したジョン・ハワード首相は、経済政策については大きな違いはなかった。むしろ資源輸出などで好調を続ける豪州経済の現状からすれば、その経済運営を行ってきたハワード首相が勝ってもおかしくないのだ。では何故ラッド氏が勝ったのか。巷では国民がハワード首相に飽きたからだとか言われているが果たしてそうなのだろうか。

選挙前に書かれた11月16日号タイム誌「水への懸念」("Water Worries")と題して、長期に亘る旱魃と先行きへの不安によって豪州で初めて「地球温暖化」が選挙の争点となったと興味深い分析をしている。

Water Worries - A long drought and fears of worse to come have made climate change, for the first time, an election issue in Australia

豪州の国民は、6年近くに及ぶ千年振りと言われる旱魃で深刻な水不足を経験し、地球温暖化がさらなる水不足を引き起こすのではという潜在的な不安を抱いている。にもかかわらず、相変わらず米国に追随し未だに京都議定書にも批准しないハワード政権へのいらだちを強めていたのだ。もちろん、今回の選挙結果はそれだけが原因ではないかもしれない。

しかし、オーストラリアで選挙の争点として、短期的な経済政策と並んで地球温暖化が取り上げられたのは注目に値する出来事だろう。それは、豪州の選挙民が目先の利益よりも将来の不安を取り除いて欲しいと願っていることを示しているからだ。

【これから始まる大変化】

もともと、IPCCを始めとする国際機関は、地球温暖化が今後世界の政治や平和に大きな変化を引き起こすことになると警鐘を鳴らしていた。

それが今、オーストラリアの政権交代というかたちで少なからぬ影響が出始めたのだ。世界各地で頻発する地球温暖化が引き金とみられる異常気象。今後、地球温暖化は「人類の脅威」といった飾り言葉ではなく、各国の政治の屋台骨を揺るがすほどの地殻変動を各地で起こしていくことになるだろう。

日本も例外ではない。環境先進国を標榜し、地球温暖化防止に向けても世界をリードしていこうと考えるならば、国民も政治家も、そしてメディアも来るべき大変化の予兆としてオーストラリアの事例からしっかり学習しなければならないのではないか。

ミシュランの格付やら、食の偽装で騒いでいる場合ではないと思うのだが・・・・  


2007年11月19日

【緊迫化するパキスタン】

パキスタン情勢が急速に緊迫化している。

『パキスタン訪問中のネグロポンテ米国務副長官は17日、イスラマバード近郊でムシャラフ大統領ら政権・軍の幹部と会談した。副長官は非常事態の解除などを求めたとみられるが、AFP通信が大統領側近の話として伝えたところでは、大統領は「法と秩序の回復」が前提になるとの従来の説明を繰り返し、早期解除を事実上拒否した。
 ネグロポンテ副長官はこのほか、公正な選挙の実施、陸軍参謀長の兼職解消など一連の民主化プロセスの履行を強く促したもようだ。』(11月17日付時事通信)


一体、ムシャラフ大統領は、この国をどこに持っていこうとしているのだろうか?

【米国の誤算】

11月19日号タイム誌「パキスタンの非常事態宣言」("Pakistan's State of Emergency")と題して、民主主義を否定しようとするムシャラフ大統領への民衆の怒りと米国の苦悩を浮き彫りにしている。

Pervez Musharraf infuriates his people - and embarrasses Washington - by cracking down on democray. Will that help him fight the war on terrorism? Probably not.

すなわち、あの911テロを引き起こしたアル・カーイダの主要メンバー等多くのテロリストが潜伏していると見られているパキスタンは、テロリストとの戦いを進める米国にとって必要不可欠な同盟関係にある国だ。しかし、そのカウンターパートが独裁者であり続けるのも米国にとって不都合だというのがその苦悩の正体なのだ。

ではどうするか?

その解決策としてブッシュ大統領は、亡命していた野党党首で前首相のベーナズィール・ブットー氏(Benazir Bhutto)をパキスタンに呼び戻し、彼女を首相にして民主主義を回復し、ムシャラフ氏は軍参謀長の地位を外れて平民の大統領としてとどまるというシナリオを立てたのだ。

しかし、ここ数週間でそのシナリオは破綻した。10月に再任されたムシャラフ大統領に最高裁が軍参謀長を兼任するのは憲法違反だと対立、大統領は今月非常事態宣言を発動して憲法を停止するとともにブットー氏の政治活動も妨害しているのだ。

【天は自ら助ける者を】

そもそも今のパキスタンは1947年にイギリス領インドから独立し、度重なるインドとの戦争を戦いながら、長い間その強大な軍事力で連邦共和制という国家体制をかろうじて維持してきた国だ。核兵器を保有し、テロとの戦いやイラン、旧ソ連(今のロシア)との対抗上、米国が絶対にはずせないと考えている国でもある。

しかし、長い軍政支配のせいもあり、政党の力は弱い。そんな中で現在の危機的状況を抜け出し安定した国家にするためには、大多数の民衆の支持が最も不可欠だ。

ムシャラフ大統領は、米国の操り人形みたいに動くのではなく、自らの意思で民主国家への道筋を明確に民衆に示して、公正な選挙を一刻も早く実施してほしい。もちろん、そのためにブットー氏の政治活動も再開させるなどの度量も見せて欲しいものだ。

「天は自ら助くる者を助く」 "Where there's a will, there's a way."  


2007年11月08日

【カジノの魅力】

皆さんはカジノで遊んだことはありますか?そこはルーレットやスロットルマシンが整然と並ぶ、言わば一大賭博場です。世界的に有名なカジノは、アメリカではラスベガス、アトランティクシティ、ヨーロッパではモンテカルロ、アジアでは香港、マカオがありますが、イスラム教国や日本では公認されていません。

今、そのカジノがマカオでの成功をきっかけにして、アジア各地で計画・新設されようとしているのをご存知ですか?

【数年後にアジア各地にブーム到来?】

11月12日号タイム誌「アジアに広まるギャンブル中毒」("Asia's Growing Gamble Addiction")と題して、カジノ建設ブームに沸くアジアでこれからギャンブルが深刻な問題をもたらすと警鐘を鳴らしています。

High Stakes - Thanks to a mutibillion-dollar boom in casino construction, Asia may soon have a serious gambling problem

そのブームのきっかけはマカオ。マカオ市が5年前にカジノの規制を緩めてからカジノが27に倍増、それにともなって観光と投資ブームが起きマカオ経済は見事に復活を遂げたのです。

Macau's success has inspired other Asian cities and countries to allow new casinos.

それを見たアジア各国はマカオに続けとばかりカジノの計画・建設に次々と名乗りを挙げているのです。ホーチミン市に2009年に40億ドルで一大カジノリゾート建設を予定しているベトナム、すでに建設地を確保しているシンガポール、マニラ湾沿いに4万人を雇用する100エーカーものカジノを計画するフィリピンから、中国人を呼び込もうと「草原のラスベガス」("Las Vegas of the steppe")を計画するカザフスタンなど数年後にはアジア各地に第二・第三のマカオが出現する勢いです。そんな動きに触発されてか、タイや日本でもカジノ合法化への動きが見られます。

【カジノがもたらす光と影】

しかし、経済の起爆剤としてのギャンブル場には影の部分があることも忘れてはいけない側面です。

マカオでも短期間しかいない観光客はいいものの、カジノ近辺の住人がギャンブル中毒になって様々な社会問題を引き起こしているのです。

タイム誌によれば、中国人は白人よりも50%以上もギャンブル中毒になりやすいといったクイーンズランド大学の精神科医の論文等を引き合いに出し、アジア人はギャンブル常習になりやすいと指摘しています。

その背景として、仏教や道教といったアジアの宗教ではギャンブルをそれほど厳しく戒めるのではなく「公認されたお金儲けのための手段」だとみなされているとの説を紹介しています。

Eastern religions such as buddhism and Taoism don't strictly condemn gambling. "Gambling is seen as a morally recognized way of making money." says Peter Ong, chairman of the Tung Wah Group of Hospitals.

また、ギャンブル中毒は病気ではなく、文化的なものだとして、カウンセリング療法を受けるのは恥ずかしいと考える傾向も強いとのこと。

カジノがもたらす光と影。日本ではカジノはなくても大衆の射幸心を煽る競艇やパチンコは社会的に半ば公認されていますが、アジア各国もカジノの導入にあたってはその社会的影響に十分配慮した対策を事前に練ってから導入する必要がありそうです。みなさんはどうお考えですか?  



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