2011年03月18日

【決死の放水】

自衛隊による決死の放水作業がやっと始まりました。

『東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の事故で、自衛隊は17日午後7時半すぎ、使用済み核燃料プールの水が蒸発している3号機建屋に向け、高性能消防車で地上から放水した。防衛省によると、消防車は5台で約30分間に計30トンを放水。水は建屋内に届いたが、経済産業省原子力安全・保安院は効果について「まだ評価できる段階ではない」としている。
 防衛省は、ヘリによる水の投下と地上放水について、18日も同様の態勢を取っており、東京電力などから示される17日中の効果を見て、18日以降の放水方法を決める。
 一方、警察庁によると、警視庁の高圧放水車は同7時ごろから放水。約5分後、放射線量を示す線量計の警告アラームが鳴ったため、中断した。』(3月17日付時事通信)


【変化する情報の質】

国家的危機とも呼べる緊迫した状況が続く中、「おやっ?」と思うような変化が見られてきました。というのは、日に日にテレビ等のメディアに出てくる情報の質が変わってきていることに気がついたのです。

その最大のものは放射能の危険性に関する情報。福島原発周辺の放射線量が日増しに増加する中、国だけでなくテレビ等に出てくる専門家と呼ばれる人たちも「原発敷地周辺は危険だが、その他は安全だ」(現時点では安全でも刻々と変わる可能性があることを十分認識すべき)といった発言が多くなり、放射能の危険性に対して意図してかどうか、抑制気味の発言になってきているようなのです。もちろん、パニックを防ぐ必要からかもしれませんが、テレビにその傾向が強くなっている気がします。これは一体何を意味するのでしょうか?


テレビメディアは活字メディアよりも流せる情報量が少ないのと反比例して映像を中心に大勢の大衆に瞬時に影響を及ぼします。これほどの危機的状況の中、各テレビ局の報道する内容はあまりに似通っていると事故当初から懸念しているのですが、事態の悪化とともにあまりいい言葉ではありませんが、政府の「大本営発表」を流すのみか、パニックを恐れてか正確な放射線などの情報を流すのに躊躇しているのか、伝えなければならない本当の事実がどんどん遠のいているのではないかと思われます。

【バランス感覚】

海外の主要メディアでは東北大地震と福島原発の事故発生以来、連日トップ扱いの報道が続いています。最初はセンセーショナルな日本礼賛といったトーンばかりが目立ちましたが、ここ数日はあまりの事態の悪化の速さと広がりと日本政府の危機対応能力の低さなどに対する様々な恐怖心を高めながらも、今回の原発事故の自国と世界に与える影響などを比較的冷静にわかりやすく伝え始めているように思われます。

例えば、日本のiPodで視聴できる米国のCNNのテレビ番組「Anderson Cooper 360 Daily」ではメインキャスターのアンダーソン・クーパー氏が日本で取材、米国の核や放射線の専門家との衛星中継でのやり取りで福島原発の事故の説明や米国への影響などについて素人でもわかりやすいように解説していました。この番組の専門家の解説でひとつ参考になったのは、福島原発の危険性を格納容器の炉心溶融と使用済燃料プールの二つに分けて、炉心溶融と同じくらい、あるいはそれ以上に使用済燃料プールのほうが危険性が高まっているというものでした。

BBCは日本の冷静な対応を賞賛しつつも、今回の原発事故の深刻さに大きな危機感を抱いていることがうかがわれます。

いづれにしても、日本が危機の震源地ですから日本の新聞やテレビの報道が最も詳細にわたって福島原発の状況を伝えているのですが、あまりにも細かかったり、技術的すぎたりすぎるかと思うと、焦点を当てるべきトピックがどこも似通っていたり、世界的な視野が欠けていたり、事故の全体像が一般の僕たちにはわかりにくくなっているという懸念があります。こんなときだからこそ、出来れば海外の報道とも見比べて自分なりの立ち位置をしっかりと定めるバランス感覚が必要だと感じます。

中でも最も危惧することは、自衛隊が決死の放水作業をするところまで来てからは、東電に対するヒステリックな非難とは裏腹に決死の作業を過度に美談化するような方向に走りすぎたりすることで、本当の事故の本質が見失われていくのではないかということです。これは戦時中の日本のメディアにも多く見られたことではないでしょうか。とにかく僕たちはどんなに危機が高まっても出来るだけ冷静にバランス感覚をもってこの未曾有の危機を「監視」し続けることが求められると思います。流言飛語的な情報を鵜呑みにしないこと、同時に大手メディアの報道も鵜呑みにしない判断力が求められます。

それにしても現場で放水をする自衛隊員等の決死の活動に本当に、本当に敬意を表します。


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