2007年10月02日

【地球の頂点で】

北極海の氷が予想を上回るペースで溶けている。IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)の予測より30年以上も早いペースで溶けており、このまま推移すればこの夏はIPCCの第4次報告書の予測値である2040~2050年時点の氷の面積にまで縮小したと見られるそうだ。

北極の表面を覆っていた氷が縮小すると何が起こるか?もちろん、全世界の気候に大変動をもたらす。そしてもうひとつ、忘れてはならないことがある。

それは人間の欲望がむき出しになることだ。地球の頂点で、人間と人間、そして国家と国家の欲望が渦巻いているのだ。

【資源争奪戦】

始まった資源争奪ゲーム-温暖化する北極海10月1日号タイム誌のカバーストーリーは、「北極を所有するのは誰か?」("Who Owns the Arctic?")と題して、地球温暖化で予想を超えるスピードで氷が溶ける一方で、今まで厚い氷に阻まれて近づけなかった北極海に眠る資源をめぐって壮大なゲームが熱を帯びてきていると報じている。

Who Owns the Arctic? As global warming shrinks the ice to record lows, the global battle for resources heats up

北極点(North Pole)の周辺の国家は、ロシア、アメリカ、カナダ、グリーンランド(デンマーク)、そしてノルウェー。特に、ロシアが8月2日に北極点の海底に国旗を立てるなど活発な動きをしているため、カナダやアメリカといった国々の神経を逆なでしている。

中でもカナダは激しく反発している。カナダの高官は、「今は15世紀じゃないんだ! 世界中を回って、ただ旗を立てて、『これはわれわれの領土だ』とは何事だ。」とロシアを批判する。

"This isn't the 15th century. You can't go around the world and just plant flags and say, 'We're claiming this territory.'"

【パワーゲームの果てに】

世界の石油資源の10%~25%が埋蔵されていると言われている北極海。その資源争奪戦の鍵となるのは国際法だ。

国際条約上は200海里(370km)の排他的経済水域が境界線となっているものの、その周辺海域が自国の大陸棚の上にあることを証明できれば350海里(648km)にその境界線を拡大できるのだ。

したがって、これから境界線の確定を巡る国家間の争いはハーグの国際司法裁判所に持ち込まれていくことになるだろう。そのときまでに有利な条件を作っておこうとする各国の政治的な動きは益々活発になるに違いない。

地球温暖化が人類全体の生存をも脅かしかねないという事態の中で、国家間の貪欲なパワーゲームばかりが進展する。こんな現実に不安を覚えるのは僕だけだろうか。

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