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2009年02月25日

【国境と国家】

国境が明確に規定されたのは、1648年にそれまでのヨーロッパでの宗教戦争に終止符を打ち、ドイツで締結され、国際法の元祖となったウェストファリア条約だと言われている。それ以降、主権国家は明確な領域を持つこととされ、地球の連続的な広がりを有界化して、国境線が地表上にひかれることとなった。今僕たちは、その国境線をグーグルの世界地図で世界の隅々まで見ることが出来る。

しかし、地図の上に描かれる一本の線は、人間同士、国家間に様々な悲劇や軋轢を生んできた。日本は幸いにして海に囲まれているため、ほとんどの国境が「海」という自然物で区切られている。唯一、過去の戦争で失った北方4島などが国民に国境の存在を感じさせるくらいだ。

その国境の現実を今、インドとバングラデシュはひしひしと感じているという記事が目に留まった。

【テロと安全】

2月16日号タイム誌の記事「大きな断絶」("A Great Divide", Page 22-27 TIME magazine dated on February 16,2009) に、インド政府が今、テロの脅威から自国の安全を守るという大儀名分を掲げて、バングラデシュとの2500マイルにも及ぶ国境線をすべてフェンスを張り巡らそうとしていると紹介している。

India is building a fence along its 2,500-mile border with Bangladesh to contain what New Delhi perceives to be external threats to the nation's security.

2500マイルといえば、キロに直すと約4000キロ。福岡から東京まで距離にして約880キロなので、その4.5倍もの距離がある。これほどの長さの国境を写真のようなフェンスで取り囲んでいるのだ。はたして、物理的な構築物でインドは本当にテロの脅威から解放されるのだろうか。はなはだ疑問だ。

【宗教と経済の狭間】

インドとバングラデシュを隔てているのは、歴史的に国境線よりも宗教の方が重要だ。インドはヒンドゥー教、バングラデシュはイスラム教である。インドはIT産業や鉄鋼など様々な分野で経済的な離陸を遂げているが、一方のバングラデシュは国家としての歴史も浅く、毎年洪水に悩まされるなど気象条件も厳しいことから経済的にも離陸が遅れ、国民は貧困に喘ぎ、政治も不安的で、テロの温床ともなっている。

かつては4百万人もの難民を受け入れていたインドも、最近のムンバイでのテロなどを背景に、バングラデシュからの人の流入に神経質になっているのだ。

しかし、物理的な壁をいくら強固にしても本当の解決にはならないだろう。なぜなら、生活のための密貿易による人の往来はそう簡単には止められないからだ。例えば、インドでは神聖視されている牛が、バングラデシュとの間の密貿易取引の半分近くを占めていて、貧困に喘ぐバングラデシュの人達にとってフェンスがあろうとなかろうと、生きるためには牛の売買などを継続するために、国境を越えざるを得ないのだ。

インド政府は、先ずバングラデシュとの間の密貿易を減らす努力や、同国との経済協力などアジアの新興経済大国としての責任を果たすことが重要ではないだろうか。みなさんはどう思われますか?
  




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