2013年04月03日

今日は再び2年前の僕のブログ記事をアップします。2011年3月31日の産経新聞の記事によると、フランス原子力大手のアレバ社のCEOが海江田経産相を訪問したことが伝えられていました。このときは、まだまだ福島第一原発の危機的な状況は続いていたので海外からのどんな支援も必要としていました。しかし、アレバの思惑はもちろん、支援によって何とかフクイチ事故が世界の原子力市場に出来るだけ悪影響を及ぼさないようにしたいと考えていたことは間違いありません。

以下は、僕の2011年4月2日の記事です。


【アレバも救援】

フランスからサルコジ大統領が来日、菅首相と会談するとの歩調を合わせてフランスの原子力大手企業「アレバ」も動きました。

第二の敗戦―福島第一原発と国際支援の意味するもの『東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて、仏原子力大手アレバのアンヌ・ロベルジョン最高経営責任者(CEO)は31日、経済産業省で海江田万里経産相と会談した。ロベルジョンCEOは「日本が必要とするなら、いくらでも専門家を派遣する」として、事態の収束に全面協力する意向を示した。

 ロベルジョンCEOは会談で、アレバが米スリーマイル島での原発事故で燃料棒取り出しにあたったことや、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故、英国での軍施設での事故にも対応した経験があることを明らかにし、「日本にアドバイスできるよう努力したい」と述べた。』(3月31日付産経新聞)


【国際支援の広がり】

フランスだけではありません。アメリカは事故当初から空母等の艦艇を中心に放射能汚染に対応できる軍隊が全面的に応援に来ています。また放射線防護服などだけでなく31日には海兵隊の放射能専門部隊約140人の派遣も決めました。国際原子力機関(IAEA)もすでに天野事務局長を先頭に放射線の専門家が大勢来日して活動するなど、国際的な支援は日を追うごとに広がっています。

4つの原子炉と使用済核燃料プールが損傷し、大量の汚染水のためそれらの冷却が思うに任せない中、事故から3週間近く経った今でもさらなる放射能汚染の拡大が心配されており、国際的支援によってこの危機を乗り切ることが最後のカードとなるでしょう。そういう意味で今はとにかく各国の動きに感謝しなければいけないと思います。

【複眼思考】

しかしながら、同時にこれらの国際支援の広がりは今後の原子力発電の方向性に深く関わっていることも忘れてはならないと思います。すなわち、原子力大国のフランスはこれ以上日本の福島第一原発事故が深刻になり、世界の原発市場が委縮することを懸念しており、アレパが全面協力するのも自国の原子力産業にとっての死活問題と捉えているからです。

また、アメリカのオバマ大統領は30日に今後のエネルギー政策について演説し、「米国は電力の5分の1を原子力エネルギーから得ている。原子力には大気中の二酸化炭素を増やすことなく電力を作る重要な能力がある」と指摘して、原発推進の姿勢を堅持する考えを表明しています。米国が早々に日本への全面協力を打ち出し、実際に「ともだち作戦」と銘打って地震・津波被害だけでなく原発事故に対しても軍人1万5千人、艦船12隻、航空機100機以上の大部隊で支援を行っている背景のひとつは自国のエネルギー政策への影響の最少化という意味もあるのです。さらには、これほどの大部隊を即座に展開できたというのは、米国が今回の福島第一原発のような原発災害あるいは核戦争による核汚染を想定した有事即応体制を整えていたからだということでもあります。

こういう動きを見ていると、まさに原子力発電というのはたんなる電力供給の問題ではなく、国家のエネルギー戦略そのもの、軍事戦略と密接に結びついていることをまざまざと見せつけられる思いです。日本国内ではガリバー的な東京電力でも、こんなとてつもない原子力という「怪物」を扱うにはあまりにも稚拙だったと言わざるを得ないでしょう。日本政府も同じです。

もうひとつ想像力を働かせて気をつけて見ておくべきことがあります。それは今後事故の鎮静化とともに、国際的な動きと相まって、今は息をひそめているものの、原発見直しの動きを阻止しようとする原子力産業界とそれを擁護する政府官僚組織の執拗な反撃が強まってくるだろうということです。(これから出てくるニュースを注意しておいてください)
住民や市民の命を守り、適切なエネルギーも確保していくための中長期的な方向性をどこに定めたらいいのか、どの人間が人間として信用できるのか、よくよく見定めていく必要があると思います。市民の命などものともしない人間の醜悪な姿が紳士然とした背広の背後に潜んでいるのを見抜いていかないといけません。

第二の敗戦―福島第一原発と国際支援の意味するもの例えば31日に、青森県六ケ所の再処理施設を運営する日本原燃(株)の川井吉彦氏(東電出身)が、まだ福島第一原発事故がどうなるかわからないという今の時点で早々に「原発は今後も資源の乏しい日本には必要だ。これからも原発は推進していかなければならない。」と記者会見したそうです。こういう人たちの言動を個人個人がよく観察しておかなければなりません。ちなみに日本原燃の会長は病気療養中の東電の清水社長だそうです。




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