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2009年07月31日

【空前の景気刺激策】

オバマ大統領が今年2月に議会を通した予算措置としては空前の規模である7870億ドル(日本円で約75兆円)の景気刺激策が全米で実行段階に入っていますが、どうもその効果についてアメリカ国民は最近疑念を抱き始めているようです。

7月13日号のタイム誌「景気刺激策に何が起こっているのか?」("What Happened To the Stimulus?", Page 30-33, TIME dated on July 13, 2009)というタイトルで、この景気刺激策は魔法の弾丸ではないとして、ホワイトハウス内での議論やその原因についての記事が掲載されています。

The Administration's $787 billion booster shot is not the magic bullet some had expected. Inside the White House operation to fix that

【バイデンの監視チーム】

米国民の疑念は各種世論調査に出ていて、そのうちひとつの調査では45%の有権者が景気刺激策は途中でやめるべきだと回答しています。

一体なぜこれほど信頼感を喪失しているのでしょうか?

最も大きな理由は、おそらく米国民の政府に対する根本的な不信感だろうと思います。すなわち、政府がかつて経験したことのないような巨額な予算を本当に有効に景気対策として実行できるかどうかと思っているわけです。日本でもそうですが、公共工事などの支出は実行段階では巨大な無駄と非効率を生み出します。失敗すれば倒産する民間とは根本的に違うのです。

バイデン副大統領はこの景気刺激策に対して責任を負っていて、政府内に8人の監視チームを置いて連邦政府や州政府、市町村などの予算要求、執行に目を光らせて、無駄や非効率と思われる予算要求は地方に取り下げるよう求めています。

Biden set up an in-house watchdog group, with a team that would grow to eight and a charge to keep the spending clean, quick and defensive.

また、州政府や市町村は、大きな予算を一度に要求できるし、簡単なので既存の橋や道路を補修するよりも新しい橋や道路を作ることを選択しがちですが、雇用の創出効果などから見ても既存の施設の改修・整備のほうが役に立つのです。

【馬鹿げたプロジェクトの数々】

地方の笑い話のようなプロジェクトがタイム誌の記事に紹介されています。例えば、フロリダではハイウェイを横切る亀のための横断道に340万ドルを支出するという予算が計上されたり、内務省の渡り鳥調査のための航空機購入に7百万ドル、数え切れないほどのミニゴルフやフリスビーゴルフといった娯楽施設の建築などです。(バイデンは「ゴルフ」という言葉の入った予算は認めないと指示しています)

民間と違って、役人は何の苦労もなく税金というポケットからお金を出して使います。自らの汗を流して得たマネーだという意識改革なしには、この「無駄を生み出す負のスパイラル」をなくすことは不可能でしょう。

果たして、バイデン副大統領と8人のチーム、そしてオバマ政権は「世論の直感」を真剣に受け止めて、効率的な予算の執行を監視・実行し、米国経済を軌道に乗せることが出来るでしょうか。アメリカの景気回復は日本経済にもリンクしているので、これからしっかり見ておくことが必要でしょう。

  




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