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2012年05月30日

【腐敗の極み】

国家を崩壊させたかもしれない3/11のフクイチ事故を経ても微動だにしない原子力ムラの象徴のような「不祥事」です。

『原発事故後の新たな原子力政策を論議する内閣府原子力委員会の専門部会「新大綱策定会議」が29日、東京都内であり、使用済み核燃料を再利用する核燃サイクル推進側による秘密会議問題について、複数の委員が第三者委員会による検証を求めた。議長の近藤駿介原子力委員長(69)は「痛切に反省している」と謝罪し、23回の秘密会議で使用した資料を順次公開する方針を示したが、検証については明言を避けた。策定会議は紛糾し、議事に入らず終了した。

【最初のスクープ】核燃サイクル原案 秘密会議で評価書き換え 再処理を有利

近藤委員長は会議後、記者団に策定会議の議長を務めている点について「見直しも検討課題」と交代の可能性に言及した。

この問題は核燃サイクルの見直しをしていた原子力委・小委員会の報告案原案が4月24日の「勉強会」と称する秘密会議に示され、再処理に有利になるよう求める事業者の意向に沿って結論部分の「総合評価」が書き換えられ、小委員会に提出されたというもの。小委員会は修正後の総合評価を踏襲し、前回(今月23日)の新大綱策定会議に報告した。

発覚後初めてとなるこの日の策定会議で、近藤委員長は謝罪したが、自身も4回参加していたのに「監督不行き届きだった」と話した。委員の金子勝・慶応大教授、伴英幸・原子力資料情報室共同代表、浅岡美恵・気候ネットワーク代表(弁護士)らは第三者機関による検証を求めたが近藤委員長は「積極的にするつもりはない」とあいまいな答えに終始した。

策定会議の委員のうち田中知・東京大教授は400万円▽山口彰・大阪大教授は約800万円▽山名元(はじむ)・京都大教授は615万円の寄付を原発関連の企業・団体から受けており、いずれも取材に受領の事実を認め「問題ない」との見解を示した。しかし金子氏はこの日の会議で「利益相反している。即刻辞任すべきだ」と求めた。また事務局を務める内閣府職員21人(無給の2人を含む)のうち9人が電力会社や原発関連メーカーなどからの出向者である点の早期解消も要求した。近藤委員長は「策定会議の委員構成を見直す。出向者については6月末までにお戻りいただく」と改善策を示した。

伴氏は秘密会議の▽開催日時▽参加者名▽配布資料▽議事録(なければ議事メモ)の公開を要求する意見書を提出し、検証期間中の会議中断も求めた。鈴木達治郎・原子力委員長代理は「議事録、出席者リストはない」と答えた。秘密会議は昨年11月~今年4月に開かれた。04年も10回以上開かれていたことも判明している。【核燃サイクル取材班】』(5月29日付毎日新聞)

【徹底追及が必要】

こんなデタラメを許して誰も責任を取らせなければ、間違いなく近藤委員長など原子力ムラの面々は、「しめしめ」と言わんばかりに日本のエネルギー政策を自分たちの思いのままに操り、原子力温存を政府の政策として認めさせることになるでしょう。何度も言いますが、国家の機能を崩壊させて日本が壊滅したかもしれない大事故を経てもこの有様です。いったい自分たちを何様と思っているのでしょうか。市民の命などなんとも思っていないし、国家の命運さえ自分たちの利益擁護のためには軽んじてしまうような輩に国の基本政策を決めさせていいのでしょうか?

ここは委員である伴さんや金子さんに踏ん張っていただいて、是非とも第三者委員会での秘密会の検証、そして秘密会の運営に関わった近藤委員長や経産省や内閣府の事務局員などを即刻首にすべきでしょう。こんなデタラメを絶対に許してはいけないと思います。

今回の不祥事の帰趨はまちがいなく、僕たち市民の明日の命にかかわってくることになると思います。
  



2012年05月29日

【原発推進の選択肢?】

5つの選択肢って、脱原発のための選択肢とは到底思えないのは僕だけでしょうか。

『国のエネルギー政策の見直しを議論する経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会は24日、新たなエネルギー政策における原発依存度の選択肢について0%、15%、20~25%、35%の4案とした。これに対して委員らから「35%案は脱原発依存の方針に反する」などと反発が上がっている。

現行のエネルギー基本計画では原発を基幹エネルギーと位置付けているが、昨年の東日本大震災にともなう東電原発事故を受け、政府は昨年10月に「脱原発依存」を掲げて委員会を発足した。ところが産業界出身の委員らは、東電原発事故の原因究明が終わらない内から「事故を通じて安全性が高まった」と唱えるなど、原発維持を繰り返し主張し続けた。

また、選択肢の設定をめぐっても「(事務局提案では)国民が選択すべき価値観や社会像、政策の方向性が分からない」とする委員8人の連名意見を十分に汲み取ったとは言えず、前提条件で結果が大きく変わる経済モデル試算に議論が大きく引きずられた感が否めない。

NGOらでつくる団体「eシフト」は同日、「20%以上の選択肢は原発の新設や更新を前提としている」として、原発0%を議論の柱とすることなどを求める声明を同委員会に提出した。』(525日付オルタナ編集部)

【姑息な原発温存策】

この夏に日本のエネルギー政策の方向性を決めるために、政府はこの総合資源エネルギー調査会基本問題委員会などいくつかの委員会で公開で議論を進めていると宣伝しています。しかし、その実態はと言えば、先日毎日新聞がスクープした核燃料サイクルに関する原子力ムラの「秘密会」のように裏でコソコソと姑息な手段を使って原発を温存するための「議論」を積み重ねてきているのです。経産官僚の「事務局」がすべておぜん立てしてそのシナリオ通りに各委員会の原発推進派委員が議論を進め、これまた原発推進派の委員長が原発反対派の委員の意見を「拝聴」するだけして最終的には無視しながら、原発温存のための政府のエネルギー政策を最終決定する。

そのために、原発依存度の選択肢に3/11以前より原発を増やすと言う35%案を無理やり入れ込んだのです。この案が入れば、単なる原発の自然減に過ぎない15%案が脱原発依存案として見栄えが良くなるとでも考えているのでしょう。そこには原発の事故がいったん起これば国家が壊滅するかもしれないという3/11後の危機感など微塵もありません。

こんなくだらない、姑息な手段を使ってでも原発温存を図ろうとする経産官僚事務局や「原子力ムラ」の在り方は、3/11以前と何も変わっていないことを暴露しています。一体、普通の市民である僕たちはどうすれば、この超危険な国家の在り方を変えることができるのでしょうか?
  



2012年05月28日

【腐敗の山】

この人間たちはいつまで国民をだまし続けるつもりなのでしょうか。

『核燃サイクル政策の見直しを進めてきた内閣府原子力委員会が推進側だけで「勉強会」と称する秘密会議を開いていた問題で、近藤駿介原子力委員長(69)が昨年12月8日の会合に出席していたことが、毎日新聞の入手した関係者のメモで分かった。秘密会議は20回以上開かれ、高速増殖炉の研究開発などを担当する文部科学省職員が出席していたことも新たに判明した。正式な議事録は作成せず、配布された資料の多くは事務局を務める内閣府原子力政策担当室職員が回収する取り決めだった。

 出席メンバー関係者が作成したメモによると、近藤委員長が出席した会合は昨年12月8日午後4~6時、内閣府会議室で開かれた。1月以降、使用済み核燃料を再利用する核燃サイクルのあり方を検討する原子力委・小委員会による政策の見直し作業が本格化するため原子力委で準備を進めていた時期だった。

 原子力委員会の出席者は近藤委員長のほか鈴木達治郎委員長代理、秋庭悦子委員。このほか▽文科省原子力課の課長補佐▽経済産業省・資源エネルギー庁の香山(かやま)弘文・原子力国際協力推進室長、苗村(なむら)公嗣・放射性廃棄物等対策室長▽青森県六ケ所村の再処理工場を経営する「日本原燃」の田中治邦常務▽高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する「日本原子力研究開発機構」や電力各社で作る電気事業連合会幹部らが出席。推進派ばかりで反対・慎重派はいなかった。

 関係者取材や毎日新聞記者が現場で確認した情報を総合すると、秘密会議は20回以上開催された。このうち4月24日は小委員会で論議する予定の報告案の原案が配布され、事業者らが自社に有利になるよう修正を求めたことが分かっている。配布資料は回収するルールで正式な議事録はないとされるが、一部参加者が議事内容や出席者名を記載したメモを作成し、限られた範囲に電子メールなどで伝えている。

 原子力委員は委員長を含め5人おり、原子力委員会設置法によると、委員長を含む3人がいれば会議を開き、議決することができる。近藤委員長はこれまで「忘年会とかは別だが(定例会議やその打ち合わせ以外では誤解を招かないよう)3人以上の委員が集まって原子力政策の議論をしないようにしている」(昨年12月27日の委員会)と透明性を強調してきた。しかし昨年12月8日の秘密会議には近藤委員長ら3人が参加した。近藤委員長は出席を認めたうえで「(自分が出たのはデータの提供や説明を求める)単なる勉強会だった」として問題はないとの見解を示した。【核燃サイクル取材班】』(5月25日付毎日新聞)

【すべて出直せ】

もともと近藤原子力委員長はフクイチの事故を起こした原子力推進側の最も責任のある人物のひとりであり、犯罪人として告発されるべき人間のひとりだと思っていましたが、このような人物の責任追及を徹底的にしないままで原子力政策を見直していること自体に無理があると言わざるを得ないでしょう。近藤委員長は少なくとも即刻委員長をやめさせるべきでしょう。もちろん、鈴木達治郎委員長代理、秋庭悦子委員など他の秘密会議参加者もすべてです。

こんな腐敗した原子力ムラの事実が出てくるたびに当事者たちは、「単なる勉強会だった」とか言い訳をするわけですが、過去において何度も国民の目をごまかすようなことばかりやっているので、原子力の事情に詳しい人ならばこんな言辞をまともに受け取る人はひとりもいないと思います。

正直言ってこんなやり方で原子力を推進していた人間たちが再びフクイチの事故などなかったように無反省のまま、原子力政策の見直しを進めれば間違いなく次の大事故も日本で起きるでしょう。事務局も含め関係者は全員即刻原子力政策に関わるような仕事から辞めさせるべきだと思うのは僕だけでしょうか?市民、国民を愚弄するのもいいかげんにしてもらいたいものです。

毎日新聞の今回の記事は大スクープだと思いますが、引き続き毎日新聞には執拗にこの「事件」を追及して彼らをとことん追い詰めるべきだと思います。原発推進新聞の読売新聞などにはこんなスクープをすることなどまったく考えていないでしょうから。  



2012年05月24日

【不思議な選択肢】

高速増殖原型炉「もんじゅ」の将来についての選択肢が4つ示されたそうです。

『日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の将来の研究開発の進め方について、文部科学省は23日の原子力委員会新大綱策定会議で、廃炉を含めた選択肢4案を示した。政府がもんじゅ廃炉案を本格検討するのは初めて。

 4案は、(1)運転開始後10年以内の実用化を目指して従来通り推進(2)当面3~5年運転し実用化が可能か判断(3)実用化を断念し国際的な増殖炉研究施設として活用(4)廃炉にして基礎研究のみ継続--としている。

 もんじゅは原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の要に位置づけられてきたが、原子力委の専門部会は16日、使用済み核燃料をすべて再利用する「全量再処理」▽すべて地中に埋める「全量直接処分」▽両者を併用--の3選択肢を提示した。文科省案では、全量直接処分を選ぶ場合は使用済み核燃料が得られないので高速増殖炉は(3)と(4)になる。全量再処理または併用を選ぶならば(1)と(2)が選択肢になる。【阿部周一】』(5月23日付毎日新聞)


【廃炉は必然】

過去にこのブログでも何回か取り上げましたが、「もんじゅ」が目指す高速増殖炉というのは、核兵器保有国が核兵器用のプルトニウム製造炉としてスタートした、原爆製造用原子炉で、これに成功すれば、核分裂しないウラン238を使って、原子力発電でも燃料を100倍以上使え、ウランが40年で枯渇しても「夢の原子炉」として4000年以上も資源を使えるとかつては謳われました。
しかし、現実には、その破格の危険性ゆえに1984年にはアメリカが研究から撤退、イギリス、ドイツ、フランス、ロシアもすべて、重大事故を続発してすでに開発・実用化を断念している代物なのです。

そんな危険を顧みず、日本だけが開発を継続、1995年に発電開始して3カ月も経たずしてナトリウム漏れ事故でストップ、その後も動いていないのです。さらに恐ろしいことにあるだけでも危険な炉なのにその立地地点の真下には白木・丹生断層が走り、その周辺にも活断層が走っているというのです。

こんな超危険な代物を安全に運転するなんて原子力の専門家でも信じていないというのに、今回の文部省の「もんじゅ」の将来像の選択肢といえば、推進継続、数年稼働、研究用として活用、廃炉にしても基礎研究継続だそうです。僕はただの素人の市民ですが、専門家でなくても「もんじゅ」の危険性に目をつぶって何としてでも延命を図ろうとする意図ばかりがちらつく選択肢では到底信じられないというのが正直なところです。もういいかげん問題の先送りをしている場合じゃないということがまだわからないのでしょうか。

しっかりと一言漏らさず公開の上で議論して、ちゃんと勇気を持って「完全に廃炉」という結論を出すことが市民の命を守る専門家の役割だと思うのは僕だけでしょうか。誰におもねっているのか疑ってしまいます。
  



2012年05月18日

【海江田氏の認識】

あのとき、東電が全面撤退を政府に申し出たのは間違いありません。

『国会の東京電力福島第1原発事故調査委員会(国会事故調、黒川清委員長)は17日、国会議員として初めて事故当時の経済産業相だった海江田万里衆院議員を参考人招致し、質疑を行った。東電が原発からの全面撤退を政府に打診したとされる問題について、海江田氏は「全員が(撤退する)と認識した」と語った。国会事故調は今後、菅直人前首相や当時の官房長官だった枝野幸男経産相からも聴取を進め、6月中に報告書をまとめる。

【写真特集】すべてはここから 津波に襲われる福島第1原発

 海江田氏は、東電の清水正孝社長から「(福島)第1発電所から(福島)第2発電所に退避」との趣旨の電話があったと説明した。

 14日に国会事故調の招致に応じた東電の勝俣恒久会長は「まったく事実ではない」と全面否定したが、海江田氏は「一時的避難なら第1原発の吉田昌郎所長でも判断できる。わざわざ私にまで電話をかけてくるのは重い決断だと思った」と述べた。

 政府の原子力緊急事態宣言の発令が、昨年3月11日の午後7時3分にずれこんだ理由については「原子力災害対策本部設置の根拠がどこにあるか、というやり取りをしているうちに(野党7党との)党首会談に(菅氏が)入って時間が経過した。首相の理解を得るのに時間がかかった」と説明した。

 また、同15日早朝に東電本店を訪れた菅氏が、「撤退はあり得ない」と激しい口調で東電の対応を批判した点について、海江田氏は「もう少し、別な表現はあるだろう、とは思いました」と振り返った。【岡崎大輔】』(5月17日付毎日新聞)


【今度は国民が見捨てる番】

国家も国民も見捨てて自らの保身を図ろうとした東電幹部の罪はどんなに当事者本人が否定しても消し去ることはできないでしょう。事故当時内閣官房長官だった枝野氏も先日テレビの報道番組の中で、「あれは全面撤退の申し出だった。一部撤退ならわざわざ内閣官房の私に直接トップが電話してくる話ではない。」と海江田氏と同じような証言をしていました。

腐りきっていた当時の勝俣会長や清水社長にとっては自分たちだけが生き残ればいいと思っていたとしても何ら不思議ではありません。自ら起こした事故によって日本が壊滅するかもしれないという危機感も、その最悪の原発事故から市民をそして首都を守るという気概も吹っ飛んでただ「逃げる」ことだけを考えていたのです。

そして東電は国民から見捨てられようとしています。何度でも言いますが、未だに目先の再稼働ばかりを優先して、フクイチを招いた原子力翼賛体制を支える経産省などの官僚組織や政治家、御用学者、原子力産業、読売新聞などの大手メディアといった原子力ムラという社会的枠組みの抜本的な見直しには手もつけず、小手先の技術論や安全対策でお茶を濁そうとする民主党・政府はそれら原子力ムラもろとも国民から見捨てられる時が必ずやってくると思います。

しかし、僕たち市民はそれを黙って待っているわけにはいかない。なぜなら、今の原子力翼賛体制が変わらない限り、いづれ次のさらなる重大原発事故によって日本が壊滅的打撃を受けるのは必定だと思うからです。どんなに小さな声でもいい。ひとりひとりが声をあげていきましょう。未来にこどもたちをそして日本を残すために。  



2012年05月17日

【議論の行く末は】

本当にどこまで真剣な議論が行われているのでしょうか?

『原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」のあり方を検討する内閣府原子力委員会の小委員会(鈴木達治郎座長、委員6人)は16日、処理方法ごとに経済性や克服すべき課題などを総合評価した結果をまとめた。各委員の意見では、従来の国の方針だった使用済み核燃料をすべて再利用する「全量再処理」を積極的に支持する委員はおらず、再処理と直接処分(地中埋設)の併用を支持する意見が多数となった。政府のエネルギー・環境会議が夏にもまとめるエネルギー中長期戦略に影響を与えそうだ。

 小委は、使用済み核燃料を▽全量再処理▽全量直接処分▽両方の併用--の三つの政策選択肢について評価した。小委として意見の一本化はしないが、16日までの議論で示された委員の意見では、全量直接処分を支持する委員は1人で、併用支持が最多の4人。残る1人は、将来の原発比率や青森県六ケ所村の日本原燃再処理工場の稼働状況を見極めるまで政策決定を先送りする「留保」を支持した。

 委員の支持を集めた「併用」は、六ケ所再処理工場を完成させた後に使用済み核燃料を再処理しつつ、同工場の処理能力を超える分は直接処分も可能とする政策。将来の原発依存度や再処理工場の新増設、高速増殖炉の実現見通しなど不確定要素が多い中、「政策の柔軟性がある」と評価された。

 これに対し、全量直接処分は総事業費が10兆9000億~11兆6000億円と他の方法より約3兆円安く、将来の原発依存度にかかわらず最も安上がりとなった。一方で、再処理を前提に使用済み核燃料を受け入れてきた青森県の反発や埋め立て地の選定が難航するリスクがあり「使用済み燃料が行き場を失う」と指摘された。コストが最も割高とされた全量再処理は経済的には不利だが、ウラン資源節約などの利点があるとされた。

 評価結果は月内に政府のエネルギー・環境会議に送られ、エネルギー中長期戦略に反映される。【阿部周一】』(5月16日付毎日新聞)

【先送りは最悪の選択】

ハッキリ言ってフクイチという日本を破局に陥れた可能性のある史上最悪の核惨事を経て、このままでは日本は本当に崩壊するという危機意識を持って将来のエネルギー戦略を議論すべきなのに、詳しい議論の中身まではわからないものの、報道されている記事で判断すると再処理と直接処分を併用する案が専門家の支持を集めたり、政策そのものを「先送り」しようという選択肢も出されたりとこの期に及んでも核燃料サイクルの延命を意図しているような気がしてなりません。

原子力小委員会のメンバーのひとりで、原発反対派の原子力資料情報室の伴英幸代表は、大量にたまっているプルトニウムの消費見通しが立たない中では再処理工場を即刻止めるべきだと主張されているそうですが、本気で政策の見直しをしようとすれば当然の意見だと思います。

結局、原子力を推進する立場の有識者と呼ばれる人たちは、現行の政策を大きく変更すれば青森県六ケ所村を抱える青森県や原発立地自治体、電力業界の反対を招くのが怖くて腰が引けている政府におもねっているとしか考えられません。こんなことで、日本のエネルギーの本当の変革が出来るのでしょうか。政府の言う「革新的エネルギー・環境戦略」の取りまとめは今年の夏だそうですが、小手先の政策変更でお茶を濁すならば将来に大きな禍根を残すことになるのは間違いないでしょう。

またしても日本の政府や官僚のお家芸である問題の「先送り」がだんだん明らかになってきています。原子力ムラにおもねり、国民の安全をおざなりにする有識者たちなど不要です。  



2012年05月11日

【議案隠し続編】

昨日お伝えした「新大綱策定会議」の議案隠ぺい疑惑の続編です。

『長期的な原子力政策を論議する「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)の議案が原発再稼働の妨げになるとして隠蔽(いんぺい)された問題で、会議の事務局を務める内閣府幹部が毎日新聞の取材に「(内容を)相談するため事前に外部に提示した」と認めた。提示先は電力各社で作る電気事業連合会など推進派に限られ、一部だけの意見を反映させ議案の修正を図っている実態が明らかになった。
策定会議の委員は反発しており、伴英幸・原子力資料情報室共同代表は9日の策定会議で事務局19人全員の解任を要求する方針だ。  内閣府原子力政策担当室の中村雅人参事官によると、議案書「原子力利用の取り組みと国民・地域社会との共生に向けて」を4月19日夕、電事連、経済産業省・資源エネルギー庁側に提示した。「見てもらってブラッシュアップする(磨き上げる)ためだった」と意向次第で書き直す方針だったことを認めた。慎重派には提示しておらず偏った議事運営が裏付けられた。
中村参事官は同24日の議案から外した理由を「出来が悪かったため」と強調した。しかし関係者によると、エネ庁側が「『地域』を今取り上げると、どの範囲を地域と呼ぶかが問題になり関西圏首長に理解を求める活動に影響する」と議案から外すよう要求したことが判明している。 細野豪志原発事故担当相は8日の閣議後の記者会見で「いろんな当事者から話を聞かないと議論できない」と述べ、議案書を外部に示した内閣府の対応を擁護した。
伴氏は「委員に配られていない議案が事業者や経産省に渡っているとは何ごとか。策定会議は出直すべきだ」と猛反発。9日の会議に「事務局をすべて解任し、新たに策定会議の委員の中から選任して議事運営に当たるべきだ」とする意見書を提出する。委員の金子勝・慶応大教授も「電事連やエネ庁の望む通りに議論を進め近藤氏も少なくとも黙認している。信頼性を傷つける『事件』だ」と憤り近藤氏に説明を求める方針だ。【清水憲司、太田誠一、高島博之】』(5月9日付毎日新聞)

【ヘドが出る推進派のやり口】

本当にこれが民主主義国家の進める民主的な会議運営なのでしょうか。この会議の様子を映像で見ると、より一層推進派と言われる人たちの発言の出鱈目ぶりに驚かされます。こんな独りよがりの審議をやって、経産官僚の事務局の筋書き通りに原子力政策を進めてきた結果が「安全神話の崩壊」であり、フクイチの事故だったということを反省すらしようとせず、国民のほとぼりがいづれ冷めれば原発の寿命を40年でも60年でも100年でも延長して原発を維持しようという魂胆なのです。

こんな腐った連中がこれ以上原発推進を続けていけば、国民の命をもてあそぶだけでなく、国家そのものの破滅まで一直線に突き進んでいくのは間違いないでしょう。経産官僚と原発関連企業群と御用学者たちが結託して3/11以前とまったく変わらない手口で進める原発推進体制の復活。

反対派の委員である伴英幸・原子力資料情報室共同代表が怒るのももっともであり、これ以上、国民を愚弄する前に委員長も事務局もすべて退場させるべきだと思います。  



2012年05月10日

【知らしむべからず】

相変わらずの原子力推進側の隠ぺい工作です。

『関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)再稼働の妨げになるとして、内閣府原子力委員会が4月、有識者によって長期的な原子力政策を決める原子力委の「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)の議案の一つから「(原子力と)地域社会との共生」を外していたことが、毎日新聞の入手した議案書で分かった。

経済産業省・資源エネルギー庁や電気事業者側に極秘で事前に議案を示したところ「『地域とはどこか』と論争が起こるのでやめてほしい」と依頼され隠蔽(いんぺい)したという。原発推進派に有利に働くよう、議案を恣意(しい)的に調整している疑惑が浮上した。

【原子力委員会】議案選定、際立つ不透明…委員長は隠蔽を否定  再稼働を巡っては政府が「地元の理解が必要」とする一方、どの範囲が地元かを明確にせず批判を浴びており、問題の議案を取り上げると動きに拍車がかかる可能性がある。近藤氏の了承を受け隠蔽した疑いが強く、原発事故後「ゼロからの出発で議論する」と公平な議事運営を強調してきた近藤氏の姿勢に重大な疑問が浮かんだ。

問題の議案書は「原子力利用の取り組みと国民・地域社会との共生に向けて」。A4判6ページで「立地地域(と)意思疎通を図り、周辺のニーズを踏まえて、必要があれば事業方針等の見直しを行う」「地域社会と議論し、認識を共有する」などと記載。策定会議事務局役の内閣府原子力政策担当室職員が4月24日の策定会議のために用意したものだが、地域がどの範囲を指すのか明記されていない。

 内閣府職員は4月中旬、議案をエネ庁や電気事業者側に示した。すると、策定会議委員の伴英幸・原子力資料情報室共同代表や金子勝・慶応大教授の名前を挙げ「両委員から『周辺には(再稼働に慎重な)滋賀県は含むのか』と追及される」「関西圏首長に理解を求めるハイレベルな活動に影響する」などとして議案から外すよう強く要請があった。内閣府職員は「委員長(近藤氏)に話して決める」と応じたという。
 策定会議前日の4月23日と翌24日には、政府高官が滋賀県の嘉田由紀子知事、京都府の山田啓二知事、大阪市の橋下徹市長らと会談した。近藤委員長は毎日新聞の取材に「事務局(内閣府職員)から『(取り上げると)地域の範囲について議論になる』と聞いた」と認めたうえで「それでやめたわけではなく、他の議題を優先しただけ」と答えた。【小林直、太田誠一、田中龍士】

 ◇新大綱策定会議  原子力政策の基本方針として5年をめどに見直される原子力政策大綱の改定作業を担う有識者会議。立地自治体や財界関係者、研究者、市民団体メンバーら27人で構成され、議論は公開で行われる。10年12月に発足し、東京電力福島第1原発の事故で中断したが、11年9月に委員を一部入れ替え再開した。今夏にも関係閣僚らでつくるエネルギー・環境会議が革新的エネルギー・環境戦略をまとめる方針で、策定会議の議論や新大綱がそこに反映される。』(5月8日付毎日新聞)


【原子力推進のドン】

内閣府原子力委員会の近藤駿介原子力委員長とは、知る人ぞ知る原子力推進派の筆頭御用学者とも言える人物で、今回もその本領をいかんなく発揮し、自分たちの都合の悪い議題など闇から闇へ葬ろうとしているようです。

そもそも以前にもブログで書きましたように、フクイチ事故の最も重要な教訓のひとつは、その放射能汚染の広がりの深刻さから考えて原発の地元とは交付金を受け取る原発立地の市町村だけではありえず、周辺自治体、そして日本全国だということが明確になったということです。

それを認めてしまうと、もう永久に再稼働など出来なくなると恐れて原子力委員会の「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)の議案の一つから「(原子力と)地域社会との共生」を外したということは誰の目にも明らかです。毎日新聞はどこかの読売と違ってよくやっていると思いますが、これでよしとせずにもっとしっかりと執拗にこういう重大な疑惑を取り上げてほしいものです。

フクイチのような重大事故が起きることがはっきりした以上、直接の利益を享受している立地自治体は別にしても、その他の周辺自治体などの地域社会と原発が共生することは僕はあり得ないとは思いますが、それを深く認識するためにもこのような議題でしっかり議論するのが国の役目ではないでしょうか。反省なくして地域と原発の共生なんか絶対にあり得ないし、その前に議論のテーマを隠ぺいするなんて言語道断でしょう。国民の命をもてあそび、愚弄しています。即刻、近藤氏と隠ぺい工作を主導した経産省の事務方は全員退場してもらいたいですね。  



2012年05月07日

【全原発停止】

ついに5月5日をもって日本の全原発が停止しました。

『全国の原発で唯一稼働している北海道電力の泊原発3号機(北海道泊村、91.2万キロワット)が5日深夜、定期検査のため発電を停止する。これにより、国内の原発50基は全て運転停止状態となり、原発の発電量は1970年以来42年ぶりにゼロとなる。原発が基幹電源となってから初の異例の事態で、政府が目指す再稼働が実現しない場合、電力の供給不安を抱えたまま需要が増大する夏を迎える。
 原発による発電電力量は、ピークの98年度には全体の36.8%を占め、その後も3割前後で推移してきた。しかし、東京電力福島第1原発事故が発生した昨年3月11日以降、国内の原発は定期検査で次々と運転を停止し、再稼働のめどは立っていない。最後の稼働原発となった泊3号機も、5日午後5時ごろから出力を下げ始める。同11時ごろには発電を停止する。』(5月5日付時事通信)


【すべてを出直せ】

昨年3月11日のフクイチ事故以降の原発を巡る動きを見ていると、政府や電力会社、原子力産業、御用学者、大手メディアといったいわゆる「原子力ムラ」の人々は、関東全域3千万人が避難するような事態も現実に起こりえた過去最悪の原発事故を経験しても、まったく反省もなくただひたすらに原発の延命を図っているように見えます。

そういった動きを危機感を持って阻止しようとしているのは、僕ら多くの市民たちの原子力ムラに対する不信と疑念、それを追及する「声」です。圧倒的な原子力ムラの権力に立ち向かっていけるのは、事故が起これば真っ先に危険にさらされる僕ら市民の声しかないのです。

この夏を目指して大飯原発を再稼働させようという政府の目論みは今一時的にとん挫しています。しかし、彼らはフクイチを何の教訓ともとらえておらず、原子力維持体制の温存のみしか関心がないことは経産省総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の原子力推進派の委員の議論を聞いているとわかります。日本という国家の存亡は原子力抜きではありえないと考える彼らにとって原発が次の破滅的な事故を起こして日本が壊滅するリスクなんて統計学的な確率が限りなくゼロに近いとしてまたしても無視しようとしているのです。

僕たち市民は決して気を緩めてはいけません。彼らの狂気を止めるまでしっかりと監視し、一刻も早い全原発の廃炉を目指して「声」を上げ続けましょう。  



2012年04月26日

【26年前の大惨事】

みなさんは26年前の今日、世界全体を恐怖のどん底に陥れた出来ごとをご存じだろうか。

それはチェルノブイリの原発事故だ。

1986年4月26日午前1時24分、旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発4号炉で原子炉停止実験が失敗、原子炉の暴走が始まり、数度の爆発で瞬く間に大量の放射能が全世界に撒き散らされた。 (写真は26年前、事故を起こした4号炉)

事故直後から数週間の間に起こったことは、事故そのものの悲惨さを上回るような出来事だった。旧ソ連政府による事故隠し。何も知らされないで捨て置かれた何十万人もの避難民の被爆。(あの当時、日本の原子力専門家は旧ソ連政府の事故隠しや情報公開の遅れをあざ笑っていた。)

その後も旧ソ連政府だけでなく、IAEA(国際原子力機関)を始めとする国際機関や各国政府の事故隠し。長崎・広島を経験した日本さえもその一団に加わった。事故後26年を経た今、事故そのものの記憶の風化が進んでいるが、これらの機関や政府のチェルノブイリの真実を出来るだけ小さく見せたいという意図は本質的には変わっていないように思う。(フクイチ後はあらゆる点で日本が最もひどいことが世界に知れ渡った)

そして昨年3月11日に東日本を襲った大地震と大津波の後、原発大国ニッポンは福島第一原発でチェルノブイリに匹敵する核惨事を引き起こした。世界中が事故の状況を心配する中、僕らだけでなく世界中の人たちが東電、経産省原子力安全・保安院、政府官邸などから発信される情報に不信感と疑念を募らせていった。その後昨年末には、政府が「冷温停止状態」に至ったとして事故の収束宣言を出したにもかかわらず、放射能は漏れ続けフクイチの廃炉には何年かかるかわからない状況が続く中、国民の政府や原子力ムラに対する不信感は膨らむ一方だ。

【恐怖の「見えない雲」】

しかし、福島第一原発の核惨事の本当の恐怖はこれから始まる。それはとりもなおさず空気、土、水、さらに加えて海の放射能汚染だ。事故当初は対外被ばくが恐怖の中心だったが、これからは食物を通じて起きる体内被曝が5年~10年後に子供たちを中心に顕在化してくるのだ。チェルノブイリはその原発事故による大規模な放射能汚染の貴重な教訓だったのだ。

僕自身は史上最悪と言われたチェルノブイリ原発事故当時のことは今でも鮮明に覚えている。事故発生後数日経ってから北欧や欧州各地で基準値を大幅に上回る放射性物質が大気中から検出され、世界中が大騒ぎとなり、特に欧州では「見えない雲」、すなわち目には見えないが恐ろしい放射能を含んだ雲の飛来に数週間、数か月にわたって人々は怯え続けたのだ。(それらの放射性物質が日本にまで飛来していたころ、5月のゴールデンウィークの最中に東京の皇居周辺ではあの亡くなったダイアナ妃の歓迎パレードが行われていた)

そしてそれは杞憂ではなかったし、実際にチェルノブイリ周辺数百キロの地域で大規模な放射能汚染が発生、甲状腺ガンなどによる事故の直接・間接的被害による死者は数十万人から数百万人にのぼったと言われている。福島第一原発の放射能汚染の規模はチェルノブイリの10分の1と報道されているが、福島がチェルノブイリと同じ道を辿るのは間違いない。

【生かせなかった教訓】

チェルノブイリは本当に恐ろしい体験だった。チェルノブイリから数千キロも離れた日本でもそう感じたのだから、全市民が避難したキエフやヨーロッパの人々の恐怖は並大抵のものではなかったはずだ。

あれから26年。その記憶は人々の脳裏から消えていた。そして起こった福島第一原発の核惨事。教訓は生かされなかった。

あのチェルノブイリのときに味わった恐怖を原発の専門家たちだけでなく、市民である僕たちも決して忘れてはならないと3/11前まで思っていた。そして忘れたころに災難はやってきた。もう福島周辺の土地は何十年にもわたって「放射線管理区域」として容易に人が住めない地区となった。

チェルノブイリよりもまだ恐ろしいのは、未だに放射能は大気中、土壌、海に汚染を広げており、いつ止められるのかわからないこと、そしてもしも福島で次の大地震が起これば四号機に残された千本以上の核燃料棒の入ったプールが建屋ごと崩壊し、フクイチの何倍、何十倍という大量の放射能放出の可能性が残っているということだ。しかも、福島だけでなく、地震の多発する日本列島には54基もの原発、3千トンもの使用済核燃料を貯蔵したままの六ケ所村再処理工場があるということだ。日本という国、そしてそこに住む僕たちは生き残れるのだろうか。

(注)上記写真はチェルノブイリではありません。今年満開になった福島の桜の森公園と放射能防護服を着た人たちです。なんと哀しいコントラストでしょうか。

チェルノブイリから26年経った今、チェルノブイリを超えたフクイチを作りだした僕たち日本人はこの恐るべき現実にこれから何世代にもわたって向き合っていかなければならないことを片時も忘れてはいけない。


≪参考記事≫

1.「チェルノブイリの真実」―2006年4月16日の僕のブログ記事

2.「ゴルバチョフ氏の回想」―2006年3月9日の僕のブログ記事
  



2012年04月18日

【共同提言】

大飯原発の再稼働問題で、周辺自治体である京都府と滋賀県が共同提言を発表しました。

『ひとたび原発事故が起きれば、立地地域と変わらない影響を受ける「被害地元」だ-。関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題で、京都府と滋賀県が17日に打ち出した原発政策をめぐる7項目の共同提言は、原発周辺自治体の立場を強調する内容となった。一方の政府は「地元」の範囲も明確に示しておらず、再稼働に慎重な両府県の提言に国がどう対応するかが今後の焦点になる。

 「原発事故で被害を受ける可能性がある自治体の責任として、安全の担保を真剣に考えた」

 京都市内で会見した滋賀県の嘉田由紀子知事はこう述べた。共同提言は京都府の山田啓二知事と12日に大飯原発を視察した際、安全性に疑問を感じたのがきっかけだったという。

 原案を作成した嘉田知事がこだわったのが「被害地元」というキーワード。立地自治体だけでなく滋賀、京都も原発の「地元」であると強調することで、政府に真剣な対応を迫った。

 山田知事は大飯原発が立地する福井県に対し、「急に京都府と滋賀県が議論に割り込んだとの印象を持っているかもしれないが、被害地元として理解をいただきたい」と説明。政府には「説明責任を果たしていないのに、いつ同意をとるかの手続き論ばかりが先行している」と厳しく批判した。

 大阪府も16日、原発再稼働の8条件について表現を緩和した「提言」とし、大阪市と調整して政府に提出する方針を決めたが、嘉田知事は「大阪府市は政治的メッセージが強い。こちらは『被害地元』として政策提言している」と立場の違いを強調した。

 一方、藤村修官房長官は17日午前の記者会見で、共同提言をまとめたことについて「真摯に受け止め、必要に応じて(政府の立場を)説明する」と述べた。』(4月17日付産経新聞)


【今後の試金石】

原発の「地元」とはどこまでの範囲を言うのかを明確にせず、立地自治体の同意が得られれば、周辺自治体には「説明」だけすればいいとする政府のやり方は、地方を自分たちの都合のいいように分断して原発の再稼働への道筋をつけやすくする過去と変わらぬ小賢しい手口です。そんな政府のあくどい手口に騙されず、自らを「被害地元」として政府に原発政策を巡って7つの政策提言を共同提案した京都府と滋賀県には是非頑張ってもらいたいと思います。この府県が政府を動かせるかどうかに、日本の今後の命運がかかっているといっても過言ではないでしょう。京都・滋賀が「被害地元」と政府が認めればこの狭い日本の各地に点在する原発の周辺はすべて被害地元となります。もちろん玄海原発の周辺である福岡県も「被害地元」です。

京都府と滋賀県だけではなく、昨年の3月11日以降、日本の大多数の国民はすでに「地元」とはどこかについて直観的に肌で感じています。時代は3/11の前と後でまるっきり変わったのです。もうフランスがどうだとか、中国がどうだとかではない、福島において原発のシビア事故を経験したニッポンの国民にとっては「地元」がどこかなど議論の余地がないことなのです。そんなことを話題にするのは、原発から得られる利益を享受したい人たちだけです。どんなに原発推進をしてきた人たちが抵抗しても、その肌感覚は覆すことができないでしょう。

すなわち、「地元」あるいは「被害地元」とは日本全体です。原発の再稼働だけでなく、原発の存続の是非を決めるのは原発の周囲5キロとか10キロの何とか町や、その市町村がある県にとどまるわけがない。フクイチの核惨事がそれを証明したのです。しかもフクイチの事故は今まで起こった事故の中で最悪だったということに過ぎず、これから先、フクイチ以上の事故が起こって、何万人いや何十万人もの人々が急性放射線障害で死に至り、半径数百キロの範囲の市や町がどんな生物も住めない場所になる可能性は十分にあるのです。

百歩譲ってそんな原発の「地元」の範囲を現実的なところまで狭めるとしても数百キロになるでしょう。フクイチの核惨事とはそういうことだったということを原子力ムラの人間たちは認めるべきでしょう。それほどの大事故が日本で起こったということを。今までの「地元」と言われていた市町村、そして電力会社、原子力安全・保安院はそのことを正直に認めるべきです。もうあなたたちの都合のいいようには事は進まないのです。(今日の読売の社説を見ると、原発の再稼働問題について「冷静で現実的な議論が必要だ」と見出しをつけていますが、地元自治体の「反乱」を見て冷静でいられないのは原発推進に固執する読売新聞を含む彼らのほうではないでしょうか?)  



2012年04月16日

【結論出ず】
一回くらいの訪問では結論は出せないでしょう。

『定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題で、枝野幸男経済産業相は14日、福井県庁を訪問し、西川一誠知事や時岡忍町長らに再稼働を要請した。枝野氏は政府が再稼働妥当と判断した経緯を説明したのに対し、西川知事や時岡町長は現時点での判断を保留した上で、「電力消費地の理解に責任を持って対応してもらう必要がある」と述べ、大阪市など関西圏の理解が必要との認識を示した。大阪市や滋賀県などは政府の再稼働に向けた性急な動きに反発を強めており、国は重い課題を突きつけられた格好だ。

【県庁前にはデモが】枝野経産相が福井入り

 枝野氏は知事、町長、田中敏幸県議会議長らと相次いで会談した。大飯原発の現行の安全対策や関電が9日提出した中長期の安全対策の実施計画(工程表)が、政府の策定した判断基準に沿っていると最終確認したことを報告。また、関電の全原発が停止し続けた場合、夏場の電力供給不足の割合が最大18・4%になるとの試算を示した上で「(原発を)引き続き重要な電源として活用する」と強調、再稼働の必要性を訴えた。枝野氏は、国が町民説明会を開催する方針も示した。

 これに対し、西川知事は「地元の努力がエネルギーの消費地に理解されておらず、それでは運転再開に県民の理解が得られない。原発の重要性をぶれることなく国民に説明してほしい」と主張。週明け以降に専門家を交えた原子力安全専門委員会を開き、技術的な安全性を議論した上で、町や県議会の判断を踏まえて再稼働の是非を判断する考えを示した。一方、時岡町長は「国の熱意は感じた」と一定の評価をした一方、原子力規制庁の早期設置などを要望した。

 会談終了後、枝野氏は記者団に対し、「まずは万が一の時に圧倒的に影響が大きい自治体に説明した。週明けに(京都府と滋賀県に)連絡して相談したい」と述べ、両府県にも政府から説明する方針を明らかにした。

 政府は今後、地元の一定の理解が得られたと判断すれば、野田佳彦首相と枝野氏ら関係3閣僚による会合を開き、再稼働を最終決定する。実現すれば、昨年3月の東日本大震災後に原発が再稼働するのは初めてとなる。北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)は5月5日に定期検査に入るため、大飯原発の再稼働がこれより遅れれば、国内の全原発54基が停止する。【小倉祥徳】』


【無為無策のツケ】

政府は、「地元の一定の理解が得られたと判断すれば」、再稼働を最終決定するとしていますが、「地元」と「一定の理解」を自分たちの都合のいい解釈で逃げることは許されないと思います。おそらく今までと同じように同意を求める「地元」とは立地自治体と限定し周辺の自治体は説明にとどめ、「一定の理解」とは何回かのやらせ的な地元説明会を行うことで得られたとして、最後には「政治判断」で強権発動をする魂胆でしょう。しかし、この原発問題が他の政治課題と決定的に違うのはそうすることによってフクイチのような事故が再び起これば日本が本当に消滅するかもしれないリスクを抱え込む国家の存立に関わる問題だということです。

再稼働を巡る混乱は、3/11以前の原子力ムラによる原子力翼賛体制で安全神話を醸成し国民を騙して原発を作り続けてきた上に、3/11以後もなんら抜本的な体制の見直しを行わずに無為無策のままに1年間をやり過ごしてきたツケが回ってきたことを意味しています。

これで見切り発車することは、許されないことです。政府は原発問題を性急に進めることは国家の破滅を意味するという危機意識を持って原子力ムラの解体、原発翼賛体制の抜本的な見直しを国民にすべての情報を開示しながら推し進めることしかないと腹をくくるべきだと思います。

夏の短期間の電力ピーク時の対策のために国家の破滅を招くような愚は避けるべきです。電力会社がすべての情報を開示し、国をあげてその短時間のピーク電力の対策を打てば解決できないことはない。その間に抜本的な改革を行うことでしか、多くの国民の納得は得られないことを肝に銘じるべきです。
  



2012年04月10日

【アリバイ作り】

大飯原発の再稼働に向けて野田内閣はこれだけ慎重にやってますというポーズ作りだけに腐心しているように見えます。

『野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は6日夕、原発再稼働の関係閣僚会合を首相官邸で開き、運転再開を判断する新たな安全基準を決定した。政府は関西電力に対し、大飯原発(福井県おおい町)3、4号機について、新基準を踏まえた安全対策の実施計画を示す工程表の提出を要請。週明け以降の会合で、工程表の内容を確認した上で安全性を検証、電力の需給状況も考慮し、大飯原発の再稼働を判断する見通し。
 経産省原子力安全・保安院と原子力安全委員会は3月下旬までに、大飯3、4号機の再稼働に関するストレステスト(耐性評価)の1次評価結果を「妥当」と判断している。経産相らは新基準を踏まえ、全電源喪失の防止策に加え、東京電力福島第1原発事故並みの地震・津波でも燃料損傷に至らない対策を施しているか保安院に厳しく確認するよう指示した。』(4月6日付時事通信)


【中身のない新基準】

NHKのニュースウォッチ9でもやっていましたが、政府が発表した新基準というのは再稼働するためのアリバイ作りのような内容に終始しています。すでに実施済みの安全対策を言い換えただけの代物で、さも閣僚が真剣に討議しているようなポーズを何度も会議を開くことで取ろうとしているようにしか見えません。こんなことで原発立地の地元や国民全体の理解を得られるはずはありません。おそらく理解を得るつもりはなく、再稼働を強行しようとしているのでしょう。許せない暴挙だと思います。

では、再稼働すべきでない理由とは何か?それは今までの政府の安全に向けた取り組みというのは、次の大事故を起こさないためのフクイチの事故の教訓が生かされていないからです。そのフクイチの事故の教訓は以下の通りです。

1.原子炉には、放射能漏れを防ぐ壁がない。
2.メルトダウン事故に突入するスピードはきわめて速い。
3.日本の原子力専門家には大事故を防ぐ計算能力がない。
4.小さな地震の揺れでも配管が破損する。
5.日本では地震の活動期が数十年続く、世界的にも大地震が予想される。
6.津波の威力・破壊力は人知を超える。
7.原発事故には対策は存在しない。
8.フクイチの事故は収束できる見込みがない。
9.原子力安全・保安院はメーカーOBの欠陥集団である。
10.電力会社と自治体と国政は腐敗連合を形成してきた。
11.フクイチ事故の現場からは、とてつもない量の放射能が放出された。
12.フクイチ以外の原発も危機一発のところギリギリで助かった。


上記11の教訓は広瀬隆氏がその最近著書「第二のフクシマ、日本滅亡」(朝日新聞出版、P.101~143)で明らかにしているものです。
これに加えて、もし再びフクイチのような原発事故が起こったら再びその莫大な補償を巡って電力会社と政府が責任のなすりあいを行うことも目に見えており、事故の責任の所在もあいまいのままです。政府は、「再稼働後、福島第1原発のような重大事故が仮に起きた場合の責任には「政治責任は(首相ら)4人が負う」と言っているとのことですが、今まで責任を回避してきて、抜本的な対策も打てず、それでも再稼働すれば今度は出来ますなんて誰も信用していません。

今の原子力安全・保安院に安全を語る能力も資格もありません。再稼働を急ぐ前に抜本的に改革すべきことは山ほどあります。第二のフクイチを起こして国家が破滅に陥るようなことにならないためには、夏の電力ピークの問題や電力会社の一時的な赤字など国民の納得が得られない原発の再稼働に頼らずに乗り切るべきでしょう。それが政治の本物の責任です。
  



2012年04月03日

【「地元」の範囲】

原発の再稼働に対する同意を求める「地元」とはどこまでを指すのかが問題になっています。

『関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に関連して、政府が了解を求めるべき「地元」の範囲が大きな焦点になっていた。枝野幸男経済産業相は2日、京都、滋賀両府県知事の理解が前提との認識を表明。これに対し全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)会長の河瀬一治敦賀市長は「立地自治体が『地元』」と範囲拡大の動きをけん制した。了解の必要な範囲を隣府県に広げれば、再稼働に時間がかかるのは必至で、立地市町には戸惑い、反発の声がある。(原発取材班)

 再稼働をめぐっては、野田佳彦首相と関係3閣僚が3日に協議。その後、地元の理解を求める段階に入る。ただ、政府のいう「地元」の範囲は明確ではない。

 原発の防災対策の重点地域を国の方針より広い43キロまで設定する滋賀県の嘉田由紀子知事、大飯原発の半径30キロ圏内に約6万7千人が暮らす京都府の山田啓二知事は、いずれも「地元」に当たるとの立場。29日には安全性が確認できない状況での再稼働に慎重、反対の考えを示した。

 また、大阪府と大阪市でつくる府市統合本部エネルギー戦略会議は、原発から100キロ圏内の自治体と安全協定を締結するよう関電に求めることを検討している。

 一方、河瀬市長は2日の記者会見で「周辺(自治体)が福島の事故を受けて心配するのも理解できる。原子力災害があったときは日本全体が補償の対象地域」と語る一方で「(地元了解の)範囲が広すぎると収拾がつかない」と指摘。あくまで立地県と立地市町を「地元」とすべきだと強調した。

 県としても、原子力事業者と結ぶ安全協定の趣旨やこれまでの歴史的経緯から、「地元」は県とおおい町との認識。県の石塚博英安全環境部長は取材に対し「安全協定の趣旨に基づき、原発の安全や再稼働の是非について国や事業者をチェックするため暫定的な安全基準の提示を求めている」と説明した。

 ただ、おおい町の時岡忍町長は「町としては発言できる立場でなく、コメントは差し控えたい」とし、「地元」の範囲についても「国が決めること」とした。

 参院予算委の答弁で枝野経産相は、地元の範囲について「線引きはすべきでない」「より近いほど影響は大きく発言は重い」とする一方、両府県の意向も受け止めて判断する考えをにじませた。再稼働に向けた調整が長引くのは確実で、立地市町には「政府は本当に再稼働させるつもりがあるのか、真意が分からない」といぶかる声も出ている。』(4月2日付福井新聞ONLINE )


【「地元」とは日本全体】

正直言って、今ごろ何を言っているのかと言いたいです。昨年の3月11日以降、日本の大多数の国民はすでに「地元」とはどこかについて直観的に肌で感じているのではないでしょうか。時代は3/11のbefore/afterでまるっきり変わったのです。もうフランスがどうだとか、中国がどうだとかではない、原発のシビア事故を経験したニッポンの国民にとっては「地元」がどこかなど議論の余地がないことなのです。そんなことを話題にするのは、原発から得られる利益を享受したい人たちだけです。どんなに原発推進をしてきた人たちが抵抗しても、その肌感覚は覆すことができないでしょう。

すなわち、「地元」とは日本全体です。原発の再稼働だけでなく、原発の存続の是非を決めるのは原発の周囲5キロとか10キロの何とか町や、その市町村がある県にとどまるわけがない。フクイチの核惨事がそれを証明したのです。しかもフクイチの事故は今まで起こった事故の中で最悪だったということに過ぎず、これから先、フクイチ以上の事故が起こって、何万人いや何十万人もの人々が急性放射線障害で死に至り、半径数百キロの範囲の市や町がどんな生物も住めない場所になる可能性は十分にあるのです。

百歩譲ってそんな原発の「地元」の範囲を現実的なところまで狭めるとしても数百キロになるでしょう。フクイチの核惨事とはそういうことだったということを原子力ムラの人間たちは認めるべきでしょう。それほどの大事故が日本で起こったということを。今までの「地元」と言われていた市町村、そして電力会社、原子力安全・保安院はそのことを正直に認めるべきです。もうあなたたちの都合のいいようには事は進まないのです。  



2012年03月30日

「フクシマ・アーカイブ」19日目。フクイチ事故から1年以上が経った2012年3月29日の西日本新聞の朝刊の一面に「九電、1200億円経費削減 玄海原発1号機「運転60年可能」」の大見出しが躍っています。なんと無反省で愚かしい会社の経営陣でしょうか。あれだけの原発の大事故が日本であったにもかかわらず、そして「やらせメール問題」であれだけ会社の信用が失墜したにもかかわらず、会長と社長の辞任は「引責ではない」と強弁し、原発の安全に対する説明は一言もせずに再稼働の必要性だけを強調し、市民の不安をよそに老朽化原発の60年運転を語る姿勢に次の大事故は九電が起こすのではないかとの恐れを抱くのは僕だけでしょうか。

この1年一体この会社は何をしていたのか、何を学んだのでしょうか。ありふれた経営不振の事業会社なら勝手につぶれてしまえばいいのですが、ひとつ間違えば九州も日本も吹っ飛ぶようなリスクを持つ原発を抱えた「公益企業」であることに背筋が凍るような恐怖を覚えます。

フクイチ事故を経て、多くの市民の意識は大きく変わったのです。それさえ感知できずに3/11以前と同じようにやりすごせると思っているとしたら即刻退場すべきでしょう。それほど大きな変革がひとりひとりの個人にもひとつひとつの企業にも求められているのです。明日を生き残るために。

以下は、2011年3月30日の僕のブログ記事です。フクイチからプルトニウムが出ていたということを取り上げていました。


【プルトニウム検出】

予想されていたとはいえ、実際に検出されると背筋が寒くなるような戦慄を覚えます。

『東京電力は28日、福島第1原発の敷地内5カ所で21、22両日に採取した土壌から、微量のプルトニウム238と同239、240を検出したと発表した。このうち1号機から西北西へ約500メートル離れたグラウンド付近と北へ約500メートル離れた固体廃棄物貯蔵庫前の2カ所で検出されたプルトニウムは、今回の事故で損傷した核燃料棒から出てきたと考えられる。
 記者会見した武藤栄副社長は「ご心配をおかけしておわび申し上げる」と謝罪した。
 東京電力によると、濃度は過去に海外で行われた大気圏内核実験により国内各地に降ったプルトニウムと同様のレベルであり、人体には問題なく、復旧作業にも影響ないという。
 原子炉と使用済み核燃料プールのどちらから放出されたかは不明。3号機の原子炉は一部に通常のウラン燃料と異なるウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)を使っていたが、どの燃料棒から出たかも特定できないという。武藤副社長は「全体として放射性物質が出てくる量を少なくしたい」と述べた。
 グラウンド付近の土から検出されたプルトニウム238は1キログラム当たり0.54ベクレル、239と240が同0.27ベクレル。固体廃棄物貯蔵庫前の土は、238が0.18ベクレル、239と240が0.19ベクレル。
 分析は日本原子力研究開発機構が23日から実施。プルトニウムの検出には1週間近くかかるという。東電は今後も3カ所で週2回土壌を採取し、分析を続ける。
 経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は29日未明の記者会見で、「人体に影響ない濃度だが、楽観はしていない。本来の閉じ込め機能が破られているという意味で、憂うべき事態だと考えている」と話した。』(3月29日付時事通信)


【故郷を捨てるとき】

東京電力が言う、「濃度は過去に海外で行われた大気圏内核実験により国内各地に降ったプルトニウムと同様のレベルであり、人体には問題ない」というのは明らかにまやかしです。まともな心を持つ人間の言うことではない。今検出された量ではその通りかも知れません。しかし、それが継続して放出されれば今の量では済みません。自分たちの都合のいいことばかりを強調するのはどうかと思います。プルトニウムの負の側面もきっちりと国民に知らせるのが責務ではないでしょうか。

プルトニウムは「人類が初めて作りだした放射性核種であり」、「かつて人類が遭遇した物質のうちでも最高の毒性」を持つ放射性物質だと言われています。半減期は2万年以上と、ほとんど半永久的で一度人間の体内に入ると排出されにくいという特徴があります。

今回、燃料内にしか存在しないプルトニウムが原子力発電所周辺の土壌から検出されたことで、福島第一原発の原子炉、格納容器など5重の壁が破られたことが証明されました。また、3号炉はプルトニウムを使ったプルサーマル燃料が装填されていたと聞いていますので、通常の燃料よりもプルトニウムが多いのではないかと素人ながら心配になります。

いづれにしても、たとえ微量であってもプルトニウムが土壌に含まれれば間違いなくほぼ永久に農作物は作れません。したがって、その土地は放棄せざるを得なくなるでしょう。もしも福島第一原発がこれから長期にわたってプルトニウムを大気中に放出し続けるような事態となれば、「放棄せざるを得なくなる」土地が拡大していくことになります。こんな狭い日本の国土に農作物が作れなくなり、当然人も住めなくなる土地が拡大していく、これほど悲惨なことはないのではないでしょうか。

今はとにかく政府は全力で出来るだけ早くプルトニウムなどを含む放射能物質の拡散を防ぐ対策を取ってほしいと願うばかりです。
  



2012年03月29日

「フクシマ・アーカイブ」18日目。みなさんは昨年の3月11日以降、少なくなったとはいえ、おびただしい量の福島第一原発関係のニュースが日々テレビや新聞などを通じて流れていることに、いかにあの事故が日本の在り方を日々問い直し続けているか肌で感じるのではないでしょうか。
放射性物質の基準値はその中でも日々の食事や暮らしに直接かかわってくるだけに神経質にならざるを得ません。特に内部被ばくについては、広島・長崎の原爆投下以来、核兵器の負の側面を出来るだけ隠したいアメリカを中心に健康への影響が無視され続けて今に至っています。スリーマイル事故もチェルノブイリ事故も、そして今回のフクイチの事故においても、国際原子力機関や世界保健機構も内部被ばくについては出来るだけ健康への影響を過小評価したいという姿勢は変わっていません。日本政府がどういうスタンスにあるかは日々の動きを見ていればわかるでしょう。

では僕たちはこの放射線被ばくにどう立ち向かっていったらいいのか?ここに原爆症認定集団訴訟で内部被ばくについて証言した矢ヶ崎克馬琉球大名誉教授の「内部被爆」(岩波ブックレットNo.832)という本があります。この中に同氏の提言が書いてあります。少し長くなりますが、心に響く言葉なので引用します。


「この時代を生きていくうえでの私の提言は『怒りを胸に、楽天性を保って最大防護を』です。」

「~事態がこうなった限り、能動的に立ち向かうことが大切です。内部被ばくの恐ろしさを学んで、それでもだめだと考えてしまうのでは何の意味もありません。そうではなくて、恐ろしさをきちんと知ることで、政府の発表を鵜呑みにしないようにし、私たちのいま、なすべきことを見出していくことができるのです。私たちは、もはや「汚染される覚悟」が必要です。しかし、悲観して恐怖のうちに汚染を待つのはよしましょう。この怒りを胸にしっかりと収めて、開き直って、楽天的に、知恵を出し、最大防護を尽くしつつ、やるべきことはすべてやるのです。」(同書 57ページより引用)


以下は、2011年3月29日の僕のブログ記事です。


【厳格すぎる?】

民主党から放射性物質の基準緩和を求める声が出てきました。

『民主党の岡田克也幹事長は27日、農産物の出荷停止や摂取制限の目安となる放射性物質の基準値について、「少し厳格さを求めすぎている」と述べ、風評被害を招かないためにも見直しが必要との認識を示した。青森県八戸市で記者団に語った。

 現在適用されている食品衛生法の基準値は暫定的な数値で、食品安全委員会が体内に取り込んでも健康に問題がない数値について議論している。岡田氏は「心配ないものは心配ないときちっと言えることが必要だ。科学的な厳格さを求めすぎれば風評被害になる」と指摘した。 』(3月27日付朝日新聞)


【現状追認】

農産物の出荷制限などが長引いてくると、放射能の風評被害と相まって、それらの作物を生産している農家にとっては死活問題となってきます。したがって、時間が経てば経つほど放射性物質の基準値に対する不満が高まってくる事態は今後ますます増えてくるでしょう。

しかし、一方で福島第一原発からの放射性物質の放出が止まらなければ、広範囲に日々変化していく風下地域において葉物類などの野菜、水、土壌等への放射能汚染は半減期の長いものがどんどん残留・蓄積していく結果となります。

『文部科学省は28日、福島第1原子力発電所から北西約40キロの福島県飯舘村で26日に採取した雑草1キログラム当たりから、過去最高値の放射性セシウム287万ベクレルを検出したと発表した。北西約45キロの川俣町でも過去最高値のセシウム57万1000ベクレルを検出。これまで減少傾向だった放射性物質が2地点で急増した。文科省は「採取場所が全く同じではなく一概に評価できないが、高いレベルの放射性物質が残留していることは確かで、農作物への影響を注視する必要がある」と説明した。

 飯舘村の雑草のこれまでのセシウム最高値は20日採取分の265万ベクレル。セシウムの半減期は約30年で、採取地点付近では拡散しないで残留している可能性が高い。一方、放射性ヨウ素は20日採取分の254万ベクレルから103万ベクレルに減少。半減期が8日のためとみられる。』(3月28日付毎日新聞)


福島第一原発の3号機や2号機の水たまりで高濃度の放射線が見つかり、本格的な復旧には長い時間がかかると予想されています。その間にも放射性物質の放出が続くのであれば、農産物や水、土壌への汚染の蓄積をしっかりとモニターし続ける必要があります。そして監視すべきことがもうひとつあります。それは冒頭の政治家の発言のように、時間が経つにつれて放射性物質の基準値緩和の動きが次々と出てくるだろうということです。事故現場周辺地域の方々は、自分たちの健康を守るのは自分たちしかないという覚悟を持って、しっかりと基準緩和の動きを監視しておくべきだと思います。

  



2012年03月28日

「フクシマ・アーカイブ」17日目。2011年3月28日に原子力安全・保安院から発表された、福島第一原発2号機地下にたまった水が通常の炉心の水の約1千万倍の放射性物質の濃度という驚愕すべき数値は、しばらくして当の保安院によって間違いだったと訂正されました。
しかし1千万倍ではなかったものの、訂正後も恐るべき放射能汚染だったことには変わりありませんでした。そして、現在もその2号機の格納容器内部の線量は毎時最高73シーベルトで8分で死に至るほどの高線量だということが昨日報道されました。これだけでも今後のフクシマの廃炉がいかに困難かが想像できるでしょう。
さらには、1年経った今も原子力安全・保安院をはじめとする政府は、なんら本気で原発の安全対策を進めることなく、ただ再稼働を念仏のように唱え日本国を次の原発事故による自殺に突進させようとしているのです。昨日ソウルであった核サミットで野田首相はフクシマの教訓として「想定外を想定する」、「現場をおそろかにしてはいけない」、「安全確保は不断の取り組み」と演説したそうですが、どれひとつとってみても実行できていない体たらくを国際社会に晒しただけで、各国のリーダーからは冷ややかに見られたのではないでしょうか。日本はこれだけの原発事故を経ても国民の意思を無視して原発再稼働にまい進する狂気の国とみられているのです。


以下は、2011年3月28日の僕のブログ記事です。

【驚愕の数値】

出てくる数値のあまりの大きさに驚愕してしまいました。

『東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の事故で、東電と経済産業省原子力安全・保安院は27日、2号機地下にたまった水の放射性物質(放射能)の濃度が、通常の炉心の水の約1000万倍だったと発表した。1号機や3号機の地下にたまった水と比べても1000倍程度で、2号機では燃料棒や格納容器が大きく損傷しているとみられる。

 26日に2号機のタービン建屋地下1階で採った水の放射性物質濃度は1立方センチ当たり29億ベクレル。炉心の水は通常、200~400ベクレルにすぎない。

 この影響で水表面の放射線量は毎時1千ミリシーベルト以上となり、24日に作業員が被曝(ひばく)した3号機の同400ミリシーベルトを大きく上回った。東電によると、線量が高すぎるため測定を途中でやめており、線量はもっと高い可能性がある。

 水からは、放射線を出す力が半分になる半減期が53分と短いヨウ素134など燃料棒の核分裂反応で排出される物質を検出。2号機では2回、燃料棒が全面露出した上、格納容器も損傷しているとみられている。』(3月27日付産経新聞)


【見えない出口】

1千ミリシーベルトと言えば、吐き気やおう吐が出る急性放射線障害が発生するというレベルです。しかもたまった水を検査した検査員の話によると、線量計の針が振り切れたのでそれ以上は測っていないということですから、1千ミリシーベルトよりも高い可能性があります。

放射能の人体への影響度合いを見ると、2千ミリシーベルトでは5%の方が亡くなり、3千~5千ミリシーベルトになれば半数の人が死亡するレベルだとのことです。これでは、建屋の中に入って復旧作業をすることはおろか、ほんの数分だけ放射線量を測りに行くだけでも命がけの仕事になるでしょう。テレビに出た専門家もスリーマイルよりもチェルノブイリよりも大きな数値だと言っていましたが、本当に驚くべき数値です。

そしてもうひとつ。福島第一原発の南放水口では、26日に法令基準濃度の1850倍のヨウ素131が検出されました。原子力安全保安院は、「魚などの体内に取り込まれるまでには相当程度希釈される」として、人体への影響を否定しました。こんなことを信じる人がいるでしょうか。海の放射能は食物連鎖を経て多くの魚の体内に蓄積されていくことは間違いないでしょう。

チェルノブイリ原発事故の後、スウェーデンの湖に住む魚から強い汚染が検出されました。例えば、スズキ科のパーチという魚からは、事故の年、最高1キロあたり4800ベクレルのセシウムが検出され、2年後には最高8万2000ベクレルもの汚染が検出されているのです。(「食卓にあかった死の灰」P.83, 高木仁三郎・渡辺美紀子著、講談社現代新書) 今回検出されたヨウ素131は半減期が短いものの、ヨウ素以外にも半減期の長いセシウムなどが放出された可能性があることを考えれば、海洋汚染も食物連鎖を通じて先々深刻なものとなると思われます。

当事者能力を無くしつつある東京電力や国。出口の見えない福島第一原発の事故処理に不安が募ります。今はとにかくひとつひとつの事実をしっかり捉えていくことが最低限必要です。  



2012年03月27日

「フクシマ・アーカイブ」16日目。2012年3月26日に東電柏崎刈羽6号機が定期検査のために停止、日本の原発は北海道の泊原発3号機を残して53機が停止した。読売新聞や産経新聞などのメディアや自民党の谷垣総裁、経団連会長などはこのままでは夏の電力不足は必至だと再稼働を催促しているが、本当にそうなら電力会社に本当に原発なしでは電力不足に陥るのかすべてのデータを公開するように要求するべきではないか。なぜそんな努力もせずに一旦事あれば日本を壊滅させるかもしれないほどの原発のリスクを無視してまで、夏の数時間の電力需要のピークを満たすために原発の再稼働に走ろうとするのか。
本当は原発を稼働しなければ電力会社の経営がもたないからではないのか、それならなぜそれを真正面から言わないのか?日本の原発を巡る状況は疑問だらけです。

そんな根源的な問いをもたらしたのは、福島第一原発の核惨事です。昨年の3月26日にこの事故を振り返って問題点を整理したのが以下の僕のブログ記事です。


【怒涛のような2週間】

3月11日に東北関東大地震が発生して16日が経過しました。地震と津波による死者・行方不明者は2万人を超えてまだまだ増えて行きそうだとメディアは伝えています。現代日本が未だかつて経験したことのない大災害です。2週間以上経過した今、助かった被災者の救援が最優先の課題となっています。

そしてもうひとつの大きな災害である福島第一原発の事故。こちらは直接の死者こそ出ていませんが、原発周辺の住民の方々、福島県をはじめとする近隣県、そして関東・首都圏を中心に日本全国、世界にまで放射能汚染の恐怖のどん底に陥れました。

この二つの災害の大きな違いは、地震と津波は災害発生後の救援にステージが移っているのに、原発事故は未だ救済どころか恐怖が現実のものになるかも知れない、出口の見えない状況に陥っているところです。

怒涛のように経過したこの2週間。僕自身はチェルノブイリ事故以来、日本での大規模原発事故を心配していたので、それが現実となったことに衝撃を受け、この未曾有の原発事故の経過を追い続けています。

【見えてきたもの】

昨日は本屋に行って週刊誌を中心とした雑誌メディア(AERA、週刊朝日、週刊文春、サンデー毎日等)が地震と原発事故をどう報道しているか、いくつかの週刊誌を手に取って見てきました。事故から2週間近くが経過した今、テレビ、新聞、そして雑誌、さらにはインターネットという媒体を通して、ここで一度事故発生から今までに見えてきたもの、未だ見えないものが何かについて考えてみたいと思います。

1. 福島第一原発事故は天災ではなく、人災だということ

事故発生当初から僕は今回の原発事故は、東電や政府の言う「想定外」の津波が直接の引き金とはいえ、「原発は安全」としてきた原発に携わる当事者の方々の原発そのものや防災、危機管理、そして市民社会に対する認識の甘さ、傲慢さ、怠慢がもたらした「人災」であると思っています。それは事故後の東電、原子力安全保安院、原子力安全委員会、政府官邸等の対応があまりにもお粗末で見るに堪えない狼狽ぶりだったことからもうかがえます。しかもそれは政府・電力会社・原子炉メーカーが三位一体となって進めてきたわけですから、東電だけを責めるのは事の本質を見誤る可能性があります。いづれにしても、それら当事者たちの上層部の怠慢のために現場で必死で作業している人たちや近隣住民の方々がどれだけ命を脅かされていることか。そしてそれは今も続いています。

以前にも書きましたが、スリーマイル事故やチェルノブイリ事故、さらには国内での無数の重大事故、専門家の巨大津波の警告等をないがしろにし、特にチェルノブイリ事故の鳴らした警鐘を文明観の転換に結びつけることもせず、事故後25年間という貴重な時間も無駄にしてしまったことが今回の事故の原因だと思います。

こんなに酷い事故を起こしてなおも情報を隠そうとし、「想定外だから」と言い訳をし、国家のエネルギー政策の抜本的見直しを怠るようなことがあれば、国民は黙っていないでしょう。もちろんその際忘れてはならないのは、国や電力会社に対して、今まで何十年も怒りの声を上げずに見て見ぬふりをしてきたのは他でもない電気の恩恵だけを受けてきた都市を中心に住む僕たち国民だということです。(3月19日に書きました)

2. インターネットによる情報社会の存在の大きさと国際的な情報発信の貧弱さ

もうひとつ見えてきたものがあります。それはツィッターやフェイスブックといったソーシャルネットワークを中心にインターネットによる個人を中心とするメディアが巨大災害の発生後、とてつもない役割を果たしているということです。

先ずは負の側面。僕も経験しましたが、地震発生直後から数日にわたってチェーンメールやツィッターのRT(リ・ツィート)を使って様々な流言飛語が飛び交い、インターネットがなかった時代には考えられなかったスピードで拡散していったことです。特に被災した現地よりも、被災地以外の地域での間接情報に基づくチェーンメール等が流言飛語を増幅したのではないかと推測します。幸いなことに、日本人の国民性でしょうか、比較的多くの人が冷静に対処したのではないかと思いますが。

プラスの側面もあります。それは僕自身が経験したことですが、福島第一原発事故についての政府発表の真偽、事故の進捗・拡大の可能性、メルトダウンの可能性、専門家の意見などについて様々な考え方や事実、参考となるデータなどがツィッターやブログ、各機関のホームページ等を通じて公開され、個々人が判断する材料が比較的多く得られているということです。枝野官房長官や東電、原子力安全保安院の記者会見などと比べながら真実はどこにあるのか、見極める手掛かりが少しでも得られるということはパニックを防ぐうえでも重要だと思われます。

具体例をひとつ申し上げます。3月22日に配信された村上龍のメールマガジン「ジャパンニースメディア」で環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏のレポートが紹介されました。村上龍自身も福島第一原発の状況に不安と疑心暗鬼が深まるなか、事故がどこまで進むかについてこのレポートは貴重な示唆といくらかの安心を与えてくれたとのことでした。僕も読んでそう思いました。

以下から、pdf.でダウンロードできます。

http://www.isep.or.jp/images/press/script110320.pdf

もうひとつ国際的な情報発信の問題があります。海外のメディアの福島第一原発に関するニュースを見ていると、日本に対する不安感がものすごく大きくなっているということと、日本に対する不信感が大きくなっていることを感じます。その原因のひとつは、政府から出てくる情報があまりにも統一性がなくて信頼感に乏しいこと、さらにはそれらの公式発表が英語でしっかりと出来る人がいないこと、英語での文書による資料も極端に少ないことが挙げられます。特にBBC、ABCやNBC、CNNといった欧米のテレビやiPadの放送で放映される枝野長官等の政府発表に女性の同時通訳の声がかぶさっているのですが、それらも信頼感を損ねている一因かもしれません。

世界に発信できるかどうかについては政府・東京電力の当事者能力が低いことから考えると今すぐに対応するのは難しいでしょうが、であればIAEAなどの力を借りて世界に向けた一貫性のある発表を急ぐべきです。もちろん、その前提となるのは信頼できる公開情報を出来る限りだすことが必要です。

3. 福島と首都圏、九州の温度差

3つ目に福島第一原発の周辺地区、首都圏、そして九州の事故に対する温度差についてです。東北の方々は辛抱強いと昔から言われていますが、今回の地震・津波災害、原発事故においても、テレビを見る限り現地で被災された方々や原発の放射能被害に遭われている方々、自治体の関係者などのインタビューで感情を抑えた表情で語っておられるのが目につきます。しかし、実際にはこの後に及んでも情報を出し渋ったりする東電や政府関係者の対応にハラワタが煮えくりかえる思いだと察します。

そして首都圏。これも関東に住む知人に聞いたり、テレビなどで見たりする情報に限られますが、首都圏の方々は福島第一原発の事故の進展具合では大規模な首都圏での放射能汚染の可能性も指摘される中、平静を装いつつも相当緊張感を持って事故の状況を心配して見ておられるのではないかと思います。すでに首都圏の水や食品の放射能汚染も起きています。場合によっては、プルトニウムという半永久的に残留する猛毒物質を含むMOX燃料(プルサーマル用)が装填されている福島第一原発3号炉等の放射能のさらなる拡散といった事態が来れば、首都圏も無傷ではいられない差し迫った状況も考えられるからです。

これに対して福島や関東からは遠く離れた九州、福岡ではそれほど差し迫った危機感は感じられません。友人や知人や家族が福島や関東におられる方は相当の懸念を持ってあると思われますが、多くの一般の人々は現地の人たちに比べれば不安感は低いと思います。

この福島、首都圏と九州あるいは北海道など他の地域との温度は僕は実は事故収束後に大きな影響を与えると考えています。なぜなら日本全国には高速増殖炉を含め55基の原発があり、福島と同じ事態はどこの地域でも起こる可能性があるからです。これから原発を中心とするエネルギー政策の見直しは必至です。そうした中で、福島原発周辺地域と関西・四国・九州・北海道などとの事故に対する温度差は、原発の是非についての大きな意見の相違につながってくる可能性があります。ただ、全国の電力会社の頂点に位置する東京電力、事故に大きな責任のある経済産業省が事故の被害を被る可能性のある首都圏にあるということは今後の原発の議論に大きな意味を持ってくると思います。

【見えないもの】

そして最後に見えないものについてです。それは事故の最終的な出口です。福島第一原発は事故を起こした現在1号機から4号機まですべての原子炉の状況が東電や政府にさえ明確に詳細までは把握されていないのではないのでしょうか。しかも、高濃度の放射能汚染の中、現地での効果的な作業までも滞っている状況です。炉心の状態がどうなのか、使用済燃料プールは大丈夫なのか、自信を持って答えられる人が事故の当事者にいない。これは身の毛もよだつ事態です。普通の事故ならまだしも、大規模な放射能汚染のさらなる拡散の可能性がある原発が1機ではなく、4機もあるのです。

原発事故がこれほどの規模で起こったために、政府も民間も本来救援を急ぐべき地震と津波の被害に遭った他の東北の地域の初動対応から今まで相当の遅れが生じていることは間違いないと思います。

これから福島第一原発の放射能汚染をどう食い止めていくのか、政府と東電は全力で対応してもらわなければなりません。そして僕ら国民は事態の推移と対応を厳しく監視し、事故の推移について想像力を働かせて次に取るべき行動を自ら判断していく必要があると思います。
  



2012年03月26日

「フクシマ・アーカイブ」15日目。昨年の3月26日の毎日新聞の記事には、福島第一原発内での高濃度放射能汚染水の水たまりが見つかったと報道していました。メルトダウンによって格納容器が損傷し、原子炉も損傷しているところに大量の放水を続けていたわけですから、それらの大量の水が水たまりをつくり、一部は海に流れ込み、ついに4月4日には東電が「意図的に」大量の彼らが言うところの「低濃度」の放射能汚染水を放出するに至りました。この東電による意図的な放射能の海洋放出は世界各国から猛烈な非難を浴びたことは記憶に新しいところです。

また、海洋研究開発機構の試算によると、東京電力福島第一原発の事故で、原発から海に流出した放射性セシウム137の総量は最大で5600テラ・ベクレル(1テラは1兆)にのぼり、実に東電の推計量の約6倍にあたるとの報道もつい最近ありました。これからの日本近海の放射能汚染がどれくらいの健康被害をもたらすか誰もわかりません。

以下は、2011年3月26日の僕のブログ記事です。


【また重大局面】

作業員が被ばくした水たまりは1号機~4号機すべてに見つかりました。

『東京電力は25日夜、東日本大震災で被災した福島第1原発1号機のタービン建屋地下でも水たまりが見つかり、採取した水から1立方センチメートル当たり約380万ベクレルの放射能を持つ放射性物質が検出されたと発表した。原子炉の冷却水の約1万倍の濃度。ヨウ素131やセシウム137などで、溶融した核燃料の一部が漏れ出した可能性がある。24日には3号機のタービン建屋地下で3人が被ばくし、2人が放射性物質に汚染された水たまりに足を入れて被ばくしている。3号機の水について東電や経済産業省原子力安全・保安院は25日、原子炉から燃料の一部が漏れ出したとの見解を明らかにした。

【図説】被ばく量と健康への影響の目安

 東電によると水たまりは24日までに1~4号機で見つかった。タービン建屋の地下は2区画に区切られているが、配電盤などがある区画はすべて津波で水没しており、その水深は▽1号機約40センチ▽2号機約1メートル▽3号機約1.5メートル▽4号機約80センチ。もう一つの区画に浅い水たまりが点在しているという。東電は2、4号機の水たまりについても調べている。

 3号機で見つかった水について東電の武藤栄副社長は25日、「原子炉側から出てきた可能性がある」と話した。保安院も「原子炉から何らかの理由で放射性物質が漏れている可能性が高い」との見方を示しており、厳重に閉じ込められているはずの核燃料の一部が原子炉建屋の外に漏れ出た可能性がある。』(3月26日付毎日新聞)


【刻々と悪化】

3号機での作業員3人の被ばくで明らかになったのは、1号機から4号機すべての建屋で放射能汚染されたかなりの水たまりがあり、しかも高濃度だということでした。そしてもっと重大なことは、その放射性物質の中に原子炉の炉心にしかないセリウムもあったということです。すなわち、汚染水は原子炉内から漏れている可能性が強いということです。

高濃度の放射能汚染水が「炉心のメルトダウン→原子炉爆発」という最悪の事態を回避する作業を大幅に遅らせる可能性が高くなってきました。福島原発1機であれば、チェルノブイリ原発3号機のような大惨事と比較すれば小さいかも知れませんが、4機すべてが炉心溶融や燃料プールからの大量の放射能放出となると単純に考えても事故の規模はチェルノブイリを上回る可能性が出てきます。身の毛もよだつ事態です。

【日本全土から世界へ】

すでにこの福岡でも微量ではありますが、23日から24日にかけて自然界には存在しないヨウ素131が検出されています。また、中国の港で日本の船が放射能汚染されているという理由で足止めされたり、アジア諸国で日本からの食品輸入に制限をかけたりという動きも出ています。

福島第一原発の事態収拾の目途が立たない中、世界は日本発の放射能汚染の世界への拡散に警戒を強めて行くでしょう。

今、福島第一原発の現場は地獄というか放射能の修羅場そのものです。一番末端の作業員の人たちをこんな危険な仕事に従事させている、今まで原発を推進してきた幹部の人たちには激しい怒りを覚えますが、今はとにかく幹部の人たちに命を賭けてでも福島第一原発の最悪の事態を回避してもらいたいと思います。もう「想定外だったから」とうそぶくようなことは誰ひとり許さないでしょう。

そして無力な僕らは日本発の大規模放射能汚染が世界に広がらないようにひたすら祈りたいと思います。
  



2012年03月25日

「フクシマ・アーカイブ」14日目。みなさんもしっかり覚えておられると思いますが、東京電力の清水社長は事故後しばらくして高血圧などの病気を理由に病院に「敵前逃亡」しました。日本をもしかしたら経済・社会もろとも崩壊させかねないほどの未曾有の大惨事を引き起こした当事者のトップがです。日本国民の誰もが耳を疑ったのではないでしょうか。しかもその東京電力の傲慢は今も変わりません。やはりあのとき「死亡宣告」をしておくべきだったと思います。

当時僕がブログで書いていたことは今でも正しいと思っています。福島第一原発の核惨事は日本というちっぽけな国家が文明のパラダイムを変えるくらいの決意で方向転換しなければならないことを教えました。

そういう大きな転換が出来るかどうかという意味で、日本の中枢である首都圏に近い福島原発が事故を起こし、その責任者が東京電力であったということは重大な意味を持つと思います。日本の電力会社の頂点に位置し、他の地方電力会社を事実上引っ張ってきたのが東京電力であり、ここが首都圏の近くでこれだけの大災害を起こしたということは、最も日本の中枢に近い人たちに原発事故の重大性を認識させ、大きな転換が必要だと思わせたのではないかと考えるからです。

以下は、2011年3月25日の僕のブログ記事です。


【謝罪行脚】

東京電力の幹部が事故後初めて原発周辺の住民に謝罪行脚をしているとの報道がありました。

『東京電力の皷(つづみ)紀男副社長が22日、福島県田村市の市総合体育館に設置された大熊町の町災害対策本部を訪れ、渡辺利綱町長や町民に謝罪した。

 また福島市内で記者会見し、福島第一原発1~4号機の廃炉について「収束に全力を尽くしており今は考える状況でない」と述べ、農作物などの被害に対する補償についても「どういう場合に可能か方向性を検討している」と話した。

 原発の事故以後、初めて福島県入りした皷副社長は同日午後、渡辺町長に「ご心配をおかけして申し訳ございません。一刻も早くこの事態を収束させたいと思っています」と謝罪。渡辺町長は「一刻も早く危機的な状態を脱してもらいたい」と訴えた。

 皷副社長は、約670人の避難住民に頭を下げて回ったが、「何しに来たんだ」と住民が怒りをぶつける場面もあった。』(3月22日付読売新聞)


【本当の謝罪】

これより前、福島県の佐藤雄平知事は22日午前に東京電力から清水正孝社長による謝罪訪問の申し入れがあったが、断ったことを明らかにしました。当然だと思います。謝って済むような問題ではない。ましてや福島原発の事故の直接の被害だけでなく、放出され続けている様々な放射性物質による農産物の被害が顕在化し、福島県の農業まで破局に瀕している今、どんな言い訳をされても許される事態ではないと思います。

では東京電力がこれからやるべきことは何か。それは先ず福島第一原発の核惨事の一刻も早い収束であることは間違いありません。次に、収束後の事故前の原状回復の努力です。そして最後に過去何十年にもわたって住民を懐柔したり騙したりしながら、「絶対に起こらない」と強弁していた原発事故を起こしたことを踏まえ、これからのエネルギー供給のあり方をどうしていくのか、国とともにしっかりとした青写真を書いて、それを着実に実施していくことです。

もちろん、それは文明のパラダイムを変えるくらいの決意で、中長期的な核エネルギーから自然エネルギーなどへの本気の転換を図ることが出来るかどうかです。

【東電が事故を起こした意味】

そういう大きな転換が出来るかどうかという意味で、日本の中枢である首都圏に近い福島原発が事故を起こし、その責任者が東京電力であったということは重大な意味を持つと思います。日本の電力会社の頂点に位置し、他の地方電力会社を事実上引っ張ってきたのが東京電力であり、ここが首都圏の近くでこれだけの大災害を起こしたということは、最も日本の中枢に近い人たちに原発事故の重大性を認識させ、大きな転換が必要だと思わせたのではないかと考えるからです。

九州や北海道でこんな核惨事が起きても首都圏に遠ければ遠いほど、エネルギー政策の大転換を図るのは困難が伴うでしょう。そういう意味でも、今回の福島第一原発の核惨事の意味は重大だと僕は考えます。

あと一ヶ月ほどで1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故からちょうど25年になります。日本にとって2011年3月11日は旧ソ連のチェルノブイリ以上のものになる、そしてこれを契機に文明の転換に匹敵する転機にしなければ日本の未来はないと思います。  




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