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2010年07月22日

【猛暑にウォッカ?】

思わぬ天災になす術なしというところでしょうか。

『連日、記録的猛暑に見舞われているロシアの非常事態省は、ウオツカなど酒に酔って、水浴びをし、水死する人の数が急増していることを明らかにした。6月だけで死者1200人以上、7月も既に400人以上で、今年に入り合計1600人以上が命を落とす異常事態になっている。政府は全国的に非常事態を宣言。暑さとは程遠いイメージのあるロシアが今夏、危機的状況となっている。

 この夏、早くも1600人以上―。ロシアで暑さと飲酒による水死者数が、異常なペースで増え続けている。

 ロイター通信などによると、同国では6月中旬から、130年ぶりという記録的猛暑で、降雨もない酷暑が続いている。気温40度を超える地域もある。夏の平均気温が20度前半の首都モスクワでも17日に、同日気温では過去最高の35度を記録。月間平均気温は例年を6度以上も上回る見込みだという。

 軍も暑さの影響で毎週恒例のパレードを中止するほどの事態。エアコンは在庫が売り切れており、市民は涼を求め、ビールやウオツカを飲み、水浴びする姿がロシア各地の水辺で見られている。』(7月19日付スポーツ報知)


【日本でも猛暑続き】

日本でも梅雨が明けたと思ったら、連日35度を超す猛暑が日本各地で観測されています。海の日の19日にも、全国各地で気温はぐんぐん上がり、気温が35度以上の「猛暑日」となり、大分県中津市で36.8度を記録したとのことでした。

日本ではここ数年、真夏は35度以上というのはあまり珍しくなくなりましたが、30年以上前はせいぜい30度前後というのが普通でした。つい先々週にはアメリカや欧州で40度以上という熱波が襲っていたことを考えると日本はまだまだましなのかもしれません。

しかし、極寒のシベリアを有するロシアでは35度を超えるような暑さは少なくとも今生きている人たちには経験したこともない暑さなのですから、ウォッカを煽って海に飛び込む気持ちもわからないではありません。

【年々深刻化する猛暑】

このニュースによれば、ロシアの非常事態省は全国83地域中、20地域近くで非常事態を宣言したそうです。また、米海洋大気局(NOAA)の分析では、地上と海面を合わせた地球全体の今年1~6月の平均気温が14・2度と、観測が始まった1880年以来最高だったことが分かったばかりであり、今世紀に入ってからの気候変動、地球温暖化の動きは確実に深刻さの度合いを増しているように思います。

たった数十年、いや数年でこれほどまでの気候の変化が世界各地で頻発するのは尋常ではない事態でしょう。本当にこれから僕たちの世界はどうなっていくのでしょうか。1人1人の人間はしばらくの間、気候変動や地球温暖化の脅威について忘れていることが出来るかもしれませんが、現実は人間の記憶などお構いなしに変化し続けています。もう個人の力でも、企業の力でも、国家の力でもどうしようもない事態が迫っているのでしょうか。
  



2010年07月07日

【代替フロンの罪】

オゾン層破壊には役立ったのですが、今度は別の問題が出てきました。

『政府は、空調(エアコン)や業務用冷凍冷蔵機器の冷媒などに使われる代替フロン類の排出削減を強化する方針を固めた。代替フロン類は、オゾン層破壊物質「特定フロン」に代わり普及したが、二酸化炭素(CO2)の百数十倍から1万倍以上の温室効果を持ち、大気中に大量漏えいしている可能性が高い。政府は温暖化防止の上で対策が急務として、回収や使用中の漏えい防止の強化、代替物質の開発を急ぐ。

 ハイドロフルオロカーボンなどの代替フロン類は、CO2と同様、京都議定書による削減対象で、08年度排出量(CO2換算)は2360万トンで、これまでは減少傾向だった。しかしオゾン層保護のためのモントリオール議定書で規制される「特定フロン」からの転換で、20年度には2.4倍の5560万トンになると予想されている。

 政府は法律で廃棄時の回収を義務付けているが、回収率は3割程度と推計している。経済産業省は「温室効果ガスの排出削減が進めば、増加が続く代替フロン類の占める割合が大きくなる」として、今秋にも対策を盛り込んだ報告書をまとめる。』(7月4日付毎日新聞)


【守られたオゾン層】

ウィキペディアによると、 「オゾン層(オゾンそう)とは、地球の大気中でオゾンの濃度が高い部分のことであり、オゾンは、地上から約10~50kmほどの成層圏に多く存在し、特に地上20~25kmの高さで最も密度が高くなる。」と説明されており、オゾン層は、太陽からの有害な紫外線の多くを吸収し、地上の生態系を保護する役割を果たしているというのはみなさん御存じのとおりです。

しかし、冷蔵庫、クーラーなどの冷媒や、プリント基板の洗浄剤として使用されてきたフロンなどの塩素を含む化学物質が大気中に排出されたことで、成層圏で塩素原子が増加し、オゾン層の破壊が進みました。このままオゾン層が破壊され地表に有害な紫外線が増えると、皮膚がんや結膜炎などが増加すると考えられて、20世紀末から全地球的なフロンガス規制が進められ、オゾン層の破壊の進行はなんとか食い止めることができたと言われています。

【もうひとつの脅威】

しかし、問題はそれでは終わりませんでした。この記事にあるように、オゾン層破壊の元凶とされたフロンガスを減らすために、代替フロンが使われるようになったのですが、その代替フロンが実は地球温暖化の元凶である二酸化炭素(CO2)の百数十倍から1万倍以上の温室効果を持ち、大気中に大量漏えいしている可能性が高いというのです。恐るべき代替フロンの裏の顔。CO2対策だけでなく、代替フロンの「代替物質」の開発も全世界が早急に取り組んでいかなくてはなりません。

つい先週、NHKスペシャルで「深層崩壊」という特集がありました。これは地球温暖化がもたらす記録的な豪雨が、土砂災害の概念を大きく変え始めているというものでした。その深層崩壊の典型的な例が、昨夏、台湾南部のなだらかな山が、大雨によって頂上付近から大崩壊を起こし、そのふもとにあった集落を襲い500人の命を奪った自然災害でした。この深層崩壊は日本でもすでにあちこちで起こっているらしく、地球温暖化の脅威はもう私たちの足元に迫っているのです。

昨年暮れのコペンハーゲンで開催されたCOP15での京都議定書後のCO2排出削減の枠組みの合意失敗以来、日本だけでなく世界の地球温暖化への取り組みは一時の熱気が冷めて迷走しているように見えます。しかし、人間がその対策を忘れようと忘れまいと、気候変動や地球温暖化の動きが報道されようとされまいと、現実の世界は刻一刻と深刻さの度合いを増しているということを僕たちは一瞬でも忘れてはいけないと思います。みなさんはどう思われますか?
  



2010年05月26日

【現場からの報告】

『北極で60日間の観測を終えた英国の探検隊が17日、北極では氷が予想をはるかに超える速さで漂流するなど、異常な現象が起こっていると報告した。
 探検隊は、海に吸収される二酸化炭素の増加の影響を調べる目的で北極海に出発。吸収された二酸化炭素は海水の酸性濃度を高め、食物連鎖に影響を及ぼす可能性がある。
 報告によると、調査中に北極海の氷床が漂流した地域は500カイリ(約920キロ)に及び、想定していた268カイリを大きく超えた。このほか、数日かけて厚さ8─10センチの氷の上を歩いたが、周囲にはそれ以上の厚さの氷は見当たらなかったという。
 科学者の多くは、北極海の気温上昇は温室効果ガスの排出によるものだと指摘している。』(5月17日付ロイター通信)


【巷にあふれる温暖化懐疑論への「懐疑」】

北極の異常に関しては昨年秋には国際研究チームが 『北極圏の過去10年間の気温が、地球温暖化の影響を受けて、少なくとも過去2000年で最高の水準に上がっている』とサイエンス誌に発表したり、米国立雪氷データセンター(NSIDC)が、北極海での夏季の海氷が過去3番目に少ないレベルになったとする報告書を発表したりしているが、明らかにここ10年近くの間だけでものすごい急激な変化が北極で起こっていることは間違いないのだ。世界中の科学者たちがその異常を検証すべく何度も北極に足を運んでいる中で、今回もまた異常が確認されたのだろう。

北極からの異常に関する報告を見るにつけ、以前から気になっていることが一つある。それはこれほどの異常が現在進行形で起きつつある事実を、センセーショナルなタイトルをつけて地球温暖化は間違いだという自説を広めている「専門家」の先生方は一体どう説明されるのだろうかということだ。

『今そこに迫る「地球寒冷化」人類の危機』など地球温暖化懐疑論を唱えている丸山茂徳氏や『環境問題はなぜウソがまかり通るのか 』等の著作で有名な武田邦彦氏等には、是非素人でもわかるように自説との対比の中で北極の異常について説明してもらいたいものだ。

僕たち素人は学術論文をゆっくり読む時間も知識もないので、書店に並ぶベストセラー本の数が世論や学会の大勢、あるいは事実だと勘違いしてしまう愚かしい性質を持っている。したがって、先生方に望みたいことは、そんな愚かしい大衆を惑わすようなベストセラー本を出すことよりも学者として学会で自説の正当性を真正面から主張することのほうが大事なのではなかろうか。
  


2010年05月20日

【トカゲたちの危機】

トカゲたちにも温暖化が深刻な影響をもたらしているようだ。

『このままの勢いで気温が上昇すると、今世紀後半にはイグアナやヤモリなどトカゲの仲間の2割が絶滅するとの試算を、米国やメキシコなどの研究チームがまとめた。変温動物のトカゲは、気温上昇を避けようと行動が制限され餌探しができなくなるのが理由という。生態系全体に深刻な影響を与える恐れがある。14日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 75~95年にハリトカゲ48種が生息していたメキシコ国内の200カ所を調べた。その結果、気温上昇率が高い場所ほど生息数の減少が目立ち、約1割の24カ所で絶滅していたことが分かった。

 暑さを避けて高地に移動して絶滅を回避したトカゲもいるが、そこに生息していた別のトカゲを絶滅に追いやる現象も起きていた。

 また、繁殖期の3~4月に気温上昇で行動が制限される時間が1日3.85時間を超えると絶滅しやすくなることが判明。高温時では涼しい場所に避難する時間が長くなる分、餌探しの時間が不足し、成長や繁殖に影響を及ぼすのが理由という。

 研究チームは今後各地で予測される気温上昇率から、2050年までに世界のトカゲの6%、80年までに20%がそれぞれ絶滅すると分析。「トカゲが食べる生物、食べられる生物は多い。地球温暖化は連鎖的に生態系に悪影響をもたらす」と警告している。』(5月14日付毎日新聞)


【失われる生物の多様性】

トカゲに限らず今地球上に棲むあらゆる生物が絶滅の危機に瀕している。毎年絶滅している生物の数は4万種。知られているものだけで約175万種のうちの4万種であるが、それでも毎年4万減っていけば40年足らずで全滅することになる。国連の報告によると、生きものが絶滅するスピードは、自然な状態の1000倍になっているというからすさまじい大量絶滅が現在地球上で進行しているのだ。その大半の原因は人間にあるのだが、なかでも昨今の地球温暖化、気候変動が生物の多様性に最も深刻な影響を与えているのだ。

そのような生物の多様性を守ろうと1992年に191の国と地域が加盟して、生物多様性条約が結ばれ、今年は10月に愛知県名古屋市で同条約の第10回締約国会議(COP10)が開催される(18~29日)。

しかし、気候変動に関する国際的な枠組みと同様に、生物多様性に関しても抜本的な解決策はいまだ見つかっていないというのが現状だ。

こういったニュースを見るにつけ、最近気になるのは昨年12月にコペンハーゲンで行われた気候変動に関する国際会議COP15で京都議定書に続く地球温暖化への国際的な取り組みがとん挫した後、めっきり気候変動や地球温暖化に関する報道が減り、世間の関心も盛り上がっていないことだ。生物多様性にせよ、地球温暖化にせよ、国際会議の結果がどうあれ、確実に危機は進行しているということをメディアは継続的に人々に知らしめる責務があると思うがどうだろうか。

  



2010年05月13日

【スペイン空港閉鎖】

まだまだアイスランドの火山噴火の影響は一部の地域に残っているようです。

『スペインの民間航空当局は8日、国内第2の空港であるバルセロナをはじめ、ビルバオ、サンセバスチャンなど北部の19空港が閉鎖されたと発表した。アイスランドの火山噴火に伴う火山灰の影響で、閉鎖は少なくとも同日午後(日本時間9日未明)まで続くという。
 また、ポルトガルでもリスボンなど3空港で合わせて100便以上が欠航したほか、仏南部マルセイユでも欠航が相次いだ。欧州航空管制機関ユーロコントロールによると、火山灰がポルトガルからスペイン、仏南部にかけて広がり、この地域の空港は閉鎖の可能性がある。』(5月8日付時事通信)


【噴火の被害】

欧州委員会は先月末、アイスランドの火山噴火に伴う大規模な航空便の欠航による影響に関して、欧州の航空業界の損害額は現時点までの暫定集計で最大25億ユーロ(約3125億円)、欧州の観光業界の損害額は計約10億ユーロ(約1240億円)に上ると発表しています。とてつもない金額ですね。

しかも今回のニュースにもあるようにスペインやポルトガル、またイギリスの北部の空港でも空港閉鎖が続いているようですから被害額はこれからも増え続ける恐れがあります。

【余談: 噴火火山の名前】

ところで唐突ですが日本のメディアではこの噴火火山の名前が何かについて全くと言っていいほど触れていません。なぜなのかと思ったら、この火山、名前が長ったらしくてしかも発音しにくいのです。

その名前とは、「Eyjafjallajokull」 !!!! どう発音されると思いますか?

CNNの記事によればこの火山の名称をどう発音するかは、話者ごとに異なるとのこと。例えば、CNNは「アイ・ヤ・フィエト・ラ・ヨー・クート」、シカゴトリビューンは「エイ・ヤ・フィヤト・ラ・ヨー・クート」、ナショナル・パブリック・ラジオは「アイ・ヤ・フィヤ・ラ・ヨー・クール」といった具合だそうです(Eiya=島、fjalla=山々、jokull=氷河を意味している)。 面白いですね。

ちなみにいつくかの日本の記事にはカタカナで「エイヤフィヤトラヨークトル」と表記されていました。

  



2010年04月26日

【24年前の大惨事】

みなさんは24年前の今日、世界全体を恐怖のどん底に陥れた出来ごとをご存じだろうか。

それはチェルノブイリの原発事故だ。

1986年4月26日午前1時24分、旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発4号炉で原子炉停止実験が失敗、原子炉の暴走が始まり、数度の爆発で瞬く間に大量の放射能が全世界に撒き散らされた。 (写真は24年前、事故を起こした4号炉)

事故直後から数週間の間に起こったことは、事故そのものの悲惨さを上回るような出来事だった。旧ソ連政府による事故隠し。何も知らされないで捨て置かれた何十万人もの避難民の被爆。

そしてその後も旧ソ連政府だけでなく、IAEA(国際原子力機関)を始めとする国際機関や各国政府の事故隠し。長崎・広島を経験した日本さえもその一団に加わった。事故後24年を経た今、事故そのものの記憶の風化が進んでいるが、これらの機関や政府のチェルノブイリの真実を出来るだけ小さく見せたいという意図は本質的には変わっていないように思う。

【恐怖の「見えない雲」】

しかし、僕自身は史上最悪と言われたチェルノブイリ原発事故当時のことは今でも鮮明に覚えている。事故発生後数日経ってから北欧や欧州各地で基準値を大幅に上回る放射性物質が大気中から検出され、世界中が大騒ぎとなり、特に欧州では「見えない雲」、すなわち目には見えないが恐ろしい放射能を含んだ雲の飛来に数週間、数か月にわたって人々は怯え続けたのだ。(それらの放射性物質が日本にまで飛来していたころ、5月のゴールデンウィークの最中に東京の皇居周辺ではあの亡くなったダイアナ妃の歓迎パレードが行われていた)

そしてそれは杞憂ではなかったし、実際にチェルノブイリ周辺数百キロの地域で大規模な放射能汚染が発生、甲状腺ガンなどによる事故の直接・間接的被害による死者は数十万人から数百万人にのぼったと言われている。

【災難は忘れたころに】

本当に恐ろしい体験だった。チェルノブイリから数千キロも離れた日本でもそう感じたのだから、全市民が避難したキエフやヨーロッパの人々の恐怖は並大抵のものではなかったはずだ。

あれから24年。その記憶は人々の脳裏から消えつつある。最近は地球温暖化への有力な対応策として日本では原発の推進がまた声高に叫ばれ、世界でも一時脱原発の方向に向きかけたいた流れが反転したように見える。地球規模で目の前に迫りつつある気候変動の危機に対処するために、たとえ直接的、中長期的な効果が疑わしくとも原発を「応急措置」として活用するのはやむを得ないことかも知れない。

しかし、あのチェルノブイリのときに味わった恐怖を原発の専門家たちだけでなく、市民である僕たちも決して忘れてはならないと思う。忘れたころに往々にして災難はやってくるのだ。  


2010年04月15日

【異常高温】

平均気温は上昇し続けているようです。

『3月の世界の平均気温が統計を取り始めた1891年以降、最も高かったことが分かった。

 気象庁が14日、発表した。

 同庁によると、世界の平均気温は、陸海上約1300の観測点の気温データを基に算出され、今年3月の気温は、平均で平年より0・44度高く、過去最高だった2002年(プラス0・43度)を上回った。

 地球温暖化や、昨年から南米ペルー沖の赤道付近で発生しているエルニーニョ現象の影響とみられ、陸上では北アメリカ大陸北部や西アジアで、海上では赤道域を中心とする広い範囲で気温が平年を上回った。

 3月の平均気温を長期的に分析すると、100年あたり0・8度のペースで気温が上昇しているという。』 (4月14日付読売新聞)


【皮膚感覚との温度差】

このニュースを見て、最近の気温に対する皮膚感覚と少しずれている気がするのは僕だけでしょうか。というのは、このところ全国的に寒暖の差が激しくなっていて、日によっては20度を超えて春~初夏の陽気となったと思うと、翌日はまた冬に逆戻りといった日がよくあるからです。

特に関東から北では、ここ1カ月ほどは広い範囲で平年より5度前後低い気温が続いており、低温や霜による野菜などの農産物の生育への影響が出始め、野菜の高騰がニュースで伝えられたりしています。短期的な温度に対する人間の皮膚感覚と平均気温との差が顕著になってきているのです。

【進行する気候変動】

COP15の失敗や、IPCCの報告書の間違いなどで最近地球温暖化論に対する懐疑論的な風潮が出てきていますが、現実には気候変動の振幅が地域によっては顕著になって、短期的に寒暖の差が激しくなったりはしているものの、トレンド的には気温は上昇しつつあるということではないでしょうか。

懐疑論を声高に主張したところで、迫りつつある危機は避けられないと知るべきなのでしょうか。

  



2010年04月08日

【初めて減少】

森林面積の消失率が初めて減少に転じたとの記事が目に留まりました。

『00年代に世界で消失した森林面積は東京都の約24倍の年間520万ヘクタールだったことが、国連食糧農業機関(FAO)のまとめで分かった。90年代の年間830万ヘクタールに比べて大幅に減り、消失率が初めて減少に転じた。中国やインドで大規模な植林が実施され、新興国の環境意識が変化していることを示唆している。

 分析は「世界森林資源アセスメント2010」で報告された。

 それによると、世界の森林は全土地面積の約3割に相当する約40億ヘクタール。90年代には、農地への転換や火災などで毎年1600万ヘクタールのペースで減少していたが、00年代は年間約1300万ヘクタールに鈍化。さらに中国などで植林が進み、森林が年間700万ヘクタール以上増え、増加分を差し引いた00年代の純減少面積は年間520万ヘクタールだった。特に中国やインド、ベトナムでは植林計画が進み、この5年間で年間400万ヘクタールも拡大した。

 一方で、南米やアフリカでは過去最悪の消失率を記録している。FAOの担当者は「中国などの植林計画も20年までに終了する。地球温暖化防止の視点からも森林減少が加速しないよう、各国は森林の保全と管理を強化しなければならない」と警告する。』(4月4日付毎日新聞)


【厳しい現実】

森林消失の最も大きな要因と考えられているのは、熱帯地域を中心とする開発途上国で起こっている人口爆発によって、増大する人口に見合う食糧を確保するためにそれらの地域で食糧を得るための森林伐採、森林の開墾が急速に進んでいることです。

森林開墾とともに、現在世界各地で頻発している森林火災も森林消失の要因として注目されていますが、これは最近の激しい気候変動がもたらしている部分もあります。

いづれにしても、森林の消失はここ数十年にわたって進行してきており、CO2の吸収減の喪失という意味でも非常に深刻な問題と言えるでしょう。2000年代の森林消失率の減少の多くが中国やインドなどでの植林計画実施による森林面積の拡大によるというのは一筋の希望ではありますが、アフリカやその他の開発途上国では森林消失はむしろ深刻化していることを考えると現実は非常に厳しいと言わざるを得ません。日本にだけいると日本の森の豊かさの中で忘れがちですが、今一度森林資源についてひとりひとりがしっかりと考え、行動していく必要があるのではないでしょうか。
  



2010年03月19日

【日本包囲網】

クロマグロ禁輸が目の前に迫っています。

 『13日開幕したワシントン条約の締約国会議で最大の焦点となっている、大西洋クロマグロの取引禁止を求めるモナコ提案への賛否を巡り、水面下で政治的な駆け引きが激しさを増している。

 今回の会議では、タンザニアなどが、禁止されているアフリカ象の象牙取引再開を提案している。英メディアによると、取引禁止の継続を主張するケニアやエチオピアなどアフリカの23か国は、英独仏など欧州連合(EU)加盟27か国に「タンザニアなどの案に反対してくれれば、モナコ案支持に回る」との“取引”を持ちかける書簡を送った。

 EUはすでに、象牙取引再開に反対する方針を決めており、アフリカ23か国の票がモナコ案支持に回る公算が大きい。

 一方、EU内では、モナコ案への賛成を決めたことに対して「最近のEUの決定の中では最も深刻で、有害な決定の一つ」(スペインの漁業連盟)との批判が出ている。このため、EUは、影響を受ける漁業関係者へ補償を行うほか、科学的な検証の後で禁輸を最終決定するという条件をつけ、反対意見を封じ込めた。EUは締約国会議の中で、モナコ案をこうした方向に修正することで他の漁業国の賛同を得たい考えだ。

 13日には、オーストラリアが、禁輸反対と同時に輸出許可制などの規制強化を主張するなど、各国の思惑が入り乱れており、妥協案を探る動きが活発化することも予想される。

 これに対し、日本は「クロマグロは科学的に絶滅の危機にあるとは言えない」(水産庁)として、禁輸には全面的に反対している。赤松農相は「1票、2票の争いになる。最後まであきらめずに頑張る」と話しており、14日には、山田正彦・農水副大臣をマグロの輸入国である韓国に派遣して禁輸反対への理解を求める。

 ただ、メキシコは、マジョルカ農牧大臣が「日本の立場を支持する」と表明したにもかかわらず、米国の働きかけを受けた環境担当相の巻き返しでモナコ案支持に傾いており、日本の苦戦は否めない状況だ。』 (3月14日付読売新聞)


【厳しい情勢】

クロマグロの消費の8割は日本が占めていると言います。おそらくそれは事実なのでしょう。今まで日本人は自分たちの伝統的な魚を中心とする食文化を守り、それを当たり前のものとして世界中で自分たちの食べたい魚を取り続けてきました。それが今、世界中から標的にされているのです。僕たち日本人から見れば理不尽な要求であったり、日本の食文化を理解しない欧米の勝手な論理だと腹立たしい部分も多々あるのですが、世界は残念ながら日本の考えとは逆の方向にどんどん動いているのです。

アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞した和歌山県太地町のイルカ漁を隠し撮りした米映画「ザ・コーヴ」は、欧米を中心とする世界の目と日本人の考え方の違いを如実に示しました。好むと好まざるとにかかわらず、こういった世界の厳しい視線に僕たち日本人は真正面から向き合っていくことが今後ますます増えてくるでしょう。

おそらく遅かれ早かれクロマグロは禁輸の方向で決着し、その向こうには日本人がかつて近海だけで獲っていた多くの水産資源の制限の方向に進んでいくでしょう。そのときにあわてるのではなく、水産資源の保護と活用について世界の幅広い理解を得るような努力を重ねるとともに、新たな水産資源の確保の方法についてあらゆる知恵を絞っていかなければならないと思います。

  



2010年03月09日

【深刻な不足】

原発の現状と今後に対する困難な状況が政府から報告された。

『原子力発電所の現在の新設計画(14基)がすべて実現しても、2030年以降の20年間にさらに20基の新設が必要という試算を資源エネルギー庁がまとめた。既存原発の寿命による廃炉の目減り分を埋め合わせるためで、現在よりハイペースな「年平均1基の新設」を実現しなければならない困難な状況が浮かび上がった。

 5日に開かれた総合資源エネルギー調査会原子力部会で報告された。同庁によると、現在国内で稼働中の原発は54基、総出力は約4900万キロワット。国は温室効果ガス削減対策の一つとして原発を位置付けており、20年までに温室効果ガス25%減(1990年比)という方針の実現には8基の新設が必須となる。30年までにはさらに6基の新設を計画している。

 これらが完成した場合の総出力は約6800万キロワット。この出力を維持するには、既存原発の寿命を現在の40年から60年に延長しても30~50年の20年間に150万キロワットの大型原発20基が必要だと分かった。

 既存原発には増設の余地は乏しく、新たな立地選定が課題となる。一方、寿命を40年のままとすると30年時点で3000万キロワット、寿命50年でも1500万キロワット分が不足する計算になるという。

 試算は、人口減少や家庭の電化、電気自動車の普及など今後の電力需要の見通しや、再生可能エネルギーの拡大などは考慮していない。一方、中部電力浜岡原発1、2号機(計138万キロワット)のように寿命前にコスト判断で廃炉が決まるケースもあり得るなど、流動的な面もある。

 部会では「稼働率向上や点検間隔の延長など(発電量を増やす)目先の政策だけしか論議されていない。新設を継続するために国が何をするかの政策がない」などの厳しい意見が相次いだ。』(3月6日付毎日新聞)


【変わった風向き】

日本の商業用原子力発電所は東海村で1966年にスタートした。それからほぼ半世紀。深刻な事故を何度も経験しながらも、2010年2月末現在でこの狭い日本の国土に稼働中の原発は54基。数の上ではアメリカ、フランスに次いで3番目だ。

1986年のチェルノブイリ原子力発電所の大事故からすでに24年近くが経過し、事故の教訓もそれなりに取り入れて、大地震などの自然災害による事故を除けばあの事故ほどの大惨事は幸いにも起きていない。

しかも、あの事故以来世界中に吹き荒れた反原発の嵐の中、1990年代まではアメリカでは新規原発の着工がストップ、欧州でもフランスを除いて脱原発のうねりが世界を席巻していた。日本も脱原発の動きにまではならなかったものの、原発建設がしばらく停滞した。

しかし、2000年代以降、エネルギー価格の高騰と地球温暖化問題の認識が原発への風向きを大きく変えた。世界は再び、それらの理由を背景に原発への傾斜を強めている。

【無策が生んだ原発依存】

日本政府も放射性廃棄物や原発事故の可能性など様々な問題を抱えて原発推進のための理由付けに困っていたところに、今は、地球温暖化問題が広く認識され、原発が温室効果ガスを出さないという地球温暖化の解決のための有力な手段と説明できるようになったことでまさに「渡りに船」のような状況になっているのだ。(僕は政府のそのような説明には納得していない。残念ながら、原発推進は地球温暖化問題の根本的な解決につながらないと考えている。日本の場合には特に原発に偏ったエネルギー政策が今日の日本の選択肢を狭めている原因のひとつなのだ)

しかし、チェルノブイリ事故をきっかけに人間や自然環境と根本的に相いれない原子力エネルギーに対する真剣な見直しを行い、エネルギー多消費社会のパラダイムの転換を図ろうとしたドイツを中心とする欧州各国とは違い、大量生産・大量消費社会の現状を容認したまま走り続けた日本は、原発依存政策の代償として地球温暖化への対応のための根本的なパラダイムシフトである自然エネルギーを活用した新しい社会の構築に乗り遅れたため、さらなる原発依存への道しか残されなくなってしまっているのだ。今の政権党の民主党もそういう意味では原発依存から抜け出せないだろうし、そうなれば日本社会全体での自然エネルギーへの抜本的な転換も世界から大幅に遅れていくだろう。

その挙句の果てが政府の無策を自ら吐露する今回のようなレポートである。あと何基造らなければ間に合わない・・・・一体何回聞かされたことか。そして、再び災難は忘れたころにやってくるのである。もういい加減に目覚めたらどうだろうか。
  



2010年03月02日

【前途多難】

地球温暖化法案を巡って産業界が対決姿勢を打ち出している。

『日本鉄鋼連盟など9つの産業団体は26日、政府が今国会に提出予定の「地球温暖化対策基本法案(仮称)」に反対する共同意見書を発表した。
温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減することや、国内排出量取引制度の創設、地球温暖化対策税の導入など同法案の骨子となる政策にはいずれも反対だとして、この問題で現政権と対決する姿勢を鮮明にした。
 意見書には石油連盟、セメント協会、電気事業連合会、電子情報技術産業協会、日本化学工業協会、日本ガス協会、日本自動車工業会、日本製紙連合会も加わった。意見書は、直嶋正行経済産業相ら経産省の政務3役には提出済みだという。
 各団体の幹部は同日、そろって記者会見した。鉄鋼連盟で環境・エネルギー政策委員長を務める進藤孝生・新日本製鉄<5401.T>副社長は、「いまの基本法案はおかしい」と語気を強めた。同副社長は、法案の骨格作りの作業が政府内部で非公開に進められたことを背景に、「選挙で多数を取ったので、国会で採決すればそれが成立するというのが民主的なプロセスとは考えない」と批判した。自動車工業会の名尾良泰・副会長は「(環境の)ハードルを課せば産業界はそれを乗り越えて競争力を高めるという一般論があるが、そう簡単な話ではない」と強調した。
 基本法案は3月上旬にも国会に提出される見通し。現在公表されている法案の概要では、90年比25%削減の中期目標が明記されているほか、排出量取引制度や化石燃料に課税する温暖化対策税、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の拡充が重要政策として挙げられている。
 9団体の意見書では、25%削減については「国内で削減を行うにしても、海外からクレジット(排出枠)を購入するにしても、多大な社会的コストが発生する」としたうえで、「実現可能性や負担の妥当性について国民に対する説明がない」と指摘。排出量取引や温暖化対策税についても「具体的な技術が伴わない限り、国内のCO2削減にはつながらない」と断定している。』(2月26日付ロイター)


【理想と現実】

もともと産業界は、政府か打ち出した「温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減」するという目標自体に反対のところが多かったので経済3団体による今回の意見書提出は予想されたことではあった。

ことの発端は昨年12月に閉幕したCOP15にさかのぼる。コペンハーゲンで行われた京都議定書後の温室効果ガス削減に向けた世界的な枠組み作りは途上国と先進国の間の対立が根深く、今もって暗礁に乗り上げたままになっている。そのCOP15という大舞台で、政権交代したばかりだった鳩山政権は世界の温暖化防止の先頭に立ってリーダーシップを発揮しようと25%削減目標を高らかに掲げて会議に臨んだものの、迷走する会議の中でたいした注目も得られないままに終わっていたのだ。もともと25%に反対だった産業界はこのCOP15の迷走を見て、日本だけが突出して高い目標を掲げる必要はないと考えているのだ。

迫りくる地球温暖化の危機と目の前の社会的コストの増大への懸念や産業界の反対の大合唱。取り組まなければ近い将来に必ず訪れるであろう地球温暖化のコストは取り組む時期が先送りにされればされるほど取り返しのつかないことになるのは見えているのだが、目先のコスト増加の懸念に足元がすくんでしまう現実。総論賛成、各論反対の典型的な例だ。

少なくとも鳩山政権は、しっかりと産業界を説得できるような法案作成のプロセスの公開を行い、オープンな議論の中で国民の不安を取り除いていく必要があると考える。みなさんはどう思われますか?
  



2010年02月18日

【森林が排出源?】

またひとつ、温室効果ガスの削減に黄色信号が点滅している事実が明らかになったようだ。

『温室効果ガスの吸収源であるインドネシアの熱帯雨林が、排出源に転じている可能性があることが、大崎満・北海道大教授(植物栄養学)や国際協力機構(JICA)の研究で分かった。頻発する森林火災の煙で太陽光が遮られ、光合成が抑制されるためと考えられる。チームは今月、森林火災の影響を抑えて天然林を吸収源に戻すプロジェクトを始めた。

 チームは97~07年、中部カリマンタン州の熱帯雨林約100万ヘクタールを対象に、(1)天然林(2)森林は残っているが、農業用水路を掘るなどの開発で乾燥が進む地域(3)森林火災の跡地--での温室効果ガスの排出と吸収を測った。

 その結果、乾燥地と火災の跡地では、1平方メートル当たりの年間排出量が、吸収量を1500~3000グラム上回っていた。天然林でも、排出量が吸収量より約400グラム多かった。

 天然林は光合成を通じて大気中の二酸化炭素を吸収する働きがある。しかし周辺で断続的に起きる森林火災の煙が太陽光を遮り、光合成を抑制。さらに乾燥地では微生物の活動が活発になるため、有機物が分解されて大量の温室効果ガスを出していると考えられた。

 熱帯雨林の地面(泥炭地)は大量の温室効果ガスを蓄えており、火災や開墾で空中に放出される。この放出量を含めたインドネシアの温室効果ガス排出量は米、中に次いで多い。今回の調査対象地域だけでも、日本の90年の排出量の13%に相当する1億6400万トンを排出した計算になる。

 チームは、日本の人工衛星「だいち」を使い、森林火災を早く見つけたり、火災が起きやすい地域を指定して予防策を取るプロジェクトを始めた。現地の行政機関と連携して焼け跡への再植林にも取り組む。大崎教授は「森林の火災や乾燥を防止しなければ、残っている天然林の吸収機能も奪われかねない」と話す。』
(2月13日付 毎日新聞)


【後戻りできない地点】

実は、すでにどんな対策を講じたとしても地球規模の気候変動、地球温暖化が後戻りできない転換点(ティピングポイント)が刻一刻と近づいているという科学者が増えている。

極地やヒマラヤなどの高地の氷河融解やアマゾンの熱帯雨林の減少、シベリアやアラスカの永久凍土の溶解によるメタンガスの放出などが確実に進行しており、東京大学生産技術研究所の教授で「残された時間―温暖化地獄は回避できるか」等地球温暖化を警告する多数の著作がある山本良一氏の推定では、世界の平均気温が2度を突破して後戻りできないポイント・オブ・ノーリターンまで、このまま何も対策を打たなければあと20年もないとのことなのだ。

そんな危機的な状況が迫る中、今回の記事のように科学者からは新たな不安材料が次々と発表されているのだ。

【もっと怖い話】

実は森林などの植物のCO2排出と吸収のメカニズムにはもうひとつ怖いことが進行しているという話もある。それはイギリス人のピーター・コックスという若手の気候モデル研究者の見解で、彼によれば「植物は光合成によって成長するときにCO2を吸収するが、植物が枯れて、木や葉や根が分解するときにはCO2を放出する。今、そのどちらのプロセスも加速している。」というのだ。

これを地球全体に当てはめると、森林や土壌や草地や湿地帯といった陸の「生物圏」全体は、数十年にわたって地球温暖化を遅らせてきたが、まもなく、その生物圏が温暖化を加速し始める日が迫っており、それが新たな転換点になるだろうということだ。森林の火災や火災による煙の発生で光合成が妨げられるだけではなく、温暖化を加速する別の要因も増えているのだ。

信じたくはないけれど、こんな怖いことが地球全体で刻一刻と進行しているのが今の僕たちの時代なのだということをしっかり肝に銘じておかなければならない。  



2010年02月09日

【琵琶湖1.7個分】

『03~09年にヒマラヤ山脈やその周辺で、琵琶湖1.7個分に相当する山岳氷河の氷が毎年減少したことが、日置(へき)幸介・北海道大教授(測地学)と大学院生の松尾功二さんの分析で分かった。02年に打ち上げられた米国の人工衛星の軌道データを活用して算出した。過去40年間の現地調査で推定された年間平均減少率の2倍に上るという。ヒマラヤの山岳氷河はアジア南部の貴重な水源で、市民生活への影響が懸念される。15日付のオランダの地球惑星科学誌に発表する。

 氷河の面積は航空写真で分かるが、体積や重量の把握は難しい。研究チームは氷河の増減が重力を変動させることに注目。重力の影響を受ける衛星軌道の変化から、アジア中央部の氷河の重量の変化を算出し、毎年470億トンの氷河が減少していることが分かった。この量は海面を年0.13ミリ上昇させる効果がある。

 国連環境計画によると、アジア中央部の山岳氷河の面積は約11万4800平方キロで、米アラスカに次いで広い。年470億トンの減少は氷河の厚さが年平均約40センチ薄くなっていることを示す。巨大な氷床のある南極では今のところ、急激な気温上昇がなく、当面の海面上昇を左右するのは山岳氷河になっている。』(2月6日付毎日新聞)


【深刻すぎる事態】

IPCCの第四次報告によれば、「現在のペースで温暖化が進行すると、ヒマラヤ山脈の氷河が2035年までに1995年当時の5分の1に激減する」としている。先月20日、IPCCはこの記述に関して、「明確で確立された基準が厳密に適用されていなかった」と釈明し、誤っていたことを認めたとの報道があった。

IPCCが誤りを認めたとおり2035年にヒマラヤ氷河が完全に消失してしまうことはないかもしれないが、依然としてこの報告の予測に近いスピードで氷河の溶解は進んでいるようなのだ。

今のスピードでヒマラヤ氷河の融解が進めば、遅かれ早かれ、ヒマラヤが飲み水を供給している黄河、メコン川、サルウィン川、ガンジス川などアジアの主要な河川は深刻な水不足に陥り、世界人口の4割に当たるこの地域の人々が極めて重大な飢饉に陥ることになるだろう。二酸化炭素削減に加えて、氷河融解に対する緊急の対策も必要となるだろう。それは、まさに目の前にある危機なのだから。

  



2010年02月08日

【またしても】

榛名湖のワカサギ釣りが今年も中止となったというニュースが目に留まりました。

『榛名湖(高崎市)の結氷が進まず、榛名湖利用安全協議会(鹿野宏会長)は2日、ワカサギ穴釣りのための氷上オープン中止を決めた。昨シーズンに続く中止。ワカサギの氷上釣りは冬の最大の収入源だけに、湖畔の観光業者は肩を落としている。
 同協議会によると、氷上オープンには厚さ15センチ以上の締まった氷が必要。最低気温が氷点下15度程度の冷え込みで氷が成長するが、今冬は同10度以下になる日も続かなかった。例年なら一番寒さが厳しくなるはずの1月下旬も、春を思わせる陽気となった日があったという。
 前橋地方気象台の観測データによると、湖畔に比べ標高が約900メートル低い高崎市上里見町で1月下旬に、最低気温の平均が氷点下2・0度と平年に比べ1・1度高く、最高気温は12・5度と4・4度も高くなっている。
 このため2月になっても湖の東側3分の1が凍らず、結氷部分も人が乗れるような状態まで成長しなかった。近年では、07年も全面結氷せずに中止。昨年も氷上オープン日を決めた後に暖かな日が続き、2度の延期の末、オープンを断念した。
 榛名観光協会榛名湖支部の小林信彦支部長は「榛名湖の氷上釣りは簡単でファミリーに人気がある。天候のこととはいえ、心待ちにしていたファンの方に申し訳ない思いだ。2年連続の中止で、今後の誘客への影響が心配だ」と話している。』(2月3日付毎日新聞)


【緩やかに進む温暖化】

榛名湖のワカサギ釣りが出来なくなったという記事は2007年に初めて目にしてブログ記事としても取り上げましたが、またも同じような事態になってしまったようです。ワカサギ釣りの釣り客を当て込んで地元で商売をしておられる商店街や宿泊施設の方々にとってはまさに死活問題なのですが、自然が相手なので打つ手がないといったところのようです。

今年の冬は世界的に強烈な寒波が訪れて、地球温暖化なんて単なる杞憂だったのではないかと思われる向きもあるかもしれません。しかし、このワカサギ釣りの記事などを見ると、やはり地球温暖化の影響はじわじわと各地で進行しているのだなと思わずにはいられません。地域的あるいは時間的なバラツキはあっても、気候変動は年々ひどくなっており特に21世紀になってからの気温の上昇はそれ以前とは全く比べものにならないほど進行しているというのが真実のようです。

実質的な合意が先送りされてしまった昨年12月のCOP15。人間たちの思惑や対立とは無関係に気候変動は日増しにひどくなり、欲望深い人間をあざ笑っているかのようです。  



2010年01月28日

【芝生による緑化】

いいと思ってやっていることが逆の結果を生むことはよくありますが、芝生による緑化もその一例かもしれないというニュースが目に留まりました。

『都市部の公園などに芝を植えるとかえって地球温暖化を加速する恐れのあることが、米カリフォルニア大アーバイン校の分析で分かった。施肥や手入れのため、芝が吸収する約4倍の温室効果ガスを排出してしまうという。調査対象は米国だが、日本でも進む都市の緑化政策に一石を投じそうだ。米地球物理学誌「ジオフィジカル・リサーチ・レターズ」電子版に掲載された。

研究チームは同校近郊にある4カ所の公園の芝や土壌を分析。二酸化炭素(CO2)吸収量と、草刈り機の燃料によるCO2、肥料使用に伴う一酸化二窒素(N2O)などの排出量を比較した。N2Oは、CO2の約310倍も温室効果が強い。ともに京都議定書で排出削減の対象ガス。

 その結果、観賞用の芝では、吸収分の約1~3割に相当するN2Oを排出していることが分かった。手入れのための燃料使用による排出分も含めると、吸収分の約4倍の温室効果ガスを排出していた。運動場用芝は、頻繁に植え直すことから、土壌に蓄えられるCO2が少なく、観賞用の芝より吸収効果が小さかった。

 同大によると、芝についてN2Oを含めた吸収量と排出量を比較したのは初。日本国内では、排出を抑制する施肥方法の研究も進んでいる。』(1月23日付毎日新聞)


【意外な結果?】

それにしても肥料使用に伴う一酸化二窒素(N2O)の排出量がCO2の約310倍も温室効果が強いというのは驚きでした。メタンガスはCO2の21倍ですから桁外れに影響が大きいことになります。

芝生は都市の公園や屋上などいろいろな場所に最近使われることが多くなっており、当然都市の美観だけではなく、温室効果ガスの削減に役立つような宣伝が一般的には行われていることが多いのではないでしょうか。

こういう研究結果が出てきた以上、行政も民間も都市の緑化に芝生を活用しようと考えているところは真剣に芝生の利用方法について再検討することが必要ではないかと思います。

  


2010年01月27日

【牛肉生産の副産物】

牛肉生産の過程で排出される温室効果ガスはどのくらいかご存じですか。なんと1キログラムの牛肉を生産する過程で13キロから30キロの温室効果ガスが排出されるそうです。恐ろしいほど多いですね。なぜなんでしょうか。

これは、牛肉は生産過程が非常に非効率であると同時に、ウシ自身が呼吸や排泄物などで温室効果の高いメタンガスを多く排出するからだとのこと。また、全世界の温室効果ガス排出の18%が畜産業関連と言われ、中でも牛肉生産による排出量が最も多く、先進国の食肉消費のうち牛肉が占める割合は30%に過ぎないが、畜産業全体の排出ガスの78%は牛肉生産に起因していると言われています。これだけ知れば、温室効果ガスの排出を減らすには牛肉を出来るだけ食べないほうがいいということになります。

しかし、1月25日号タイム誌アジア版の記事のタイトルには「牛をもっと食べて、地球を救おう」("Save the Planet: Eat More Beef", by Lisa Abend, p.32-34, TIME issued on Jan. 25,2010)とあり、もっと肉を食べるべきと書いてありました。

これは今までの常識とは真反対ではないでしょうか?

【穀物と草】

記事を読んでその疑問が解けました。そのカギは「穀物と草」でした。すなわち、穀物で育てる牛は、穀物の生育に必要な肥料の生産、広大な農場を耕作する機械、穀物の輸送に大量の燃料を使用すること、また、穀物で育つ牛の排泄物から大量のメタンが出ることなどが桁外れの温室効果ガスをもたらすのです。

ところが、牧場で牛を飼育すれば牛は草を食み、自然の循環でまた草が生えてくることから穀物で育つ牛よりも比較的少ない燃料の使用、温室効果ガスの排出で済むのです。

しかも牧場の草で育った牛肉は、脂肪も少なく健康的だということです。そう、草で育つ牛が増えれば、温室効果ガスの減少に貢献する。そういうカラクリなのです。

【どちらを取るか】

しかし、事はそれほど単純ではありません。そのひとつは生産効率と価格の問題。タイム誌の記事には、穀物で育つ牛は生育が速いため生産効率が良く、その牛肉の値段は安くできるが、牧場の牛は自然の中で育てるために生産効率は落ち、値段も穀物牛の倍以上すると書いてありました。

そして記事には書いてありませんが、先進国の牛肉文化が発展途上国にどんどん広まっていけば、いくら牧場の牛が温室効果ガスの排出が少ないと知っていても、生産効率や価格の問題、そして牛肉嗜好の人口の急激な増加によって全体的には穀物による牛肉生産が広まっていくのは避けられないでしょう。

やはり、これだけ人間が地球上に増えている限り、牛肉の消費は抑えていかざるを得ないのではないでしょうか。みなさんはどう思われますか。

  



2010年01月07日

【味な副産物?】

海のやっかいものが味な副産物をもたらしているようです。

『淡泊な白身と濃厚な味の肝で鍋物などに珍重されるウマヅラハギの大漁が福井県沖の日本海で続いている。好物の餌はクラゲで、地元の漁師の間では「2年ぶりに大量発生したエチゼンクラゲがもたらした副産物」と、話題になっている。

 ウマヅラハギはフグ目カワハギ科の魚で、今が旬。漁師らによると、昨年10月ごろからよく取れるようになった。福井県美浜町の日向漁協では、ふだんなら1トンの水揚げでも豊漁とされるが、先月下旬には5トン以上の水揚げがある日もあった。宴会が多い時期で需要も多く、値崩れも少ないと喜ばれている。

 体長が1メートル以上にもなる大型クラゲ・エチゼンクラゲの副産物として、同県沿岸では確認されることの少ないウミガメの一種でクラゲを餌にするオサガメが秋以降に相次いで確認されていることも話題になっている。

 同県小浜市沖の若狭湾で定置網漁をする浦谷俊晴さん(40)は、「これほどのウマヅラハギの大漁は記憶にない」と指摘し、「エチゼンクラゲはいないに越したことはないが、環境は変化している。それに対応して漁もやっていかなければならない」と話した。』(1月4日付毎日新聞)


【エチゼンクラゲとウマズラハギ】

エチゼンクラゲと言えば、このブログでも何度もお伝えしている、傘の直径が約1~2メートル、重さは約150~200キロにもなる最大級の化け物クラゲで、2008年は一時鳴りをひそめていたものの昨年再び日本近海に大発生して、定置網に大量にかかって網が破れたりするなど漁業者の悩みの種になっています。

過去には数十年に一度しか大発生はなかったのですが、21世紀になってからは毎年のように大発生しており、専門家によれば中国沿岸で誕生するため、中国の著しい経済発展や地球温暖化など人間の経済活動が影響しているのは間違いないということです。

そんなエチゼンクラゲの天敵が、カワハギと並んで美味とされるウマヅラハギとは・・・・まったく知りませんでした。ウマズラハギがどんどんエチゼンクラゲを駆逐して、丸々太ったウマヅラハギを大量に水揚げできればこれは漁業者にとっても消費者にとってもこんな嬉しいことはありません。(僕も玄界灘にさっそく出かけて、ウマヅラハギを釣りに行こうかと密かに楽しみにしています)

しかし、忘れてはならないことは、自然界の異変は一時的な人間の都合など容赦なく、また新たな問題を引き起こす可能性が高いということです。


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2009年12月24日

【産地に異変】

ワインの産地にも異変が広がっているようだ。

『地球温暖化の影響とみられる気候の変化で、世界各地の農作物にさまざまな異変が起きている。英イングランドでワイン用ブドウを栽培する農家は、これを歓迎すべき追い風ととらえているようだ。

イングランド南部のサリー州に約107ヘクタールの自社畑を持つデンビーズ・ワインエステートは、創業以来20年以上にわたって赤、白ワインを製造してきた。同社のクリス・ホワイト氏がCNNとのインタビューで語ったところによると、近年の温暖な気候で、収穫できるブドウは質、量ともに向上しているという。「20年前は、ここで(高級赤ワイン用の品種)ピノノワールを栽培すると言ってもまともに取り合ってもらえなかった。それが今では、ピノノワールを使って本格的なフルボディの赤ワインを作り、コンクールで本場フランスに負けないようなスパークリングワインを出品できるようになった」と、ホワイト氏は語る。

ワインの味は、ブドウに含まれる糖分や酸味成分によって変わるが、そのバランスに重要な役割を果たすのが気温だ。特に、仏ブルゴーニュ地方原産のピノノワールなどは、最適とされる気温の幅が狭く、気候の変化による影響を受けやすい。近年では、仏国内の産地で高温被害が出る一方、英国などで栽培に成功するケースが増えているようだ。

イングランドのワイン製造者で構成する業界団体EWPAによると、昨年のワイン生産は300万本を記録し、さらに2015年までに、ほぼ倍増する見通しだという。

この背景として、過去10―15年間に製造技術が大きく進歩したことを指摘する声もある。温暖化だけが要因ではないし、今後も同じ傾向が続くとは限らないとされる。

だがそれでも、「英国ワインの未来は明るい」と予告するのは、ワイン業界に関する著書を出した地質学者、リチャード・セリー氏だ。「今後30―40年間、イングランドのワイン製造は非常に良い時期を迎える」という。イングランド南部が世界最大のワイン産地となる日が、やがて来るのかもしれない。』(12月20日付 CNN.co.jp)


【良いワインの条件】

記事にあるように、近年地球温暖化の影響でワインに限らず様々な農産物に異変が起きているようだ。つい先日にはNHKの「クローズアップ現代」でみかんの栽培地の北限がどんどん上がってきており、数十年先には北海道や東北が名産地になる可能性すらあるという。今は九州や四国といった西日本が中心のみかん栽培にも気候の変化が大きな影響をもたらしているのだ。

ワインもぶどうが主原料だから、ミカンのような果物と同じ問題が生じているのだ。良いワインの条件は土壌と気候であり、特に微妙な温度変化がぶどうの品質に大きな影響を及ぼすことになる。

そんな中、ワインの産地として古くから揺るぎない地位を築いているのは、フランスやイタリア、スペインなどの国々であり、生産高の面でも群を抜いている。イギリスワインは今でもワインの世界ではマイノリティなのだ。

しかし、みかんと同じように温暖化でワインの元になるぶどうの産地が北上していけば、イギリスワインには大きなチャンスが訪れるだろう。地球温暖化や気候変動を人類にとっての脅威と声高に叫んでいるだけでは生きてゆけない。そういう逞しさがワインや農産物を作っている人たちから感じられる。

たとえ人間が破壊しようとしているとしても、新しい自然界の現実と真正面から向き合うことが先ず大事なのかもしれないとこの記事を読んで考えさせられた。みなさんはどう思われますか?  



2009年12月21日

【海の異変】

12月18日、デンマーク・コペンハーゲンで開催されていた地球温暖化対策を話し合う国連の会議「COP15」は、米中も含めた温室効果ガスの主要排出国の首脳陣が政治合意案の内容で一致、締約国全体に示された。しかし、南北の対立は先鋭化し、しかもCO2排出が最も多い中国にも米国にも削減目標の縛りはない。しかし、そんな遠い場所で行われている国際交渉に一喜一憂するよりも、もっと深刻な事態が目の前で起こっていることを知っているだろうか。そのひとつが玄界灘だ。

『福岡県沖の玄界灘で離島を中心にウニが大量発生して海藻を食べ尽くしていることが、県水産海洋技術センター(福岡市西区)の調査でわかった。

 海藻の奪い合いになるほど数が増えているため身がやせていて食用にならない上、海藻を餌にするアワビやサザエも育たなくなっている。漁業者が除去しているが、原因も根本的な解決策もわからず困り果てている。

 センターによると、大量発生しているのはガンガゼ類やムラサキウニ。特にガンガゼ類は、本州中部以南の太平洋側を中心に生息するウニで福岡県ではあまり見られなかった。

 玄界島(同区)、大島(宗像市)、地島(じのしま)(同)、姫島(志摩町)、相島(あいのしま)(新宮町)などの沿岸で確認された。いずれの島でも風や波が穏やかな南側の一部で大量発生している。

 漁業者から「見かけないウニがいる」との連絡を受け、センターが初めて確認したのは約9年前。磯は海藻が食べ尽くされ、岩とウニだけになっていた。その後も大量発生している場所は増加傾向にある。海藻がよく育つ冬から春先にかけて一時的に回復したこともあるが基本的には藻場が育たない状態が続いている。

 この影響で同じように海藻を食べて育つアワビやサザエが激減した。特に顕著な大島では資源を守る目的で毎年一定量しか採取しないため、漁獲高は10年前と変わらないが、アワビやサザエの数は確実に減っているという。アワビやサザエは、ウニに比べてダメージを受けやすいためだが、ウニも食用となる部分がほとんどなく、やせている。

 原因は不明だが、センターは「気候変動による海水温の上昇など生態系のバランスに何らかの変化が起きているからでは」と推測する。これまでの調査で、多いところで1平方メートル当たり5個生息しているウニが3個以下になると、藻場が回復したケースがあった。

 漁業振興の調査研究を行うセンターの浜田弘之・浅海増殖課長(47)は「対症療法を徹底するしかない」としており、大量発生したウニは海中でつぶしたり、陸に揚げたりして除去するよう沿岸の漁業者に呼びかけている。

 糸島漁協姫島支所は2007年から除去に取り組み、今年は7、11月に計3回実施した。吉村満支所長(49)は「ウニは岩がつるつるになるまで海藻を食べ尽くす厄介者。仕事を休んででも地道に除去するしかない」と話している。』(12月19日付読売新聞)


【今そこにある危機】

ここ10年くらいだろうか、ちょうど21世紀になってからは、自然界の異変に関するニュースの質が変わってきているように思えるのは僕だけだろうか。

それまでは局地的というか、あるひとつの地域だけで見られた異変が日本全国あちこちで発生したり、あるいは生物の異常行動や変化がものすごく急激に起こるといったことが感覚的に増えているような気がするのだ。ハチの大量失踪もそうだし、エチゼンクラゲの大量発生もそうだし、やたらと激減したり、激増したりするのだ。気のせいであればいいのだが、おそらく今回のウニの大量発生の記事もその類ではないかと思ってしまう。きっと気候変動がいよいよ生態系に猛烈な勢いで影響を与え始めているのだろう。

ウニが大量発生している海域のひとつに僕の釣りのフィールドである新宮町の相島も入っている。ここ数年、水温が異常に高かったり、釣れる魚の種類が季節とずれてきていることを肌で感じている場所だ。まさに今危機は目の前に来ていると言っていいのかもしれない。  



2009年12月18日

【残された日々】

COP15の閉幕まであと1日。刻一刻と終幕が近づく中、政治合意が出来るのかどうか最後まで予断を許さない状況が続きそうだ。

『国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で16日、日米欧が途上国支援の金額を次々と発表、アフリカ諸国が受け入れる姿勢を見せるなど先進国と途上国が大きく歩み寄った。温室効果ガス排出量の削減目標をめぐる協議は紛糾しているものの、これで暗礁に乗り上げていた交渉が政治合意に向けて動き出す可能性が出てきた。

 日本の小沢鋭仁(さきひと)環境相は同日の記者会見で、途上国の温暖化対策を支援する「鳩山イニシアチブ」として2010~12年の3年間に総額150億ドル(約1兆3400億円)を拠出すると表明した。

 米政府も同期間に「森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減(REDD)」の取り組みに対し10億ドル(約900億円)を拠出すると発表。産業分野の排出規制は法改正など困難を伴うため、日本など先進国の多くはREDDへの参加を表明している。

 すでに10~12年に総額72億ユーロ(約9400億円)の途上国支援を行うと表明している欧州連合(EU)はアフリカ連合(AU)と同日、合同で記者会見。エチオピアのゼナウィ首相が「13~15年に最大で年500億ドル(約4兆5千億円)、16~20年に少なくとも年1000億ドル(約9兆円)の途上国支援を行う基金を設立する」と提案したことについて、欧州委員会のバローゾ委員長は「EUは見解を共有する」と歓迎した。

 支援の半分は温暖化で水没の危機にひんする島嶼(とうしよ)国や干魃(かんばつ)が進むアフリカの支援に充てる考えだ。昨年の金融・経済危機で先進国は財政赤字が膨らみ、13年以降の資金援助に関しては公的資金からの拠出は厳しい状況だ。ゼナウィ首相は「公的資金ではなく温室効果ガス排出にかかる税金や排出量取引で生じた利益で基金を設立する」と述べ、EUも賛意を表明した。』(12月17日付産経新聞)


【根深い対立】

それにしても途上国と先進国との対立は根深いものがある。予想されていたとは言え、これほど南北対立の根深さが中長期的に地球上の生物に壊滅的な被害を与えるであろう気候変動というとてつもない危機を目の前にしても政治合意を阻み続けているのだ。

危機を予見する科学者や高いモラルを持った知識人や政治家、経済人たちが危機回避のための行動を呼びかけても、人類全体としては南北の貧富の格差や政治的打算や短期的な経済上の利益のために半歩先さえも進めなくなるという現実。これでは突然の氷河期到来で絶滅したマンモスなどと同じ運命を辿らざるを得なくなるだろう。そして恐ろしいのは、そうした事態が自分たちの世代で起こる確率が高まっているということだ。

【総論賛成・・・】

今年7月のイタリア・ラクイラでのG8サミットで「世界全体の平均気温の上昇が2度を超えないようにすべきとの科学的見解を共有する」との宣言に続いて、新興国・途上国も加わった主要経済国フォーラムでの気候変動に関する首脳宣言でも同じような文言が発表された。南北の国々が気温上昇の危険性を認識し、2度を超えないようにするというのは画期的なことだったのに・・・・・いざ具体論になると振り出しに戻ってしまうもどかしさ。

先日見たハリウッドのフィクション映画「2012」の映像が頭をよぎる。2012年とは京都議定書が失効する年だ。シチュエーションや危機の形態やスピードは違っていても、この映画が現実のものになる可能性が刻一刻と高まっていると言わざるを得ないだろう。世界中の気温が上昇して生物が生きられる環境が損なわれれば、「ノアの箱舟」で逃げる場所はないのだ。
  




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海や山、自然が好きな九州男児です。あらゆる機会をとらえて、時代の変化をいつも感じていたいと思っています。
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