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2013年07月13日

【「集団山見せ」ってなに?】

山笠は商人の町博多のお祭りです。

なに?新幹線で降りたらJR博多駅。でも都市名は福岡市。一体どうなっているの?

そう、明治時代に福岡にするか博多にするか迷ったそうですが、最終的に政令指定都市としての公の都市名は福岡市となりました。というのは、昔は、那珂川を挟んで、東が商人の町博多、西側が武士の町、黒田52万石の城下町、福岡だったのです。

その福岡と博多の違いを踏まえて「集団山見せ」とは何かご紹介します。

「集団山見せ」とは、昭和37年に福岡市が「より多くの人たちに山笠の楽しさを」と要請して始まった行事で、博多の祭りの山笠を福岡の人達にも見せる為、たった1度、山笠が那珂川を越えて福岡に入ることを言います。

【博多と福岡の違い】

僕は博多の生まれなので、博多っ子であることに誇りを持っています。生まれは自分では選択できないので、たまたま自分は博多っ子になった、ただそれだけなのですが、特に山笠の時期になるとなんとなく博多の血が騒ぐのです。

僕の通った高校は長谷川法世さんの漫画「博多っ子純情」のモデルになっている学校ですが、そこは商人の子供が多く呉服町の呉服商の息子や博多人形師の息子などがいました。そして山笠の時期になると、学校も心得ていて山笠に出るといえば何と学校を休むこともできたのです!

そういうわけで博多は商人の魂が生きている、それは庶民の町でもあります。さらに言えば反骨精神、官に物申す心意気、自由で奔放な気風など庶民のイメージぴったりです。それに比べて福岡は武士の町でもあり、何か型にはまった、時にはいばったような、「お上」のイメージが付きまといます。

【集団山見せ再考】

「集団山見せ」も行事としてはいいことだとは思いますが、どうもよく考えると「お上」である福岡の市役所に博多の商人が年に一度ご挨拶にお伺いするような、博多っ子からすると「なしてお上に挨拶せないかんとや」とも言いたくなります。

まあ、いいか。そこはおおらかに「お上」の要請に応えて挨拶にいっちゃろうというところですか。寛大でしょ、博多っ子は。
  



2013年07月12日

【追い山に向けた足慣らし】

本日、7月12日にはいよいよ15日の追い山に向けた本番さながらの足慣らしである「追い山ならし」があります。
「追い山ならし」は12日の午後3時59分に、一番山の「櫛田入り」で始まります。今年の一番山は恵比寿流です。昼間ではありますが、走る距離が1キロ短い以外は「追い山笠」と同じ条件ですので、祭り気分はグーンと盛り上がります。

【テンション高まる舁き手たち】

僕は実際には山笠を舁いた(担いだ)ことはありませんが、経験のある友人に尋ねるとこの追い山ならしのころから舁き手たちのテンションは15日の追い山に向けてどんどん高まっていくようです。もちろんこの期間も含めて山笠期間中は女性からも遠ざかってひたすら自分たちの流れの山が無事に、最も勇壮に走れるように猛々しいエネルギーのすべてを山笠ひとつに注いでいくのです。

【早朝の追い山が見れない人は「追い山ならし」見学がオススメ】

その舁き手たちの勇壮な姿を見る観客の方ですが、実際の追い山は15日の早朝4時59分がスタートなので朝が弱いけれど追い山の雰囲気を味わいたいという方はこの「追い山ならし」が狙い目です。

ただし、はやり本当の迫力を味わうためには本番の15日に行くしかありません。今年は15日は日曜日ですので、県外からの観光客も含め大勢の方々が早朝から追い山見学に集まってくるでしょう。週日とは違って追い山が終わってから会社に戻る必要もありません。追い山を体験する絶好の機会です。でも15日に行けない方には「追い山ならし」があります。みんな一度見に行きませんか?(今年も15日の追い山ではなく、追い山ならしに外国人留学生を連れて行く予定にしています)

  



2013年07月10日

今日から一週間は僕のブログは山笠一色になります。山笠以外の話題は一週間お休みをいただきますのでご了承ください。そして「じゃ見るまいか」とおっしゃらずに博多山笠をよく知る週間と考えてお付き合いください。

【博多の夏-博多祇園山笠】

いよいよ夏本番! 博多の男たちの血をたぎらせる博多祇園山笠のカウントダウンが近づいてきました。7月に入ってからの山笠の日程はというと、1日の飾り山公開に始まって、15日の追い山で幕を閉じます。

7月1日(月)  飾り山一般公開(14日夜まで) 夕方 お汐井取り(当番町)

※「雨の中の追い山見学―2010年博多祇園山笠」


7月9日(火)  夕方 お汐井取り(全流)

7月10日(水)  夕方 流舁き・流区域内

7月11日(木)  早朝 朝山・流区域内 午後 他流舁き・流区域外

7月12日(金)  追い山ならし(追い山リハーサル) 15時59分 舁きだし

7月13日(土)  集団山見せ 15時30分 (呉服町→明治通り→市役所)

7月14日(日)  夕方 流舁き・流区域内

7月15日(月・祝)  追い山笠 4時59分 舁きだし

※「凛々しい祭りー追い山」(2006年の追い山ツアー記録)


一年間、男たちが待ちに待った山笠の興奮がこの15日間の行事を通して徐々に高まってくるのです。

【7月9日のお汐井とり-神事での始まり】

博多祇園山笠は760年近く続く博多の神事です。その中でも神事らしい神事のひとつとしてこの「お汐井とり」があります。お汐井とは、海岸の砂のことで、博多湾に面した筥崎宮というお宮の海岸の真砂をお汐井てぼ(竹かご)に納めて各戸の玄関口に置き、「災いを除き、福を招く」お祓いとして身を清めるために使われるものです。

博多祇園山笠では、山笠を舁く前に身を清めるために各町内の流(「ながれ」という。各町内の山笠のこと。東流れ、大黒流れなど)がそれぞれの山小屋から約10kmの距離を流毎に一番から順にお汐井とりに筥崎宮前の海岸にやってくるのです。僕も小学生のころはおじいさんに連れられてお汐井とりに行っていたことを覚えています。


【お汐井とり後の5日間】

お汐井とり後は、流舁き、追い山ならし、集団山見せと段階を踏んでクライマックスの追い山に達します。その最初の日は10日。今年初めて「舁き山」が動く流舁きです。夕方の16時~18時にかけて、7流すべてが流ごとに、それぞれの流の区域内を舁き回ります。いよいよ男たちの血が騒ぎ始めますよ。

それから忘れてはならない行事がもうひとつあります。それは追善山です。「追善山」とは前年の山笠後に亡くなった方で町総代や取締を務め、流に貢献した人を追悼する山笠の行事です。男衆が故人への敬意を込めて遺族の方々に追悼するもので、博多ならでわの行事であり厳粛なものを感じます。


このような神聖なお祭りである博多祇園山笠。今年も勇壮な追い山がひとりの事故もなく行われることをお祈りします。



≪山笠のサイト紹介≫

博多山笠のサイトを検索するといろいろな趣向を凝らしたサイトが出てきます。いくつか「これいいなあ」と思えるものを紹介しますので山笠理解の一助にしてください。

~役に立つ山笠紹介サイト~

「博多祇園山笠」~中洲観光協会、中洲町連合会、博多祗園山笠振興会のサイトです。

「山笠の達人になろう」~CLUB九州 2009山笠プロジェクトのページです。結構凝っていてオススメのサイトです。
  



2013年07月03日

【新潟知事激怒】

東電の柏崎刈羽原発再稼働申請に新潟県知事が激怒しています。

『東京電力<9501.T>は2日、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を原子力規制委員会・原子力規制庁に早期に申請する意向を表明した。これに対し地元新潟県の泉田裕彦知事は「立地地域との信頼関係を構築する意思がないものと受け取らざるを得ない」などとコメントし、強い不快感を示した。

東電は、規制委が定めた新規制基準が今月8日施行された後に、安全審査の申請を速やかに行いたいとしている。広瀬直己社長は記者会見で「地元に説明した上で、速やかに申請したいというのが私たちの考え」と述べた。再稼働の申請方針はこの日の取締役会で決定した。

新潟県など地元への説明時期については未定だという。ただ、今回の方針発表により、従来から東電への厳しい姿勢を示してきた泉田知事が態度を一段と硬化させる可能性が強く、再稼働の行方は予断を許さない状況だ。

広瀬社長は今回の決定について「地元軽視では」との質問に対して「地元を軽視するつもりは全くない」と弁明。泉田知事ら地元関係者を説得できなかった場合の対応について同社長は「最初から、できなかったらこうしますというのは私のスタイルではない」と述べた。

同社の再建案である「総合特別事業計画」では柏崎刈羽原発を2013年4月から順次再稼働する方向を打ち出してるが、再稼働が進まない場合について広瀬社長は、「原子力が全く動かなければいまの電気料金では無理」と述べ、料金再値上げも避けられないとの認識を示した。

<地元反発、再稼働は予断許さず>

新潟県の泉田知事は、柏崎刈羽の再稼働の是非について「福島第1原発事故の検証・総括が必要」との考えを繰り返し指摘しており、東電から再稼働申請の動きがあった場合は「信頼関係を破壊する」(6月12日の記者会見)と、強い口調で警告していた。また、規制委が策定した新規制基準についても「福島事故の検証・総括なくしてなぜ安全基準が作れるのか」と否定的な見解を示してきた。

新規制基準によると、柏崎刈羽原発など「沸騰水型軽水炉」では、緊急時に原子炉格納容器の圧力を下げるために蒸気を外に放出する際に放射性物質を取り除く「フィルター付きベント設備」の設置が再稼働時点で必要となる。

広瀬社長は会見で、「(フィルターベントは)設計が固まり準備ができた」と説明。一方、泉田知事は、同設備の設置は、東電が新潟県や柏崎市など立地自治体と結んでいる安全協定上、「事前了解が必要な設備」との認識を示している。同社長は、同設備の設置について、「地元としっかり話し合いをさせていただきたい」と話した。』(7月2日付ロイター)

【安倍政権に非あり】

3/11以降、福島第一原発の核惨事を起こした当事者たちは誰一人責任を取っていないこと、そしてフクイチ事故の原因究明は中途半端なままうわべだけの安全基準で原発の再稼働が時の政権と政府官僚組織によって公然と進められようとしていること、こんな理不尽な動きに異を唱えなければ間違いなく次の原発事故は起こります。その原発事故は最初に再稼働したところからリスクが高くなっていくでしょう。新潟知事が激怒するのも無理はありません。

無責任な東電と無責任な安倍自民党政権、無責任な経産省をはじめとする中央官僚組織と原子力ムラを今のまま黙認していたら、間違いなく原発の立地自治体、周辺自治体は真っ先に原発事故の災禍を受けることになるでしょう。

僕は特に安倍自民党政権の無責任ぶりに本当に怒りがこみ上げてきます。原発立地の地元がこれだけ怒っている、東電は賠償負担や廃炉負担のためににっちもさっちも行かなくなっている現状を黙殺して、「原発は再稼働」を連呼しているだけ。こんな無責任な政治が次の事故を招来するのは間違いありません。そして事故が起こったとき、真っ先に逃げ出すのは安倍総理でしょう。安倍総理は、事故原発に突撃隊を突っ込ませることは出来ても自らは逃げ出すと僕は見ています。そうでなければ、安倍自民党政権が先送りしようとしている放射性廃棄物の最終処分や福島第一原発の原因究明、15万人にのぼる被災者の本気の救済、原子力の将来の位置づけなどについて真っ先に手をつけて国民にその意思を明らかにすべきです。先ずは東電に責任を丸投げするのではなく、現有原発の国有化などによる電力会社の経営破たんの回避といった方策を検討すべきです。選挙目当ての問題先送りはもう許されません。
  



2013年06月17日

【誰のための白書?】

一体、白書というのは誰のためにあるのでしょうか?

『政府は十四日、二〇一二年度版のエネルギー白書を閣議決定した。昨年十二月の自公政権誕生後、初めての白書となったが、最大の課題である東京電力福島第一原発事故をめぐる記述が二番手に「格下げ」されたほか、昨年夏の民主党政権時代のエネルギー政策をめぐる国民的議論で国民の多数が「原発ゼロ」を選択した結果なども記載しなかった。
 今回は、昨年八月から今年三月末までの国内外のエネルギー政策の動向などについてまとめた。冒頭の第一章では自公政権が進める「新しいエネルギー政策の構築の参考にする」として、新型天然ガス「シェールガス」などの海外事例の分析を記載。一〇~一一年度版で冒頭にあった福島原発事故の対応は第二章に追いやられた。

 原発政策をめぐっては「前政権の戦略はゼロベースで見直す」と強調。昨年夏の国民的議論に関しては経緯が淡々と書かれただけで、市民が熟議する討論型世論調査や意見公募、意見聴取会などで多くの国民が原発ゼロを望んだことには全く触れなかった。民意を踏まえ民主党政権が決定した「原発ゼロ目標」も載せなかった。

 白書をまとめた経済産業省の担当者は「字数に限りがあり、すべては記載できない」と答えた。政権交代後に国民的議論の情報が載った政府のホームページが閲覧できなくなるなど、脱原発の民意を排除するかのような動きも出ている。』(6月14日付東京新聞)


【露骨な隠ぺいと欺瞞】

政権が変われば政策も変わるし、白書の内容も政権の意向に沿って変わるのは当たり前だと経産省の官僚たちはいいたいのでしょう。昨年夏の多くの国民の脱原発を求める意思もデータもすべてなかったことにして、それらを掲載しなかったことについて「字数に限りがあり、すべては記載できない」だそうです。国民をなめきっているとしかいいようがないような言い分です。こんな連中がエリートと自認してツィッターで「知能が低い市民」と豪語するのでしょう。官僚というのは、公務員です。公務員は国民に仕える公僕のはずですが。

それにしても酷い。この国の制度疲労というのがどれほど進んでいるかはプロ野球のコミッショナーや柔道連盟のトップとかの開き直りだけでなく、自分たちの都合の悪いことは掲載さえもしようとしないエネルギー白書の姿勢だけみても明らかです。これでは間違いなくニッポンは福島第一原発事故という人類史上未曾有の原子力災害から学び取ることも出来ず次の巨大原子力災害に向かって一直線でしょう。

まったくヘドが出るような思いです。一体どこからどう手をつけて、この原子力を巡る絶望的な状況を改善していけるのか。呆然としてしまいます。今はただ、このエネルギー白書を原発のない社会を望む市民に対する挑戦状と考えて、戦いの決意を新たにしたいと思います。
  



2013年06月13日

【15年秋には「40年廃炉」期限】

いったいいつまで「臭いものに蓋」をするような経営を続けていくのでしょうか。

『九州電力玄海原発1号機(佐賀県玄海町)が発電しないのに、2号機と共に修繕費に年間約100億円がかかることが判明した。かといって、九電は早期再稼働にも踏み込めないでいる。改正原子炉等規制法で定める「40年廃炉ルール」の期限が2015年10月に迫り、経営上の「お荷物」のようにも見える1号機に廃炉の選択肢はないのか。九電は原発の経済的な優位性を唱えて存続に望みを託すが、識者からは疑問の声が出ている。【関谷俊介】

【修繕費だけで年間計約100億円】玄海原発:1、2号機維持するには

 「全く考えていない」。九電の複数の幹部は1号機の廃炉についてそう主張する。原発の運転を原則40年とする「40年廃炉ルール」はあるものの、原子力規制委員会から例外規定の20年延長を認められれば、火力に比べ「原発は引き続き競争力のある電源」との見方が根強いためだ。

 九電によると、火力発電の単価は1キロワット時当たり11円以上。原発は7円台半ばで、新規制基準の安全対策費を講じても1円程度の上乗せにとどまり、なお優位だと説明する。

 廃炉費用の問題もある。電気事業法に基づき費用を積み立てているが、1号機廃炉には358億円が必要と見積もり、15年度末時点で36億円不足する。瓜生道明社長は「廃炉にしろという声もあるが、財務の手当てがないと難しい」と強調する。

 一方で、九電は13~15年度の運転計画で1、2号機の再稼働を想定していない。なぜ速やかな再稼働を目指さないのか。川内原発(鹿児島県薩摩川内市)や玄海3、4号機の再稼働を優先しており、「玄海1、2号機を検討する余裕がない」(幹部)と説明する。

 半面、古い設計の玄海1号機を再稼働させるには、他の原発より新規制基準のハードルが高い。膨大になるとみられる安全対策費を投じたところで、2年4カ月後に迫る40年廃炉ルールが適用されれば無駄となる。規制委が例外規定を認めるかや、安全対策を講じて採算が取れるか見極めるまで、修繕費をつぎ込んででも再稼働か廃炉かの判断を先送りし、運転停止のまま延命させたいとの思いも見え隠れする。

 しかし、九電の今年3月期連結決算は最終(当期)損益が3324億7000万円の過去最大の赤字額となった。本来、発電もせず年間約100億円を投じる余裕はない。立命館大の大島堅一教授(環境経済学)は「動いていない施設に巨費を投じられるのは、原価として認められれば電気料金から徴収できる仕組みになっているからだ」と指摘する。

 原発が経済的に優位だとする九電の主張についても「現時点で1号機にどの程度の安全対策をすれば20年延長できるという確証はなく、コストの試算はできないはず。事故が起きた場合を想定し、賠償費用や事故収束費用も加えれば優位とはいえない」と疑問視する。

 1号機は原子炉圧力容器の想定以上の老朽化が判明し問題となった。昨年、規制委の前身の原子力安全・保安院は「2033年までは十分健全」としたが、老朽化の原因は不明のままで、中立的な研究機関で解析すべきだという専門家の意見も根強い。再稼働を強く求める玄海町の岸本英雄町長でさえ、「20年の運転延長は不安」と漏らしている。』(6月11日付毎日新聞)

【現実を直視すべき】

安倍自民党政権は、福島第一原発事故で噴出した数々の原子力に関する自民党政権と民主党政権の失敗に頬かむりしたまま、放射性廃棄物の最終処分にしても、核燃料サイクル政策の破たんにしても、福島第一原発の収束にしても、15万人にものぼる福島の方々の生活再建にしても、何の問題解決の手立ても打つことなく、ただただ原発の再稼働だけを呪文のように唱えるだけです。

そんな中で、安倍自民党政権の原発推進姿勢にすがるように電力会社は目先の燃料費高騰、経常赤字の増大という経営問題を乗り切るためだけに、本気の安全対策はないがしろにしたまま原発の再稼働にまっしぐらに突き進んでいます。そんなことで多くの国民の原発に対する不安や電力会社に対する不信が3/11以前のように時がたてば消えていくと思ったら大間違いです。

3/11で人々の意識は大きく変わりました。九電は、玄海原発の老朽化問題に対しても世間の目は厳しいと考えるべきであるし、それ以上に自らの中長期的な経営を立て直すためにも老朽化原発の廃炉という選択をすべきだと思います。いったん巨大事故が起これば佐賀だけではない、九州だけでもない、日本国全体の存在さえ揺るがしかねないということを肝に銘じるべきではないでしょうか。もうフクイチ以降は、原発の巨大事故は杞憂でもなんでもない、現実に起こりうることが実証されたわけですから。
  



2013年06月10日

【日仏協力】

政権が変わったと言うだけで、一体なぜこういう重大なことが次々と堰を切ったように進められていくのでしょうか。

『安倍晋三首相は7日、首相官邸でフランスのオランド大統領と会談し、包括的な原子力協力で合意した。新興国での受注を目指している日仏企業の原子力発電所の輸出を支援し、核燃料サイクルや高速増殖炉(高速炉)の研究開発、廃炉や除染で連携を深める。安全保障に関する外務・防衛担当閣僚級協議(2プラス2)開催でも一致。共同声明を発表した。

日仏が包括的な原子力協力で合意した。安倍首相「世界最高のパートナーだ」(7日)

 首相は冒頭「日仏の特別なパートナーシップを強化したい」と呼びかけ、大統領は「関係を新たな局面に高めたい」と応じた。会談後の共同記者会見で、首相は「世界的な安全水準を高める観点から、日本の原子力技術への期待に応えていく」と述べた。

 原発輸出では、ヨルダンなど第三国で受注を目指す三菱重工業・仏アレバ連合を、両国が官民を挙げて後押しする。5月にトルコでの受注が事実上決まった同連合の加圧水型軽水炉「アトメア1」への支援をはじめ、第三国での協力推進を共同声明に盛り込んだ。

 原子力の安全強化に向けて原子力規制当局同士の協力拡大も決めた。日仏が連携を強める核燃料サイクルは、原発から出る使用済み核燃料から、まだ使えるプルトニウムやウランを取り出して加工、原発の燃料に再利用するもの。民主党政権は抜本的な見直しを検討したが、安倍首相は「継続して進めていく」との立場を示してきた。

 共同声明では特に青森県六ケ所村の再処理工場に触れ「安全かつ安定的な操業の開始」を明記した。当初1997年完成予定だった日本原燃の再処理工場は技術的な問題で操業が遅れている。日本原燃とアレバは核燃料サイクルの早期安全運転のため覚書を交わした。

 米国、オーストラリア、ロシアに続き4カ国目となる2プラス2の早期開催に向けた調整も急ぐ。武器に転用可能な民生品の輸出管理、防衛装備品の共同開発などを巡って政府間対話が進む見通しだ。仏企業がヘリコプターの着艦装置に使える部品を中国に売却していたことから、中国の軍備増強を防ぐ狙いがある。

 共同声明は「新たな大国の台頭で生じる新たな課題に対応する」として「自由、民主主義、人権や法の支配の尊重」を打ち出した。海洋進出を強める中国を念頭に「航行の自由の維持」などの表現も盛り込んだ。大統領は共同記者会見で「国際法を大事にしなければならない」と強調した。

 両首脳は日本と欧州連合(EU)で交渉中の経済連携協定(EPA)の早期締結を目指す方針を確認。北朝鮮に核、ミサイル計画の放棄に向けて具体的な行動をとるよう求めていくことで足並みをそろえた。大統領は国連安全保障理事会改革の一環として日本の常任理事国入りを支持した。

 共同声明を実現するための今後5年間の行動計画や、文化に関する共同声明も発表した。オランド大統領は対日重視を鮮明にしており、今回の来日にあたり日本は対仏関係を強化するため仏大統領を国賓として17年ぶりに招いた。』(6月7日付日経新聞)


【原子力マフィアが跋扈する国】

もう「原子力ムラ」などと言った柔らかい言葉で呼ぶにはあまりにも手ぬるいと感じるようになってきました。安倍首相が昨年後半に民主党政権から政権を奪取してからというもの、選挙で信任を得たら何でもやっていいといわんばかりの原子力推進政策を強引に進めています。国民の不安などどこ吹く風で、原発再稼働から原発輸出、そして今度はフランスとの原子力協力への合意です。安倍自民党政権は、まさに原子力産業界の強力な後押しを受けて、福島第一原発の収束は東電に丸投げしたまま、将来的なエネルギー政策の道筋などどこかに放り投げて、放射性廃棄物や核燃料サイクルの破たんなどの国家にとって重大な問題をまたしても先送りして、ただただ原発再稼働を呪文のようにとなえて突っ走っているのです。

一体だれがこの国を動かしているのか、一体だれの利益のために国家があるのか。そしてこんな市民の心配を黙殺できるように表現の自由さえも制限すべく憲法の改悪まで手をつけようとしているのです。これはまるで太平洋戦争に突き進んだかつての大日本帝国と同じではないでしょうか?いったん動き始めたら止めることは容易ではありません。ひとりでも多くの市民が決してあきらめずにこの原子力マフィアの連中に「NO」を言い続けていかなくてはならないと思います。

景気回復の幻想を振りまこうとしている「アベノミクス」は、既得権益に媚びへつらう自民党政権では到底実効性のある第三の矢「成長戦略」は打ち出せないと思っていたら、案の定、掛け声だけのあいまいな政策が出てきて市場の反撃を食らっています。それでも国民に幻想をふりまこうとするだけ「アベノミクス」はまだましなのかもしれません。臭いものにフタをしようとする安倍政権の原子力政策は、このままいけば間違いなく次なる大事故で国家の破たんを招くでしょう。そうならないためには、ひとりひとりが声を上げ続けることしかありません。

  



2013年06月03日

【会計規則見直し着手】

経産省が原発の廃炉費用に関する会計規則の見直しに着手しはじめたようです。

『経済産業省は原子力発電所を廃炉した場合に生じる電力会社の経営負担を減らすために、廃炉による損失を複数年に分けて計上し、電気料金で回収できるよう会計規則を見直す方針を固めた。

原発の新たな規制基準が7月に施行されれば、廃炉を迫られる原発が出る可能性があるため、電力会社が会計規則上の問題で廃炉を決断できなくなる事態を避ける狙いがある。

現在、電力会社は、廃炉に備えた引当金を運転実績に応じて積み立てている。前倒しで廃炉を決めると、引当金の不足分や、原発設備などの資産価値がゼロになった分を一度に損失として計上しなければならず、財務内容は大幅に悪化する。

そこで、経産省は6月中にも、会計士などの専門家らによる有識者会議を設け、廃炉による損失を複数年にわたって分割して計上できるように規則の改正を検討する。今秋にも新たな内容を固める方針で、分割期間は10年程度とする案が浮上している。』(6月1日付読売新聞)


【一歩前進、しかし】

福島第一原発事故から2年以上が過ぎた。原子力規制委員会という新しい監督組織は出来たが、フクイチで国家が崩壊する寸前までいった危機的状況が再度訪れたときにアメリカ並みの危機管理が出来る国家として、社会としての体制作りが進んでいるかというと、正直言って3/11前と何も変わらないどころかもっと悪化していると僕は思っている。安倍政権は原発復権に向けて、国民の不安など黙殺し続けているし、経産省は原子力産業界の声を利用して安倍政権の後押しに躍起だ。

電力会社は原発を再稼働したくてウズウズしている。なぜなら、原発代替の火力発電の燃料費はかさむし、原発を廃炉にすれは債務超過に陥る可能性が高いからだ。短期的な経営問題としてとらえれば確かにそうだろう。しかし、いったん事故が起きれば国家崩壊さえ招きかねない原子力問題は、フクイチを経た今では単なる電力会社の経営問題の範疇を超えているのは明らかだ。

その電力会社の経営問題の解決の一助として原発廃炉に向けた会計規則の見直しはそれなりに評価できる動きだと思う。しかし、会計規則の見直しをするなら以下の問題点を同時に解決すべきだろう。

1. 会計規則の変更はいいが、廃炉費用を電気料金で賄うというのは筋が違う。国策で進めてきた原子力発電の方向転換、あるいは安全性が担保できないというきっちりとした理由を国民に説明したうえで、税金での廃炉をやるべきだ。たとえ巨額の税金投入が必要でも原発がもたらす不利益や危険がそれで取り除けるならば国民の理解は得られるはずだ。原子力政策は今まで通り推進しながら、一部の原発の廃炉費用だけは電気料金の中でごまかせばいいという態度では政府、電力会社への国民の信頼は永久に得られないだろう。

2. そしてもうひとつ、やはり電気料金であろうが、国民の税金であろうが、今までの原子力政策の失敗、福島第一原発事故の責任問題をはっきり国民に示さずには原発の廃炉も推進もあり得ない。東電や政府関係者などの責任を追及する裁判は各地で起こされているが、司法の動きは今一つはっきりしない。東京地検も東電に強制捜査に入る様子もない。こんなことでは僕たち国民は一円たりとも税金も電気料金も払いたくないし、払うべきではないだろう。

みなさんはどう思われますか?  



2013年05月30日

【懲りない面々】

またしても3/11前と何も変わらない連中が大衆を騙しにかかっています。

『【松浦新】電力会社や原発メーカーのトップらでつくる「エネルギー・原子力政策懇談会」(会長・有馬朗人元文部相)が2月に安倍晋三首相に渡した「緊急提言」づくりに経済産業省資源エネルギー庁がかかわり、手助けしていたことがわかった。提言は原発再稼働や輸出推進を求め、原子力規制委員会の規制基準や活断層評価を批判している。民間の提言を使い、経産省が原発を動かしやすい環境づくりに動いている。

 提言は「責任ある原子力政策の再構築」と題し、有馬会長を発起人とする有志名で出した。有志に電力会社トップはいないが、日立製作所など原発メーカーや大手商社のトップ、元経産次官の望月晴文氏(日立製作所社外取締役)ら29人が名を連ねる。

 A4用紙5枚の提言は原発規制のあり方に約4割を割き、規制委に対して「最高水準の英知と最大限の情報を活用した検討が実現していない」と批判した。そのうえで「原発再稼働を図るべきだ」などと求めた。』(5月19日付朝日新聞)


【国破れて山河あり】

この人間たちの際限なき悪だくみには本当にあきれてしまいます。昨日見ていたニュースステーションでたまたまこの記事のことが取り上げられていました。記者からマイクを向けられた有馬朗人氏や懇談会の事務局をしていたと言われる元新聞社の部長たちは、提言書は自分たちも書いたとだけ言い張って逃げ回っていました。肩書は一流でも人間は最低です。記者たちの追及も手ぬるいのですが、それでも有馬朗人氏たちの表情には胡散臭いものを感じるに十分なものがありました。映像の威力というのはすごいものです。

テレビ朝日が伝えるように提言書の電子データが経産省のものだとすれば、原発を復活したい経産省が民間団体という隠れ蓑を使って猿芝居を演じているということでしょう。えげつないの一言です。こんな人間たちが原子力に関わっている限り、福島第一原発事故の教訓はまったく生かされず、今度は間違いなく国家崩壊の瀬戸際に追い詰められるでしょう。僕らや子どもたちの人生がこんな奴らのために台無しになるのではと思うと怒りでハラワタが煮えくりかえるような思いです。この「エネルギー・原子力政策懇談会」なる怪しげな民間団体に名を連ねる連中の名前の一部をここに刻んでおきたいと思います。それと同時にこの団体の背後にもっと汚い経産省の連中がいることを忘れないようにしたいと思います。

「エネルギー・原子力政策懇談会」の29人のメンバーリストの一部

会長 有馬朗人  元文部相
座長 今井 敬  原子力産業協会会長、新日鉄
座長代理 望月 晴文 元経産省次官
 
槍田松瑩(三井物産)、岡素之(住友商事)、勝俣宣夫(丸紅)、川村隆(日立製作所)、北村秀夫(東芝)、小林栄三(伊藤忠商事)、佐藤育男(日本製鋼所)、島田昌幸(テレビ東京)、佃和夫(三菱重工業)、中村邦夫(パナソニック)

≪参考≫

・「政府に原子力を提言した懇談会、推進派によるロビー活動の思惑」(2013年3月13日、石田雅也・スマートジャパン)
  



2013年05月20日

【原子力ムラの提言】

福島第一原発の核惨事も大多数の国民の声を無視して原発を動かそうとしています。

『【松浦新】電力会社や原発メーカーのトップらでつくる「エネルギー・原子力政策懇談会」(会長・有馬朗人元文部相)が2月に安倍晋三首相に渡した「緊急提言」づくりに経済産業省資源エネルギー庁がかかわり、手助けしていたことがわかった。提言は原発再稼働や輸出推進を求め、原子力規制委員会の規制基準や活断層評価を批判している。民間の提言を使い、経産省が原発を動かしやすい環境づくりに動いている。

 提言は「責任ある原子力政策の再構築」と題し、有馬会長を発起人とする有志名で出した。有志に電力会社トップはいないが、日立製作所など原発メーカーや大手商社のトップ、元経産次官の望月晴文氏(日立製作所社外取締役)ら29人が名を連ねる。

 A4用紙5枚の提言は原発規制のあり方に約4割を割き、規制委に対して「最高水準の英知と最大限の情報を活用した検討が実現していない」と批判した。そのうえで「原発再稼働を図るべきだ」などと求めた。』(5月19日付朝日新聞)

【国民よりも国家よりも原子力】

福島第一原発事故の事故原因も特定できない現在の状況で、原発再稼働や原発輸出を堂々と提言し、さらなる原発事故による国家の壊滅的な被害の招来などありえないとタカをくくって自分たちの利益だけを追求していこうとする原発メーカーや大手商社などの原子力産業界、そしてそれを後押しする経産省。こんな無責任な連中が「責任ある原子力政策の再構築」?ちゃんちゃらおかしいと思うのは僕だけでしょうか?一体いつまで、一体どこまで国民の命をもてあそべば気が済むのでしょうか。

現在の原子力規制委員会の原発規制の在り方には多くの問題があるものの、少なくとも現時点では政治的圧力や原子力メーカーなどの圧力に屈することなく、敦賀原発の活断層評価や「もんじゅ」の運転禁止などを公表し、国民の安全を守る側に立とうとしている努力の跡は見れるのではないでしょうか。

今の規制委さえも「事業者の虜」になり下がってしまえば、次なる致命的な原子力事故の可能性はますます大きくなり、僕たち市民は絶望の淵に立たされることは間違いないでしょう。フクイチまでの数々の原子力政策の過ちをこれ以上繰り返すなと叫びたいと思うのは僕だけでしょうか。  



2013年05月15日

【遅れたものの】

当初予定より時間がかかったものの、最終的な報告書が22日にも発表される予定です。

『日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県敦賀市、116万キロワット)の直下の断層について、原子力規制委員会の調査団が活断層と認定することが分かった。15日の会合で、この内容を盛り込んだ報告書をまとめる。規制委は22日にも定例会で認定を了承する見通し。

 国は活断層の真上に原子炉建屋などの重要施設を建てることを認めていない。原電が活断層を否定する新たな証拠を出せない限り、再稼働は不可能となり、廃炉を迫られる可能性がある。原子力を専業とする原電の経営に大きな影響を与えそうだ。

 調査団は昨年12月、2号機の原子炉建屋直下を通る断層「D-1破砕帯」について「活断層の可能性が高い」との見解で一致。だが、原電は「議論が一方的だ」と反発し、報告書のとりまとめ作業は長期化した。この間、調査団は他の専門家からも意見を聞き、今回の結論に至った。

 報告書案によると、同原発は敷地内に活断層「浦底(うらそこ)断層」が走り、D-1破砕帯はそこから枝分かれするように延びている。「至近距離にある浦底断層と同時に動き、直上の重要施設に影響を与える恐れがある」と結論づけた。

 これに対し、原電は「活断層ではない」と反論。6月末までに終える独自の追加調査の結果が得られるまで結論を出さないよう規制委に求めている。一方、規制委は「現時点でのとりまとめであり、活断層の可能性を否定する新データがあれば、再検討する」としている。

 原電の原発をめぐっては、敦賀1号機(同、35.7万キロワット)は運転開始から43年が経過。改正原子炉等規制法は、原発の運転を原則40年に制限しており、最長20年の延長要件を満たさなければ、廃炉となる可能性がある。東海第2原発(110万キロワット、茨城県東海村)も、地元から再稼働への反発が強い。

 2号機をめぐっては、2010年に旧経済産業省原子力安全・保安院の専門家会合で、敷地内の破砕帯が浦底断層と連動して動く可能性が指摘された。東日本大震災などを受け、保安院は11年11月に原電に調査を指示。昨年4月の現地調査で活断層の疑いが浮上した。【岡田英】』(5月14日付毎日新聞)


【せめぎ合い】

今、原子力をめぐるせめぎ合いがさまざまなレベル、さまざまな地域で起こっています。ひとつは今回の記事にある電力業界と原子力規制委のせめぎ合い。敦賀原発の活断層問題は科学的根拠というごまかしがきかないデータによって、日本原電側が土俵際に追い詰められています。いったん活断層が大きく動けば日本国、ひいては世界を破局に追い込む可能性のある活断層上の原発を止めなければならないのは当然のことです。一電力会社や日本の電力業界が生き残ればいいという問題ではありません。どうしても経営破たんを避けたければ、電力業界なり政府がしっかりと破たんの対策を立てればいいことです。次の原発事故が敦賀で起これば電力会社の破たんでは済まないことはフクイチ事故が証明しました。

同じような原子力の安全にかかわるせめぎ合いは浜岡原発でも起きています。ここでは浜岡原発の周辺自治体と中部電力と電力業界のせめぎ合いです。昨日の新聞報道によれば、浜岡原発の半径30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)の11市町のうち、8首長が現段階では再稼働を容認しない考えを示したとのことです。8首長のうち、牧之原市長ら4人は、国が安全性を確認しても再稼働に反対すると明言しました。牧之原市の西原茂樹市長は「東海地震の想定震源域であり、周辺の人口、産業集積が大きい」として「永久停止」を主張し、菊川、袋井、磐田、藤枝4市長は「使用済み核燃料の処理方法確立が前提条件」と高いハードルを突き付けたとのこと。当然だと思います。中部電力は22メートルもの防波壁で津波を防ぐ対策をしているとのことですが、問題は津波だけではなく原子力を支える日本のシステムそのものにあり3/11後も何も変わっていないことに鑑みれば、到底再稼働など承認できる状況ではありません。

【政府と自民党】

なぜ50基もの原発が2年以上たっても再稼働できないか。それはすなわちフクイチの事故原因も定かではなく、その後の事故収束作業も遅々として進まない中で、原子力を安全に管理・運営する日本のシステムそのものが依然として信頼に足るものではないと多くの国民、そして海外においても懸念されているからです。

少数の先鋭的な反原発勢力が反対しているからと政府や電力業界や大手メディアは批判しますが、自分たちの都合のいいように問題を矮小化しているだけです。

政府・自民党は原発輸出は再稼働に前のめりになっていますが、この国民や海外の人々に対し、日本の原子力の維持・管理能力に対する明快な回答を示せない限り、ごり押しをすればするほど自分たちが窮地に追い込まれるだけでなく、日本という国家そのものの存立を脅かすことになっていくでしょう。心すべきだと思うのは僕だけでしょうか?

  



2013年05月14日

【デタラメもんじゅ】

まあ、よくぞここまでのデタラメを許してきたものかとあきれるとともに、致命的な事故が今まで起きなかったのは単なる偶然だったような気がします。

『多数の機器で点検時期の超過が見つかった日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、原子力規制委員会は13日までに、未点検機器の整備などが完了するまで、運転再開に向けた準備を進めないよう指示する方針を固めた。近く具体的な指示内容を決めるが、原子力機構が目指している年度内の運転再開は、ほぼ不可能になった。
 長期間運転を停止しているもんじゅでは昨年11月、1万件近い機器について点検間隔の延長手続きを行わないまま、実施を遅らせていたことが発覚。規制委は今年2月、立ち入り検査などを行って調査してきた。
 調査の結果、規制委は原子力機構の管理体制などに問題があることを重視。未点検機器が残っていることなどから、年度内の運転再開に向けた準備作業の継続を当面の間認めない方針だ。
 原子炉等規制法は、技術的基準に適合しない原子炉施設に対し、規制委が使用停止命令を出すことができるとしているが、規制委によると、使用前検査の段階にあるもんじゅへの適用は難しいという。』(5月13日付時事通信)


【政治のデタラメが続く中】

「もんじゅ」のデタラメはかろうじて原子力規制委員会がストップしたものの、原子力に関わる政治の世界は、もう時計の針を3/11以前に逆戻りさせる動きが加速しています。先日中近東の歴訪をした安倍首相はUAEやトルコと原子力協定を結び、今度は東欧諸国に行って原子力輸出にさらに拍車をかけようとしています。安倍首相のバックでは東芝や三菱重工業といった原子力産業が経産省とともに猛烈な圧力をかけているのでしょうが、安倍首相自身と自民党の原子力を何が何でも推進していこうとする無茶苦茶な野心が、3/11以前よりも無定見な原子力推進を可能にしていることは間違いありません。フクイチ事故のとき野党だった彼ら自民党は真の意味でフクイチ事故の収拾に体を張って取り組んでいないことが、以前にも増して原子力の危険性に音痴で無知にしていると僕は思っています。バカは死んでも直らないでしょう。

アベノミクスによる一時的な経済回復に騙されて、多くの日本人は原子力からの撤退の道がますます閉ざされて次の致命的な大事故による国家崩壊という取り返しのつかない事態を招くことを肝に銘じなくてはなりません。自民党政権による憲法改正の動きと、猛烈な原子力回帰への動きは連動しています。

唯一の救いは、まだまだ多くの市民がフクイチの事故による原子力への不信感を抱いていること、そして原子力規制委が「意外に」がんぱって今回の「もんじゅ」の運転再開不許可や活断層に対する厳しい姿勢などで自民党政権が考えるほど簡単に原発の再稼働や原子力推進への回帰が出来そうにないことです。状況は脱原発を目指す僕たち市民には極めて厳しいですが、めげずに少しずつでも前に進めていければと思います。  



2013年05月07日

【石炭火力を使え】

政府が石炭火力の見直しに舵を切りました。

「政府が石炭火力発電所の新増設推進にかじを切った。新増設に必要な環境影響評価(アセスメント)の審査期間を現行の3年から、新増設は2年強に、建て替えは1年強にそれぞれ短縮する新基準を先月26日に発表。原発長期停止に伴う火力燃料費の増加が電気料金を上昇させる中、発電単価が安い石炭火力の新増設をやりやすくするのが狙いだ。しかし、原発再稼働の可能性もある中、数年かかる建設計画は立てにくく、1000億円超の建設コストもネックになっている。新増設が進むかは未知数だ。【浜中慎哉】
 「環境アセスがわかりやすくなり、大変ありがたい」。東京電力の広瀬直己社長は4月30日の記者会見で、アセス新基準を歓迎した。

 石炭火力のメリットは、1キロワット時当たり約4円という発電単価の安さだ。

 東日本大震災以降、電力各社は液化天然ガス(LNG)火力と石油火力を拡大させたが、LNGの発電単価は石炭の2倍超の11円、石油は4倍の16円と高く、電力会社の経営を圧迫。13年3月期連結決算は、北陸と沖縄を除く大手8社が最終赤字を計上した。

 LNGや石油の比率を落とし、石炭を増やせば、燃料費を削減できる。東電は大型原発2基分に相当する260万キロワットの電力を他社から調達するための入札を実施中だが、調達分の燃料がすべて石炭になれば、すべて石油の場合に比べ、燃料費は年間約1750億円安くなる。

 新基準では、運転中の最新鋭の石炭火力以上の環境整備を求めており、基準となるのが、Jパワー(電源開発)の磯子発電所(横浜市)。従来の火力発電所と比べ、二酸化炭素(CO2)排出量は2割カットでき、酸性雨の原因となる硫黄酸化物も95%以上除去可能だ。仮に米国と中国とインドの全ての石炭火力発電所を磯子並みの施設にすれば、日本の年間排出量より多い14億トンものCO2排出量を削減できるほど。日本が誇る高性能技術は、環境ニーズが高まるアジア新興国などへのインフラ輸出で需要が見込める。

 電力会社にとっては、すでに確立した「磯子並み」の環境性能を備えればいいという条件は「高くないハードル」(電力大手)。経済産業省幹部は「現在のLNG頼みは安定に欠ける。将来は石炭とLNGが同等の規模になっていくのが理想」と話し、今後、他の大手電力や独立発電事業者(IPP)などで、新増設の動きが活発化することを期待する。」(5月6日付毎日新聞)


【突然死する原発は無用の長物】

アメリカで急速に進むシェールガス革命が、2年前に起きた福島第一原発事故による原子力の見直し機運と相まって、世界のエネルギー地図を塗り替えつつありますが、もうひとつエネルギーについて忘れてはならないのが高効率の石炭火力発電です。この記事にもあるとおり、日本の最新鋭の火力発電設備は1キロワット時当たり約4円という発電単価の安さとともに、従来の火力発電所と比べ、二酸化炭素(CO2)排出量は2割カットでき、酸性雨の原因となる硫黄酸化物も95%以上除去可能となるという一石三鳥の発電方式なのです。

それに比べて原子力発電は日本ではもはや電力会社のお荷物以外の何物でもありません。なぜなら規制委の新しい安全基準をクリアするために膨大な安全コストをかけなければならないこと、そして再稼働しなければ不良債権化して電力会社を債務超過、さらには破たんへと追い込む可能性があるからです。
そして忘れてはならないのは、一旦事故を起こせばフクイチのように連鎖的に隣接する原発の稼働も危うくなり、すべての原発を止めなければならなくなる巨大なリスクを抱えていることです。

それでも原発を温存しようとする安倍自民党政権や原子力ムラの狂気ぶりはあきれるばかりですが、政府には石炭火力によるエネルギーの選択肢の多様化に舵を切ることで少しはリスクを減らす知恵が残っているようです。今のままでは次の原子力巨大事故はまた起こる、それを回避するためにも石炭火力をはじめとする原子力以外のエネルギーの利用、そして原発の不良債権化による電力会社の経営危機を回避するための方策を早急に国民の前に提示すべきだと思うのは僕だけでしょうか?  



2013年05月01日

【休日・祭日は休刊日】

いつもお読みいただいている読者の方、ありがとうございます。

勝手な都合で恐縮なのですが、休日・祭日は休刊日にさせていただいてじっくりと週日にいい記事を載せたいと思います。

写真は立花山の樹齢300年にもなるクスノキの原生林です。しばし、心が洗われるような森林浴に浸れる空間です。

みなさんも一度行ってみませんか?

《参考》・・・あと数枚、クスノキの写真を旅行記にアップしています。


・「近場の穴場-都市近郊にある原生林」(luckymentaiさんの旅行ブログ)

  


2013年04月26日

【27年前の大惨事】

みなさんは27年前の今日、世界全体を恐怖のどん底に陥れた出来ごとをご存じだろうか。

それはチェルノブイリの原発事故だ。

1986年4月26日午前1時24分、旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発4号炉で原子炉停止実験が失敗、原子炉の暴走が始まり、数度の爆発で瞬く間に大量の放射能が全世界に撒き散らされた。 (写真は27年前、事故を起こした4号炉)

事故直後から数週間の間に起こったことは、事故そのものの悲惨さを上回るような出来事だった。旧ソ連政府による事故隠し。何も知らされないで捨て置かれた何十万人もの避難民の被爆。
その後も旧ソ連政府だけでなく、IAEA(国際原子力機関)を始めとする国際機関や各国政府の事故隠し。長崎・広島を経験した日本さえもその一団に加わった。事故後27年を経た今、事故そのものの記憶の風化が進んでいるが、これらの機関や政府のチェルノブイリの真実を出来るだけ小さく見せたいという意図は本質的には変わっていないように思う。

そして2年前の3月11日に東日本を襲った大地震と大津波の後、原発大国ニッポンは福島第一原発でチェルノブイリに匹敵する核惨事を引き起こした。世界中が事故の状況を心配する中、僕らだけでなく世界中の人たちが東電、経産省原子力安全・保安院、政府官邸などから発信される情報に不信感と疑念を募らせていった。その後2011年12月には、政府が「冷温停止状態」に至ったとして事故の収束宣言を出したにもかかわらず、放射能は漏れ続けフクイチの廃炉には何年かかるかわからない状況が続く中、国民の政府や原子力ムラに対する不信感は膨らむ一方だ。

【恐怖の「見えない雲」】

しかし、福島第一原発の核惨事の本当の恐怖はこれから始まる。それはとりもなおさず空気、土、水、さらに加えて海の放射能汚染だ。事故当初は対外被ばくが恐怖の中心だったが、これからは食物を通じて起きる体内被曝が5年~10年後に子供たちを中心に顕在化してくるのだ。チェルノブイリはその原発事故による大規模な放射能汚染の貴重な教訓だったのだ。

僕自身は史上最悪と言われたチェルノブイリ原発事故当時のことは今でも鮮明に覚えている。事故発生後数日経ってから北欧や欧州各地で基準値を大幅に上回る放射性物質が大気中から検出され、世界中が大騒ぎとなり、特に欧州では「見えない雲」、すなわち目には見えないが恐ろしい放射能を含んだ雲の飛来に数週間、数か月にわたって人々は怯え続けたのだ。(それらの放射性物質が日本にまで飛来していたころ、5月のゴールデンウィークの最中に東京の皇居周辺ではあの亡くなったダイアナ妃の歓迎パレードが行われていた)

そしてそれは杞憂ではなかったし、実際にチェルノブイリ周辺数百キロの地域で大規模な放射能汚染が発生、甲状腺ガンなどによる事故の直接・間接的被害による死者は数十万人から数百万人にのぼったと言われている。福島第一原発の放射能汚染の規模はチェルノブイリの10分の1と報道されているが、福島がチェルノブイリと同じ道を辿るのは間違いない。


【生かせなかった教訓】

チェルノブイリは本当に恐ろしい体験だった。チェルノブイリから数千キロも離れた日本でもそう感じたのだから、全市民が避難したキエフやヨーロッパの人々の恐怖は並大抵のものではなかったはずだ。

あれから27年。その記憶は人々の脳裏から消えていた。そして起こった福島第一原発の核惨事。教訓は生かされなかった。

あのチェルノブイリのときに味わった恐怖を原発の専門家たちだけでなく、市民である僕たちも決して忘れてはならないと3/11前まで思っていた。そして忘れたころに災難はやってきた。もう福島周辺の土地は何十年にもわたって「放射線管理区域」として容易に人が住めない地区となった。

チェルノブイリよりもまだ恐ろしいのは、未だに放射能は大気中、土壌、海に汚染を広げており、いつ止められるのかわからないこと、そしてもしも福島で次の大地震が起これば四号機に残された千本以上の核燃料棒の入ったプールが建屋ごと崩壊し、フクイチの何倍、何十倍という大量の放射能放出の可能性が残っているということだ。しかも、福島だけでなく、地震の多発する日本列島には54基もの原発、3千トンもの使用済核燃料を貯蔵したままの六ケ所村再処理工場があるということだ。日本という国、そしてそこに住む僕たちは生き残れるのだろうか。

チェルノブイリから27年経った今、チェルノブイリを超えたフクイチを作りだした僕たち日本人はこの恐るべき現実にこれから何世代にもわたって向き合っていかなければならないことを片時も忘れてはいけない。

≪参考記事≫

1.「チェルノブイリの真実」―2006年4月16日の僕のブログ記事
2.「ゴルバチョフ氏の回想」―2006年3月9日の僕のブログ記事



  



2013年04月23日

静岡県の川勝平太知事は4月22日の記者会見で、政府の要請を受けて運転停止中の中部電力浜岡原発(御前崎市)の再稼働をめぐり、「住民の判断を仰ぐのは極めて重要だ」と述べ、住民投票を行うべきだとの考えを示したという報道がありました。事故が起こればもっとも被害を受ける近隣住民の考え方を尊重するのは当然ですが、今の自民党政権をはじめ政府は住民投票での原発再稼働には強い拒否反応を持っています。日本を壊滅的な状況にすぐにでも追い込みかねない浜岡原発の再稼働については、まず住民投票、そしてその結果を最大限尊重して政府は判断すべきだと思います。

以下は、その浜岡原発について1年前の4月24日に書いた僕のブログ記事です。


【中部電力の奇怪】

この人間たちの狂気を誰が止めることができるのでしょうか?

『中部電力は16日、南海トラフの巨大地震が発生し、浜岡原発(静岡県御前崎市)に高さ21メートルの津波が来た場合の影響評価についての報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。停止中の現状を前提に「安全を確保できる」としている一方で、冷却機能が失われ注水が停止すると、最短で6日後に燃料が露出する可能性があるとした。被災後に迅速な復旧作業ができるのか問われそうだ。

 同原発は昨年5月に政府の要請で停止しているが、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、海抜18メートルの防波壁などを建設している。しかし、今年3月末、内閣府の有識者検討会は巨大地震が発生すると、最大21メートルの津波が押し寄せると予測。保安院は中部電に対し、浜岡原発への影響を評価する報告書を16日までに提出するよう求めていた。

 報告書によると、「現状は冷温停止状態にある」とした上で、「敷地が浸水し原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能が喪失しても、燃料が冷却水の水面から露出するまでに最短で約6日ある」と分析。「高台に配備した可動式ポンプなどで代替注水できる」としている。

 一方、再稼働した場合の対策について報告書は「(今後入手するデータを)詳細に検討し、必要な対策を講じる」と追加対策の是非を検討する考えを示した。中部電の増田博武原子力部長は記者会見で「有識者検討会の試算の根拠となったデータが十分に提供されていない。評価には数カ月かかる」と先送りする考えを示した。

 中部電は12年中の防波壁完成を目指している。追加対策としては、防波壁の高さ見直しが想定されるが、大規模な追加工事が必要になった場合、工期が遅れ、再稼働が遠のく可能性がある。

 一方、保安院は今月中にも報告書が妥当かどうか判断。5~6月に有識者検討会が詳細な津波高を推計するのを踏まえ、専門家会合で浜岡原発で想定する津波高を引き上げるか検討する。【森有正、高橋昌紀、岡田英】』(4月16日付毎日新聞)


【想像力の欠如?】

この記事を読んでいると正直言ってコメントすることさえばかばかしく思えてきます。中部電力と原子力安全・保安院はまるで何かに憑りつかれているとしか僕には信じられません。浜岡原発を何が何でも稼働に導くためには、たとえ津波の想定が21メートルになろうが、津波によって原発の冷却機能が失われようが、自然の猛威なんてどんなことでも対処できると結論づけようとする精神構造は、もはや「狂っている」としか表現のしようがないくらいです。

そもそも巨大地震が来て、巨大津波が襲来して原子炉の冷却機能が失われても、高台にある可動式ポンプだけが「無傷」で、そんな大災害が起きた時にも運転員たちも「無償」でポンプを稼働できると考えること自体、あり得ないことだということは僕ら素人にでも「想像」できますし、机上の計算に過ぎないとわかります。

原発を稼働するために机上の計算で自分たちの都合のいい結論を導き出して「想定外」の大事故を起こしたのが東京電力であり、フクイチだったということをどうしても認めたくないのでしょう。あるいは自分たちだけはそんなことにはならないと信じ切っているのでしょうか。それはフクイチを経験した今となっては、原子力という人間にとって制御できないほどのリスクを抱えた技術を管理する専門家として、あまりにも想像力に欠け、あまりにも自然に対して傲慢な態度ではないでしょうか?

今、この瞬間もフクイチの4号機の千本以上ある燃料棒は、壊れかけた建屋が次の地震で崩壊すれば、格納容器もないむき出しのまま、フクイチ事故の何十倍もの放射性物質を大気中に拡散し、日本どころか世界中が緊急事態に陥るというのに、さらに加えて確実に起こると言われる東海地震の震源のど真ん中にある浜岡原発を単に防波堤を作るだけで動かそうとするその神経たるや、もう人間のなせる技ではないと断言できます。一体いつまでこんな狂気を僕ら日本人は許すのでしょうか?中部電力や原子力安全・保安院の狂気をこのまま許しておくのでしょうか?ひとりひとりが真剣に声をあげるべきです。

そうしなければ間違いなく、日本が壊滅するときが遠くない将来にやってくるでしょう。
  



2013年04月17日

2年前の4月15日、ドイツのメルケル首相は福島第一原発の核惨事を受けて再び脱原発の大きなうねりを起こしたドイツ国民に背中を押されるように原子力推進路線から一気に原発廃止路線に方向転換を図りました。国民の多くが政治家に粘り強く求めれば、原発を止めることはできるのです。現に日本でもフクイチ後2年経った今も、原発事故をなめきった原子力ムラを信用することなく全国のほとんどの原発を2年にわたって止め続けているのは多くの国民の原発に対する不安と不信、そして原発に依存する社会を「正常な」形に戻したいという強い欲求があるからです。

決してあきらめないという、大地に足をつけた決意さえ持ち続ければ、えげつない隠ぺいや傲慢で凝り固まった原子力ムラの連中など何も怖くありません。彼らはいづれ自滅するでしょう。いや市民がまた巻き添えを食らう前に自滅させなければなりません。

そういう勇気を与えてくれたドイツの動きについて、2011年4月18日付の僕のブログは書いていました。以下はそのブログ記事です。


【ドイツの決断】

ドイツの首相が再び原子力からの撤退を言明しています。

『東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けてエネルギー政策の見直しを進めているドイツのメルケル首相は15日、「原発をできるだけ早く廃止したい」と述べて、原発の稼働期間の延長を柱とした、みずからのエネルギー政策を改める意向を示しました。

ドイツのメルケル首相は、去年秋、国内にある原発17基の運転を平均で12年間延長する方針を決めましたが、福島第一原発の事故を受けて、この決定を3か月間凍結し、原発を含めたエネルギー政策の見直しを行っています。15日には、16すべての州の首相や関係閣僚を集めて、エネルギー政策について協議を行いました。このあとメルケル首相は記者会見し、「われわれはできるだけ早く原発を廃止して再生可能エネルギーに移行したい」と述べ、原発の稼働延長を柱としたみずからの政策を転換する意向を示しました。そのうえで、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの普及に向けた議論を加速させる方針を示しました。ドイツでは9年前、前の政権のもと、原発の運転を2022年ごろまでに、すべて停止するとした「脱原発法」が制定されたのに対し、メルケル政権は、代替エネルギーの普及が追いついていないなどとして原発の稼働延長に大きくかじを切ったばかりでした。』(4月76日付NHK)


【市民と文明観】

この記事にもあるように、ドイツでは1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故の後、ヨーロッパ全域に広がった深刻な放射能汚染を契機に原子力発電に対する根源的な疑念が市民の間に湧きおこり、環境を重視する政治的うねりをもたらしました。そしてそれが脱原発の大きなうねりとなったのです。

しかし、ここ10年余りの間に地球温暖化問題の解決に原子力発電が有効であるという考え方が広まり、世界的に「原子力ルネッサンス」と呼ばれるような原子力発電の新規着工が世界中に行われるようになりました。その最中に起こったのが今回の福島第一原発の核惨事です。

ドイツでは一番早くこの核惨事に国全体が反応し、運転中の古い原発が一時停止され、メルケル首相率いる与党が選挙で大敗、原発を当面存続していくとしていた与党が方向転換を迫られる事態となっているのです。そして再びドイツは自らの文明観を見なおそうという方向に市民が政府の背中を押そうとしているのです。

今回の福島第一原発の核惨事を見ていて、強く思うのはこの核惨事は日本人全体の責任で起こったということです。一部の政治家や東京電力、経産省等の官僚等のなりふり構わぬ原子力推進、情報の秘匿、反対派の無視などを過去何十年にもわたって許してきたのは私たち市民、国民だということを忘れてはいけないと思います。これほど地震が多発するニッポンにこんなに多くの原発を作り続けることがこれからも日本だけでなく、世界中に核汚染の脅威を振りまいていくことになるということを今一度しっかり考え抜いて、文明観の転換を図っていかなければならないと思います。そのとき、ドイツの市民の勇気、文明観の転換が本当の意味で助けになると思っています。

本当に原発が日本という国家の存立に不可欠なのか、逆に地震大国・ニッポンにとって今回の福島第一原発の事故のようにとてつもない脅威になるのではないのか、ひとりひとりが深く、深く考える必要があると思います。
  



2013年04月16日

3月26日に放映された「3.11後を生きる君たちへ~東浩紀 梅原猛に会いに行く」(NHK Eテレ)で、哲学者・梅原猛氏が東日本大震災後わずか1ヶ月後に原発事故を起こした災害を「文明災」と定義し、原子力に依存してきた西洋文明の在り方に痛烈な批判を浴びせ、日本の伝統思想に立脚した自然と共存する人類共通の哲学思想を語っていました。

その梅原猛氏は東日本大震災の復興構想会議でも会議の特別顧問として「文明災」に言及、原発問題を会議のテーマからはずそうとしていた事務方をはじめとする原子力ムラに痛烈な一撃を放っていました。これほどの事故を起こした以上、文明史的なパラダイムシフトをしなければ日本は再び同じ原子力の災禍を繰り返すでしょう。もっと哲学者や文学者、社会学者や宗教家といった幅広い人たちが原子力ムラの横暴を糾弾して日本社会を変えていくことが必要だと思います。国の在り方があまりにも経済一辺倒過ぎます。

以下は、梅原猛氏が発言した復興構想会議について書いた2011年4月18日の僕のブログ記事です。


【議論スタート】

復興構想会議が14日スタートしました。

『「全国民の英知を結集する」として菅直人首相が発足させた東日本大震災復興構想会議(議長・五百旗頭真防衛大学校長)の議論が14日始まった。6月末をめどに第1次提言をまとめることを確認したが、首相が議論の対象から原発問題を外すよう指示したのに対し哲学者の梅原猛特別顧問らから異論が噴出。震災発生後の本部・会議の乱立や政治主導の政権運営に疑念を呈する発言も相次ぎ、復興構想の具体化に不安を残すスタートとなった。

 「原発問題を考えずには、この復興会議は意味がない」

 以前から原発の危険性を唱えてきた梅原氏は会議の終了後、記者団にこう言い切った。首相自ら特別顧問就任を要請した梅原氏だが、東京電力福島第1原発事故の収束する見通しの立たない中、賛否の割れる原発問題に踏み込みたくない首相の意向と会議の間に初会合からずれが生じた。

 原発事故の被害に苦しむ福島県の佐藤雄平知事は「原子力災害も皆さんに共有していただきたい。安全で安心でない原子力発電所はありえない」と提起。秋田県出身の脚本家、内館牧子氏も「地震、津波、原発事故という3本の柱で考えたい」と述べ、復興構想の中に原発をどう位置づけるかが議論の焦点の一つになりそうだ。

 内館氏は対策本部や会議の乱立にも「復興構想会議もその中の一つと国民に思われたら、東北がつぶれる」と苦言。震災後も府省や自治体との連携不足が目立つ菅政権に対し、「官僚と県や市が一体となってやることがまず第一」と注文をつけた。

 五百旗頭氏は会議後の記者会見で「(検討)部会で専門的な議論をするときには官僚機構から知恵を出してもらいたい」と強調。会議の下に設置する検討部会(部会長・飯尾潤政策研究大学院大教授)で提言の肉付けを進める段階で、官僚の協力を期待する考えを示した。』(4月14日付毎日新聞)


【原子力抜きの議論?】

最初の会議から波乱含みとなりました。それはこの記事にあるように、梅原特別顧問など数人の委員から原発抜きでは復興構想会議にならないという意見が噴出したからです。当然だと思います。

地震と津波と原子力災害が3つ一緒に起こったからこそ、今回のような天災と人災のミックスで東日本全体がかつてない悲惨な状況に追い込まれているのです。その最も大きな原因である福島の核惨事を議論から除外してしまっては、腑抜けのような結論しか出てこないことは明らかです。原発で議論が紛糾するのは当然でしょう。ならばどんなに紛糾してもトコトン議論すべきです。日本がまさに沈没せんとしているときに、その最も大きなガンである原子力問題を抜きにして復興はあり得ない。

これほどの核惨事を招いてもまだ日本人はわからないのでしょうか?復興構想会議のメンバーのひとりである玄侑宗久さんが自身のブログに書いているように、今回の地方自治の首長を選ぶ選挙でも原発容認派の知事がたくさん選ばれたようですが、自分の足元の原発が爆発しなければ福島の核惨事でさえ他人事なのです。日本は本当にこのままでは次々と襲いかかる大地震を引き金とする原発の核惨事で壊滅するところまでいくしかないのかもしれません。本当にぞっとします。

玄侑宗久さんのブログ「雪月花」→ http://www.genyu-sokyu.com/  



2013年04月15日

1年前の4月中旬、日本では全国の原発がほとんど止まり、残るは泊原発だけとなっていました。すべての原発稼働がゼロになることを何としても避けたい民主党政権、そして原子力ムラの面々は原発がなければ大停電になると国民を恐喝し、大飯原発を動かす画策を進めていました。あれから1年、未だに大飯原発は稼働したまま、本質的な問題解決を先送りしたままの原子力安全委員会の安全基準が示され、次の再稼働は川内か伊方かと新聞が書きたてています。

果たして、それで大丈夫なのでしょうか? フクイチ事故の際首相だった菅直人氏が東電の社員を前に語ったことは今でもすべての国民が肝に銘じておくべきことだと思い、以下に2012年4月10日の僕のブログ記事を採録します。

おぞましい原発のことなど忘れてしまいたいけれど、生き残るためには何度でも思い出して、ひとりひとりが日本壊滅を避けるために行動することが求められています。

以下がそのブログ記事です。


【再稼働強行】

野田内閣は、なにがなんでも泊原発の最後の原子炉が止まって日本の稼働原発がゼロになる前に大飯原発を動かそうとしています。それも原発の抜本的な安全対策を実施することなく、官僚の作文で済ませようとしているのです。今週からそういった動きが一層強まるとみられています。

あなたは、「夏の電力ピーク時の電力が足りなくなるのだから、関西電力が原発なしでは困るから、大飯原発のひとつやふたつ稼働しても仕方がない」と思ってはいないでしょうか?

それは大きな間違いです。大飯原発が再稼働すれば、次々と同じ考え方で政府は日本全国の休止原発を動かし始めるでしょう。フクイチ事故の教訓など何も活かされずにです。そうなれば次の大事故は必然となるでしょう。

【菅前首相の怒号】

ここでもう一度思い起こしておきたいことがあります。それは、昨年の3月15日、フクイチの1号機、3号機が次々と爆発し、2号機に異変が起こり、4号機が爆発するに及んで、もはやこれまでと思った東京電力がフクイチからの全員退避を菅前首相に申し入れたときのことです。

そのときの状況が「レベル7 フクシマ原発事故、隠された真実」(東京新聞原発事故取材班 幻冬舎)の106ページに書かれています。

『午前5時半、菅は東京・内幸町の東電本店に乗り込む。二階の対策本部に居並ぶ役員らを前に、外に聞こえるほどの大声で吠えた。

「これは2号機だけの話ではない。2号機を放棄すれば1号機、3号機、4号機から6号機。さらに福島第二のサイト、これらはどうなってしまうのか。これらを放棄した場合、何カ月か後にはすべての原発、核廃棄物が崩壊して、放射能を発することになる。チェルノブイリの2倍~3倍のものが10基、20基と合わさる。日本の国が成立しなくなる。」

「テレビで爆発が放映されているのに、官邸に1時間くらい連絡がない。情報伝達が遅いし、間違っている。どうなってるんだ」「命を懸けてください。逃げても逃げ切れない」

「会長、社長も覚悟を決めてくれ。60歳以上が現地に行けばよい。撤退したときには東電は百パーセントつぶれます。」』


このときの対応を誤れば、菅前首相が叫んだように、本当に東京を含む関東全域の3千万人近くの人たちだけでなく、日本全国がこれまでに放出された放射能の何十倍、何百倍以上が大気中に放出されて、数えきれない人々が急性放射線障害で倒れ、霞が関も機能停止して日本国は成立しなくなっていたでしょう。今までの政府の動きを見ていて、あなたはこういう事態を避けられるだけの原発維持体制の抜本的な見直しが行われたと思われますか?僕にはどうひいき目に見ても到底信じられません。

あのときの危機的状況を考えれば、原発の再稼働というのは、日本全滅を止められるかどうかという選択だということを僕たち国民ひとりひとりが肝に銘じて、政府の暴走にしっかりモノ申すべき重大問題なのです。
  



2013年04月12日

【わずか3分で漏水】

配管からも漏水して、もはや打つ手なし?

『東京電力福島第一原子力発電所の三つの地下貯水槽から放射性物質を含む汚染水が漏れ出た問題で、東電は11日、3号貯水槽から6号へ汚染水を移し替える際、配管の接続部から漏水したと発表した。

 漏れた水量は約22リットルで、含まれる放射性物質は約64億ベクレル。現場は貯水槽を覆う盛り土部分のため、貯水槽周辺の土壌まで漏れた可能性はないという。

 漏水は、3号貯水槽から汚染水を送り出すポンプの出口付近で起きた。東電は、3号で7日に判明した漏水について、貯水槽の最上部で起きていると推定。水位を下げるため、汚染水(約1万400トン)の一部を6号へ移す作業を、11日午後2時に始めた。その3分後、配管の接続部から漏水しているのを作業員が発見し、ポンプを停止した。汚染水は約6平方メートルの範囲にこぼれ、盛り土に染み込んだ。東電は、その部分の土を除去する。』(4月11日付読売新聞)


【果てしなき戦い】

東電の現場の方々は必至の思いでやっていると思いますが、放射能との戦いはあまりにも厳しいことが今回の漏水でも思い知らされました。たった22リットルの漏水に含まれる放射性物質が64億ベクレル? 恐るべき数字です。これほどの放射能に汚染された水がフクイチの周りをそこらじゅう取り囲んでいるのです。

これはまさに終わりなき戦いです。とても東電だけで解決するのは不可能でしょう。あらゆる知恵を振り絞って政府も民間も、日本全体で何とか汚染を食い止めていかなければなりません。毎日400トンもの汚染水がどんどん溜まっていく。こういう状態をこれから何年も何年も続けていかなければならないのです。

この戦いは一体何を意味するのか? 日本人ならひとりひとり、しっかり想像しなければならないと思います。あれほどの原子力事故を起こしたのは一義的には東電ですが、その背後には政府や官僚、政治家、御用学者、原子炉メーカー、大手メディア、そして見て見ぬふりをしていた私たち市民にも責任があるのです。

膨大な放射能汚染水との戦いは、すなわち、日本全国にすでに溜まった膨大な高レベル放射性廃棄物との戦いの縮図です。今溜まっている廃棄物でさえ最終処分の目途も経たないのに、安倍自民党政権や原子力ムラの面々は平気な顔をして、まだ原発や再処理を続けてこれからも増やそうというのですから狂気の沙汰です。子どもたちの未来もドブに投げ捨てるようなことを一刻も早く辞めてもらいたいと願うのは僕だけでしょうか?  



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