2008年03月18日

【見放される大学】

今、日本の大学は試練のときを迎えています。優秀な学生達はあまりにも魅力のない授業や教授陣などに愛想を尽かして日本の大学に行くのをやめて、海外に流出しています。

凋落する日本の大学-少子化と国際競争力不足そんな実態を反映して、多くの大学で入学者は減り、授業料収入は激減しています。日本の大学の40%近くが定員割れを起こし、授業料の値下げや学校同士の合併を余儀なくされている大学も出てきているのです。3月17日号タイム誌「学級閉鎖」"Class Dismissed"で、日本の大学の現状が採り上げられました。

Education experts say that nearly 40% of universities and colleges can't fill student quotas, forcing some schools to relax admission standards and others to merge or close.

一体、日本の大学に何が起きているのでしょうか?

【少子化より深刻な問題】

もちろん、その大きな理由は少子化です。OECDの調査によれば18歳の学生数は1990年から2007年の間に35%も減少し、2百万人から1.3百万人と70万人も減っているのです。そのおかげで(?)、選り好みさえしなければ誰でも入学できる「大学全入時代」になっているのです。

Educators have a phrase for this phenomenon: daigaku zennyu jidai, which literally means " an age when all are aceepted to college."

しかし、日本の大学はもっと根が深い問題に直面しています。それは国際競争力の喪失です。日本の大学のレベルは国際的には三流とさえ言われているのです。

その端的な証拠として、世界中の大学の評価を毎年出している英国の有力な調査報告"Times Higher Education Supplement"の2007年版によると、トップ100の大学のうち、米国37校、英国19校に比べて日本の大学は4校しか入っていないのです。

【現状打破に向けて】

こんな実態を憂えて、一部の大学では「改革」も始まっています。日本のハーバードと言われる東京大学は米国のYale大学と提携して、英語での授業を増やしたりしていますし、早稲田大学では国際教養学部を創り世界各国から優秀な学生を集めて成功しています。

しかし、今まで関税や非関税障壁で守られて来た農業や非効率な産業分野と同じく、多くの日本の大学当局、教授たち、そして文部科学省は、未だ危機意識に乏しいのではないでしょうか。世界中の知性が最も競争力があり、最も快適な場所を求めて瞬時に集まるインターネットの時代に、日本の大学はこのままでは、ますます孤立を深めていくのではとの懸念を抱くのは僕だけでしょうか

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大学改革を日々追い求めて

小生、今年で齢70、現職最後の1年です(国立を既に齢65で停年していますが)。地方公務員からの転職組ですので教職歴は36年ですが、顧みると果てのない改革でした。大学院(博士課程)から研究助手にかけての「大学紛争期」の「小講座制からの助手ポストの開放(プール制助手による大学院生の勉学条件の整備)、赴任した地方国立大学教養課程における「総合科目群(環境教育)」と市民公開講座の開設、全国に先立つ教養部制の改廃、併任先大学での高等職業人育成のための「総合大学院博士課程」の教育を経ての「国立大学法人化」(国立大学教官、最後の一兵としての「退官」)でした。70歳定年の私学での文系環境学部の開設、引き続く大学院修士課程の設置の推進を進めまして、その最終年度を迎えます。色々な改革を進めて参ったのですが、終わりはありませんね。二度目の停年を前に、いまも母校の理系との連繋大学院設置の方向を探っています。

Posted by 富山通りもん at 2008年03月18日 06:25

富山通りもんさん、コメントありがとうございます。当事者ではない一介のサラリーマンの僕には富山通りもんさんがご苦労された果てのない大学改革の苦労は知る由もありませんでした。どんな組織でも日々変化する環境の中では改革なくして明日はありません。僕らも心していかないといけないと思います。

Posted by luckymentai at 2008年03月19日 22:56

 庵主のluckymentai さん、お久です。先だっては、筑前新宮駅時代の「福工大前」のたまり場居酒屋までお越しいただきありがとうございました。お陰様で番外地ゼミは大世帯で続けさせてもらっています。毎月第3木曜の夕べにはどうぞ。
 さて、連携大学院設置の事業プロジェクト「国公私立大コンソーシアム福岡」は、今年度から3年間の文部科学省助成事業に採択されました。先週金曜には四大学総長・学長が協定書締結がなりプレスリリースのキックオフを済ませて、来月からのスタートを迎えさせてもらいます。
 取組担当(コーディネートした者として、法螺吹きに終わらないで済んだと胸を撫で下ろしているこの頃です。これからも宜しくお願いいたします。

Posted by 富山通りもん at 2008年09月23日 06:37

富山通りもんさん、お久しぶりです。そしておめでとうございます。先生の情熱が官を動かしたんですね、すばらしい。なかなか行く時間が取れませんが、またあの熱気を味わいに新宮に行きたいです。

Posted by luckymentailuckymentai at 2008年09月24日 04:40

 富山通りもんです。とうとう最終講義も済ませて(1月14日)、大学院次期科長、コンソーシアム取組担当を引き継いで頂ける方も決まり、今日の大学院研究科委員会で定年辞職の挨拶をさせて頂きました。4月からは年金生活に入ります。

 期を同じくして、母校九州大学の六本松キャンパスが閉鎖されることになり、元岡のほうへの移転が始まっています。小生の多感な青春時代が籠ったキャンパスを振り返る取材を先日西日本新聞から受けて紙上を騒がせてしまいました。1958年に当時の教養部学生自治会委員長に推されてなって、60年安保と生活協同組合設立運動に邁進した50年前を取材されました。その学生がいま、大学改革の最前線に立って、大学院教育の再編と地域貢献、そしてアジアへの展開を戦略目標としたコンソーシアム福岡を担うことになるとは、神の思し召しなのでしょうか。

 そして、再見 九州!として、家族の許、北陸に北帰行していきます。お世話になりました。なお、熱気をもって未曾有の100年に1度の金融・実体経済大不況にこれからの人生を向き合う学生たちとの最後の宴を13日(金曜)夕方持ちます。宜しかったら、19時にJR福工大前の例の居酒屋にお姿を見せて頂けると、学生たちも喜んでくれると思います。

Posted by 富山通りもん at 2009年03月05日 22:37

富山通りもん様、長い間本当にご苦労様でした。それから福岡・九州のためにいろいろご努力されてありがとうございました。

残念ながら、13日は別の用事があり出席することはできませんが、これからもブログを通して交信できることを楽しみにしています。

どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

Posted by luckymentai at 2009年03月06日 09:15

luckymentai さま。ご無沙汰しています。4月に北陸に戻ってきています。博多が懐かしく思うこの頃です。

 なお、http://spysee.jp/ にて「富山通りもん」を検索してください。

 また、オンラインでここに来ますのでよろしく。

Posted by 富山通りもん at 2009年08月20日 12:36

富山通りもんさん、お久しぶりです。一度富山に出張で行ったことがありますが、また通りモンさんを訪ねて行ってみたいです。

Posted by luckymentailuckymentai at 2009年08月22日 08:05

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