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2009年06月12日

【飛行機との競合】

今から数十年前、まだ統一通貨ユーロもなく、鉄道で旅をし国境近くに来ると車掌が各車両に周ってきてマルクをリラに換えたり、スイスフランをポンドに換えたりしていました。お金はなくても時間はたっぷりある海外からやってくる学生たちは、ユーレイルパスという欧州どこでも乗れる旅行者用のパスで、時刻表を片手にのんびり鉄道を旅するのが最高の贅沢でした。僕も大学時代に欧州に行ったときは、飛行機ではなく、鉄道の旅を選んだのはそのためです。

しかし、12年前に欧州で実施されたエアラインの規制緩和で、場所によっては航空運賃が鉄道よりも安くなり、飛行機を利用して旅行をする機会が飛躍的に増えていました。必然的に鉄道は脇役となっていたのです。

それが今、大きく変わりつつあるという知らせがタイム誌から舞い込んで来ました。

【鉄道ルネサンス】

6月8日号タイム誌の記事「鉄道に取り組む」("Working on the Railroad" by TIME dated on June 8, 2009)によれば、欧州では長い間航空機に乗客を奪われていた鉄道が、今規制緩和によってより速く、より安いサービスで息を吹き返していると伝えています。

Working on the Railroad. Train travel in Europe has been losing passengers to airlines, but deregulation is about to usher in an era of faster ,cheaper rail service

非効率の象徴だった国営鉄道に代わって、今脚光を浴びつつある鉄道ルネッサンスの国は、スペイン、イタリア、そしてフランス。 スペインのAVE(Alta Velocidad Espanola)、イタリアのNTV(Nuovo Traporto Viaggiatori)、フランスのSNCF(Societe Nationale des Chemins de Fer Francais)など最新鋭の高速鉄道による比較的短距離の国境を跨ぐ鉄道路線は、航空機を凌ぐ売り上げでマーケットシェアを奪い返しているのです。

EU9ヶ国の高速鉄道は、現在の5千キロから10年後には三倍の15千キロにまで伸びると言われています。これほどの革命的変化をもたらしているのが、昨年の12月に始まった欧州域内の鉄道路線の自由化です。

The most radical change arrives this December, when European Union regulations will for the first time allow all the rail operatiors to compete with one another for passengers on international route.

【環境に優しい鉄道への回帰】

アメリカでもオバマ大統領のグリーンニューディールによって、CO2排出の少ない大量輸送の担い手として鉄道網の見直し計画が進められています。GMやクライスラーといった米国大手自動車メーカーの相次ぐ破綻によって、21世紀の交通の担い手は従来の石油を燃料とするクルマからハイブリッド、そして電気へと主役が交代することが明白となりました。それとともに、大量輸送の担い手も鉄道への回帰、そして鉄道ルネサンスのうねりが始まろうとしています。
明治時代から、狭い国土に欧米の技術による鉄道を貪欲そして愚直に取り入れて、今では世界一の鉄道網と高速で安全なシステムを作り上げた日本。これから世界をリードする素地は十分にあります。

JRや私鉄各社はこの機会を最大限に活用して、欧米の鉄道ルネサンスをサポートし、低炭素社会実現に後ろ向きな産業界に活を入れてほしいものです。

それにしても、これからは欧州旅行の楽しみがまたひとつ増えそうですね。

  



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海や山、自然が好きな九州男児です。あらゆる機会をとらえて、時代の変化をいつも感じていたいと思っています。
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