2012年06月29日

【5党が合意】

5党の思惑が一致したことで「大阪都」構想は一歩実現に近づいたようです。

『与野党5党が、東京都以外の道府県に特別区設置を認める新法案の共同提出で大筋合意した。計6回行われた協議では、「大阪都」構想実現のため、地域政党「大阪維新の会」の国政進出を駆け引きに使う橋下徹大阪市長への強い警戒感から各党が譲歩。国の関与を必要最小限に抑えて、柔軟な制度設計が可能な内容に落ち着いた。
 各党が提出していた3本の都構想法案は、人口要件や国の関与方法にかなり違いがあり、一本化協議は長期化も懸念された。しかし、橋下氏が都構想法案が成立した場合、「(国政進出を)積極的に考える必要はないんじゃないかなと思う」などと発言。民主、自民両党は、次期衆院選で台風の目にもなりかねない維新の会の勢いをそぎたいとの思惑で一致したことから、修正協議は予想外にスムーズに進んだ。
 都構想法案で橋下氏側が求めていたのは、国の関与を極力なくすこと。5党は、税源配分など3項目に関しては、法改正や他自治体にも影響を与えることから、国と事前協議する規定を設けた。しかし、これ以外の事項は国への報告にとどめ、自治体の裁量を可能な限り大きくした。法形式も、必要に応じて現行の東京都23区と異なる制度も導入できる「新法」とした。
 国との事前協議に関しては、民主、国民新両党が当初求めていた国の同意も不要とした。ただ、これに関しては、政府内から「国との事前協議が不調に終わると、自治体が求める法改正が実現できない可能性もある」との指摘も出ている。』(6月28日付時事通信)


【橋下氏の勢い】

それにしても、5党合意にこぎつけた理由が面白い。なんと5党の中で最も大きな勢力である民主、自民両党が、次期衆院選で台風の目にもなりかねない維新の会の勢いをそぎたいとの思惑で一致したことからだそうです。国政の中心にいる二大政党が、関西の一市長が率いる地方の会派が怖くて腰が引けたからというのですから笑ってしまいます。もうこんなふがいない決め方をした時点で大阪都構想の法案をとりまめられようが、どうしようが国政レベルの政党は敗北したも同然でしょう。「勢いがある」とはそういうことだと思います。

まだまだ紆余曲折はこれからありそうですが、それにしてもこういう形で中央政界から大阪都構想が認められるように進んでいるということは、橋下市長の政略勝ちといえるかもしれません。江戸末期の幕府がペリー来航で一気に崩れていったのと同様、既得権益の防衛に汲々としている連中は意外にもろく崩れ去っていくかもしれません。自民も民主も公明も、そして離党騒ぎを起こしている小沢一派もみんな既得権益の権化のような人たちばかりです。彼らを退場に追い込む最後のひと押しのためには、僕らひとりひとりの市民の政治に対する監視と決意がますます重要になっていくと僕は確信しています。

  



2012年06月28日

【日本全国で怒号】

9電力会社の株主総会で怒号の中、すべての脱原発提案が予定通り否決されました。

『27日午前に始まった関西電力の株主総会。大阪、京都、神戸の3市が「脱原発」などを求めて株主提案し、筆頭株主である大阪市の橋下徹市長はじめ、3市のトップが出席し、質問に立った。今月16日には政府が大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働を決定したばかり。原発の是非は、電力供給体制の在り方は--。会場となった大阪市北区のホールには過去最多の3825人(午後1時現在)が出席。会場外にも多くの市民グループが詰めかけ、熱気と緊張感に包まれた。

 「衰退産業が歩んだ道を今、関西電力は歩んでいる。将来のリスク説明が不十分だ」

 白の半袖シャツ姿の橋下市長は午前11時半ごろ、質問に立った。2階の最前列で右手にマイク、左手に資料を持ち、矢継ぎ早に質問を重ねた。「使用済み核燃料の最終処分場はいつまでに造りますか。発送電分離は2年後ですか。2030年に関電の原発依存度は何%になるのか。経営陣は原発が何基止まれば赤字になると想定しているのか」

 議長の森詳介・関電会長が「(質問期限の)3分経過しました」と質問終了を促した後も、「政権も代わる可能性があります。政策が変わり、原発依存度ゼロの流れになった時どう対応するのか」などと続け、発言は約4分に及んだ。退場の際にも右手を振り上げ、「議長、議事停止の動議です」などと叫んだ。会場では拍手が湧く一方、「ルールを守れ」「大阪市をつぶすな」などとヤジも飛んだ。ただ橋下市長は、株主提案した「可及的速やかな全原発の廃止」など急進的な内容には直接触れず、中長期的な取り組みをただした。

 大阪市長の出席は昨年6月の平松邦夫前市長に続き2年連続。今年は、門川大作・京都市長や矢田立郎・神戸市長も顔をそろえ、それぞれ質問に立った。

 橋下市長は昨年11月、関電への株主提案を公約に掲げて当選した。神戸、京都市にも協力を呼びかけ、一部の議案では3市共同提案にこぎ着けた。しかし、定款変更を伴う議案には3分の2以上の賛成が必要でハードルは高い。総会での質問も1人3分程度に限られた。

 橋下市長は26日、記者団に悔しさをにじませた。「3分では緊張感のある議論はできない。ただ、関電の経営方針への賛否が数字で表される意義は重い」【茶谷亮、林由紀子】』(6月27日付毎日新聞)


【いつか来た道】

これほどの市民の声、これほどの自治体の声が日本中に響き渡り、電力会社の認識の甘さを追及しているというのに、思考停止したまま「原発が大事、原発が大事」と呪文を唱え続ける電力の経営陣たち。もう経営能力どころか、精神異常をきたしているのではないかと疑いたくなるような「惨状」です。

日本が壊滅したかもしれない3/11のフクイチにまったく何も学ぼうとしない姿勢が、今年の株主総会も如実に表れていました。こんな姿勢では到底、いったん暴れだすと人知を超えて凶暴化する原発の放射能汚染事故に対処できるような英知も対策も生まれてくるはずはありません。

過去の過ちを認めたくない、原発停止が長引けば数千億の資産が負債に化けて経営破たんしてしまうという恐怖から、一寸先も見えなくなっている電力会社の無能な経営陣に原発事故の対策など求めるのは土台無理なことだと、株主総会の惨状を見て改めて思い知らされた気がします。

僕たち市民、国民にとって次の巨大事故発生まで残された時間はあまりないかもしれません。この人間たちの狂気をどうやって止めたらいいのか、逡巡してしまいます。橋下氏や猪瀬氏の勇気に続いて、絶対にあきらめない姿勢を示し続けるしか助かる道はないと肝に銘じるしかありません。
  



2012年06月27日

【株主総会】

今日は電力会社の株主総会が一斉に行われます。

『沖縄電力を除く電力9社は27日、定時株主総会を開催する。福島第1原発事故を起こした東京電力は実質国有化や経営陣刷新を株主に諮り、「新生東電」に向けて最初の審判を受ける。国内50基の全原発が停止する中、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働の準備作業もにらんで、「脱原発」を求める株主提案が相次ぐ見通しだ。
 東電は原子力損害賠償支援機構を引受先として1兆円の優先株を発行するための定款変更や委員会設置会社への移行を提案する。可決されれば7月25日に公的資本注入を受け、実質国有化される見通し。』(6月27日付時事通信)


【様変わり】

それぞれの株主総会で経営側と脱原発提案を出している株主側で激しい議論が展開されることが予想されています。その筆頭は記事にもあるように東京電力であり、大飯の再稼働を進める関西電力、浜岡原発を停止中の中部電力なども注目すべきでしょう。毎年脱原発の提案をシャンシャンで否決してしまうのが恒例の電力会社の株主総会ですが、今年も脱原発など毛頭やる考えのない電力各社は関西電力をボスとする電気事業連合会の結束のもと、すべて否決する構えのようです。しかし、そんな硬直した電力側とは裏腹に今までと決定的に違うのは脱原発提案をする側です。

すなわち、その特徴とは各電力会社の大株主に名を連ねる地方自治体が脱原発派の個人株主等に加わって様々な脱原発提案を経営陣に突きつけることです。東電に対しては大株主である東京都の猪瀬副知事が脱原発提案を出していますし、関電に対しては8.9%を保有する大阪市の橋下市長が保有する原発十一基の速やかな廃止や再生可能エネルギーの導入、発送電分離に取り組む定款変更などを突き付けて、「原発は、もはや利益を得られるものではなくなった。今後どうするのかを考えるのがトップの責任だ」と主張、自ら出席して脱原発への転換を経営陣に迫る予定だそうです。

従来からの脱原発派による株主提案だけでなく、大株主である地方自治体が加わって経営陣に脱原発を迫っているのは、3/11のフクイチがもたらした地方の危機感の表れであり、それらは即地方の住民、そして日本国民の多くが感じている原発の危険性と電力会社の経営陣に対する不安と不信の現れです。これほど様変わりした脱原発提案に対して経営陣が真摯に提案を経営に反映させることなくして公益企業としての電力会社の責任を果たしていることにはならないのは自明です。提案の中には脱原発に結びつくからと言って真っ向から否定するのではなく、経営としてしっかり議論して取り組むべき課題も多くあるはずです。

いったいいつまで頑なに原発にしがみつこうと考えているのでしょうか?原発もろとも経営破たんするまでわからないのでしょうか?こんなことでは利権の塊の原発でふくれあがった悪魔のように聳え立つ関電をはじめとする電力会社の塔が崩れ落ちるのは時間の問題です。経営者の姿勢が問われています。
  



2012年06月26日

【報告書出る】

秘密会疑惑の解明を置き去りにしたまま原子力委員会が報告書を発表しました。

『今後の核燃料サイクル政策の選択肢を検討してきた原子力委員会は二十一日、二〇三〇年時点で総発電量に占める原発の割合(依存度)に応じた選択肢の報告書をまとめた。依存度を0%、15%、20~25%の三つに分け、使用済み核燃料や再処理工場、高速増殖原型炉「もんじゅ」の扱いをどうすべきかを記した。どれがいいかは書かなかったが、核燃料は再処理と地中に埋める直接処分を併存させる方式が望ましいとの意向をにじませている。  

原子力委は近く、政府エネルギー・環境会議(議長・古川元久国家戦略担当相)に報告書を提出。同会議は八月にも新たなエネルギー政策をまとめる。  報告書は、原発依存度が0%(脱原発)を選ぶ場合、残された使用済み核燃料は全て直接処分し、再処理工場(青森県六ケ所村)は廃止、もんじゅの開発は中止し、高速増殖炉関連は基礎研究程度にとどめるのが適切だとした。  

依存度が15、20~25%の場合は、使用済み核燃料が継続的に発生することになるため、どちらも再処理工場は稼働させる形に。処理しきれない核燃料が残るため、再処理と直接処分の併存が適切とした。再処理で取り出したプルトニウムの使い道として、高速増殖炉実現に向けた努力を続けるのが適切とした。その一環で、もんじゅは一定期間動かす、としている。  

また、20~25%の場合は、併存のほか、高速増殖炉の開発を積極的に進め、核燃料は全て再処理することもメリットが多いと指摘した。  どの選択肢がいいか直接的な意見は示さなかった。ただ、将来、政策が見直されてもいいよう備えることを推奨したり、急激な政策変更は再処理工場を受け入れた自治体との信頼を崩すことへの懸念を示したりしている。その点で、使用済み核燃料は併存方式を採るのが望ましいと受け取れる。  

併存方式なら、再処理工場は残り、もんじゅも基本的には存続する。政策変更に伴う混乱は避けられる。ただし、東京電力福島第一原発事故を受けた核燃料サイクル政策の見直し議論は、これまでの政策とほとんど変わらないことになる。』(6月22日付東京新聞)

【狙いは「現状維持」?】

先週日曜日のサンデーモーニングでも金子教授が発言していましたが、金子氏らが原発推進関係者だけの秘密会議の解明が出来るまでは原子力委員会の結論を出すのは待つように要望していたにもかかわらず、原子力委員会はそれを無視して報告書を公表したようです。しかもその中には委員会でほとんど議論もしなかった「もんじゅ」についても記述が入っているということですから、ひどい話です。

結局、経産省の事務方をはじめ秘密会議のメンバーを中心とする原子力ムラの面々の狙いは原子力をなんとしてでも温存するということ以外にはありません。誤解を恐れずに言えば、この3択にしても原発の依存度をゼロにする気などは毛頭なく、0%と20~25%の中間の15%を落とし所にするという魂胆がありありです。あわよくば20~25%にもっていくように国民を誘導できればとも思っていることでしょう。15%というのは結局、現状維持以外の何物でもないのです。そういう結論に最終的に持っていくことになるのでしょうが、そうなったときには時すでに遅しです。何という厚顔無恥、何という卑劣なやり方でしょうか。

この人間たちはフクイチの事故で何十万人もの人々が理不尽な避難生活を強いられても何の反省もなく、次の大事故が起こってそれ以上の放射能被害が市民に広がっても、国家が破局の淵に立っても何も変えないつもりなのです。こんなことが許されるのでしょうか?こんな人間たちの支配する原子力帝国・ニッポンをどうしたら救えるのでしょうか?絶望的な気持ちになります。
  



2012年06月25日

【日増しに膨らむデモ】

首相官邸前のデモが日増しに膨らんでいます。

『22日夕方に首相官邸前で行われた関西電力大飯原発の運転再稼働に対する抗議行動は、午後6時半の時点で、先週の1万2千人を大きく上回る約3万人(いずれも主催者発表)が集まった。その後の情報では最終的な参加者数は約4万5千人とも伝えられており、民意を無視した政府への怒りが日を追うにつれて増大していることが示された形だ。

■「野田首相は国民をナメた」

首相官邸前での抗議行動は、市民らでつくる「首都圏反原発連合」らが毎週金曜日に実施しているが、参加者数は回を追うごとに増加。先週15日には1万2千人が参加したが、「赤旗」など一部を除き、報道したマスメディアは皆無だった。

「今日の抗議行動もツイッターなどを通じて集まっている。テレビや新聞は報じないのに、これだけの人が来る」。永田町の歩道に延々と続く参加者の列に並びながら、哲学者の柄谷行人氏はそう話す。

柄谷氏は官邸前の抗議行動に毎回足を運んでいるという。「組合などの動員によらず、(自発的に)人が集まる状況は六〇年安保以来だ。政治家は人々のこうした変化が分からないのだろう」。民意を無視する形で再稼働を決めた野田首相に対しては「あの再稼働声明はアホ。国民をナメたから、これだけ人が集まった」と一刀両断した。

■「紫陽花(あじさい)革命」出現か

参加者の中で特に共通するのは、民意が尊重されないことへの危機感だ。都内から参加した夫婦は「国会前での抗議行動は初めて。(東電原発事故が)収束していないのに再稼働するのはおかしい。私たちの意思を見せるしかない」と話す。

また、仕事帰りにスーツ姿で駆け付けた男性は「(国会前は)今日で3回目。やっぱり国民がアクションを起こさないといけない。首相が代わっても政治のシステム、国民の意識が変わらないと現状は動かない」と語り、「民意が示されれば、国民の意識も変わるかもしれない」と抗議行動に望みを託す。

市民の声を報じないマスメディアを見限り、政治に民意の反映を求める人々が街頭へとあふれ出した。ジャスミン革命ならぬ「紫陽花(あじさい)革命」が始まろうとしているのか。(オルタナ編集委員=斉藤円華)』(6月22日付オルタナ)

【国民の声を聞け】

テレビや新聞をはじめとする大手メディアは今まで首相官邸前の再稼働反対デモについては、まったく無視するか、取り上げても出来るだけ小さく扱うか、あるいは一時的で感情的な動きだといわんばかりの取り上げ方をしてきました。読売や産経は特にそうです。それがここにきてテレビ朝日の古舘キャスターが11分間近く番組の中で取り上げざるを得なくなるところまでたどり着いたというのが正直なところです。古舘キャスターの勇気ある報道に一定の評価をしたいと思います。

この報道ステーションにゲストで呼ばれていたのは、寺島実郎氏でした。この中で寺島氏は日本政府が国内では減原発を国民向けに公言する一方で、海外ではアメリカとの原子力協力を進めて大いに原発を売り込もうとするなど「不可解な国ニッポン」という印象を持たれているのであり、市民はこのあたりの理解をもっと深めなければならないと警告していました。

それはある意味真実だと思います。なぜなら、ここ数日間だけを見ても日立のリトアニアでの原発初受注や、APECエネルギー相会合での日本の原発利用への後押し宣言案など日本が海外では積極的に原発を推進していこうとしている印象ばかりが目立つのです。ただ、大飯の再稼働決定あたりから政府の姿勢は明らかに減原発から原発再推進へペダルを踏み始めており、そういう意味で政府の二枚舌は悪い意味で解消されつつあるのかもしれません。とにかく何が何でも原発推進という姿勢が先の原子力基本法の修正や原子力委員会の推進派委員などによる秘密会議の事実などに見え隠れしています。

しかし、だからこそこんな矛盾したことを平然とやっている政府そのものが、其の二枚舌を改めることこそが大事なのであって、弱い立場の市民に理解を求めると言うのは筋違いではないでしょうか?そんなことは多くの市民はすでに直感的に気付いていますし、寺島さんに言われるまでもないことです。

そしてもうひとつ、寺島氏ははいつも脱原発は原子力技術者を失い国際的な日本の発言力がなくなると「脅し」ますが、脱原発することと廃炉や放射性廃棄物の技術をこれから維持発展させていくことは別問題ではないでしょうか?まして脱原発をして廃炉に向けた人材育成や技術開発に大きく舵を切ることが国際的にも脱原発に向かう国際社会への大きな発言力になるのではないでしょうか。

もっと普通の市民の声を政府をはじめとする原子力ムラと揶揄される集団の面々は真剣に受け取るべきだと思うのは僕だけでしょうか?

首相官邸前の再稼働反対デモに参加している多くの人々は普通の市民です。もしもこのウネリがもっと大きくなって、中東で昨年起こったような規模に達した時、政府が普通の市民を放水車や催涙ガスで蹴散らすようなことが起こったらもっと多くの国民が黙っていないでしょう。フクイチを経験した多くの国民は、彼らのような命を軽視し、既得権益や目先の利益に目がくらんでいるわけではないのです。今のままでは間違いなく起こるであろう次の原発事故から命を守りたい、国を崩壊の淵から守りたい、そう思っているだけです。
  



2012年06月22日

【基本法改正】

こんなことが許されるのでしょうか。多数決の横暴です。

『二十日に成立した原子力規制委員会設置法の付則で、「原子力の憲法」ともいわれる原子力基本法の基本方針が変更された。基本方針の変更は三十四年ぶり。法案は衆院を通過するまで国会のホームページに掲載されておらず、国民の目に触れない形で、ほとんど議論もなく重大な変更が行われていた。 

 設置法案は、民主党と自民、公明両党の修正協議を経て今月十五日、衆院環境委員長名で提出された。

 基本法の変更は、末尾にある付則の一二条に盛り込まれた。原子力の研究や利用を「平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に」とした基本法二条に一項を追加。原子力利用の「安全確保」は「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として」行うとした。

 追加された「安全保障に資する」の部分は閣議決定された政府の法案にはなかったが、修正協議で自民党が入れるように主張。民主党が受け入れた。各党関係者によると、異論はなかったという。

 修正協議前に衆院に提出された自公案にも同様の表現があり、先月末の本会議で公明の江田康幸議員は「原子炉等規制法には、輸送時の核物質の防護に関する規定がある。核燃料の技術は軍事転用が可能で、(国際原子力機関=IAEAの)保障措置(査察)に関する規定もある。これらはわが国の安全保障にかかわるものなので、究極の目的として(基本法に)明記した」と答弁。あくまでも核防護の観点から追加したと説明している。

 一方、自公案作成の中心となった塩崎恭久衆院議員は「核の技術を持っているという安全保障上の意味はある」と指摘。「日本を守るため、原子力の技術を安全保障からも理解しないといけない。(反対は)見たくないものを見ない人たちの議論だ」と話した。

 日本初のノーベル賞受賞者となった湯川秀樹らが創設した知識人の集まり「世界平和アピール七人委員会」は十九日、「実質的な軍事利用に道を開く可能性を否定できない」「国益を損ない、禍根を残す」とする緊急アピールを発表した。

◆手続きやり直しを

 原子力規制委員会設置法の付則で原子力基本法が変更されたことは、二つの点で大きな問題がある。

 一つは手続きの問題だ。平和主義や「公開・民主・自主」の三原則を定めた基本法二条は、原子力開発の指針となる重要な条項だ。もし正面から改めることになれば、二〇〇六年に教育基本法が改定された時のように、国民の間で議論が起きることは間違いない。

 ましてや福島原発事故の後である。

 ところが、設置法の付則という形で、より上位にある基本法があっさりと変更されてしまった。設置法案の概要や要綱のどこを読んでも、基本法の変更は記されていない。

 法案は衆院通過後の今月十八日の時点でも国会のホームページに掲載されなかった。これでは国民はチェックのしようがない。

 もう一つの問題は、「安全確保」は「安全保障に資する」ことを目的とするという文言を挿入したことだ。

 ここで言う「安全保障」は、定義について明確な説明がなく、核の軍事利用につながる懸念がぬぐえない。

 この日は改正宇宙航空研究開発機構法も成立した。「平和目的」に限定された条項が変更され、防衛利用への参加を可能にした。

 これでは、どさくさに紛れ、政府が核や宇宙の軍事利用を進めようとしていると疑念を持たれるのも当然だ。

 今回のような手法は公正さに欠け、許されるべきではない。政府は付則を早急に撤廃し、手続きをやり直すべきだ。(加古陽治、宮尾幹成)

<原子力基本法> 原子力の研究と開発、利用の基本方針を掲げた法律。中曽根康弘元首相らが中心となって法案を作成し、1955(昭和30)年12月、自民、社会両党の共同提案で成立した。科学者の国会といわれる日本学術会議が主張した「公開・民主・自主」の3原則が盛り込まれている。原子力船むつの放射線漏れ事故(74年)を受け、原子力安全委員会を創設した78年の改正で、基本方針に「安全の確保を旨として」の文言が追加された。』(6月21日付東京新聞)


【誰が仕掛けているのか】

東京新聞は昨日の朝刊紙面のトップスクープとしてこの問題を取り上げていたと昨夜のニュースステーションで伝えていました。それほど重大な問題です。他の新聞やメディアがこれをどう伝えるか市民である僕たちはよく監視しておく必要があると思います。

それにしても不気味です。藤村修官房長官は21日午前の記者会見で、20日成立した原子力規制委員会設置法の目的に「わが国の安全保障に資する」との文言が盛り込まれたことについて、「政府として軍事転用などという考えは一切持っていない」と述べ、将来の核武装に道を開くものではないと強調したそうですが、そうだとしたらもっときちんと国民的議論を経て法案を通すべきでしょう。消費税で国会がドタバタしているときに、国民を騙し打ちするようなやり方で原子力の憲法の重要部分を修正するなんてまるで戦前の軍部を想起させます。

原発や核燃料サイクルに対する世論の風当たりが日増しに強くなる中、まるで亡霊のように「核武装の選択肢を残すためには原発も核燃料サイクルも必要なんだ」と誰かが民主党・自民党・公明党の背中を押して成立させたと見られても仕方がないと思います。まさに原子力ムラの「最後の切り札」がこの安全保障上絶対必要だという言い訳なのです。

それにしても一体誰がこういう画策をしているのでしょうか?本当に不気味だと思います。最低限言えることは、国防族や原発推進派を多く抱える自民党が今回の修正劇には大きく関与していること、自公民の大連立政権などが出来たらこんな多数決の横暴は日常茶飯事になると予想されること、そして彼らを含め原発を維持しようとする勢力の危機感とは、国民・国家が原発事故で悲惨な目に遭うかもしれないという危機感ではなくて、自分たちのよりどころである原発や核燃料サイクルがなくなってしまうという危機感だということです。

東京新聞の言うとおり、法案を差し戻し手続きをすべてやり直すべきだと思います。  



2012年06月21日

【警報器作動】

再稼働準備がはじまって未だ数日というのに、もう警報器作動の発表を内輪の判断で遅らせたそうです。

『関西電力は20日、再稼働の準備作業中の大飯原発3号機(福井県おおい町)で19日午後9時51分、発電機の冷却水タンクの水位低下を示す警報器が作動したと発表した。現地では「特別な監視体制」として、24時間態勢で経済産業省原子力安全・保安院や関電、福井県などの担当者が作業を監視している。保安院は20日午前11時から現地で記者会見し、発表が約半日後になったことを陳謝した。  関電によると、警報は4分後に止まった。実際はタンクの水位に異常はなく、ポンプを動かしたことにより一時的に水位が変動したことが原因とみられる。16日に始まった準備作業で、警報が鳴ったのは初めて。3号機では現在、2次系配管や復水器周りを水で洗浄する作業をしている。今後の作業に影響はないという。  報道各社には20日午前8時半ごろ、記者会見の通告があった。保安院などによると、警報器鳴動は、同原発に近い大飯オフサイトセンターに設置した「特別な監視体制」が発生と同時に把握。保安院や関電、福井県などの担当者が常駐しているが、「安全への影響がなく、法令に基づく異常事象でもないので、夜中に発表する必要はないと判断した」(保安院)という。』(6月20日付毎日新聞)

【危機感なき傲慢と無神経】

本当にこの連中に再稼働をさせたらどういうことになるのか、僕たちに懸念を抱かせるに十分な「事件」でした。保安院は警報器が鳴ったことについて発表が半日も遅れたことについて、「安全への影響がなく、法令に基づく異常事象でもないので、夜中に発表する必要はないと判断した」と述べたそうです。3/11前とまったく変わらない物言いは、この人間たちがフクイチから何も学んでいないことを図らずも再稼働準備の最初の段階で自ら暴露したようなものです。


※左の写真は17日に「トラブルはなく順調だ」と記者会見していた保安院と関電の担当者です。そして19日に警報がなり「大したことではない」と発表を遅らせました。問題はトラブルがあったかどうかではなく、それを隠そうとする危機感なき「姿勢」です。


異常事態を異常事態とも認識せず、夜中だから発表しなくてもいいだろうと自分たちだけの内輪の論理でいとも簡単に片づけてしまう、その集大成がフクイチの核惨事の元凶だったなどと露ほども思っていない原子力ムラの頂点に位置する原子力安全・保安院の官僚たちと電気事業連合会のボス・関西電力にとって、ニッポン全国の市民が不安の中で再稼働を見ていることなど最初から念頭にないのです。こんな原子力ムラの論理がこれからなにをもたらすか、市民は想像力をもって対応しなければなりません。

どんな小さなことでも、どういう形で大事故につながるかわからない、そしていったん起これば普通の産業事故とは比較にならない国家、あるいは周辺諸国をも巻き込む巨大核惨事を招く原発事故の恐ろしさをフクイチにおいて経験して、自分たちの無能さをさらけ出したばかりなのにこのザマです。

市民を、国民を馬鹿にするものいいかげんにしてもらいたいとみんなが声をあげなければ本当にこの人間たちに殺されてしまう日は近いと思います。謝って済むような問題ではないことは明らかです。絶対にこのまま許してはいけないと思います。
  



2012年06月20日

【肥満が脅威】

肥満が地球の脅威という調査論文が発表されました。

『人類の肥満化が米国民と同じペースで進行すれば、9億人以上相当の新たな食料需要が生じ、限られた地球の食料資源に重大な脅威となる―。ロンドン大学衛生学熱帯医学大学院の研究チームがこんな警告を盛り込んだ調査論文をまとめ、18日、米電子ジャーナル、BMCパブリック・ヘルスに掲載された。
地球資源への主な脅威として、アフリカなど第三世界の人口爆発が指摘されるが、論文は、先進国にまん延する肥満も深刻であるとの見解を示している。
論文によれば、体重が重くなれば、食料から摂取するエネルギーの必要量も増大する。全ての国が米国並みの肥満者の割合になると仮定すると、平均体重の人に換算して世界全体で人口が9億3500万人増える計算になり、それだけエネルギー源が必要になる。研究チームは、2005年時点の世界の15歳以上の人口は推定46億人、平均体重を62キロとはじき出している。』(6月19日付時事通信)

【世界全体での取り組み】

ウィキペディアによると、「肥満(ひまん、英: obesity)とは一般的に、正常な状態に比べて体重が多い状況、あるいは体脂肪が過剰に蓄積した状況を言う。体重や体脂肪の増加に伴った症状の有無は問わない。体質性のものと症候性のものに分類できるが、後者を特に肥満症と呼ぶこともある。」とあります。

調査論文で対象となった米国の肥満者というのは、実際にニューヨークの町を歩いて通り過ぎる人たちを見ているだけでも、どう見ても肥満症としか思えないような人があまりにも多いのではと感じます。米国だけではなく、イタリアの小さな村を取材した番組に出てくるイタリア人の中年女性もかなりの肥満の方が目につきます。若い時にはスリムなのに、ある程度の年齢を重ねていくうちに肥満になっていくのでしょうけれど、先進国には大なり小なり肥満あるいは肥満症とみられる人たちが相当の割合で存在しているようです。

ただ、先進国全体で肥満が問題だとはわかっていても、個人レベルでは自分の肥満が人類の脅威となっているなんて思いもしないでしょうし、「そんなの個人の勝手だ!」と思うのが関の山ではないでしょうか。したがって、各国の為政者それから世界保健機構などが今回の調査論文を真剣に受け止めて、世界レベルで肥満の問題を人類の脅威と捉え、その解決策を考え実行に移していくしかないと思います。

個人のレベルでは、あまり肥満になりすぎると寿命が縮まることを肝に銘じてダイエットに励むしかないですね。
  



2012年06月19日

【勇気ある離党】

民主党の一議員が野田首相の再稼働決定記者会見に抗議して、離党届を出しました。

『民主党の平智之衆院議員(京都1区)は18日付の自らのブログで、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に抗議し、執行部に離党届を提出したことを明らかにした。当面は無所属で活動するとしている。民主党内では、野田佳彦首相の消費増税方針への反発から複数の議員が離党したが、原発再稼働問題を理由とした離党届の提出は初めて。  平氏は2009年の衆院選で初当選し、鳩山由紀夫元首相のグループに所属。平氏はブログで「16日に政府で再稼働の決定がなされた時点で離党を決意」したと説明するとともに、再稼働について「新しい文明の転換点に対峙(たいじ)する国民の行動権を剥奪する愚行」と批判している。』(6月18日付時事通信)

【怒りの行動】

平議員のブログを読むとその怒りがよくわかります。きっと多くの市民、国民が同じ思いを抱いているのではないでしょうか。特に同氏が「新しい文明の転換点に対峙(たいじ)する国民の行動権を剥奪する愚行」として再稼働を批判しているところに僕もまったく同感です。

今の政府、特に経産省を中心とする官僚群、御用学者と揶揄される原発擁護の学者たち、電力業界、原発メーカー等の産業界、御用メディア等はフクイチの事故をあまりにも過小評価し、あまりにも認識が甘く、当然ながら「文明の転換点」という認識も欠如しています。さらには自然に対する畏怖心さえ皆無だと思わざるを得ない。フクイチの事故は決して原子力の過酷事故の「最悪」ではないし、自然災害であろうと人為ミスであろうと、今のような「馴れ合い」の原子力ムラの体制ではどんなに最高水準の原子力技術を彼らが誇ろうとも、フクイチ以上の事故を防ぐことは不可能でしょう。

もしも今回「文明の転換」と言えるほどの方向転換を原子力に関わる人間たちが出来なければ、もう次のチャンスはない。なぜならば、このままいけば間違いなくニッポンはかなりの確率で次なる事故を招来し、国家そのものが破滅してしまうからです。それほど原発事故というものが恐ろしいものだという認識を本気でもたなければこの危機は乗り切れないと僕は思います。

それにしても平議員の勇気ある行動は、無能で不勉強でふがいない政治家ばかりの今の日本にあっては本当に立派だと思います。是非、離党しても気骨ある政治家として頑張ってほしいです。

≪参考≫

・「平 智之活動ブログ」・・・2012年6月18日
  



2012年06月18日

【強行突破】

国民の強い懸念を無視してついに強行突破しました。

『政府は十六日午前、野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら関係三閣僚による四者会合を開き、関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を決めた。これに先立ち、福井県の西川一誠知事は官邸で首相と会談し、同意する考えを伝えた。政府は十分な安全対策を取らないまま、裏打ちのない首相の「安全宣言」によって再稼働を強行した。
 首相は四者会合で「立地自治体の理解が得られた今、再稼働を政府の最終的判断とする」と表明。「政権として、原子力行政と安全規制の信頼回復に向けさらなる取り組みを進める決意だ。新たな規制機関の一日も早い発足に向け、一丸となって努力を続けたい」と強調した。記者会見はしなかった。

 四者会合前の会談には、首相のほか、枝野氏ら関係三閣僚らも同席。西川知事は安全対策や使用済み燃料の中間貯蔵施設の整備など八項目を要望し「関西の人々の生活安定のため再稼働に同意したい」と述べた。

 枝野氏は八項目の要望について「重く受け止め、真摯(しんし)に対応する」と応じ、首相は「福井県の決断に深く感謝したい」と語った。

 関電は同日午後、機器の点検など再稼働に向けた作業に着手。二基の起動は順番に行い、それぞれ本格稼働に三週間程度が必要とされるため、フル稼働は早くても七月下旬になる。

 国内の原発五十基は北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)が五月五日に定期検査入りして以降、すべて停止している。大飯原発3、4号機が再稼働すれば昨年の東京電力福島第一原発事故以来、定期検査後の原発が再稼働するのは初めてとなる。

 しかし、安全対策に盛り込まれた免震施設の建設や防潮堤の整備などは計画を示せば十分とされ、今回の再稼働には間に合っていない。事故で信頼を失った経産省原子力安全・保安院に代わる安全規制の新組織もまだできておらず、安全対策は万全とはいえない。

 大飯再稼働をめぐっては、政府が四月十三日に再稼働方針を決定。首相は今月八日の会見で「福島を襲ったような地震、津波が起きても事故を防止できる」と表明していた。』(6月16日付東京新聞)

【常に再稼働ありき】

大飯の再稼働。フクイチ後1年3カ月経ったひとつの結論がこれです。なんという無反省、なんという無責任、なんという無定見と強引さ。なんという非科学性。この1年半にわたる動きを見ていると日本の現在の原子力に関わる組織や人間の愚かさがすべて露呈していると言ってもいいのではないでしょうか。

これでは次のフクイチを超える原子力災害は到底防げないでしょう。自然災害が原因にせよ、人為ミスが原因にせよ、間違いなく次の巨大事故は日本で起こると僕は見ています。過去の事故を見ても他の国よりも日本で主要な事故は起こり、回を重ねるごとに深刻度を加え、ついにフクイチに至ったのです。

もう一度、福島第一原発事故のときに僕たちが何を見たか、記憶を呼び覚ましてほしいと思います。僕はときどき自分のブログの2011年3月13日から4月にかけての記事を読み直してあのときの恐怖を思い、「なんとかみんなにも伝えたい」と日々訴えています。そしてこれを読んでいるみなさんも僕の言っていることを鵜呑みにするのではなく、是非、自らの頭で原子力の在り方について真剣に考え、調べ、やはり原発はやめるべきだという確信が得られたら、どんな小さな行動でもいい、自ら動いてほしいと思います。

原子力ムラの連中は国民ひとりひとりが本当に立ち上がるのが怖いのです。この国をたったひとにぎりの集団に操られて破滅の淵に立たせるわけにはいきません。大げさではなく、原発の存廃には自分たちの命がかかっていることを福島第一原発の事故が教えてくれたことを今一度思い起こしてほしいと思います。

≪参考≫

・「メルトダウンの恐怖―福島原発」・・・2011年3月13日の僕のブログ記事(このとき記事に書いた思いはそのまま現実となりました。そしてその現実は今も重くこの日本の空を覆い尽くしています。)
  



2012年06月15日

【延命策】

原発の延命ばかりが見え隠れする原子力規制関連法案を巡っての与野党のやりとりです。

『民主、自民、公明3党は13日、政府の原子力規制関連法案の修正協議を行い、原子力発電所を原則40年に制限して廃炉とする政府方針に関し、見直しの規定を置くことで合意した。

 新たな原子力規制組織として創設する「原子力規制委員会」が、原発の運転期間を再検討する。3党は修正協議をほぼ終え、これを反映させた法案を議員立法で今国会で提出、成立させることも確認し、規制委は8月にも発足する見通しとなった。

 3党合意では、原発の運転期間について、原則40年、さらに最長20年までの延長を認める政府案の規定を残した。そのうえで、規制委の発足後、速やかに見直すとした規定を法案の付則に明記することにした。見直し規定の導入は、自民党の主張によるもので、民主党政権が打ち出した「40年廃炉」は変更される可能性が出てきた。』(6月13日付読売新聞)


【恐るべき無定見】

これで自民党がいかに3/11前の体質と何も変わっていないかがわかります。彼らは何としてでも原発を延命したい、維持したい、その前提に立っての原子力規制組織の議論なのです。あきれてモノも言えない。フクイチで明らかになった原発の危険性から市民、国民、そして国家を当面いかに守っていくかという前提のもとに原子力規制機関の在り方を議論するのが筋なのに、やはりというか、再稼働を迅速に進めるために、そしてその先には原発を今まで通り出来るだけ長く稼働しつづけるために、国民への目くらましのために規制機関を作ろうとしているということが、この原発廃炉40年の見直しだけでも明確になります。

3/11から1年以上が経過して明らかになりつつあることは、今回の一件も含めて、原子力ムラと揶揄される原子力産業、電力会社、経産省をはじめとする原子力関係省庁、原発推進の政治家、御用学者、読売新聞などの一部マスメディアは、フクイチの責任をまったく無視し続け、国民の目から事故の真実の姿を出来るだけ隠し通し、停電や化石燃料代で国民を脅し、どんな反対があろうとも、原発の安全など二の次にして3/11前と同じように原発を稼働し続けようと目論んでいるということです。

こんな理不尽な動きに対して僕たち市民が出来ることは、どんな小さな手段でも彼らの不道徳で非論理的な行動を公の場で暴きつづけることしかないと思います。そのために最も有効なのがTwitterなどのSNSを使ったインターネットという手段だと思います。原子力ムラがどんなに強引でも、「絶対にあきらめないこと」、それしか市民には生き残る道は残されていません。

何度も言いますが、原子力の問題というのは、他のどんな問題よりも国家の存立を左右する重大な問題だということを僕らは決して忘れてはいけないと思います。それは今議論されている消費税と社会保障の一体改革よりもはるかに重要です。なぜなら、次の重大な原発事故で国家が破たんするほどの放射能汚染が起きれば、社会保障など吹き飛んでしまうからです。そして今のままではその可能性は限りなく高いのです。
  



2012年06月14日

【748万人の署名】

原発再稼働に反対する署名が748万人になったとのことです。

『作家、大江健三郎さんらが呼びかけ人の「さようなら原発1000万人アクション」のメンバーが12日、国会内で記者会見し、原発の再稼働に反対する署名が10日現在で748万1352人に達したと発表した。同会は、このうち約180万人分を横路孝弘衆院議長に提出した。野田佳彦首相にも近く提出する。
 同会には民主、自民、公明など超党派の国会議員約80人も名を連ねており、この日、国会内であった会合には約30人が参加した。菅直人前首相も出席し「この1年が勝負だ。脱原発を国の方向として確定することに頑張りたい」と訴えた。

 呼びかけ人の一人で経済学者の内橋克人さんは、政府が進める関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について「政治の決定と国民の意識がこれほど隔たった時代はない」と会見で批判した。今後も署名集めを続け、7月16日には東京・代々木公園で10万人規模の集会開催を予定している。【阿部亮介】』(6月12日付毎日新聞)


【あらゆる方法で動かす】

野田首相の再稼働記者会見から4日。昨日の福井県知事による大飯原発の視察をはじめ再稼働への秒読みは刻一刻と迫っています。もはや大飯原発の再稼働そのものを止めることは極めて困難でしょう。まさに原子力を今まで推進してきた「原子力ムラ」の関係者たちが昨年のフクイチ以後どうしても国民の意思を無視してでもやりとげたかった一つの節目がやってこようとしています。

そのやり口たるや、3/11以前と何ひとつ変わりません。その端的な例が野田首相の再稼働決定記者会見でした。国家を崩壊の崖っぷちまで追いやろうとしたフクイチ事故の教訓など無視して、誰一人責任も取らず、その無責任体制を温存したまま、「原子力は安全です、必要です」「原子力がなければ国家は立ち行かない」と国民を脅しすかすのですから、開いた口が塞がりません。

僕たち市民ひとりひとりはこんな無責任極まりない原子力ムラの人間たちに立ち向かうにはあまりにも無力です。でも原子力への回帰の動きをなんとしても止めなければ命がないという切迫感を持って、大江健三郎さんらが呼びかけ人の「さようなら原発1000万人アクション」の署名のように、取りうるあらゆる手段を使って無責任な政治家たちを突き動かしていくしかありません。署名でもいい、新聞への投書でもいい、政治家への苦言でもいい、どんな小さなことでも個人でできることをひとりひとりがやっていくこと、それが大きな流れを作っていくと信じましょう。
  



2012年06月13日


原子力委員会が秘密会のメールを公開しました。

『内閣府原子力委員会が原発推進側だけを集め「勉強会」と称する秘密会議を開いていた問題で、原子力委は11日、昨年11月~今年4月、関係者に発信した電子メール21本をホームページで公開した。このうち昨年11月14日分には、原子力政策全般を論議する「新大綱策定会議」の準備のために秘密会議を設置したことが明記されている。原子力委はこれまで核燃サイクルの見直しを論議する「小委員会のため」だけに実施してきたと説明してきたが、虚偽であることが改めて裏付けられた。

 昨年11月14日のメールは、事務局を務める内閣府原子力政策担当室が電力10社で作る「電気事業連合会」や高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する「日本原子力研究開発機構」関係者らに発信した。「策定会議や小委の準備のため勉強会を設置します」と記され、1回目(昨年11月17日)の議題は「六ケ所再処理工場を止めた場合のデメリット」「フェードアウトシナリオ(将来原子力依存度をゼロにする政策)となった場合のデメリット」。現行政策を見直した場合の負の側面だけを議論する偏った内容だったことが分かる。

 1回目を含め4回秘密会議に出席し、策定会議議長を務める近藤駿介原子力委員長(69)は毎日新聞の取材を拒否した。拒否理由は明らかにせず、内閣府職員を通じて「メールの存在さえ知らない」と回答した。

 小委員会は識者ら7人で構成され、核燃サイクル政策の見直しについて先月、取りまとめを終え解散した。この7人に近藤委員長ら20人を加えた計27人が策定会議のメンバーで、原子力政策大綱策定に向け幅広い議論をしていたが、秘密会議の発覚で次回開催のめどさえ立っていない。原子力委は発覚後「順次資料を公開する」とし、4日には出席者名などを明らかにしていた。【核燃サイクル取材班】』(6月11日付毎日新聞)


【権力は腐敗する】

自らの権益擁護のためには、どんなことでもやってのけるようになったら、もうそれは権力の腐敗以外の何物でもありません
。「権力は腐敗する、絶対権力は絶対腐敗する」という言葉通りの原子力委員会の秘密会議の状況が明らかになりつつあります。

ただ、ひとつだけ光明もあります。それは、このような状況が暴かれるようになったということは、もちろん毎日新聞のスクープがあったからなのですが、その背後には原子力を推進してきた面々の中からも「このままではいけない」と考える人たちが出てきて、膿を出そうと情報をリークしているのではないか、内部では相当の暗闘があるのではないかとも考えられることです。

もちろん、先週の野田首相による大飯の再稼働決定記者会見を聞けばわかるとおり、大きな原発維持の流れは揺らいでいないことも事実です。権力が腐敗して、その権力、既得権益集団だけが自滅するのが早いか、次の大事故が起こって国家そのものが機能停止するのが早いか、やっぱり、ニッポンという国土しかよって立つ所がない僕たち市民は、国家そのものの破局を招くわけにはいきませんので、なんとかこの腐敗した人間たちの暴走を止めなければならないことは言うまでもありません。
  



2012年06月12日

【再稼働へのレール】

ついに再稼働への秒読みが始まりました。これからは政府の想定通りに進んでいきます。

『関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の安全性を検証してきた福井県原子力安全専門委員会は10日開いた会合で、事業者による安全性向上策の確認結果や今後国などに対応を求める点などをまとめた報告書案を示した。結論として「東京電力福島第1原発事故を教訓に、想定すべきとされる地震、津波が襲っても、原子炉の安全を確保するために必要な対策は確保されているものと評価できる」としている。

 会合は午後3時半の開会直前に、再稼働に反対する一部の傍聴者が「傍聴者全てを入れろ」「きょうで打ち切るな」などと騒いで県職員や警備員ともみ合いになり、委員全員が退室する事態となった。約1時間後、県庁内の別室に移り、傍聴者のいない状態で開会した。

 県専門委による検証を再稼働判断の前提としていた西川一誠知事は今後、時岡忍おおい町長と県会の意向を聞き、現地視察した上で、早ければ週内にも再稼働に同意するとみられる。地元の同意を受け、野田佳彦首相は速やかに関係3閣僚との会合を開き、再稼働を最終判断する方針。

 大飯3、4号機の再稼働をめぐっては野田首相が8日、官邸で記者会見し「国民の生活を守るために再起動すべきというのが私の判断だ」と表明。西川知事は「重く受け止めている」とのコメントを発表し、同意に向けた手続きを進める意向を示していた。

 ただ、首相が今週中に再稼働を判断しても、運転再開は節電期間が始まる7月2日に間に合わない可能性が高い。再稼働の作業を始めてからフル出力まで1基につき約3週間かかるためで、2基がフル稼働するのは7月下旬になる見通し。』(6月10日付福井新聞ONLINE )


【重大な転機】

今回の大飯原発再稼働への手続きは、今後の他の原発の再稼働の模範的な手続きとして既定路線となっていくことは間違いありません。特に官僚はいったん既成事実が出来上がれば、それをルールとして次々と既成事実をおっかぶせていくのが得意な人間たちです。今後市民の力で他の原発の再稼働をやめさせるのは今まで以上に困難になっていくでしょう。

僕たち市民が肝に銘じておかなければならないことがあります。それは、原発や核燃料サイクルの推進というのは、すでに産官学が30年以上にわたって利権構造をガチガチに作り上げたニッポンの巨大な産業となっていて、野田首相の言うとおり、それら原子力ムラの勢力にとってはこの産業なしには「自分たちは」立ち行かなくなっているという事実です。(この場合、立ち行かなくなっているのは日本ではなくて、原子力ムラの勢力、原子力の産官学複合体です)最も端的には、原発が再稼働できず次々と廃炉になれば原発という不良債権によって破たんが免れなくなるであろう電力会社がその最たるものです。彼らは自分たちが生き残るためなら原発の安全など二の次、三の次なのです。

そしていったんこのゾンビのような巨大な勢力に復活の口実を与えると、国民の不安や原発の安全などお構いなしに、次々とその隙間を埋めて既成事実化していくこということです。

そういう意味で今回の大飯の再稼働は重大な転機となるでしょう。彼らに市民、国民がつけいる隙を与えてしまったからです。

この重大さというのは、何度もこのブログで書いていますが、太平洋戦争に突き進んで600万人以上と言われる民間人・軍人の犠牲者を出し、沖縄をはじめとする国土を焼失させてしまった国家の破滅以上のものとなるということです。すなわち、戦争ならばまだ復興の可能性がありますが、大規模な原子力災害というものは復興は不可能だということです。それは、たとえどんなに政治家が責任を取ると明言しても誰一人として責任など取れない、フクイチ以上の原発や核燃料サイクル施設の核災害が近い将来必ず発生し、膨大な核汚染によって日本列島の分断どころか日本全体が人間の居住に適さない土地として何世代にもわたって社会も文化も伝統も人々の生活もすべてが根こそぎ奪われて2度とふたたびニッポンという国家が立ち直れなくなるということです。フクイチの事故がそれを証明しつつあります。もちろん、それは福島とその周辺の方々が被災して苦しんでおられるように、あなたも家族も家も土地もその核汚染の真っただ中でそれらすべてを捨てざるを得なくなるということです。しかもそのとき、放射能汚染には国境はないので、日本だけでなく世界中が大規模な核汚染の脅威にさらされることになるでしょう。

政治家も原子力ムラの人間たちも、そして僕たち多くの国民もそれほどのリスクが原子力にはあるということが人類上初めて明らかになった福島第一原発の事故をあまりにも、あまりにも軽く見すぎていないでしょうか?

【怒りを胸に、楽天性を保って最大防護を】

ここまで至っても、絶対に絶望することなく、なんとしてもこの崩壊への流れをひとりひとりが止めていくんだという決意だけは持ち続けないといけないと思います。これほどの時代を生きていくうえで非常に参考になる言葉を最後にご紹介します。それは沖縄在住で内部被曝の専門家として原爆症認定集団訴訟で証言をし、3/11以後は全国で講演をされている矢ヶ崎克馬先生が放射線被ばくにどのように立ち向かうかについて語られた言葉です。(岩波ブックレットNo.832「内部被曝」のP.56より引用)

「この時代を生きていくうえでの私の提言は『怒りを胸に、楽天性を保って最大防護を』です。事態がこうなった以上、能動的に立ち向かうことが大切です。内部被曝の恐ろしさを学んで、それでもだめだと考えてしまうのではなくて、恐ろしさをきちんと知ることで、政府の発表を鵜呑みにしないようにし、私たちのいまなすべきことを見出していくことができるのです。
私たちはもはや『汚染される覚悟』が必要です。しかし、悲観して恐怖のうちに汚染を待つのはよしましょう。この怒りを胸にしっかり収めて、開き直って、楽天的に、知恵を出し、最大防護を尽くしつつ、やるべきことはすべてやるのです。」
  



2012年06月11日

【野田首相の最後通告】

野田首相が西川知事の求めに応じて、国民に最後通告を出しました。

『野田佳彦首相は8日、首相官邸で記者会見し、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について「国民生活を守るために再起動すべきだというのが私の判断だ」と述べ、運転再開の必要性を訴えた。事実上の再稼働表明で、先月5日以来続いていた「稼働原発ゼロ」は解消されることになる。
 首相の表明を受け、福井県の西川一誠知事は「重く受け止めている」とのコメントを発表。県の原子力安全専門委員会(委員長・中川英之福井大名誉教授)などを経て、来週にも再稼働に同意する見通しだ。首相は、知事の同意が得られ次第、速やかに関係閣僚会合を開き、再稼働を最終決定する考えだ。
 首相は会見で「原発を止めたままでは、日本社会は立ち行かない」と指摘。夏場に計画停電を行った場合、「日常生活や経済活動は大きく混乱する。事態回避に最善を尽くさないといけない」として、大飯再稼働の必要性を強調した。
 大阪市の橋下徹市長らが、大飯原発の再稼働を電力需給が逼迫(ひっぱく)する夏場に限るよう唱えていることに関しては「夏場限定では、国民生活は守れない」と否定的な考えを示した。』(6月8日付時事通信)


【美辞麗句の背後にあるもの】

野田首相の言っていることは、一見きれいで、再稼働やむなしという風に聞こえます。しかし、正直言って納得できません。なぜか。

1.野田首相は今まで出演したNHKのニュース番組などで「経済優先で安全をなしがしろにはしない」と再三強調していたにもかかわらず、今回の会見でやっぱり国民の生活を守るんだという理屈で経済を優先しました。すなわち、国民の命や生活よりも関電をはじめとする電力会社の経営を優先したのです。3/11からの無策が今日の事態を招いたことは棚に上げてです。

2.さらに「二度と福島のような事故を起こして子供たちを危険にさらしたくない」と言いながら、実は3/11以後何ら抜本的な安全対策は実施されていません。結局、津波などの緊急対策のままであり、それも関電が実際に実行に移した対策はほとんどありません。しかもつい数日前に大飯原発の真下に危険な活断層があるという一部専門家の指摘は保安院が言下に否定して終わりです。そんなことでシビアアクシデントに対応できるとは到底信じられません。

3.原発がなければこの国は立ちゆかないという説明も具体性に欠けます。何がどう立ちゆかないのか?原発が稼働しなければ本当に電気が足りないのか、すべてのデータを関電が出したのか、甚だ疑問です。そんな根本的なことが実はまだ明らかになっていない中、政治家の言葉だけで信じるにはあまりにも原発というのはリスクが大きすぎます。

4.この夏に向けて中長期のエネルギー政策を見直すさまざまな政府の委員会がいくつかの選択肢を示しつつありますが、それらの委員会も先日毎日新聞がスクープしたように原子力推進側の委員や経産省の事務局、さらには近藤委員長までがグルになって秘密会を開いて原発維持に向けたシナリオ作りをやっていました。こんなことで原発の安全などを担保できたなどちゃんちゃらおかしいと思うのは僕だけでしょうか。

5.最後に原発を出来るだけ減らすという方向を政府として打ち出していながら、大飯の再稼働にからめてこともあろうに首相が原発の必要性について電力料金の値上げの可能性などで脅しながら強調するなどというのは原子力維持の本音が出てきたとしか言いようがありません。安全神話を作り上げ国民を愚弄し続けてきた3/11前と何も変わらない論理に唖然とします。

一国の首相の判断は重たいものです。しかし、その首相があいまいな根拠に基づいて、いったん事故になれば国家を破たんに追い込みかねない原子力というとてつもないリスクについて、たったの十分ほどで国民に「説明」して、「はい、再稼働いたします」では恐ろしくてこんな国には住めません。野田首相は就任以来一貫して原発擁護のように見えます。正直言って、これがあのフクイチの事故を経た政治なのかと思うと絶望的になります。

僕たち市民は、どんなことがあってもこの国からゾンビのようにはびこる原子力ムラが解体され、原発をあきらめる日まで絶対にあきらめてはいけません。あきらめたときが最後です。

もうひとつ付け加えます。野田首相は立地自治体への感謝を示しました。当然だと思います。しかし、本当に感謝するためにはいづれやってくる原発の廃炉後の立地自治体の雇用や生活をどう守るのかということが言及され実行の道筋が示されなければなりません。そうでなければ、立地自治体を盾にして、国民全体の安全をもてあそんでいるとしか思えません。

果たして僕の言うことは間違っているでしょうか?野田首相には真摯にひとつひとつ国民に応える義務があります。根拠のないただの「説明」はダメです。
  



2012年06月08日

【原発維持が前提?】

何とか原発を維持していく姿勢をにじませているそうです。

『政府のエネルギー・環境会議が「エネルギーの安全保障や多様化と両立できる形で原発低減の道筋を具体化すべきだ」などとする中間報告案をまとめたことが、7日分かった。安全保障やコストの観点から原発の有用性をにじませる内容で、関係閣僚が出席する8日の会合で議論される。
 報告案は、東京電力福島第1原発事故を受け、原発比率を含む将来のエネルギー構成や、地球温暖化対策の戦略をつくる上で考慮すべきだとする7種の考え方を提示。

 この中で「原発依存度の低減を目指すべきだが、一方で、エネルギーの安全保障や多様化と両立できる形で低減の道筋を具体化すべきだ」などとした。』(6月7日付共同通信)


【変わらぬ原発推進】

この記事によれば「エネルギーの安全保障や多様化と両立」という文言が政府のエネルギー・環境会議の中間報告案に入っているとのことですが、そこには原発は化石燃料や省エネ、自然エネルギーなどの選択肢の中に一定の比率でこれからも入れたいという原発維持の強い意志が感じられます。

こんな政府の姿勢を裏付けるように、6月末に迫る東電や関電などの電力会社の株主総会に提出される多くの脱原発提案にも電力会社は頑なに全面拒否の姿勢を取ると見られています。大阪市のような大株主であろうが脱原発を目指す市民グループであろうが、原発をやめることに関わるようなことは一切認めない電力業界の姿勢というのも、福島で日本列島を分断させかねなかった未曾有の核惨事を経験しても微動だにしていないのです。

【猪瀬副知事のしたたかな戦略】

これほど強固な政府、電力業界をはじめとする原子力ムラの原発推進姿勢は次の原発事故で本当に日本が壊滅するまで変わらないのではないかと思わせるに十分ですが、大げさに聞こえるかもしれませんがこんな日本を破局の淵から救い出すために、絶対にひるまない姿勢で脱原発のうねりを市民が作り出していくしかありません。

ただ、そういう声をあげながらももっと重要なことがあります。それは何度かテレビに出演していた東京都の猪瀬副知事が語気強く語っていたのですが、やれ原子力ムラの策動だの経産官僚がうごめいているだのと騒ぐよりも、電力の在り方を実質的に変えていくことをやっていくことが大事だいうことです。
すなわち、東京都が検討しているようにガスタービン発電所を都内に作って東電に頼らない電力供給力をつけるとか、自家発電や省エネの本格的な導入を産業界が進めるとか手のつけられるところから電力の地域独占を崩していくという試みです。ただ、これは市民が出来ることではありません。やはり猪瀬氏や橋下氏のような地方行政に携わる有力者や産業界の人々の脱原発に向けた強固な意志と具体的行動が必要です。

原発まみれで暴走するこの国のの「カタチ」を本気で変えるには、原発維持を目論む原子力ムラへの断固たる姿勢と実質的に電力の在り方を変えていく努力、このふたつをしっかりと持続していくことが大事だと思います。
  



2012年06月07日

【遅すぎる規制機関論議】

本当に遅すぎるし、一体福島の事故後何をやっていたのかと疑念ばかりが膨らむ原子力規制機関の国会論議です。

 『民主、自民、公明3党は5日、原子力の安全規制を担う新たな行政組織について、政府案より人事・予算面で省庁からの独立性が高い「原子力規制委員会」の形式を取ることで合意した。3党は同日、政府案と自公案の修正協議を始め、民主党は自公案の組織の骨格を大筋で受け入れた。調整がつけば、新法案として今国会に再提出し成立を目指すことでも一致した。ただ緊急時の指揮権のあり方では隔たりが大きく、修正協議の焦点になる。

 原子力の安全規制の組織見直しは、東京電力福島第1原発事故を受けて始まった。原発の再稼働論議にも絡むため政府は早期発足を目指しており、民主党は同日の常任幹事会で、12日にも衆院本会議で法案を採決させる方針を確認した。

 政府案は、経済産業省原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会を分離・統合して「原子力規制庁」を設け、これをチェックする「原子力安全調査委員会」を環境省に置く仕組み。これに対し、自公案は、公正取引委員会などと同じ国家行政組織法3条に基づく「原子力規制委員会」を環境省に設け、規制庁を事務局にとどめる形態にしている。

 自公案には、専門家らでつくる原子力規制委に指揮を委ね、政治家の介入を排除する狙いがあり、緊急時には首相や環境相らの関与が不可欠だとする政府案と隔たりがある。

 5日の衆院環境委員会でも指揮権をめぐる質疑が相次ぎ、細野豪志原発事故担当相は「国家の命運がかかった場合は規制委の判断を超えて(首相が)判断すべきだ」と主張。自民党の塩崎恭久元官房長官は「技術的なことは規制委が判断すべきだ」と反論した。

 一方、民主党は修正協議で、論点として▽緊急時の指揮権▽平時の防災体制▽地方自治体と政府、規制委の関係など17項目を提示。自公側は協力する姿勢を示した。【笈田直樹、岡崎大輔】』(6月6日付毎日新聞)


【箱より魂が問題】

おそらくあまり原子力のことを知らない国民から見れば、今回の与野党による原子力規制委員会の法案協議を聞くと、「ああ、ちゃんと独立性の高い原子力規制機関が出来るなら、原発の再稼働も道筋が着くかもしれない。」と思うでしょう。基本的には当初の政府案よりは原子力推進からは一歩引いた規制機関になる可能性は高くなったとは思いますが、それでも多くの疑念が湧いてきます。それはなぜか?

1. そもそも原子力事故を起こさないための機関を作るのに、なぜ事故後1年半も時間がかかっているのか、さらには、報道によれば今回急に与野党協議が進んだ背景は新機関設立の法律を作れば大飯の再稼働にも好材料になるからだと言うではないですか。原発の安全性を担保するための規制機関が発足の最初から原発の再稼働の「材料」に使われるなんて、本末転倒も甚だしいと思います。こんなことでは国家を滅亡の淵に追い込みかねない過酷な原発事故に対応できる機関なんて出来るはずはないと思うのは僕だけでしょうか。

2. 脱原発に向かうとしても一定期間原発の稼働が続くとしたら、今のような推進と規制が一緒になっている体制では危なくて仕方がないのは当然でしょう。そしてそれを改善するために独立性の高い機関を作ることも急ぐ必要があるのはわかります。しかし、もっと根本的な問題があります。それは福島の事故当時内閣官房参与として福島第一原発事故の処理に当たっていた田坂広志氏もその著書で語っているように、政界、財界、官界のリーダーが単なる原子力の技術的改善を行うだけでなく、ここまで経済優先・安全軽視で突進してフクイチを起こした原子力ムラと呼ばれる体制の人的、組織的、制度的、文化的要因を徹底的に分析し、原子力行政と原子力産業の徹底的な改革を行わなければ原子力の安全なんて担保できないということです。

そんな根本的なところに手をつけずに一部の組織だけをいじったくらいでは、到底国民の信頼も得られないでしょう。もちろん、与野党の合意で法律が出来上がっても官僚が自分たちの都合のいいように法律の運用が出来るように抜け穴だらけにする可能性も十分あります。政治家も国民も官僚になめられているのですから。これからも徹底した国民の監視の目が必要なことは言うまでもありません。
  


2012年06月06日

【外国人が次々避難】

みなさんは昨年の3月11日の東日本大震災の発生後、福島第一原発が次々と水素爆発や原因不明の爆発を起こし、1号機から3号機にかけてメルトダウンが起きていると誰もが疑った数週間、日本在住の外国人が雪崩を打つように東京から関西へ、海外へと脱出していったときのことを覚えておられますか?

フランス大使館やドイツ大使館をはじめとする東京在住の各国大使館は日本在住の自国民に対して避難勧告を出しましたし、その中でも米政府が福島第一原発の半径80キロ圏内に住む米国人に退避を勧告したことは特に衝撃的でした。

あのとき、日本政府も日本のメディアも日本在住の外国人は放射能に対する過度の恐怖心からパニックに陥っているとして冷静を装っていました。もちろん、その間日本政府は実際には猛烈な放射能汚染が福島周辺を覆っていたことを知りながら、数十万人の福島周辺住民の避難を「見送り」、結果的にその方々の無防備な被曝を放置してしまったのです。その被害が本当に顕在化してくるのはあと数年後です。

【未だに薄い危機意識】

結果として、現在も原子力委員長に居座り続けている近藤原子力委員長があのとき、菅直人前首相にフクイチの最悪のシュミレーションとして関東全域の三千万人の避難もありうるとした本当の「最悪の事態」はフクイチの現場の必死の努力といくつかの幸運な偶然によって回避され、避難勧告に従った多くの外国人の心配は杞憂に終わったとされています。

しかし、本当にそれでよかったのでしょうか?脱原発の機運が高まっていると言われる現在の日本でも、未だに多くの人々は「あれは外国人の放射能に対する過剰反応だった、そんな大げさなことは何もなかった。外国人が逃げ出すようなことを許した日本政府も悪いし、逆にあのとき日本は大丈夫だとアピールして日本に戻ってきた一部外国人芸能人は立派だった。」と思っている方が多いのではないでしょうか?

僕はそれはハッキリ言ってあまりにも危機意識が薄いし、放射能の恐怖、原発事故の本当の恐ろしさを甘く見ていると思います。あのときの在日大使館や外国メディアのフクイチ事故や放射能汚染に対する警戒感はまともだった、逆にフクイチの現場は別にしても日本の政府やメディア、電力会社の危機意識、放射能汚染に対する意識はあまりにも低かったというのが本当でしょう。

たった紙一重の違いで、本当にあの時日本は福島から東西に日本列島が分断され、経済も社会も文化も目茶苦茶になってしまう分水嶺にあったのです。そして今のような政府の再稼働ありき、目先の経済優先、安全軽視の姿勢でいけば、フクイチを凌ぐ本当の最悪の事態がいづれ日本に起こるのは必然です。

日本全国の経営者や企業幹部のみなさん、もちろん一般の会社員もそうですが、みんな、そのことをもう一度、自分の目、自分の頭で確かめて、とことんまで事故の経緯や日本の原子力政策の在り方、放射能汚染の厳しさを認識してほしいと願っています。そうすることが、日本が新たな次の一歩を確実に踏み出せるボトムラインです。

目先の再稼働の動きなどに惑わされてはいけません。
  



2012年06月05日

【トヨタの挑戦】

ハイブリッド車に新たな可能性が加わりました。

『トヨタ自動車は4日、プラグインハイブリッド車(PHV)から家庭へ電気を供給できるシステムを開発したと発表した。このシステムを搭載したプリウスPHVを年内に発売する予定だ。

 家庭用電源で充電できるPHVを、災害時には逆に非常用電源として使う。専用の防水コネクターを車につなぎ炊飯器などに電気を供給する。電池を使い切っても、ガソリンでエンジンを回せば発電でき、プリウスPHVは最大で約4日分の一般家庭の電気をまかなえるという。

 また、PHVや電気自動車(EV)と住宅の間で、電力をやりとりできるシステムも開発した。住宅に設置された蓄電池や車両の電池を使い、太陽光発電による電力や低コストな夜間電力を備蓄。電力需要のピーク時にそれを融通し合える。愛知県豊田市で実施中の「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト」に今年末からシステムを提供し、実際の使用状況などを確認したうえで実用化を目指す。』(6月4日付毎日新聞)


【双方向の電源】

さすが、トヨタです。ハイブリッド技術というのは日本、特にトヨタが世界の他の先進国に先駆けて開発し、プリウスというハイブリッド車によって開花した日本が誇るべき技術です。ヨーロッパでは排出ガスが少ない車としてはディーゼルエンジン車が主流でこれも素晴らしい技術なのですが、今回の双方向の電気供給というのはディーゼルエンジン車ではなしえない「工夫」だと思います。すなわち、環境にやさしいだけでなく、非常時の電源としての車の役割が加わるということです。

しかも、昨年の東日本大震災のような大規模停電が広範囲にわたって発生するような非常時に、今回の技術が大きな威力を発揮する可能性を秘めています。ハイブリッド車から住宅へ、そして電気自動車へ電気を送ることができればハイブリッド車の新たな付加価値として注目を浴びるのではないでしょうか。

将来的には、ガソリンエンジンだけでなく、天然ガスによるコージェネシステムエンジンのような新たなエンジンと電気モーターとの組み合わせも考えればさらに環境にやさしい車になる得るのではないでしょうか。ひとつの動力源に頼るのではなく複数の動力源を組み合わせてリスクを分散しながらエネルギーを効率的に利用する、これは分散型電源と同じような流れであり、これからの主流になっていく可能性を秘めているのではないでしょうか。

僕の車もプリウスなのですが、古い型なので自宅から電気を得ることはできません。単なる仕様の変更やデザインの変更などのマイナーチェンジだけならあまり買い替えの意欲も湧かないのですが、今回のような付加価値がつけば買い替えもありかなと思ってしまいます。でも先立つものがない・・・・残念。
  



2012年06月04日

【即位60周年記念】

英国では今、350年ぶりの規模の記念行事が開かれようとしています。

『英国のエリザベス女王(86)即位60年を祝う「ダイヤモンド・ジュビリー(ダイヤモンドの祝祭)」の記念行事が2日、ロンドンを中心に始まる。5日まで、英全土は祝日となり女王がさまざまなイベントに参加して国民の祝福を受ける。

 初日の2日、女王はロンドン郊外のエプソン競馬場で開かれる伝統の競馬レース・ダービーを観戦。3日には「テムズ川ページェント」と題したイベントが開かれ、女王を含む王室メンバーがボートでテムズ川を下る。

 4日はバッキンガム宮殿で祝福コンサートがあり、歌手のポール・マッカートニーさんやスティービー・ワンダーさんが出演予定。最終日の5日、女王はセントポール大聖堂での礼拝に参列した後、国会のあるウェストミンスター・ホールからバッキンガム宮殿までの約2キロを約20分かけて馬車で移動する。

 英国国王(女王)で即位60年を祝ったのは、ビクトリア女王(1819~1901年、在位63年7カ月)以来、2人目。世界では、昭和天皇(1986年)やタイのプミポン国王(2006年)などがいる。』(6月2日付毎日新聞)


【大祝賀行事】

皆さんはこのエリザベス即位60周年記念式典をイギリスでは何と言っているかご存知でしたか?僕はつい最近まで知りませんでした。それはこの新聞記事の冒頭にあるように、「The Diamond Jubilee (ダイヤモンドの祝祭)」と言います。先週のタイム誌もこのダイヤモンド・ジュビリーをカバー・ストーリーとして取り上げていました。

式典は、4日間にわたって行われます。先ず、6月2日(土)の女王の好きな競馬レース「エプソムダービー」から始まり、3日(日)には女王が乗る船を先頭に1000隻もの船がテムズ川を下る盛大な水上の祭典、4日にはバッキンガム宮殿での無料コンサート、そして最終日の5日にはセントポール大聖堂での礼拝、女王が乗ったパレードでその幕を閉じるとのことです。

この祝賀行事、空前の規模で行われると言うことですから是非現地で見てみたかったですが、それは叶わなくてもテレビで見ることはできます。みなさんも是非ご覧になってみてください。楽しみですね。

≪参考≫

・「The official website of The Queen's Diamond Jubilee」
  




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海や山、自然が好きな九州男児です。あらゆる機会をとらえて、時代の変化をいつも感じていたいと思っています。
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