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2012年06月12日

【再稼働へのレール】

ついに再稼働への秒読みが始まりました。これからは政府の想定通りに進んでいきます。

『関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の安全性を検証してきた福井県原子力安全専門委員会は10日開いた会合で、事業者による安全性向上策の確認結果や今後国などに対応を求める点などをまとめた報告書案を示した。結論として「東京電力福島第1原発事故を教訓に、想定すべきとされる地震、津波が襲っても、原子炉の安全を確保するために必要な対策は確保されているものと評価できる」としている。

 会合は午後3時半の開会直前に、再稼働に反対する一部の傍聴者が「傍聴者全てを入れろ」「きょうで打ち切るな」などと騒いで県職員や警備員ともみ合いになり、委員全員が退室する事態となった。約1時間後、県庁内の別室に移り、傍聴者のいない状態で開会した。

 県専門委による検証を再稼働判断の前提としていた西川一誠知事は今後、時岡忍おおい町長と県会の意向を聞き、現地視察した上で、早ければ週内にも再稼働に同意するとみられる。地元の同意を受け、野田佳彦首相は速やかに関係3閣僚との会合を開き、再稼働を最終判断する方針。

 大飯3、4号機の再稼働をめぐっては野田首相が8日、官邸で記者会見し「国民の生活を守るために再起動すべきというのが私の判断だ」と表明。西川知事は「重く受け止めている」とのコメントを発表し、同意に向けた手続きを進める意向を示していた。

 ただ、首相が今週中に再稼働を判断しても、運転再開は節電期間が始まる7月2日に間に合わない可能性が高い。再稼働の作業を始めてからフル出力まで1基につき約3週間かかるためで、2基がフル稼働するのは7月下旬になる見通し。』(6月10日付福井新聞ONLINE )


【重大な転機】

今回の大飯原発再稼働への手続きは、今後の他の原発の再稼働の模範的な手続きとして既定路線となっていくことは間違いありません。特に官僚はいったん既成事実が出来上がれば、それをルールとして次々と既成事実をおっかぶせていくのが得意な人間たちです。今後市民の力で他の原発の再稼働をやめさせるのは今まで以上に困難になっていくでしょう。

僕たち市民が肝に銘じておかなければならないことがあります。それは、原発や核燃料サイクルの推進というのは、すでに産官学が30年以上にわたって利権構造をガチガチに作り上げたニッポンの巨大な産業となっていて、野田首相の言うとおり、それら原子力ムラの勢力にとってはこの産業なしには「自分たちは」立ち行かなくなっているという事実です。(この場合、立ち行かなくなっているのは日本ではなくて、原子力ムラの勢力、原子力の産官学複合体です)最も端的には、原発が再稼働できず次々と廃炉になれば原発という不良債権によって破たんが免れなくなるであろう電力会社がその最たるものです。彼らは自分たちが生き残るためなら原発の安全など二の次、三の次なのです。

そしていったんこのゾンビのような巨大な勢力に復活の口実を与えると、国民の不安や原発の安全などお構いなしに、次々とその隙間を埋めて既成事実化していくこということです。

そういう意味で今回の大飯の再稼働は重大な転機となるでしょう。彼らに市民、国民がつけいる隙を与えてしまったからです。

この重大さというのは、何度もこのブログで書いていますが、太平洋戦争に突き進んで600万人以上と言われる民間人・軍人の犠牲者を出し、沖縄をはじめとする国土を焼失させてしまった国家の破滅以上のものとなるということです。すなわち、戦争ならばまだ復興の可能性がありますが、大規模な原子力災害というものは復興は不可能だということです。それは、たとえどんなに政治家が責任を取ると明言しても誰一人として責任など取れない、フクイチ以上の原発や核燃料サイクル施設の核災害が近い将来必ず発生し、膨大な核汚染によって日本列島の分断どころか日本全体が人間の居住に適さない土地として何世代にもわたって社会も文化も伝統も人々の生活もすべてが根こそぎ奪われて2度とふたたびニッポンという国家が立ち直れなくなるということです。フクイチの事故がそれを証明しつつあります。もちろん、それは福島とその周辺の方々が被災して苦しんでおられるように、あなたも家族も家も土地もその核汚染の真っただ中でそれらすべてを捨てざるを得なくなるということです。しかもそのとき、放射能汚染には国境はないので、日本だけでなく世界中が大規模な核汚染の脅威にさらされることになるでしょう。

政治家も原子力ムラの人間たちも、そして僕たち多くの国民もそれほどのリスクが原子力にはあるということが人類上初めて明らかになった福島第一原発の事故をあまりにも、あまりにも軽く見すぎていないでしょうか?

【怒りを胸に、楽天性を保って最大防護を】

ここまで至っても、絶対に絶望することなく、なんとしてもこの崩壊への流れをひとりひとりが止めていくんだという決意だけは持ち続けないといけないと思います。これほどの時代を生きていくうえで非常に参考になる言葉を最後にご紹介します。それは沖縄在住で内部被曝の専門家として原爆症認定集団訴訟で証言をし、3/11以後は全国で講演をされている矢ヶ崎克馬先生が放射線被ばくにどのように立ち向かうかについて語られた言葉です。(岩波ブックレットNo.832「内部被曝」のP.56より引用)

「この時代を生きていくうえでの私の提言は『怒りを胸に、楽天性を保って最大防護を』です。事態がこうなった以上、能動的に立ち向かうことが大切です。内部被曝の恐ろしさを学んで、それでもだめだと考えてしまうのではなくて、恐ろしさをきちんと知ることで、政府の発表を鵜呑みにしないようにし、私たちのいまなすべきことを見出していくことができるのです。
私たちはもはや『汚染される覚悟』が必要です。しかし、悲観して恐怖のうちに汚染を待つのはよしましょう。この怒りを胸にしっかり収めて、開き直って、楽天的に、知恵を出し、最大防護を尽くしつつ、やるべきことはすべてやるのです。」
  




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海や山、自然が好きな九州男児です。あらゆる機会をとらえて、時代の変化をいつも感じていたいと思っています。
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