2012年10月12日

【黒川委員長へのインタビュー】

少し長い記事ですが、国会事故調の委員長だった黒川清氏の忌憚のないコメントが述べられていますので取り上げました。

『東京電力福島第1原発事故の調査・検証を行った国会事故調査委員会の委員長を務めた黒川清氏(76)が産経新聞のインタビューに応じ、事故の背景には組織のトップが能力でなく、年功序列で決まる仕組みや、いったん決まった方針を見直せない日本社会の体質があったと説明。「今回を変わるきっかけにしないと沈没する」と語った。

◆公開はよかった

--政府や民間なども事故調を立ち上げているが、国会事故調として意識した点は

「調査を一生懸命すると調査した人の価値判断がでてきてしまう。それを避けるため、できるだけファクト(事実)だけを書き、判断を加えないようにした。報告書では『原子力ムラ』とか『安全神話』とかいう言葉は使っていない。使った途端、読んだ人は『そうだよね』となる。事実を淡々と述べるだけにした」

--関係者への聴取を原則公開でやったという点も、他の事故調にはない特徴だった

「20回の委員会は全部オープンでやったし、ウェブサイトでも中継した。英語の通訳も入れた。プロセスの透明性も大事だし、参考人の人たちが、どういう反応をするかは、私たちの評価ではなく、みんなに見えるようにしたかった」

--公開には長所と短所があったと思うが



•未曽有の原子力災害 事故調はどこまで…

•日本の運命を変えた 事業者のいいなり…


「38人を参考人として呼んだが、一人も断らなかった。東電は私企業だから、資料も出さなくても良いが、出さなかったら出さなかったと書くだけだった。しかし、東電は資料も、テレビ会議映像も見られるようにしてくれていた。菅直人首相(当時)が東電本店に乗り込んだときの(テレビ会議)映像については『音声がない』と新聞社などが騒いだ。結局、東電も映像を公開しなければいけなくなった。公開はよかった」

◆行政府チェックを

--報告書では事故を「人災」と断罪した

「責任あるポストの人は責任あることをしないといけない。その人が知っていてやらないとどうなるか。それがボロボロ出てきたのが今回の事故。これまでに世界中で原子力の事故は起きている。米国ではスリーマイル島の事故後にリポートが出たが、その内容は私たちの報告書に似ている。30年前に起きたことが日本で起きている。日本は事故のことを知っていた。知らないならともかく、日本は先進国。しかも原子力を輸出しようとしている国だ。知っていてやらないのは人災以外の何ものでもない」

--なぜ、そういう状況になったのか

「エネルギー不足が深刻な時代に、国家戦略として原子力を始めたが、役所は前に進むことしかしない。ガバナンス(統治能力)がないため、日本は止めることを知らない」

--日本の社会自体に問題が潜んでいる?

「日本社会は大企業も役所も年功序列だ。能力で適材適所に置かないから、能力がない人がトップにいる問題がある。東電は地域独占型の企業。地域独占だと選挙を応援することになるから政治ともくっつく。みんな原発を推進するという方向でグルになっていた」

--政治家にも責任があるということか

「日本では政治が全然駄目で、行政府をチェックするメカニズムがない。日本は役所が全部政策を作り政策も執行する。役所に作らせている限りは、自分たちの利権を守ろうとするので変わるわけがない。国会事故調は立法府が初めて機能した事例だろう」

◆単純思考は駄目

--日本社会や日本の政治は変われるか

「今回を変わる始まりにしないと日本は沈没する。どうしようもない上の人間を排除しないといけない。組織の中に女性と若い人、外国人を入れれば違う考えが出てくる。それがプラスになる。年寄りは違う考えが思いつかないし、思いついても否定するだけだ」

--原子力規制委員会も発足した

「報告書でも新規制組織では、(出身の役所に戻らない)『ノーリターンルール』にしろと提言したが、原子力規制を本当に自分のキャリアにしようとする人を集めるべきだ。どんどん海外の研修に行かせればいい。10年もすれば国際的なキャリアとなり、世界から評価されるようになる」

--日本は今後も原発を持ち続けていいか

「しっかり頭を使って世界の動向をみないといけない。イエスかノーの単純思考では駄目だ。(原発立地の見返りに交付金を自治体に出す)電源3法などの歴史もある。突然変わるというのでなく、もう少し議論すべきだ」』(10月11日付産経新聞)


【問題だらけ】

黒川委員長は1年近くにわたって公開でしっかりと福島第一原発の原因解明に努力されただけあって言葉の重みが違います。 黒川氏は「今回を変わる始まりにしないと日本は沈没する」ときっぱりと断言しています。まさにその通りです。そして変わるべきものとして、年功序列で適材適所に人材は配置されず、トップが無能で誰も責任を取らない日本社会全体だとして、特に行政府の無能、さらにはそれをチェックすべき政治の無能も指摘されています。フクイチ事故以降1年半経っても、保安院や原子力安全委員会は看板を替えただけで役所が焼け太りして、政治家は選挙対策ばかり考えて真剣に原子力政策を根本的に変えようとしない現状はまさに黒川氏の指摘するとおりでしょう。

国会事故調による報告書を、作成を指示したはずの国会が真剣に審議しようとしていない実態を見れば、政治家が依然として無能だということは明白です。これで総選挙になって自民党が主導権を握ればさらに脱原発への道のりは後退を余儀なくされるでしょう。この問題だらけのニッポンを少しでも前に前進させることができるのは、市民である僕たちの粘り強い戦いしか残されていないことを知るべきでしょう。

《参考》【プロフィル】黒川清(くろかわ・きよし) 政策研究大学院大学教授。昭和11年9月11日生まれ。東京大学医学部を卒業後、44年に渡米。ペンシルベニア大学医学部生化学助手を経て、54年にはカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部内科教授となる。58年に帰国以後、東大医学部内科教授、東海大学医学部長、日本学術会議会長などを歴任。平成18年には安倍晋三内閣で内閣特別顧問にも就任した。福島第1原発事故では、国会に設けられた事故調査委員会の委員長を務め、今年7月に同事故は「人災」だったとする報告書をまとめた。


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