厳冬続くニッポンの気候変動の理由
【海氷による寒気】
最近の天気は地球温暖化というより、気候変動というほうが適切だと思われます。
『海洋研究開発機構は1日、北欧3国とロシアに面する北極圏のバレンツ海の海氷が少ない冬は低気圧が北寄りに進み、シベリア高気圧が拡大して強い寒気が形成され、日本が厳冬になる可能性があることが分かったと、発表した。2005~06年の「平成18年豪雪」や今冬の寒波・大雪も説明できるという。研究成果は米国気象学会発行の専門誌に掲載された。
日本の厳冬は低緯度のラニーニャ現象(太平洋赤道域東部の海面水温が低い現象)と高緯度の北極振動(北極圏などでの気圧変動)が関係するが、今冬は両現象だけでは説明が難しいという。
海洋機構が気象データを解析したところ、バレンツ海の海氷面積が少ない時は、低気圧が平年より北の北極海上を通過していることが判明。その結果、低気圧が持つ暖かい空気が南のシベリア大陸にまで流れ込まないため、高気圧が北極海沿岸まで拡大する。その後、強い寒気が形成され、日本に来襲するという。』(2月2日付時事通信)
【今冬一番の寒気】
昨日から今日にかけて日本列島はこの冬一番の寒波に見舞われました。気象庁によると、昨日から北日本の上空約5000メートルに氷点下42度以下の寒気が流れ込む冬型の気圧配置になっており、北日本から西日本にかけての日本海側では今日もかなりの降雪が強まっています。東北・北陸地方の積雪は例年よりもかなり多く、福岡でも今日の朝は氷点下になって平野部で5センチ、山間部では10センチ近い積雪になるとの予報が出ていました。
海洋機構が発表したようなバレンツ海の海氷面積が日本の厳冬に影響しているとしたら、今回の寒波もそのひとつかもしれません。人間はどうしても日々の気候の変化は敏感にわかっても、5年や10年単位の気候の変動は感じにくいし、すぐに忘れてしまうというのが一般的な感覚ではないでしょうか。しかし、昨年までの異常な夏の暑さに加えて、最近の厳しい冬の寒さも何年も続くようであれば、誰もがいよいよ気候変動の猛威が身近に迫ってきていることを実感せざるをえなくなるかもしれません。
今後は、たとえ長い時間がかかろうとも中朝的な気候変動に対する対策はしっかりと立てていかなければ取り返しのつかないことになるでしょう。
≪参考≫
・ バレンツ海の海氷減少がもたらす北極温暖化と大陸寒冷化 - 海洋研究開発機構(2月1日)
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