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2009年01月22日

【米国のエネルギー事情】

昨年9月に深刻化した金融危機が実体経済にまで深刻な影響を及ぼしている米国。その血液ともいえるエネルギー源はもちろん石油。金融危機の勃発以降、急速に石油の値段は下がり、何もかもが悪化していく中、資源価格の下落にだけはほっと一息ついているという状況だ。

でも、それはあくまでも短期的な話。いづれ新規の油田開発などが進んでいない現状では、世界的な景気回復の芽が出てくれば早晩石油価格は再び上昇基調に戻っていくだろう。

ではどうするか。その問題解決策のひとつとしてここ数年躍り出てきているのが原子力エネルギーだ。スリーマイル島の事故以来新規の建設が40年近くストップしていた米国で、35基の新規原発建設が計画段階にあるのだ。

【原子力の出番?】

まさに原発ルネッサンスと呼ばれる所以だろう。その理由は、石炭や石油と違いCO2を排出せずクリーンだというものだ。しかし、12月31日のウェブ版タイム誌の記事「原子力再登板-依然としてエネルギーの万能薬にはなりえない?」 ("Nuclear's Comeback : Still No Energy Panacea" dated on Dec. 31, 2008, TIME)が指摘するとおり、新規の原発計画は今猛烈なコスト高に喘いでいるのだ。

Proponents tout atomic energy as a clean, carbon-free alternative to coal and oil. But shy-high costs and uncertain financing could sink nukes again

原子力には表面的には追い風ばかりが目立つ。米議会にもかつてのような反原発派はみられなくなったし、米国のエネルギー需要も2030年まで3割も増加するという見通しもあるし、なによりCO2を直接排出しないので地球温暖化に役立つという主張もあるのだ。

しかし、その原子力エネルギーに暗雲が立ちはじめているというのだ。それは開発のコスト。以前から高いといわれていたが、非常に高いどころか、メチャクチヤに高いとわかってきたのだ。

It turns out that new plants would be not just extremely expensive but spectacularly expensive.

マケイン氏の主張するように2030年までに45の原発を新設すると、1兆ドル以上ものコストがかかるという。しかも、それすらこれから廃炉を迎える原発の代替にも間に合わないのだ。

こんな状況を見て、ウォールストリートの機関投資家たちは原発への投資にすでにそっぽを向いている。

【即効薬はない?】

さらに悪いことに、原発ルネッサンスは地球温暖化防止にも当面役立たない。なぜなら原発は建設までのリードタイムが長く、米国で最初に新規原発が稼動するのは2016年以降であり、ここ10年のCO2削減が勝負と言われる地球温暖化防止対策にも全く間に合わないのだ。

ではどうするか? 風力などの自然エネルギーの大幅増強、CO2の排出が少ない石炭や天然ガスの活用法の開発なども即効性は期待できない。最後はやはり需要の抑制と既存のエネルギーの効率的な活用しかないのかもしれない。

The key will be reducing demand through energy efficiency and conservation.

原子力のコスト問題が僕たちに突きつけているのは、いかに需要を減らし、効率的に今ある資源を活用するかという至極当然な命題なのだ。しかし、限られた時間の中では、そこにしか僕たちの未来はない。そして誰にでも始められる解決策でもあるのだ。

  



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