上記の広告は2週間以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書くことで広告が消せます。
2007年12月16日
【ひとまず閉幕】
今年最後の地球温暖化防止に向けた一大イベントである温暖化防止バリ会議は大波乱の中、ひとまず閉幕にこぎつけた。
『国連の「気候変動枠組み条約第13回締約国会議(温暖化防止バリ会議)」は15日、京都議定書後の温室効果ガスの新たな削減枠組みを話し合う行程表「バリ・ロードマップ」を採択し、閉会した。議定書から離脱した米国や、現在は削減義務のない中印を含めたすべての国が地球温暖化防止に取り組む新体制作りへ向け、一歩を踏み出した。
行程表は、すべての国が参加する特別作業部会を条約の下に設け、ただちに交渉を開始して2年後の第15回会議までに、数値目標も視野に入れた新たな削減枠組みを作ると規定した。
行程表は「地球温暖化は疑いのない事実だ」と指摘、「排出削減を遅らせることは、温暖化による影響を悪化させる」と警告した。すべての先進国に「削減目標を含む、検証可能な排出削減行動」を求め、途上国にも「持続可能な発展を前提に、技術や財政支援を受けた検証可能な方法で対応をする」とした。
焦点となっていた削減目標は削除したが、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第4次報告書の指摘を参照する脚注をつけ、「世界の排出の大幅削減が求められていることを認識する」と言及した。
さらに、途上国への被害防止支援や技術移転、新たな資金策の検討、排出増につながる森林減少対策、排出権取引など市場メカニズム導入による便益向上などを、今後2年間で詰めるべき行程表の要素に挙げた。
特別作業部会は来年4回開催し、▽排出抑制策▽温暖化が途上国にもたらす被害軽減策▽排出抑制や被害軽減を目的とした技術移転▽資金供与や投資の強化--の4項目を中心に議論する。
日程を1日延長した15日も、インドが修正を要求するなど、協議は最終盤まで荒れた。』(12月15日付毎日新聞)
しかし、ここに至るまでには各国の政治的思惑が絡み合って相当難航したようだ。
【10年目の真実】
それにしてもCOP3と呼ばれ、97年12月に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(京都会議)で京都議定書が採択されてからすでに10年の月日が経った(丁度、福岡では僕が事務局として関わったアジア開発銀行福岡総会が5月に開催されたのでよく覚えている)。あの時、米国副大統領の地位にあって議定書採択決裂の危機をなんとか回避させたのが今年ノーベル平和賞を受賞したゴア氏だったのだ。
あれから10年。たった6%のCO2削減を謳った京都議定書でさえ、実現が危ぶまれている中、世界は今2028年には世界の平均気温が2度上昇する確率が50%以上になるという瀬戸際に立たされている。そしてすでにそれさえも防げないポイント・オブ・ノーリターンの地点をすでに越えてしまっているとさえ言われているのだ。
気温2度といえばIPCCの予測によれば、海面上昇とサイクロンで1200万~2600万人が移動を余儀なくされ、10~26億人が水不足、さんご礁は97%が死滅、食糧危機で1200万人~2億人が飢餓リスクにさらされるのだ。これでもすさまじいのだが、2度を超えれば温暖化地獄とも呼べる更なる地獄が待っている。
この10年は地球にとって最後の貴重なチャンスだったかもしれない。それを活用できなかった最大の原因は米国、特にブッシュ政権にあるだろう。ゴア氏が注目されるのもCO2最大の排出国でありつづける米国の無策の皮肉な結果なのだ。
その米国に追随している日本も同罪であり、今回の会議でも世界から冷たい視線が日本に注がれていると報道されている。
【本当の最後の機会】
いづれにしても今回のCOP13に始まり、2009年に合意を目指す「バリ・ロードマップ」の実現は、もう手遅れ気味とはいえ温暖化地獄から世界が脱出するための本当の最後の最後の機会なのだ。
中国やインドなどの今やCO2排出大国となった国々を含めて、世界が同じ目標をもってCO2排出を25~40%などといわず80%くらい削減しないと、極地や高地の氷はすべて消失し、世界から森林は消えうせ、豊かなサンゴ礁や動植物も失われ、各地に灼熱地獄が現出することになるだろう。
世界各国の為政者たちは想像力をもって、この近未来の恐ろしい現実を見据えながらしっかりとした合意を目指しいてほしいと切に願っている。もう残された時間はほとんどないのだ。
残念ながらブッシュ政権の米国には期待できないので、来年11月の大統領選以降に米国が動くことを期待するしかない。日本は個々の企業の技術力や環境対応意識の高さには目を見張るものがあるのに、産業界も巨大な官僚組織も政治家も日本という村社会の論理の中でそのリーダーシップを発揮できていない。もっと僕ら一般の市民が声を上げなければ世界の趨勢からどんどん遅れていくことになるだろう。
今年最後の地球温暖化防止に向けた一大イベントである温暖化防止バリ会議は大波乱の中、ひとまず閉幕にこぎつけた。

行程表は、すべての国が参加する特別作業部会を条約の下に設け、ただちに交渉を開始して2年後の第15回会議までに、数値目標も視野に入れた新たな削減枠組みを作ると規定した。
行程表は「地球温暖化は疑いのない事実だ」と指摘、「排出削減を遅らせることは、温暖化による影響を悪化させる」と警告した。すべての先進国に「削減目標を含む、検証可能な排出削減行動」を求め、途上国にも「持続可能な発展を前提に、技術や財政支援を受けた検証可能な方法で対応をする」とした。
焦点となっていた削減目標は削除したが、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第4次報告書の指摘を参照する脚注をつけ、「世界の排出の大幅削減が求められていることを認識する」と言及した。
さらに、途上国への被害防止支援や技術移転、新たな資金策の検討、排出増につながる森林減少対策、排出権取引など市場メカニズム導入による便益向上などを、今後2年間で詰めるべき行程表の要素に挙げた。
特別作業部会は来年4回開催し、▽排出抑制策▽温暖化が途上国にもたらす被害軽減策▽排出抑制や被害軽減を目的とした技術移転▽資金供与や投資の強化--の4項目を中心に議論する。
日程を1日延長した15日も、インドが修正を要求するなど、協議は最終盤まで荒れた。』(12月15日付毎日新聞)
しかし、ここに至るまでには各国の政治的思惑が絡み合って相当難航したようだ。
【10年目の真実】
それにしてもCOP3と呼ばれ、97年12月に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(京都会議)で京都議定書が採択されてからすでに10年の月日が経った(丁度、福岡では僕が事務局として関わったアジア開発銀行福岡総会が5月に開催されたのでよく覚えている)。あの時、米国副大統領の地位にあって議定書採択決裂の危機をなんとか回避させたのが今年ノーベル平和賞を受賞したゴア氏だったのだ。
あれから10年。たった6%のCO2削減を謳った京都議定書でさえ、実現が危ぶまれている中、世界は今2028年には世界の平均気温が2度上昇する確率が50%以上になるという瀬戸際に立たされている。そしてすでにそれさえも防げないポイント・オブ・ノーリターンの地点をすでに越えてしまっているとさえ言われているのだ。
気温2度といえばIPCCの予測によれば、海面上昇とサイクロンで1200万~2600万人が移動を余儀なくされ、10~26億人が水不足、さんご礁は97%が死滅、食糧危機で1200万人~2億人が飢餓リスクにさらされるのだ。これでもすさまじいのだが、2度を超えれば温暖化地獄とも呼べる更なる地獄が待っている。
この10年は地球にとって最後の貴重なチャンスだったかもしれない。それを活用できなかった最大の原因は米国、特にブッシュ政権にあるだろう。ゴア氏が注目されるのもCO2最大の排出国でありつづける米国の無策の皮肉な結果なのだ。
その米国に追随している日本も同罪であり、今回の会議でも世界から冷たい視線が日本に注がれていると報道されている。
【本当の最後の機会】
いづれにしても今回のCOP13に始まり、2009年に合意を目指す「バリ・ロードマップ」の実現は、もう手遅れ気味とはいえ温暖化地獄から世界が脱出するための本当の最後の最後の機会なのだ。
中国やインドなどの今やCO2排出大国となった国々を含めて、世界が同じ目標をもってCO2排出を25~40%などといわず80%くらい削減しないと、極地や高地の氷はすべて消失し、世界から森林は消えうせ、豊かなサンゴ礁や動植物も失われ、各地に灼熱地獄が現出することになるだろう。
世界各国の為政者たちは想像力をもって、この近未来の恐ろしい現実を見据えながらしっかりとした合意を目指しいてほしいと切に願っている。もう残された時間はほとんどないのだ。
残念ながらブッシュ政権の米国には期待できないので、来年11月の大統領選以降に米国が動くことを期待するしかない。日本は個々の企業の技術力や環境対応意識の高さには目を見張るものがあるのに、産業界も巨大な官僚組織も政治家も日本という村社会の論理の中でそのリーダーシップを発揮できていない。もっと僕ら一般の市民が声を上げなければ世界の趨勢からどんどん遅れていくことになるだろう。