2008年02月28日

【方針転換】

ようやく日本の経済界も方向転換を決めたようだ。

『日本経団連は25日、国別に温暖化ガスの削減量を決める「総量目標設定」を容認する方針を固めた。国が割り当てる排出枠の過不足分を企業間で売買する「国内排出量取引」も、先行する欧州など世界の潮流を踏まえ、導入を容認する考え。経団連をはじめ産業界はこれまで、これら2つの手法を「企業の国際競争力を減退させる」と反対してきたが、環境を主テーマとする7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)を控え、方針転換する。
 経団連は今後、主要業界・企業との協議を重ね、米欧など主要8カ国(G8)の経済人を集めて4月16、17両日に東京で開くビジネスサミットで、これら方針を共同声明として打ち出す。』(2月25日付時事通信)


環境先進国というには、あまりにもお粗末で遅い方針転換なのだが、兎に角転換したことを良しとして今後に向けてしっかりやってほしいというのが正直なところだ。

【大局的な見地で】

折りしも21日、政府は財界関係者や学識経験者らで構成する「地球温暖化問題に関する懇談会」のメンバーを発表し、3月上旬に初会合を開き、7月の主要国首脳会議(北海道・洞爺湖サミット)に向け排出権取引や京都議定書の目標達成計画実施のあり方などを検討していくことが決まったばかりだ。

政府が重い腰を上げ、経済界もそれに渋々であるが追随しようとしているは言うまでもなく、昨年のIPCC第四次報告書で人為的な温暖化が科学的な事実として確定し、温暖化論争がほぼ決着したこと、12月のバリ会議でその科学的事実に基づいたバリロードマップが採択されたこと、その中で日本は対米追随を世界各国から冷たい目で見られ、このままでは洞爺湖サミットでの地球温暖化防止に関する主導権確保はおぼつかないとの危機感を持ったことにある。

この後に及んでも省庁や業界の利害調整に終始するようでは洞爺湖サミットは失敗に終わることは目に見えている。それを避けるためには、日本政府の大局的な姿勢、それをバックアップする国民的な盛り上がりが必要だ。

【驚くべき異論】

政府や産業界はまだ少しでも危機感を持ち始めたことを評価したい。しかし、最近書店で見かける地球温暖化防止に関する異論を扱った著書が結構売れているのには少し驚いている。

すなわち、昨年はIPCCの長年の地道な努力によって、地球温暖化に関する科学的論争にほぼ決着がついたというのをまだまだ認めない一部の学者が声高に、時にはセンセーショナルにゴア氏やIPCCの報告に異を唱え、大衆を扇動するかのような連名での著作や雑誌への寄稿などが散見されるのだ。

もちろん、異を唱える学者が一部にいることは科学としては健全なことであるものの、そうであってもきちんとした同じ科学者同士の土俵で挑むべきであり、さらには科学的な知見や証明が不十分だからCO2削減が意味はないと言うのならばちゃんとした対案なりを示すべきだと思うのだが、それらの著作なり論旨には批判ばかりで政策的提言なり対案は示されていないことが多い。そんな著書のひとつである「暴走する地球温暖化論」の中で学者の渡辺正氏が気温の2度や3度の上昇はたいした問題ではないなどと書いているのにはどっちが暴走しているのだろうかと本当に驚かされた。

そもそも科学的な証明は不完全であっても、世界中の様々な現象を捉えて危険が迫りきていることが予見されるのであれば、予防のための施策を取ることが人間の英知なのではないか。

地球温暖化肯定論の中には確かに100年単位のタイムラグがあることを今直ぐに起きるような事象として扱ったり、一般大衆の誤解を引き起こすものもあるかもしれない。しかし、全体としてみれば最近の気候変動が人間社会や地球環境に大きな変化をもたらしつつあり、その原因の大きな部分が人間活動そのもののあり方にあること、それに対して各国が一致して対応する必要があることはもう論を待たないと思うがどうだろうか。


《参考》

「地球温暖化問題に関する懇談会」のメンバーは以下の通り。

枝広淳子イーズ代表取締役、奥田碩トヨタ自動車相談役(内閣特別顧問)、勝俣恒久東京電力社長、黒川清内閣特別顧問、末吉竹二郎国連環境計画金融イニシアチブ特別顧問、高橋はるみ北海道知事、月尾嘉男東大名誉教授、寺島実郎日本総合研究所会長、松井三郎京大名誉教授、三村明夫新日鉄社長、薬師寺泰蔵総合科学技術会議議員、山本良一東大生産技術研究所教授 (2月21日付産経新聞)
  



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