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2011年04月29日

【開いた口がふさがらない】

こういう経営者を放置していたことが本当の「人災」につながった原因のひとつでしょう。

『東京電力の清水正孝社長は28日、福島第1原発事故の被害補償に関し、巨大災害の場合は電力会社の責任を免除する原子力損害賠償法の規定について「私どもとして、そういう理解があり得ると考えている」と述べ、東日本大震災による大津波が免責理由に該当する可能性があるとの認識を表明した。都内の本社で記者団に語った。
 また、役員報酬の50%カットを決めた東電の姿勢を海江田万里経済産業相が生ぬるいと批判したことに対し、「大変厳しい(リストラ策)と考えている」と反論。ただ、今後の対応は「未定」として、さらなる減額などに含みを持たせた。』(4月28日付時事通信)


【あるのは狡猾さのみ】

個人的な攻撃はしたくはないけれど、あまりにもひどすぎるので何度でも取り上げたくなります。この東電社長は一体どこまですっとぼけるのでしょうか?誰に責任があると考えているのでしょうか?少なくとも自分に責任があるとは考えていない証拠が今回の発言にもにじみ出ています。

またしても東電の免責の可能性についてしゃあしゃあと語ってくれました。日本中、いや世界中が福島第一原発の最悪の事態について固唾をのんで見ていた最中に高血圧を理由に「敵前逃亡」していた経営者ですから、恥の上塗りをどんなにしても何も思っていないし、何の反省もないのでしょう。

この経営者1人だけ見ても、東電は破たん処理をすべきだと思います。福島周辺を高濃度の放射能まみれにしてそこに住む住民の方々を場合によってはほとんど一生故郷に戻れなくしたのです。これはまさしく企業犯罪です。国家の施策に乗っただけとは言わせません。原発を動かしていた管理者責任があるのですから。

法治国家では犯罪者は当然起訴されて、その罪の償いをしなければなりません。経営者は獄中に行くべきですし、犯罪企業は被害を受けた人たちにすべての財産を使って償わなければならないはずです。安易に税金で救うなど絶対にあってはならないと思います。電気の供給なんて他の電力会社や新しい仕組みを真剣に考えれば東電がなくなっても出来るはずです。菅政権は覚悟を持って東電の破たん処理に当たってもらいたいと思います。もちろんその次は経済産業省というもうひとつの組織の「破たん処理」でしょう。

そして、もうひとつ。今回の事故原因について一点の曇りもなく冷徹な分析調査をして洗いざらい国民の前に公開することです。  



2011年04月27日

【市民デモ】

ようやく日本でも市民が草の根の声をあげはじめました。

『「(原子力は)安いと言うけど 、原発には保険はきかない。事故があると、国がつぶれるほどのコストがかかる。No more atomic anything.(もう原子力はこりごりだ)」(作家 C・W・ニコルさん)

 これは、地球の環境について考える「アースデイ」にあわせて行われたものです。デモ行進では、家族連れなどおよそ5000人が「エネルギー政策転換を」などと書かれたプラカードを掲げ、渋谷駅前や明治通りなどを練り歩きました。

 「未来のため、新しい時代が始まっていると感じてもらえたら」(歌手 加藤登紀子さん)

 「後遺症として残るもの、範囲があまりに大きい。エネルギーシフトとして見直していく」(湯川れい子さん)

 「子供の世代が安全に生活できないのが一番の問題 」(参加した人)

 一方、東京電力本社前でも、「脱・原発」を訴える複数の団体が合同でデモ行進を行い、警備にあたる警察官ともみ合いになる場面もみられました。』(423日付TBS系(JNN))

【子供たちのために】

黒姫の森で「アファンの森財団」を創り、森を守り育てる活動を続けているC.W.ニコルさんが日本の為に立ちあがりました。その第一声は今の原発のあり様を市民にわかりやすく伝えています。

安全だと言われている原発には保険は効かない。そして今回の福島第一原発の核惨事でまさに天文学的な被害が予想され、保険会社が原発事業に対する保険から今後撤退する可能性さえ出てきたことがようやく日本の未来に新しい可能性を開きつつあると僕も思います。そう、原発はこれから市民の圧倒的な怒りとマーケットからの締め出しをくらって産業として成り立たなくなっていくだろうということです。

もう今までのようなゴマカシは原発を推進してきた人たちには効かないでしょうし、経済原理も働かなくなる。その背後には、これから何十年、いや何世代にわたって苦しみを背負い続けることになる福島やその周辺の方々がおられるのです。福島だけではありません。日本全国いつどこで次の核惨事が起きるかは誰にもわかりません。その可能性が最も高いのが地震による原発事故です。

そして今、いままでとは違ったカタチで市民が動き始めました。たとえ数は少なくとも、これは大きなうねりとなっていくでしょう。怒りを暴力でなく平和的に示す。そのとき、警察官も自分たちも原発事故では放射能の前に無力だということを悟り、市民に圧力をかけることが結局は自分のクビを締めることを悟ることになるでしょう。すべては自分たちの家族のため、子供たちの安全のためなのだから。当たり前の生活を守るためにやるのだから。  



2011年04月26日

【25年前の大惨事】

みなさんは25年前の今日、世界全体を恐怖のどん底に陥れた出来ごとをご存じだろうか。

それはチェルノブイリの原発事故だ。

1986年4月26日午前1時24分、旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発4号炉で原子炉停止実験が失敗、原子炉の暴走が始まり、数度の爆発で瞬く間に大量の放射能が全世界に撒き散らされた。 (写真は25年前、事故を起こした4号炉)

事故直後から数週間の間に起こったことは、事故そのものの悲惨さを上回るような出来事だった。旧ソ連政府による事故隠し。何も知らされないで捨て置かれた何十万人もの避難民の被爆。

その後も旧ソ連政府だけでなく、IAEA(国際原子力機関)を始めとする国際機関や各国政府の事故隠し。長崎・広島を経験した日本さえもその一団に加わった。事故後25年を経た今、事故そのものの記憶の風化が進んでいるが、これらの機関や政府のチェルノブイリの真実を出来るだけ小さく見せたいという意図は本質的には変わっていないように思う。

そして今回3月11日に東日本を襲った大地震と大津波の後、原発大国ニッポンは福島第一原発でチェルノブイリに匹敵する核惨事を引き起こした。世界中が事故の状況を心配する中、僕らだけでなく世界中の人たちが東電、経産省原子力安全・保安院、政府官邸などから発信される情報に不信感と疑念を募らせていった。その間も事態は刻一刻と深刻になり、未だに収束の道筋は定かではない。

【恐怖の「見えない雲」】

しかし、福島第一原発の核惨事の本当の恐怖はこれから始まる。それはとりもなおさず空気、土、水、さらに加えて海の放射能汚染だ。事故当初は対外被ばくが恐怖の中心だったが、これからは食物を通じて起きる体内被曝が5年~10年後に子供たちを中心に顕在化してくるのだ。チェルノブイリはその原発事故による大規模な放射能汚染の貴重な教訓だったのだ。

僕自身は史上最悪と言われたチェルノブイリ原発事故当時のことは今でも鮮明に覚えている。事故発生後数日経ってから北欧や欧州各地で基準値を大幅に上回る放射性物質が大気中から検出され、世界中が大騒ぎとなり、特に欧州では「見えない雲」、すなわち目には見えないが恐ろしい放射能を含んだ雲の飛来に数週間、数か月にわたって人々は怯え続けたのだ。(それらの放射性物質が日本にまで飛来していたころ、5月のゴールデンウィークの最中に東京の皇居周辺ではあの亡くなったダイアナ妃の歓迎パレードが行われていた)

そしてそれは杞憂ではなかったし、実際にチェルノブイリ周辺数百キロの地域で大規模な放射能汚染が発生、甲状腺ガンなどによる事故の直接・間接的被害による死者は数十万人から数百万人にのぼったと言われている。福島第一原発の放射能汚染の規模はチェルノブイリの10分の1と報道されているが、福島がチェルノブイリと同じ道を辿るのは間違いない。

【生かせなかった教訓】

チェルノブイリは本当に恐ろしい体験だった。チェルノブイリから数千キロも離れた日本でもそう感じたのだから、全市民が避難したキエフやヨーロッパの人々の恐怖は並大抵のものではなかったはずだ。

あれから25年。その記憶は人々の脳裏から消えていた。そして起こった福島第一原発の核惨事。教訓は生かされなかった。

あのチェルノブイリのときに味わった恐怖を原発の専門家たちだけでなく、市民である僕たちも決して忘れてはならないと昨年まで思っていた。そして忘れたころに災難はやってきた。もう福島周辺の土地は何十年にもわたって「放射線管理区域」として容易に人が住めない地区となった。

チェルノブイリよりもまだ恐ろしいのは、未だに放射能は大気中、土壌、海に汚染を広げており、いつ止められるのかわからないこと、そしてさらなる水素爆発→大量の放射能放出の可能性が残っているということだ。しかも、福島だけでなく、地震の多発する日本列島には55基もの原発、3千トンもの使用済核燃料を貯蔵したままの六ケ所村再処理工場があるということだ。日本という国、そしてそこに住む僕たちは生き残れるのだろうか。

≪参考記事≫

1.「チェルノブイリの真実」―2006年4月16日の僕のブログ記事

2.「ゴルバチョフ氏の回想」―2006年3月9日の僕のブログ記事
  



2011年04月25日

【謝罪と怒号】

東電の清水社長がやっと住民の方々に謝罪しました。

『東京電力の清水正孝社長は22日、福島第1原発事故で周辺住民が避難している福島県内の避難所を訪問した。事故から約1カ月半。ようやく謝罪に現れた社長に、住民は怒りをあらわにした。
 清水社長は午後1時半ごろ、約1500人が避難する郡山市のビッグパレットふくしまに、青の防災服姿で現れた。2時間近くにわたり、時には土下座しながら住民にわびて回った。
 富岡町の主婦遠藤恵子さん(55)は「きれいな富岡の町を返してください。もう帰りたいんです」と涙を流しながら清水社長に詰め寄った。夫(55)と2人の避難所暮らしは1カ月以上。持病も悪化し、先行きの見えない生活に死を考えたこともあるという。
 避難先で前日、母親(95)が亡くなったという横田一也さん(63)は「避難先で知人8人を亡くした。東電は殺人者だ。もう流す涙もない」と怒りをぶちまけた。
 「どんな思いで生活しているか、ここで寝起きしてみて」。富岡町の農業佐藤ふじ子さん(58)も声を荒らげた。一時帰宅した際、飼っていた牛8頭のうち4頭は死に、子牛を身ごもっていた母牛の姿はなかった。「謝罪はうわべだけ。生活をどうしてくれるのか」と吐き捨てるように言った。
 一方、避難者の中には「頑張ってください」「体に気をつけて」と励ます人もいた。
 清水社長は謝罪を終え、「心身ともにご苦労されている様子が身にしみた。今まで築き上げた地域との信頼関係が崩れたと痛感した」と語った。その後、夜には同原発がある双葉町の住民約1400人が集団避難生活を送る埼玉県立旧騎西高校(同県加須市)を訪問。井戸川克隆町長に「一日も早く皆さまが故郷で生活できるよう全力を尽くしたい」と謝罪したが、同校での滞在時間は7分程度で、町民には会わなかった。』(4月22日付時事通信)


【悪いのは東電だけか?】

清水社長の謝罪はあまりにも遅く、あまりにも型どおりで住民の方々からすれば「今頃何しに来た?」という気持ちだと思います。謝って済むような問題ではないのは明らかです。原発の建設から稼働に至るまで何でも金で解決できると傲慢に振る舞ってきた東電は、もう二度と住民の信頼を得ることはないでしょう。他の電力会社も同じだと思います。

でも悪いのは東電だけではありません。もともと電力会社は単に電気をつくり、町や村に安定的に供給するだけの民間企業です。一旦事故を起こせば悪魔のように生物に襲いかかる放射能をまき散らす原子力をここまで住民を騙し、国民にウソをつき、命にかかわる情報を隠し続け、安全への努力を怠り続けたのは、原子力安全・保安院をはじめとする経済産業省を頂点とする官僚組織であり、それを容認し続けた自民党や民主党の過去数十年以上にわたって政治を担ってきた政治家であり、それに迎合してきた学者であり、真実の報道をしてこなかったメディアであり、最後にそれを黙って見過ごしてきた僕ら国民全部なのです。

これから何十年と続くであろう核汚染、残留放射能の恐怖を身を持って知り、原子力の本当の見直しをしていくために、今まで原子力に関わってきた官僚や政治家はすべて福島に行って住民の方々の怒りを真正面から受け止めるべきだと思います。僕らもこんな惨事を招いた当事者として今この瞬間の被災地の方々の怒りを胸に刻んでおかなければなりません。これからも地震列島ニッポンの原発による汚染は避けられないでしょう。そのとき僕たちも日本全国どこにも逃げ場はない原発列島に住む住民のひとりとして、これからも放出される放射能から逃げることはできないのですから。  


2011年04月22日

【孫さんの提言】

ソフトバンクの孫社長が新たな構想を打ち出しました。

『ソフトバンクの孫正義社長は20日、太陽電池など環境エネルギーの普及を促進するため、「自然エネルギー財団」を設置すると発表した。世界中の科学者ら約100人に参加を促し、政府への政策提言などを行うという。

 同日午後、開かれた民主党の復興ビジョン会合で明らかにした。

 孫社長は福島第1原発の事故を受け、自然エネルギーへの転換を主張。東日本大震災の被災地域を中心に「東日本ソーラーベルト」を作る構想などを提案したほか、普及促進策として自然エネルギーで発電された電力の全量買い取り制度の導入も求めた。

 孫社長は「太陽電池の輸出国として世界最大のソーラーベルトを作ろう。もう一度日は昇る。希望あふれるビジョンを作ろう」と語った。』(4月20日付産経新聞)

【提言くらいでは無理?】

孫社長のニッポンの未来を思う気持ちにウソはないと信じます。だからこそ、東日本大震災に個人で100億円を寄付し、さらに今回は自然エネルギーの普及に向けた政策提言集団として「自然エネルギー財団」を立ち上げるというのです。本当に頭が下がる思いです。

しかし、これほどの核惨事を起こしても一遍の謝罪もない経済産業省という巨大な官僚機構のしたたかさを思うと、孫さんのような民間の人間が政府にどんなに優れた政策提言をしようとしても、いつのまにか闇に葬られてしまうでしょう。彼らは今まで住民の命などまったく関心がなかったわけだし、これだけの放射能汚染をまき散らしても何の痛みも感じていないのですから。

したがって、本当は原発を推進してきたあらゆる政府関係機関を一旦清算することが必要なのですが、それはほぼ不可能だと思います。望みがあるとすれば今回の福島第一原発の核惨事によって原子力発電所そのもののリスクが天文学的に高くなり、どこの保険会社もこの事業に手を出せなくなるようになること、原子力産業が市場から見放されることしかないのかもしれません。これまでにもお伝えしているように国民が今までの原子力のあり方に怒りをぶつけることも大事ですが、経済原理が原子力産業にまっとうに働くことが新たなエネルギー社会にニッポンが向かう数少ない道だと僕は思います。

ただし、すでに存在する原発そして使用済核燃料の安全性の確保、今後の廃炉に向けた事業のためには、完全に原子力産業がなくなるわけにもいかないというのも事実です。  



2011年04月21日

【電源トラブル】

韓国・釜山市にある古里原発で外部電源が一時喪失するという事故がありました。

『韓国の原子力発電事業者「韓国水力原子力」は19日、南部・釜山市にある古里原発の4号機で同日、外部電源の供給が約1時間半にわたり中断するトラブルが発生したと明らかにした。


 非常用のディーゼル発電機が稼働して電力を供給し、4号機は運転を継続した。原発の安全性に問題はないが、作業員2人が感電し軽いやけどを負った。

 同原発では12日に、1号機が電源系統の遮断器故障で運転を停止するトラブルが起きたばかり。

 同社などによると、同原発は定期点検中の3号機と4号機が同じ系統の外部電源を使用。今月4日から停止中の3号機の機器に問題が生じ、4号機への電力供給にも影響を与えたとみられる。3号機は核燃料交換作業も行っている。

 約30年の設計寿命を延長している1号機については、老朽化による事故発生の可能性が高いとして、周辺住民らが裁判所に運転停止を求める仮処分申請を行うなど「廃炉」を求める声が次第に強まっている。』(4月20日付東京新聞)


【環境問題の核心】

今回電源を一時喪失した韓国の古里原発というのは、玄界灘という海を隔ててはいますが、福岡市までの距離はおよそ190キロです。3月に大量の放射能汚染を起こした福島第一原発から首都圏までの距離はおよそ200キロから250キロですから同程度の距離だということです。もちろんこの韓国の原発よりも佐賀県の玄海原発のほうが福岡市からの距離でいけばおよそ50キロですので、それからすると約4倍の距離があることになります。

しかしながら、重要なことは大気中の放射能汚染にしても、黄砂等の大気汚染にしても、あるいは様々な廃棄物の投棄による海洋汚染にしても、人間や生物の環境を破壊する環境問題に国境は無意味だということです。日本の玄海原発が事故を起こしても、あるいは韓国の古里原発が事故を起こしても、福岡市に住む僕たちも、海の反対側に住む釜山市の方々もその影響は国境を超えて及んでいくということをしっかり認識しておく必要があります。

福島第一原発の核惨事は、国境を超えて大気中に放出された大量の放射能と併せて、世界中につながっている海洋への放射性物質の投棄を行ったという意味で、日本が犯した罪はとてつもなく大きなものだと思います。  



2011年04月20日

【すべて白紙】

菅総理が国会で質問に答えました。

『菅直人首相は18日午後、東日本大震災に関する参院予算委員会の集中審議で、今後の原子力政策について「(東京電力福島第1原発)事故を踏まえて白紙から検証し、再検討する必要がある」と強調した。その上で「安全性を確認することを抜きにして、これまでの計画をそのまま進めていくことにはならない」と述べ、原発増設計画の凍結を示唆した。
 国内には福島第1原発を含め54基の商業原発があり、政府は2030年までに14基以上を新増設することを計画している。首相は3月に共産党の志位和夫委員長と会談した際にも「白紙を含め検討する」と述べていたが、国会でも事故の検証を踏まえて再検討する方針を示した。
 また、首相は福島第1以外の国内の原発について「これまでの(安全)基準でいいか再チェックする必要がある」と述べた。
 首相は原発事故で避難している住民への対応について「(東電が事故収束への工程表の第2段階とした)6~9カ月たった時点で、できる限り多くの方が戻っていけるように努力するのが政府の役割だ」と述べ、帰宅実現へ最大限努力する考えを強調した。
 一方、民主党マニフェスト(政権公約)の重点政策に関しては、「最優先されるべきは震災の復旧・復興だ。その優先度の中で判断していく」と、復興財源確保のため柔軟に見直す姿勢を示した。公明党の加藤修一、みんなの党の小野次郎、社民党の福島瑞穂各氏に対する答弁。』(4月18日付時事通信)


【当たり前の動き】

福島第一原発の核惨事による放射能汚染は、日本だけではなく世界中に恐怖と衝撃を与えました。しかも、1ヶ月以上経っても希望的な行程表がやっと東電から出てきただけで、未だに解決の確実な見通しは立っていません。

しかもさらに恐ろしいことには、今回の福島第一原発でこれほどの惨事が起きたのは、地震と津波による全電源喪失が原因であり、これからまだまだ日本各地で起こるであろう直下型地震などによる原子炉建屋とタービン建屋の複雑な配管のギロチン破断などによる原子炉事故ではなかったということです。地震による配管の破断などが起これば、電源喪失以上の大惨事となります。すなわち、これから東海地震の震源に近い浜岡原発や若狭湾にある14基もの原発の地盤に走る活断層など全国54基の原発のどこかでいづれ直下型地震やプレート型地震による「想定外」の事故が起こる可能性が高いということです。

そう考えれば、自ずから日本が原発に対して取るべき方向性というのがある程度見えてくるのではないでしょうか。どんなに安全対策を施しても自然の脅威にはかなわないことがわかっても、まだ「電気にとって原発は必要だ、そのためにある程度の危険はやむを得ない」とよくよく考えもせずに判断する私たち多くの日本人。これほどの核汚染が目の前で起こっても、まだ目覚めない多くの日本人。菅首相の原発増設をいったん白紙にして、今回の事故の原因をしっかり見極めるという判断は当然のことであるし、増設だけではなくすべての原発の見直しに踏み切るべきだと思います。  



2011年04月19日

【ドイツの決断】

ドイツの首相が再び原子力からの撤退を言明しています。

『東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けてエネルギー政策の見直しを進めているドイツのメルケル首相は15日、「原発をできるだけ早く廃止したい」と述べて、原発の稼働期間の延長を柱とした、みずからのエネルギー政策を改める意向を示しました。

ドイツのメルケル首相は、去年秋、国内にある原発17基の運転を平均で12年間延長する方針を決めましたが、福島第一原発の事故を受けて、この決定を3か月間凍結し、原発を含めたエネルギー政策の見直しを行っています。15日には、16すべての州の首相や関係閣僚を集めて、エネルギー政策について協議を行いました。このあとメルケル首相は記者会見し、「われわれはできるだけ早く原発を廃止して再生可能エネルギーに移行したい」と述べ、原発の稼働延長を柱としたみずからの政策を転換する意向を示しました。そのうえで、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの普及に向けた議論を加速させる方針を示しました。ドイツでは9年前、前の政権のもと、原発の運転を2022年ごろまでに、すべて停止するとした「脱原発法」が制定されたのに対し、メルケル政権は、代替エネルギーの普及が追いついていないなどとして原発の稼働延長に大きくかじを切ったばかりでした。』(4月76日付NHK)


【市民と文明観】

この記事にもあるように、ドイツでは1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故の後、ヨーロッパ全域に広がった深刻な放射能汚染を契機に原子力発電に対する根源的な疑念が市民の間に湧きおこり、環境を重視する政治的うねりをもたらしました。そしてそれが脱原発の大きなうねりとなったのです。

しかし、ここ10年余りの間に地球温暖化問題の解決に原子力発電が有効であるという考え方が広まり、世界的に「原子力ルネッサンス」と呼ばれるような原子力発電の新規着工が世界中に行われるようになりました。その最中に起こったのが今回の福島第一原発の核惨事です。

ドイツでは一番早くこの核惨事に国全体が反応し、運転中の古い原発が一時停止され、メルケル首相率いる与党が選挙で大敗、原発を当面存続していくとしていた与党が方向転換を迫られる事態となっているのです。そして再びドイツは自らの文明観を見なおそうという方向に市民が政府の背中を押そうとしているのです。

ひるがえってニッポン。今回の福島第一原発の核惨事を見ていて、強く思うのはこの核惨事は日本人全体の責任で起こったということです。一部の政治家や東京電力、経産省等の官僚等のなりふり構わぬ原子力推進、情報の秘匿、反対派の無視などを過去何十年にもわたって許してきたのは私たち市民、国民だということを忘れてはいけないと思います。これほど地震が多発するニッポンにこんなに多くの原発を作り続けることがこれからも日本だけでなく、世界中に核汚染の脅威を振りまいていくことになるということを今一度しっかり考え抜いて、文明観の転換を図っていかなければならないと思います。そのとき、ドイツの市民の勇気、文明観の転換が本当の意味で助けになると思っています。


本当に原発が日本という国家の存立に不可欠なのか、逆に地震大国・ニッポンにとって今回の福島第一原発の事故のようにとてつもない脅威になるのではないのか、ひとりひとりが深く、深く考える必要があると思います。  



2011年04月18日

【議論スタート】

復興構想会議が14日スタートしました。

『「全国民の英知を結集する」として菅直人首相が発足させた東日本大震災復興構想会議(議長・五百旗頭真防衛大学校長)の議論が14日始まった。6月末をめどに第1次提言をまとめることを確認したが、首相が議論の対象から原発問題を外すよう指示したのに対し哲学者の梅原猛特別顧問らから異論が噴出。震災発生後の本部・会議の乱立や政治主導の政権運営に疑念を呈する発言も相次ぎ、復興構想の具体化に不安を残すスタートとなった。

 「原発問題を考えずには、この復興会議は意味がない」

 以前から原発の危険性を唱えてきた梅原氏は会議の終了後、記者団にこう言い切った。首相自ら特別顧問就任を要請した梅原氏だが、東京電力福島第1原発事故の収束する見通しの立たない中、賛否の割れる原発問題に踏み込みたくない首相の意向と会議の間に初会合からずれが生じた。

 原発事故の被害に苦しむ福島県の佐藤雄平知事は「原子力災害も皆さんに共有していただきたい。安全で安心でない原子力発電所はありえない」と提起。秋田県出身の脚本家、内館牧子氏も「地震、津波、原発事故という3本の柱で考えたい」と述べ、復興構想の中に原発をどう位置づけるかが議論の焦点の一つになりそうだ。

 内館氏は対策本部や会議の乱立にも「復興構想会議もその中の一つと国民に思われたら、東北がつぶれる」と苦言。震災後も府省や自治体との連携不足が目立つ菅政権に対し、「官僚と県や市が一体となってやることがまず第一」と注文をつけた。

 五百旗頭氏は会議後の記者会見で「(検討)部会で専門的な議論をするときには官僚機構から知恵を出してもらいたい」と強調。会議の下に設置する検討部会(部会長・飯尾潤政策研究大学院大教授)で提言の肉付けを進める段階で、官僚の協力を期待する考えを示した。』(4月14日付毎日新聞)

【原子力抜きの議論?】

初の会議から波乱含みとなりました。それはこの記事にあるように、梅原特別顧問など数人の委員から原発抜きでは復興構想会議にならないという意見が噴出したからです。当然だと思います。

地震と津波と原子力災害が3つ一緒に起こったからこそ、今回のような天災と人災のミックスで東日本全体がかつてない悲惨な状況に追い込まれているのです。その最も大きな原因である福島の核惨事を議論から除外してしまっては、腑抜けのような結論しか出てこないことは明らかです。原発で議論が紛糾するのは当然でしょう。ならばどんなに紛糾してもトコトン議論すべきです。日本がまさに沈没せんとしているときに、その最も大きなガンである原子力問題を抜きにして復興はあり得ない。

これほどの核惨事を招いてもまだ日本人はわからないのでしょうか?復興構想会議のメンバーのひとりである玄侑宗久さんが自身のブログに書いているように、今回の地方自治の首長を選ぶ選挙でも原発容認派の知事がたくさん選ばれたようですが、自分の足元の原発が爆発しなければ福島の核惨事でさえ他人事なのです。日本は本当にこのままでは次々と襲いかかる大地震を引き金とする原発の核惨事で壊滅するところまでいくしかないのかもしれません。本当にぞっとします。

玄侑宗久さんのブログ「雪月花」→ http://www.genyu-sokyu.com/
  



2011年04月15日

【両陛下被災地へ】

天皇、皇后両陛下が被災地に行かれることになりました。

『宮内庁の羽毛田信吾長官は13日、天皇、皇后両陛下が東日本大震災の被災者を見舞うため、ゴールデンウイーク前後に宮城、岩手、福島の3県を訪問される方向で準備していることを明らかにした。
 同長官は、両陛下の訪問について、既に3県知事の了承を得たとし、「できれば連休前から連休すぎのそう遠くならない時期までに、両陛下の被災地ご訪問が実現できるよう準備を進めてまいりたい」と述べた。
 同長官によると、どの県から訪れるかや、どの自治体を訪れるかは各県と調整中。ただ、被災地が広範囲にわたる上、両陛下が高齢であることも踏まえ、まずは各県1カ所ずつを選び、日帰りでの訪問を検討している。
 両陛下は、1995年1月の阪神大震災の際、発生2週間後に現地入り。今回もできるだけ早い被災地入りを希望していたが、被災地の厳しい状況が続いていることから控えていた。
 両陛下は先月30日、東京都足立区の避難所を、今月8日には埼玉県加須市の避難所を訪れ、被災者を直接見舞った。14日には今回の被災地として初めて津波の被害を受けた千葉県旭市を、来週には茨城県入りし北茨城市などを訪れる予定。』(4月13日付時事通信)


【心を救う】

連日報道される東日本大震災の被災地の状況は、1ヶ月以上経った今でも地震発生当初とそれほど大きく変わっていないように見えます。被害を受けた地域が広範囲にわたっていること、福島第一原発の核惨事が福島県を中心にかなり広い範囲で被災地復興に暗い影を落としていることがその原因だと思われます。

さらには与野党の政治家や政府の動きに今ひとつ全力で被災地を救おうという「心」が見えてこないのも、被災地の方々の心が休まらない原因のひとつのようにも見えます。

そしてもうひとつ。震災前には技術立国と胸を張っていたニッポンの核汚染の収束が見えないこと、その人災の元凶となった東電首脳陣や政府・官僚トップに一向に被災地の人々への「誠意」が見えてこない、この期に及んでも自分たちの保身ぱかりが目立つことも被災地の人々の憤りを誘っています。
そんな中、天皇、皇后両陛下の「こころ」が日本の唯一の救いです。ご高齢であるにもかかわらず、自ら被災地の避難所に赴いて膝をついて被災された方々の心を思いやする姿。本当に、本当にありがたいと思います。

肝心なときに病気になって、事態が少し落ち着いてきたと思いきや忽然と現れてしゃあしゃあと記者会見し、被災地の方々に土下座して謝ることもなく、金を払うことばかり喋るどこかの電力会社のトップをはじめとする原発の安全をないがしろにしてきた当事者の方々は、両陛下のこの「こころ」をしっかり自分の濁りきった心に刻んでいただきたいと思います。僕も無知なまま原発を今まで容認してきた国民の一人として深く両陛下の「こころ」にひざまずきたい思いです。  



2011年04月14日

【1ヶ月後の真実】

今頃こんな発表をして、一体なにを言いたいのだろうか?

『東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は12日午前の記者会見で、政府が同日、福島第1原発事故を国際的な評価に基づく事故評価を最悪の「レベル7」に引き上げたことについて、「福島第1原発は放射性物質の放出を止め切れておらず、(放出量は)チェルノブイリ原発事故に匹敵、または超える懸念がある」との認識を示した。 

【写真】爆発事故を起こし大破したチェルノブイリ原子力発電所

 原子力安全・保安院は同日午前の会見で、福島第1原発事故の放射性物質の放出量について、チェルノブイリ原発事故の1割とみられるとしている。ただ、福島第1原発では1~3号機の圧力容器や格納容器が損傷している恐れがあり、松本本部長代理は「原子炉から放射性物質が100%外に出れば、チェルノブイリを超える可能性もある」と説明した。』(4月12日付産経新聞)

【これからが始まり】

3月11日の東日本大震災発生当初から今までずっと福島第一原発の状況についてブログに書き続けてきました。なぜそうしたかというと、事故発生直後からチェルノブイリ以上の核惨事になるのではないかという恐怖を誰かに伝えたいと思い続けていたからです。そしてその時、その時に自分が何を考えていたか記録に残しておきたかったからです。(3月11日からずっと書いていますので是非お時間があれば時系列にご覧ください)

悲しいことに、この核惨事は僕の想像を超えて次々と悪化していきました。最初のきっかけは巨大地震と巨大津波という「想定外の」天災だったかもしれません。でも、途中からは東電や原子力安全・保安院をはじめとする原子力を今まで推進してきた指導層の人間達がもたらす「人災」だということが自ずから誰の目にも明らかになっていきました。最初から住民の命や安全など念頭になかった人たちです。

そして今回のレベル7の発表です。彼らはこんなとてつもない人災をもたらした今でも、平然と「まだチェルノブイリよりも悪くなる可能性があります」とか、「それでもチェルノブイリの10分の1しか放射能は出ていません」と語っているのです。(しかし、当局が最悪の「レベル7」と言っている意味は重大です。彼らが福島原発の情報を一番持っていて「最悪」と考えているというのは相当の危機感を持っているということです。すなわち4基の破壊された原発の1基でも二度目の水素爆発を起こしたら、今修復作業を行っている作業員の方々は全員避難せざるをえなくなり、福島第一の6基の原発すべてから撤退せざるを得なくなるということです。)

すなわち、今はまだ直接の死者は出ていないものの、1基でも二度目の水素爆発を起こしたら、福島第一の6基すべてが緊急事態に陥り間違いなく東日本全体、いや日本全体が生き地獄のような状況に陥る可能性があると思います。(6基すべてが制御不能になればチェルノブイリの比ではなくなります)

それくらいの想像力を働かせて、みんなが真剣にこの原発震災の災禍を考えないといけないと思っています。日本人は誰ひとりとして、どこにいても逃れられないのです。福島だけの問題ではないということを真剣に考えないといけない。それほど切羽詰まった状況だということです。どんなに泣き叫んでも四方を海に囲まれた日本人はどこにも逃げ場はないということをもう一度考えておかなければならないと思います。  



2011年04月12日

【あわや第二の福島?】

巨大余震で第二の福島が目前に迫っていました。

『7日深夜に最大震度6強を観測した東日本大震災の余震で、北海道から東北の原発は大きな影響を受けた。一部の原発や原子力施設は外部からの電力供給を断たれたほか、外部電力の復旧後も非常用電源(ディーゼル発電機)が故障した。今のところ、東京電力福島第1原発(福島県)のような深刻な事故にいたっていないが、今後もマグニチュード7級の余震が起こる恐れがあり、経済産業省原子力安全・保安院は「安全策をもっと担保する必要がある」と指摘する。地震国・日本で、原発の電力確保が「綱渡り」であることが改めて浮き彫りになった。

 ◇電源トラブル拡大

 東北電力東通(ひがしどおり)原発(青森県)は、7日午後11時32分の余震発生直後、県内の広範囲にわたる停電の影響などで、2系統あった外部からの送電が止まった。直後に非常用ディーゼル発電機1台が起動し、使用済み核燃料プールの冷却は維持された。8日午前3時半には、外部電源1系統が復旧した。定期点検中で運転しておらず、外部に放射性物質は漏えいしていない。

 ところが同午後2時前、運転中の非常用ディーゼル発電機から軽油が漏れ出して故障。全部で3台備えているが、別の2台は検査で使えない。今後、再び地震による停電などで外部電源が遮断されれば、電源車で対応するしかないという。

 東北電力女川原発(宮城県)は余震直後、停電のため3系統ある外部からの送電のうち2系統が止まった。1~3号機は3月11日の震災後、運転していなかった。1系統残ったが、強い揺れで使用済み核燃料プールの計器が誤作動して自動停止し、一時、プールの冷却ができなくなった。結局、機器に損傷はなく、約1時間後、手動で冷却を再開した。

 しかし、原子力安全・保安院によると、女川原発1号機の非常用ディーゼル発電機2台のうち1台が4月1日の点検で故障していたことも判明。不安要因をぬぐい去ることができずにいる。』(4月8日付毎日新聞)

【地震大国の宿命】

東日本大震災の余震は、余震と呼ぶにはあまりにも巨大でしつこいようです。マグニチュード7以上だけでもすでに4回も起きており、被災地の方々は本当に大変な思いをされていると思います。

そんな地震の恐怖に原発の恐怖が加わればどんな状況になるか、今回の福島第一原発の核惨事は僕たち日本国民に地震と原発が併存する日本の危険性を突きつけました。まだまだ福島第一原発の先が見えないうちに起こった宮城の震度6強の余震。東北にある福島以外の原発施設である東通原発、女川原発、そして六ケ所村再処理工場すべてで一時外部電源が喪失しました。その後復旧したものの、東通原発では非常用発電機も故障したことが東北電力から明らかにされました。

もしも東通原発か女川原発が電源喪失で「第二の福島」になっていたら?福島でさえ、政府も東電も次々と起こる「想定外」の事態に慌てふためいているのに、別の場所で同じような核惨事が起きたらもう間違いなくお手上げでしょう。こんな危険な原発大国は、まさに地震災害と原発の核惨事の実験場みたいなものです。

これでも石原都知事のように「(今回の事故で)原子力が全面否定されることは、国にとって好ましくない」と言い続ける人の神経を問いたいです。どんなに時間がかかろうとも、新しいやり方に変えようという強い意志さえあれば日本なら変えられる。住民の安全など二の次で思考停止したままの原発推進論者の人たちには退場していただくしかないと思います。  



2011年04月11日

【反原発の歌】

痛烈な反原発の歌が巷で話題になっています。

『シンガー・ソングライターの斉藤和義(44)が8日、自身の曲「ずっと好きだった」の歌詞を反原発の内容にした替え歌を、動画サイト「USTREAM」での生放送で披露した。

 曲名は「ずっとウソだった」で、「ほんとウソだったんだぜ 原子力は安全です」「ずっとウソだったんだぜ ホウレンソウ食いてえな」「何人が被ばくすれば気が付いてくれるの この国の政府」「ほんとクソだったんだぜ」と、安全神話にのっとった原子力政策を批判。3万3000人以上が視聴し「今、何かと話題の斉藤です。ウッシッシ」とネタにする場面も。曲の途中で放送が止まるハプニングもあり、繰り返し歌唱した。

 同曲は、7日に「You Tube」上で出回り、投稿、削除が繰り返されるなど話題に。関係者は「映像はプライベートに作られたもの。意図しない形で公になったのは遺憾」とコメントしていた。』(4月9日付スポーツ報知)


【社会現象】

記事にあるように、この歌は斎藤さんの所属するビクターエンターテインメントが「当社として作品で出したものではなく、意図しない形でアップされたため、削除を依頼した」とのことですが、削除されても次々とネット上でアップされるため誰でも視聴することができます。

斎藤和義の「ずっとウソだった」動画サイト

http://www.youtube.com/watch?v=FZ2-vE6PqAg

歌には賛否両論が出ているようですが、正直聞いてみて痛快でした。原発問題というのは、そもそも内容が難解であることや電力会社や官僚組織といった巨大な権力に対する正面切った批判となることもあってどちらかというと批判する側が圧倒的に弱い立場に置かれ、極端な場合には反社会的だとしてマスコミなどからも無視されてきたというのが正直なところではないでしょうか。

原発問題を扱ったアルバムを出して一時販売中止になったことがあるのは、忌野清志郎さん(享年58歳)が率いたロックバンド「RCサクセション」です。忌野清志郎さんはその後もアルバム『COVERS』(1988年)に収録された「サマータイム・ブルース」で、露骨な原発批判を展開しているのですが、斎藤さんは忌野清志郎さんとも交流があったらしいとのことでその遺志を継いだのかも知れません。

ただ、忌野清志郎さんやそのほかの反原発歌と今回が決定的に違うのは、チェルノブイリ原発事故に匹敵する原発事故がこともあろうにこのニッポンで発生し、夥しい数の原発被災者を生み出して東電をはじめとする電力会社や政府が今まで「安全だ」と唱えていたお題目がもろくも崩れ去ったというまぎれもない事実があるということです。僕は事故発生以来、今回は市民が本気で怒らないとまた同じことが繰り返されると言ってきましたが、そのやり場のない激しい怒りを斎藤さんは歌で表現したということだと思います。文章や言葉で伝えようとしてもなかなか伝わりにくい原発問題をこれほどわかりやすく伝えたという意味では、歌の力は凄いと感じました。みなさんはどう思われますか?(「続きを読む」以下に歌詞をアップしています)  



2011年04月08日

【増え続ける犠牲者の数】
東日本大震災の犠牲者は依然として増え続けています。

『東日本大震災は7日、発生から28日目を迎えた。警察庁の同日午後8時時点のまとめによると、死者は1万2690人、行方不明者は1万4736人で、合わせて2万7426人となった。18都道県の2340カ所で、約15万7000人が避難生活を強いられている。
 同庁によると、岩手、宮城、福島の3県で収容された遺体のうち、同日までに身元が確認されたのは1万427人に上る。
 死者は宮城県7743人、岩手県3709人、福島県1177人など12都道県に及ぶ。同庁が把握している行方不明者は宮城県6646人、岩手県4422人、福島県3664人など6県にわたっている。これまで集計されていなかった宮城県山元町の不明者数も含まれる。』(4月7日付時事通信) 


【増え続ける義えん金】

今回の地震と津波、そして福島第一原発の核惨事は現代日本が経験したことのない未曾有の大災害ということが、連日のメディアの報道でも逐一日本だけでなく世界中に流れているために、義えん金の額も桁外れに大きいようです。

ここ福岡でも様々な団体や個人が義えん金や募金を募っていて、どこの募金でも今までの災害とは二桁くらい違うお金が集まっているようです。実際募金箱にも千円以上入れる方が多いのを目にしました。海外からの支援で目立つのは台湾。すでに100億円以上の義えん金が主に民間から集まっていると聞いていますが、台湾の方々の日本に対する思いが伝わってきて本当に感謝の気持ちでいっぱいになります。これらの義えん金は、それだけ今回の災害や被災者への救援に対する人々の意識が高いからだと思われます

【意外に少ない支援】

しかし、意外な事実もあります。4月11日付のタイム誌はその経済欄の記事「手を差し伸べる」("Helping Hands?" by Josh Sanburn, p.13, TIME magazine issued on April 11, 2011)の中で、東日本大震災に対する海外から日本への支援金の額はその損害額の大きさと比較すると、それほど集まっていないというのです。

具体的な損害額と海外からの支援金の額を挙げると、アメリカのハリケーン・カトリーナは損害額6.9兆円に対して、支援金2900億円、チリ地震では2.6兆円に対して63億円、2004年のスマトラ沖地震では1.3兆円に対して5800億円、ハイチ地震では1.2兆円に対して3900億円となっているそうですが、東日本大震災の場合には損害予想額が20兆円近いのに対して、海外からの支援金は598億円(3月29日現在、7億ドル)となっています。絶対額でも割合にしても他の世界の災害と比べるとけた違いに支援金が少なくなっているのです。これはなぜか?

タイム誌によれば、大方の海外の国は「日本は災害に対する救援の仕組みがきっちり確立されている先進国だから(大きな支援は要らない)」と考えているからではないかとのことでした。

地震が起こった後の日本国民の秩序だった行動や迅速な救援活動などに海外の賞賛が集まっているのもそういった「日本は立派に自助努力でこの困難を克服できる」という海外の見方につながっているのだと思います。原発の核惨事という人災もありますが、ここはその海外の見方を裏切らないようにしっかりと日本人が自らの意志で克服していくことが求められていると思います。僕もひとりの日本人としてしっかり頑張って行きたいと思います。  



2011年04月07日

【西田の怒り】

あの西田敏行さんが怒りに震えているそうです。

『人間味あふれる演技で知られるベテラン俳優の西田敏行(63)が激怒している。

 NHKをはじめ各局のニュースで、見た方も多いだろう。今月2日、西田は故郷の福島県郡山市のスーパーで県産の野菜やイチゴ、キュウリなどを食べて安全性のアピールにひと役買った。このとき涙に目を潤ませながら、「美しい福島を汚したのは誰だ! 誰が福島をこんなにしたんだ! 本当に本当に腹が立つ。福島はどんなことがあっても負けねぇぞ!」と絶叫した。

 大震災以降、仕事の合間をぬって、政府の対応や風評被害を訴えている。

 4日には早朝からTBS系「みのもんたの朝ズバッ!」に生出演。福島第1原発事故の影響で、福島県産の牛肉について不安を煽るような不確定な発表が行われ、撤回・修正された。これには、「あきれて物が言えないですよ。風評被害というのは、一度立っちゃうと、払拭するまでものすごい時間がかかっちゃう」と怒り心頭。

 同じ日の朝日新聞朝刊では、「我慢強い人が多い福島ですけど、今度だけは、ね。東京電力や原発を進めてきた政治家たちに怒りの声を張り上げたい」と心境を寄せた。』(4月6日付夕刊フジ)


【故郷を思う心】

東北人、とりわけ福島県人の方々の我慢強さは九州人にはとても真似が出来ないものと常々感心していましたが、今回の東日本大地震の被災地での被災者の方々の表情や語り口は物静かで、耐えに耐えているという場面が多いような気がします。

天災である地震と津波についてはそれもわかる気がします。でも福島第一原発の核惨事については、天災ではありません。津波が「想定外」だったからと言い訳する東電や政府は、事故発生後次々と「想定外」の失態を繰り返し、もう今回の核惨事が「想定外」などと言い訳できないくらいの人災であることを自ら証明しています。それでも福島の原発被災者の方々は少なくともテレビの映像などで拝見する限りにおいては、苦悩の表情を浮かべながらもじっと我慢しているという印象です。西田さんは、そういう福島の方々の本音の気持ちを同郷人として代弁しておられるのだと思います。

今怒らなければ、今まで住民の命などものともせずに原発推進にまい進してきた東京電力をはじめとする電力会社、経産省などの官僚組織、今まで政権与党にあった自民党の歴代政治家たち、そして現在の民主党政権の政治家たち等は再びほとぼりが冷めれば、「原発がなければ日本経済は成り立たない」という脅しを使って、真剣に抜本的なエネルギー転換や原発の安全策を先送りして、小手先の現状維持策を続けて行くでしょう。彼らは原発しか考えられない思考停止状態にずっと陥っています。

空気や水、土壌、そしてそれらに育まれるお米や野菜などの食物、そして今度は日本人が愛してやまない魚介類などの海の幸を育む海も放射能まみれになろうとしています。

今回被災した福島の人たちだけではない、明日は九州だって、関西だって、北海道だって福島と同じ核災害の被災地になる可能性があることを肝に銘じておくべきだと思うのは僕だけでしょうか。この狭い日本全国どこにいても核汚染に関しては運命共同体なのです。

故郷をこよなく愛し、怒りの声をあげた西田さんに心から拍手を送りたいと思います。  



2011年04月06日

【ようやく公開】

気象庁がようやく公開に踏み切りました。

『気象庁は5日、東京電力福島第1原発の事故を受けて、国際原子力機関(IAEA)に提供している放射性物質の拡散予測を公表した。枝野幸男官房長官の指示を受けた対応だが、より詳細な政府の予測システム「SPEEDI」の情報は、1度公開されて以降は非公表というちぐはぐな対応となっている。
※写真はドイツ気象庁の予測

 気象庁は、世界気象機関(WMO)が86年のチェルノブイリ原発事故を受けて作った枠組みに基づき、事故直後から4日までに計23回、IAEAに情報提供した。予測の基になるデータは放射性物質放出の実測値でなく、IAEAが示す仮定の条件を使っている。

 同庁は「予測は周辺国への影響を調べるためのもの。100キロ四方ごとに計算した大ざっぱなもので、国内の原子力防災に利用できるものではないと考えている」と説明する。

 気象庁は今後、予測を不定期に同庁ホームページに掲載するが、「実態を表したものではないので注意してほしい」としている。』(4月5日付毎日新聞)


【市民を愚弄する政府】

一体、こんな先進国がどこに存在するのでしょうか。先ず自らの市民、自らの国民に具体的なデータを提供して、市民を守るのが国家というものではないのでしょうか。こんなことが戦前も戦後もずっと当たり前としてまかり通ってきた結果のひとつがこの放射性物質の拡散予測の非公開措置だったのではないでしょうか。気象庁は「仮定の数値の為予測の精度が低い」からといった言い訳をしているようですが、ドイツや英国、オーストリア、フランスなどの気象当局や原子力関係機関は同様の予測を公開しており、きちんと説明して公開すればいいことだと思います。

※写真は台湾政府の公表した予測図

そもそもこれほどインターネットでの情報がどこでも得られる時代に自分たちの都合のいいように情報が隠せると信じていたこと自体、市民の感覚からすれば信じられないことです。そして不安を抱えたまま市民の被ばくは広がりました。さらに情報を公開しない政府への不信感の高まりも一役買って、放射線の危険はますます流言飛語によって市民の不安感を増幅することになったのです。

国は福島第一原発の放射能に関するあらゆる情報を市民に今すぐに公開するべきです。それはもちろん今の情報だけでなく、3月11日の地震発生以降の過去も含めたすべての情報です。その際出される文書のあちこちに黒い隠ぺいの跡や必要なデータが白紙となっているようなでたらめは許されないと思います。命の危険にさらされている市民のためは言うに及ばず、世界への放射能汚染の拡大を阻止するために、世界中の英知が必要とされているときにそれらのデータが最も重要になるのですから。  


2011年04月05日

【増設断念?】

一体住民の命をどこまで蹂躙したら気がつくのでしょうか。

『東京電力は4日、東日本大震災で運転停止し、深刻な状況に陥った福島第1原発について、既存の1~6号機に加えて新設を計画していた7、8号機の増設を断念する方針を固めた。同原発の事故で安全性に対する不信感が世界的に高まっているため、新たな原発の建設は困難と判断した。発電効率が高く、温室効果ガスの削減にも貢献すると評価されてきた原発の新設を諦めることで、日本の電力政策の転換を象徴する事例となりそうだ。
 東電の藤本孝副社長は4日、民放の番組に出演し、福島第1原発の7、8号機の増設に関して「無理だと思う」と発言。同原発の発電量の拡大は難しいとの認識を表明した。同社は3月末までに、経産省・資源エネルギー庁に提出した2011年度の電力供給計画に、震災前の段階で計画していた福島第1原発7、8号機の増設をそのまま盛り込んだ。東電は、震災の影響を踏まえて供給計画を修正する意向を示したものの、地元の福島県などが原発増設に反発していた。
 福島第1原発については勝俣恒久会長が深刻な危機が続く1~4号機を廃炉にする考えを表明した他、枝野幸男官房長官は冷温停止状態となり安定している5、6号機についても同様の措置を取るべきだとの見解を示している。』(4月4日付時事通信)


【すべての危険は日本にあった】

東電と政府は今回の東日本大震災が想定外だったことが、福島第一原発の4機もの原子炉の核災害を招いたと言っていますが、それは間違いです。今回の地震がなくてもいづれ日本ではどこかで大規模な原発災害が起きていたでしょうし、これからもいつ起きてもおかしくない状況が続いています。

なぜか?それはチェルノブイリ原発事故から25年が経過し、その間に起こった原発事故の歴史を振り返ると、原子力の歴史に残されるべき大きな事故のほとんどはこの日本で起こっていることから明らかです。大きなものだけでも、1989年1月6日に起こった福島第二原発三号機の水中軸受けリングの落下事故、1991年2月9日の美浜原発二号炉のギロチン破断事故、1997年3月11日の動燃東海再処理工場爆発炎上事故、2007年7月16日の中越沖地震による柏崎刈羽原発の原子炉緊急停止などがあります。これらの事故ではあわや大気中への放射能の大量放出寸前あるいは実際に一部放出されたにもかかわらず、重要な情報は電力会社と政府が住民に知らせなかったと言われています。

そして今回の福島第一原発の核惨事。過去の危機的事故を教訓とせずに、住民そして国民をだまし続けてきた政府と電力会社にとってこの事故は自然が突きつけた最後通告だったと言えます。

【懲りない面々】

日々政府や東電から発表される放射能汚染の状況。みなさんは信じられますか?過去の行動から判断すれば到底鵜呑みにはできないというのが正直なところです。幸か不幸か、民主党政権だったために、官僚との不協和音が様々なところでポロを出す結果となり、今までの嘘や情報隠しのやり口がどんどん明らかになっています。

「原発をやめたら電気はどうするんだ、日本経済は沈没するぞ」といった脅しをこれからどんどん国民にかけてくるでしょう。もし仮に本当にそうであるなら、そして国民を脅す暇があるなら、原子力を動かしてきた官僚機構や政府機関、電力会社、原子力産業の指導層の人たちは自らの命を賭けて国民のために新たな文明観に基づいてその代替手段を開発・実行し、国民の命を救うべきではないでしょうか。福島の7号、8号の新設断念なんてまだまだ序の口、小手先だと思います。今、福島第一原発からの放射能汚染と風評被害で生殺しのような状態にある福島の町や村の方々のことを思えば、死ぬ気でやるべきです。毎日テレビに映し出される原発被災地の方々を見ていると、こんな不条理を許すべきではないと心底思います。  



2011年04月04日

【IAEAの見解】

国際原子力機関(IAEA)と日本政府(原子力安全委員会)の見解が異なり、混乱しているようです。

『福島県飯舘村で検出された高濃度の放射性物質を含む土壌を巡って、国際原子力機関(IAEA)と内閣府・原子力安全委員会の見解が分かれ、混乱が広がっている。

 IAEAは独自の土壌調査を行い、日本政府に避難勧告を検討するよう促したが、安全委は「判断基準の物差しが違う。日本の方が総合的に判断しており問題ない」と反論している。



 飯舘村は福島第一原発の北西約40キロに位置し、屋内退避を勧告された20~30キロ圏内の外側にあたる。IAEAは同村で、土壌の表面に付着している放射性ヨウ素131とセシウム137ほか、空気中の放射線量の割合を調査。放射性ヨウ素131が、土壌表面の1平方メートル当たり2000万ベクレルで、IAEAの避難基準の約2倍に相当するとしている。

 これに対し、日本は土壌を深さ約5センチまで掘り、採取した土壌1キロ・グラム当たりの放射性物質濃度を調べている。このほか、空気中の放射線量の割合、空気中のほこりや飲食物に含まれる放射性物質濃度なども測定し、人への影響を考慮している。』(4月1日付読売新聞)


【生き地獄】

IAEAの実際の発表は見ていませんが、原子力安全委員会の代屋という委員が自分たちの基準の正当性を説明している場面の映像はテレビで見ました。それを見て感じたのは、この人たちは住民の安全を本気で考えているのだろうかということです。代屋委員は「我々の方が人体の影響についてはより正確な数値である」と説明をしていましたが、人体の影響といった抽象的な話ではなく、個別具体的な飯舘村の人たちについてどこがどう安全なのかもっと血の通った言葉で話してほしいと思ったのは僕だけじゃないのではないでしょうか。

この原子力委員会とIAEAの見解の相違について、飯舘村の農家のある60代女性は、J-CASTニュースの取材中3度も「生き地獄」という言葉を繰り返したそうです。飯舘村は人口が6千人あまりの福島県の山間部に位置する小さな農村です。福島第一原発からは約40キロ離れており、政府の屋内退避地区(20~30キロ)にかかるのは村の一部です。

しかし、3月24日頃に海外から伝わってきてあわてて原子力安全委員会も公表した「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の試算結果によれば、事故直後からしばらくは原発から北西方向に放射能の拡散地域が広がり、その中に飯舘村も入っていた時期もありましたし、その後も高い放射線量が測定されていました。

問題は、どのくらい長期にわたって放射能を浴びると人体に悪影響があるか、相当精緻に観測し、村人の健康状態もフォローし続けなければ実態はわからないということです。

【村人の実態と真摯な姿勢】

先ほどとりあげた飯舘村の農家の女性は、「農家はね、土をなめるように、はいつくばるようにして働くの。1日に10時間も12時間も外にいるの。作業も10日なんかじゃ終わらない。100日は続くの」と訴え、土壌表面の検査結果や「長期間における健康への影響」にも高い関心をもっておられたそうです。

1日10時間も12時間も屋外にいて、土をなめるようにはいつくばって農作業をする農家の人たちのことを考えれば、数値が正確であることに加えて、そこに住む住民の生活における行動特性なども考慮に入れた安全性がしっかり確保されなければならないのではないでしょうか。

そういう意味で原子力安全委員会のあまりにも簡単な見解や説明は到底納得できるものではありません。映像を見ても、とても命を賭けて住民を守る姿勢などあるとは思えないのです。国際機関との見解の相違に対して自分たちの数値の正確さに意気軒昂に自信を示すよりも、飯舘村に飛んで行って住民の方々に丁寧にその真意を説明するくらいの覚悟があって初めて「安全委員会」などという名前を使えるのではないでしょうか。  



2011年04月03日

【圧力容器損傷?】

事故後3週間が経過しましたが、2号機の圧力容器の損傷など事態の重大さは変わっていないようです。

『福島第1原発について、内閣府原子力安全委員会は29日、高い放射性物質を含む汚染水が漏れ出している2号機の原子炉圧力容器が損傷している可能性が高いとの見解を示した。

 会見した代谷誠治委員はその理由について、「圧力容器内は高温なのに圧力が上がってこない。どこかが損傷している可能性がある」と説明した。

 圧力容器は厚さ16センチの鋼鉄製で、核燃料を封じ込めるための最も重要な防護壁と言える。

 しかし、2号機では表面の放射線量が1時間当たり1000ミリシーベルト以上の汚染水がタービン建屋やその外で見つかった。これまで、政府や東電は漏えい経路について、「原子炉内で破損した核燃料に触れた水が、何らかの経路で漏れた」とみている。』(3月29日付毎日新聞)

【次々と重大事態】

4月2日にはこの圧力容器が損傷していると見られる2号機の取水口付近のピットから毎時千ミリシーベルトという高濃度の放射能汚染水が海に流出していることもわかりました。

出口が見えない福島第一原発の核惨事。3月11日の地震・津波による事故発生から今まで、自分なりに刻々と変化するこの事故の重大性と緊急性について、テレビや新聞、インターネット等のメディアが報道する内容を確かめながら、自分なりの見通しをこのブログに書いてきました。事故発生日から今まで1日も欠かすことなく、毎日このブログをご覧になっている方々にこの原発事故に対する認識をお伝えしてきたのですが、今までの事故の進展具合を見る限り、自分が予想していた以上に深刻さの度合いを加えて行ったのではないかと思っています。

ここ数日の報道ではフランスやアメリカなどの国際支援体制が少しずつ整ってきたこともあり、原子炉の再臨界による爆発→大量の放射性物質の放出という最悪の事態には至っていませんが、それを避けるための作業は一進一退を繰り返しており、依然として予断を許さない状況が続いていると思います。

【次々と出てくる醜悪な事実】

この週末も自分の事故に対する事実認識を確かめようと、本屋に行っていくつかの週刊誌等を読みました。週刊文春や週刊現代などかなりセンセーショナルな記事もありますが、それなりの真実も含まれていると思います。現場に近いところで取材してきたり、各メディアが総力を挙げて調べているので、相当多くの証言や事実が記事の裏付けとなっています。これらメディアの取材力には僕が敵うわけはありませんが、ただ、自分でこの3週間考えてきた事故に対する大きな見方や予測についてはそれほど間違っていなかったし、メディアよりも先にブログで伝えることが出来たと考えています。

週刊誌等の記事の中でいくつか気になったことがありますのでご紹介しておきます。

1. 菅首相の事故後の対応について大きく評価が分かれていること。僕自身は少なくとも菅首相が事故後ほどなくして原発に赴いたことはリーダーとして評価していたのですが、あれはただのパフォーマンスで現場を混乱させただけという批判も多くありました。もしそうだとしたら、僕の菅首相の初動対応に対する考え方も180度変えざるを得ないと思います。これは後日現場で見た人たちの証言などを丹念に分析しなければならないでしょう。

2. 政府・東電の今までの原発推進のあり方、さらには今回の原発事故対応については、ほとんどのメディアが猛烈な批判をしています。東電、原子力安全保安院、原子力安全委員会、経産省、官邸等どれをとっても硬直化して適切な判断を下せなくなった官僚組織のとてつもなく醜悪な姿が日々メディアで報じられていますので、敢えて個別の事象を取り上げる必要はないと思います。

特に東電に関しては相当厳しい批判がされています。特に原発で命を賭けて闘っている現場の作業員、自衛隊、消防隊等に対するあまりの配慮のなさには驚愕します。具体的にはその方々が宿泊している「Jヴィレッジ」という施設には90室もの宿泊部屋があるにもかかわらず、それらにはカギをかけ、食堂や大講堂に雑魚寝させているというものでした。「指示がないからそうしている」という東電の姿勢には呆れてしまいます。

これから、福島第一原発の核惨事のとりあえずの収束にも年単位、最終的に放射能汚染の心配がなくなるまでには何十年というとてつもない時間がかかることが予想されます。その間にも再臨界に至らなくとも4つの原子炉、使用済核燃料プールから放射能は放出されつづけ、空気と水と土壌の汚染、そして食物連鎖を通じて生物の体内に蓄積される放射性物質の危険は継続・拡大していくことになるでしょう。これからはそれらの汚染について長期的な監視が必要になってきますし、それらの監視結果が適切に市民に公開されるかどうかについて市民が監視していく必要があります。ただ、今の段階では、もうただ少しでも被害が小さく収まることを祈るのみです。

今後はこの福島第一原発の核惨事を巡るレポートは回数を減らしていこうと考えています。人間は緊張状態を持続するのには限界があるものです。これからは元の元気が出るニュースを少しずつ増やしていきたいと思っています。

≪追記≫

今朝、図書館から借りてきた「原子力発電で本当に私たちが知りたい120の基礎知識」(広瀬隆、藤田裕幸著、東京書籍 2000年11月18日発行)を読んでいたらスリーマイル島原発事故の記述の中に興味深い個所(p.257)を見つけました。

スリーマイル島原発はニューヨーク州に近いペンシルバニア州にあったため、事故が発生した1979年3月28日以降、原子炉が爆発するのではないかという懸念でニューヨーク、首都ワシントンも大パニックに陥ったものの、「結果的には、NRC(原子力規制委員会)が原子力の専門家を集めて内部解析を進め、水素爆発を防ぐために膨大な計算を迅速に成し遂げ、危機一髪で爆発を食い止めた。日本であれば、NRCのような高度解析は不可能で、爆発したと言われている。」

この本が書かれたのは10年ほど前ですが、スリーマイル島原発事故から30年あまりたった今、福島第一原発事故ではまさにこの記述どおり、原子力安全委員会も原子力安全保安院も政府全体も東電もNRCのような高度解析など出来ず、慌てふためいて水素爆発を招いてしまったのです。米国はこの事故の後も原子力発電所の事故や核戦争に備えて着々と危機対応能力を高め、今回の日本での核惨事に対しても迅速で大規模な有事即応体制を取りました。その後のメディアに出てくる御用学者や原子力関係の指導層の見解などを聞いても一体この人たちは今まで何をしていたのだろうかと不信感ばかりが募ります。日本とアメリカ、なんという違いか。僕たちも含めて社会全体として、日本には原子力発電を管理する能力が本当にあるのでしょうか。根源的な問い直しなしには日本の未来はありません。

  



2011年04月01日

【連日ストップ安】

東電が市場でも奈落の底に落ちています。

『東日本巨大地震で原発事故を起こした東京電力に対する市場の評価が厳しさを増している。

 株価は連日ストップ安を繰り返し、社債の利回りも上昇(価格は下落)している。被災者への損害賠償額の規模が不透明で、東電の経営の先行きが見通せないことが原因だ。

 ◇ストップ安

 30日の東京株式市場で、東京電力株(東証1部)は値幅制限の下限となる前日比100円安の466円まで売られ、3日連続のストップ安で取引を終えた。株価の500円割れは1962年12月28日(499円)以来、約48年ぶり。東日本巨大地震の前日の10日には終値で2153円あった株価は、わずか約3週間で旧商法時代の額面価格である500円も下回って下落し、1951年に付けた上場来安値(393円)に近づいている。

 この結果、東電の株式時価総額は、10日時点の3兆4599億円から、30日は7488億円まで縮小。企業価値が8割近く失われた計算だ。』(3月30日付読売新聞)


【原発の怖さ】

今回の福島第一原発の事故は、「想定外」の地震と津波が直接の引き金だったとはいえ、原発周辺に住む方々はもちろん、近隣県、首都圏、さらには日本全国、世界まで放射能の恐怖をまき散らし続けています。それだけではありません。当然のことではありますが、電力会社の存在そのものを脅かし続けています。東電は今企業価値はなくなり、存続そのものが風前の灯です。

電力は今日々の暮らしに欠かせません。でも考えてみればたかが電力です。電力のために、一度事故を起こしたら悪魔のように暴れまわる放射性物質を鎮めるのは至難の技で、企業の存立まで脅かすようなとてつもないリスクになぜ電力会社という一私企業が向き合わなければならないのでしょうか。

東電は言うに及ばず他の電力会社の経営陣も今一度しっかりと考え抜く必要があると思います。ただ、国策だからと推進してきた原子力発電を経営のリスクという観点から見直し、国と真剣にリスクの取り方について議論すべきでしょう。

これほどの大災害が原発で起こった以上、今後政府や電力会社がいくら声高に「地球温暖化のために」「クリーンなエネルギー」として原発を増やしましょうと叫んでも、このとてつもないリスクを担保するには莫大な保険・再保険が必要となって、経済原理からますます外れ、事実上市場から原発そのものが締め出される可能性が高まっています。当然の帰結でしょう。現代資本主義社会では経済原理が社会の最も基本的な行動原理なのですから。アメリカで原発建設がなかなか進まない最大の原因は、この市場原理にあります。日本では東電が今回その最初のケースになったと思います。
  




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