禍を転じて福となす-農林漁業再生
【相談殺到】
農林漁業への就職希望が殺到しているそうです。
『雇用情勢が悪化する中、農林漁業への就職を希望する人が急増している。農林水産省や関連団体が、派遣切りなどの雇用問題に対応するため08年12月24日に設けた窓口への相談件数は、20日までで3000件を突破した。後継者不足に悩む農林漁業にとっては、不況の深刻化が思わぬ「追い風」となっている形で、この機会に人材を確保しておこうという農業法人や林業組合などからの求人も1900件近くに達している。
農水省は雇用問題への緊急対策として、本省や全国7カ所の地方農政局、39カ所の農政事務所などのほか、都道府県や関係団体なども常設の窓口を設置し、就労希望者を対象に相談会などを開いている。同省の集計では、これらの窓口に20日までに寄せられた相談件数は計3149件で、希望職種は林業が最多で農業、漁業の順という。求人は林業855件、農業837件、漁業195件の計1887件に上る。』(1月24日付毎日新聞)
【厳しい雇用情勢】
それにしても、現下の雇用情勢の厳しさがこんなところにまで深く影響しているのだと思うと、本当にびっくりさせられますね。
この新聞報道によれば、これまでに23の農業法人に就職が決まった47人は、すべて家電メーカーで
「派遣切り」に遭った人など失業者だったということです。また、昨年末に100人規模で求人した日本養豚生産者協議会によると、今月23日までに応募した88人の2割近くが派遣を打ち切られた人だとのこと。
さらには、大阪市で9、10日に開かれた全国森林組合連合会の相談会には、昨年より8割多い1254人が詰めかけ、その中には、
農林業に縁の薄い文系学生の就労希望者も多く含まれているそうです。
昨年末からテレビなどで連日報道されている派遣社員の解雇や大学生の厳しい就職事情の波紋が、思わぬ形で農林漁業の求人難にプラスに働いているのです。
【逆境をチャンスに】
「100年に一度と言われる」金融危機がもたらした世界同時不況。もうどうしようもないと思えば、先は見えなくなるばかりです。
こんなときこそ、逆境をチャンスに変える気持ちを持ってひとりひとりが前向きに対応していくしかありません。
それは「派遣切り」で職を失った人にとっても、新たな道を農林漁業に求めていくという別の活路を見出すというチャンスなのかも知れないのです。後継者難に悩む日本農業の活路にもなっていく可能性を秘めているかも知れません。
ただ、ひとつだけ注意しないといけないのは、雇用情勢が悪化する中、農林漁業への就職を希望する人が急増しているからといって、農水省や政治家は、それを隠れ蓑にして、農林業の将来のあるべき姿を国民の前に一刻も早く示すことなく、天下りや無駄な役所仕事を悠然と続けてもらっては困ると言うことです。改革すべきことは山ほどあるはずだから。
みなさんはどう思われますか?
《参考》
・「全国新規就農相談センター」ホームページ
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