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2012年05月31日

【安全置き去り】

安全を置き去りにして政府は再稼働に乗り出そうとしています。

『政府は30日、関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を巡り、野田首相らによる関係閣僚会合を開き、関西地域の自治体から安全性に一定の理解を得られつつあると判断した。

 野田首相は福井県とおおい町に改めて再稼働への同意を求め、同意を得られれば、6月上旬にも再度、関係閣僚会合を開いて再稼働を決定する。

 野田首相は、枝野経済産業相、細野原発相、藤村官房長官との閣僚会合で「関係自治体の一定の理解を得られつつある。立地自治体の判断を得られれば、閣僚会合でしっかり議論し、最終的には私の責任で判断したい」と述べた。

 昨年3月の東京電力福島第一原発事故を受け、全国50基の原発は全て停止している。大飯原発が再稼働すれば事故後初の事例となる。

 関西広域連合(連合長・井戸敏三兵庫県知事)は30日、「安全判断は暫定的であり、再稼働は限定的なものとして(政府に)適切な判断を強く求める」との声明を発表した。夏場などに限った稼働を念頭に、事実上、再稼働を容認する内容だ。政府は再稼働の条件とする「電力消費地の一定の理解」を得られたと判断した。声明発表後、井戸兵庫県知事は記者団に「国に判断はお任せする。これ以上のアクションを起こす状況ではない」と述べ、政府に判断を一任したことを強調した。』(5月30日付読売新聞)


【何も変わらず再稼働】

フクイチの核惨事から1年2か月以上が経過して政府は大飯原発3、4号機の再稼働を来月にも決定しようとしています。その間、フクイチの反省を踏まえていったい何が変わったのでしょうか?少し現状を整理してみたいと思います。

1. フクイチ事故の原因究明はなされたか?

まだ政府の事故調査委員会の報告も出ていません。その報告が今までの原子力翼賛体制の抜本的な見直しにまで踏み込むのか、事故の原因を津波にのみ被せ、地震の影響には目をつぶろうとする経産省や御用学者の見解が正しいのかどうかに踏み込むのか、何も示されていない段階での再稼働は無責任でしょう。

2. フクイチ事故は収束しているのか?

メルトダウンを起こしたフクイチについて政府は昨年末「冷温停止状態」にあり事故は収束したと宣言しました。しかし、世界の原子力専門家の間でこの宣言を信じている人はほとんどいないでしょう。放射性物質の放出はいまだ続いているし、4号機の1500本近い使用済み核燃料が保管されている核燃料プールは、次の地震が来れば崩壊する可能性さえあります。日本列島がこれから数十年にわたって地震の大変動期に入るといわれている中で、フクイチの危険性だけでなく、他の原発の再稼働までやって危険を増やすようなことは他の国ではありえないのではないでしょうか。

3. フクイチ以外の原発の安全対策は万全なのか?

結局のところ、原発の安全対策はフクイチの事故後すぐに経産省が電力会社に指示した津波対策を主とする緊急安全対策のみで、それも応急的な措置が取られただけでお茶を濁している状態です。大飯原発についても免震重要棟の原発近くへの設置など抜本的な安全対策が取られたとは聞いていません。
とても万全とは言えないでしょう。

4. 原子力を今まで推進してきた原子力ムラの体質は変わったのか?

フクイチを起こした最も重要な原因は、原子力ムラと揶揄される集団が経済性を優先し安全性をないがしろにしてきた体質にあります。そしてそれらの事実を常に国民の目から隠ぺいしてきたことも重大です。このような体質が3/11以後変わったでしょうか?この数か月の大飯原発の再稼働問題ひとつとっても何もかわっていないことが子供でもわかると思います。

ほかにもいろいろと言いたいことはありますが、要するに政府を含む原子力ムラの安全を軽視する体質は何も変わっていない中での再稼働はありえないのではないかということです。そして、国家にとって極めて重要な問題を一部の利害関係者だけが情報を独占し、操作しようと画策し、国民の命にかかわることさえも先送りして経済性を優先する、この国の体質そのものが今回の原発再稼働問題に端的に現れているということです。

いったい、大飯が再稼働した後、福井県で大地震が発生して関西の広域圏に放射能汚染が広がったら、だれが責任を取るのでしょうか?野田首相?仙石氏?経産省の役人?電力会社の幹部?フクイチ後の経過を見れば誰も責任を取らないだろうということは明白です。

大飯が再稼働しても、これで終わりではありません。原発がダモクレスの剣のように僕たち市民、そして子供たちの頭上にある限りは、決して気を緩めず声を上げ続けていきましょう。

  



2012年05月30日

【腐敗の極み】

国家を崩壊させたかもしれない3/11のフクイチ事故を経ても微動だにしない原子力ムラの象徴のような「不祥事」です。

『原発事故後の新たな原子力政策を論議する内閣府原子力委員会の専門部会「新大綱策定会議」が29日、東京都内であり、使用済み核燃料を再利用する核燃サイクル推進側による秘密会議問題について、複数の委員が第三者委員会による検証を求めた。議長の近藤駿介原子力委員長(69)は「痛切に反省している」と謝罪し、23回の秘密会議で使用した資料を順次公開する方針を示したが、検証については明言を避けた。策定会議は紛糾し、議事に入らず終了した。

【最初のスクープ】核燃サイクル原案 秘密会議で評価書き換え 再処理を有利

近藤委員長は会議後、記者団に策定会議の議長を務めている点について「見直しも検討課題」と交代の可能性に言及した。

この問題は核燃サイクルの見直しをしていた原子力委・小委員会の報告案原案が4月24日の「勉強会」と称する秘密会議に示され、再処理に有利になるよう求める事業者の意向に沿って結論部分の「総合評価」が書き換えられ、小委員会に提出されたというもの。小委員会は修正後の総合評価を踏襲し、前回(今月23日)の新大綱策定会議に報告した。

発覚後初めてとなるこの日の策定会議で、近藤委員長は謝罪したが、自身も4回参加していたのに「監督不行き届きだった」と話した。委員の金子勝・慶応大教授、伴英幸・原子力資料情報室共同代表、浅岡美恵・気候ネットワーク代表(弁護士)らは第三者機関による検証を求めたが近藤委員長は「積極的にするつもりはない」とあいまいな答えに終始した。

策定会議の委員のうち田中知・東京大教授は400万円▽山口彰・大阪大教授は約800万円▽山名元(はじむ)・京都大教授は615万円の寄付を原発関連の企業・団体から受けており、いずれも取材に受領の事実を認め「問題ない」との見解を示した。しかし金子氏はこの日の会議で「利益相反している。即刻辞任すべきだ」と求めた。また事務局を務める内閣府職員21人(無給の2人を含む)のうち9人が電力会社や原発関連メーカーなどからの出向者である点の早期解消も要求した。近藤委員長は「策定会議の委員構成を見直す。出向者については6月末までにお戻りいただく」と改善策を示した。

伴氏は秘密会議の▽開催日時▽参加者名▽配布資料▽議事録(なければ議事メモ)の公開を要求する意見書を提出し、検証期間中の会議中断も求めた。鈴木達治郎・原子力委員長代理は「議事録、出席者リストはない」と答えた。秘密会議は昨年11月~今年4月に開かれた。04年も10回以上開かれていたことも判明している。【核燃サイクル取材班】』(5月29日付毎日新聞)

【徹底追及が必要】

こんなデタラメを許して誰も責任を取らせなければ、間違いなく近藤委員長など原子力ムラの面々は、「しめしめ」と言わんばかりに日本のエネルギー政策を自分たちの思いのままに操り、原子力温存を政府の政策として認めさせることになるでしょう。何度も言いますが、国家の機能を崩壊させて日本が壊滅したかもしれない大事故を経てもこの有様です。いったい自分たちを何様と思っているのでしょうか。市民の命などなんとも思っていないし、国家の命運さえ自分たちの利益擁護のためには軽んじてしまうような輩に国の基本政策を決めさせていいのでしょうか?

ここは委員である伴さんや金子さんに踏ん張っていただいて、是非とも第三者委員会での秘密会の検証、そして秘密会の運営に関わった近藤委員長や経産省や内閣府の事務局員などを即刻首にすべきでしょう。こんなデタラメを絶対に許してはいけないと思います。

今回の不祥事の帰趨はまちがいなく、僕たち市民の明日の命にかかわってくることになると思います。
  



2012年05月29日

【原発推進の選択肢?】

5つの選択肢って、脱原発のための選択肢とは到底思えないのは僕だけでしょうか。

『国のエネルギー政策の見直しを議論する経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会は24日、新たなエネルギー政策における原発依存度の選択肢について0%、15%、20~25%、35%の4案とした。これに対して委員らから「35%案は脱原発依存の方針に反する」などと反発が上がっている。

現行のエネルギー基本計画では原発を基幹エネルギーと位置付けているが、昨年の東日本大震災にともなう東電原発事故を受け、政府は昨年10月に「脱原発依存」を掲げて委員会を発足した。ところが産業界出身の委員らは、東電原発事故の原因究明が終わらない内から「事故を通じて安全性が高まった」と唱えるなど、原発維持を繰り返し主張し続けた。

また、選択肢の設定をめぐっても「(事務局提案では)国民が選択すべき価値観や社会像、政策の方向性が分からない」とする委員8人の連名意見を十分に汲み取ったとは言えず、前提条件で結果が大きく変わる経済モデル試算に議論が大きく引きずられた感が否めない。

NGOらでつくる団体「eシフト」は同日、「20%以上の選択肢は原発の新設や更新を前提としている」として、原発0%を議論の柱とすることなどを求める声明を同委員会に提出した。』(525日付オルタナ編集部)

【姑息な原発温存策】

この夏に日本のエネルギー政策の方向性を決めるために、政府はこの総合資源エネルギー調査会基本問題委員会などいくつかの委員会で公開で議論を進めていると宣伝しています。しかし、その実態はと言えば、先日毎日新聞がスクープした核燃料サイクルに関する原子力ムラの「秘密会」のように裏でコソコソと姑息な手段を使って原発を温存するための「議論」を積み重ねてきているのです。経産官僚の「事務局」がすべておぜん立てしてそのシナリオ通りに各委員会の原発推進派委員が議論を進め、これまた原発推進派の委員長が原発反対派の委員の意見を「拝聴」するだけして最終的には無視しながら、原発温存のための政府のエネルギー政策を最終決定する。

そのために、原発依存度の選択肢に3/11以前より原発を増やすと言う35%案を無理やり入れ込んだのです。この案が入れば、単なる原発の自然減に過ぎない15%案が脱原発依存案として見栄えが良くなるとでも考えているのでしょう。そこには原発の事故がいったん起これば国家が壊滅するかもしれないという3/11後の危機感など微塵もありません。

こんなくだらない、姑息な手段を使ってでも原発温存を図ろうとする経産官僚事務局や「原子力ムラ」の在り方は、3/11以前と何も変わっていないことを暴露しています。一体、普通の市民である僕たちはどうすれば、この超危険な国家の在り方を変えることができるのでしょうか?
  



2012年05月28日

【腐敗の山】

この人間たちはいつまで国民をだまし続けるつもりなのでしょうか。

『核燃サイクル政策の見直しを進めてきた内閣府原子力委員会が推進側だけで「勉強会」と称する秘密会議を開いていた問題で、近藤駿介原子力委員長(69)が昨年12月8日の会合に出席していたことが、毎日新聞の入手した関係者のメモで分かった。秘密会議は20回以上開かれ、高速増殖炉の研究開発などを担当する文部科学省職員が出席していたことも新たに判明した。正式な議事録は作成せず、配布された資料の多くは事務局を務める内閣府原子力政策担当室職員が回収する取り決めだった。

 出席メンバー関係者が作成したメモによると、近藤委員長が出席した会合は昨年12月8日午後4~6時、内閣府会議室で開かれた。1月以降、使用済み核燃料を再利用する核燃サイクルのあり方を検討する原子力委・小委員会による政策の見直し作業が本格化するため原子力委で準備を進めていた時期だった。

 原子力委員会の出席者は近藤委員長のほか鈴木達治郎委員長代理、秋庭悦子委員。このほか▽文科省原子力課の課長補佐▽経済産業省・資源エネルギー庁の香山(かやま)弘文・原子力国際協力推進室長、苗村(なむら)公嗣・放射性廃棄物等対策室長▽青森県六ケ所村の再処理工場を経営する「日本原燃」の田中治邦常務▽高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する「日本原子力研究開発機構」や電力各社で作る電気事業連合会幹部らが出席。推進派ばかりで反対・慎重派はいなかった。

 関係者取材や毎日新聞記者が現場で確認した情報を総合すると、秘密会議は20回以上開催された。このうち4月24日は小委員会で論議する予定の報告案の原案が配布され、事業者らが自社に有利になるよう修正を求めたことが分かっている。配布資料は回収するルールで正式な議事録はないとされるが、一部参加者が議事内容や出席者名を記載したメモを作成し、限られた範囲に電子メールなどで伝えている。

 原子力委員は委員長を含め5人おり、原子力委員会設置法によると、委員長を含む3人がいれば会議を開き、議決することができる。近藤委員長はこれまで「忘年会とかは別だが(定例会議やその打ち合わせ以外では誤解を招かないよう)3人以上の委員が集まって原子力政策の議論をしないようにしている」(昨年12月27日の委員会)と透明性を強調してきた。しかし昨年12月8日の秘密会議には近藤委員長ら3人が参加した。近藤委員長は出席を認めたうえで「(自分が出たのはデータの提供や説明を求める)単なる勉強会だった」として問題はないとの見解を示した。【核燃サイクル取材班】』(5月25日付毎日新聞)

【すべて出直せ】

もともと近藤原子力委員長はフクイチの事故を起こした原子力推進側の最も責任のある人物のひとりであり、犯罪人として告発されるべき人間のひとりだと思っていましたが、このような人物の責任追及を徹底的にしないままで原子力政策を見直していること自体に無理があると言わざるを得ないでしょう。近藤委員長は少なくとも即刻委員長をやめさせるべきでしょう。もちろん、鈴木達治郎委員長代理、秋庭悦子委員など他の秘密会議参加者もすべてです。

こんな腐敗した原子力ムラの事実が出てくるたびに当事者たちは、「単なる勉強会だった」とか言い訳をするわけですが、過去において何度も国民の目をごまかすようなことばかりやっているので、原子力の事情に詳しい人ならばこんな言辞をまともに受け取る人はひとりもいないと思います。

正直言ってこんなやり方で原子力を推進していた人間たちが再びフクイチの事故などなかったように無反省のまま、原子力政策の見直しを進めれば間違いなく次の大事故も日本で起きるでしょう。事務局も含め関係者は全員即刻原子力政策に関わるような仕事から辞めさせるべきだと思うのは僕だけでしょうか?市民、国民を愚弄するのもいいかげんにしてもらいたいものです。

毎日新聞の今回の記事は大スクープだと思いますが、引き続き毎日新聞には執拗にこの「事件」を追及して彼らをとことん追い詰めるべきだと思います。原発推進新聞の読売新聞などにはこんなスクープをすることなどまったく考えていないでしょうから。  



2012年05月24日

【不思議な選択肢】

高速増殖原型炉「もんじゅ」の将来についての選択肢が4つ示されたそうです。

『日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の将来の研究開発の進め方について、文部科学省は23日の原子力委員会新大綱策定会議で、廃炉を含めた選択肢4案を示した。政府がもんじゅ廃炉案を本格検討するのは初めて。

 4案は、(1)運転開始後10年以内の実用化を目指して従来通り推進(2)当面3~5年運転し実用化が可能か判断(3)実用化を断念し国際的な増殖炉研究施設として活用(4)廃炉にして基礎研究のみ継続--としている。

 もんじゅは原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の要に位置づけられてきたが、原子力委の専門部会は16日、使用済み核燃料をすべて再利用する「全量再処理」▽すべて地中に埋める「全量直接処分」▽両者を併用--の3選択肢を提示した。文科省案では、全量直接処分を選ぶ場合は使用済み核燃料が得られないので高速増殖炉は(3)と(4)になる。全量再処理または併用を選ぶならば(1)と(2)が選択肢になる。【阿部周一】』(5月23日付毎日新聞)


【廃炉は必然】

過去にこのブログでも何回か取り上げましたが、「もんじゅ」が目指す高速増殖炉というのは、核兵器保有国が核兵器用のプルトニウム製造炉としてスタートした、原爆製造用原子炉で、これに成功すれば、核分裂しないウラン238を使って、原子力発電でも燃料を100倍以上使え、ウランが40年で枯渇しても「夢の原子炉」として4000年以上も資源を使えるとかつては謳われました。
しかし、現実には、その破格の危険性ゆえに1984年にはアメリカが研究から撤退、イギリス、ドイツ、フランス、ロシアもすべて、重大事故を続発してすでに開発・実用化を断念している代物なのです。

そんな危険を顧みず、日本だけが開発を継続、1995年に発電開始して3カ月も経たずしてナトリウム漏れ事故でストップ、その後も動いていないのです。さらに恐ろしいことにあるだけでも危険な炉なのにその立地地点の真下には白木・丹生断層が走り、その周辺にも活断層が走っているというのです。

こんな超危険な代物を安全に運転するなんて原子力の専門家でも信じていないというのに、今回の文部省の「もんじゅ」の将来像の選択肢といえば、推進継続、数年稼働、研究用として活用、廃炉にしても基礎研究継続だそうです。僕はただの素人の市民ですが、専門家でなくても「もんじゅ」の危険性に目をつぶって何としてでも延命を図ろうとする意図ばかりがちらつく選択肢では到底信じられないというのが正直なところです。もういいかげん問題の先送りをしている場合じゃないということがまだわからないのでしょうか。

しっかりと一言漏らさず公開の上で議論して、ちゃんと勇気を持って「完全に廃炉」という結論を出すことが市民の命を守る専門家の役割だと思うのは僕だけでしょうか。誰におもねっているのか疑ってしまいます。
  



2012年05月23日

【少し明るい話】

原子力に関してはお先真っ暗の話ばかりですが、少しは光も見えてきています。

『経済産業省の電力システム改革専門委員会(委員長=伊藤元重・東大教授)は18日、家庭向けの電力小売り事業への新規参入を認め、全面自由化することで一致した。同時に家庭向け料金規制を撤廃することも確認。実現すれば、一般家庭も電力購入の選択肢が増え、電気料金の引き下げにつながるものと期待される。ただ、新規参入が進まないまま料金規制を撤廃すれば、逆に電気料金値上げにつながりかねないため、一定の移行期間を設けるべきだとの意見も出された。

 電力小売りの自由化は現在、契約電力50キロワット以上の事業所まで拡大され、特定規模電気事業者(PPS)の参入が認められているが、一般家庭は各地域の大手電力会社しか選べない。自由化が実現すれば家庭も電力会社を選べるようになり、再生可能エネルギーで発電した電気が新たな市場になる可能性もある。

 一方、全面自由化した場合に、電気の供給責任を誰が負うかも議論になり、大手電力会社が全面的に負っている現状を見直し、いずれかの事業者に供給責任を負わせることで一致した。その場合、離島など電力供給コストがかさむ地域に電力を供給する場合、コストを誰が負うかについては議論が分かれた。

 政府は早ければ来年の通常国会に電気事業法改正案を提出する見通し。【丸山進】』(5月18日付毎日新聞)


【自由化のリスクを取れ!】

今の日本の電力を巡る状況は地域独占に守られた電力業界の横暴の前に、受け手である消費者・国民はなす術がないという悲惨極まりない状況です。戦後復興のために産業のコメとして鉄と同じくらい重要だった電力に地域独占と総括原価方式という価格決定のメカニズムを与えたのは、ある意味その当時の日本の悲惨な状況を考えれば「英断」だったのかも知れません。

しかしながら、その後当時では未来につながるエネルギーと考えられた原子力発電の導入が電力業界の地域独占や価格独占の体制とつながり、その背後に原子力にかかわる産業界や学界、利権をむさぼる政治家などが群がるに及んで、戦前と同じような原子力「翼賛体制」が出来上がってからは戦後の官僚と政治家による「英断」が逆に原子力と電力の暴走を招くことになってしまったのではないでしょうか。

その結果が、自然を甘く見た東京電力福島第一原発の取り返しのつかない核惨事です。

こういう事故を二度と起こさないためには、巨大リスクに対処する社会システムがなく、さらには地震多発国日本では原発は廃止するしかありません。それと同時に安全で安定的な電力供給体制を築くために、電力業界と原子力発電の切り離し、そして電力の自由化が急務だと僕は思います。

そういう意味で今回の電力システム改革専門委員会の結論は傾聴に値するのではないでしょうか。みなさんはどう思われますか?
  



2012年05月21日

【あっぱれ、旭天鵬】

感動の一番でした。

『大相撲夏場所は20日、東京・両国国技館で千秋楽を迎え、1909年に現行の優勝制度が施行されて以来初の平幕同士の優勝決定戦となり、モンゴル出身の前頭7枚目・旭天鵬=本名・太田勝、友綱部屋=が、同4枚目・栃煌山(25)を破って初優勝した。成績は12勝3敗で、37歳8カ月での初優勝は史上最年長。外国出身者の優勝は10人目で、平幕優勝は2001年秋場所の琴光喜以来10年8カ月ぶり。

【写真で見る】大相撲夏場所

 旭天鵬は大島部屋に入門し、92年春場所初土俵。05年に日本国籍を取得した。大島親方(65)=元大関・旭国=の定年により大島部屋が閉鎖され、今場所から友綱部屋に移籍した。初土俵から所要121場所目、98年初場所の新入幕から86場所目の初優勝はともに史上最も遅い記録となった。

 今場所は史上初の6大関が出場したが、14日目(19日)まで3敗で優勝争いに残っていた大関・稀勢の里は千秋楽で把瑠都に屈して優勝決定戦に進めなかった。【上鵜瀬浄】』(5月20日付毎日新聞)


【涙、涙の優勝】

それにしても今場所は横綱白鵬が早々に4敗を喫するなど「想定外」の幕開けとなりました。そして千秋楽前日には琴欧州の突然の休場で白鵬を含む4敗力士3人が優勝戦線から脱落するといった波乱もあり、迎えた千秋楽では6人の大関陣の中で唯一優勝戦線に残っていた稀勢の里に土がつき、結局、優勝決定戦は平幕同士の対決となりました。

鳴戸部屋九州後援会の事務局という立場もあって、なんとか稀勢の里に優勝してもらいたかったけれど、37歳という年齢にも負けず史上最年長の初優勝を手にした旭天鵬の顔を見ていると、「ああ、優勝してよかったなあ」と心から思いました。聞けば、旭天鵬は初のモンゴル力士として1992年に来日し苦労の末に今回の優勝を勝ち取ったということで、今回は不本意な成績となった横綱白鵬も涙が出たくらい喜んでいたそうです。それもそのはず、モンゴル力士の今日の活躍の礎を作ったといっていい人なのですから。

体一つでぶつかり合って勝負を決める大相撲には、土俵の上でその力士の人生が垣間見えます。特に今回のような波乱があると今まで気にも留めていなかった力士に何か「生きる」ことを教えられたような気持になるものです。

おめでとう、そしてありがとう、旭天鵬。今後も友綱親方の言うようにあと5年は頑張ってください。
  



2012年05月18日

【海江田氏の認識】

あのとき、東電が全面撤退を政府に申し出たのは間違いありません。

『国会の東京電力福島第1原発事故調査委員会(国会事故調、黒川清委員長)は17日、国会議員として初めて事故当時の経済産業相だった海江田万里衆院議員を参考人招致し、質疑を行った。東電が原発からの全面撤退を政府に打診したとされる問題について、海江田氏は「全員が(撤退する)と認識した」と語った。国会事故調は今後、菅直人前首相や当時の官房長官だった枝野幸男経産相からも聴取を進め、6月中に報告書をまとめる。

【写真特集】すべてはここから 津波に襲われる福島第1原発

 海江田氏は、東電の清水正孝社長から「(福島)第1発電所から(福島)第2発電所に退避」との趣旨の電話があったと説明した。

 14日に国会事故調の招致に応じた東電の勝俣恒久会長は「まったく事実ではない」と全面否定したが、海江田氏は「一時的避難なら第1原発の吉田昌郎所長でも判断できる。わざわざ私にまで電話をかけてくるのは重い決断だと思った」と述べた。

 政府の原子力緊急事態宣言の発令が、昨年3月11日の午後7時3分にずれこんだ理由については「原子力災害対策本部設置の根拠がどこにあるか、というやり取りをしているうちに(野党7党との)党首会談に(菅氏が)入って時間が経過した。首相の理解を得るのに時間がかかった」と説明した。

 また、同15日早朝に東電本店を訪れた菅氏が、「撤退はあり得ない」と激しい口調で東電の対応を批判した点について、海江田氏は「もう少し、別な表現はあるだろう、とは思いました」と振り返った。【岡崎大輔】』(5月17日付毎日新聞)


【今度は国民が見捨てる番】

国家も国民も見捨てて自らの保身を図ろうとした東電幹部の罪はどんなに当事者本人が否定しても消し去ることはできないでしょう。事故当時内閣官房長官だった枝野氏も先日テレビの報道番組の中で、「あれは全面撤退の申し出だった。一部撤退ならわざわざ内閣官房の私に直接トップが電話してくる話ではない。」と海江田氏と同じような証言をしていました。

腐りきっていた当時の勝俣会長や清水社長にとっては自分たちだけが生き残ればいいと思っていたとしても何ら不思議ではありません。自ら起こした事故によって日本が壊滅するかもしれないという危機感も、その最悪の原発事故から市民をそして首都を守るという気概も吹っ飛んでただ「逃げる」ことだけを考えていたのです。

そして東電は国民から見捨てられようとしています。何度でも言いますが、未だに目先の再稼働ばかりを優先して、フクイチを招いた原子力翼賛体制を支える経産省などの官僚組織や政治家、御用学者、原子力産業、読売新聞などの大手メディアといった原子力ムラという社会的枠組みの抜本的な見直しには手もつけず、小手先の技術論や安全対策でお茶を濁そうとする民主党・政府はそれら原子力ムラもろとも国民から見捨てられる時が必ずやってくると思います。

しかし、僕たち市民はそれを黙って待っているわけにはいかない。なぜなら、今の原子力翼賛体制が変わらない限り、いづれ次のさらなる重大原発事故によって日本が壊滅的打撃を受けるのは必定だと思うからです。どんなに小さな声でもいい。ひとりひとりが声をあげていきましょう。未来にこどもたちをそして日本を残すために。  



2012年05月17日

【議論の行く末は】

本当にどこまで真剣な議論が行われているのでしょうか?

『原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」のあり方を検討する内閣府原子力委員会の小委員会(鈴木達治郎座長、委員6人)は16日、処理方法ごとに経済性や克服すべき課題などを総合評価した結果をまとめた。各委員の意見では、従来の国の方針だった使用済み核燃料をすべて再利用する「全量再処理」を積極的に支持する委員はおらず、再処理と直接処分(地中埋設)の併用を支持する意見が多数となった。政府のエネルギー・環境会議が夏にもまとめるエネルギー中長期戦略に影響を与えそうだ。

 小委は、使用済み核燃料を▽全量再処理▽全量直接処分▽両方の併用--の三つの政策選択肢について評価した。小委として意見の一本化はしないが、16日までの議論で示された委員の意見では、全量直接処分を支持する委員は1人で、併用支持が最多の4人。残る1人は、将来の原発比率や青森県六ケ所村の日本原燃再処理工場の稼働状況を見極めるまで政策決定を先送りする「留保」を支持した。

 委員の支持を集めた「併用」は、六ケ所再処理工場を完成させた後に使用済み核燃料を再処理しつつ、同工場の処理能力を超える分は直接処分も可能とする政策。将来の原発依存度や再処理工場の新増設、高速増殖炉の実現見通しなど不確定要素が多い中、「政策の柔軟性がある」と評価された。

 これに対し、全量直接処分は総事業費が10兆9000億~11兆6000億円と他の方法より約3兆円安く、将来の原発依存度にかかわらず最も安上がりとなった。一方で、再処理を前提に使用済み核燃料を受け入れてきた青森県の反発や埋め立て地の選定が難航するリスクがあり「使用済み燃料が行き場を失う」と指摘された。コストが最も割高とされた全量再処理は経済的には不利だが、ウラン資源節約などの利点があるとされた。

 評価結果は月内に政府のエネルギー・環境会議に送られ、エネルギー中長期戦略に反映される。【阿部周一】』(5月16日付毎日新聞)

【先送りは最悪の選択】

ハッキリ言ってフクイチという日本を破局に陥れた可能性のある史上最悪の核惨事を経て、このままでは日本は本当に崩壊するという危機意識を持って将来のエネルギー戦略を議論すべきなのに、詳しい議論の中身まではわからないものの、報道されている記事で判断すると再処理と直接処分を併用する案が専門家の支持を集めたり、政策そのものを「先送り」しようという選択肢も出されたりとこの期に及んでも核燃料サイクルの延命を意図しているような気がしてなりません。

原子力小委員会のメンバーのひとりで、原発反対派の原子力資料情報室の伴英幸代表は、大量にたまっているプルトニウムの消費見通しが立たない中では再処理工場を即刻止めるべきだと主張されているそうですが、本気で政策の見直しをしようとすれば当然の意見だと思います。

結局、原子力を推進する立場の有識者と呼ばれる人たちは、現行の政策を大きく変更すれば青森県六ケ所村を抱える青森県や原発立地自治体、電力業界の反対を招くのが怖くて腰が引けている政府におもねっているとしか考えられません。こんなことで、日本のエネルギーの本当の変革が出来るのでしょうか。政府の言う「革新的エネルギー・環境戦略」の取りまとめは今年の夏だそうですが、小手先の政策変更でお茶を濁すならば将来に大きな禍根を残すことになるのは間違いないでしょう。

またしても日本の政府や官僚のお家芸である問題の「先送り」がだんだん明らかになってきています。原子力ムラにおもねり、国民の安全をおざなりにする有識者たちなど不要です。  



2012年05月16日

【単独トップ】

稀勢の里が10日目で単独トップです。

『中入り前の土俵入りで最も歓声が上がる稀勢の里。琴欧洲との大関対決を制して、さらにわき上がった。日本力士が10日目を終えて単独トップは、07年名古屋場所の琴光喜以来、約5年ぶりだ。

 この日も本来の立ち合いではなかった。琴欧洲に押されて左四つになったが、「右上手だけは取られたくない」と稀勢の里。普段はおっつけで力を発揮する「左」はかいなを返して琴欧洲に右上手を許さない。右は上手をつかみ、引き付けながら体を預けて相手を土俵下まで運んだ。「どんな体勢でも前へ出る」と心がけた積極性が光った姿に、土俵下の朝日山審判長(元大関・大受)は「休まず出たのが良かった」。

 今場所は、強烈なおっつけや突き放しで圧倒する「らしい」相撲が少ない。だが師匠の鳴戸親方(元前頭・隆の鶴)は「相手も研究してくる中で必死に取っている」。粘ってもぎ取った、この日の白星も、その表れだ。

 中盤を終えて初の単独トップにも、自分に言い聞かせるように「硬くなることはない。自分を信じてやるだけ」。分の悪い白鵬、日馬富士、把瑠都との対戦を残しており「まだ、安心できない」と北の湖理事長(元横綱)。6大関という史上初の場所で、最後まで主役の座を守れるか。【小林悠太】』(5月15 日付毎日新聞)


【日本人大関として】

稀勢の里が優勝を手にするために対戦する相手の中での強敵は、これからすでに4敗を喫している白鵬、同じく4敗の日馬富士、3敗把瑠都です。優勝するためにはこの3人を何としてでも倒さないといけない。みんな調子が良くない中での取り組みなので必死です。相当気合いを入れてやらないと勝つことはできないでしょう。

でもこの夏場所は大関昇進後3場所目にして巡ってきた大きなチャンスです。稀勢の里には日本人大関として相撲ファンの大きな期待もかかっています。是非、期待にたがわず積極的に攻めて今場所で先ず優勝して横綱への道筋をつけてもらいたいですね。

がんばれ、稀勢の里!  



2012年05月15日

【福島県の決断】

国が動かない中で福島県はよく決断したと言えるのではないでしょうか。

『福島第1原発事故の影響で人口流出が続く福島県は14日、全国初となる18歳以下の県民の医療費無料化を実施することを正式に決定した。国に実施を求めたが見送りとなり、県独自での実施を検討していた。6月の県議会に関連予算案を提出し10月から実施する。

 各市町村がすでに実施している小学3年生までの無料化策に上乗せする形で、県が小学4年生~18歳までの医療費を全額補助する制度を新たに設ける。必要な予算は年約47億円で、県民の健康管理調査のため創設した「県民健康管理基金」の一部を充てる。

 佐藤雄平知事は「福島県の将来を子どもたちが背負っていく。日本一子どもを産み育てやすい福島県づくりの象徴となる」と意義を強調した。【乾達】』(5月14日付毎日新聞)

【長く果てしない戦い】

福島県の方々には本当に申し訳ないと思うのですが、こんな核被害が起こって初めて放射能を意識しないで生活することのありがたさが本当によくわかると思います。福島県のホームページを開くと「福島県放射能測定マップ」というコーナーがあってそこをクリックすると現在の福島県内の1時間当たりの放射能測定結果がマイクロシーベルトで表示されています。

これほどまでに日常の中に放射能というものが入り込んでいるのかと愕然とさせられます。これがもし福岡県だったらと思わずにはいられません。もちろん、近い将来において福島県と同じようなマップが福岡県だけでなく日本全国の行政のページに表示され、日々その濃度をチェックしながら健康状態をチェックしなければならない日がやってくることだってありうるというのが今の日本の現実です。日本全国の電力会社の幹部の人たちはこの現実をしっかりと知るべきでしょう。自分たちの原発にはありえないとタカをくくっているでしょうから。

安全神話を信じ込まされ、過去30年以上にわたって原子力ムラが築いてきた「明るい原子力」というのはこういうことだったということを僕たちはしっかりと受け止めなければなりません。そんな中、汚染されてしまった空気も大地もそして子供たちの健康も元通りにはなりませんが、少しでもそれを改善すべく福島やその周辺の方々は日々必死の努力をされているのです。その努力に少しでも報いるようにと福島県は子供の医療の無料化を決断しました。これから出てくる放射線による子供たちの障害を少しでも和らげるための措置として歓迎したいと思います。そして依然としてさまざまな放射能除染等の対策が後手に回る続ける国に対して厳しい目を向け続けなければならないと思います。  



2012年05月14日

【一年ぶりの訪問】

天皇、皇后両陛下が1年ぶりに東日本大震災の被災地をご訪問されました。

『仙台市を訪れた天皇、皇后両陛下は13日、同市若林区の荒井小学校用地応急仮設住宅を慰問した。30分以上にわたって訪ね歩き、被災者に「冬は寒くて大変だったでしょう」などと声を掛けた。両陛下の東北被災地入りは約1年ぶりで、仮設住宅訪問は初めて。

 この仮設住宅は、津波で甚大な被害を受けた荒浜地区から近く、194世帯381人が暮らす。会社員の三浦洋子さん(35)は、同地区に家族5人で住んでいたが、震災で両親と妹が津波の犠牲となり、祖母(97)も心労のためか1カ月後に老人ホームで亡くなり、独り暮らしになった。三浦さんが「亡くなった母は美智子さまが大好きでした」と伝えると、皇后さまは「たくさんの思い出がお母さんとの間にあるのね」といたわり、天皇陛下も「大変でしたね」と気遣っていた。

 入居者の4割以上は60歳以上。両陛下は、「お大事になさってください」と次々に話しかけ、夫を震災で失った渡辺みねさん(76)は皇后さまと握手をして「大丈夫ですか」と聞かれると、感極まったように座り込んだ。

 子供たちも両陛下に現在の生活の様子を伝えた。間借りしている東宮城野小にバスで通う荒浜小6年、大学はるなさん(11)は、天皇陛下から「何が一番楽しいですか」と聞かれ、「体育で走ったりすることです」と答えていた。

 この後、両陛下は、表面科学の研究者らが集う第14回IACIS(国際コロイド・界面科学者連盟)国際会議の開会式に出席した後、新幹線で帰京した。【長谷川豊】』(5月13日付毎日新聞)

【心を救う】

今から1年以上前に起こった東日本大震災の悲惨な状況は当時は連日報道されました。そして1年たった今、メディアで報道されることは大幅に減る一方、被災地に暮らす方々の状況は大きく変わっていないように見えます。被害を受けた地域が広範囲にわたっていること、福島第一原発の核惨事が福島県を中心にかなり広い範囲で被災地復興に暗い影を落としていることがその原因だと思われます。

さらには与野党の政治家や政府の動きに今ひとつ全力で被災地を救おうという「心」が見えてこないのも、1年たっても被災地の方々の心が休まらない原因のひとつのようにも見えます。

そしてもうひとつ。震災前には技術立国と胸を張っていたニッポンの核汚染の収束が見えないこと、その人災の元凶となった東電首脳陣や政府・官僚トップに一向に被災地の人々への「誠意」が見えてこない、1年たった今でも自分たちの保身ぱかりが目立つことも被災地の人々の憤りを誘っています。

そんな中、天皇、皇后両陛下の「こころ」が日本の唯一の救いです。特に天皇陛下は心臓の手術をされて体調が万全だとは言えないにもかかわらず、自ら被災地の仮設住宅に赴いてひとりひとり被災された方々の心を思いやる姿。本当に、本当にありがたいと思います。  



2012年05月11日

【議案隠し続編】

昨日お伝えした「新大綱策定会議」の議案隠ぺい疑惑の続編です。

『長期的な原子力政策を論議する「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)の議案が原発再稼働の妨げになるとして隠蔽(いんぺい)された問題で、会議の事務局を務める内閣府幹部が毎日新聞の取材に「(内容を)相談するため事前に外部に提示した」と認めた。提示先は電力各社で作る電気事業連合会など推進派に限られ、一部だけの意見を反映させ議案の修正を図っている実態が明らかになった。
策定会議の委員は反発しており、伴英幸・原子力資料情報室共同代表は9日の策定会議で事務局19人全員の解任を要求する方針だ。  内閣府原子力政策担当室の中村雅人参事官によると、議案書「原子力利用の取り組みと国民・地域社会との共生に向けて」を4月19日夕、電事連、経済産業省・資源エネルギー庁側に提示した。「見てもらってブラッシュアップする(磨き上げる)ためだった」と意向次第で書き直す方針だったことを認めた。慎重派には提示しておらず偏った議事運営が裏付けられた。
中村参事官は同24日の議案から外した理由を「出来が悪かったため」と強調した。しかし関係者によると、エネ庁側が「『地域』を今取り上げると、どの範囲を地域と呼ぶかが問題になり関西圏首長に理解を求める活動に影響する」と議案から外すよう要求したことが判明している。 細野豪志原発事故担当相は8日の閣議後の記者会見で「いろんな当事者から話を聞かないと議論できない」と述べ、議案書を外部に示した内閣府の対応を擁護した。
伴氏は「委員に配られていない議案が事業者や経産省に渡っているとは何ごとか。策定会議は出直すべきだ」と猛反発。9日の会議に「事務局をすべて解任し、新たに策定会議の委員の中から選任して議事運営に当たるべきだ」とする意見書を提出する。委員の金子勝・慶応大教授も「電事連やエネ庁の望む通りに議論を進め近藤氏も少なくとも黙認している。信頼性を傷つける『事件』だ」と憤り近藤氏に説明を求める方針だ。【清水憲司、太田誠一、高島博之】』(5月9日付毎日新聞)

【ヘドが出る推進派のやり口】

本当にこれが民主主義国家の進める民主的な会議運営なのでしょうか。この会議の様子を映像で見ると、より一層推進派と言われる人たちの発言の出鱈目ぶりに驚かされます。こんな独りよがりの審議をやって、経産官僚の事務局の筋書き通りに原子力政策を進めてきた結果が「安全神話の崩壊」であり、フクイチの事故だったということを反省すらしようとせず、国民のほとぼりがいづれ冷めれば原発の寿命を40年でも60年でも100年でも延長して原発を維持しようという魂胆なのです。

こんな腐った連中がこれ以上原発推進を続けていけば、国民の命をもてあそぶだけでなく、国家そのものの破滅まで一直線に突き進んでいくのは間違いないでしょう。経産官僚と原発関連企業群と御用学者たちが結託して3/11以前とまったく変わらない手口で進める原発推進体制の復活。

反対派の委員である伴英幸・原子力資料情報室共同代表が怒るのももっともであり、これ以上、国民を愚弄する前に委員長も事務局もすべて退場させるべきだと思います。  



2012年05月10日

【知らしむべからず】

相変わらずの原子力推進側の隠ぺい工作です。

『関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)再稼働の妨げになるとして、内閣府原子力委員会が4月、有識者によって長期的な原子力政策を決める原子力委の「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)の議案の一つから「(原子力と)地域社会との共生」を外していたことが、毎日新聞の入手した議案書で分かった。

経済産業省・資源エネルギー庁や電気事業者側に極秘で事前に議案を示したところ「『地域とはどこか』と論争が起こるのでやめてほしい」と依頼され隠蔽(いんぺい)したという。原発推進派に有利に働くよう、議案を恣意(しい)的に調整している疑惑が浮上した。

【原子力委員会】議案選定、際立つ不透明…委員長は隠蔽を否定  再稼働を巡っては政府が「地元の理解が必要」とする一方、どの範囲が地元かを明確にせず批判を浴びており、問題の議案を取り上げると動きに拍車がかかる可能性がある。近藤氏の了承を受け隠蔽した疑いが強く、原発事故後「ゼロからの出発で議論する」と公平な議事運営を強調してきた近藤氏の姿勢に重大な疑問が浮かんだ。

問題の議案書は「原子力利用の取り組みと国民・地域社会との共生に向けて」。A4判6ページで「立地地域(と)意思疎通を図り、周辺のニーズを踏まえて、必要があれば事業方針等の見直しを行う」「地域社会と議論し、認識を共有する」などと記載。策定会議事務局役の内閣府原子力政策担当室職員が4月24日の策定会議のために用意したものだが、地域がどの範囲を指すのか明記されていない。

 内閣府職員は4月中旬、議案をエネ庁や電気事業者側に示した。すると、策定会議委員の伴英幸・原子力資料情報室共同代表や金子勝・慶応大教授の名前を挙げ「両委員から『周辺には(再稼働に慎重な)滋賀県は含むのか』と追及される」「関西圏首長に理解を求めるハイレベルな活動に影響する」などとして議案から外すよう強く要請があった。内閣府職員は「委員長(近藤氏)に話して決める」と応じたという。
 策定会議前日の4月23日と翌24日には、政府高官が滋賀県の嘉田由紀子知事、京都府の山田啓二知事、大阪市の橋下徹市長らと会談した。近藤委員長は毎日新聞の取材に「事務局(内閣府職員)から『(取り上げると)地域の範囲について議論になる』と聞いた」と認めたうえで「それでやめたわけではなく、他の議題を優先しただけ」と答えた。【小林直、太田誠一、田中龍士】

 ◇新大綱策定会議  原子力政策の基本方針として5年をめどに見直される原子力政策大綱の改定作業を担う有識者会議。立地自治体や財界関係者、研究者、市民団体メンバーら27人で構成され、議論は公開で行われる。10年12月に発足し、東京電力福島第1原発の事故で中断したが、11年9月に委員を一部入れ替え再開した。今夏にも関係閣僚らでつくるエネルギー・環境会議が革新的エネルギー・環境戦略をまとめる方針で、策定会議の議論や新大綱がそこに反映される。』(5月8日付毎日新聞)


【原子力推進のドン】

内閣府原子力委員会の近藤駿介原子力委員長とは、知る人ぞ知る原子力推進派の筆頭御用学者とも言える人物で、今回もその本領をいかんなく発揮し、自分たちの都合の悪い議題など闇から闇へ葬ろうとしているようです。

そもそも以前にもブログで書きましたように、フクイチ事故の最も重要な教訓のひとつは、その放射能汚染の広がりの深刻さから考えて原発の地元とは交付金を受け取る原発立地の市町村だけではありえず、周辺自治体、そして日本全国だということが明確になったということです。

それを認めてしまうと、もう永久に再稼働など出来なくなると恐れて原子力委員会の「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)の議案の一つから「(原子力と)地域社会との共生」を外したということは誰の目にも明らかです。毎日新聞はどこかの読売と違ってよくやっていると思いますが、これでよしとせずにもっとしっかりと執拗にこういう重大な疑惑を取り上げてほしいものです。

フクイチのような重大事故が起きることがはっきりした以上、直接の利益を享受している立地自治体は別にしても、その他の周辺自治体などの地域社会と原発が共生することは僕はあり得ないとは思いますが、それを深く認識するためにもこのような議題でしっかり議論するのが国の役目ではないでしょうか。反省なくして地域と原発の共生なんか絶対にあり得ないし、その前に議論のテーマを隠ぺいするなんて言語道断でしょう。国民の命をもてあそび、愚弄しています。即刻、近藤氏と隠ぺい工作を主導した経産省の事務方は全員退場してもらいたいですね。  



2012年05月09日

【いつ見ても原発推進】

読売新聞の5月4日の社説に使用済み核燃料のことが書かれていました。

『 内閣府の原子力委員会が、原子力発電所で生じる使用済み核燃料の処理方法を変更した場合のコストを試算した。

 変更に伴う費用は兆円規模の巨額に上る。

 東京電力福島第一原発の事故を受け、原子力政策は見直しを迫られている。検討に当たる政府のエネルギー・環境会議は、試算を踏まえ冷静に議論すべきだろう。

 主要な論点は二つある。「脱原発」を目指すのかどうか。各原発などに大量に存在する使用済み核燃料をどう処理するかだ。

 試算は、2020年以降は原発ゼロとする場合と、最大で現状並みに発電量の20~35%を原発で賄う場合に分け、30年までの使用済み核燃料の処理費用を出した。

 日本は、これまで、使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出し、核燃料に再利用する「核燃料サイクル」を採用してきた。

 ウラン資源を有効活用でき、放射性廃棄物の量も大幅に減らせる利点があるためだ。

 原発をゼロにすると使用済み核燃料の増加は止まる。残る使用済み核燃料は、そのまま地中に埋める「直接処分」だけになり、他の政策を選ぶより最大で約5兆円コストが下がる、としている。

 問題は、原発に代わる火力発電の燃料費だ。年に約3兆円、30年までに計約30兆円以上かかる。負担の大きさからも、脱原発は非現実的な政策と言えよう。

 一方、原発利用を続けたまま直接処分に完全に切り替えると、費用は約2兆円拡大する。

 核燃料サイクルより放射性廃棄物の量が増え、その分コストが膨らむからだ。青森県六ヶ所村で完成目前の核燃料再処理工場も廃棄され、投資が無駄になる。

 この場合も、代替の燃料費が深刻な問題となる。

 核燃料サイクル政策を放棄すると、青森県との約束で、これまでに六ヶ所村に搬入された使用済み核燃料約3000トンが、各原発への返送を迫られる。

 使用済み核燃料の置き場が満杯になる原発も多く、運転できなくなる。順次止まる原発を火力発電で補うと、30年までに最大32兆円の燃料費が必要と試算された。

 いずれにせよ、電力料金は大幅に上がる。産業界や家庭にとっては大打撃となろう。

 やはり、再処理工場を完成させることが必要だ。

 核燃料サイクルは高い技術を要するが、核兵器を持たない国で実用段階にあるのは日本だけだ。簡単にあきらめるべきではない。』(2012年5月4日付 読売新聞)


【原子力ムラの広告塔?】

フクイチの事故が起こってもまったく揺るがない原発推進の大号令をかけつづけている大新聞の筆頭は、僕の知る限りではこの読売新聞です。現政権に対する批判のトーンも「早く再稼働しろ」ではあっても、住民の安全を最優先に考える姿勢はまったく見えません。まるで原子力ムラの広告塔です。

今回の社説も原発をゼロにして使用済み核燃料を直接処分することによるコスト減よりも、原発の代替火力の燃料費がかさむから脱原発は非現実的だと主張します。社説の中で、コストの前提となる条件も時間軸もあいまいなまま、膨大なコストをかけているにもかかわらず今までもこれからも再処理実現がまったく見通せないことも棚に上げて、再処理工場も含め原発事故がもたらす超巨大なリスクには目もくれずにただ脱原発は非現実的だというその主張には、福島第一原発の教訓などひとかけらもありません。3/11以前も以後もただ主張したいのは、原発推進だけ。

こんな硬直的な大手メディアが、未だに論理の飛躍ばかりが目立つ、無反省な原発推進の論調をしゃあしゃあと社説に繰り広げている非常識のほうを問題にしたくなります。

原子力がこれほどの災禍をもたらすことなど想像も出来なかった時代に「読売の中興の祖」と言われる正力松太郎氏が日本に原発を導入した功労者だから、日本が原発事故によって破滅の危機に陥ろうが先輩の功績に泥を塗るような脱原発になど絶対に与しないということなのでしょうか。そう勘ぐられても仕方がないほど、どうしようもない新聞だと思います。

ただ、各新聞の主張は主張として、その新聞が読むに値するかどうかは読者ひとりひとりの判断です。しっかりと読んで、ひとりの市民としてその姿勢にモノ申すことが大事だと思います。
  



2012年05月08日

【中高年、悲惨】

北アルプスで突然の悪天候が福岡の中高年登山者を襲い、悲惨な出来事となってしまいました。

『ゴールデンウイーク(GW)終盤の北アルプスを吹雪が襲った。遭難して死亡した8人はいずれも60代以上の中高年。8人のうち、長野県白馬村の白馬(しろうま)岳(2932メートル)で死亡した6人の中には、山登りの「ベテラン」もいたというが、十分な防寒具を備えていなかった。「軽装が事故につながったのか」。救助隊員らは無念を隠せなかった。【渡辺諒、福富智】

【亡くなった方々についても】北アルプス:8人死亡 6人は北九州市の男性グループ

 栂池(つがいけ)高原の山小屋の従業員によると、北九州市の6人のパーティーは事前の予約通り、3日午後2~3時に栂池ヒュッテに到着した。4日は午前5時ごろに白馬岳山頂近くの白馬(はくば)山荘に向けて出発。従業員は「6人は(雪面を歩くための)アイゼンを付け、ピッケルを持っていたと思う」と振り返る。出発時は青空が見える好天だったという。

 GWの山小屋はにぎわう。しかし予報では4日午後から天気が崩れるため、他の客は宿泊をキャンセルしたり、縦走ルートを変更するなどした。この日、白馬岳方面へ向かった別の1組は天候悪化で引き返した。

 栂池高原から白馬岳へ向かう縦走ルートは標高差約1000メートルを登る約7キロのコース。白馬山荘によると、はしごや鎖を使う危険な場所はなく、好天なら中高年でも登れるという。しかし天候が急変しやすく、強い西風を正面から受けて尾根づたいに進むため、疲労がたまりやすい。

 正午~午後2時ごろ、栂池から白馬岳方面に向かう途中に天候悪化で引き返した東京都の男性(63)は、後に遺体が見つかった尾根で6人とすれ違った。「『天気が悪いので、私たちは引き返して来ました』と話しかけたが、返事はなかった。1人が疲れた様子で、その人のザックを別の人が担いでいた」。しばらくして天候は一層荒れ、吹雪になったという。

 6人は白馬山荘にたどり着かず、山荘から連絡を受けた6人のうち1人の家族が、同5時40分に県警大町署へ届け出た。

 一夜明けた5日午前5時半、県警はヘリで白馬岳周辺の捜索を開始。同7時40分、愛知県豊橋市の男性(42)が、6人と逆に白馬岳から栂池へ縦走していて遺体を発見した。「6人の周りにテントのようなナイロンが散らばっていた。風で飛ばされたような状態だった」。男性は携帯電話で110番した。さらに同8時、付近を通った埼玉県川越市の男性(37)は「5~6人が倒れているのが見えた。2~3メートルおきに倒れていたり、体育座りのような姿で集まっていた」と話した。

 捜索にあたった白馬村山岳遭難防止対策協会の降籏(ふるはた)義道・救助隊長らによると、遭難時に避難のために掘る「雪洞」を作った形跡は付近になかったという。6人はいずれも低体温症で、天候の急変で体温を奪われ、動けなくなったとみられる。降籏隊長は「末端の手から冷えて一気に体温を奪われたのではないか」と推測する。付近に強風から身を隠す場所もなかった。

 6人が遺体で見つかった長野、富山、新潟県境の「三国境」付近は、白馬山荘まであと2時間弱の地点だった。』(5月5日付毎日新聞)


【崇高な山の魅力】

2009年7月に僕はこのブログで映画「剱岳 点の記」が封切以来大評判となっているという記事を書きました。そして、『僕もこの映画を封切と同時に見に行きましたが、館内の観客のほとんどは中高年のご夫婦でした』と書きました。中高年の登山ブームが映画の興行にまで大きな影響を及ぼしているのです。

長い間、地元の修験者さえもなかなかよせつけなかった急峻で崇高な剱岳の偉容は見るものを圧倒せずにはいません。あの年は大雪山系トムラウシ山で10人もの中高年登山者が命を失いましたが、あのトムラウシ山は、作家深田久弥氏名著「日本百名山」の一節に「威厳があって、超俗の趣がある。あれに登らねばならない」というくだりがあるほどの魅力的な山なのです。

今回の北アルプス遭難もまた中高年の登山者でした。遭難された中高年登山者の方々も、剣岳やトムラウシ山とは違うかも知れませんが春の白馬岳の美しさに魅せられて「この山に登りたい」という思いをいだいていたのではないでしょうか。残念でなりません。本当に心よりご冥福をお祈りします。

【己を知る】

近年の登山技術と装備の高度化・大衆化によって、かつては熟練した登山家さえもよせつけなかった山々にも比較的気軽に登れるようになりましたが、その反面、登山のリスクを侮り遭難する登山者が中高年を中心に急増しています。

今回の白馬岳での遭難事故に関しては、亡くなられた方の中に医師やベテランの登山家がいたにもかかわらず事故にあったということで、やはり春山登山への「油断」があったと思わざるを得ません。遭難事故のたびに繰り返し言われることですが、今回も改めて中高年登山の在り方、急変する山の天気への備えなど多くの課題を私たちにつきつけたといえるでしょう。

中高年登山者に限らず、山登りをしようとする人は、己を知り自然の怖さを知ることが、先ず登山を計画するときには必要なことを肝に銘じるべきでしょう。

そして、あらためて今回の登山者の冥福をお祈りし、この惨事を惨事だけに終わらせず関係者は今後の教訓にしていただきたいと思います。

《参考》

・「剱岳とトムラウシ山の教訓」・・・2009年7月18日の僕のブログ記事
  



2012年05月07日

【全原発停止】

ついに5月5日をもって日本の全原発が停止しました。

『全国の原発で唯一稼働している北海道電力の泊原発3号機(北海道泊村、91.2万キロワット)が5日深夜、定期検査のため発電を停止する。これにより、国内の原発50基は全て運転停止状態となり、原発の発電量は1970年以来42年ぶりにゼロとなる。原発が基幹電源となってから初の異例の事態で、政府が目指す再稼働が実現しない場合、電力の供給不安を抱えたまま需要が増大する夏を迎える。
 原発による発電電力量は、ピークの98年度には全体の36.8%を占め、その後も3割前後で推移してきた。しかし、東京電力福島第1原発事故が発生した昨年3月11日以降、国内の原発は定期検査で次々と運転を停止し、再稼働のめどは立っていない。最後の稼働原発となった泊3号機も、5日午後5時ごろから出力を下げ始める。同11時ごろには発電を停止する。』(5月5日付時事通信)


【すべてを出直せ】

昨年3月11日のフクイチ事故以降の原発を巡る動きを見ていると、政府や電力会社、原子力産業、御用学者、大手メディアといったいわゆる「原子力ムラ」の人々は、関東全域3千万人が避難するような事態も現実に起こりえた過去最悪の原発事故を経験しても、まったく反省もなくただひたすらに原発の延命を図っているように見えます。

そういった動きを危機感を持って阻止しようとしているのは、僕ら多くの市民たちの原子力ムラに対する不信と疑念、それを追及する「声」です。圧倒的な原子力ムラの権力に立ち向かっていけるのは、事故が起これば真っ先に危険にさらされる僕ら市民の声しかないのです。

この夏を目指して大飯原発を再稼働させようという政府の目論みは今一時的にとん挫しています。しかし、彼らはフクイチを何の教訓ともとらえておらず、原子力維持体制の温存のみしか関心がないことは経産省総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の原子力推進派の委員の議論を聞いているとわかります。日本という国家の存亡は原子力抜きではありえないと考える彼らにとって原発が次の破滅的な事故を起こして日本が壊滅するリスクなんて統計学的な確率が限りなくゼロに近いとしてまたしても無視しようとしているのです。

僕たち市民は決して気を緩めてはいけません。彼らの狂気を止めるまでしっかりと監視し、一刻も早い全原発の廃炉を目指して「声」を上げ続けましょう。  



2012年05月02日

【驚きの数値】

これは見方によっては、驚くべき数値だと言えるのではないでしょうか。

『50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合である生涯未婚率(2010年時点)は、男性20・1%、女性10・6%と、初めて男性が2割台、女性が1割台に達したことが30日、わかった。

 政府が6月初めに閣議決定する2012年版「子ども・子育て白書」に盛り込まれる。

 1980年時の生涯未婚率は、男性2・6%、女性4・5%で、今回は30年前より男性が約8倍、女性が2倍以上に増えた計算。男女共に90年頃から生涯未婚率が急上昇している。

 年代別の未婚率を見ると、25~29歳では、男性71・8%、女性60・3%だった。30~34歳は男性47・3%、女性34・5%。35~39歳は男性35・6%、女性23・1%。』(5月1日付読売新聞)


【生涯未婚の寂しさ】

50歳時点で一度も結婚したことがない人が男で2割、女で1割もいると数字で示されると本当に驚いてしまいます。しかも男は30年前に比べて8倍も未婚率が高くなっているとのこと。一体、これは何を意味するのでしょうか?

最近よく言われているように「草食系」の男子が増えているからなのでしょうか?自分で女性に声をかけることができない男性が増えているということなのでしょうか?定職につけないなどの経済的理由からなのでしょうか?それとも男女の比率が30年前に比べて大きく変化しているからなのでしょうか?以前、テレビの番組でジャングルの中で群れをなして生活しているチンパンジーの生態を記録するというのがありました。その中で、相手のメスを見つけることができないオスのチンパンジーが次第に群れから離れて行って寂しく孤立していくというシーンがあったように記憶しています。

人間の世界も同じです。女性はひとりで生きる術を本能的に持っていますが、男は年を取れば取るほどひとりで生きていくにはあまりにもみじめで、あまりにも寂しい存在のような気がします。これは僕の思いすごしでしょうか?是非、若い男性諸氏には頑張って生涯に一度くらいは結婚する相手を見つけてほしいと願うのは僕だけでしょうか?  



2012年05月01日

【首長たちの行動】

普通の市民だけでなく、各地の首長も動き始めました。

『原発再稼働へと政府が大きくかじを切る中、原発ゼロを訴え、「脱原発をめざす首長会議」が二十八日、東京都内で発足する。原発立地自治体の中で唯一の会員で、全国の首長に参加を呼び掛けてきた茨城県東海村の村上達也村長(69)は、本紙のインタビューに「住民の命と財産に及ぶ政策を国だけに任せておくわけにはいかない。首長会議は、政治にインパクトを与えるはず」と意欲を語った。 (林容史)
 首長会議には、三十五都道府県の首長・元首長六十九人が会員として名を連ねる。二十八日の設立総会には、顧問の佐藤栄佐久前福島県知事ら三十四人が出席する予定だ。「これだけの首長が顔をそろえ、国にものを言えば大きな影響力を持つ。新しい地方主権、民主主義の動きだ」と村上氏は力説する。

◆政府は世論を読めていない

 東海村は東海第二原発(日本原子力発電)を抱え、東日本大震災では、自身もあわやの危険を感じた。いまの国の動きは、なし崩し的に原発を再稼働しようとしているようにしか見えない。「政府は一年以上たっても脱原発の世論が読めていない」といら立ちを隠せない。

 設立総会では、自らの思いも発表するつもりだ。「福島の原発事故の被害の実態を見てください。なぜ脱原発にならないのか、私は不思議に思う」。故郷に戻れない被災者のこと、魚や野菜など農産物を出荷できず死活問題に直面している人が多数いること。放射能被害の天文学的数字と底なしの不安。「人口が密集するこの狭い国土に、原発を持つということについて真剣に考える必要がある。これは目先の利益ではなく、われわれ日本人の品格にかかわる問題だ」と訴える。

 東海村では一九九九年、核燃料加工工場ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所で国内初の臨界事故が発生。村上氏は村長として国や県の対応を待たず、いち早く住民を避難させるため陣頭指揮を執った経験がある。

 目に見えない放射能の恐怖を身をもって知ったが、それでも「国策」である原子力政策に異を唱えることはできなかった。それは国に真っ向から歯向かうことを意味したからだ。まして、原子力の恩恵でうるおってきた自治体の長が唱えれば、異端として排除されかねなかった。

 しかし、東京電力福島第一原発事故がすべてを一変させた。

 昨年十二月、首長会議の設立を準備していた静岡県湖西市の三上元市長が訪ねてきた。「一緒にやろう」との誘いを快諾した。「原発が立地する市町村の住民の中には、いろいろな利害関係はあるが、福島原発事故を経験し、たじろいでいる場合ではなかった」と振り返る。

 これからは「脱原発依存」を言いながら、具体的な道筋を示せない政府を、首長会議として脱原発へと後押ししていく考えだ。

◆全基の廃炉へ 国有化要請も

 村上氏は「全国原子力発電所所在市町村協議会」(全原協)の副会長を十四年以上務めてきたが、五月に都内で開かれる総会で、職を辞すという。「全原協は、電源交付金を要求しながら、経済産業省と一体となって原発を推進してきた。福島原発事故を防げなかったことに副会長として責任を感じる」と打ち明ける。

 全原協の総会の場では、枝野幸男経済産業相に、持論をまとめた「脱原発依存のための制度設計」を突き付け、電力業界にメスを入れて、国内の全原発を将来的な廃炉に向けて国有化するよう迫るつもりだ。』(4月28日付東京新聞)


【命を守る行動へ】

原子力発電所の建設にはどのくらいかかっているのでしょうか?九州電力の玄海原子力発電所(1号機~4号機)では、昭和50年に建設された1号機が545億円、平成9年に建設された4号機が3244億円となっているそうです。そして、最新鋭の原発建設となると5千億円程度はかかると言われています。

それら建設費が現在の総括原価方式の電気料金の算定方法では、すべて参入され、おまけに原発の発電で出てきた放射性廃棄物の処理費用まで原価として算入され、どんどん原発を作って安全であろうがなかろうが稼働しつづければその原価が大きくなるほど大きな利益が保証されるというのですから、電力会社が原発を止めたくないのも当然でしょう。

一方、原発立地の「迷惑料」として国からの巨額の補助金や電力会社からの寄付金などが原発立地自治体に配られてきたことを考えると、立地自治体はそう簡単に原発から「手を引く」ことは困難だということもよくわかります。

それでも東海村の村上村長や南相馬市の桜井市長は国や電力会社に脱原発を訴えるべく立ち上がった。そこには国や電力会社、はたまた原子力ムラに対する激しい不信感があるからだと思います。

26年前のチェルノブイリ事故後は市民レベルでの反原発は大きなうねりとなりましたが、原発立地自治体まで動くことはありませんでした。そういう意味で原発立地自治体の首長をはじめとする全国の35都道府県の69人もの方々が結集する意味は大きいと思います。是非、市民の命のために頑張ってもらいたいと思います。  




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