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2011年07月10日

【徹底討論 どうする原発】

7月9日の土曜日午後9時からNHKスペシャル「徹底討論 どうする原発」がありました。ここ数日玄海原発の再稼働を巡る政府の混乱や九電のやらせメール問題が報道される中、時宜を得た番組だったと思います。そしてそれなりに議論は白熱しました。

そこに出演していたのは、次のような方々でした。

≪脱原発の立場≫

・後藤政志氏  元原子力プラント設計技術者・芝浦工大非常勤講師

・飯田哲也氏  環境エネルギー研究所所長

・吉永みち子氏 ノンフィクション作家



≪原発擁護の立場≫

・奈良林 直氏 原子力安全専門委員・北海道大学教授 元東芝勤務

・澤 昭裕氏   21世紀政策研究所主幹 元資源エネルギー庁官僚



【市民と体制の問題】

短いブログ記事の中で討論そのものに踏み込むことは出来ませんが、脱原発の立場の3氏と原発擁護の立場の2氏の話を聞いていて感じたことをいつくか挙げておきたいと思います。

奈良林氏の話は3/11以前から「体制」側というか政府や電力会社などの原子力擁護派の説明とほとんど変わらないものでした。中でも日本をジェット機に見立てて、原発というエンジンがなくなったら失速して墜落するという例えを持ちだして日本経済には原発は必要だという論理を展開したのには驚きを通り越して呆れました。原子力安全委員という立場にありながら原発推進の話をするのですから、原発の安全など語る資格もありません。当然、福島の住民の方々の今の痛みも、福島原発事故に対する安全委員としての責任も何ら感じていないでしょう。

澤氏の話は、慎重かつ冷静な物言いで従来から政府や電力会社が主張するエネルギーベストミックス論を説明、原発は出来ればやめたいがエネルギー資源の乏しい日本は一定の割合で原発の維持が必要だと訴えていました。これも従来から推進側が言ってきたことです。官僚出身ですからこのあたりの言い回しや論理展開は巧妙ですが、澤氏も奈良林氏同様、原発を推進してきた側として3/11の福島原発事故に対する反省など微塵も感じられませんでした。

それに反して、後藤氏、飯田氏は市民の側に立って今回の福島原発事故の教訓を踏まえて、脱原発を図るべきという主張をしていました。特に後藤氏が奈良林氏の日本ジェット機論などに対して、いったん原発が事故を起こしたら膨大なコストを伴うだけでなく、住民が土地も家も家族もすべてを失ってしまうというリスクをどう考えるのかと色をなして反論していたのは当然だと思いました。

・これらの議論を聞いていて思ったのは、議論している人たちが市民の側に立っているか、体制の側の立っているのかということの重要性です。いったん事故が起これば経済的な損失だけでなく、市民の受ける健康的・精神的・経済的苦悩は計り知れないものがある原発。福島第一原発の核惨事を経験した今、従来の「体制側」の論理はほとんどすべて破たんしています。それにもかかわらず従来の主張を繰り返す奈良林氏、澤氏。この2人からは市民からの目線は結局最後まで見られませんでした。そしてこの2人の原発擁護派と3人の脱原発を支持する市民派の決定的な違いは、それぞれの主張の先に希望が見えるかどうかだと思います。残念ながら奈良林氏と澤氏の話からは体制存続の論理は見えても子供たちの未来を守るという姿勢や未来につながる希望は見えませんでした。

・今回の福島原発の核惨事によって、国が進めてきた原発を中心にしたエネルギー政策は完全に破たんしました。後は破たん処理を再処理まで含めてどうするかということが求められています。原発をいかに延命させるかといった主張はどんなにオブラートに包んでも市民の理解は得られないでしょう。そして原発問題は、日本に本当の民主主義が存在できるかどうかも突きつけています。

民主主義が問われていると言うのは決して大げさな表現ではありません。今僕たち普通の市民がここまで日本を窮地に追い込んだ体制側の専門家や官僚や政治家に心底怒りをぶつけて彼らの怠慢や傲慢を正さなければ日本に希望はないと思います。

しかし、最後にひとつだけ希望が見えてきたことがあります。それは今回の討論に参加した論客が、今までは直接対話することもなかったけれどもこれからはお互いに開かれた議論を積み上げて行こうと語っていたことです。その開かれた議論を可能にするために政府や電力会社はすべてのデータを公開してもらいたいと思います。
  




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海や山、自然が好きな九州男児です。あらゆる機会をとらえて、時代の変化をいつも感じていたいと思っています。
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