2008年04月10日

【清掃登山、不許可】

北京五輪が近づくにつれて、環境問題に過敏に反応する中国の姿勢がますます批判の対象として浮かび上がってきています。この記事もそのひとつ。

中国とどう向き合うか-野口健さんの清掃登山『アルピニストの野口健さん(34)が19日に予定していたチベット側からのチョモランマ(エベレストの中国名)の清掃登山を、ネパール側からのコースに変更したことが1日、分かった。北京五輪の聖火リレーが山頂を目指すチョモランマに、ゴミがあることを認めたくない中国政府から許可が下りなかったという。

 野口さんは一昨年から、エベレストで清掃登山を行っている。ネパール側から登ったこともあったが、北京五輪が開催される今年は「中国の環境は世界の環境問題につながる」として、チベット側からの登山を申請。回収したゴミを北京に運び、展示することを計画していた。

 ところが、「チョモランマが汚れていることが公になっては困る。清掃登山は共感できない」とする中国政府の意向で昨年10月、不許可となった。

 野口さんによると、過去2回のチベット側からの清掃登山で約8トンのゴミを回収した。野口さんは「公にしない姿勢は大いに問題がある」と話している。』(4月2日付産経新聞)


【登山家の理想と現実】

野口さんと言えば、平成11年にネパール側からエベレストに登頂。その後中国側からの登頂にも成功し、日本人で8人目とされる両ルートからの世界最高峰制覇を成し遂げた登山家です。彼が冒険登山家だけで終わらないのは、平成12年からエベレストや富士山などのごみ回収に取り組んで、環境に目を配った活動をしていることです。

その野口さんの環境登山家としての良心がエベレストの清掃活動を精力的に続けさせる原動力になっているわけですが、そんな熱意も中国政府の「世界に見せたくない現実」に対する頑なな態度の前にはどうしようもなかったのです。本当に残念ですね。

【現実を直視すべき中国】

北京五輪が近づくにつれて、世界中の目が中国政府の人権や環境に対する姿勢に向けられています。チベット暴動や北京の大気汚染だけではなく、野口健さんの取り組みのような比較的小さな事例でも、中国政府の現実を直視しようとしない姿勢が日増しに批判の的になってきているようです。

黄砂の発生源を軍事上の機密があるとして公表しないなど、黄砂被害に遭っている僕ら九州の人間にとっても中国の環境に対する閉鎖的な姿勢は見過ごせないものがあります。経済的にも環境的にも無視しえない大国となった中国。もう少し大人になって情報公開するほうが、大局的な意味での安全保障になると思うのですが・・・・本当に厄介な国ですね。



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