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2013年03月26日

「フクシマ・アーカイブ」15日目。2年前の3月26日の毎日新聞の記事には、福島第一原発内での高濃度放射能汚染水の水たまりが見つかったと報道していました。メルトダウンによって格納容器が損傷し、原子炉も損傷しているところに大量の放水を続けていたわけですから、それらの大量の水が水たまりをつくり、一部は海に流れ込み、ついに4月4日には東電が「意図的に」大量の彼らが言うところの「低濃度」の放射能汚染水を放出するに至りました。この東電による意図的な放射能の海洋放出は世界各国から猛烈な非難を浴びたことは記憶に新しいところです。

また、海洋研究開発機構の試算によると、東京電力福島第一原発の事故で、原発から海に流出した放射性セシウム137の総量は最大で5600テラ・ベクレル(1テラは1兆)にのぼり、実に東電の推計量の約6倍にあたるとの報道もありました。これからの日本近海の放射能汚染がどれくらいの健康被害をもたらすか誰もわかりません。
そして先月も福島第一原発の港湾内で獲れたアイナメから、1キロあたり51万ベクレル(基準値の5100倍)のセシウムが検出されました。

以下は、2011年3月26日の僕のブログ記事です。


【また重大局面】

作業員が被ばくした水たまりは1号機~4号機すべてに見つかりました。

『東京電力は25日夜、東日本大震災で被災した福島第1原発1号機のタービン建屋地下でも水たまりが見つかり、採取した水から1立方センチメートル当たり約380万ベクレルの放射能を持つ放射性物質が検出されたと発表した。原子炉の冷却水の約1万倍の濃度。ヨウ素131やセシウム137などで、溶融した核燃料の一部が漏れ出した可能性がある。24日には3号機のタービン建屋地下で3人が被ばくし、2人が放射性物質に汚染された水たまりに足を入れて被ばくしている。3号機の水について東電や経済産業省原子力安全・保安院は25日、原子炉から燃料の一部が漏れ出したとの見解を明らかにした。

【図説】被ばく量と健康への影響の目安

 東電によると水たまりは24日までに1~4号機で見つかった。タービン建屋の地下は2区画に区切られているが、配電盤などがある区画はすべて津波で水没しており、その水深は▽1号機約40センチ▽2号機約1メートル▽3号機約1.5メートル▽4号機約80センチ。もう一つの区画に浅い水たまりが点在しているという。東電は2、4号機の水たまりについても調べている。

 3号機で見つかった水について東電の武藤栄副社長は25日、「原子炉側から出てきた可能性がある」と話した。保安院も「原子炉から何らかの理由で放射性物質が漏れている可能性が高い」との見方を示しており、厳重に閉じ込められているはずの核燃料の一部が原子炉建屋の外に漏れ出た可能性がある。』(3月26日付毎日新聞)


【刻々と悪化】

3号機での作業員3人の被ばくで明らかになったのは、1号機から4号機すべての建屋で放射能汚染されたかなりの水たまりがあり、しかも高濃度だということでした。そしてもっと重大なことは、その放射性物質の中に原子炉の炉心にしかないセシウムもあったということです。すなわち、汚染水は原子炉内から漏れている可能性が強いということです。

高濃度の放射能汚染水が「炉心のメルトダウン→原子炉爆発」という最悪の事態を回避する作業を大幅に遅らせる可能性が高くなってきました。福島原発1機であれば、チェルノブイリ原発3号機のような大惨事と比較すれば小さいかも知れませんが、4機すべてが炉心溶融や燃料プールからの大量の放射能放出となると単純に考えても事故の規模はチェルノブイリを上回る可能性が出てきます。身の毛もよだつ事態です。

【日本全土から世界へ】

すでにこの福岡でも微量ではありますが、23日から24日にかけて自然界には存在しないヨウ素131が検出されています。また、中国の港で日本の船が放射能汚染されているという理由で足止めされたり、アジア諸国で日本からの食品輸入に制限をかけたりという動きも出ています。

福島第一原発の事態収拾の目途が立たない中、世界は日本発の放射能汚染の世界への拡散に警戒を強めて行くでしょう。

今、福島第一原発の現場は地獄というか放射能の修羅場そのものです。一番末端の作業員の人たちをこんな危険な仕事に従事させている、今まで原発を推進してきた幹部の人たちには激しい怒りを覚えますが、今はとにかく幹部の人たちに命を賭けてでも福島第一原発の最悪の事態を回避してもらいたいと思います。もう「想定外だったから」とうそぶくようなことは誰ひとり許さないでしょう。

そして無力な僕らは日本発の大規模放射能汚染が世界に広がらないようにひたすら祈りたいと思います。
  



2013年03月25日

「フクシマ・アーカイブ」14日目。みなさんもしっかり覚えておられると思いますが、東京電力の清水社長は事故後しばらくして高血圧などの病気を理由に病院に「敵前逃亡」しました。日本をもしかしたら経済・社会もろとも崩壊させかねないほどの未曾有の大惨事を引き起こした当事者のトップがです。日本国民の誰もが耳を疑ったのではないでしょうか。しかもその東京電力の傲慢は今も変わりません。やはりあのとき「死亡宣告」をしておくべきだったと思います。

当時僕がブログで書いていたことは今でも正しいと思っています。福島第一原発の核惨事は日本というちっぽけな国家が文明のパラダイムを変えるくらいの決意で方向転換しなければならないことを教えました。


そういう大きな転換が出来るかどうかという意味で、日本の中枢である首都圏に近い福島原発が事故を起こし、その責任者が東京電力であったということは重大な意味を持つと思います。日本の電力会社の頂点に位置し、他の地方電力会社を事実上引っ張ってきたのが東京電力であり、ここが首都圏の近くでこれだけの大災害を起こしたということは、最も日本の中枢に近い人たちに原発事故の重大性を認識させ、大きな転換が必要だと思わせたのではないかと考えるからです。

以下は、2011年3月25日の僕のブログ記事です。



【謝罪行脚】

東京電力の幹部が事故後初めて原発周辺の住民に謝罪行脚をしているとの報道がありました。

『東京電力の皷(つづみ)紀男副社長が22日、福島県田村市の市総合体育館に設置された大熊町の町災害対策本部を訪れ、渡辺利綱町長や町民に謝罪した。

 また福島市内で記者会見し、福島第一原発1~4号機の廃炉について「収束に全力を尽くしており今は考える状況でない」と述べ、農作物などの被害に対する補償についても「どういう場合に可能か方向性を検討している」と話した。

 原発の事故以後、初めて福島県入りした皷副社長は同日午後、渡辺町長に「ご心配をおかけして申し訳ございません。一刻も早くこの事態を収束させたいと思っています」と謝罪。渡辺町長は「一刻も早く危機的な状態を脱してもらいたい」と訴えた。

 皷副社長は、約670人の避難住民に頭を下げて回ったが、「何しに来たんだ」と住民が怒りをぶつける場面もあった。』(3月22日付読売新聞)


【本当の謝罪】

これより前、福島県の佐藤雄平知事は22日午前に東京電力から清水正孝社長による謝罪訪問の申し入れがあったが、断ったことを明らかにしました。当然だと思います。謝って済むような問題ではない。ましてや福島原発の事故の直接の被害だけでなく、放出され続けている様々な放射性物質による農産物の被害が顕在化し、福島県の農業まで破局に瀕している今、どんな言い訳をされても許される事態ではないと思います。

では東京電力がこれからやるべきことは何か。それは先ず福島第一原発の核惨事の一刻も早い収束であることは間違いありません。次に、収束後の事故前の原状回復の努力です。そして最後に過去何十年にもわたって住民を懐柔したり騙したりしながら、「絶対に起こらない」と強弁していた原発事故を起こしたことを踏まえ、これからのエネルギー供給のあり方をどうしていくのか、国とともにしっかりとした青写真を書いて、それを着実に実施していくことです。

もちろん、それは文明のパラダイムを変えるくらいの決意で、中長期的な核エネルギーから自然エネルギーなどへの本気の転換を図ることが出来るかどうかです。

【東電が事故を起こした意味】

そういう大きな転換が出来るかどうかという意味で、日本の中枢である首都圏に近い福島原発が事故を起こし、その責任者が東京電力であったということは重大な意味を持つと思います。日本の電力会社の頂点に位置し、他の地方電力会社を事実上引っ張ってきたのが東京電力であり、ここが首都圏の近くでこれだけの大災害を起こしたということは、最も日本の中枢に近い人たちに原発事故の重大性を認識させ、大きな転換が必要だと思わせたのではないかと考えるからです。

九州や北海道でこんな核惨事が起きても首都圏に遠ければ遠いほど、エネルギー政策の大転換を図るのは困難が伴うでしょう。そういう意味でも、今回の福島第一原発の核惨事の意味は重大だと僕は考えます。

あと一ヶ月ほどで1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故からちょうど25年になります。日本にとって2011年3月11日は旧ソ連のチェルノブイリ以上のものになる、そしてこれを契機に文明の転換に匹敵する転機にしなければ日本の未来はないと思います。
  



2013年03月24日

「フクシマ・アーカイブ」13日目。2011年3月24日。テレビや新聞は東京都の水が規制値をはるかに超える放射能に汚染されていると伝えていました。あの後、福岡の知人の中にも東京の孫や子供たちのために、大量の水を送ったという話をあちこちで聞きました。遠く離れている福岡でも放射能汚染はそれほど身近な問題となったのです。

先日紹介した米国の原子力専門家アーニー・ガンダーセン氏によれば、福島第一原発から漏えいした放射性物質はチェルノブイリの5倍~10倍だったとしてもおかしくないと述べています。(同氏の予想では2倍~5倍で、原子力安全委員会と原子力安全・保安院は2011年4月11日の会見で10%と言っていました。)

政府がそんな誤魔化しをしている間にも福島だけでなく、関東も深刻な放射能汚染が広がっていたのです。首都圏の方々がこれから長期にわたって被る健康被害は相当なものになると思います。そしてベクレル表示さえされない食品流通の問題や、放射能に汚染された瓦礫の処理問題などは、本来汚染物質を出来るだけ拡散させないことが世界の常識なのに、日本では情緒的な対応ばかりが先行して科学的なデータや分析は後回しになっているのが現状です。被害は関東だけではなく、濃淡はあっても全国に飛び火していくのは間違いないでしょう。
以下は、2011年3月24日の僕のブログ記事です。


【驚愕の数値】

恐れていた事態が次々と現実に起こっています。

『東京都は23日、都内に水道水を供給する浄水場から、乳児が飲む規制値の2倍を超える放射性ヨウ素を検出したと発表した。

 都は、乳児が水道水を飲むことを控えるよう呼びかけている。

 呼びかけの対象地域は東京23区、武蔵野市、町田市、多摩市、稲城市、三鷹市。

 検出されたのは、葛飾区の金町浄水場で、22日午前9時に採水したところ、210ベクレルを検出した。食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な規制値は100ベクレルとなっている。

 都では、この水道水を乳児の粉ミルクなどに使うことを控えるよう呼びかけている。ただ、指標は乳児が長期にわたり飲み続けた場合を想定しており、他の飲用水が確保できない場合は飲んでも構わないとしている。』(3月23日付読売新聞)


【水も食品も土壌も】

福島から200キロ以上離れた東京のど真ん中で、しかも水道水がここまで汚染されていると聞いて本当にびっくりしました。国や東京都の乳児に対する注意は適切だとは思いますが、関東におられる方々、特に乳児や幼児をお持ちのご家庭の心配に心が痛みます。冷静に行動することは必要ですが、出来る限りのデータやアドバイスをインターネットやテレビなどあらゆる情報源から得て自ら判断していく必要があると思います。

もうひとつ驚愕したのは、数日前に福島原発周辺の原乳やホウレンソウの放射能汚染が報じられた後、23日の時点ではそれが様々な葉物類、そして地域も広範囲になっていることです。すでに相当広範囲に放射性物質が広がっていることがわかります。

最後に23日夜のNHKニュースで報じられたセシウムによる土壌汚染です。福島原発の北40キロほどの場所で何と通常の1600倍近いセシウム137が土壌から発見されたと報じられていました。これはチェルノブイリ原発事故現場から数10キロから50キロ付近で検出された放射能量に匹敵する値であり、高濃度であることは間違いありません。また、セシウム137は土壌に残る可能性は高いものの、半減期は30年近くあり、食品から人体に取り込まれると筋肉に付着しやすく外部被ばく、内部被ばくを長期にわたり及ぼす可能性が高いものです。

NHKも民放もキャスターやアシスタントの表情がこわばっているのがわかります。冷静を装っているけれども、「すぐに健康に影響が出るわけではありません。」、「安全です。」といった専門家の言葉に救いを求めているような声のトーン、表情。テレビは正直です。

【日本全国どこも可能性あり】

次々と明らかになる毎日の生活に欠かせない水、食品への放射能汚染の広がりに、恐れていたことが現実のものになったという驚きを隠せません。被害の度合いは桁違いかもしれませんが、状況的には25年前に経験したチェルノブイリ原発事故の光景が福島周辺から関東のあちこちに広がっているという印象です。

福岡から見ている分は毎日ニュースで報道される数値を冷静に見ることが出来ますが、東北や関東の方々は気が気ではないと思います。とにかく様々な情報源からデータを出来るだけ集め、パニックにならずに自らの判断をしていくことしかないと思います。

それから東北、関東以外の地域でこのブログ、あるいは放射能汚染のニュースを見てられる方も安心は禁物だと思います。福島第一原発からの放射能は様々な条件で放射能雲となって風下に流れ、思わぬ高濃度の放射性物質を広範囲に運んでくることを肝に銘じておくべきです。また、日本には狭い国土に55基もの原発が全国にある原発過密国であり、今回の食品や水の汚染の原発からの距離が100キロから200キロ近くに及んでいることを考えればどこにも逃げ場はないということです。(ちなみに玄海原発から福岡までは50数キロしかありません)
  



2013年03月22日

  「フクシマ・アーカイブ」11日目。2011年3月22日の僕のブログには福島第一原発3号機の使用済燃料プールの記述がありますが、このときは3号機の爆発が1号機とは本質的に違うものだったことなどまったく知るよしもありませんでした。

ここに福島第一原発をはじめ日本に数十基あるGE製の欠陥原子炉マークI等について豊富な知見を有するアメリカの原子力技術者で、福島の事故の際もいち早くメルトダウンが起きたことを明言していたアーニー・ガンダーセン氏が書いた「福島第一原発-真相と展望」という本があります。ここには現在進行中のフクシマの核惨事の真実が明らかにされているのですが、中でも戦慄を覚えるのがこの3号機の状況です。

3号機の爆発は1号機と違い原爆のきのこ雲のようになっていた映像を記憶されている方も多いと思いますが、それは同氏によれば「3号機の使用済み核燃料プールで不慮の臨界が起きていたと考えるのが自然だ」とのことでした。また、もしこの爆発がデトネーションと呼ばれる即発臨界に達し格納容器が破壊されていたら、日本列島がほとんど分断され、何世紀にもわたって居住に適さず、高濃度汚染を前提とした特別な車両でしか移動できないような土地が広範囲に広がっていたというのです。

そして今でも3号機や4号機ではその可能性があるのです。フクシマでさえこんな状況でも原子力関係者は日本全国の原発を再稼働するつもりなのでしょうか。信じがたいことです。

以下は、当時の僕のブログ記事です。


【続く不安な状態】
ここ2日くらい福島第一原発の3号機の使用済燃料プールを中心に自衛隊、消防隊、警察の現場担当者の決死の放水を続けたことで、放射能の大量放出の継続という最悪の事態が僅かながら改善できる一筋の光明が見えてきたと多くの人が思ったのではないでしょうか。しかし、3号機の一部破損があると見られる格納容器の圧力が上昇しつつあり、もし炉の破損が広がればプルトニウム等の大量の燃料が放出されるという新たな危機が始まりつつあります。複数の原子炉で危機的な状況が進行しているために、複合的な事態が危機回避を難しくしているのです。

電源の復旧も今のところ進展しているように言われていますが、はたしてあれだけの津波と水素爆発などを乗り越えて、冷却装置等の機器が動くのかどうかもまだ未知数です。原子力安全保安院の言うレベル5の事態は、一気に6や7に進み、炉心が稼働を停止しているとはいえ、チェルノブイリのような核事故に進む可能性を誰も否定できないのではないのでしょうか。

【対外被ばくと体内被曝への備え】

すでに福島周辺の空気中には連続的にヨウ素やセシウムといった放射性物質が放出され、原乳やホウレンソウがかなり高濃度に汚染されているという報道がありました。例えばヨウ素(131)は半減期は8日と短いものの、ホウレンソウなどの葉っぱや牧草に付着し、それを食べる牛を通して食物連鎖で濃度が高まり、原乳に高い放射能が溜まっているのです。

発表では「「今すぐ」健康に影響があるレベルではない」ということですが、もうここまで現実が進んでいる以上、不測の事態に備えて個人個人でしっかりと事実を把握し、福島との自分との距離もよく考えて、空気からの被ばくと食物の摂取による体内被曝両方について事前の準備をしておく必要があると思います。主な点は以下のとおりです。

1. 時々刻々、自治体や原発団体などから発表される放射線の種類や濃度について正確な情報を収集し、原子力安全保安院の食品安全基準である「飲料水や牛乳に含まれる放射性ヨウ素の量が300ベクレル/kg、野菜類で2000ベクレル/kgとどれくらいの差があるかを知ること。→体内被曝への備え

特に赤ん坊や小さな子供さんはヨウ素等が大人の何十倍も蓄積されますので出来るだけ原発から離れることが必要です。

2. 対外被ばくを避けるため、屋内退避の勧告が政府から出されれば基本的にはそれに従う。水も汚染するのでポリバケツや水筒なども用意して水を保存しておくこと。また雨合羽やビニールシートも用意して放射能に出来るだけ当たらないようにすること。

3.ガーゼマスクや懐中電灯、小型トランジスタ等を用意しておくこと。原発周辺ではヨウ素が大量に放出される可能性があるので自治体などからヨウ素剤をもらうのを忘れないこと。
※詳しくは脱原発団体の原子力資料情報室(以下、CNIC)のホームページをご覧ください。→ http://www.cnic.jp/
【あまりにもお粗末な当事者】

福島第一原発の最前線の現場で決死の思いで放水等の作業を行う自衛隊や消防隊員、警察、そして保安作業員等の人たちには、僕ら市民はただ、ただ感謝の思いでいっぱいです。

それに対して、この後におよんでもトップが出てこない東京電力、住民の安全を確保するためにあるはずなのに情報をスルーするだけに見える原子力安全保安院(この機関のホームページの「原子力災害発生時の住民としての対応」というページのお粗末さには絶句しました。いかにもお役所的な体裁だけで、市民を守る真摯な姿勢など見えません。それに対して、CNICのほうが市民の防災の観点からしっかり書いており極めて充実しています)、未だに政争を繰り返して事態の重大さを認識しているとは思えない与野党の政治家たち(少なくとも官邸は必死に見えます)などを見るともう絶望的にさえなります。

さらに加えて、先週末に記者会見を開いた一部の地方電力会社のトップは、これほどの深刻な事態が福島原発で進行しているさなかに、「自分の原発で想定外のことはないと思うが、」とか、「万が一不測の事態があっても、炉心などに水がいかないようなことは絶対に防ぐ」といった発言をしています。大自然の猛威や人間のヒューマンエラーは想定外ばかりであり、「絶対に防ぐ」などというのは原子力広報や精神論では言えても、市民に信頼の得られる言葉ではないことは明らかです。これは彼らの考え方が事故前から何も変わってないことを暴露したようなものです。ましてや事故が起きて「想定外だからごめんなさい」なんて冗談ではないです。もう彼らには頼れない、自分たちは自分たちで守るしかないと強く思います。

≪参考≫

・日本各地の放射線量がわかるマップ → 

『東日本大震災・非公式・放射性物質モニタリングポストMAP / Japan quake radioactive material monitoring post MAP』
http://ow.ly/4dGhQ

・各地の放射線量がわかるリンクまとめ →

http://getnews.jp/archives/104544
  



2013年03月21日

【2年後の電源喪失、再び】

あまりの無策と無神経に言葉を失いました。

『東京電力福島第一原発の使用済み核燃料プールなどで同時多発した停電事故で、東電は重要な装置が仮設の配電盤につながっている危険性を認識していながら、後手に回った。停電の原因は仮設の配電盤で起きた異常が各設備に波及したと、東電の調査でほぼ判明。同時多発事故の恐ろしさは、東電自身が二年前に痛感したはずなのに、その教訓が十分に生かされなかった。 (桐山純平)

 東電は、問題がありそうな部分を一つ一つ点検していき、最後に可能性が残ったのが3、4号機の仮設配電盤だった。この配電盤は、二〇一一年三月の事故直後の同十八日ごろに設置され、そのままトラックの荷台に置かれた状態で、ずっと使われてきた。簡易的な仕様で、文字通り仮設だった。

 そんな配電盤であるにもかかわらず、つながれた装置は、3、4号機と共用プールの冷却装置など重要なものが多かった。早く専用の配電盤に交換していたら、停電事故は防げた可能性が高い。

 配電盤を製造する企業で構成する日本配電制御システム工業会によると、仮設の配電盤は取り付けるのは簡単だが、ほぼ電気を流すだけの機能しか備わっていない。

 これに対して、どんな機器と接続するかを十分考慮して取り付けられた専用の配電盤であれば、「他の機器に不具合を波及させないよう制御も働くので、今回のような事故は起きにくい」(担当者)という。

 「3、4号機は今月中に、共用プールはもう少し後に、専用の配電盤につなぎ替える準備を進めていた。結果論として、もっと早く対応しておけばということになったが…」。東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は十九日の会見で後悔の念を述べた。

 事故当初は電源復旧を最優先するために仮で対応することは仕方なかったとしても、早期に配電盤を専用のものにしなかった東電の危機管理の甘さがまた露呈した。

◆原因不明のまま仮復旧
 停電事故で止まっていた使用済み核燃料プールの冷却装置など全九装置が、二十日午前零時すぎまでに運転を再開した。停電の影響を受けた全装置の運転再開は約二十九時間ぶり。ただ、停電の原因になったとみられる3、4号機の仮設配電盤の不具合の原因は分からず、装置の電源を別の配電盤につないだだけの仮復旧となった。

 東電によると止まっていた1、3、4号機の使用済み核燃料プールが十九日午後に、共用プールが二十日午前零時すぎに、それぞれ運転を再開した。今のところ、仮設配電盤の内部に目立った損傷はなく、電気関係を詳しく調べて原因を探る。

 東電は、早く運転再開させることを最優先し、つなぎ直した電源ケーブルは必ずしも整然となっていない状況だという。近く配電盤を、仮設のものから専用のものに交換するのに合わせ、ケーブルも引き直すという。』(3月20日付東京新聞)


【驚愕の事実】

福島第一原発の核惨事が起きてから2年。あれほどの事故を起こしていながら、2年経って再び起きた電源喪失事故。それも信じられないような無為無策がもたらした初歩的なミスによって引き起こされたことが明白になってきました。さらに、この記事の後にもっと信じられない事実が東電から発表されました。それはたった数日でフクイチ全体で9千本近くあるとされる使用済み核燃料が燃えだし、日本全土、いや世界全体を緊急事態に陥れかねない電源喪失事故の原因が1匹のネズミのような小動物だった可能性があったということです。

もっと驚愕すべき事実があります。それはこれほどの大事故なのに、東電の発表は原子力・立地本部長代理とか、女性の広報担当者、そして謝罪をしているのは作業服を着たスタッフのような人たちばかりが公の場に出てくるだけで、東電の経営陣はひとりとして国民の前に出てきて謝罪や事故原因の説明などをしていないということです。これは東電が今回の事故をなめきっている証拠です。そして本気で心配する国民をなめきっている証拠でもあります。

こんなことではフクイチの収束など到底できないでしょうし、フクイチを収束させるどころか次の原子力の巨大事故を自ら引き寄せるような行為だと断言できます。僕たち市民は怒りを持ってこのような東電、そして監督者である原子力規制委員会、原子力規制庁を厳しく追及しなければなりません。
  



2013年03月19日

「フクシマ・アーカイブ」8日目。福島の事故から1週間近くが経った2011年3月19日。そのとき、僕は黒澤明監督の「赤富士」という短編映画を思い出していました。黒澤監督が20年以上前に映画を通して警告していた原発事故が現実に起こってしまったことに改めて戦慄を覚えました。フクシマは、危機管理無能国家ニッポンにとって黒澤の「赤富士」の描く地獄絵図の未だ「序章」かも知れないからです。そして事故から2年経った今も再度の地震によって4号機の1500本以上の使用済み核燃料プールが崩壊し、「赤富士」の映画を凌ぐ大惨事となって日本を襲う危険性も、自民党政権の原発推進政策の下で、その他の原発や六ヶ所村再処理工場がフクイチ以上の事故を起こす可能性も消えるどころか大きくなってきています。

以下は、2011年3月19日の僕のブログ記事です。


【ついに起こった核惨事】

3月11日の巨大地震発生、その後の巨大津波、そして東北各地の目を覆うばかりの被害。まるで戦後の焼け跡のような市街地。信じられないような夥しい数の死者行方不明者の発表。原発事故がなければすべての救援活動はこの地震・津波被害に遭った人々に向けられていたはずでした。

そんな悲惨な被災地を「後回し」にせざるを得ないほど、政府を狼狽させている福島第一原発の事故。多少、緊迫さが薄れつつあるものの、使用中そして使用済みの燃料の発熱が止められない限り、何が起こるかわからない状況は全く変わっていないのです。広大な土地があるロシアやアメリカと違って、国土が狭いニッポンに逃げ場はありません。 「みえない雲」の恐怖に怯え逃げ惑う先には海しかないのです。

1990年に公開された黒澤明監督「夢」という映画の8つの短編の中に、「赤富士」という一篇がありました。富士山麓で大勢の人が何がおこったかわからずに逃げ惑っている場面。原発が次々と爆発し、赤や黄色の色のついた霧が人々に迫ってきます。それらは原発から出た様々な放射性物質でした。フィクションだから黒澤監督がわざと放射能に色をつけて警告していたのでしょう。爆発したとされるのは富士山麓の6つの原発。浜岡原発を想定していたのでしょうが、福島第一原発も6機というところは同じです。巨匠は20年以上も前にわたしたちに警鐘を鳴らしていたのです。でもそれはただの映画。どんなに怖くても、映画館を出れば済みます。そして福島第一原発の惨事。この日が来てほしくなかった。チェルノブイリの後もこの映画を観た後もいつもそう思っていました。でも「夢」であってほしいとどんなに願っても非情な現実は次々と深刻度を加えていきます。

【為政者と国民】

日本国憲法第25条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 」とあり、第二項には「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。 」と規定されています。

その基本的権利が今東北の被災地で、そして福島原発の周辺で、さらには日本国全域で侵されようとしています。でも、よく考えると原発に関してはその立地の過程から、立地地域で苦悩する農業者や漁業者を中心とする住民の基本的人権を、ときには懐柔し、ときには威嚇しながら、ないがしろにし続けてきたのは誰だったのでしょうか。もちろん直接の当事者は電力会社であり、官僚組織であり、政治家ですが、何十年もの間見て見ぬふりをしてきたのは他でもない電気の恩恵だけを受けてきた都市を中心に住む僕たち国民なのです。

スリーマイルが起きようと、チェルノブイリが起きようと、国内ではJOC東海村の臨界事故をはじめとする大事故や大事故寸前の原発事故が何度起きようと、その都度、「事故」を「事象」と読み変えたりして国民から事実を隠し、事故を矮小化しようとしてきた人たち。それに本気で怒り、方向転換を迫らなかった国民。今回の事故の責任が私たち日本人すべてにあるのは間違いありません。

【海外からの冷たい視線】

地震発生当初から今日まで、アメリカやヨーロッパ、そしてアジアから届くのは日本に対する励ましと応援、そしてこれほどの災禍の中でも暴動も起こさずじっと耐える国民に世界は驚嘆し、賞賛する声でした。

しかし、地震や津波に被災した国民の姿とは裏腹に、原発事故に臨む電力会社や政府の信じられないような愚かな対応を見るにつけ、海外の目は日増しに厳しくなってきています。なぜなら、被害は日本にとどまらず「見えない雲」に乗っていづれ彼らの頭上にも到達するからです。

為政者の人たちに素直に従い、現実は現実として受け止め、あきらめ、何も抵抗しない僕たち多くの日本人。一体いつからこうなったのでしょうか。これは本当に日本の美徳として納得していていいのでしょうか。自分も含め今まではそうしてきました。でもこれほどの核の惨事が起こった以上、ひとりひとりが声を上げ、為政者のひとたちのやり方がおかしければ、その誤りを糺すべきではないでしょうか。そうしなければ再び、同じような事故、いやそれ以上の惨禍がいづれ避けられないでしょう。

その際、ひとつ気をつけないといけないのは、海外がすべて正しいとは限らないということです。国際原子力機関(IAEA)が日本に乗りこんできましたが、この機関もチェルノブイリ原発事故の後、ロシア以上に事実を矮小化しようとしてきたことを忘れてはいけません。しっかりと僕ら国民がその行動を監視しておく必要があると思います。

東北の被災地で助けを求める被災者の方々、高濃度の放射能の中で身体を張ってこの美しい日本を守ろうとする自衛隊や消防士、警察官、電力会社の運転員など現場で奮闘する方々。本当に哀しい思いが毎日募る中、今書き留めておかないいけないと感じ、今の正直な気持ちを書きました。

  



2013年03月18日

「フクシマ・アーカイブ」7日目。2011年3月18日のブログを読むと、このころからテレビメディアに多くの原子力や放射能の専門家と称する人間が登場し、「ただちに健康に影響はない」とか「原発はメルトダウンしていない」とか異口同音に唱え始めたことが記録されています。ある時点からテレビメディアが同じ方向の「宣伝」を始めたのです。これは本当に恐ろしいことです。そして政府はtwitterといったインターネットなどのメディアで「流言飛語」が飛び交っていると非難し始めました。「流言飛語」は政府と大手メディアが流していたのに。

そして2年後の今。日本のメディアはアベノミクスに浮かれ、ほとんどフクイチ事故がなかったかのようにふるまっているようです。

以下は、2011年3月18日の僕のブログ記事です。


【決死の放水】

自衛隊による決死の放水作業がやっと始まりました。

『東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の事故で、自衛隊は17日午後7時半すぎ、使用済み核燃料プールの水が蒸発している3号機建屋に向け、高性能消防車で地上から放水した。防衛省によると、消防車は5台で約30分間に計30トンを放水。水は建屋内に届いたが、経済産業省原子力安全・保安院は効果について「まだ評価できる段階ではない」としている。
 防衛省は、ヘリによる水の投下と地上放水について、18日も同様の態勢を取っており、東京電力などから示される17日中の効果を見て、18日以降の放水方法を決める。
 一方、警察庁によると、警視庁の高圧放水車は同7時ごろから放水。約5分後、放射線量を示す線量計の警告アラームが鳴ったため、中断した。』(3月17日付時事通信)


【変化する情報の質】

国家的危機とも呼べる緊迫した状況が続く中、「おやっ?」と思うような変化が見られてきました。というのは、日に日にテレビ等のメディアに出てくる情報の質が変わってきていることに気がついたのです。

その最大のものは放射能の危険性に関する情報。福島原発周辺の放射線量が日増しに増加する中、国だけでなくテレビ等に出てくる専門家と呼ばれる人たちも「原発敷地周辺は危険だが、その他は安全だ」(現時点では安全でも刻々と変わる可能性があることを十分認識すべき)といった発言が多くなり、放射能の危険性に対して意図してかどうか、抑制気味の発言になってきているようなのです。もちろん、パニックを防ぐ必要からかもしれませんが、テレビにその傾向が強くなっている気がします。これは一体何を意味するのでしょうか?

テレビメディアは活字メディアよりも流せる情報量が少ないのと反比例して映像を中心に大勢の大衆に瞬時に影響を及ぼします。これほどの危機的状況の中、各テレビ局の報道する内容はあまりに似通っていると事故当初から懸念しているのですが、事態の悪化とともにあまりいい言葉ではありませんが、政府の「大本営発表」を流すのみか、パニックを恐れてか正確な放射線などの情報を流すのに躊躇しているのか、伝えなければならない本当の事実がどんどん遠のいているのではないかと思われます。

【バランス感覚】

海外の主要メディアでは東北大地震と福島原発の事故発生以来、連日トップ扱いの報道が続いています。最初はセンセーショナルな日本礼賛といったトーンばかりが目立ちましたが、ここ数日はあまりの事態の悪化の速さと広がりと日本政府の危機対応能力の低さなどに対する様々な恐怖心を高めながらも、今回の原発事故の自国と世界に与える影響などを比較的冷静にわかりやすく伝え始めているように思われます。

例えば、日本のiPodで視聴できる米国のCNNのテレビ番組「Anderson Cooper 360 Daily」ではメインキャスターのアンダーソン・クーパー氏が日本で取材、米国の核や放射線の専門家との衛星中継でのやり取りで福島原発の事故の説明や米国への影響などについて素人でもわかりやすいように解説していました。この番組の専門家の解説でひとつ参考になったのは、福島原発の危険性を格納容器の炉心溶融と使用済燃料プールの二つに分けて、炉心溶融と同じくらい、あるいはそれ以上に使用済燃料プールのほうが危険性が高まっているというものでした。

BBCは日本の冷静な対応を賞賛しつつも、今回の原発事故の深刻さに大きな危機感を抱いていることがうかがわれます。

いづれにしても、日本が危機の震源地ですから日本の新聞やテレビの報道が最も詳細にわたって福島原発の状況を伝えているのですが、あまりにも細かかったり、技術的すぎたりすぎるかと思うと、焦点を当てるべきトピックがどこも似通っていたり、世界的な視野が欠けていたり、事故の全体像が一般の僕たちにはわかりにくくなっているという懸念があります。こんなときだからこそ、出来れば海外の報道とも見比べて自分なりの立ち位置をしっかりと定めるバランス感覚が必要だと感じます。

中でも最も危惧することは、自衛隊が決死の放水作業をするところまで来てからは、東電に対するヒステリックな非難とは裏腹に決死の作業を過度に美談化するような方向に走りすぎたりすることで、本当の事故の本質が見失われていくのではないかということです。これは戦時中の日本のメディアにも多く見られたことではないでしょうか。とにかく僕たちはどんなに危機が高まっても出来るだけ冷静にバランス感覚をもってこの未曾有の危機を「監視」し続けることが求められると思います。流言飛語的な情報を鵜呑みにしないこと、同時に大手メディアの報道も鵜呑みにしない判断力が求められます。

  



2013年03月17日

「フクシマ・アーカイブ」6日目。敦賀や東海の廃炉が確定的となる中、事業の先行きが見えない日本原電を債務保証して助けようとする電力業界。総合資源エネルギー調査会総合部会から脱原発を唱える委員を大幅に排除して原発ゼロを見直そうとする安倍自民党政権。こんなことをやっていては次の巨大原発事故は避けられないでしょう。フクイチを防げず、未だに責任も取らず、旧来のやり方に固執する無能で傲慢な原子力ムラの実態。看板の掛け替えではなく、組織の抜本的な見直しも、地震対策も含めた原発の安全対策の全面的な見直しが行われなければ全国の原発の再稼働など絶対にあり得ないと思います。本来ならば1986年のチェルノブイリ原発事故の後、日本は脱原発に舵を切るべきだったと心底思います。

以下は、2011年3月17日の僕のブログ記事です。

【核惨事の現実】

福島第一原発で今起きていることが如何に深刻か、3つの原発がボロボロになって白煙を出している映像だけでもわかるのですが、海外の専門家もそれをチェルノブイリの原発事故と同等と表現しています。

『米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)は15日、声明を出し、福島第1原発事故の状況が国際原子力事故評価尺度(INES)で2番目に深刻な「レベル6」に近く、最悪の「レベル7」に達する可能性もあるとの見方を示した。
 日本の経済産業省原子力安全・保安院は先に、今回の事故の暫定値を「レベル4」と発表していた。
 ISISは声明で、福島第1原発の1~3号機で爆発があったことや、4号機の原子炉建屋で火災が起きたことを踏まえ、「この事故はもはや(局所的な影響を伴う)レベル4とはみなせない」と指摘。緊急措置と広範な放射能汚染対策で国際社会の支援が必要だと強調した。
 INESは、安全上の懸念がないレベル0から8段階で評価。1986年の旧ソ連のチェルノブイリの原発事故を「7」、1979年の米スリーマイル島原発事故を「5」としている。』(3月16日付時事通信)


【気になる現実】

それにしてもこれほど毎時間、毎日連続して事態が急速に悪化していく現実を目の当たりにすると、自暴自棄的な気持ちになっていきます。上記記事にあるように、もう福島第一原発がチェルノブイリの惨禍をはるかに超えることは確実のように思われます。現場の方々の決死の作業でそれをいくらかでも遅らせるか、被害の程度を少しやわらげることができるように心から祈るばかりですが、もうその望みも刻一刻と絶たれようとしています。

今その責任を東京電力に求めようとする声が大きくなってきているようですが、確かにその対応のお粗末さが事態の悪化を招いているのは明らかなように思えます。しかしながら、同時にそもそもここに至った根本的な原因を考えておかなければならいないとも思います。それについて少し僕の考え方を整理しておこうと思います。

【責めを追う人】

日本は数十年も前から原発なしには生きていけない経済構造になっていて、今から見直すとしても膨大な時間と費用がかかってしまうでしょう。僕は原発には個人的には反対ですが、それでも現実を考えると原発の安全性をある程度確保しながら現状追認していくしかないと素人ながら思っていました。でも今回の事故でどんなに時間と費用がかかっても新しい文明のあり方のひとつとして原発から自然エネルギーに、集中電源から分散電源にしていくべきだと思っています。
日本は1986年に起こったチェルノブイリ原発事故のときに、文明の大きな転換点に立ったのですが、多くの欧州の国々とは違い(フランスは例外です)、大きな転換を図らずに現状追認の方向を選びました。いや何もしなかったというべきでしょうか。あのときが日本のひとつの大きな転機だったと思います。

あのとき欧州の多くの人たちが感じた危機感、現代文明に対する「揺らぎ」の感覚が当時の西ドイツを中心に、環境政策の大転換、エネルギー政策の見直しなどを市民のひとりひとりが声をあげながら実行したと僕は認識しています。政治もそのときから大きく変わりました。もちろんその後揺り戻しもありましたし、最近ではもうひとつの待ったなしの環境問題である地球温暖化を避けるためのひとつの方策として原発への回帰が多くの国で行われているという事実もあります。しかしあのチェルノブイリの後の文明のパラダイムシフトともいえる変化ほどではないと思います。

日本では僕ら都市に住む人間を中心に、それ以前も、そのときも、そして今回の事故が起こる前まで、電力会社にも、官僚にも、政治家にも、原発の見直しについて決死の思いで迫ったことはなかったのではないでしょうか。唯一、原発立地地域の農業者や漁業者の方々たちだけが生活をかけて、命を賭けて原発の危険を訴え続けてきたのです。それを思えば、電力会社や、官僚や、政治家だけを責めることはできません。日本の多くの国民が今まで容認してきたのですから。

【日本の行く末】

日本は残念ながら、今回の福島第一原発の惨禍を機にとてつもなく大きな国力の衰退に見舞われるのではないかと危惧しています。放射能汚染の厳しさを考えれば復興には10年単位で20年とか30年以上かかるのではないでしょうか。

国民の多くがこれを契機に日本の文明のあり方そのものを変えるくらいの決断をしなければ今までの延長線上でのエネルギー政策、環境政策しか実行できず、結果としてより大きな社会全体の変革は実行できないと思います。もちろんその見直しの中には原発の現状維持も含まれます。そしてもっと深刻で早急な対応を必要とされる地球規模の気候変動、地球温暖化問題についても抜本的な社会全体の方向転換は出来ないと懸念しています。(もちろん他の国々はもっとひどいのかもしれませんが。) みなさんはどう思われますか?
  



2013年03月16日

「フクシマ・アーカイブ」5日目。2年前の3月16日の衝撃はものすごかったです。あの日、西日本新聞の見出しは「原発の現状把握困難」でした。確か、その前日に最も広範囲に、そして最も深刻な放射能雲が東北から関東を中心に日本列島を覆い尽くしたというのを後で知りました。政府はSPEEDIによる放射能の拡散予想をこの時点では隠していました。そしてあれほど情報の隠ぺいを批判された今でも、それら住民の命にかかわる情報を再び事故が起こったときに活用する気はさらさらないとの報道もありました。この国は原子力ムラと呼ばれるゾンビのような集団が解体されないかぎり、次の原発事故による国家の滅亡的な事態は防げないのではないかという絶望的な気持ちになります。そしてその気持ちは2年経った今でも変わりません。なぜなら、政府も原子力ムラ全体も小手先の安全対策ばかりをやるだけで本質的には3/11前と何ら変わっていないからです。

そんな危機的状況が続く中で絶望を立ち切れるのは、ひとりひとり、僕たち市民の危機感と怒りしかないとの思いが再びこみ上げてきます。

以下は2011年3月16日の僕のブログ記事です。

【予測不能の大惨事へ】

朝起きて、新聞の紙面を見て本当に身の毛のよだつような思いです。福島第一原発は常駐の運転員が放射能濃度が高まって制御室から退避し、原発の現状把握が困難な状況だそうです。恐れていた最悪の最悪というか、複数の原発が制御不能でメルトダウンを次々と起こしていく可能性が高まっています。チェルノブイリ以上の惨禍になる可能性があると思います。これからの事態の推移は、出来る限りの情報を集めて、ひとりひとりがしっかりと想像力を働かせて次にどうすべきかを自ら判断していく必要があると思います。

日本全国が原発被災地になり、地球全体が汚染される可能性が高まっているのかもしれません。本当に大変なことです。地球汚染の責任は日本が背負い、世界は日本礼賛から日本非難へと向かうかもしれません。  



2013年03月16日

「フクシマ・アーカイブ」5日目。2011年3月11日の東日本大震災発生、福島第一原発の事故発生6日目にして初めて、メディアが原発の現場のすさまじい状況を伝え始めたのが3月16日でした。このときすでに大量の放射能が放出されていたことをブログを書いているときはまだ知りませんでした。事態は想像以上に悪化していました。

以下は、2011年3月16日の僕のブログ記事です。

【やっと報道】

やっと福島第一原発の現場がどれだけ決死の作業をやっているのかについての報道が出てきた。

『高濃度の放射性物質の放出が続く福島第一原発。

 放射能汚染の恐怖と闘いながら、決死の作業が続く。15日朝に大きな爆発が起きた2号機。東電や協力企業の作業員ら800人が水の注入作業を行っていたが、爆発に伴い、「必要最小限」という50人を残し、750人が一時、現場から離れた。被曝(ひばく)を避けるため、放射線量が高くなると作業を中断しなければならない。15日午前、隣接する3号機付近で観測された400ミリ・シーベルトの環境下で作業できる時間は15分が限度。津波による被害で、停電も続く。照明がつかないため真っ暗な建屋内で、作業効率はあがらない。余震が続く中、津波警報で作業の中断を余儀なくされることもある。400ミリ・シーベルトを記録したのは、作業員が携帯する放射線監視装置だった。

 12日午後、高圧になった1号機の格納容器内の蒸気を逃がすための弁が開放された。格納容器に亀裂が入る最悪の事態はまぬがれた。その弁を開ける作業にあたった男性は、100ミリ・シーベルト以上の放射線を浴び、吐き気やだるさを訴えて病院へ搬送された。

 もともと、この作業では、大量の放射線を浴びる危険があった。このため、1号機の構造に詳しいベテラン社員である当直長が作業を担当。「タイベック」と呼ばれる特殊な全身つなぎ服とマスクを身につけ、手早く弁を開けたが、10分超で一般人が1年に浴びてもいい放射線量の100倍にあたる放射線を浴びた。

 経済産業省原子力安全・保安院によると、同原発で注水作業に当たる東電職員らは約70人。緊急時対策室でポンプなどを制御しつつ交代しながら格納容器付近の現場で活動している。

 中央制御室で監視できる計器も、被災後、故障し計測不能なものがある。遠隔制御も不能で、原子炉冷却のために弁を開く作業も手作業するしかない。福島第一原発は1971年に1号機が稼働した古い原発で、通路などが狭く作業しにくいことも足を引っ張る。

 注水が進めば原子炉内の圧力が上昇し、炉の崩壊の危険性が高まるため、弁を開いてガスを外部に放出しながら進めなければならない。ガスは放射性物質を含むため、放出自体は最小限に抑えなければならない。東電の担当者は「バランスをみながらぎりぎりの選択の連続だ」とため息をつく。』(3月15日付読売新聞)


【しわ寄せは現場へ】

現場はまさに地獄の中での作業なのだ。放射能による急性障害で倒れる、あるいは水素爆発で吹き飛ばされる、あるいは作業を終えても放射能による晩発性の障害の恐怖など様々な恐怖と闘いながら、現場の作業員や保安員の方々は決死の作業を続けているのだ。どんなにテレビで立派なことを言う評論家も、どんなに体裁よくその場を取り繕う政治家も、どんなに果敢に陣頭指揮を執っているように見える電力会社の経営陣も、原子力安全保安院の役人も、この現場の人たちの死を賭けた必死の努力に比べれば、何ほどのこともない。

いつの時代も、どんな惨事も、最後は現場がすべての責任を取って命を賭けて闘わなければならないのだ。このことを僕らは片時も忘れてはならないと思う。

【しかし、事態は深刻に】

しかし、事態は刻一刻と深刻化している。2号機の格納容器損傷・高濃度の放射線放出、1号機・3号機の燃料棒露出状態の継続、4号機の水素爆発。もうこれ以上ないと思われるほど最悪の連鎖が続いているのだ。もうあとはメルトダウンによる炉心破壊→大量の高濃度放射能の放出しか残されていない。それが1つの炉で収まるのか、それとも2つになるのか、3つになるのか、4つになるのかという違いだけだ。どれでも福島周辺、関東地域、そして日本全国が非常事態に陥るだろう。

いたずらに危機を煽るつもりはないけれど、原子炉の現場は現場の尊い人たちにお願いして、政府や対策本部は住民の健康被害を最小限に抑えるための最大限の情報公開、そして大規模な秩序立った避難計画の策定と迅速な実施、経済への影響を最小限に抑えるための中長期の手立てに早急に着手・実行することだと思う。もう時間はあまり残されていないのかもしれない。  



2013年03月15日

ブログによるフクシマ・アーカイブ4日目です。

昨日のニュースによると四国電力は伊方原発3号機に関する大型ポンプ車や放水砲などの6項目の安全対策を6月末までに終えて再稼働できるように準備をしているそうです。原子力規制委員会が7月に公表しようとしている安全規制を先取りしようとの考えです。しかし、伊方原発は敷地内に活断層はなくても日本最大の活断層と言われる「中央構造線」が近くにあり、そこが動けばひとたまりもありません。
そういう状況を知るにつけ、福島第一原発の核惨事という日本を壊滅させたかもしれない大事故を経験しても、なんらその反省をすることもなく、本当に自らの命を賭けてでも住民を日本を守るという姿勢ではなく、ただ原発を維持したいという姿勢しか見えない人間たちの欺瞞だけが目につきます。

2年前の3月15日。この日は2号機を中心に大量の放射能がまき散らされた「運命の日」となりました。すなわち、福島第一原発では原子力安全委員会等の無能集団が右往左往する中で、1号機・3号機の水素爆発や2号機の燃料棒の空だき状態など身の毛もよだつ事態が進行したのです。
次にどうなるか見えない状況の恐ろしさ。原発事故の恐怖をまざまざと思い知らされた長い長い一日でした。

以下に2011年3月15日のブログ記事を掲載します。

【危機続く】

まだまだ予断を許さない状況が続いています。

『東日本大震災に見舞われた東京電力福島第1原発で14日、2号機の燃料棒が一時、冷却水から完全に露出するという、前例のない事態が起きた。一時的な「空だき状態」で、最悪の場合は米スリーマイル島原発事故のような非常事態につながりかねない。同日午前には、3号機の原子炉建屋(たてや)で水素爆発が発生。完璧な管理によって、その安全性を強調してきた日本の原発は、前代未聞の制御不能状態に陥っている。

 2号機では14日午後、原子炉圧力容器内の水位が一気に低下し始めた。このため、原子炉建屋が爆発した1、3号機よりも優先して注水作業が続けられたが、水位の低下を止められず、約4メートルある燃料棒全体が露出する「空だき」状態が一時的に発生した。

 その後の注水で水位は上昇したが、万が一、水位が回復しなければ、燃料棒が溶ける炉心溶融が進行し、原子炉内の燃料の大半が溶ける「メルトダウン」と呼ばれる事態になる恐れがあった。

 これは原子炉自体が損傷し、放射性物質が外界に拡散しかねない事態だ。』
(3月14日付毎日新聞)


【現場の努力に敬意】

原子炉の「空だき状態」が一時的にせよ起きたことにショックを受けました。報道にある通り、冷却水がなくなって燃料棒全体が露出することを「空だき」状態と言い、これが続くと最悪の場合原子炉内の燃料が溶ける「メルトダウン」に陥るのです。メルトダウンとなれば原子炉内の放射能が外部に放出されることが予想されますから、絶対に避けなければならないのです。

問題なのは空だき状態となった2号機だけでなく、1号機も3号機も建屋が爆発で破壊され依然として安心できる状況ではないことです。ひとつの原子炉だけでも大変なのに3つも同時に危機的状況にある。これはもはや最悪の事態を想定して、福島県だけでなく首都圏も含め、ヨウ素剤の頒布や大規模な避難計画を実施すべきときに来ているのかもしれません。そして長期的な電力不足に対応した経済の立て直しを早急に検討すべきだと思います。

平和で安全な日本という国が今脆くも崩れ去ろうとしています。日本に今いる僕たちは福島原発の周辺の方々だけでなく、すべての地域で戦争以上の国家存亡の危機にあることを肝に銘じておかなければならないと思います。

今はとにかく、そんな危機的な状況の中で必死になって、死を覚悟で現場の方々がメルトダウンという最悪の事態に至らないように動いている。僕らはこの方々たちの無事を祈り、最悪の事態にならないように祈りたいと思います。

  



2013年03月14日

ブログによるフクシマ・アーカイブ3日目です。

2011年3月13日の時点では、国内では政府がやっきになってメルトダウンによる大量の放射性物質の放出を否定する中、海外メディアが「核の大惨事が近い」と報道し、米国は日本在住の米国民の避難範囲を80キロまで広げていました。日本のメディアはこともあろうにそんな海外メディアの報道を否定するような政府の大本営発表を鵜呑みにしていたのです。読売新聞は今でも原発の再稼働が必要だとの社説をしゃしゃあと掲げていますが、国民を愚弄するメディアの最たるものでしょう。
そして危機回避の願いも空しく2年前の3月15日の「運命の日」、2号機を中心に大量の放射性物質が放出され日本を覆い尽くしました。

以下に昨年3月14日の僕のブログ記事を掲載します。

【依然、危機的状況】

海外メディアは福島原発の危機的状況について詳しく報道しています。

『米メディアは福島第一原発1号機の事故について「緊急事態の一層の悪化」(ニューヨーク・タイムズ紙)、「最も深刻に懸念される事態」(CNNテレビ)などと最大級の扱いで詳報している。

 CNNでは、専門家が「核の大惨事が近い」などと危機感を表明し、「避難範囲を広げよ」と求めた。

 12日夕の番組では、出演した藤崎一郎駐米大使に、キャスターが「チェルノブイリ原発事故の再発をどう防ぐのか」「外国からの支援が必要ではないか」と問い詰め、大使が「放射線量は減少している」「我が国だけで対応している」と反論する一幕もあった。』(3月13日付読売新聞)


【予断を許さず】

13日(日)午後8時半現在、福島第一原発の1号機、3号機とも一応海水を注入することで落ち着いているように報道されています。しかし、本当のところ、どこまでメルトダウンが進んでいるのかいないのか報道からだけでは窺い知れません。政府は今回の事故ではかなり情報開示と住民の不安の払しょくのために全力で努力しているという姿勢が読み取れます。しかしながら、危機的状況はまだ現在進行形で続いていると思った方がいいと思います。

まだまだ1986年4月26日に起こったソ連のチェルノブイリ原発事故のような放射能の大量放出という事態に至らないという確信は誰ひとりとして持てない状況が続いているのです。

「もしも」ということは考えたくないし、そうなってはいけないのですが、想像力を働かせて、次にどうすべきかを日本国民すべてが考え抜く必要があると思います。もちろん現場の東電社員などのスタッフ、消防士、自衛隊の方々などは死を覚悟しながら必死の努力を続けておられます。それは絶対に忘れてはならない。と同時に僕ら一般市民も今考え抜くことが次の事故を防ぐことにつながることになると思います。たとえ今回の最悪の事態は防げなくてもです。

とにかく、僕らは市民は現場の方々の努力が実ることを祈り続けましょう。


  



2013年03月13日

ブログによるフクシマ・アーカイブ2日目です。

一昨年の3月13日。「福島第一原発でとんでもないことが起こっている」・・・そう思いながらも、メルトダウンに至らないことだけを祈っていました。
このときは、まだ枝野官房長官の言葉をわずかながら信じていました。だから水素爆発が起こっても、まだ格納容器の破壊には至っていないとしてブログでは一縷の望みを書き込んでいます。でも、実際はそうではありませんでした。このときすでに福島のみならず日本全国が非常事態の真っただ中にあったのです。

以下に2011年3月13日のブログ記事を掲載します。

【メルトダウン】

ついに起こってしまいました。1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故から25年。あのときの恐怖がよみがえります。あの事故の後、日本でも福島原発や美浜原発、浜岡原発、志賀原発などできわどい事故を繰り返しながら、1999年には東海村のJOC核燃料加工施設の臨界事故という重大事故を起こし、ついに今回の福島第一原発のメルトダウンに至りました。

もう昨日から刻々と流れるニュースをテレビやインターネットのニコニコ動画などを見ながらTwitterやfacebookで情報交換し、ただただメルトダウンが圧力容器の破壊→大量の放射能放出にならないようにと天に祈りました。

【とりあえず最悪を回避】

そして昨夜の枝野官房長官による政府発表。少ない情報開示にいら立ちながらも、午後3時半ころに起きた爆発は建屋のみを破壊しただけで格納容器・圧力容器は破損を免れたと聞き、本当に、本当にとりあえず安堵しました。記者会見場にいたメディアも日本全国の人たちも同じ気持ちだったと思います。

もし、建屋だけでなく格納容器も破壊されていたら、大量の放射能が大気中に放出され、福島原発の周辺から風の向きに従って放射能雲が漂い、日本の中枢である首都圏を中心に非常事態に陥っていたと思います。そうなったら放射能にまみれながら津波や地震の被災地域を救助するというまさに「地獄絵図」そのものになったことでしょう。そしてそれは地震の復興であればある程度の期間で出来ますが、放射能災害となればチェルノブイリ同様、放射能汚染という目に見えない怪物との闘いとなり、高濃度の汚染地域を見捨てるなどの悲惨な状況となるほか、これからほぼ永久に放射能汚染と闘い続けることになるのです。

【油断は禁物】

政府は福島第一原発の事故を起こした炉に海水とホウ素を注入し、大量の放射能放出を全力で回避すると発表しました。現場ではおそらく死を覚悟した東電社員、自衛隊員などの必死の努力が続けられていると思います。日本の運命はまさにその現場の方々にかかっています。とにかく僕らは祈るしかないです。

しかし、油断はまったく出来ません。福島第二原発も緊急事態だと聞いています。また、大きな余震によって第二のメルトダウンが起きるかもしれません。

日本全国に存在する55基の原子力発電所。今回の地震が想定外だったとかいろいろな言い訳は言えても、一旦放射能が大量に放出されればそんな言い訳では誰も助からないのです。これからも原発が稼働する限り、活動期に入ったと言われる日本列島の住民である僕たちはこの現実から逃れることは出来ないと肝に銘じておかなければなりません。

今回の事故はまさに天からの啓示だと思います。天は人類への警告として日本を選んだ。「日本人よ、目覚めよ。」と。「いつまでこんな綱渡りを続けるつもりなのか」と。

きっと政府や関係者は事故が落ち着いたらまた言い訳の世界に戻ることでしょう。でも本当に本気でどうするのか考えてほしいと思います。日本列島にどこも誰ひとりとして逃げ場はないということを。

  



2013年03月12日

昨日の3月11日、僕はたまたま東京に出張で来て、英国大使館で東日本大震災が発生した時刻である午後2時46分に一分間の黙とうをしました。大使館では英国国旗を半旗にされていました。

さて、今日から3月末まで、一昨年3月11日の東日本大震災による福島第一原発の核惨事に関する僕のブログ記事を再度掲載します。当時のブログを見ることで、あのとき自分がどう感じていたのか、何が問題だったのかなどについてもう一度深く考えてみたいと思うからです。

2011年の3月12日の時点では、大震災へのお見舞いと福島第一原発への懸念が書かれていました。まだこの時点では福島で何が起こっているのか報道からはあまりわからなかったからだと思われます。残念なことにこのとき思っていた「炉心溶融」などの事態は現実になっていくのですが。

以下、2011年3月12日のブログ記事です。

【未曾有の大地震】

とてつもない大きさの大地震、大津波、それに伴う災害が東北・関東を中心に日本全国で発生しています。

『東北や関東地方を襲った「東北地方太平洋沖地震」で、各地では12日も被害の報告が相次ぎ、死者と行方不明者は1000人を超える見通しとなった。警察庁によると、死者は岩手・福島両県を中心に同日午前4時50分現在で計184人が確認され、行方不明者は708人。このほか、仙台市若林区で水死とみられる200~300人の遺体が発見されており、被害はさらに拡大する恐れがある。
 気象庁は同日午前3時20分、国内の全66予報区で大津波警報、津波警報、津波注意報のいずれかを発令した。全66予報区での発令は初めて。
 宮城県気仙沼市や岩手県の太平洋側では大規模な火災が発生している。また防衛省によると、福島県南相馬市では約1800世帯が壊滅状態という。』(3月12日付時事通信) 


【お見舞い】

あまりの災害の大きさに、次々とメディアに流れてくる報道に絶句しています。報道に寄れば今回の地震は国内最大規模・マグニチュード8.8で、阪神淡路大地震の180倍以上のエネルギーだったそうです。また千年に1度の大きさとの説明もありました。今最も気になるのは福島第一原子力発電所の状況です。原子炉建屋内ではかなり深刻な事態が進行している可能性が高いと思います。もしも炉心溶融などの事態となれば、通常の災害復旧すらできなくなる恐れがあります。

今はとにかく被災地の方々に心からお見舞い申し上げますとともに、出来るだけ冷静に行動されるように思います。  



2013年03月11日

【戦後日本最悪の日】

2011年3月11日は戦後の日本にとって最悪の日として歴史に刻み込まれました。「最悪」という言葉の中には様々な意味が含まれています。

先ずは、「最悪」の自然災害ということ。マグニチュード9.0の大地震とそれに続く巨大津波の襲来は少なくとも太平洋戦争後という区切りで言っても、未曾有の災害と呼べると思います。すべては人知を超えていました。この大地震で日本列島は実際に歪み、その歪みが次の大地震を引き起こす可能性が高まっています。

二番目に、「最悪」の人災を招いたということ。それは言うまでもなく、福島第一原発の核惨事を指します。経産省を中心とする政府の原子力関係機関、電力業界、原子力に関する研究機関と御用学者、原子力メーカー、大手メディアなどのいわゆる「原子力ムラ」の過去何十年にもわたる無責任な原発推進体制が、この事故を引き起こしたことは疑いようもない事実となりました。自分たちの利権を守るために多くの手抜きをして、それらを「安全神話」で覆い隠してきたことが、福島を中心に日本全土のかけがえのない土壌、水、空気、山、川、海、そして何の罪もない子供たちや市民を放射能に汚染させ、これから何世代にもわたって取り返しのつかない災禍をもたらしてしまったのです。自然災害とちがってこの人災には終わりはありません。それは、今すべての原発が止まっても、膨大な崩壊熱を出し続ける放射性廃棄物が地震や津波、人的ミスで再び冷やせなくなれば、今回の事故よりもはるかに深刻な事態が日本のどこかで起こる可能性があるからです。

三番目の「最悪」とは日本の政治と社会の機能不全です。これほどの大規模で深刻な自然災害と人災が起こったにもかかわらず、先頭に立って国民を救うべき政治はまったく無能でしたし、今でもその状況は続いています。官僚機構は国民を救うどころか、生死をさまよう被災地の人たちに救いの手を差し伸べるどころか、自分たちの保身のために被災者を見捨てる場面がいたるところで見られました。大量の放射能がまき散らされたとき、住民の避難に役立つ情報を持っていたにもかかわらず、住民の方々にそれを知らせず、無用な被爆を強いたというのがその典型例です。

そんな政治や官僚の無能に、さらにメディアの大本営発表が混乱を助長しました。この国がこれほどの無能と混乱の極にまで至ったのは、政治の責任ですが、その根底には国民である僕たちひとりひとりの無責任があるのを思い知らなければなりません。

【破滅に向かう日本】

それほどの「最悪」の事態から2年経った今でも被災した東北の復興はままならず、未だに10万人以上の方々が避難生活を余儀なくされています。

そして福島第一原発の収束はまったく見通せません。原発自体、1号機から4号機までメルトダウンした燃料がどうなっているのかわかりませんし、4号機の使用済燃料プールが再度の地震で崩壊するようなことになれば、今度は本当に関東壊滅のような事態もあり得ます。

原発が一体どうなっているのか、そしてこれからどうしたらいいのかについては、過去数十年にわたって日本全国で反原発の論陣を張ってきた広瀬隆氏が書いた「第二のフクシマ、日本滅亡」という本が非常に参考になります。広瀬氏は福島第一原発の核惨事が起こる1年近く前に「原子炉時限爆弾」という著作を出し、原発震災の危険性を訴えていました。その心配が的中したのです。氏は大手メディアからはその主張が過激だとして書評欄でさえも紹介されませんが、言っていることは御用学者のようにバイアスがかかった意見ではなく、真実や事実に基づくものが多く傾聴に値します。あまりにまっとうで論理的なので、素人メディアや原子力ムラは反論できないため、出来るだけ広瀬氏を表に出したくないというのが本音なのだと思います。
今回の著作でも次の大事故が迫っているとして、以下の6章にわたってこれからどうすべきかを提言しています。

第一章 六ヶ所再処理工場の即時閉鎖
第二章 全土の原発の廃炉断行と使用済み核燃料の厳重保管
第三章 汚染食品の流通阻止のためのベクレル表示義務づけ
第四章 汚染土壌・汚染瓦礫・焼却灰の厳重保管
第五章 東京電力処分とエネルギー問題
第六章 原発廃止後の原発自治体の保護


どれもまっとうな提案ばかりです。とくに、この中で僕ら素人が知っておくべきことがひとつあります。それは全54基の原発が停止しても、その中にある使用済み核燃料プールにある使用済み核燃料は地震や津波、人為ミスで冷却できなくなればプールが過熱して水素を発生し大爆発を起こす可能性が高いということです。そう、原発が停止するだけではまだ危険は去らないということを肝に銘じておかなければなりません。

これまで原発の事故のほとんどは、スリーマイルとチェルノブイリ以外は日本で起こっています。そして起こるたびに深刻になっていって、現時点で最悪の事故がフクシマなのです。おそらく次の最悪の事故も日本で起こる可能性が高いでしょう。それも大地震が引き金になる可能性が最も高いと思います。残された時間はあまりないかもしれない。でも指をくわえて待っているべきではないのは明らかです。

そして最後に一つ。これほどの原発事故が起こったことを被災地以外では多くの人が忘れようとしています。しかし、忘れてしまっては次の惨事は防げません。あの事故の責任をとことん追求し、あの事故から多くの教訓を学び、本気で日本を変えていく意志を持ち続けなければ次の事故、そして日本の崩壊は到底防げないでしょう。

  



2013年03月08日

【米軍を驚愕させた無能国家】

これほど明確にニッポンという国が原発を制御できるような国でないことを示す証拠が他にあるでしょうか?昨年の3月8日の時事通信が3/11当時のトモダチ作戦の司令官の話について報道していました。

『東日本大震災で米軍の被災地救援活動「トモダチ作戦」を指揮したウォルシュ前米太平洋艦隊司令官(57)=退任、テキサス州在住=が、震災1年を前に4日までに時事通信の電話インタビューに応じ、東京電力福島第1原子力発電所が制御困難になり、壊滅的被害が出る「最悪のシナリオ」を想定していたことを明らかにした。日本の周辺有事と同じ態勢を敷いたことも事実上認めた。
 「われわれが見たこともない事態を目撃している現実に、重苦しさを感じた」。ウォルシュ氏は震災後相次いだ福島原発の水素爆発が米側に与えた当時の衝撃をこう表現した。
 同氏によると、放射能汚染対策を講じながら空前の支援活動を展開する複雑な作戦は横田基地(東京)の在日米軍司令部の能力を超えていた。上部組織の太平洋軍は朝鮮半島有事などに対処する「JTF519」と呼ばれる統合任務部隊の司令部をハワイから横田基地に移動することを決定。同氏とスタッフ90人を同基地に送り、トモダチ作戦を支援したという。
 同氏は「原子炉が制御困難になる懸念があった。指揮官として、最悪のシナリオを知っておく必要性があった」と指摘。想定については、「必ずしも正確ではない」と前置きした上で、核分裂の連鎖反応を制御できず原子炉が爆発し、大量の「致死性の放射線による壊滅的な被害が出ることだった」と明かした。
 放射線検知や防護能力を持つ海兵隊の特殊兵器対処部隊「CBIRF」を日本に派遣した経緯については、「福島原発がどのような事態になるか予測できない段階で派遣を決断した。米国が放射線対策で最高の能力を持つ部隊を送るという日本へのメッセージの意味合いもあった」と述べた。』(2012年3月5日付時事通信)


【原発を扱う能力のない国家】

昨年末までには日本国内では、福島第一原発の核惨事に関する国会、民間、政府の調査委員会がそれぞれ原因究明のために調査報告書を出しましたが、その報告書の調査結果と併せて明らかな事実がひとつあります。それは、この米軍によるトモダチ作戦を指揮したウォルシュ前米太平洋艦隊司令官の言葉が雄弁に物語っている通り、ニッポンはあの時、米軍でさえ恐れおののくほどの最悪の事態、すなわち4基もの原発が爆発し、致死性の放射能が大量に放出され、米軍の横須賀基地はおろか、人口3千万人以上を抱える関東全体が壊滅的な放射能汚染地帯になる可能性が高かったにもかかわらず、日本政府も東電もなんら有効な手立てをもつどころか混乱の最中にあったという事実です。

この米軍の司令官の一言だけでも、日本に原発を制御する能力はないということが明確にわかります。それに加えて僕らはさまざまな無能なメディアを通じて、東電の経営陣や政府の政治家や役人の狼狽・無能ぶりを目撃したのです。2年たった今もそれらを立て直し、再び同じような、あるいはそれ以上の原発事故が発生した時、電力会社や原子力規制庁や原子力ムラの連中が僕たち日本国民を守れると確信できる人が果たしてどれだけいるでしょうか?
すべてのシステムを入れ替え、アメリカから原子力安全規制委員会(NRC)の専門家3000人を連れてくるようなことをしないと無理だと思うのは僕だけでしょうか?この2年そんな必死の組織の立て直しをした形跡はどこにも見当たりません。
  



2013年03月07日

【未曾有の大災害】

あと数日で日本全国を恐怖のどん底に陥れた3月11日の東日本大震災とそれに続く福島第一原発の核惨事から2年目となります。2万人近いかけがえのない命が奪われた東日本大震災。その多くはあの大津波によるものでした。ただ、大震災は自然の力がもたらした災害であり、おそらく人間の力ではどうしようもなかったでしょう。しかし同時に起こった福島第一原発の核惨事は違います。これは原発推進派であろうと反対派であろと「人災」であったという点は認めています。そう、防ごうとする意志があればある程度は防げた災害だったのです。

しかし、それは起こってしまった。そして起こしてしまった結果は、おそらく何世代にも及ぶ取り返しのつかない放射能汚染の災禍です。そして起こした直接の犯人は東京電力であり、政府の担当機関である原子力安全・保安院であり、それを取り巻く原子力を推し進めてきた学者やメーカーであり、メディアです。もちろん、それを今まで放置してきた僕たち市民にも重大な責任があります。

【ブログで振り返る】

こういうことを2度とは起こしてはいけない。あのとき、多くの人がそう思ったはずです。しかし、その後の東京電力や政府やメディアや学者など原子力ムラといわれる人たちの動きを見ていると、何も変わっていない。原因究明はまだ終わっていないし、誰一人として厳罰に処された人はいないし、事故を教訓として腐りきった組織の抜本的な見直しは何も行われていません。

それどころか、日本を壊滅させたかもしれない福島第一原発の核惨事を経験したにもかかわらず、「原発を再稼働しないと日本経済がもたない。」と国民を脅迫し続ける原子力利権に群がる人間たちが日本の至る所に徘徊するばかりです。再稼働しか道がないようにふるまいながら、経営の立て直しも住民の安全も何の抜本的な手立ても打たない電力会社の経営陣たち。

こんなことでは、次の大地震が日本のどこかの原発周辺で再び起これば日本は本当に終わります。たとえ原発が稼働していなくても使用済み核燃料の保管プールの水が抜けるだけで同じような事態が来るのです。フクイチの4号機や浜岡原発が最もその可能性が高いでしょう。

そんな未だに原発維持に汲々とする原子力ムラに怒りをぶつけるとともに、あの日あのときを自分自身が忘れないためにも3月11日以降再び、あの日の出来事を記したブログをその後の状況変化も追記しながらアップしていきたいと思います。  



2013年03月06日

【またも後退】

石原伸晃氏が何のために環境相になったのかを勘繰りたくなることが次々と明らかになってきています。

『昨年末に環境相の諮問機関、中央環境審議会の委員に内定していた脱原発や温暖化対策強化を訴える環境NPO代表や大学教授らが、政権交代直後に就任を取り消されたことがわかった。石原伸晃環境相の意向とみられる。環境省は「委員を減らして議論の活性化を図るため」とするが、環境・エネルギー政策の議論の場から政権の方針に批判的な専門家が外された形だ。
 今年1月は中環審委員の改選期に当たり、環境省は昨年12月上旬までに30人の再任・新任案を内部でまとめた。しかし、その後政権交代があり、1月10日に予定していた総会を延期して人事案を作り直した。2月8日付で任命された新委員は25人で、当初の案より5人少なくなった。
 就任取り消しが判明したのはNPO法人「気候ネットワーク」代表の浅岡美恵弁護士、京都大の植田和弘教授、環境ジャーナリストの枝廣淳子氏。浅岡氏は、安倍政権が見直すことにした「2020年に温室効果ガスを90年比で25%削減」する国際公約の維持を主張。植田氏は民主党政権時代に25%削減の実現性を検証する会議の座長を務めるなど政策立案にかかわった。3氏とも自然エネルギー導入や電力システム改革などによる脱原発を唱える論客として知られる。
 浅岡氏は05年から委員を続け、同氏によると、昨年12月上旬に環境省の担当者から再任内定を伝えられた。しかし、今年になって「政権交代で調整に時間がかっている」などとして総会は延期に。2月初めに同省幹部から「委員数を減らすことになった」として再任取り消しを告げられた。
 植田氏と枝廣氏は昨年まで温暖化対策を話し合う中環審の部会で臨時委員を務めた。両氏によると、昨年末までに正委員への昇格が内定したが、今年になって環境省から取り消しの連絡があった。
 総会延期をめぐっては、石原環境相が1月8日の会見で「安倍内閣の方針を委員に認識してもらう時間が必要」と発言。朝日新聞の取材に対し、官房総務課の名で「審議を充実させるため、スリム化を図ることとした」と回答した。同課によると、就任間もない石原氏に人事案を示して了解を求めたところ、「よく見直すべきだ」と人選や人数に注文がついたという。
 中環審の委員は、専門家のほか自治体や経済団体、労働組合の関係者が名を連ねる。環境省のある幹部は「団体推薦で選ばれている委員は簡単に切れない。結果として環境派の人たちが不採用になった面はある」と指摘する。』(3月5日付朝日新聞)

【環境省の存在意義】

環境省とは一体何のため、誰のためにあるのでしょうか? 環境省設置法第3条には「地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他の環境の保全(良好な環境の創出を含む。)並びに原子力の研究、開発及び利用における安全の確保を図ることを任務とする」とあります。であるならば、「原子力の安全の確保」のためには原発推進に偏る人たちだけでなく、脱原発を唱える人たちも審議会に公平に入れて福島第一原発を起こしてしまった日本の原子力推進体制がもたらした安全神話の根本的な見直しをすることが必要なのではないでしょうか。

石原伸晃氏と言えば、フクイチ事故の後の2011年6月14日に当時自民党の幹事長として事故を踏まえた原子力政策の見直しについて「あれだけ大きなアクシデントがあったので、集団ヒステリー状態になるのは心情としてはわかる」と暴言を吐いたお方です。福島の被災地の方々や原発の危険性を真剣に考え政府に再考を迫る人々に対して「集団ヒステリー」と呼ぶ傲慢さにその時もあきれましたが、今もその傲慢さや偏狭さに変わりはないようです。こんな人を環境相に就けて原発推進にまい進する自民党政権の愚かしさを真剣に追及していかなければ、僕たち市民はなし崩しと問題の先送りばかりの自民党政権によって次の原発事故を招来してしまうことになる可能性は大きいと言わなければなりません。再度、審議会の委員の見直しをすべきだと思います。

≪参考≫ 

・「集団ヒステリーはどっちか-自民党幹事長の暴言」・・・2011年6月15日付の僕のブログ記事

・〈中央環境審議会〉 環境関連の政策を有識者が議論し、国に提言する諮問機関。委員は環境相が任命し、定数30人以内で任期は2年。総会の下に、地球温暖化対策や廃棄物問題、生態系保護などテーマごとに九つの部会がある。エネルギー政策の議論は経済産業省の総合資源エネルギー調査会が中心だが、中環審も一定の影響力を持つ。

  



2013年02月20日

【東通も活断層】

東通原発も活断層の可能性が高いとの規制委の判断が出たようです。

『東北電力東通(ひがしどおり)原発(青森県東通村)の断層を調べている原子力規制委員会の専門家チームは十八日、三回目の評価会合で、敷地内に多くの活断層がある可能性が高いとの評価報告書案でおおむね一致した。

 この日提示された報告書案では、敷地内に数多く見られる新しい年代の地層の乱れや地形のゆがみは、下層の断層が動いたことによりつくられたと判断。東北電は岩盤が地下水を吸って膨張した力でできたと主張してきたが、報告書案は「根拠が乏しい」と疑問を示した。


 また、東北電の調査内容では、敷地内の断層の詳しい状況が分からないと指摘。敷地外の広い地域も含めて地質調査を行い、敷地内の断層との関連性を調べることを求めた。東北電が活動性はないとしている原発の重要施設直下を通る断層についても、「さらなる検討が必要」とした。


 チームが今回、活断層と認定した断層は、原子炉建屋などの重要施設の直下を走っていない。ただちに耐震基準に違反しないが、近いところでは原子炉建屋から百メートルしか離れていない。これほど近いと、現在の技術では想定すべき地震の揺れがどの程度なのか、正確に割り出すことは極めて難しい。耐震補強しても安全性の確認が難しくなり、運転停止は長期化する見通しだ。


 この日の会合には、東北電の担当者も出席し、同社が実施中の下北半島を東西に横切る地質調査の状況も説明した。ただ、報告書案が示した活断層の指摘を明確に否定する根拠は示せなかった。専門家チームは他の専門家からも意見を聴いた上で報告書をまとめ、規制委に提出する。』(2月18日付東京新聞)


【国の責任はないのか】

どうもこの活断層をめぐる原子力規制委員会と電力会社のやりとりを見ていると釈然としないものがあります。なぜなら、原発を着工する前の活断層調査の段階での活断層に対する学説や知見が当時と大きく変わったということはあるかもしれませんが、そもそも活断層だらけの地盤に原子力発電所の設置認可を出したのは国なのに、事業者である電力会社だけが国から「ここは活断層だから原発を動かすのは駄目だ」と言われてすべての責任を負わされているように見えるからです。

本気で活断層や地震による大規模原子力災害を避けようとするならば、廃炉にせざるを得ないようになる原発を国が電力会社から引き取るといった措置を施して、電力会社が廃炉による債務超過などに陥らないようにすべきではないでしょうか。過去の認可の責任にはほうかむりして、一方的に電力会社に責任を押し付けても問題は解決しないと思うのは僕だけでしょうか。
  



2013年02月15日

【田中委員長に同意】

田中委員長は最終的に衆参両院の国会同意が得られそうです。

『原子力規制委員会の田中俊一委員長の国会同意人事が14日、衆院本会議で自民、民主、日本維新の会、公明党などの賛成多数で可決された。15日の参院本会議でも可決される見通し。強い独立性を持った規制委のトップとして、17年9月までの任期中、国の原発政策に大きな影響力を持つ。政府・自民党は原発の安全性に厳しい目を向ける田中氏のもとで再稼働が遠のきかねないことを懸念しながらも、差し替えによる批判や混乱を回避するため、消極的支持を選択した。【西川拓、鈴木美穂】

 ◇再稼働、対応問われる

 「同意の有無は、われわれのやることに関係ない」。田中委員長は13日の記者会見で強調した。規制委は昨年9月の発足以降、国会同意のない「仮免許」での活動ながら、原発の新たな安全基準の骨子作りや防災指針の改定、原発敷地内の活断層調査などに取り組んだ。

 規制委が特に力点を置くのは、独立性と透明性の確保だ。前身の経済産業省原子力安全・保安院など旧規制機関は、規制内容を事前に非公開の場で電力会社とすり合わせるなど、規制対象とのなれ合い体質が批判を浴びた。その反省から、規制委は「公開での議論」を原則とし、3人以上の委員が集まった会合は概要をホームページで公表した。

 原発敷地内の活断層調査では、有識者の人選を省庁主導ではなく、中立な学術団体に推薦を求めた。この手法は、日本原子力発電敦賀原発(福井県)や東北電力東通(ひがしどおり)原発(青森県)で、事業者側に厳しい判定が出たことと無関係ではない。

 安全基準の策定では、原発稼働に批判的な意見を持った有識者からも意見を求めた。その結果、今月6日に了承された骨子案では、事業者に過酷事故対策を義務づけ、重要施設の直下に活断層が露出していないことの立証責任を課した。

 50基ある原発の安全性に厳しい目を向け、再稼働に高いハードルを設けた格好だが、原発事故時の放射性物質の拡散予測で訂正が相次いだ。さらに、敦賀原発の活断層評価報告書案を幹部が事前に事業者に渡した問題が発覚。国民の信頼を回復したとは言えない。

 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「原子力は専門性が高く、国民は原発の安全性を判断することが難しい。原子力行政の信頼性は、規制委への評価にかかっている。形式的な情報公開は進んだが、事前に報告書案を渡した幹部の対応を見ると、利害関係者の意見を重視する従来の発想は変わっていない」と指摘する。

 ◇政権の方針と距離

 田中委員長の人事は昨年9月、野田内閣が、国会同意を得ずに首相権限で任命し、国会の事後承認も見送られてきた。

 これに対し、安倍晋三首相は就任前の昨年12月23日、田中委員長と委員4人の人事について、通常国会で差し替えない意向を早々と表明した。だが、「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」という民主党政権の方針を白紙に戻した安倍内閣と、今の規制委のスタンスは必ずしも相いれない。原発再稼働の有無は、首相が最重視する「経済再生」とも密接に関係する。

 菅義偉官房長官は14日の記者会見で「正式に同意されれば、自信を持って安全基準を作ってほしい。原発の稼働の判断は政府が責任を持って行う」と述べ、同意人事に問題はないことを強調した。

 自民党も田中氏への表立った批判は控えている。4日の党資源・エネルギー戦略調査会で経済産業省出身の若手議員が「人事をやり直すべきだ」と主張したが、山本拓会長は取り合わなかった。政府高官は「どう差し替えても『恣意(しい)的』と言われる。(衆参でねじれた)国会の同意を得るには田中氏でいくしかない」と明かす。

 だが、14日の衆院本会議では原発立地県の高木毅氏(福井3区)ら複数の議員が採決を欠席。党内には不満がくすぶっている。石破茂幹事長は「党として特段の対応をとるつもりはない」と黙認するしかなかった。

 逆に野党からは田中氏を評価する声が上がる。衆院本会議で田中氏に反対したのは共産、生活、社民の3党だけだった。』(214日付毎日新聞)

【鍵は国民の絶えざる監視】

原子力規制委員会がどれだけ政治から独立して原子力の安全を守れるか、最初の委員長、そして委員の真摯な姿勢が問われます。もともと田中委員長他4名の委員は昨年9月に国会同意が得られないまま法律の抜け穴をうまく野田前首相が使って「政治的に」任命されました。

そんな変則的なスタートを切った規制委は、活断層を巡って公開の議論を行って政治からの独立性、安全に対する真摯な取り組みを印象付けました。何の責任も取らないまま旧原子力安全委員会と保安院が看板を付け替えて、原発の再稼働のために着々と準備を進めていると言う見方もありますが(僕も基本的にはそう思っています)、原発や六ヶ所村の核燃料サイクル施設などが即廃止にならない現実の前には当面の、最低限の安全対策は強化しておかなければなりません。

その意味では田中委員長や規制庁全体が原子力ムラの一員だとはわかっていても市民としては今の枠組みでの安全対策は進めてもらわざるを得ないのが現実です。ただし、その場合でも最低限の安全対策とは別に、原発や核燃料サイクル施設の即廃止を求め続けること、先般明るみに出た規制庁の役人の無責任な行為などに厳しい目を向けて規制庁と委員会をしっかり監視しつづけることが市民の側には必要です。

今回の国会同意についても、市民の立場からはしっかりと言うべきことは言わなければならないと思います。  




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海や山、自然が好きな九州男児です。あらゆる機会をとらえて、時代の変化をいつも感じていたいと思っています。
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