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2013年01月31日

【活断層の定義】

原子力規制委の安全基準案で活断層の定義が示されました。

『原発の設計で想定する活断層は、これまで通りの「十二万~十三万年前以降」に動いた断層なのか、より厳しい「四十万年前以降」なのか-。地震や津波に対する原発の新しい安全基準を検討してきた原子力規制委の専門家チームは、二十九日の会合で骨子案を決めたものの、活断層の定義という重要な部分で結論を積み残した。 (大野孝志)
 規制委は、活断層は「四十万年前以降の活動が否定できない断層」と定義し、危うい断層を見逃さない姿勢を強く示す考えで、今回の骨子案でも明記される見通しだった。

 ところが、出てきた案は、基本的には従来通りの「十二万~十三万年前」のまま。上の新しい地層が残っておらず、過去の断層活動がはっきりしない場合に限り「四十万年前以降までさかのぼって、地形や地質を調べる」とし、後退とも受け取れる内容だった。

 この日の会合で、名古屋大学の鈴木康弘教授(変動地形学)がこの問題を取り上げ「四十万年前以降と明記するべきだ。不明確なままでは、こじれる。結論を出してほしい」と求めた。これまで電力会社は、比較的新しい地層だけを調べ、動いた証拠がないから活断層はない-と主張するケースが多く、断層が動く可能性を完全に否定できない調査に終止符を打とうとする発言だった。

 これに対し、規制委の島崎邦彦委員長代理は「基本的には、断層が長い間隔で繰り返し動くことはない。十二万年前以降に動いていなければ、四十万年前まで動いていないと考えていい」と一般論で応じた。今後つくるマニュアルに、活断層の判断や調査方法を具体的に書くという折衷案で幕引きを図った。

 決まった骨子案は、活断層の上に原発の重要施設があることを明確に禁じ、津波に対しては防潮壁や頑丈な水密扉で建屋を守るよう電力会社に求める内容。七月までに新しい安全基準となるが、肝心の活断層の定義があやふやなままでは、例えば、二十万年前に動いた断層が見つかった場合はどうするのかなど原発の安全性の議論に火種を残したともいえる。』(1月30日付東京新聞)


【分かれる評価】

今回の原子力規制委の安全基準における活断層の定義については、新聞や報道機関によって評価が真っ二つに分かれています。原子力に関しては常にそうなのですが、東京新聞は原子力規制委が活断層の定義であいまいな姿勢に終始したと批判しており、一貫して報道機関としてしっかりと国民の安全の側に立った報道姿勢をここでも貫いています。

これに対して真反対なのは産経新聞の記事。なんと記事の冒頭から『原子力規制委員会が29日に骨子案をまとめた地震・津波に関する原発の新安全基準。活断層の真上に重要施設の設置を禁止したが、全国に約2千本あるといわれる活断層大国の日本では「耐震設計で活断層との共生は可能」との見方も出ている。科学者らは失われた科学技術への信頼回復を目指す一方で、安全を強調するあまり科学的根拠を失った規制がまかり通ることを危惧している。』と述べ、今回の活断層の定義を「行きすぎ」といわんばかりの論調で一部の科学者の見解を紹介し、東京新聞とは逆の意味での原子力規制委の姿勢を批判しています。

しかし、それが本当に国民の安全を考えた報道機関の姿勢でしょうか?国民の安全よりも電力会社が原発の再稼働がやりやすいかどうかばかりをおもんぱかっているようにしか見えません。産経新聞は記事の最後に首都大学東京の山崎晴雄教授(地震地質学)の言葉を引用し、「活断層が危ないというのは風評で、原発反対運動の口実として使われている」とまでも書いています。活断層が危ないというのが風評? 原発反対運動の口実? この教授も含めて産経新聞の人たちは、本当に活断層が動いて壊滅的な原発事故が起こったとき、また言い訳をして責任逃れをするだけでしょう。無責任すぎて開いた口が塞がりません。  



2013年01月30日

【規制委の報告書】

原子力規制委が活断層の可能性が高いという報告書案を出しました。

『原子力規制委員会の調査団は都内で28日開いた会合で、日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)の2号機直下を走る断層「D-1破砕帯」が「耐震設計上考慮する活断層である可能性が高い」との報告書案を示した。事実上、活断層とみなす判断は、日本原電に出資している電力各社への影響が大きい。廃炉を迫られた場合、日本原電には費用を負担する余力がなく、電力各社が支援せざるを得ないからだ。エネルギー政策の混乱が今回の事態を招いたとして、政府に対する廃炉費用の請求を検討する動きも出始めている。

 報告書案は、D-1破砕帯について「活断層の可能性を否定できない」と認定。至近距離にある活発な活断層「浦底断層」と同時に動き、真上の重要施設に影響を与える恐れがあると結論付けている。国は活断層上に原子炉設置を認めておらず、停止中の1、2号機は再稼働が困難となり、特に2号機は廃炉に追い込まれる可能性が高い。

 活断層との判断に、電力大手の幹部は「契約していた電気をもらえないうえに、廃炉費用まで負担することになれば二重の痛さだ」と頭を抱える。

 日本原電の株式は大半を電力9社とJパワー(電源開発)が保有し、日本原電は電気を東京電力など電力5社に販売している。電力各社にとって日本原電の原発は「自社電源と同じ位置づけ」(電気事業連合会)。日本原電が廃炉費用を捻出できなければ、少なくとも受電する5社は一定の負担が必要になる。

 電力各社は廃炉に備えて積立金を準備しているが、廃炉の際に積立金が不足すれば会計基準に基づいて費用を一括計上する必要がある。経済産業省の試算では、敦賀2号機の廃炉が12年度内に決まれば日本原電は200億円超の積立金不足になる。

 原発停止に伴う燃料費負担増で、電気料金の値上げを余儀なくされるほど電力各社の財務状況は悪化している。日本原電の廃炉費用を全て負担する余裕はなく、電事連の八木誠会長(関西電力社長)は「政策的な面で廃炉になるなら負担は国と協議する」とし、政府に肩代わりを求める考えを示唆している。

 一方、日本原電から受電する電力5社は、全3基が停止している今も原発の維持管理費として「基本料」を日本原電に支払っている。関電は4月に値上げする電気料金の原価にも基本料を盛り込んでおり、日本原電敦賀原発の再稼働が絶望的になれば、政府の値上げ審査に影響を与える可能性がある。』(1月29日付SankeiBiz )


【誰の責任か?】

それにしても原子力規制委の報告書案に対してすでにいろいろな動きが報道されています。報告書案が最終的に報告書として出されるまでに活断層だと言い切れるのか原子力規制委の「本気度」が問われるまさに正念場となっているのですが、敦賀原発の廃炉を迫られる日本原電や電力会社も必死の抵抗を試みるでしょう。特に日本原電は敦賀原発が廃炉となれば東海も動かせない中で会社としての存続は風前の灯となるわけですから尋常ではないでしょう。

このニュースにもあるようにさっそく電事連の八木誠会長(関西電力社長)は「政策的な面で廃炉になるなら負担は国と協議する」とし、政府に肩代わりを求める考えを示唆しているようですが、ちょっと待ってほしい。今までの原子力政策は国が進めてきたわけですが、電力会社にも責任の一端はあるはずです。地域独占を認められてきたというメリットも国から受けてきたわけですから、廃炉費用の国家負担、すなわち税金での消費者へのつけ回しを画策するならば少なくとも地域独占という特権はなしとしなければ国民は納得しないでしょう。

いづれにしても活断層の上に原発を作ること自体、とんでもないことなので敦賀だけでなく日本全国の原発も遅かれ早かれ日本国の安全のためにはすべて廃炉にしなければならないし、電力会社と国はそのための準備を早急に始めるべきだと思います。  



2013年01月24日

【毒グモの脅威】

あの毒グモが舞鶴公園で人にかみついたとの報道がありました。

『福岡市は22日、中央区の舞鶴公園で21日、特定外来生物の毒グモ「セアカゴケグモ」とみられるクモに男性(30歳代)がかまれたと発表した。

 男性は頭痛や吐き気を訴えて病院に救急搬送され、入院した。同公園は多くの市民でにぎわう場所だけに、市は「見つけても絶対に素手で触らないでほしい」と、注意を呼びかけている。

 発表によると、男性は21日午後0時半頃、公園駐車場近くの自動販売機から缶コーヒーを取り出した際、クモが右手首から袖の中に入り込み、右腕の内側をかまれた。クモは逃げていなくなった。男性はいったん帰宅したが、痛みが増したため、午後2時50分頃に119番。搬送先の病院で市備蓄の血清を投与された。

 男性は市に対し、「セアカゴケグモと同じ赤い模様があった」と話しているという。市は21日夕から22日にかけ、公園内を調査したが、見つからなかった。

 セアカゴケグモは豪州原産で体長約1センチ。外国船で運ばれ、福岡市でも東区の港湾地区で繁殖し、昨年は中央区天神で見つかるなど地域が拡大。昨年までの5年間に約1万3000匹を駆除した。同9月には、初めて86歳の女性がかまれる被害が出た。

 舞鶴公園は国史跡の福岡城跡や鴻臚館(こうろかん)跡があり、市民や観光客でにぎわう。これまで発見例はなく、市みどり管理課は「繁殖しないよう巡回を強化したい」としている。』(1月22日付読売新聞)


【油断は禁物】

セアカゴケグモが福岡で発見されたのは平成19年。東区のコンテナターミナルで発見され、その翌年には東区内の公園で見つかり、生息範囲が少しずつ広がっているとのこと。アイランドシティの公園で福岡市役所が大規模な駆除をしたとか、JR新宮中央駅前の公園で発見されたとか、身近なところで見つかっているのでクモを見ると用心はしていました。

しかし、今回の場合、公園の自動販売機の受け取り口で被害にあった男性の袖口から侵入したと聞いてびっくりしました。自動販売機は利用する機会があるので用心していないと同じような被害に遭わないとも限りません。

咬まれたときの処置について福岡県のホームページに載っていましたので引用しておきます。みなさん、自販機から缶を取りだす時はくれぐれもご用心を。

≪福岡県のホームページからの引用≫

(1) 症状

 ほとんどの場合、咬まれた瞬間に針で刺されたような痛みを感じます。その後、30分から40分して、鈍い痛み、熱感、赤み、腫れ、発疹、発汗(傷口周辺)が現われることがあります。
 重症化することはまれですが、30分から2時間で、激しい筋肉痛(胸痛、腹痛)、けいれん、吐き気、血圧上昇、呼吸困難等が現れることがあり、特に、小児や高齢者が咬まれた場合は、注意が必要です。このような症状が現れた場合は、できるだけ早く、救急病院で受診してください。
 回復には個人差があり、数時間~数日、場合によっては数週間~数か月かかることもあります。

(2) 処置(家庭で出来ること)

・咬まれた時は、温水や石けん水で傷口をやさしく洗い流してください。
・また、傷口を氷で冷やすと痛みが和らぎます。そして、病院で受診してください。
・受診の際は、より適切な治療のため、殺虫剤等で殺したクモを出来るだけ持参してください。
  



2013年01月23日

【骨子素案の骨抜き?】

もう安全基準の骨抜きを画策する動きが出てきています。

『地震や津波に対する原発の新たな安全基準を検討している原子力規制委員会は22日の有識者会合で、骨子素案を検討した。国は、活断層の真上に重要施設を建てることを認めていないが、同日出された修正案には、原子炉を納めた原子炉建屋以外の重要施設を「例外」とする内容が盛り込まれたため、複数の有識者から異議が相次ぎ、結論を持ち越した。

 修正案によると、原子炉や原子炉建屋については「直接、安全機能に影響が及ぶ可能性がある」として、従来通り活断層の真上に建てることは認めない。しかしそれ以外の重要施設について、地震に伴って地面がずれる量を予測でき、それに備えた対策を取ることができる場合は「例外」扱いにできるとした。

 関西電力大飯原発(福井県)では、現在運転中の3、4号機に冷却用の海水を送り込む重要施設「非常用取水路」を横切るように断層(破砕帯)が存在している。この断層が活断層かどうかの結論は出ていないが、このケースに例外規定が適用される可能性もある。

 22日の議論では、修正案に対し「これまでより前に進んだ」(釜江克宏・京都大教授)と支持する意見の一方、「地面がずれる量は予測できない」(和田章・東京工業大名誉教授)などの反対意見も相次いだ。

 規制委は同会合を再度開いた上で今月中に骨子案をまとめ、7月までに安全基準を策定する。【岡田英】』(1月22日付毎日新聞)


【徹底した追及が必要】

まだ骨子案の検討段階で案の定、最初から骨子案さえも骨抜きしようという動きが出てきたようです。その修正案によると、『原子炉や原子炉建屋については「直接、安全機能に影響が及ぶ可能性がある」として、従来通り活断層の真上に建てることは認めないものの、それ以外の重要施設について、地震に伴って地面がずれる量を予測でき、それに備えた対策を取ることができる場合は「例外」扱いにできる』と報道されています。

素人が読んでもこれは明らかに活断層のある原発を再稼働するための修正としか考えられません。そもそも活断層が原子炉や原子炉建屋の真下になくてその原発の敷地に走っているだけでも活断層が実際に動けば原子炉建屋とタービン建屋をつないでいる何万と言われる配管がズタズタに破壊されることは容易に想像できます。そんなところに原発があること自体異常なのに、出来るだけ電力会社がコストをかけなくて済むように画策しようとするなどというのは言語道断だと思います。

経済性などに左右されないように安全性を最優先するのが、新しい原子力規制委員会の存在理由のはずです。一体、誰のため、何のための安全か。多数の有識者が異論を唱えるのは当たり前です。こんな骨抜きを許すならば発足数カ月にして規制委は国民の信頼を失墜するでしょう。  



2013年01月22日

【ついに犠牲者】

アルジェリアの人質事件で大勢の日本人技術者の死亡が確認されました。

『アルジェリアで起きたイスラム武装勢力による人質事件で、プラント大手「日揮」(本社・横浜市西区)は21日深夜、日本人7人、外国人3人の従業員計10人が死亡したことを明らかにした。記者会見した遠藤毅広報・IR部長は「10人の犠牲を確認するに至ったことは大変残念。有能なスタッフを失ったことは無念の一言。ご遺族の心情に思いをはせると言葉がない」と声を震わせながら語った。

【事件を写真や図で】焼け焦げた車両の画像、事件の経過が分かる図

 遠藤部長は21日午後11時45分ごろから会見した。遠藤部長によると、10人の遺体確認は、現地イナメナスの病院を訪問した川名浩一社長が午後11時すぎ、日揮の本社対策本部に連絡してきた。日揮本社のスタッフが遺族に電話で連絡したという。日本人の死者7人の氏名は「実名を公表して家族らに、さらにストレスを与えることはしたくない」として公表しなかった。

 川名社長は現地時間21日午前、城内実外務政務官らとイナメナスの病院を訪問した。現場から救出され、一度は首都アルジェにいた日揮の日本人従業員2人ら3人も現地に戻って同行した。

 まず午前8時半ごろに川名社長らが日本人5人の遺体と対面。さらに午前11時ごろ、同行した従業員3人が日本人2人、外国人3人を確認したという。従業員3人は死亡した人々と親しく、安置されていた遺体を目で見て最終的に10人の身元を確認した。

 川名社長は日揮本社に「病院関係者の話では遺体の検視は19日に行われ、18日に亡くなった可能性がある」と説明した。ただ、搬送されるまでの経緯などは不明だという。

 一方、日揮のアルジェリア人関係者が武装組織側に情報を提供したとの報道について、遠藤部長は「承知していない」と話した。

 日揮の従業員は、まだ日本人3人、外国人4人の計7人の安否が確認できておらず、遠藤部長は「安否の確認に引き続き全力を挙げたい」と述べた。【一條優太、山下俊輔、飯田憲】』(1月22日付毎日新聞)

【衝撃的な結果】

7人の日本人死亡、3人の安否不明。これは海外でのテロ事件では2005年9月11日にニューヨークで起こったアメリカ同時多発テロ事件以来の犠牲者数です。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りします。

今回の事件を聞いて、改めて世界の僻地で母国である日本のために日夜汗水たらして日本が国際社会で生きていくために必要な地下資源や食糧などを確保しようと頑張っておられる方々が大勢おられることに感謝の気持ちを持ちました。

と同時に、それらの方々の日々の安全を確保するために日本はどれほどのことがやれているんだろうかと改めて考えさせられました。何か事件が起こると言葉では「人命が最優先」と言われますが、本気で海外で働く人たちの生命の安全を確保するためにどれほどのことがなされているのか、報道に接するたびに寒々とした思いにかられます。

海外では日本国内では想像もできないようなさまざまなリスクが存在しています。そしてそのリスクから身を守るのは第一義的にはその人を派遣した会社や団体ですが、会社だけでは自ずと限界があります。国家として日本国民の安全を本気で守るという決意と準備が求められると思います。  



2013年01月17日

【度重なる事故】

最新鋭旅客機に一体何が起こっているのでしょうか?

『全日本空輸692便の最新鋭旅客機ボーイング787型機(乗客乗員137人)が高松空港に緊急着陸したトラブルで、機体前方の電気室にあるバッテリーが黒く変色して壊れていたことが16日、全日空への取材で分かった。
 このバッテリーは、米ボストン・ローガン国際空港で出火し、ぼやとなった日本航空機と同じ製品だったことも判明。運輸安全委員会や国土交通省は16日、高松空港に航空事故調査官や専門職員を派遣し、詳しい状況を調べている。
 787型機の運航再開は、全日空や日航が国交省と相談し、調査状況などを踏まえ判断する。
 全日空や国交省によると、同機は16日午前8時11分、山口宇部空港を離陸。同26分、高松空港付近を飛行中に「前方電気室から煙が出た」と表示されたため、パイロットが機体のチェックを行うと、発電機に故障があった際にバックアップなどで使われる「メーンバッテリー」関係の異常が多数表示された。
 同47分に高松空港に緊急着陸したが、地上走行中に管制官から「前輪付近から煙が出ている」との指摘を受け、乗客乗員全員を脱出用スロープで機外に避難させた。この際、乗客の女性2人が右手の甲にそれぞれ擦り傷を負った。
 その後の調査で、前方電気室のメーンバッテリーの一部が縦8センチ、横9センチにわたって黒色に変色、中の溶液が漏れていたことが確認された。』(1月16日付時事通信)


【電気系統の不具合?】

それにしても16日の高松空港での全日空787型機のトラブルには、乗っていた方々も生きた心地がしなかったのではないでしょうか。昨年12月にユナイテッド航空や日航機で同じようなトラブルがあったとも報道されていたので、インタビューを受けた一部の乗客が「あわや、墜落」と思ったと言うのも頷けます。

政府も重大事故という認識で早速調査官を派遣して事故原因の徹底的な調査をするとのことですが、現時点ではトラブルには電気系統の不具合が関係しているとの報道が多く見られます。一刻も早く原因を究明してほしいものです。

この航空機の開発過程を調べてみると、燃料効率を従来型機よりも20%も改善させるために機体に軽量の炭素繊維を使ったり、エンジンは推進力強化に特化され、その他の機器の動力は電気でまかなうといった改良がおこなわれているため、従来機よりも電気系統がより複雑になっているとある航空評論家は語っていました。

「より早く」という時代の要求に加えて、「より効率的に」、「より便利に、快適に」という要請に応えるために、電気や電子化に依存度を高める現代社会。ボーイング787もその要請に完璧に応えた飛行機として人々の夢を叶えるものとして「ドリームライナー」という理想的な名前を冠してデビューしました。しかし、そこにある意味現代社会に潜む「死角」や「油断」があったのではないか。

電気や電子化に過度に依存すればするほど、そういう「死角」や「油断」は大きくなっていく可能性があるということを僕らはしっかりと認識しておく必要がありそうです。  



2013年01月15日

【原発回帰予算】

どさくさ紛れというか、死んでも懲りない面々です。

『経済産業省は二〇一三年度予算の概算要求に、原発の輸出をにらんだ海外への技術者の派遣支援や、高速増殖炉「もんじゅ」の技術を応用した新型炉の研究開発費を盛り込んだ。安倍政権の「原発回帰」をうかがわせる要求に、原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「現実に高速炉は実現困難な技術。容易に廃棄物を減らせると夢のような理由をつけ、お金を投じるのは無駄だ」と指摘した。
 自公政権の誕生を受け、各省庁は民主党政権下の昨年九月に固めた概算要求の内容を見直し、締め切り日の十一日、財務省に提出した。

 経産省は新型炉の技術開発に三十二億円を要求。昨年九月段階より約二億円増額した。原発で発生した高レベル放射性物質を新型炉で燃やし物質が有害である期間を大幅に短縮することを目指す。

 経産省は「技術的に廃棄物の有害度を低減できる」と説明しているが、新型炉はもんじゅの技術を応用。もんじゅには一兆円超の研究開発費が投じられたものの、一九九四年の稼働から実際に動いたのは二百五十日程度で、実用化はおろか運転再開のめども立たず失敗は明白だ。

 また、経産省は東芝や三菱重工業などが海外で進める原発の新設にかかわる人材育成費も新たに十三億六千万円要求した。原発の輸出を間接的に支援するほか、国内の原発停止に伴い原発の建設や維持管理の技術力が失われるのを防ぐ狙いがある。

 このほかでは、原発立地自治体への支援策として地域の名産品や宿泊施設などの宣伝費として最大五億七千万円を要求。原発を推進する国際原子力機関(IAEA)へ拠出する運営費を三千万円増額し一億二千万円にすることも盛り込んだ。

<概算要求> 中央官庁や衆参両院、最高裁が翌年度に必要となる経費の見積額を記した書類を財務省に提出して予算を要求すること。安倍晋三首相は昨年12月27日の臨時閣議で、野田政権が途中まで手掛けた2013年度予算編成をやり直し、今月11日までに新たな概算要求を出すよう指示した。今回、要求が出そろったことを受け、財務省は今月末の予算案決定を目指して各省庁との折衝を本格化させる。』(1月12日付東京新聞)


【最悪のバラマキ復活】

安倍首相が「日本を取り戻す」と選挙中に言っていた意味が次々と明白になってきています。景気を回復させるための様々な処方箋を速やかに実行するのは総論では賛成ですが、各論、特に原子力や軍事に関しては到底承服できないことばかりです。10兆と言われる緊急経済対策の中の個別の項目を各省庁から積み上げさせて出来あがった予算なので金額を膨らませることが目的となっていることは容易に想像できます。その中でも首相が「原発ゼロは見直す」、「国防は強化する」と明言しているわけですから、官僚が喜んで新型炉の研究開発費や自衛隊のミサイル購入費などを概算要求に入れてきたということでしょう。

1度決めたら、たとえその方策が明らかに間違っているとわかっていても軌道修正できず、そのまま突き進むのは太平洋戦争での失敗を繰り返した近代日本の国家体質そのものです。安倍首相もその背後にいる官僚たちも、その轍を再び踏もうとしています。どんなに安倍首相が否定してもこれはかつての自民党と同じくバラマキ以外の何物でもありません。僕ら市民はしっかり監視して、その過ちを正すべくあきらめずに声を上げ続けていくべきだと思います。  



2013年01月10日

【次々と手抜きが】

朝日新聞が福島での「手抜き除染」の実態をスクープしています。

『【青木美希、鬼原民幸】東京電力福島第一原発周辺の除染作業で、取り除いた土や枝葉、洗浄に使った水の一部を現場周辺の川などに捨てる「手抜き除染」が横行していることが、朝日新聞の取材でわかった。元請けゼネコンの現場監督が指示して投棄した例もある。発注元の環境省は契約違反とみて調査を始めた。汚染廃棄物の扱いを定めた特別措置法に違反する可能性がある。

【動画】除染作業手抜きの実態

■福島第一周辺、環境省が調査へ

 環境省は昨夏以降、福島県内の11市町村を除染特別地域に指定し、建物や道路、農地などから20メートル内の本格除染を始めた。それ以外に広げるかどうかは今後の課題だ。これまで4市町村の本格除染をゼネコンの共同企業体(JV)に発注した。楢葉町が前田建設工業や大日本土木など(受注金額188億円)、飯舘村が大成建設など(77億円)、川内村が大林組など(43億円)、田村市が鹿島など(33億円)。

 環境省が元請けと契約した作業ルールでは、はぎ取った土や落ち葉はすべて袋に入れて回収し、飛散しないように管理しなければいけない。住宅の屋根や壁は手で拭き取るかブラシでこする。高圧洗浄機の使用は汚染水が飛び散るため雨どいなどごく一部でしか認めていない。洗浄に使った水は回収する決まりだ。』(1月4日付朝日新聞)


【見えない放射能】

放射能は目には見えないし、臭いもありません。しかも短期間で大量に集中的に放射能を浴びて急性障害に陥る場合と違い、長い期間に広範囲に汚染された地域に住み続けることで土壌や水から徐々に体に放射性物質を取り込んでいく場合にはたとえ体に異常が発生してもその原因を放射能だと特定することは極めて困難だと言われています。

今、福島を中心に関東を含めた周辺地域で起きていることは、まさに黙っていれば放射能汚染かどうか原因さえ特定できないという事態なのです。これほど汚染をばらまいた人たちにとって好都合なことはないし、自分でばらまいていなくても除染を任された人たちにとっても手抜きがやりやすい状況であるということでしょう。

東京電力も政府もフクイチ事故の責任を取っていないことに加えて、「トイレなきマンション」といわれる原発や原子力施設から排出される放射性物質の捨て場を決めずに業者に除染作業を無理やりさせているわけですから、無責任のたらい回し以上の何物でもありません。

こういう問題の先送り、ごまかしを続けている限り、原子力を巡る様々な問題はこれから先も解決するどころか雪だるまのように問題自体がふくれあがって行き場のない放射性物質と同じことになってしまうでしょう。安倍政権はこういう問題をしっかり腰を据えて取り組むことが最重要課題だと思うのは僕だけでしょうか?
  



2013年01月08日

【福島県の世論】

日本全体の世論の中でも福島の人たちが原発に対してどう考えているかは今後最も重要な視点です。

『福島民報社は県政の重要課題に対する県民意識調査を行い、5日までに結果をまとめた。冷温停止中の東京電力福島第一原発5、6号機、第二原発1~4号機の再稼働について、「全て廃炉にすべき」との回答が75・4%を占め、脱原発を強く望む福島県民の意識が浮かび上がった。今後、必要とされるエネルギー源・電力源は「新エネルギー」が47・7%となり、太陽光など再生可能エネルギーへの期待感の大きさをうかがわせた。
 県民意識調査では、福島第一原発5、6号機、福島第二原発の再稼働の可否や将来のエネルギー源に対する考えを聞いた。 
 原発の再稼働についての回答は、「全て廃炉にすべき」が「福島第二原発のみ稼働すべき」(16・4%)と「全て稼働すべき」(3・2%)の合計19・6%を、55・8ポイント上回った。「分からない・無回答」は5・0%だった。 
 男女別の「全て廃炉にすべき」は男性72・5%、女性78・1%。女性の方が再稼働に対する拒否感が強いことがうかがえる。 
 年齢別で「全て廃炉」とした割合が最も高かったのは、男性が六十代の79・3%。最も低かったのは二十代の55・8%。三十代は68・0%だった。一方、女性の最高は三十代の82・8%。各年代とも70%台前半から80%台前半となっている。 
 原発事故を受け、東電は第一原発1号機~4号機の廃炉作業を進めている。これに対し、県は福島第一、第二原発の全基廃炉を求めている。県議会も県内原発の全基廃炉を決議している。 
 しかし、東電の広瀬直己社長は「今後、国のエネルギー政策の全体像が見えていく中で判断しないといけない」などとして態度を明らかにしていない。』(1月6日付福島民報)


【廃炉を望む声】

年末に福島を訪問した安倍首相は、「責任あるエネルギー政策を進めていく」と言ったり、「我々は責任ある立場として、(原発をなくしたいという)希望の段階で、ただちに政策にしていくということではない」と発言して、民主党の掲げていた2030年代の原発ゼロを見直していくと表明しました。過去30年以上にわたる自民党の原子力政策が原発の安全神話を生みだし、原子力ムラの構造的腐敗を生んできたことを考えれば、「慎重に」とか「責任ある」とか「現実的な」とかいう言葉が到底信用できないのは僕だけではないでしょう。またしても日本という国家そのものを壊滅させかねない原発や核燃料サイクル施設を温存させるために原子力問題を先送りしたい思惑だけが先行しているとしか見えません。原発をなくしたいというのは多くの国民の切なる願いであり、そのための目標なりロードマップを作っていくことが今政治家に課せられた最も重要な政策課題であるはずです。

その多くの国民の思いの中でも、福島の方々の思いが今回の福島民報の世論調査に明確に出ています。それは福島県内の全原発の廃炉です。それさえも安倍首相は福島に行っても何も言わない。それどころか新規の原発建設の可能性さえ示唆するような発言をしたのです。

こんな切実な福島の方々の思いを無視して3/11前の原子力推進政策に戻ることは絶対に許されないと思います。「慎重に」とか「責任ある」とか言った言葉は先ず放射能にこれから何年も苛まれ続ける福島の方々の原発廃炉への思いを実現することが最初になされるべきです。僕たち市民は安倍政権の原子力政策には最大限の監視を続けなければなりません。
  



2013年01月07日

【東京新聞の社説】

東京新聞が新春1月4日の社説に「年のはじめに考える 原子力を時代を超えて」というタイトルで安倍首相の原子力問題に対する姿勢に疑問を投げかけています。自民党政権になってから僕も何度もこのブログで訴えていることを東京新聞が社説で問いかけてくれています。これ以上言うことはないし、記録としてこのブログに残しておきたいので、そのまま社説を引用したいと思います。東京新聞さん、引用をお許しください。

『総理、後戻りはいけません。国民の多くは、それを望んでいない。原子力の時代を超えて「持続可能」へ向かう。3・11を真に乗り越えるためにです。
 ドイツの哲学者故マルティン・ハイデッガーは「原子力の時代」に懐疑的でした。一世を風靡(ふうび)した「存在と時間」の著者が、です。
 一九五五年、南ドイツの小さな町での講演で「いったい誰が、どこの国が、こういう原子力時代の歴史的進展にブレーキをかけ、それを制御しうるというのでしょうか。われわれ原子力時代の人間は技術の圧力の前に策もなく、投げ出されているようです」と、核の脅威を語っています。
◆制御しがたい巨大な力
 日米原子力協定が調印され、東京で原子力平和利用博覧会が開幕した年でした。米ソの核競争が激しくなっていたころです。
 哲学者は続けます。
 「われわれの故郷は失われ、生存の基盤はその足もとから崩れ去ってしまったのです」と。
 核兵器と原発。核は制御し難いものであることを、福島原発事故に思い知らされました。理不尽な力に故郷を追われ、多くの人々が避難先の仮住まいで、二度目の新年を迎えることになりました。哲学者が遺(のこ)した言葉は、予言のようにフクシマの心に迫ります。
 原子力の時代は、ヒロシマから始まりました。生存者に「太陽が二つあった」といわしめた計り知れない核分裂のエネルギー。その強大さに、唯一の被爆国さえも、いや、その力に打ちのめされた唯一の被爆国だからこそ、「平和利用」という米国産のうたい文句に魅入られたのかもしれません。
 戦災復興、そして高度経済成長へ。再び急な坂道を駆け上がろうとする時代。時代を動かす強力なエネルギーが必要だった。
◆核のごみがあふれ出す
 原子力の時代はヒロシマで始まって、フクシマで終わったはずではなかったか。水素爆発の衝撃は神話のベールを吹き飛ばし、鉄骨やがれきの山と一緒に横たわる、それまで見ないようにしてきたものが露(あらわ)になったはずだった。
 フクシマは教えています。
 人間はいまだ、自然の猛威にあらがう技術を持ちません。これからも持ちうることはないでしょう。雨風に運ばれ、複雑な地形の隅々にまで入り込んでしまった放射能を集めるすべはありません。
 ひとたび事故が起きたとき、電力会社はおろか、政府にも、広範で多様な損害を満足に償うことはできません。補償は莫大(ばくだい)な額になり、安全のための補強にはきりがない。ほかよりずっと安いといわれた原発の発電コストが、本当は極めて高くつくことも、福島の事故が教えてくれました。
 核のごみ、危険な使用済み核燃料の処分場は決まりません。各原発の貯蔵プールからいまにもあふれ出そうとしている。
 その上、原発の敷地内やその周辺からは、大地震を引き起こす恐れのある活断層が、次々に発見されています。日本列島は地震の巣です。原発を安全に運転できる場所など、あるのでしょうか。
 このような欺瞞(ぎまん)や危険に気付いたからこそ、昨年の夏、前政権が全国十一カ所で開いた意見聴取会では約七割が、討論型世論調査では半数が「二〇三〇年原発ゼロ」を支持しています。
 原発の是非を外側から論ずるだけではありません。人や企業は原発への依存を減らすため、自らの暮らしと社会を変えようとし始めました。
 電力会社があおる電力危機を、私たちは省エネ努力で乗り切りました。節約型の暮らしは定着しつつあり、後戻りすることはないでしょう。太陽光や風力など、自然エネルギーの導入を近隣で競い合う、そんな地域や町内も、もう珍しくはありません。
 原子力の時代を超えて、その進展にブレーキをかけようとしています。
◆地域が自立するために
 3・11以前、都会から遠く離れた原発の立地地域は、安全と地域の存続をはかりにかけて、悩み続けてきたのでしょう。
 交付金や寄付金頼みの財政は、いつまでも続きません。
 今ある港湾施設や原発の送電網などを利用して、新しいエネルギー産業を創設し、雇用を生み出すことができれば、本当の自立につながります。ふるさとを未来へと進める仕組みを築く、今がそのチャンスです。
 原子力の時代の次に来るもの。それは、命や倫理を大切に、豊かな暮らしと社会を築く、「持続可能の時代」であるべきです。
 発足早々、原発の新・増設に含みを持たす安倍政権には何度も呼びかけたい。時代を前へ進めることが、政治家と政府の使命であり、国民の願いでもあると。』(1月4日付東京新聞社説)
  



2013年01月01日

昨年も僕の拙いブログをお読みいただき
ありがとうございました

今年も変わらぬお付き合いのほど
よろしくお願いいたします

平成25年元旦
  



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海や山、自然が好きな九州男児です。あらゆる機会をとらえて、時代の変化をいつも感じていたいと思っています。
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