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2012年05月08日

【中高年、悲惨】

北アルプスで突然の悪天候が福岡の中高年登山者を襲い、悲惨な出来事となってしまいました。

『ゴールデンウイーク(GW)終盤の北アルプスを吹雪が襲った。遭難して死亡した8人はいずれも60代以上の中高年。8人のうち、長野県白馬村の白馬(しろうま)岳(2932メートル)で死亡した6人の中には、山登りの「ベテラン」もいたというが、十分な防寒具を備えていなかった。「軽装が事故につながったのか」。救助隊員らは無念を隠せなかった。【渡辺諒、福富智】

【亡くなった方々についても】北アルプス:8人死亡 6人は北九州市の男性グループ

 栂池(つがいけ)高原の山小屋の従業員によると、北九州市の6人のパーティーは事前の予約通り、3日午後2~3時に栂池ヒュッテに到着した。4日は午前5時ごろに白馬岳山頂近くの白馬(はくば)山荘に向けて出発。従業員は「6人は(雪面を歩くための)アイゼンを付け、ピッケルを持っていたと思う」と振り返る。出発時は青空が見える好天だったという。

 GWの山小屋はにぎわう。しかし予報では4日午後から天気が崩れるため、他の客は宿泊をキャンセルしたり、縦走ルートを変更するなどした。この日、白馬岳方面へ向かった別の1組は天候悪化で引き返した。

 栂池高原から白馬岳へ向かう縦走ルートは標高差約1000メートルを登る約7キロのコース。白馬山荘によると、はしごや鎖を使う危険な場所はなく、好天なら中高年でも登れるという。しかし天候が急変しやすく、強い西風を正面から受けて尾根づたいに進むため、疲労がたまりやすい。

 正午~午後2時ごろ、栂池から白馬岳方面に向かう途中に天候悪化で引き返した東京都の男性(63)は、後に遺体が見つかった尾根で6人とすれ違った。「『天気が悪いので、私たちは引き返して来ました』と話しかけたが、返事はなかった。1人が疲れた様子で、その人のザックを別の人が担いでいた」。しばらくして天候は一層荒れ、吹雪になったという。

 6人は白馬山荘にたどり着かず、山荘から連絡を受けた6人のうち1人の家族が、同5時40分に県警大町署へ届け出た。

 一夜明けた5日午前5時半、県警はヘリで白馬岳周辺の捜索を開始。同7時40分、愛知県豊橋市の男性(42)が、6人と逆に白馬岳から栂池へ縦走していて遺体を発見した。「6人の周りにテントのようなナイロンが散らばっていた。風で飛ばされたような状態だった」。男性は携帯電話で110番した。さらに同8時、付近を通った埼玉県川越市の男性(37)は「5~6人が倒れているのが見えた。2~3メートルおきに倒れていたり、体育座りのような姿で集まっていた」と話した。

 捜索にあたった白馬村山岳遭難防止対策協会の降籏(ふるはた)義道・救助隊長らによると、遭難時に避難のために掘る「雪洞」を作った形跡は付近になかったという。6人はいずれも低体温症で、天候の急変で体温を奪われ、動けなくなったとみられる。降籏隊長は「末端の手から冷えて一気に体温を奪われたのではないか」と推測する。付近に強風から身を隠す場所もなかった。

 6人が遺体で見つかった長野、富山、新潟県境の「三国境」付近は、白馬山荘まであと2時間弱の地点だった。』(5月5日付毎日新聞)


【崇高な山の魅力】

2009年7月に僕はこのブログで映画「剱岳 点の記」が封切以来大評判となっているという記事を書きました。そして、『僕もこの映画を封切と同時に見に行きましたが、館内の観客のほとんどは中高年のご夫婦でした』と書きました。中高年の登山ブームが映画の興行にまで大きな影響を及ぼしているのです。

長い間、地元の修験者さえもなかなかよせつけなかった急峻で崇高な剱岳の偉容は見るものを圧倒せずにはいません。あの年は大雪山系トムラウシ山で10人もの中高年登山者が命を失いましたが、あのトムラウシ山は、作家深田久弥氏名著「日本百名山」の一節に「威厳があって、超俗の趣がある。あれに登らねばならない」というくだりがあるほどの魅力的な山なのです。

今回の北アルプス遭難もまた中高年の登山者でした。遭難された中高年登山者の方々も、剣岳やトムラウシ山とは違うかも知れませんが春の白馬岳の美しさに魅せられて「この山に登りたい」という思いをいだいていたのではないでしょうか。残念でなりません。本当に心よりご冥福をお祈りします。

【己を知る】

近年の登山技術と装備の高度化・大衆化によって、かつては熟練した登山家さえもよせつけなかった山々にも比較的気軽に登れるようになりましたが、その反面、登山のリスクを侮り遭難する登山者が中高年を中心に急増しています。

今回の白馬岳での遭難事故に関しては、亡くなられた方の中に医師やベテランの登山家がいたにもかかわらず事故にあったということで、やはり春山登山への「油断」があったと思わざるを得ません。遭難事故のたびに繰り返し言われることですが、今回も改めて中高年登山の在り方、急変する山の天気への備えなど多くの課題を私たちにつきつけたといえるでしょう。

中高年登山者に限らず、山登りをしようとする人は、己を知り自然の怖さを知ることが、先ず登山を計画するときには必要なことを肝に銘じるべきでしょう。

そして、あらためて今回の登山者の冥福をお祈りし、この惨事を惨事だけに終わらせず関係者は今後の教訓にしていただきたいと思います。

《参考》

・「剱岳とトムラウシ山の教訓」・・・2009年7月18日の僕のブログ記事
  




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