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2010年08月06日

【戦場からのラブレター】

8月3日に放送されたNHKの「クローズアップ現代」は、「戦場からのラブレター」と題して、戦後65年が経過して少しずつ出てきた戦地から妻や恋人たちに宛てたラブレターに関する番組でした。

なぜ今、個人のプライバシーが詰まった特別な「手紙」が次々と公開されてきているのでしょうか。
それは、過酷な太平洋戦争をある者は戦地で、ある者は内地でくぐり抜けて、その後の激動の昭和・平成の時代を生き抜いてきた方々が80歳を超えて、自らの苦しかった体験を自分の胸の内にしまうのではなく、出来るだけ多くの人に知ってもらいたい、その最後のチャンスだと考えたからに他なりません。戦場からのラブレターは、そういった方々が戦争で失ったかけがえのない方々のいわば「形見」のようなものなのです。それを公開するというのはよほどの決意があってのことだと思います。

【ある兵士の体験】

「クローズアップ現代」の中で紹介されていた戦地から出された70通余りのある兵士の妻に宛てたラブレターは胸を打つものでした。その兵士は結婚間もなくして召集され、30歳そこそこで上海の戦場から内地の妻にラブレターを切々と書いてこられていました。最初は敵国となった中国や中国の人たちに対する憎しみや恐れが文面に綴られていましたが、ある時から文面に大きな変化が現れます。

それは妻に子供が生まれた直後に、上海の戦地で捕えた中国人捕虜とその妻、そして自分の子供と同じくらいの幼子を銃殺にする現場に立ち会ったときでした。彼は上官の命令を無視し、その母子の前に立ちはだかって銃殺を阻止したのです。その出来ごとを妻に宛てた手紙の中で語り、戦争の理不尽さについて正直な気持ちを吐露していたのです。その出来事の後は、中国人の子供たちを単なる敵としてではなく、愛おしい存在と見るようになったという本人の気持ちの変化がその後のラブレターに綴られていました。

そして、しばらくしてその兵士は上海の地で戦死したと、ラブレターを公開したその兵士の娘さんは語っていました。

【最後の語り部たち】

今、日本全国で戦争の最後の語り部たちが重い口を開き始めています。それは今回の番組で紹介されたように、戦場にいた愛する夫や恋人たちからのラブレターを公開した女性たちであったり、実際に過酷な戦場で生死の境をさまよった兵士たちであったり、様々ですが、それらの方々はすでに80歳を超えて最後の語り部となる決意を固めたのです。

そのような方々はテレビで拝見する方だけではありません。僕やあなたの周りにたくさんおられるのではないでしょうか。

戦中・戦後の、言葉では言い表せないほどの苦難を背負った人たちを私たちは単に「高齢者」とひとくくりにして言いますが、今の日本がこれだけ豊かになったのはこの方々の苦労があったからだということをもう一度心に刻み、その貴重な体験を是非聞かせていただくことが60代以下、戦後世代すべての責務だと感じるのは僕だけでしょうか。
少なくともこれから8月15日の終戦記念日までNHKを中心に放映される戦争を体験した世代の番組に静かに耳を傾けてみることをお勧めします。

  




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海や山、自然が好きな九州男児です。あらゆる機会をとらえて、時代の変化をいつも感じていたいと思っています。
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