2011年10月17日

【コスト見直しスタート】

福島第一原発の核惨事を経験してはたしてどこまで本当の見直しが進むでしょうか。

『政府は7日、「エネルギー・環境会議」(議長・古川元久国家戦略担当相)に設置した「コスト等検証委員会」の初会合を開き、電源別発電コストの見直し作業に着手した。福島第1原発事故を受け、最も割安とされてきた原子力発電のコストを厳しく見直すとともに再生可能エネルギーのコスト低下の余地も検証する。政府は年末までに検証結果をまとめ、12年夏までに行うエネルギー政策の見直し作業に反映させる。

 初会合では、原発について、事故に備えた賠償費用や安全対策費のほか、立地補助金などの政策経費もコストとみなす方向を決定。また、エネルギーすべてに関して、20~30年後の発電コストが技術開発や普及などでどう変化するかも推計するとした。核燃料サイクル費などの算出には原子力委員会の協力を得る。委員長の石田勝之副内閣相は「これらのデータを踏まえ、将来のベストミックス(適切な電源構成)を考える」と説明した。

 政府は従来、1キロワット時当たりの発電単価を原発5~6円▽液化天然ガス(LNG)6~7円▽太陽光37~46円などとし、原発が最も割安として推進の根拠としてきた。ただ、試算は発電所の稼働率や運転期間、燃料費などで大きく変動する上、原発の政府試算は廃炉費用などを十分に織り込んでいないとして「原発推進のための数値」と批判されてきた。

 委員に就任した大島堅一立命館大教授が電力各社の有価証券報告書を基に試算したところ、原発は稼働率低下や再処理費用の膨張などで11~12円と倍増。事故時の賠償費用などを加えれば、更にはね上がる可能性がある。

 また、火力発電は新興国の需要急増などで燃料費の上昇圧力にさらされる。温室効果ガス排出削減対策などの費用も増えそうだ。

 一方、再生可能エネルギーは固定価格買い取り制度などで普及が促進される見通しで、量産効果や技術開発によるコスト削減が期待される。最も割高とされる太陽光発電も、技術革新の余地が大きいとされ、今後20年で7円程度まで下がるとの試算もある。ただ、再生エネは出力が不安定な弱点をカバーするための技術開発や投資が必要。技術開発の見通しなどの前提にも大きく左右されるため、適切な試算は難しそうだ。』(10月7日付毎日新聞)


【重要な論点】

電源別の発電コストについては、以前も何度かお伝えしていますが今後原発をどうするかの議論を進めていく際に、最も重要な論点となるのは間違いありません。それがわかっているから従来から経産省は原発の発電コストは安いという宣伝を自らやったり、日本エネルギー経済研究所などの同省所管の外郭団体を使ったりしてきました。もちろん、その計算根拠をすべてつまびらかにすることなく、自分たちの都合のいいデータだけだして言わば国民をだましてきたのです。

福島第一原発がこれほどの核惨事を起こして、まさに日本が壊滅するのではないかという瀬戸際までのリスクを経験した以上、これからはこんなでたらめなことは絶対に許してはいけません。市民がしっかりと経産省をはじめとする原子力ムラを監視していかなければならないのです。

そんな中で政府の「エネルギー・環境会議」が電源別エネルギーコストの見直しに当たって、原発について、事故に備えた賠償費用や安全対策費のほか、立地補助金などの政策経費もコストとみなす方向を決定したとのことですが、これとて真正直に信じていいのかどうか慎重に見極めなければなりません。まずは議論を公開して議論の途中でも細部までデータのすべてを国民の前に示しながら見直しを進めていくことが最低条件でしょう。そうでなければまた最後のところで自分たちの都合にいい方向にもっていこうとするのは見えているからです。

いづれにしても議論の行方を注視していきたいところです。

≪参考≫

・『「安い原発の発電コスト」を垂れ流す御用機関、マスコミの大罪』・・・2011年9月7日付の僕のブログ記事
  



2011年01月31日

【ケータイが変える】

ケニアで新しい銀行のカタチが広まりつつあるのをご存じですか?写真をご覧ください。そこでは屋台のような窓口で、店員とお客がケータイで何やら取引しています。これって銀行?

1月31日号アジア版タイム誌「ケニアの銀行革命」("Kenya's Banking Revolution" by Alex Perry and Nick Wadhams, p.45-46, Global Business, TIME magazine on Jan.31,2011)という記事に革命的な変化がケニアのファイナンスシーンに起きているという記事がありました。

【簡易店舗にケータイだけ】

日本ではすでに「お財布ケータイ」といった呼称でモバイルバンキングが普及しつつありますが、まだまだ若い世代や一部のケータイを使いこなしている利用者を除いて高齢者や低所得者などには広まっていないのではないでしょうか。

ところがもともと電話設備のインフラや銀行店舗などが限られていたケニアなどのアフリカ諸国で、近年爆発的に携帯電話が一般庶民にまで普及するのに歩調を合わせて、新しい銀行ビジネスが旧来の銀行業界ではないところから出現、広まっているのです。

その名はサファリコム(Safaricom)。1997年にケニアの携帯電話会社が設立した「銀行」です。仕組みは簡単。今では大衆に広まったケータイを使って、テキストメッセージで顧客から受け取ったキャッシュを僅かな手数料で送金する。その名はM-Pesa。MはモバイルのM、Pesaはスワヒリ語でお金の意味だそうです。当たり前の為替システムの原型ですが、簡易な店舗とケータイだけで出来るので設備投資がほとんどかからないこと、顧客の数は急速に増えていることでリーマンショックもものともせず爆発的に利益をあげているのです。

Mobile banking has been available for years in Japan and elsewhere, but only on a limited basis. M-Pesa's growth has nonetheless been extraodinary. Of Safaricom's 16 million customers, 12 million have M-Pesa accounts - this in a nation of 39 million people.

【もうひとつの革命】

ソーシャルネットワーキングのフェイスブック(Facebook)の利用者が世界中で5億人とか6億人となり、チュニジアの政変を誘発したり、エジプトの民衆蜂起の道具に使われたりと世界中にインターネットを通して物凄い変化が起きていますが、ケータイもアフリカでは10年ほど前のゼロに近かったころから現在は5億人以上が所有していると言われています。ケータイもインターネット同様、電話のインフラがなかった途上国で急速に普及することで、先進国以上の革命的変化が起きているのです。

それが経済にもたらす恩恵も半端ではありません。世界銀行と会計コンサルタントのDeloitteによると、途上国で100人に10台ケータイが追加普及すると、GDPが0.6%から1.2%上昇するそうです。

The World Bank and the consultancy Deloitte found that for every additional 10 mobile phones per 100 people in a developing country, GDP rose 0.6% to 1.2%.

従来型の銀行がほとんど存在しなかったケニアに出現したサファリコムのように新しい「銀行」システムが既存の銀行を呑み込む日がそう遠くない将来に来るのかもしれませんね。  


2010年06月23日

【議会証言】

メキシコ湾の原油流出に対するBP社への追及は日増しに厳しくなっているようです。

『米メキシコ湾の原油流出事故で、国際石油資本(メジャー)英BP社のヘイワード最高経営責任者(CEO)が十七日、米下院エネルギー・商業委員会監視調査小委員会の公聴会で証言した。十一人が死亡した四月二十日の爆発事故以来、同氏が証人として米議会に出席するのは初めて。

 ヘイワード氏は「決して起きてはならない事故が発生したことを心から遺憾に思う。原因が何であろうと、このような事態が二度と起きないようにする」と言明。再発防止に努める姿勢を強調した。

 エネルギー・商業委員会のワクスマン委員長は今月十四日、同氏に書簡を送り、BP社がコスト削減と工期短縮のために危険な工法を採用していた可能性があるなど「深刻な疑問」を指摘。

 だが、ヘイワード氏は「先例のない欠陥が重なって起きた複雑な事故。いくつかの企業が関係しており、原因を判断するのは時期尚早だ」としている。

 同氏は先月、英紙の取材に「メキシコ湾は巨大な海。水の量全体に比べれば(流出した)油は少量だ」などと発言。事故に対する認識を、オバマ米大統領からも批判された。』(6月18日付東京新聞)


【スバンベリ会長の失言】

ヘイワード氏は議会公聴会でも厳しい追及にあったようですが、BPのもうひとりの主役であるスバンベリ会長は、オバマ大統領との会談後のメディアとのやり取りでもっと厳しい非難に晒されたようです。それは、17日のポッドキャストのアンダーソン・クーパー・ニュースを見て知りました。

スバンベリ氏は記者の質問に応えて、「私たちのような石油会社は貪欲で、市民のことなど考えていないと思われているが、それは違う。私たちは『small people』のことも考えている。」と発言したのです。

He said that he sometimes hears that oil companies are greedy or don't care about people, but that's not true.

"We care about the small people," Svanberg said.

(excerpts from the article of "BP Chairman: "We Care About the Small People"" on June 16, 2010 by CBS news)


この発言に対して、アンダーソン・クーパー氏は怒り心頭といった表情で、「small peopleとは一般大衆の意味で言ったかもしれないが、それならばlittle peopleが正しい。しかし、どちらにしてもメキシコ湾岸でこの原油流出に大迷惑を被っている人々はBPに『一般大衆』などという言葉で蔑まれるような人たちではない。馬鹿にするな。」とコメントしていました。スバンベリ氏はどうもスウェーデン人らしく、英語は第二外国語として喋っていたため、単語を間違えたのでしょうが、言葉の問題というよりもその傲慢そうな態度と言い、BPのトップとしていかにもアメリカ国民を馬鹿にしているとしか聞こえない発言でした。

案の定、翌日には同氏はこの発言について謝罪したようです。BPはBritishとついていますが実際には多国籍の石油メジャーですが、同氏が意図せずに馬脚をあらわしたというか、やはり石油会社というのはカネのことしか考えていないと思わせるような一幕でした。  



2010年04月20日

【異変】

これは乗用車を取り巻く環境の「異変」が深く静かに進んでいるということなのだろうか。

『日本自動車工業会が8日発表した2009年度の「乗用車市場動向調査」で、全国で乗用車を保有する世帯の比率は75・8%となり、前回(07年度)調査比で3・4ポイント減少し1995年度以来14年ぶりの低水準となった。

 車を持たない世帯が約4分の1に上っていることを示しており、不況の影響などで経済的理由から車を手放す世帯が増えていることをうかがわせている。

 一方、買い替え予定車のエンジン(動力)のタイプを聞いたところハイブリッド車(HV)が前回調査の22%から32%となり初めて3割を超えた。今回から選択肢を加えた電気自動車も5%に上り、環境に配慮したエコカーへの関心が年々高まっている様子が浮き彫りとなった。

 調査は隔年で行っており、今回の調査は09年9~10月に実施し、3926人から回答を得た。』(4月8日付読売新聞)


【消費者が車を選ばなくなる時代】

昨年はGM、クライスラー等アメリカ自動車産業の凋落、その前はリーマンショックに端を発した金融危機やガソリン高騰による自動車の販売不振と自動車を巡る環境はめまぐるしく変化している。さらに去年暮れから今年にかけては、トヨタの大量リコール問題発生。まさに20世紀の社会をけん引してきたとも言える自動車文化は21世紀に入ってからその存立の基盤を脅かされるような環境変化に見舞われているのだ。

今回の調査で明らかになった消費者の自動車離れの動きは、単なる経済的理由だけではなく、これから始まる自動車社会の劇的変化の予兆のように思える。それは、少なくとも日本では若い人を中心にクルマを持ちたいという欲望が次第に薄れてきているのではないかという予兆だ。これからもクルマを持ちたい、クルマを運転したいと思わせるためには何が必要なのか、CO2を排出しないクルマを作るという命題とともに、自動車メーカーに課せられた課題は重い。
  


2009年03月18日

【来日会見】

気候変動、地球高温化(温暖化)に関してのこの方の発言には重みがある。

『2007年のノーベル平和賞をゴア元米副大統領と共同受賞した、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の議長、ラジェンドラ・パチャウリ氏が12日、都内で記者会見し、「(温暖化防止のために)今が重要な局面。時間はない。世界は決意し、温室効果ガス削減のために具体的な行動をとらなければならない」と警鐘を鳴らした。

 同議長は国際会議に出席するため来日、今年12月にコペンハーゲンで開かれる気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)でポスト京都議定書の国際的な枠組みを決めるとされていることから会見した。

 同議長は世界的な景気低迷について「チャンスととらえ、社会の考え方を根本的に変えるべきだ」と述べた。日本が1970年代の石油ショックを契機に省エネ技術を開発し、エネルギー効率を高めたことに言及、「困難な状況は今と似ている。強い意思を持って動けば、乗り越えることができる」と語った。』(3月13日付産経新聞)


【危機感の違い】

パチャウリ議長に背中を押されるまでもなく、地球高温化(温暖化)に対する日本の動きにいかにも遅い。とても、昨年夏に洞爺湖サミットで高らかに「低炭素化社会」を目指すと公言した国とは思えないのだ。なぜか。

ひとつの大きな原因は、地球高温化(温暖化)問題に関して役所任せでリーダーシップを発揮できない首相にある。

未曾有の経済危機に見舞われている今こそ、環境ニューディールを掲げて大きな舵を切りつつあるオバマ大統領の米国を見習うべきだ。危機という意味では、短期的には現在の経済危機だが、中長期的には地球高温化(温暖化)はもっと大きな人類の脅威なのであり、しかもここ10年の取り組みがその運命を左右するほど重大なのだ。だから今こそ、地球高温化、気候変動を回避するために必要な新しい産業創出を政府がリーダーシップをとって先導すれば、大きな雇用機会も創出できるし、何より百年の計に立った国家戦略として世界に貢献できるではないか。

政治家の危機感が薄く、リーダーシップも発揮できないから、経済産業省や環境省などの役所が産業界の意向や省益ばかりにとらわれて身動きが取れないのだ。政府も自民党も、そして民主党も今こそ気候変動がもたらす新しいパラダイムシフトに対応すべく、この経済危機をバネにして環境ニューディール策を官僚にたよらず、自らの手でつくって国民に示すべきだと思うがどうだろうか。
  


2009年01月28日

【相談殺到】

農林漁業への就職希望が殺到しているそうです。

『雇用情勢が悪化する中、農林漁業への就職を希望する人が急増している。農林水産省や関連団体が、派遣切りなどの雇用問題に対応するため08年12月24日に設けた窓口への相談件数は、20日までで3000件を突破した。後継者不足に悩む農林漁業にとっては、不況の深刻化が思わぬ「追い風」となっている形で、この機会に人材を確保しておこうという農業法人や林業組合などからの求人も1900件近くに達している。

 農水省は雇用問題への緊急対策として、本省や全国7カ所の地方農政局、39カ所の農政事務所などのほか、都道府県や関係団体なども常設の窓口を設置し、就労希望者を対象に相談会などを開いている。同省の集計では、これらの窓口に20日までに寄せられた相談件数は計3149件で、希望職種は林業が最多で農業、漁業の順という。求人は林業855件、農業837件、漁業195件の計1887件に上る。』(1月24日付毎日新聞)


【厳しい雇用情勢】

それにしても、現下の雇用情勢の厳しさがこんなところにまで深く影響しているのだと思うと、本当にびっくりさせられますね。

この新聞報道によれば、これまでに23の農業法人に就職が決まった47人は、すべて家電メーカーで「派遣切り」に遭った人など失業者だったということです。また、昨年末に100人規模で求人した日本養豚生産者協議会によると、今月23日までに応募した88人の2割近くが派遣を打ち切られた人だとのこと。

さらには、大阪市で9、10日に開かれた全国森林組合連合会の相談会には、昨年より8割多い1254人が詰めかけ、その中には、農林業に縁の薄い文系学生の就労希望者も多く含まれているそうです。

昨年末からテレビなどで連日報道されている派遣社員の解雇や大学生の厳しい就職事情の波紋が、思わぬ形で農林漁業の求人難にプラスに働いているのです。

【逆境をチャンスに】

「100年に一度と言われる」金融危機がもたらした世界同時不況。もうどうしようもないと思えば、先は見えなくなるばかりです。

こんなときこそ、逆境をチャンスに変える気持ちを持ってひとりひとりが前向きに対応していくしかありません。

それは「派遣切り」で職を失った人にとっても、新たな道を農林漁業に求めていくという別の活路を見出すというチャンスなのかも知れないのです。後継者難に悩む日本農業の活路にもなっていく可能性を秘めているかも知れません。

ただ、ひとつだけ注意しないといけないのは、雇用情勢が悪化する中、農林漁業への就職を希望する人が急増しているからといって、農水省や政治家は、それを隠れ蓑にして、農林業の将来のあるべき姿を国民の前に一刻も早く示すことなく、天下りや無駄な役所仕事を悠然と続けてもらっては困ると言うことです。改革すべきことは山ほどあるはずだから。

みなさんはどう思われますか?

《参考》

・「全国新規就農相談センター」ホームページ
  



2008年11月17日

【非正社員増加中】

どこまで比率は上がるのだろうか。

『パートや派遣労働者など非正社員の割合が2007年10月1日現在で37・8%に上っていることが7日、厚生労働省の調査で分かった。

 前回調査の03年から3・2ポイント増加した。正社員の割合は62・2%で、3・2ポイント減少している。

 従業員5人以上の1万791事業所と、そこで働く2万8783人の回答をまとめた。非正社員がいる事業所は77・2%で、03年比1・9ポイント増。非正社員を活用する理由を複数回答で尋ねたところ、「賃金の節約のため」が40・8%と最も多く、「仕事の繁閑に対応するため」(31・8%)、「能力のある人材を確保するため」(25・9%)が続いた。

 一方、07年9月に20万円以上の賃金を得た正社員は86・8%だったが、非正社員は21・5%のみ。10万円未満しか得ていない非正社員は40・5%に上った。』 (11月8日付読売新聞)


【広がる格差】

日本の労働力人口はおよそ6700万人。そのうちの4割と言えば、約2700万人にのぼる。それほど多くの人たちがパートや派遣労働者として働いているのだ。しかも、そのほとんどは年収200万円に満たない収入なのだ。

もちろん、家庭の主婦のように自分の都合のつく時間だけ働きたいというニーズに応えている面も多分にあるだろう。しかし、正社員になりたくてもなれずに非正社員での雇用に甘んじている若年労働者なども相当いるのではないかと思われる。

企業にとっては、すぐにはやめさせられない正社員とは違って、業況や仕事量に応じてその数を比較的容易に調整できる非正社員は便利な存在なのかもしれない。しかし、一方でこれだけ大きな勢力となると、正社員との間の収入や待遇の格差が広がり、日本社会全体に与える影響も無視できないものがある。

【求められる方策】

非正社員がこれだけ社会全体に広がり、定着すると、そう簡単には非正社員の枠組みを変えることはできないだろう。ただ、だからと言って非正社員の抱える悩みや格差是正の声をそのままにしておけば、将来にわたってそれらの方々の不満の爆発といった社会的リスクを増大させていくことになるだろう。

ここは官僚による統計の集約にとどまらず、今後の日本社会全体の雇用のあり方についての議論を深め、正社員と非正社員の格差是正や枠組みそのものの見直しについて、政治が動く必要があるのではなかろうか。
  


2008年10月17日

【桁不足?】

米国発の金融危機を象徴するような、笑えない話が話題になっている。

『ニューヨークの繁華街タイムズスクエアに設置されている電光掲示板「借金時計」が米国の財政赤字の急増で、けたが足りなくなり、公的債務の額を示す数字の左隅に「1」を追加する応急措置が施された。AP通信が8日伝えた。

 借金時計は1989年、ニューヨークの不動産業者の故ダースト氏が造った。当時表示された債務額は約5兆5000億ドルだったが、現在は10兆ドル(約1000兆円)以上に膨れ上がっている。運営者は、来年にけたを正式に2つ増やす工事をする計画という。』(10月10日付フジサンケイビジネスアイ)


【時代の変化】

たった20年ほど前に作られたときには、こんなに早く米国の借金が10兆ドルにまで膨れ上がるとは想像していなかったに違いない。つい数ヶ月前に原油が140ドル以上に高騰し、ガソリンスタンドの電光表示板が1リットル100円台までしか想定しておらず、200円台に備えるために掲示板の改良工事を始めたというニュースを思い出す。

このふたつの事例の数字の大きさはまさに「桁違い」だが、ここ数年の経済の変化がいかにすさまじいかを物語っている。ちっぽけな僕ら人間の想像力をはるかに超えているのだ。

21世紀に入って未だ8年しか経っていないのに、この新しい世紀がとてつもない大波乱の世紀になることを数字が示しているのだ。みなさんはこの数字、どうご覧になりますか?
  


2008年10月14日

【驚くべき販売不振】

販売額が3割近く減るというのは、企業の命運にかかわる事態だ。

『米調査会社オートデータが1日まとめた9月の米新車販売台数によると、業界全体の販売台数は、前年同月比26.6%減の96万4873台と93年2月以来15年7カ月ぶりに100万台を割り込んだ。11カ月連続の前年実績割れで、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に端を発した金融危機が自動車市場を直撃した形となった。

 これまで米大手3社(ビッグスリー)に比べて落ち込み幅の小さかった日本車も、軒並み前年実績比で2~3割減と大幅に落ち込んだ。全米2位のトヨタ自動車は同32.3%減の14万4260台と低迷し、87年7月以来、21年2カ月ぶりの減少幅を記録。ホンダ(5位)も同24%減の9万6626台と落ち込み10万台を割り込んだ。日産自動車(6位)も同36.8%減の5万9565台と不振だった。』(10月2日付毎日新聞)


【忍び寄る金融危機の影響】

自動車業界がこれほどの販売不振に喘いでいるのは一体何故なのだろうか?

もともとは、石油価格の急騰による車離れが世界的に進んだのが発端だったのだろうが、今その販売不振の元凶は原油高から金融危機の影響に主役を交代しつつある。

新聞報道にもあるように、ガソリン高騰の余波でピックアップトラックなどの大型車の販売減が目立っていたのが、この9月からはリーマン・ブラザーズの破綻を契機に未曾有の金融危機の影響が、小型車さえも売れないという状況にまで及んできたのだ。

日本車さえもが売れなくなりつつあるアメリカ。これは金融危機が実態経済に深刻な影響を与え、本格的な景気後退が目の前に迫っていることを示している。

金融安定化法案は先週末に難産の末にようやく米議会を通過したものの、これで金融マーケットが安定化するかどうかは未だ予断を許さない状況だ。

そんな中、あと数ヶ月もしないうちに、米国の自動車の販売不振は日本へもその余波が拡大していくだろう。裾野産業が広い自動車業界の不振は経済全体に波及する。心しておかないといけない。
  


2008年10月10日

【アメリカ合衆国がフランス?】

このところのアメリカからのニュースは、アメリカがアメリカでなくなるような出来事ばかりが続いています。どういう意味? そうです、住宅投資機関のフレディ・マックとファニーメイへの政府保証、保険会社AIGへの公的支援、そして先週は7千億ドル(70兆円)にものぼる公的資金を金融機関に投入するという金融安定化法案の成立と、金融を中心にアメリカ政府による「大きな政府」への傾斜が続いているのです。

この現象をタイム誌がおもしろいタイトルで取り上げていました。題して、「ユナイテッド・ステーツ・オブ・フランス」("The United States of France", page 25 TIME dated on October 6, 2008)。アメリカが「フランス合衆国」になった? 

【金融、そして自動車も】

アメリカは銀行を国有化してしまい、次は自動車産業まで国有化しようとしている。これってアメリカ人自身が蔑んでいた国そのものに似てきているのでは?

We've nationalized the banks; the auto industry is next. We now resemble the very country we love to mock

そう、その国とはフランスのことなのです。週の労働時間は27時間、月に19日の休暇を取って、二日に一回はストライキしながら、毎日ワインでランチ。そういう社会主義福祉国家フランスを軽蔑していたアメリカ政府も国民も、自由競争を標榜するアメリカの象徴だった金融や自動車を半国有化せざるを得なくなって、フランスに限りなく近づいているのです。

【色褪せる強大国アメリカ】

アメリカ人自らが、アメリカの自慢の産業である金融と自動車をフランスと同じだと揶揄せざるを得ないほど、追い詰められつつある現実。

皮肉にもブッシュ政権は9/11の二つの高層ビルの崩壊で始まり、二つの巨額の浪費で終わろうとしています。後者の浪費とは、ひとつはイラク戦争の軍事費6530億ドル、もうひとつは7000億ドルの公的資金をはじめとする金融界への政府資金投入です。

金の切れ目が縁の切れ目。強大国アメリカもその資金力が色褪せれば、その凋落も早いのではないでしょうか。次に来るであろうアメリカからの大波に僕たち日本人も備えておく必要がありそうです。
  



2008年10月06日

【驚くべき販売不振】

販売額が3割近く減るというのは、企業の命運にかかわる事態だ。

『米調査会社オートデータが1日まとめた9月の米新車販売台数によると、業界全体の販売台数は、前年同月比26.6%減の96万4873台と93年2月以来15年7カ月ぶりに100万台を割り込んだ。11カ月連続の前年実績割れで、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に端を発した金融危機が自動車市場を直撃した形となった。

 これまで米大手3社(ビッグスリー)に比べて落ち込み幅の小さかった日本車も、軒並み前年実績比で2~3割減と大幅に落ち込んだ。全米2位のトヨタ自動車は同32.3%減の14万4260台と低迷し、87年7月以来、21年2カ月ぶりの減少幅を記録。ホンダ(5位)も同24%減の9万6626台と落ち込み10万台を割り込んだ。日産自動車(6位)も同36.8%減の5万9565台と不振だった。』(10月2日付毎日新聞)


【忍び寄る金融危機の影響】

自動車業界がこれほどの販売不振に喘いでいるのは一体何故なのだろうか?

もともとは、石油価格の急騰による車離れが世界的に進んだのが発端だったのだろうが、今その販売不振の元凶は原油高から金融危機の影響に主役を交代しつつある。

新聞報道にもあるように、ガソリン高騰の余波でピックアップトラックなどの大型車の販売減が目立っていたのが、この9月からはリーマン・ブラザーズの破綻を契機に未曾有の金融危機の影響が、小型車さえも売れないという状況にまで及んできたのだ。

日本車さえもが売れなくなりつつあるアメリカ。これは金融危機が実態経済に深刻な影響を与え、本格的な景気後退が目の前に迫っていることを示している。

金融安定化法案は先週末に難産の末にようやく米議会を通過したものの、これで金融マーケットが安定化するかどうかは未だ予断を許さない状況だ。

そんな中、あと数ヶ月もしないうちに、米国の自動車の販売不振は日本へもその余波が拡大していくだろう。裾野産業が広い自動車業界の不振は経済全体に波及する。心しておかないといけない。

  



2008年07月16日

【また一斉休業】

福岡県の漁業者も一斉休業に入った。

『燃料代高騰による漁業の窮状を訴えようと、福岡県の全38の漁業協同組合が12日、一斉休漁に入った。対象は約7000隻。同県漁業協同組合連合会(福岡市)によると、県内一斉休漁は初めて。同日午後には漁業者約400人が同市内で決起大会とデモ行進を行う。

 同県漁連によると、県内で主に使われている燃料の軽油価格は現在、1リットル約120円、5年前の約3倍に上昇している。水揚げした魚を売っても燃料代が賄えず、廃業に追い込まれる漁業者が相次いでいるという。

 同県宗像市の鐘崎漁協ではこの日、約240隻が漁を休んだ。鐘崎でアナゴ漁を営む広橋幸年さん(53)は「今年に入って1週間ごとに燃料代が上がる感じ。今のままじゃ生活できない。沖に出れば出るほど燃料代がかさむので、たくさんの船が競って近くの漁場に集まっている。国の対応は遅すぎる。漁師を大事にしてほしい」と訴えた。』(7月12日付西日本新聞)


【自助努力の域を超え】

漁業者の叫びは、原油高にあえぐ日本漁業の危機の深刻さを物語っている。新聞報道によれば、漁船用A重油の6月の価格は1キロリットル当たり約10万7000円で、半年で6割程度上昇する一方、魚価は伸び悩んでおり、漁業関係者の収入が大幅に減少しているというのだ。さらに燃料費は5年前の3倍にまで上昇しており、経費全体の3割近くが燃料代に使われると言う漁業者にとってはまさに原油高は即し活問題なのだ。

このままいけば早晩、漁業者の倒産が続出するだろう。今回の事態は過去にはなかった異常事態だという認識を一般消費者も政治家も官僚ももつべきだと思うのは僕だけだろうか。

【厳しい現実】

しかし、漁業者にとって現実は厳しい。漁業関係者によれば、今回の一斉休漁が魚価に与える影響については、福岡市中央卸売市場鮮魚市場(中央区)が13日は休みのため「ほとんどない」とのことで、一斉休業やデモと魚の消費低迷や魚価に相関関係はほとんどないのが現実なのだ。

そんな中、県内の38漁協は全国漁業協同組合連合会(東京)などが15日に予定する全国一斉休漁(約20万隻が対象)にも参加する予定だという。漁業者にとって長く暑い夏が続く。

  




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