2010年02月17日

【予見と現物の違い】

映画「アバター」を観た。昨年秋に「2012年」を観たとき、「アバター」の予告編を見せられて、「この映画はきっと流行らない」と思っていた。なぜなら、その時はCGで合成されたアバター達の姿があまりにも唐突で生理的に受けつけなかったからだ。しかし、僕の「直感」は見事に外れた。映画は米国だけでなく、全世界の興行収入は「タイタニック」を抜き、2月10日には22億1000万ドル(約1989億円)に達し、日本でも2月11日までに100億円を突破したそうだ。

「なんであんな映画が」と思っていた矢先、知人の薦めに押されて観に行ったのだ。そこには、予告編で見たときの印象とは全く別物の映画があった。

【観客を釘付け?】

12月23日に封切られてすでに1カ月以上経っているというのに映画館には行列ができるほど観客がいた。みんな3Dのメガネをかけて緑に包まれた惑星パンドラで繰り広げられる「アバター」と先住民族ナヴィと人間達のストーリーが織りなす、時には美しく、時には悲しい、そして何よりも今まで体験したことのないような不思議な映像体験に引き込まれていた。僕もほぼ3時間その映像の中に釘付けとなった。

そしてアバターと現実の俳優の区別がつかなくなるほど主役のアバター達に感情移入してしまい、あの予告編を見たときにアバターに冷笑を投げかけた自分を忘れてしまっていた。その3時間にいろいろな思いが頭をよぎった。

【アバターの意味するもの】

キャメロン監督はアバターにいろいろな思いやメッセージを込めたのだろう。その中で、僕が感じたのはこういうことだ。

この映画は、これからの映画のあり方そのものを根底から変えてしまうほどのパワーがあるのかもしれない。それは3D映像だけではない、そのエンターテインメント性や人間の在り方そのものへの問いかけといった、もっと大きな変化となるかもしれない。

・惑星パンドラの先住民族ナビィ達の平和な暮らしや豊かな緑を破壊して、そこにある希少金属を奪い去ろうとする人間たちの貪欲さは、気候変動を引き起こしてまで資源獲得競争に奔走する人間国家の愚かさを暗示しているようだった。

・中国が「アバター」の公開を一部制限したのは、この先住民族や資源獲得競争が自国と2重写しになることを恐れたのではないか。

「アバター」という設定そのものが、インターネット時代の「自我」の在り方、人間存在そのもの、現実と仮想空間の交錯などが生み出す問題を投げかけているのではないか。

・折しも2月12日にカナダのバンクーバーで冬季オリンピックが開催され、その開会式の主役としてカナダの先住民族が数多く出演した。人類の歴史の中で今も征服された側として弱い立場に立たされ続けている先住民族たちと、パンドラのナヴィが2重写しになった。

・最後に、自分だけでなく他人の生存環境を破壊してもなお懲りない人間の戦争欲の醜さと愚かさが、地球環境をなんとか守ろうとする人間の英知を挫くのではないかという恐れも感じさせられた。

みなさんも一度、だまされたと思って、何も考えずにこの「アバター」をご覧になることをお勧めします。


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