予算にも原発回帰鮮明-安倍政権
【原発回帰予算】
どさくさ紛れというか、死んでも懲りない面々です。
『経済産業省は二〇一三年度予算の概算要求に、原発の輸出をにらんだ海外への技術者の派遣支援や、高速増殖炉「もんじゅ」の技術を応用した新型炉の研究開発費を盛り込んだ。安倍政権の「原発回帰」をうかがわせる要求に、原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「現実に高速炉は実現困難な技術。容易に廃棄物を減らせると夢のような理由をつけ、お金を投じるのは無駄だ」と指摘した。
自公政権の誕生を受け、各省庁は民主党政権下の昨年九月に固めた概算要求の内容を見直し、締め切り日の十一日、財務省に提出した。
経産省は新型炉の技術開発に三十二億円を要求。昨年九月段階より約二億円増額した。原発で発生した高レベル放射性物質を新型炉で燃やし物質が有害である期間を大幅に短縮することを目指す。
経産省は「技術的に廃棄物の有害度を低減できる」と説明しているが、新型炉はもんじゅの技術を応用。もんじゅには一兆円超の研究開発費が投じられたものの、一九九四年の稼働から実際に動いたのは二百五十日程度で、実用化はおろか運転再開のめども立たず失敗は明白だ。
また、経産省は東芝や三菱重工業などが海外で進める原発の新設にかかわる人材育成費も新たに十三億六千万円要求した。原発の輸出を間接的に支援するほか、国内の原発停止に伴い原発の建設や維持管理の技術力が失われるのを防ぐ狙いがある。
このほかでは、原発立地自治体への支援策として地域の名産品や宿泊施設などの宣伝費として最大五億七千万円を要求。原発を推進する国際原子力機関(IAEA)へ拠出する運営費を三千万円増額し一億二千万円にすることも盛り込んだ。
<概算要求> 中央官庁や衆参両院、最高裁が翌年度に必要となる経費の見積額を記した書類を財務省に提出して予算を要求すること。安倍晋三首相は昨年12月27日の臨時閣議で、野田政権が途中まで手掛けた2013年度予算編成をやり直し、今月11日までに新たな概算要求を出すよう指示した。今回、要求が出そろったことを受け、財務省は今月末の予算案決定を目指して各省庁との折衝を本格化させる。』(1月12日付東京新聞)
【最悪のバラマキ復活】
安倍首相が「日本を取り戻す」と選挙中に言っていた意味が次々と明白になってきています。景気を回復させるための様々な処方箋を速やかに実行するのは総論では賛成ですが、各論、特に原子力や軍事に関しては到底承服できないことばかりです。10兆と言われる緊急経済対策の中の個別の項目を各省庁から積み上げさせて出来あがった予算なので金額を膨らませることが目的となっていることは容易に想像できます。その中でも首相が「原発ゼロは見直す」、「国防は強化する」と明言しているわけですから、官僚が喜んで新型炉の研究開発費や自衛隊のミサイル購入費などを概算要求に入れてきたということでしょう。
1度決めたら、たとえその方策が明らかに間違っているとわかっていても軌道修正できず、そのまま突き進むのは太平洋戦争での失敗を繰り返した近代日本の国家体質そのものです。安倍首相もその背後にいる官僚たちも、その轍を再び踏もうとしています。どんなに安倍首相が否定してもこれはかつての自民党と同じくバラマキ以外の何物でもありません。僕ら市民はしっかり監視して、その過ちを正すべくあきらめずに声を上げ続けていくべきだと思います。
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