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2010年02月18日

【森林が排出源?】

またひとつ、温室効果ガスの削減に黄色信号が点滅している事実が明らかになったようだ。

『温室効果ガスの吸収源であるインドネシアの熱帯雨林が、排出源に転じている可能性があることが、大崎満・北海道大教授(植物栄養学)や国際協力機構(JICA)の研究で分かった。頻発する森林火災の煙で太陽光が遮られ、光合成が抑制されるためと考えられる。チームは今月、森林火災の影響を抑えて天然林を吸収源に戻すプロジェクトを始めた。

 チームは97~07年、中部カリマンタン州の熱帯雨林約100万ヘクタールを対象に、(1)天然林(2)森林は残っているが、農業用水路を掘るなどの開発で乾燥が進む地域(3)森林火災の跡地--での温室効果ガスの排出と吸収を測った。

 その結果、乾燥地と火災の跡地では、1平方メートル当たりの年間排出量が、吸収量を1500~3000グラム上回っていた。天然林でも、排出量が吸収量より約400グラム多かった。

 天然林は光合成を通じて大気中の二酸化炭素を吸収する働きがある。しかし周辺で断続的に起きる森林火災の煙が太陽光を遮り、光合成を抑制。さらに乾燥地では微生物の活動が活発になるため、有機物が分解されて大量の温室効果ガスを出していると考えられた。

 熱帯雨林の地面(泥炭地)は大量の温室効果ガスを蓄えており、火災や開墾で空中に放出される。この放出量を含めたインドネシアの温室効果ガス排出量は米、中に次いで多い。今回の調査対象地域だけでも、日本の90年の排出量の13%に相当する1億6400万トンを排出した計算になる。

 チームは、日本の人工衛星「だいち」を使い、森林火災を早く見つけたり、火災が起きやすい地域を指定して予防策を取るプロジェクトを始めた。現地の行政機関と連携して焼け跡への再植林にも取り組む。大崎教授は「森林の火災や乾燥を防止しなければ、残っている天然林の吸収機能も奪われかねない」と話す。』
(2月13日付 毎日新聞)


【後戻りできない地点】

実は、すでにどんな対策を講じたとしても地球規模の気候変動、地球温暖化が後戻りできない転換点(ティピングポイント)が刻一刻と近づいているという科学者が増えている。

極地やヒマラヤなどの高地の氷河融解やアマゾンの熱帯雨林の減少、シベリアやアラスカの永久凍土の溶解によるメタンガスの放出などが確実に進行しており、東京大学生産技術研究所の教授で「残された時間―温暖化地獄は回避できるか」等地球温暖化を警告する多数の著作がある山本良一氏の推定では、世界の平均気温が2度を突破して後戻りできないポイント・オブ・ノーリターンまで、このまま何も対策を打たなければあと20年もないとのことなのだ。

そんな危機的な状況が迫る中、今回の記事のように科学者からは新たな不安材料が次々と発表されているのだ。

【もっと怖い話】

実は森林などの植物のCO2排出と吸収のメカニズムにはもうひとつ怖いことが進行しているという話もある。それはイギリス人のピーター・コックスという若手の気候モデル研究者の見解で、彼によれば「植物は光合成によって成長するときにCO2を吸収するが、植物が枯れて、木や葉や根が分解するときにはCO2を放出する。今、そのどちらのプロセスも加速している。」というのだ。

これを地球全体に当てはめると、森林や土壌や草地や湿地帯といった陸の「生物圏」全体は、数十年にわたって地球温暖化を遅らせてきたが、まもなく、その生物圏が温暖化を加速し始める日が迫っており、それが新たな転換点になるだろうということだ。森林の火災や火災による煙の発生で光合成が妨げられるだけではなく、温暖化を加速する別の要因も増えているのだ。

信じたくはないけれど、こんな怖いことが地球全体で刻一刻と進行しているのが今の僕たちの時代なのだということをしっかり肝に銘じておかなければならない。  




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