2012年09月11日

【新エネルギー戦略】

新エネルギー・環境戦略が週内にも決定されるようです。

『野田佳彦首相は10日の記者会見で、東京電力福島第1原発事故を受けた新たなエネルギー・環境戦略を、週内に決める意向を明らかにした。政府は当初、10日の決定を目指していた。だが、民主党の提言に盛り込まれた「2030年代の原発ゼロ」目標に、使用済み核燃料を受け入れている青森県が反発。米政府も関心を示していることから、調整に時間がかかると判断した。

 新戦略について首相は「党が示した『原発の新増設は行わない』『40年運転制限を厳格に適用』『再稼働は原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ』は取り入れたい」と述べた。一方「30年代ゼロ」目標への言及は避けた。党提言が「首相の意向も踏まえて決めた」(古川元久国家戦略担当相)にもかかわらず、首相が「30年代ゼロ」を明言しなかった背景には、米国の「関心」がある。

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため、ロシア・ウラジオストクを訪問していた首相は8日、クリントン米国務長官と会談。長官は「日本の原子力政策についての議論に関心を持っている」と述べ、米国と緊密に情報交換するよう求めた。

 日米原子力協定は、使用済み核燃料の再処理によるプルトニウムの生産、保有を日本に認めている。核兵器の原料にもなるプルトニウムだが、核燃料サイクルを推進する日本は、原発の燃料として使う方針を明確にしているからだ。だが、原発ゼロを選べば、プルトニウム生産の根拠はなくなり、日米協定の前提が崩れることになる。

 首相は10日午前、枝野幸男経済産業相、細野豪志環境相らエネルギー関係閣僚と新戦略について非公式に協議。この場には、これまで非公式協議に出ていなかった玄葉光一郎外相も姿を見せた。同席した藤村修官房長官は記者会見で「外交関係も踏まえて詰めを行っている」と、米国と最終的なすり合わせをする可能性を示唆した。

 一方、核燃サイクル施設の立地する青森県六ケ所村の議会は7日、政府が再処理をやめた場合、施設内の使用済み核燃料を村外へ運び出すよう求める意見書を採択。三村申吾知事も「再処理されなければ発生元に返す」と強調している。受け入れを拒まれれば、使用済み核燃料の保管場所がなくなり、30年代どころかより早い段階で原発の運転は不可能になる。工程表のないまま原発ゼロを打ち出した矛盾が、国内外で露呈している。【久田宏、宮島寛】』(9月10日付毎日新聞)

【思想なき戦略に未来なし】

国家が崩壊の淵に立ったことも忘れ、事故を起こした東電や政府関係者は誰一人罪に問われることもなく平然と開き直り、子どもたちの命はこれからもフクイチからの放射能に脅かされ続けるというのに、いざ原発をなくすとなると、マスコミや原子力ムラは僕ら国民をやれ電気代が上がるとか、エネルギーの安全保障が危なくなるとかあらゆる理由で恫喝し、政府や与党はアメリカの様子をうかがって足元がぐらつく。

エネルギー戦略という国家の根幹ともいうべきグランドデザインを見直すのに、それを支える官僚たちは、フクイチ事故によってその危険性が明らかになり、もう隠しようがないほど膨大な国家の負債そのものになりつつある原子力をこれから何十年も温存しようと隠ぺいや詐欺まがいのプロパガンダを流しつづけている。そこには国民への巧みな恫喝はあっても、国家百年の計を見据えた思想など微塵もない。もちろん、その周辺でうごめく原子力翼賛メディアや御用学者や電力会社そして政治家なども子どもの命など振り向きもせずに自らの利権の擁護に奔走しつづけている。

こんな国にまともな道を選択するのは無理だろう、そういう絶望的な気持ちにさせられるのは僕だけでしょうか。おそらく、このままでは次の原発事故で今度はホントに国家が崩壊の危機にされられても脱原発は不可能でしょう。

こんな絶望的な状況でも僕ら市民はあきらめてはいけない。なぜなら、未来を託せるのは子どもたちだから。子どもたちを原子力の、放射能の暴力から守るために。  



2012年09月03日

【2030年比率】

野田内閣が2030年時点の原発比率を15%以下とする発表を近日中に行うようです。

『政府は1日、新たなエネルギー政策について「将来的に原発ゼロを目指す」ことを打ち出す方向で検討に入った。関係閣僚でつくる「エネルギー・環境会議」で9月上旬にも決定し、野田佳彦首相が発表する方針だ。2030年の原発比率は15%以下とし、原発をゼロにするまでの中間目標と位置付けることも検討している。政府関係者が明らかにした。
 政府は新エネルギー施策について、30年の原発比率を15%とすることを念頭に置いてきた。しかし、7月以降に行った意見聴取会や討論型世論調査で、原発ゼロを求める意見が多かったことから、政府としてゼロを目指す姿勢を示す必要があると判断した。新政策は、エネルギー・環境会議で決める「革新的エネルギー・環境戦略」に盛り込む。これにより、原発依存を高めてきた日本のエネルギー政策は転換点を迎えることになる。

 30年に原発15%以下の目標を達成するため、15年から5年ごとに達成の度合いを検証する方針だ。

 新政策では、使用済み核燃料の最終処分や、風力・太陽光など再生可能エネルギーの普及など、原発ゼロに向けたさまざまな課題があることも指摘する。首相が記者会見などで「全国民に協力をお願いする」と呼び掛ける方向だ。』(9月1日付時事通信)


【またしてもゴマカシ?】

この記事によれば、野田首相は7月・8月に実施した意見聴取会やパブリックコメント、討論型意見調査などの際に3つの選択肢として政府が示した原発比率のうち、当初シナリオ通り、二番目の選択肢である「2030年の原発比率を15%」にするそうです。ただ、若干当初の選択肢と違うのは15%の後に「以下」とつけただけです。

これは政府が戦前から行ってきた国民を誤魔化す常とう手段です。 
「大敗北」を「善戦」と言ったり、「敗戦」を「終戦」と言ったり、野田首相自身の発言としては、事故の収束などまったくしていないのに「福島第一原発事故は収束しました」と宣言した昨年12月と同じ誤魔化しでしょう。多くの国民が原発ゼロを望んでいるという調査結果も無視して。これで2030年の原発ゼロさえ実現は遠のきます。原子力ムラの連中はほくそ笑んでいることでしょう。こんな国民をなめきったやり方を許してはいけません。

どんな結果が出ようとも、原子力ムラの総意を受けて政府が当初シナリオ通り原発の温存をなんとしてでも図っていくであろうとは予想していましたが、この通りのシナリオを国民が黙って政府のいいなりになって実施させるようなことがあれば、2030年を待たずして日本は次なる地震によってフクイチか、六ヶ所か、あるいは全国のどこかの原発がフクイチ以上の事故を起こすことによって経済・社会が壊滅的打撃を受けることは決定的だと思います。地震ではなくても、現在の原子力翼賛体制が続く限り、無責任で傲慢不遜で国民の命など何も考えていない原子力ムラのために次なる重大な人為ミスによって大事故が起こる可能性も否定できません。

僕たち市民は、粘り強く、しかし一刻も早く日本全国の全原発の即時廃炉と六ヶ所村やもんじゅを中心とする核燃料サイクルの即時停止を求めて戦い続けていくしかありません。それは原子力ムラのように金のためではなく、子供たちのために、そしてこの愛すべき日本を守るためにです。
  



2012年08月23日

【初めて面談】

野田首相が反原発団体と初めて面談しました。

『毎週金曜日の夕方から夜、東京・永田町の首相官邸前で脱原発の声を上げている市民の代表11人が22日、官邸に入り、野田佳彦首相に全原発の廃炉などを直談判した。話は平行線をたどり、脱原発行動をまとめる市民団体「首都圏反原発連合」には「主張を十分に伝えられず、不完全燃焼」との不満も。だが、面会後に衆議院第1議員会館であった記者会見では「ここは到達点でなく、通過点」と言葉に力を込めた。

【議論は平行線に】野田首相、反原発の市民団体代表と面会

 行動は3月に300人で始まり、共鳴した一般市民が次々と参加。首相と面会した代表者も普段は会社員や介護士などとして働いている。

 その一人でイラストレーターのミサオ・レッドウルフさんは「面会がパフォーマンスや政局がらみの可能性もある」と警戒しつつ「何十万人もの力がこの場所に押し上げた。抗議の声を可視化して圧力をかけることで、国会議員を動かすこともできている」と手応えを語った。

 この日の面会中も多くの市民が官邸前で抗議を続け、その声は官邸の建物の入り口まで届いていたという。大学非常勤講師の小田マサノリさん(46)は「社会運動やデモに対する一般市民の嫌悪感がなくなりつつある。この流れは止まらない」と強調した。【水戸健一】』(8月22日付毎日新聞)

【首相と面談したことに意義】

野田首相が政治的パフォーマンスで今回反原発団体と面談したことは間違いがないでしょう。もともと再稼働を止める意思もなければ、脱原発を一挙に進める意思もない首相なので何とか内閣や民主党への国民の支持を少しでも上げたいという政治的思惑から脱原発のうねりを高める国民へのポーズをとっただけだと思います。

その証拠に面談は30分程度で終わり、首相は再稼働への理解を求めて自論を述べただけで議論は平行線をたどったとのことでした。野田氏には原発問題に関して鬼気迫るものは何も感じられません。ただ、それでも首都圏反原発連合が国会議事堂や首相官邸周辺のデモを継続することで政治への目に見える形の圧力となり、首相面会まで実現したことは少なくともここ数十年なかったことであり、それだけで画期的だと思います。関東の方々は昨年のフクイチ事故で直接の被害にあったことで政治家たちが思っている以上に原発に危機感を抱いていることの表れでしょう。

市民の声を政治に反映させ、命を守るために一刻も早い脱原発を実現するためには、こういった直接行動をこれからも継続していくことが必要だと思われます。

ひとつ気になるのは、僕たち九州の動きです。関東の方々の危機感に比べると極めて危機感が薄く、脱原発への関心も低いことです。こういう状況では、多くの市民、そして日本全体が本気で脱原発に動いていく中で、最後に原発が温存されるのは九州になるかもしれないと危惧します。  



2012年08月17日

【民間交流中断】

竹島(韓国名:独島)を巡る日韓の政府レベルの対立の激化によって、民間交流にまで影響が出始めているようです。

『韓国忠清南道唐津市の李※(※=吉を2つ横並び)煥市長は16日、記者会見し、日韓関係悪化を受け、友好都市提携している秋田県大仙市との交流事業を当面中断すると発表した。10日の李明博大統領の竹島(韓国名・独島)訪問以降、自治体間交流の中断が表面化するのは初めて。今後、同様の動きが広がる可能性がある。
 李市長は「李大統領の独島訪問と関連した日本の妄言と、韓国総領事館への投石事件を見て、国家外交が正常でない状態で地方自治体間の協力は無意味だ(と判断した)」と述べた。
 25日に大仙市大曲で行われる「第86回全国花火競技大会」に副市長らを派遣する予定だったが、取りやめる。
 唐津市と大仙市は2007年に友好親善交流の協定を結び、唐津市伝統の綱引きやバドミントンを通じた交流などを行ってきた。』(8月16日付時事通信)


【最後は民間の絆】

国家と国家の関係というのは、口で言うほどたやすいものではありません。一方の国がどんなに正当な根拠を持って主張しているとしても、そこに過去の歴史やナショナリズムが絡めば、その正当性までも否定されてしまうのは過去の人類の国家間の争いの常でした。そしてその解決手段と言えば、つい70年ほど前までは戦争しかなかったのです。そして武力や外交力のある国がたとえ正当な理由などなくても勝てば官軍だったのです。かつての大日本帝国がそうでしたし、多くの国を植民地にしてきたイギリスだってそうです。

だからといって、相手国の理不尽な要求に武力で対抗すべきと言うつもりはありませんが、国家としては最低限粘り強くこちら側が正当とする理由で対抗していくこと、そして相手が腕力で来ても対抗できるような準備も着実に粛々としておかなければならないでしょう。

ただし、民間は違います。そういう国家と国家の腕力の勝負という最悪の事態にならないために最も重要なのはどんなに国家間で緊張が高まっても、民間の交流は我慢強く、人と人とのコミュニケーションを続けていくことです。それがお互いの国の人々の間に幅広く、長く、深くあればあるほど、国家間の最悪の衝突を避ける、あるいは遅らせることになるでしょう。

今、緊張が高まっているからと言ってすぐに民間交流をやめるようなことはすべきではありません。こんなときだからこそ、我慢して続けることが大事なのです。日韓でも日中でも同じことです。お互いの市民が、自分たちの国の馬鹿な政治家の言うことを安易に信じることなく、自分たちの身近にいる人たちを信じることが信頼回復につながりますと僕は確信します。  



2012年08月07日

【課題を探せ?】

今ごろ原発依存度ゼロの課題を探せと指示をしたそうです。

『野田佳彦首相は6日午前、広島市での記者会見で、将来のエネルギー政策を決める政府のエネルギー・環境戦略に関し「将来、原発依存度をゼロにする場合にはどんな課題があるかということは、議論を深める際に必要だ。関係閣僚にしっかり指示したい」と述べた。

 政府が示した総発電量に占める原発比率の三つの選択肢のうち、国民向けの意見聴取会や討論型世論調査で0%を支持する意見が多数を占めており、政府としても検討する姿勢を示す必要があると判断したとみられる。

 一方で首相は「脱原発依存の基本方針のもと、中長期的には原発依存度を引き下げる。安心できるエネルギー構成の確立を目指したい」と述べ、脱原発依存の方針に変わりはないことを強調した。

 政府は6月に原発比率0%、15%、20~25%の三つの選択肢を決定したが、当初8月中としていた取りまとめ時期については先送り論も出ている。首相は会見で「あまり確定的に(結論の)時期を提示するより、議論の深まりを見つめたい」と述べるにとどめた。【阿部亮介】』(8月6日付毎日新聞)

【ポーズだけなら誰でも出来る】

はっきり申し上げて今ごろ野田首相は何を言っているのかと言いたい。しかも原発依存度ゼロの場合の課題を整理せよと指示を出した後に「脱原発依存の基本方針のもと、中長期的には原発依存度を引き下げる。安心できるエネルギー構成の確立を目指したい」とも述べています。「中長期的に原発依存度を引き下げる」という意味は、ゼロの場合の課題は整理してもゼロにはしませんということを公言しているようなものではないでしょうか。

実際にどういう言い方で指示を出したのかまではわかりませんが、とても本気で脱原発を自らの意思でやろうと思っているとは信じられませんね。この人のハラにあるのは、意見聴取会での国民の意見があまりにも脱原発寄りなので露骨に原発維持を図ると選挙で負ける可能性があると考え、形だけでも国民寄りのポーズを取っておく必要があるということでしょう。脱原発依存にせよ、脱原発にせよ、首相自らが原子力ムラを解体するという本物の決意がなければ出来ません。今の野田首相には再稼働の決意はあっても原発から手を引く決意は全く感じられないと思うのは僕だけでしょうか。

いづれにしても市民の側の僕たちは、野田首相をはじめとする原子力ムラの面々にあらゆる形で圧力をかけ続けること、決してあきらめないことが求められています。
  



2012年08月06日

【やる気なし】

こういうふざけたことが許されるのでしょうか?

『国会の原発事故調査委員会がまとめた報告書を巡って、野党の一部からは質疑を行うよう求める意見が出ていますが、各党の間で具体的な調整は進んでおらず、国会に提出されて1か月となる今も質疑などが行われる見通しはたっていません。

国会の原発事故調査委員会は、先月5日、東京電力福島第一原子力発電所の事故について、歴代の規制当局と東京電力の経営陣の安全への取り組みを批判したうえで、「自然災害」ではなく明らかに「人災」であるなどとした報告書をまとめ、衆参両院の議長に提出しました。
これについて、国民の生活が第一やみんなの党などからは、委員長を務めた黒川清元日本学術会議会長を参考人として国会に招致して、質疑を行うべきだという意見が出ています。
また、先月31日に開かれた衆参両院の議長や副議長らと、調査委員会の委員を務めた有識者らとの会合では、報告書の提言を踏まえて速やかに国会に原子力の問題に関する常設の委員会を設置する必要があるなどという指摘が出されました。
しかし、これまでの原子力政策や原発の再稼働などを巡って、各党の間で意見が分かれていることもあって、具体的な調整は進んでおらず、報告書が国会に提出されて1か月となる今も質疑が行われる見通しはたっていません。』(8月5日付NHK)


【全国会議員を辞めさせるべき】

こんなデタラメなことをやっているのが国会議員です。自分たちが作った原発事故調査委員会が出した報告書を審議しようとさえしないなんて、本当に国民を馬鹿にしています。国会事故調の報告書にもいろいろと問題はあることはわかっています。大前研一氏は他の事故報告書同様、「原子炉」の詳細な分析をおろそかにして聞き取り調査だけで「人災」と決めつけるのは3面記事と同レベルだと極評しているほどです。

しかし、原子力の専門家ではない委員の限界はあったにしても、大前氏も含めて今まで原子力を推進してきた「原子力ムラ」の人間たちの責任を追及し、彼らがフクイチの事故を「人災」にしたというのは少なからぬ真実があると思います。国会が任命した委員がそういう調査を真摯にやってせっかく結論を出したのに、国会そのものがその報告書を有効に活用しないとしたら一体何のための事故報告書なのか。国会議員たちは一体何をやっているのか、官僚たちはこの報告書をすでにうやむやにしようと画策をしているようですが、国会議員たちまでがそのような策謀に乗っかろうとするならば、国民は絶対に許してはいけないと思います。

次の選挙では原子力の見直しに消極的な議員たちは落選させるべきです。こんなデタラメを許していたら、間違いなく原子力によってこの国は崩壊の淵に立つことになるでしょう。
  



2012年07月18日

【またしても右往左往】

一体いつになったらこの国の政治家たちはまともな判断が出来るようになるのでしょうか?意見聴取会の在り方を巡ってまたも右往左往しています。

『政府が主催する将来のエネルギー政策に関する意見聴取会で電力会社社員が原発推進の意見を述べた問題で、政府は17日、電力会社や関連会社の社員による意見表明を認めない方針を決めた。野田佳彦首相が、首相官邸を訪ねた古川元久国家戦略担当相に「聴取会に対するいささかの疑念も生じさせてはいけない」と指示した。
 聴取会で意見表明する人は、申込者からコンピューターで抽選している。22日に札幌、大阪両市で開く次回聴取会からは、当選段階で確認し、電力会社などの社員の場合は参加を断る。参加を受け付けるホームページなどで、団体組織ではなく個人として意見を述べるよう要請する。  また、枝野幸男経済産業相は18日、インターネットなどを通じたパブリックコメント(意見募集)への組織的対応を自粛するよう、電力各社を指導する。
 その一方で、聴取会で意見表明する人数を現在の1会場当たり9人から12人に増やす。政府は2030年の原発比率を0%、15%、20~25%とする三つの選択肢を示しているが、傍聴者に対するアンケート調査では、0%について意見表明を希望する回答が多い。このため札幌、大阪両市の聴取会では、増やす3人をすべて0%への意見表明に充てる。  三つの選択肢以外について意見表明を望む声もあり、28日の富山市での聴取会以降は、そうした声に対応する枠も設ける。
 聴取会は来月4日まで全11市で開催予定。しかし、15日の仙台市で東北電力執行役員、16日の名古屋市では中部電力課長が原発推進の意見を表明し、批判が出ていた。』(7月17日付時事通信)

【木を見て森を見ず】

この新聞報道を見ておかしいと思いませんか?仙台や名古屋で行われた意見聴取会で電力会社の人間が次々と原発擁護の発言をして「やらせ」だとの批判を受けた野田内閣が、「それでは電力会社の人間を意見聴取会の発表者に入れないようにします」と首相の指示でいとも簡単に意見聴取会の仕組みを変えてしまいました。野田首相はこれで問題が解決するとでも本気で思っているのでしょうか?もしそうだとしたらとんでもない勘違いだし、意図的にこういう小手先の手直しをして大きな問題から国民の目をそらし、その背後にあるもっと大きな問題を矮小化しようとしているとしたら本当に悪質だと思います。

すなわち、電力会社の人間が発言するからどうのこうのというのが問題の本質ではない、本当の問題は「国民的議論」の在り方そのものが国民から厳しい批判にさらされているということなのです。最初から結論ありきで事務方がシナリオを作り、そのシナリオに則って都合のいい人間たちに発言をさせる、そしてオープンな議論を装いながら極めて限られた時間内で、政府に対する質問さえ許さずに性急に「議論をしました」というアリバイだけ積み重ねていく、そういう3/11前と全く変わらない政府のやり方そのものが厳しく問われているのです。電力会社の発言者だけの問題で終わるはずがありません。

野田首相やその側近たちは今回のような国民を愚弄する政策決定の手続きを本気で改めなければ、政権が吹っ飛ぶほどのリスクがあることを本気で知るべきだと思います。もう手遅れかもしれませんが・・・そして後ろでほくそ笑んでいる官僚たちも一緒に責任を取らせるような仕組みを作っておくことが自分たちの政権の延命につながるかもしれないとも考えておかなければならないのではないでしょうか。
  



2012年07月03日

【小沢派の離党届】

小沢一郎氏がようやく離党を決断しました。

『消費増税関連法案に反対し、民主党に離党届を提出した小沢一郎元代表は2日、衆院議員会館で記者会見し、「新党立ち上げも視野に政権交代の原点に立ち返り、国民が選択できる政治を構築する」と述べ、近く新党を結成する意向を表明した。これに対し、野田佳彦首相ら執行部側は離党届を直ちには受理せず、除籍(除名)を含む厳しい姿勢で臨む構え。処分について、首相は「なるべく早く提案したい」と記者団に述べた。
 党分裂により政権基盤が弱体化した首相は、態勢を立て直し、消費増税法案の今国会成立へ全力を挙げる考え。ただ、2009年の政権交代時に300を超えた衆院議席は251まで減ることになり、これまで以上に自民、公明両党に配慮した政権運営を迫られる。早期の衆院解散を迫る自公両党は、政権への協力は増税法案の成立までとしており、首相の前途は厳しさを増している。
 小沢氏ら衆院議員40人、参院議員12人の計52人は2日午後、執行部に離党届を提出した。しかし、階猛、辻恵両衆院議員が離党しない意向を表明したため、離党者は50人となった。衆院の離党者が38人にとどまったことで、新党きづな(9人)、新党大地・真民主(3人)と連携しても、内閣不信任決議案の提出に必要な51人には1人足りない。
 会見で小沢氏は、「国民との約束にない消費増税を先行して強行採決することは許されない」と首相の増税方針を重ねて批判。「野田首相の下での民主党は、政権交代を成し遂げた民主党ではない」と断じた。次期衆院選では反消費増税に加え、原発問題への対応を掲げて戦う意向を示した。』(7月2日付ロイター通信)

【大飯再稼働と政治の醜態】

またしても繰り広げられる理念なき政治家たちの離合集散劇。この背後にあるのは僕たち日本人の市民意識の低さが招いた無能な政治家たちによる無節操な陣取り合戦です。高い理念もなければ、国家の先行きに対する展望も危機意識もない政治家たちの混乱ぶりはひとりひとりの市民の政治意識の低さの裏返しであると反省せざるを得ません。

こんなくだらない政治の混乱を毎日性懲りもなく追っかけるメディアの馬鹿さ加減にもあきれてしまいます。自分たちの生活が脅かされている、国家そのものが危機に瀕していると直感的に感じて首相官邸前に集まった数万人と言われる普通の市民たちは、こういったどうしようもない日本の政治の現状に原発の再稼働という最も緊急を要する大問題を何とかしろと訴えるために集まっていた。それを無視し続けてきたメディアの罪深さも相当なものです。

こんな状況では、今、昨日再起動を果たした大飯原発が万が一事故を起こすようなことがあれば危機管理能力ゼロの政府や官僚たちによって、フクイチ以上の大惨事を招くことは必然でしょう。なぜなら、こんなつまらない政争さえもコントロールできない今の野田内閣が原発事故など制御できるわけがないと子供でも想像できるからです。

この機に乗じて、原発を何とか温存しようとする原子力ムラの連中がこの混乱をほくそ笑んでいるのが目に見えるようです。本当にぶざまな政治の姿です。
  



2012年06月29日

【5党が合意】

5党の思惑が一致したことで「大阪都」構想は一歩実現に近づいたようです。

『与野党5党が、東京都以外の道府県に特別区設置を認める新法案の共同提出で大筋合意した。計6回行われた協議では、「大阪都」構想実現のため、地域政党「大阪維新の会」の国政進出を駆け引きに使う橋下徹大阪市長への強い警戒感から各党が譲歩。国の関与を必要最小限に抑えて、柔軟な制度設計が可能な内容に落ち着いた。
 各党が提出していた3本の都構想法案は、人口要件や国の関与方法にかなり違いがあり、一本化協議は長期化も懸念された。しかし、橋下氏が都構想法案が成立した場合、「(国政進出を)積極的に考える必要はないんじゃないかなと思う」などと発言。民主、自民両党は、次期衆院選で台風の目にもなりかねない維新の会の勢いをそぎたいとの思惑で一致したことから、修正協議は予想外にスムーズに進んだ。
 都構想法案で橋下氏側が求めていたのは、国の関与を極力なくすこと。5党は、税源配分など3項目に関しては、法改正や他自治体にも影響を与えることから、国と事前協議する規定を設けた。しかし、これ以外の事項は国への報告にとどめ、自治体の裁量を可能な限り大きくした。法形式も、必要に応じて現行の東京都23区と異なる制度も導入できる「新法」とした。
 国との事前協議に関しては、民主、国民新両党が当初求めていた国の同意も不要とした。ただ、これに関しては、政府内から「国との事前協議が不調に終わると、自治体が求める法改正が実現できない可能性もある」との指摘も出ている。』(6月28日付時事通信)


【橋下氏の勢い】

それにしても、5党合意にこぎつけた理由が面白い。なんと5党の中で最も大きな勢力である民主、自民両党が、次期衆院選で台風の目にもなりかねない維新の会の勢いをそぎたいとの思惑で一致したことからだそうです。国政の中心にいる二大政党が、関西の一市長が率いる地方の会派が怖くて腰が引けたからというのですから笑ってしまいます。もうこんなふがいない決め方をした時点で大阪都構想の法案をとりまめられようが、どうしようが国政レベルの政党は敗北したも同然でしょう。「勢いがある」とはそういうことだと思います。

まだまだ紆余曲折はこれからありそうですが、それにしてもこういう形で中央政界から大阪都構想が認められるように進んでいるということは、橋下市長の政略勝ちといえるかもしれません。江戸末期の幕府がペリー来航で一気に崩れていったのと同様、既得権益の防衛に汲々としている連中は意外にもろく崩れ去っていくかもしれません。自民も民主も公明も、そして離党騒ぎを起こしている小沢一派もみんな既得権益の権化のような人たちばかりです。彼らを退場に追い込む最後のひと押しのためには、僕らひとりひとりの市民の政治に対する監視と決意がますます重要になっていくと僕は確信しています。

  



2012年06月25日

【日増しに膨らむデモ】

首相官邸前のデモが日増しに膨らんでいます。

『22日夕方に首相官邸前で行われた関西電力大飯原発の運転再稼働に対する抗議行動は、午後6時半の時点で、先週の1万2千人を大きく上回る約3万人(いずれも主催者発表)が集まった。その後の情報では最終的な参加者数は約4万5千人とも伝えられており、民意を無視した政府への怒りが日を追うにつれて増大していることが示された形だ。

■「野田首相は国民をナメた」

首相官邸前での抗議行動は、市民らでつくる「首都圏反原発連合」らが毎週金曜日に実施しているが、参加者数は回を追うごとに増加。先週15日には1万2千人が参加したが、「赤旗」など一部を除き、報道したマスメディアは皆無だった。

「今日の抗議行動もツイッターなどを通じて集まっている。テレビや新聞は報じないのに、これだけの人が来る」。永田町の歩道に延々と続く参加者の列に並びながら、哲学者の柄谷行人氏はそう話す。

柄谷氏は官邸前の抗議行動に毎回足を運んでいるという。「組合などの動員によらず、(自発的に)人が集まる状況は六〇年安保以来だ。政治家は人々のこうした変化が分からないのだろう」。民意を無視する形で再稼働を決めた野田首相に対しては「あの再稼働声明はアホ。国民をナメたから、これだけ人が集まった」と一刀両断した。

■「紫陽花(あじさい)革命」出現か

参加者の中で特に共通するのは、民意が尊重されないことへの危機感だ。都内から参加した夫婦は「国会前での抗議行動は初めて。(東電原発事故が)収束していないのに再稼働するのはおかしい。私たちの意思を見せるしかない」と話す。

また、仕事帰りにスーツ姿で駆け付けた男性は「(国会前は)今日で3回目。やっぱり国民がアクションを起こさないといけない。首相が代わっても政治のシステム、国民の意識が変わらないと現状は動かない」と語り、「民意が示されれば、国民の意識も変わるかもしれない」と抗議行動に望みを託す。

市民の声を報じないマスメディアを見限り、政治に民意の反映を求める人々が街頭へとあふれ出した。ジャスミン革命ならぬ「紫陽花(あじさい)革命」が始まろうとしているのか。(オルタナ編集委員=斉藤円華)』(6月22日付オルタナ)

【国民の声を聞け】

テレビや新聞をはじめとする大手メディアは今まで首相官邸前の再稼働反対デモについては、まったく無視するか、取り上げても出来るだけ小さく扱うか、あるいは一時的で感情的な動きだといわんばかりの取り上げ方をしてきました。読売や産経は特にそうです。それがここにきてテレビ朝日の古舘キャスターが11分間近く番組の中で取り上げざるを得なくなるところまでたどり着いたというのが正直なところです。古舘キャスターの勇気ある報道に一定の評価をしたいと思います。

この報道ステーションにゲストで呼ばれていたのは、寺島実郎氏でした。この中で寺島氏は日本政府が国内では減原発を国民向けに公言する一方で、海外ではアメリカとの原子力協力を進めて大いに原発を売り込もうとするなど「不可解な国ニッポン」という印象を持たれているのであり、市民はこのあたりの理解をもっと深めなければならないと警告していました。

それはある意味真実だと思います。なぜなら、ここ数日間だけを見ても日立のリトアニアでの原発初受注や、APECエネルギー相会合での日本の原発利用への後押し宣言案など日本が海外では積極的に原発を推進していこうとしている印象ばかりが目立つのです。ただ、大飯の再稼働決定あたりから政府の姿勢は明らかに減原発から原発再推進へペダルを踏み始めており、そういう意味で政府の二枚舌は悪い意味で解消されつつあるのかもしれません。とにかく何が何でも原発推進という姿勢が先の原子力基本法の修正や原子力委員会の推進派委員などによる秘密会議の事実などに見え隠れしています。

しかし、だからこそこんな矛盾したことを平然とやっている政府そのものが、其の二枚舌を改めることこそが大事なのであって、弱い立場の市民に理解を求めると言うのは筋違いではないでしょうか?そんなことは多くの市民はすでに直感的に気付いていますし、寺島さんに言われるまでもないことです。

そしてもうひとつ、寺島氏ははいつも脱原発は原子力技術者を失い国際的な日本の発言力がなくなると「脅し」ますが、脱原発することと廃炉や放射性廃棄物の技術をこれから維持発展させていくことは別問題ではないでしょうか?まして脱原発をして廃炉に向けた人材育成や技術開発に大きく舵を切ることが国際的にも脱原発に向かう国際社会への大きな発言力になるのではないでしょうか。

もっと普通の市民の声を政府をはじめとする原子力ムラと揶揄される集団の面々は真剣に受け取るべきだと思うのは僕だけでしょうか?

首相官邸前の再稼働反対デモに参加している多くの人々は普通の市民です。もしもこのウネリがもっと大きくなって、中東で昨年起こったような規模に達した時、政府が普通の市民を放水車や催涙ガスで蹴散らすようなことが起こったらもっと多くの国民が黙っていないでしょう。フクイチを経験した多くの国民は、彼らのような命を軽視し、既得権益や目先の利益に目がくらんでいるわけではないのです。今のままでは間違いなく起こるであろう次の原発事故から命を守りたい、国を崩壊の淵から守りたい、そう思っているだけです。
  



2012年06月22日

【基本法改正】

こんなことが許されるのでしょうか。多数決の横暴です。

『二十日に成立した原子力規制委員会設置法の付則で、「原子力の憲法」ともいわれる原子力基本法の基本方針が変更された。基本方針の変更は三十四年ぶり。法案は衆院を通過するまで国会のホームページに掲載されておらず、国民の目に触れない形で、ほとんど議論もなく重大な変更が行われていた。 

 設置法案は、民主党と自民、公明両党の修正協議を経て今月十五日、衆院環境委員長名で提出された。

 基本法の変更は、末尾にある付則の一二条に盛り込まれた。原子力の研究や利用を「平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に」とした基本法二条に一項を追加。原子力利用の「安全確保」は「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として」行うとした。

 追加された「安全保障に資する」の部分は閣議決定された政府の法案にはなかったが、修正協議で自民党が入れるように主張。民主党が受け入れた。各党関係者によると、異論はなかったという。

 修正協議前に衆院に提出された自公案にも同様の表現があり、先月末の本会議で公明の江田康幸議員は「原子炉等規制法には、輸送時の核物質の防護に関する規定がある。核燃料の技術は軍事転用が可能で、(国際原子力機関=IAEAの)保障措置(査察)に関する規定もある。これらはわが国の安全保障にかかわるものなので、究極の目的として(基本法に)明記した」と答弁。あくまでも核防護の観点から追加したと説明している。

 一方、自公案作成の中心となった塩崎恭久衆院議員は「核の技術を持っているという安全保障上の意味はある」と指摘。「日本を守るため、原子力の技術を安全保障からも理解しないといけない。(反対は)見たくないものを見ない人たちの議論だ」と話した。

 日本初のノーベル賞受賞者となった湯川秀樹らが創設した知識人の集まり「世界平和アピール七人委員会」は十九日、「実質的な軍事利用に道を開く可能性を否定できない」「国益を損ない、禍根を残す」とする緊急アピールを発表した。

◆手続きやり直しを

 原子力規制委員会設置法の付則で原子力基本法が変更されたことは、二つの点で大きな問題がある。

 一つは手続きの問題だ。平和主義や「公開・民主・自主」の三原則を定めた基本法二条は、原子力開発の指針となる重要な条項だ。もし正面から改めることになれば、二〇〇六年に教育基本法が改定された時のように、国民の間で議論が起きることは間違いない。

 ましてや福島原発事故の後である。

 ところが、設置法の付則という形で、より上位にある基本法があっさりと変更されてしまった。設置法案の概要や要綱のどこを読んでも、基本法の変更は記されていない。

 法案は衆院通過後の今月十八日の時点でも国会のホームページに掲載されなかった。これでは国民はチェックのしようがない。

 もう一つの問題は、「安全確保」は「安全保障に資する」ことを目的とするという文言を挿入したことだ。

 ここで言う「安全保障」は、定義について明確な説明がなく、核の軍事利用につながる懸念がぬぐえない。

 この日は改正宇宙航空研究開発機構法も成立した。「平和目的」に限定された条項が変更され、防衛利用への参加を可能にした。

 これでは、どさくさに紛れ、政府が核や宇宙の軍事利用を進めようとしていると疑念を持たれるのも当然だ。

 今回のような手法は公正さに欠け、許されるべきではない。政府は付則を早急に撤廃し、手続きをやり直すべきだ。(加古陽治、宮尾幹成)

<原子力基本法> 原子力の研究と開発、利用の基本方針を掲げた法律。中曽根康弘元首相らが中心となって法案を作成し、1955(昭和30)年12月、自民、社会両党の共同提案で成立した。科学者の国会といわれる日本学術会議が主張した「公開・民主・自主」の3原則が盛り込まれている。原子力船むつの放射線漏れ事故(74年)を受け、原子力安全委員会を創設した78年の改正で、基本方針に「安全の確保を旨として」の文言が追加された。』(6月21日付東京新聞)


【誰が仕掛けているのか】

東京新聞は昨日の朝刊紙面のトップスクープとしてこの問題を取り上げていたと昨夜のニュースステーションで伝えていました。それほど重大な問題です。他の新聞やメディアがこれをどう伝えるか市民である僕たちはよく監視しておく必要があると思います。

それにしても不気味です。藤村修官房長官は21日午前の記者会見で、20日成立した原子力規制委員会設置法の目的に「わが国の安全保障に資する」との文言が盛り込まれたことについて、「政府として軍事転用などという考えは一切持っていない」と述べ、将来の核武装に道を開くものではないと強調したそうですが、そうだとしたらもっときちんと国民的議論を経て法案を通すべきでしょう。消費税で国会がドタバタしているときに、国民を騙し打ちするようなやり方で原子力の憲法の重要部分を修正するなんてまるで戦前の軍部を想起させます。

原発や核燃料サイクルに対する世論の風当たりが日増しに強くなる中、まるで亡霊のように「核武装の選択肢を残すためには原発も核燃料サイクルも必要なんだ」と誰かが民主党・自民党・公明党の背中を押して成立させたと見られても仕方がないと思います。まさに原子力ムラの「最後の切り札」がこの安全保障上絶対必要だという言い訳なのです。

それにしても一体誰がこういう画策をしているのでしょうか?本当に不気味だと思います。最低限言えることは、国防族や原発推進派を多く抱える自民党が今回の修正劇には大きく関与していること、自公民の大連立政権などが出来たらこんな多数決の横暴は日常茶飯事になると予想されること、そして彼らを含め原発を維持しようとする勢力の危機感とは、国民・国家が原発事故で悲惨な目に遭うかもしれないという危機感ではなくて、自分たちのよりどころである原発や核燃料サイクルがなくなってしまうという危機感だということです。

東京新聞の言うとおり、法案を差し戻し手続きをすべてやり直すべきだと思います。  



2012年06月19日

【勇気ある離党】

民主党の一議員が野田首相の再稼働決定記者会見に抗議して、離党届を出しました。

『民主党の平智之衆院議員(京都1区)は18日付の自らのブログで、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に抗議し、執行部に離党届を提出したことを明らかにした。当面は無所属で活動するとしている。民主党内では、野田佳彦首相の消費増税方針への反発から複数の議員が離党したが、原発再稼働問題を理由とした離党届の提出は初めて。  平氏は2009年の衆院選で初当選し、鳩山由紀夫元首相のグループに所属。平氏はブログで「16日に政府で再稼働の決定がなされた時点で離党を決意」したと説明するとともに、再稼働について「新しい文明の転換点に対峙(たいじ)する国民の行動権を剥奪する愚行」と批判している。』(6月18日付時事通信)

【怒りの行動】

平議員のブログを読むとその怒りがよくわかります。きっと多くの市民、国民が同じ思いを抱いているのではないでしょうか。特に同氏が「新しい文明の転換点に対峙(たいじ)する国民の行動権を剥奪する愚行」として再稼働を批判しているところに僕もまったく同感です。

今の政府、特に経産省を中心とする官僚群、御用学者と揶揄される原発擁護の学者たち、電力業界、原発メーカー等の産業界、御用メディア等はフクイチの事故をあまりにも過小評価し、あまりにも認識が甘く、当然ながら「文明の転換点」という認識も欠如しています。さらには自然に対する畏怖心さえ皆無だと思わざるを得ない。フクイチの事故は決して原子力の過酷事故の「最悪」ではないし、自然災害であろうと人為ミスであろうと、今のような「馴れ合い」の原子力ムラの体制ではどんなに最高水準の原子力技術を彼らが誇ろうとも、フクイチ以上の事故を防ぐことは不可能でしょう。

もしも今回「文明の転換」と言えるほどの方向転換を原子力に関わる人間たちが出来なければ、もう次のチャンスはない。なぜならば、このままいけば間違いなくニッポンはかなりの確率で次なる事故を招来し、国家そのものが破滅してしまうからです。それほど原発事故というものが恐ろしいものだという認識を本気でもたなければこの危機は乗り切れないと僕は思います。

それにしても平議員の勇気ある行動は、無能で不勉強でふがいない政治家ばかりの今の日本にあっては本当に立派だと思います。是非、離党しても気骨ある政治家として頑張ってほしいです。

≪参考≫

・「平 智之活動ブログ」・・・2012年6月18日
  



2012年06月11日

【野田首相の最後通告】

野田首相が西川知事の求めに応じて、国民に最後通告を出しました。

『野田佳彦首相は8日、首相官邸で記者会見し、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について「国民生活を守るために再起動すべきだというのが私の判断だ」と述べ、運転再開の必要性を訴えた。事実上の再稼働表明で、先月5日以来続いていた「稼働原発ゼロ」は解消されることになる。
 首相の表明を受け、福井県の西川一誠知事は「重く受け止めている」とのコメントを発表。県の原子力安全専門委員会(委員長・中川英之福井大名誉教授)などを経て、来週にも再稼働に同意する見通しだ。首相は、知事の同意が得られ次第、速やかに関係閣僚会合を開き、再稼働を最終決定する考えだ。
 首相は会見で「原発を止めたままでは、日本社会は立ち行かない」と指摘。夏場に計画停電を行った場合、「日常生活や経済活動は大きく混乱する。事態回避に最善を尽くさないといけない」として、大飯再稼働の必要性を強調した。
 大阪市の橋下徹市長らが、大飯原発の再稼働を電力需給が逼迫(ひっぱく)する夏場に限るよう唱えていることに関しては「夏場限定では、国民生活は守れない」と否定的な考えを示した。』(6月8日付時事通信)


【美辞麗句の背後にあるもの】

野田首相の言っていることは、一見きれいで、再稼働やむなしという風に聞こえます。しかし、正直言って納得できません。なぜか。

1.野田首相は今まで出演したNHKのニュース番組などで「経済優先で安全をなしがしろにはしない」と再三強調していたにもかかわらず、今回の会見でやっぱり国民の生活を守るんだという理屈で経済を優先しました。すなわち、国民の命や生活よりも関電をはじめとする電力会社の経営を優先したのです。3/11からの無策が今日の事態を招いたことは棚に上げてです。

2.さらに「二度と福島のような事故を起こして子供たちを危険にさらしたくない」と言いながら、実は3/11以後何ら抜本的な安全対策は実施されていません。結局、津波などの緊急対策のままであり、それも関電が実際に実行に移した対策はほとんどありません。しかもつい数日前に大飯原発の真下に危険な活断層があるという一部専門家の指摘は保安院が言下に否定して終わりです。そんなことでシビアアクシデントに対応できるとは到底信じられません。

3.原発がなければこの国は立ちゆかないという説明も具体性に欠けます。何がどう立ちゆかないのか?原発が稼働しなければ本当に電気が足りないのか、すべてのデータを関電が出したのか、甚だ疑問です。そんな根本的なことが実はまだ明らかになっていない中、政治家の言葉だけで信じるにはあまりにも原発というのはリスクが大きすぎます。

4.この夏に向けて中長期のエネルギー政策を見直すさまざまな政府の委員会がいくつかの選択肢を示しつつありますが、それらの委員会も先日毎日新聞がスクープしたように原子力推進側の委員や経産省の事務局、さらには近藤委員長までがグルになって秘密会を開いて原発維持に向けたシナリオ作りをやっていました。こんなことで原発の安全などを担保できたなどちゃんちゃらおかしいと思うのは僕だけでしょうか。

5.最後に原発を出来るだけ減らすという方向を政府として打ち出していながら、大飯の再稼働にからめてこともあろうに首相が原発の必要性について電力料金の値上げの可能性などで脅しながら強調するなどというのは原子力維持の本音が出てきたとしか言いようがありません。安全神話を作り上げ国民を愚弄し続けてきた3/11前と何も変わらない論理に唖然とします。

一国の首相の判断は重たいものです。しかし、その首相があいまいな根拠に基づいて、いったん事故になれば国家を破たんに追い込みかねない原子力というとてつもないリスクについて、たったの十分ほどで国民に「説明」して、「はい、再稼働いたします」では恐ろしくてこんな国には住めません。野田首相は就任以来一貫して原発擁護のように見えます。正直言って、これがあのフクイチの事故を経た政治なのかと思うと絶望的になります。

僕たち市民は、どんなことがあってもこの国からゾンビのようにはびこる原子力ムラが解体され、原発をあきらめる日まで絶対にあきらめてはいけません。あきらめたときが最後です。

もうひとつ付け加えます。野田首相は立地自治体への感謝を示しました。当然だと思います。しかし、本当に感謝するためにはいづれやってくる原発の廃炉後の立地自治体の雇用や生活をどう守るのかということが言及され実行の道筋が示されなければなりません。そうでなければ、立地自治体を盾にして、国民全体の安全をもてあそんでいるとしか思えません。

果たして僕の言うことは間違っているでしょうか?野田首相には真摯にひとつひとつ国民に応える義務があります。根拠のないただの「説明」はダメです。
  



2012年06月07日

【遅すぎる規制機関論議】

本当に遅すぎるし、一体福島の事故後何をやっていたのかと疑念ばかりが膨らむ原子力規制機関の国会論議です。

 『民主、自民、公明3党は5日、原子力の安全規制を担う新たな行政組織について、政府案より人事・予算面で省庁からの独立性が高い「原子力規制委員会」の形式を取ることで合意した。3党は同日、政府案と自公案の修正協議を始め、民主党は自公案の組織の骨格を大筋で受け入れた。調整がつけば、新法案として今国会に再提出し成立を目指すことでも一致した。ただ緊急時の指揮権のあり方では隔たりが大きく、修正協議の焦点になる。

 原子力の安全規制の組織見直しは、東京電力福島第1原発事故を受けて始まった。原発の再稼働論議にも絡むため政府は早期発足を目指しており、民主党は同日の常任幹事会で、12日にも衆院本会議で法案を採決させる方針を確認した。

 政府案は、経済産業省原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会を分離・統合して「原子力規制庁」を設け、これをチェックする「原子力安全調査委員会」を環境省に置く仕組み。これに対し、自公案は、公正取引委員会などと同じ国家行政組織法3条に基づく「原子力規制委員会」を環境省に設け、規制庁を事務局にとどめる形態にしている。

 自公案には、専門家らでつくる原子力規制委に指揮を委ね、政治家の介入を排除する狙いがあり、緊急時には首相や環境相らの関与が不可欠だとする政府案と隔たりがある。

 5日の衆院環境委員会でも指揮権をめぐる質疑が相次ぎ、細野豪志原発事故担当相は「国家の命運がかかった場合は規制委の判断を超えて(首相が)判断すべきだ」と主張。自民党の塩崎恭久元官房長官は「技術的なことは規制委が判断すべきだ」と反論した。

 一方、民主党は修正協議で、論点として▽緊急時の指揮権▽平時の防災体制▽地方自治体と政府、規制委の関係など17項目を提示。自公側は協力する姿勢を示した。【笈田直樹、岡崎大輔】』(6月6日付毎日新聞)


【箱より魂が問題】

おそらくあまり原子力のことを知らない国民から見れば、今回の与野党による原子力規制委員会の法案協議を聞くと、「ああ、ちゃんと独立性の高い原子力規制機関が出来るなら、原発の再稼働も道筋が着くかもしれない。」と思うでしょう。基本的には当初の政府案よりは原子力推進からは一歩引いた規制機関になる可能性は高くなったとは思いますが、それでも多くの疑念が湧いてきます。それはなぜか?

1. そもそも原子力事故を起こさないための機関を作るのに、なぜ事故後1年半も時間がかかっているのか、さらには、報道によれば今回急に与野党協議が進んだ背景は新機関設立の法律を作れば大飯の再稼働にも好材料になるからだと言うではないですか。原発の安全性を担保するための規制機関が発足の最初から原発の再稼働の「材料」に使われるなんて、本末転倒も甚だしいと思います。こんなことでは国家を滅亡の淵に追い込みかねない過酷な原発事故に対応できる機関なんて出来るはずはないと思うのは僕だけでしょうか。

2. 脱原発に向かうとしても一定期間原発の稼働が続くとしたら、今のような推進と規制が一緒になっている体制では危なくて仕方がないのは当然でしょう。そしてそれを改善するために独立性の高い機関を作ることも急ぐ必要があるのはわかります。しかし、もっと根本的な問題があります。それは福島の事故当時内閣官房参与として福島第一原発事故の処理に当たっていた田坂広志氏もその著書で語っているように、政界、財界、官界のリーダーが単なる原子力の技術的改善を行うだけでなく、ここまで経済優先・安全軽視で突進してフクイチを起こした原子力ムラと呼ばれる体制の人的、組織的、制度的、文化的要因を徹底的に分析し、原子力行政と原子力産業の徹底的な改革を行わなければ原子力の安全なんて担保できないということです。

そんな根本的なところに手をつけずに一部の組織だけをいじったくらいでは、到底国民の信頼も得られないでしょう。もちろん、与野党の合意で法律が出来上がっても官僚が自分たちの都合のいいように法律の運用が出来るように抜け穴だらけにする可能性も十分あります。政治家も国民も官僚になめられているのですから。これからも徹底した国民の監視の目が必要なことは言うまでもありません。
  


2012年05月31日

【安全置き去り】

安全を置き去りにして政府は再稼働に乗り出そうとしています。

『政府は30日、関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を巡り、野田首相らによる関係閣僚会合を開き、関西地域の自治体から安全性に一定の理解を得られつつあると判断した。

 野田首相は福井県とおおい町に改めて再稼働への同意を求め、同意を得られれば、6月上旬にも再度、関係閣僚会合を開いて再稼働を決定する。

 野田首相は、枝野経済産業相、細野原発相、藤村官房長官との閣僚会合で「関係自治体の一定の理解を得られつつある。立地自治体の判断を得られれば、閣僚会合でしっかり議論し、最終的には私の責任で判断したい」と述べた。

 昨年3月の東京電力福島第一原発事故を受け、全国50基の原発は全て停止している。大飯原発が再稼働すれば事故後初の事例となる。

 関西広域連合(連合長・井戸敏三兵庫県知事)は30日、「安全判断は暫定的であり、再稼働は限定的なものとして(政府に)適切な判断を強く求める」との声明を発表した。夏場などに限った稼働を念頭に、事実上、再稼働を容認する内容だ。政府は再稼働の条件とする「電力消費地の一定の理解」を得られたと判断した。声明発表後、井戸兵庫県知事は記者団に「国に判断はお任せする。これ以上のアクションを起こす状況ではない」と述べ、政府に判断を一任したことを強調した。』(5月30日付読売新聞)


【何も変わらず再稼働】

フクイチの核惨事から1年2か月以上が経過して政府は大飯原発3、4号機の再稼働を来月にも決定しようとしています。その間、フクイチの反省を踏まえていったい何が変わったのでしょうか?少し現状を整理してみたいと思います。

1. フクイチ事故の原因究明はなされたか?

まだ政府の事故調査委員会の報告も出ていません。その報告が今までの原子力翼賛体制の抜本的な見直しにまで踏み込むのか、事故の原因を津波にのみ被せ、地震の影響には目をつぶろうとする経産省や御用学者の見解が正しいのかどうかに踏み込むのか、何も示されていない段階での再稼働は無責任でしょう。

2. フクイチ事故は収束しているのか?

メルトダウンを起こしたフクイチについて政府は昨年末「冷温停止状態」にあり事故は収束したと宣言しました。しかし、世界の原子力専門家の間でこの宣言を信じている人はほとんどいないでしょう。放射性物質の放出はいまだ続いているし、4号機の1500本近い使用済み核燃料が保管されている核燃料プールは、次の地震が来れば崩壊する可能性さえあります。日本列島がこれから数十年にわたって地震の大変動期に入るといわれている中で、フクイチの危険性だけでなく、他の原発の再稼働までやって危険を増やすようなことは他の国ではありえないのではないでしょうか。

3. フクイチ以外の原発の安全対策は万全なのか?

結局のところ、原発の安全対策はフクイチの事故後すぐに経産省が電力会社に指示した津波対策を主とする緊急安全対策のみで、それも応急的な措置が取られただけでお茶を濁している状態です。大飯原発についても免震重要棟の原発近くへの設置など抜本的な安全対策が取られたとは聞いていません。
とても万全とは言えないでしょう。

4. 原子力を今まで推進してきた原子力ムラの体質は変わったのか?

フクイチを起こした最も重要な原因は、原子力ムラと揶揄される集団が経済性を優先し安全性をないがしろにしてきた体質にあります。そしてそれらの事実を常に国民の目から隠ぺいしてきたことも重大です。このような体質が3/11以後変わったでしょうか?この数か月の大飯原発の再稼働問題ひとつとっても何もかわっていないことが子供でもわかると思います。

ほかにもいろいろと言いたいことはありますが、要するに政府を含む原子力ムラの安全を軽視する体質は何も変わっていない中での再稼働はありえないのではないかということです。そして、国家にとって極めて重要な問題を一部の利害関係者だけが情報を独占し、操作しようと画策し、国民の命にかかわることさえも先送りして経済性を優先する、この国の体質そのものが今回の原発再稼働問題に端的に現れているということです。

いったい、大飯が再稼働した後、福井県で大地震が発生して関西の広域圏に放射能汚染が広がったら、だれが責任を取るのでしょうか?野田首相?仙石氏?経産省の役人?電力会社の幹部?フクイチ後の経過を見れば誰も責任を取らないだろうということは明白です。

大飯が再稼働しても、これで終わりではありません。原発がダモクレスの剣のように僕たち市民、そして子供たちの頭上にある限りは、決して気を緩めず声を上げ続けていきましょう。

  



2012年05月01日

【首長たちの行動】

普通の市民だけでなく、各地の首長も動き始めました。

『原発再稼働へと政府が大きくかじを切る中、原発ゼロを訴え、「脱原発をめざす首長会議」が二十八日、東京都内で発足する。原発立地自治体の中で唯一の会員で、全国の首長に参加を呼び掛けてきた茨城県東海村の村上達也村長(69)は、本紙のインタビューに「住民の命と財産に及ぶ政策を国だけに任せておくわけにはいかない。首長会議は、政治にインパクトを与えるはず」と意欲を語った。 (林容史)
 首長会議には、三十五都道府県の首長・元首長六十九人が会員として名を連ねる。二十八日の設立総会には、顧問の佐藤栄佐久前福島県知事ら三十四人が出席する予定だ。「これだけの首長が顔をそろえ、国にものを言えば大きな影響力を持つ。新しい地方主権、民主主義の動きだ」と村上氏は力説する。

◆政府は世論を読めていない

 東海村は東海第二原発(日本原子力発電)を抱え、東日本大震災では、自身もあわやの危険を感じた。いまの国の動きは、なし崩し的に原発を再稼働しようとしているようにしか見えない。「政府は一年以上たっても脱原発の世論が読めていない」といら立ちを隠せない。

 設立総会では、自らの思いも発表するつもりだ。「福島の原発事故の被害の実態を見てください。なぜ脱原発にならないのか、私は不思議に思う」。故郷に戻れない被災者のこと、魚や野菜など農産物を出荷できず死活問題に直面している人が多数いること。放射能被害の天文学的数字と底なしの不安。「人口が密集するこの狭い国土に、原発を持つということについて真剣に考える必要がある。これは目先の利益ではなく、われわれ日本人の品格にかかわる問題だ」と訴える。

 東海村では一九九九年、核燃料加工工場ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所で国内初の臨界事故が発生。村上氏は村長として国や県の対応を待たず、いち早く住民を避難させるため陣頭指揮を執った経験がある。

 目に見えない放射能の恐怖を身をもって知ったが、それでも「国策」である原子力政策に異を唱えることはできなかった。それは国に真っ向から歯向かうことを意味したからだ。まして、原子力の恩恵でうるおってきた自治体の長が唱えれば、異端として排除されかねなかった。

 しかし、東京電力福島第一原発事故がすべてを一変させた。

 昨年十二月、首長会議の設立を準備していた静岡県湖西市の三上元市長が訪ねてきた。「一緒にやろう」との誘いを快諾した。「原発が立地する市町村の住民の中には、いろいろな利害関係はあるが、福島原発事故を経験し、たじろいでいる場合ではなかった」と振り返る。

 これからは「脱原発依存」を言いながら、具体的な道筋を示せない政府を、首長会議として脱原発へと後押ししていく考えだ。

◆全基の廃炉へ 国有化要請も

 村上氏は「全国原子力発電所所在市町村協議会」(全原協)の副会長を十四年以上務めてきたが、五月に都内で開かれる総会で、職を辞すという。「全原協は、電源交付金を要求しながら、経済産業省と一体となって原発を推進してきた。福島原発事故を防げなかったことに副会長として責任を感じる」と打ち明ける。

 全原協の総会の場では、枝野幸男経済産業相に、持論をまとめた「脱原発依存のための制度設計」を突き付け、電力業界にメスを入れて、国内の全原発を将来的な廃炉に向けて国有化するよう迫るつもりだ。』(4月28日付東京新聞)


【命を守る行動へ】

原子力発電所の建設にはどのくらいかかっているのでしょうか?九州電力の玄海原子力発電所(1号機~4号機)では、昭和50年に建設された1号機が545億円、平成9年に建設された4号機が3244億円となっているそうです。そして、最新鋭の原発建設となると5千億円程度はかかると言われています。

それら建設費が現在の総括原価方式の電気料金の算定方法では、すべて参入され、おまけに原発の発電で出てきた放射性廃棄物の処理費用まで原価として算入され、どんどん原発を作って安全であろうがなかろうが稼働しつづければその原価が大きくなるほど大きな利益が保証されるというのですから、電力会社が原発を止めたくないのも当然でしょう。

一方、原発立地の「迷惑料」として国からの巨額の補助金や電力会社からの寄付金などが原発立地自治体に配られてきたことを考えると、立地自治体はそう簡単に原発から「手を引く」ことは困難だということもよくわかります。

それでも東海村の村上村長や南相馬市の桜井市長は国や電力会社に脱原発を訴えるべく立ち上がった。そこには国や電力会社、はたまた原子力ムラに対する激しい不信感があるからだと思います。

26年前のチェルノブイリ事故後は市民レベルでの反原発は大きなうねりとなりましたが、原発立地自治体まで動くことはありませんでした。そういう意味で原発立地自治体の首長をはじめとする全国の35都道府県の69人もの方々が結集する意味は大きいと思います。是非、市民の命のために頑張ってもらいたいと思います。  



2012年04月25日

【橋下氏、政府に直談判】

橋下氏が政府に直談判しに行きました。

『関西電力の大飯原発(福井県おおい町)の再稼働に突き進もうとする野田政権に対し、関西電力の株主総会で脱原発の提案をしようとする大阪市が反発している。橋下徹市長が「日本の電力供給体制を変えるのは今しかない。ワンチャンスだ」と訴えながら再稼働に強く反対しているのだ。

 野田首相ら関係閣僚四人が安全対策の暫定基準案を決定したことについて橋下市長は「基準を慌てて作り一、二週間で安全性を判断することができるわけない」と批判。また滋賀県や京都府とも連携しながら、電力会社が原発から約一〇〇キロ圏内の自治体と安全協定を結ぶことを再稼働の条件にするよう橋下市長は主張している。

「地元」の範囲が広がれば、再稼働のハードルが高くなるのは言うまでもない。それでも野田政権が周辺自治体の同意を得ずに原発再稼働に踏み切った場合には、「選挙で決着をつけるしかない」と意気込んでもいる。次期総選挙で脱原発を争点にして、「再稼働ゴリ押しの民主党vs.再稼働反対の『大阪維新の会』」という構図にしようというわけだ。

 その一方で、マスコミが垂れ流す「再稼働をしないと今年の夏を乗り切れない。産業に大きな影響を与える」という根拠不明瞭の“脅し文句”の検証も進めている。四月一日には、橋下市長と松井一郎府知事が大阪府市の「エネルギー戦略会議」に出席。電力需給を含む再稼働問題などについて、元経産官僚の古賀茂明氏や環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長らと議論し、会議後の会見で橋下市長は「自分なりの理解ができた」と強調。「ピーク時」に対応する電力供給体制から、電力需要を平均化した「総電力量」で対応する体制に転換することの重要性を指摘しつつ、「ごく短期間のピーク時に節電を促すなどの知恵と工夫で、産業への影響も最小限に抑えながら原発再稼働なしで夏を乗り切れるだろう」と言い切った。

 しかし関電は、大阪市と神戸市と京都市が出した質問に対し、「原子力発電を引き続き推進する」と回答、原発再稼働ありきの野田政権と足並みを揃えている。

「政治が(脱原発に)舵を切らないといけない」と主張する橋下市長と、民意を無視する野田政権が激突する可能性は高まりつつある。(4月24日付「週刊金曜日」)

【選挙の争点になり得るか?】

橋下氏の大阪維新の会が掲げる「再稼働に関する8提案」は、今の原子力推進体制について多少知識がある人であれば当たり前の話ばかりです。にもかかわらず、この8提案に対する現時点で出来ること、出来ないことを国民の前に明言することもしないで、「支離滅裂だ」とか、「やや短絡的」とか、「この提案は再稼働とは直接関係ない」と言った言葉で橋下氏を批判する藤村官房長官は、政府としての国民に対する誠実な説明責任というものをまったく果たしていないと思います。

それもこれも過去30年近くにわたって原発の安全神話を作り、国民を欺き続けてきた自民党の歴代政権と原子力ムラと揶揄される原子力翼賛体制の悪事が、フクイチの事故によってすべて国民の前に明るみに出たことにその根本原因があります。

おそらく民主党の現政権も野党自民党も、原子力ムラの人間たちは原子力に関する今までの失敗をすべて認めて一からやり直すつもりは全くないのでしょう。であるならば、もう橋下氏のような新しい政治の担い手に委ねることしか日本が救われる道はないのかもしれないと思います。しかし、これとて至難の業です。でもやらなければ橋下氏の言うように日本は重大な危機に直面するでしょう。それは電力が足りないといった程度の危機ではありません。日本が国家として成立しなくなるような重大な危機です。

ひとりひとりがこの橋下氏の挑戦を少しでも後押しできるように、どんな小さなことでもいいから、声をあげていくことが必要だと思います。ひとりひとりが日本が破局の淵から逃れるかどうかの瀬戸際にあるという危機感を持つべきです。  



2012年04月23日

【大飯を捨てて伊方へ】

何としても原発の再稼働を急ぐ政府・民主党。ますますきな臭くなってきました。

『四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働推進論が政府・民主党内で急浮上している。原発再稼働の手続きでは、関西電力大飯3、4号機(福井県おおい町)が先行しているが、近隣府県の強硬な反対に直面。国内で唯一稼働中の北海道電力泊3号機(泊村)が5月5日に運転を停止した後、「原発ゼロ」の事態が長引く可能性があるためだ。
 民主党の前原誠司政調会長は22日午前のNHK番組で、原子力規制庁の発足まで再稼働の手続きを進めるべきでないとの意見が出ていることについて「そうは思わない」と反論し、国の原子力安全委員会と経済産業省原子力安全・保安院で対応できるとの見解を示した。これに関し、民主党幹部は「伊方原発は安全委のチェックが済めば手続きを進める」と語った。』(4月22日付時事通信)


【何が何でも再稼働?】

大飯原発の再稼働が時間がかかりそうだと見るや、次は電力業界との関係が深いと言われる仙石由人民主党政策調査会長代行が全面に出てきて、「原発を止めたら日本は集団自殺をすることになる」と発言したり、今度は仙石氏が会長をつとめる前原グループの前原誠二政調会長が伊方原発の再稼働を急ぐ発言をしたり、政権内部の何が何でも再稼働を進めたいとの思惑ばかりが見え隠れします。

おそらく電力業界をはじめとする原発再稼働をなんとしても急ぎたい原子力ムラの圧力が政治家を駆り立てているのでしょう。フクイチの大惨事後も事故の収束はまったく見えない上に、原発をどうするのか中長期的な展望を国民の前になんら示すこともない政府・民主党が再稼働を急ごうとすればするほど原子力に対する国民の信頼はどんどん地に堕ちていくでしょう。

フクイチ事故が起こった後に原子力の専門家として総理官邸から協力要請を受けて内閣官房参与として3月29日からほぼ半年間、その苛烈で生々しい事故の内情をつぶさに知り、関東3千万人の避難という最悪の事態の直前まで行こうとした恐るべき惨事に立ち会った田坂広志氏が書いた「官邸から見た原発事故の真実~これから始まる真の危機~」という本がここにあります。

その著書の中で田坂氏は、原発事故の後の現在の「最大のリスク」は何かと問われ、「政界、財界、官界のリーダーの方々の中に広がっている「根拠のない楽観的空気」」だと語っています。

そして、フクイチ事故が一時は首都圏3千万人の避難もあり得たという事実の重みを真剣に受け止めていないリーダーが多いこと、そのために起こる最大の問題は「信頼の喪失」であると警告しています。さらに原子力はそのとてつもない危険性と原子力が本来抱える究極の問題である「高レベル放射性廃棄物」の問題に対して根本的な解決策が示されない限り、国民の信頼は得られないと述べています。

まさに今回の原発の再稼働を巡る政府・民主党、原子力安全・保安院を筆頭とする官僚組織、電力業界、産業界、一部大手メディアなどの原子力ムラといわれる人たちは、「根拠のない楽観的空気」に未だ支配され、国民の信頼を回復するどころか、新しい安全神話を作らんばかりに声高に安全対策は実施したと公言し、大飯が当面ダメと見るや、次は東海・東南海・南海地震と津波のリスクが高まる伊方原発を何が何でも再稼働させようとしているのです。
彼らはこんなやり方で国民の信頼が得られると思っているのでしょうか?ほんとうに恐ろしい国家だと思います。

≪参考≫

・田坂広志氏のブログ「新しい風」

・田中龍作ジャーナル「【福井報告】弱者の味方も今は昔 仙石氏『他の原発も再稼働する』」2012.4.16
  



2012年04月17日

【政府対橋下市長】

市民・国民の不安を一向に真剣に受け止めようとしない政府に一撃をくらわせた橋下市長に政府・民主党が本性を見せ始めたようです。

『地域政党・大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長が、原子力発電所の再稼働問題で野田政権の打倒を宣言し、政府・民主党内に困惑の声が出ている。

 「選挙のマターとして、信を問う案件ではない」

 藤村官房長官(衆院大阪7区)は16日の記者会見でこう述べ、再稼働の是非をめぐる議論が過熱気味となっていることに懸念を示した。電力不足による経済への打撃などを考慮し、冷静に判断すべきだとの認識を強調したものだ。藤村氏は、大阪府・市が関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を認める前提として掲げた8条件についても「必要があれば様々な説明をしていく」と語り、丁寧に対応する考えを強調した。

 民主党内には「人気のある橋下氏と衆院選で直接対決する形だけは避けたい」との声も多い。同党の輿石幹事長が15日に橋下氏の政権打倒宣言に「受けて立つ」と応じたことについて、輿石氏に近い小沢一郎元代表のグループからも「大人げない」と不満が漏れた。輿石氏は16日の記者会見で「対決ではない。そんな発言をした覚えはない」と釈明に追われた。』(4月16日付読売新聞)


【問題を矮小化】

フクイチ事故に対する原因究明と真摯な反省、そして本気で国民の命を守るという意志を持たないままに、大飯原発を再稼働すれば政府と原子力ムラがなし崩し的に他の休止原発を次々と再稼働し、気が付いたら3/11前と何も変わらない原子力翼賛体制に戻り、次の大事故を無防備のまま待ち続けるということになるのは明らかです。

この問題を本当に真剣に考えるならば、誰しもが「民主党政権のやり方は危うい」と気が付き、橋下市長の主張に納得するでしょう。この原発再稼働問題というのは、藤村官房長官が言うような「選挙のマターとして、信を問う案件ではない」どころか、仙石氏が思わず口走った原発がなければ「日本が集団自殺」するのではなく、原発を稼働したがために「集団自殺」に追い込まれることになる国家非常事態とでも言える大問題なのです。

それを「信を問う案件ではない」と言う民主党政権は、多くの国民の支持が集まりつつある橋下維新の会を恐れ、出来るだけ問題を「矮小化」しようとする姿勢がありありとうかがえます。こんな姿勢だからこそ、今の政府は危機意識に乏しく、危ないのです。原発問題で国民の信を問うとする橋下市長の言葉はまっとうだと思うのは僕だけでしょうか?

それから自民党。原子力ムラの既得権益の前に原発の方向性について10年も議論しなければ結論が出せないというこの政党は、原発の在り方や安全性についてまともに信用できるとは到底思えません。政権党である民主党の影に隠れて過去の原発推進と安全軽視の姿勢が見えにくくなっていますが、民主党と同様、選挙で原発を争点にすれば自民党も同罪だということがはっきりするでしょう。

日本を破局の淵に追い詰めようとしている原発翼賛体制をどうするのか、しっかりと既存政党の愚に対して、選挙で信を問うべき時が来ていると僕も思います。  



2012年04月13日

【結論先送り】

何度会議を開いても根本的な考え方が誤っていては時間の浪費です。

『野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら関係3閣僚による第5回会合が12日夕、首相官邸で開かれ、定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題を協議したが、結論を先送りした。枝野氏は「何を議論しているのかも含めて、総合的に慎重に検討している途中段階という報告にとどめたい」として議論の詳細を明らかにせず、不透明さを残した。早ければ13日にも再度議論する。

 会合終了後に記者会見した枝野氏は「大変重要なことでもあり、さらに議論する必要がある。可能なら明日さらに議論したい」と述べ、慎重に協議を続けることを強調した。

 会合には藤村修官房長官、細野豪志原発事故担当相らが出席。経産省資源エネルギー庁が、9日の前回会合で示した関電管内の夏場の電力需給見通しをさらに精査した修正案を提示し、大飯原発を再稼働させる必要性があるかどうかを検討した。修正案の内容についても枝野氏は「詳細については報告できる段階にない」として明らかにしなかった。

 前回会合では、大飯原発の安全性について「おおむね判断基準に適合している」と結論を出していた。また、関電管内の電力需給については、今夏が10年並みの猛暑となった場合、供給力が19.6%不足するとの見通しも示していた。

 12日の会合では、原発を再稼働させなければ夏場の電力不足が避けられないと確認した上で、再稼働を妥当と判断するものとみられていた。』(4月12日付毎日新聞)


【許されない見切り発車】

この数週間の大飯原発の再稼働に向けた政府の動きが、「先ず再稼働ありき」ということは子供でもわかります。橋下市長が率いる大阪府市統合本部のエネルギー戦略会議から「再稼働に関する8条件」を突き付けられ、どうやったらウソの上塗りを国民に見破られずに再稼働できるか、非公開の会議を繰り返している野田政権。太平洋戦争末期にアメリカに追い詰められ、硫黄島や沖縄で無謀な特攻攻撃を繰り返した軍部や官僚が支配した大日本帝国の姿と極似してはいないでしょうか?
まさに、「日本原子力帝国」とでも呼べるような、国民の命をも顧みず、自らの保身のみに奔走する原子力ムラに操られる野田政権。

それで自分たちが自滅するだけなら勝手に自滅すればいいのですが、大飯の再稼働によってこれからなし崩しで他の原発の再稼働が行われ、根本的な原子力維持推進体制の見直しがさらに後退し、次のフクイチ事故を無為無策のまま招くことになれば、1億もの国民の命が果てしない放射能汚染にさらされることになるのですから絶対に許すことは出来ません。

今こそ、ひとりひとりの市民がツィッターでもいい、ブログでもいい、新聞への投書でも、テレビへの電話での抗議でもいい、政治家に対する直接の物言いでもいい、再稼働反対への声をあげることです。3/11前と決定的に違うのは、橋下氏のような原発に反対する政治家や孫正義氏のような経済人がどんどん声をあげていることです。絶対にあきらめないことが、子供たちの命を救うことになるのです。  




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海や山、自然が好きな九州男児です。あらゆる機会をとらえて、時代の変化をいつも感じていたいと思っています。
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