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2011年10月31日

【事故後の初試算】

とても本当だとは信じがたいというのが正直な感想です。

『原子力発電にかかるコストを試算している、国の原子力委員会は、事故が起きた場合の追加的なコストについて、1キロワットアワー当たり最大で1円程度とする、初めての試算をまとめました。これまでの原発のコストに上乗せしても、ほかの発電方式より依然安くなっていますが、今回の試算には広範囲にわたる除染費用などが含まれず、委員の間から異論が相次ぎました。

原子力委員会の25日の会合では、福島第一原発事故を踏まえて、深刻な原発事故が起きる確率と事故にかかる損失額を基に、事故が起きた場合のコストを算出しました。このうち、事故の確率は、福島第一原発事故を参考に、500年に1回起きるとする場合から、国際的な安全目標である10万年に1回の場合まで、幅を持たせました。そのうえで、損失額は、避難の費用や風評被害などの損害賠償に加えて、廃炉の費用を合わせて、1基当たり3兆8800億円余りと算出しました。ただ、森林を含めた広範囲に及ぶ除染費用や廃棄物の保管費用などは、正確な金額がまだ分からないとして含まれませんでした。この結果、事故が起きた場合のコストは、1キロワットアワー当たり1.2円から0.0046円になると試算されました。

これに対して委員の1人は、除染や廃棄物の費用などを含めると損失額は48兆円に上るとする独自の試算を提示し、コストは1キロワットアワー当たり最大で16円になると主張しました。議論の結果、独自の試算も参考として併記したうえで、事故が起きた場合のコストは0.1円から1円として、政府の委員会に報告することで合意しました。原発のコストは、過去の試算では1キロワットアワー当たり5円から6円とされ、25日に合意した事故のコストを上乗せしても6円から7円程度で、依然、ほかの発電方式より安くなっています。座長を務める、鈴木達治郎原子力委員長代理は、「試算の参考にした数字には不確定なものが含まれるので、参考にする場合は、議論の前提や内容をよく理解していただきたい。特に損失額はまだ分からないので、あくまで現時点での報告だ」と話しています。』(10月25日付NHK)

【重要な論点】

僕は10月17日のブログ記事「発電コスト見直し-要監視」において、原発のコスト比較は今後の原子力エネルギー見直し論議の中で重要な論点になると次のように指摘しました。

『電源別の発電コストについては、以前も何度かお伝えしていますが今後原発をどうするかの議論を進めていく際に、最も重要な論点となるのは間違いありません。それがわかっているから従来から経産省は原発の発電コストは安いという宣伝を自らやったり、日本エネルギー経済研究所などの同省所管の外郭団体を使ったりしてきました。もちろん、その計算根拠をすべてつまびらかにすることなく、自分たちの都合のいいデータだけだして言わば国民をだましてきたのです。

福島第一原発がこれほどの核惨事を起こして、まさに日本が壊滅するのではないかという瀬戸際までのリスクを経験した以上、これからはこんなでたらめなことは絶対に許してはいけません。市民がしっかりと経産省をはじめとする原子力ムラを監視していかなければならないのです。

そんな中で政府の「エネルギー・環境会議」が電源別エネルギーコストの見直しに当たって、原発について、事故に備えた賠償費用や安全対策費のほか、立地補助金などの政策経費もコストとみなす方向を決定したとのことですが、これとて真正直に信じていいのかどうか慎重に見極めなければなりません。まずは議論を公開して議論の途中でも細部までデータのすべてを国民の前に示しながら見直しを進めていくことが最低条件でしょう。そうでなければまた最後のところで自分たちの都合にいい方向にもっていこうとするのは見ているからです。』


そして、今回の原子力委員会で出された電源別発電コスト。案の定というか、やっぱりというか、まるで初めに結論ありきのような結果が出てきました。福島で未曾有の核惨事を起こしても、不確定な要素が多いからと除染費用や賠償費用は含まずに、1円程度のコスト上昇として他の電源よりも安いというものです。

しかも、例によって確率論とやらで10万年に1回の確率で試算していた原発の過酷事故は、福島を経験して500年に1回の確率も考慮するとか。まだ日本で原発が稼働し始めて30年ほどしか経っていないのに福島の核惨事を引き起こし、それ以前にもさまざまな原発事故を起こしているにもかかわらず未だ500年に1回ですか、市民感覚からすると到底信じられない数字です。

僕らは素人なので理論だった反論はできませんが、まさに今この時も福島周辺の子供たちを中心に放射能の恐怖にさいなまれているという命の現実を無視して冷酷な数値計算で自分たちの都合のいい数字を並べたてる人たち。

以前にも述べましたが、この原発問題に関しては徹底的に議論を公開して議論の途中でも細部までデータのすべてを国民の前に示しながら見直しを進めていくことが最低条件です。どんなごまかしも許すべきではないと思います。民間の調査機関や研究者の方々にはそんなごまかしを明らかにする勇気ある調査や議論を望みます。  



2011年10月28日

【2倍以上?】

どうしてこれほど違う数字が出てくるのでしょうか?

『東京電力福島第一原発事故の初期に放出された放射性物質セシウム137は約3万5000テラ・ベクレルに上り、日本政府の推計の2倍を超える可能性があるとの試算を、北欧の研究者らがまとめた。

 英科学誌「ネイチャー」が25日の電子版で伝えた。世界の核実験監視網で観測した放射性物質のデータなどから放出量を逆算。太平洋上空に流れた量を多く見積もっている。』(10月27日付読売新聞)


【広島原爆との比較】

もともと福島第一原発の核惨事から放出された放射性セシウムの量については、菅内閣が衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会に提出していた試算があるという報道が、8月26日に時事通信からされました。それによるとセシウム137の放出量は、メルトダウンした福島第1原発1~3号機が1万5000テラベクレル(テラは1兆)、広島原爆の168.5個分(広島原爆1個は89テラベクレル)だったということです。この数字と照らし合わせると、確かに今回の北欧の研究者による試算が政府推計の2倍以上ということになります。また、広島原爆何個分というたとえが適切であるかどうかは議論の余地があるところですが、この数字も393個分というとてつもないものになります。

3万5千テラベクレルという数字がどれほどの量なのかは僕には実感できません。しかしながら、今になって福島の高濃度汚染地域と同じあるいはそれ以上の放射性セシウムが関東周辺でもホットスポットとしてあちこち見つかっている事実を見ればさもありなんということなのでしょう。これから数年後、あるいは10年、20年後の放射性物質の拡散による健康被害がどういうものになるのかを検証するときになって初めて僕たちは3万5千テラベクレルの本当の恐ろしさを知ることになるのかもしれません。だからこそ、この数字は記憶しておくべき数字として取り上げておきました。

≪参考≫ 論文と「ネイチャー」の記事(英語)
・ Xenon-133 and caesium-137 releases into the atmosphere from the Fukushima Dai-ichi nuclear power plant: determination of the source term, atmospheric dispersion, and deposition - ACPD
  



2011年10月27日

【全面対決の様相】

九電と枝野経産相が全面対決の様相を呈しています。

『九州電力のやらせ問題に関連して、経営体制を理由に原発再稼働が認められない場合、行政不服審査法などに基づく不服申し立てを九電が内部で検討していることについて、枝野幸男経済産業相は25日の記者会見で「法的な手続きは認められているが、そもそも大臣として許認可権を行使する以前に、周辺住民や国民の理解、納得を得られる状況になるのですか、と申し上げている」と述べ、あらためて九電の姿勢を批判した。

 また枝野氏は会見で、松尾新吾会長が社長就任前後に親族が創業した建設会社をゼネコンに紹介し、親族会社が九電関連の多額の下請け工事を受注していたことについて「報道しか知らずコメントは避けたい」と前置きした上で、一般論として「電力会社は地域経済に大きな影響を与え、地域独占的な地位を保証され、利益が確実に確保される仕組みまで担保されている強い公益性を持った企業体であり、経営は適切なモラルの下で行わなければならない」と述べた。

 九電のやらせ問題で枝野氏はこれまでに、第三者委員会の指摘を受け入れず、真部利応(まなべとしお)社長の続投支持を表明している松尾会長の判断など九電首脳陣の対応に重ねて不快感を表明し、玄海原発(佐賀県玄海町)などの再稼働を政治判断する際に経営体制見直しを重要視する考えを強調。

 これに対し九電首脳陣は、経営体制と再稼働問題を関連させることに反発している。』(10月25日付西日本新聞)


【泥沼の様相】

そもそも今回の九電と経産省の争いは、福島第一原発の核惨事から数か月しか経たない今年6月頃に佐賀県玄海町にある玄海原発の再稼働を急ごうとしたことに端を発しています。そのとき、再稼働を進めようとしていたのは九電と古川佐賀県知事、そして経産省のトップだった海江田経産相でした。それに対して経産省に不信感を抱いて性急な再稼働を止めさせようとしていたのは菅直人首相でした。そう、その時点では経産相と佐賀県知事、九電は再稼働で足並みを揃えて首相だけがその動きを止めようとしていたのです。ほんの数カ月前なのにもう何年も前のように感じます。

ところが、その後内閣が代わり、首相は野田氏、経産相は枝野氏に交代し、玄海原発の再稼働を巡る政府の姿勢も微妙に変化しました。野田首相は脱原発を公言するのをはばかり、枝野経産相は世論の動向を注意深く探りながら原発の延命路線を取っているように見えます。

そんな状況の中での九電のやらせメール問題の発覚。市民の普通の感覚でこの問題を見ていると、明らかに九電の経営陣の姿勢はおかしいと感じます。だからこそ、枝野経産相は東電と同じように厳しく九電を批判しているのです。その点は枝野氏の判断は正しいように僕にも思えます。

【本当の問題】

しかし、少し現実の細かな動きを離れてこの問題を見ていると、もっと大きな部分で枝野経産相も九電も何か論点がずれていると感じます。意図があるとすれば経産相側なのでしょうが、それは両者とも玄海原発の再稼働を住民に納得させるために何が必要かという姿勢に終始しているという点です。

僕は違うと思う。必要なのは原発を安全に運転することだけでなく、地震が多発する日本では次のフクシマが起こるのは時間の問題であり、原発に依存する電力供給体制を早急に見直して本当の住民の安全を確保することです。何が何でも原発の再稼働ありきではないのです。

そういう意味で、今の九電の経営陣は再稼働のために何が必要かしか頭になく、まったく住民の安全など眼中にないということが今回のやらせメール問題で明白になりました。しかし、だからといって経営陣を変えても電力会社や政府の目指すべきは目先の原発の再稼働ではなく、本気で住民や地域ひいては日本が安全で安心に暮らせる社会をどう作っていくかということをとことん追求していくことです。電力会社も政府も原子力ムラと揶揄される人たちにとって、そういう根本的な問題を先送りすることは、多くの被爆者を出して日本を破局の淵に追い詰めようとした東電のフクシマの核惨事の後では絶対に許されないと思います。野党自民党は無責任にも世論が収まるまで原発問題から逃げようとしていますが、政府・民主党はそれは許されません。僕たち市民はその動きをしっかり監視していく必要があります。

そう考えると、早く再稼働しろと催促ばかりする読売新聞など一部大手メディアの姿勢も信用できないことも付け加えておきます。
  



2011年10月26日

【行き場のない汚染物資】

ついに全国の国有林が放射性物質の仮置き場になるようです。

『林野庁は、東京電力福島第一原子力発電所の事故で放射性物質に汚染された土壌や稲わらなどを一時的に保管する仮置き場として、国有林の敷地を自治体に無償貸与する方針を決めた。

 用地造成や施設建設は自治体が行うが、費用は政府の復旧・復興予備費を活用する方針。汚染土壌などの処分を巡っては、自治体で保管場所の確保が難航しており、広大な国有林の提供が実現すれば、除染作業の進展が期待される。

 対象とするのは、除染の際に発生した汚染土壌と、放射性物質が検出された稲わら。自治体から要請があれば、上下水汚泥やその焼却灰の保管も検討する。

 仮置き場は、原則として土壌が発生した自治体内の国有林に設置するが、適当な国有林が管内にない場合は自治体間で調整する。市街地に放射線の影響が及ばないように、国有林の境界から数十~数百メートル程度離れた場所に確保する方針。さらに、国有林が水源地に近いケースもあるため、仮置き場設置を希望する自治体には、下流域の自治体との事前協議を求める。

 汚染土壌は、耐水性の素材で梱包(こんぽう)し、一定量以上になったらコンクリート製の容器に入れたり、ブロック塀で囲んだりする。仮置き場の位置づけとするため、地中への埋設は行わない。』(10月23日付読売新聞)


【出口のない難題】

果たして全国の国有林を放射性物質の仮置き場にしていいのでしょうか?もちろん、福島を中心とした原発被災地の除染作業がこれから本格的に始まっていく中、どこかに放射性廃棄物を持っていかなければならない窮余の策であることはわかります。日本は国土の7割近くが森林であり、そのうちの6割近くが国有林であると言われています。国有林であれば、私有林と違って地主が反対することもないでしょう。

しかし、日本の精神性を何千年にもわたって育んできた神の棲む森に、人々の放漫の末、現代文明の最も穢れた原発の放射性物質がその森にたとえ仮置きにせよ置かれることは、実際の土壌汚染や水源の汚染の可能性だけでなく、もっともっと大きな日本という国家のあり方にも長期にわたって重大な影響を与えていくのではないかと危惧するのは僕だけでしょうか?

本当にそういうことを一部の官僚や政治家だけで決めていいのでしょうか?この問題は僕たち日本人に改めて原発の存在についてここで真剣に問い直さなければないないことを訴えているような気がします。
  



2011年10月25日

【異例のダブル選挙】

橋下知事が大阪市長選にいよいよ名乗りを上げました。

『大阪市長選(11月27日投開票)への出馬を表明した大阪府の橋下徹知事(42)は22日午後、代表を務める地域政党・大阪維新の会の集会に出席し、選挙戦の争点に掲げる「大阪都構想」を訴えた。

 再選出馬を表明している平松邦夫市長(62)も支援団体の集会で都構想批判を展開し、両氏の直接対決が事実上、スタートした。

 出馬表明から約10時間後の午後2時。維新が大阪市福島区で開いた「区民会議」に出席した橋下知事は今の大阪市内の区役所について、「名前は役所でも、実態は(市役所の)『窓口』。区長も『窓口所長』だ」と言い切り、「(都構想で)すべてのことを区単独で決められる、本物の役所を作りたい」と訴えた。

 一方、平松市長も同市西成区での集会で「温厚な平松で知られているが、たまりにたまっている」と前置きしたうえで、「大阪都と言うだけで、暮らしがよくなるわけがない。この街を独裁者の手に渡してはならない」と声を張り上げた。

 市長選には共産党などが擁立する前大阪市議の渡司考一氏(59)、前兵庫県加西市長の中川暢三氏(55)も立候補を表明している。』(10月22日付読売新聞)


【大阪の反乱】

大阪市の人口は約265万人、全国最大の政令指定都市です。もうひとつの政令指定都市である堺市とこの巨大都市・大阪市を中心にもつ大阪府は人口約880万人。福岡市の人口が150万人、福岡県が500万人と比較するとその大きさがわかります。

大阪市と大阪府、お互いの政治的意志が近ければ相互協力・依存関係を維持していけるのでしょうが、大阪都構想を掲げる「改革派」の橋下知事にとってはことごとく反旗を掲げる平松市長は目の上のタンコブ的な存在でしょう。

それにしても知事から市長への転身とは奇想天外です。既存の地位や名誉に拘泥せず、改革に必要なことなら何でもやるという気構えだからこそこういった発想が出てくるものと信じたいですね。

【大阪復活】

僕はあまり詳しく大阪府や大阪市のことも知りませんし、橋下知事の「大阪都構想」についても勉強不足です。ただ、ときおり新聞などで話題になったりテレビに出演する橋下知事の言動を見ていると、大阪をなんとか変えたいという信念のようなものが伝わってきます。既存の官僚制度や政治の枠組みを変えようという意志が感じられるのです。

折しも3月11日の東日本大震災後、関東は福島の核惨事によって首都機能そのものがマヒする事態に見舞われました。半年以上経った今でも首都圏3千万人もの人々は放射能の脅威にさらされ、首都圏だけでなく日本全体がこのままでいいのかという思いにかられているのでないかと思います。それは何か。

それは関東が今回のような原発震災や大規模な自然災害に見舞われた時に関東の首都機能を補完できるところを早急に作る必要があるということです。すでにさまざまな形で国土軸が東から西へ移る兆しが見えています。

時代の風が東から西に急速に吹こうとしている今、橋下知事の大阪都構想はその風に乗っていくという予感がしています。橋下知事は脱原発を公言する数少ない知事でもあります。関西が首都機能を補完できるようになるには、地震国では危険極まりない原発に依存していてはリスク分散など出来ないということもあるのでしょう、新しいタイプの政治家としてその改革に期待したいですね。  


2011年10月24日

【深刻さ増すタイの洪水】

タイの洪水が首都バンコクにまで迫っているようです。

『タイのインラック首相は22日、毎週恒例のテレビ演説で「首都バンコク(中心部)に洪水が迫っている」との危機感を表明し、国民に政府の対策への協力を呼びかけた。また、首相に災害対策の最高権限を与える災害防止法を21日に発令したことも明らかにした。

 災害防止法発令は、野党・民主党を中心に出ていた「政府の対策が後手に回っている」との批判を封じるねらいがあるとみられる。インラック首相は、被災地の大部分から水が引くまで今後4~6週間かかるとの見通しを示した。

 また、インラック首相は今後の洪水対策として、首都の運河の水門をすべて開き、北側から流れ込む水を南方のタイ湾に流す方針を改めて示した。民主党出身のスクムパン・バンコク都知事は、首都冠水を防ぐために水門を閉じていたが、首相は「閉じたままでは水があふれ、(首都外に)被害が広がるだけだ」と、開放への理解を求めた。10月28~30日は満潮で海面の水位が上昇する。

 一方、インラック首相によると、政府は国内各地に約1740カ所の避難所(収容能力80万人)を設け、これまでに約11万3000人の被災者を受け入れたという。』(10月22日付毎日新聞)


【世界各地で頻発する大自然災害】

タイの洪水の規模は尋常ではないようです。すでにバンコクでは、北部・東部計9区の住民100万人以上に避難準備勧告が出され、住民らが避難を始めているようですし、バンコク北部の工場団地も浸水しているため日系企業約460社が被害を受けているとの報道もありました。

このような大規模な自然災害は世界各地で頻発しています。アメリカでも竜巻の大量発生やミシシッピー川流域の大洪水がありましたし、パキスタンでも大洪水による甚大な被害が続いています。身近には韓国のソウルでの大水害もありました。日本も例外ではありません。つい最近では奄美大島や紀伊半島での大雨被害などが出ています。

これらの洪水被害は、気候変動による気圧・気流の世界的変化がもたらしているものと考えられますが、山間部や農村部だけでなく都市部へも被害が拡大し、その規模が従来では考えられないような巨大のものになってきているため、企業や都市住民の活動に重大な脅威を与えています。

これからはいつどこで過去の経験則では測れないような自然災害が起こるか分からないということを肝に銘じておく必要がありそうです。  



2011年10月21日

【文系と理系】

数字で示されると少しショックですね。

『文系、理系を合わせた大卒就業者約1万人(平均年齢43歳)の得意科目と平均所得(年収)の関係を調べると、数学が得意な人の所得が約620万円と最も高く、2番目は理科が得意な人の約608万円だったと、同志社大や京都大などの研究グループが20日発表した。数学が得意な人と国語が得意な人とでは、約183万円の差があった。
 理系の就業者約3200人では、理科4科目の中で物理が得意な人の所得が約681万円で最も高く、生物が得意な人が約549万円で最低だった。こうした傾向は世代を通じて共通していたが、学習指導要領が変わり、「ゆとり」や「個性」が強調されて学習内容が減るにつれ、理数が得意な人が減っていた。
 同志社大経済学部の八木匡教授らによると、数学や物理が得意な人の所得が高いのは、論理的な思考能力が仕事の役に立っているだけでなく、理数が得意な人が減少傾向にある中、労働市場での評価が相対的に高まっている可能性がある。』(10月20日付時事通信)

【想定の範囲?】

僕自身は数学が苦手で国立大への挑戦をあきらめた純粋の文系ですので、今回の調査結果は「さもありなん」と思えます。理数系の人たちが論理的な思考能力に優れているというのも何となく納得できるような気もします。

ただ、それにしても数学が得意な人と国語が得意な人で平均所得に183万円もの差があるというのはショックでした。でも文系のみなさん、文系があるからこそ理数系が存在価値を誇示できるのです。平均所得の差などに惑わされずに、自らの道を信じてガンバって下さい。文系のひとりとして応援します。  



2011年10月20日

【ついに断念】

モンゴルに核のゴミを持っていく計画はとん挫しました。

『モンゴル政府は、日米両国とともに進めてきたモンゴルに原子力発電所の使用済み核燃料の一時保管・処分場を建設する計画を断念することを決め、9月下旬に日本政府など関係者に伝えたことが14日、わかった。モンゴル国内で反対運動が高まり、計画継続は不可能と判断したとみられる。同様の計画は、02年にオーストラリアでも世論の反発で失敗に終わっており、改めて国際的な処分場建設の難しさが浮き彫りになった。

 計画は昨年9月、米エネルギー省のポネマン副長官がモンゴルを訪問したのを機に交渉がスタート。日本の経済産業省も参加し今年2月、ワシントンで初の3カ国協議を実施した。また、モンゴルからの核燃料調達を目指すアラブ首長国連邦(UAE)も加わり、7月初旬には、ポネマン副長官が、海江田万里経産相(当時)宛てに、政府間覚書(MOU)案を送付し年内締結を目指していた。

 3カ国の秘密交渉は、毎日新聞が5月に報道したが、モンゴル政府は公式には交渉の存在自体を否定してきた。報道後、モンゴル国内で市民が反発を強め、計画撤回と情報公開を求めてきた。

 これらの状況を受け、モンゴルのエルベグドルジ大統領は9月21日の国連総会演説で「モンゴルに核廃棄物処分場を建設することは絶対に受け入れられない」と表明、ウィーン国連代表部のエンクサイハン大使も国際原子力機関(IAEA)総会で「他国の核廃棄物を受け入れる考えも、処分場を建設する考えもない」と演説した。

 エルベグドルジ大統領は9月13日、モンゴルに核廃棄物を貯蔵する問題で、外国政府やIAEAなどの国際機関と交渉することを禁じる大統領令を発令。2月3~4日に、ワシントンで日米両国との協議にモンゴル代表として出席した外務省のオンダラー大使などを更迭した。

 一方、日本政府は、福島第1原発事故を受け、事故処理に忙殺されたほか世論の反発もあり、交渉継続は難しいとの考えを米エネルギー省に伝えていた。

 IAEAの調査によると、モンゴルは推定140万トンの豊富なウラン資源がある。モンゴル政府は、ウラン資源を有効に活用するため、ウランを核燃料に加工し、海外に輸出する案を検討、その際に、使用済み核燃料を供給先から引き取る「核燃料リース契約」を導入する考えを模索していた。米エネルギー省は、その構想をさらに発展させ、各国の使用済み核燃料をモンゴルに集めて一時貯蔵・最終処分する案を提示、日本政府とともに交渉を進めていた。』(10月15日付毎日新聞)

【究極の安全策】

昨日、枝野経産相がIEAの会合で「世界最高水準の原子力安全の技術、知見を世界に提供したい」と語り、引き続き原発輸出を推進する姿勢を強調したことをお伝えしました。そしてフクシマの核惨事の原因究明も出来ていないうちに「危険な」原発を他国に輸出するなんてとんでもないことだと申し上げました。

この原子力の問題を考えるときに最も重大なことは、「トイレなきマンション」と揶揄される原発の使用済み核燃料の一時保管、あるいは最終処分場の引き受け手がどこにもないことです。日本国内では青森県六ケ所村の再処理工場に3千トン近い核廃棄物が全国の原発から運ばれてきて貯蔵されており、もう貯蔵施設は満杯に近くなっています。これらはフクシマ同様、ほぼ永久に冷却し続けなければならないわけですから、津波や地震で電源が喪失すれば日本だけでなく全世界が緊急事態に陥ることは必定です。もちろん、そんな自然災害が起こらなくても、各地の原発も自前の使用済み核燃料の貯蔵施設は次々と満杯になりつつあり、持って行き場がなくなりつつある中、今回のフクシマの核惨事で出た膨大な量の放射性廃棄物の行き場もないという極めて危機的な状況にあります。

これほど危機的な状況にあるにもかかわらず、原子力ムラの人間たちは破たんした核燃料サイクルを未だに温存しようと画策するばかりか、他国にまで使用済み核燃料を持っていこうとしていたのですから開いた口が塞がりません。

枝野経産相、「世界最高水準の原子力安全の技術、知見を世界に提供したい」と豪語するのなら先ずこの使用済み核燃料の安全な処理方法、そして最終処分場の問題について明確な答えを出すことが先決ではないでしょうか。それも出来ずに何が世界最高水準の原子力安全か。核廃棄物を他国にこっそり持ち込もうなんて世界最高水準の犯罪行為ではないでしょうか。  



2011年10月19日

【枝野経産相の発言】

九電を厳しく批判した枝野経産相が今度はOECDで原発輸出の推進を強調しました。

『国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会が18日、パリの経済協力開発機構(OECD)本部で開幕した。枝野幸男経済産業相は、東京電力福島第1原発事故への各国からの支援に謝意を示すとともに、原発の安全性向上に努め、事故の教訓を各国と共有する考えを表明。さらに、会合後の記者会見では「世界最高水準の原子力安全の技術、知見を世界に提供したい」と語り、引き続き原発輸出を推進する姿勢を強調した。
 閣僚理事会には、日本を含む加盟28カ国の担当相らに加え、中国、インド、ロシアなど非加盟9カ国も参加。リビアなど産油国の政情不安や原発事故を踏まえ、エネルギーの安全保障を最大のテーマに2日間の日程で議論が行われる。』(10月18日付時事通信)

【日本の原発の安全性】

福島第一原発の核惨事という現時点では世界最悪の原発事故を起こしてしまった後に、一般市民のひとりとして感じる素朴な疑問は「日本の原発というのは本当に安全で、世界最高水準の安全技術を持っているのだろうか?」というものです。

僕は技術者ではありませんので、原発の安全技術といっても詳しくはわかりません。ただ、3/11の福島原発の事故が起こった後のさまざまなレベルでの原発関係者の狼狽ぶり、結果として水素爆発もメルトダウンも止められず、福島だけでなくその周辺の広大な地域に莫大な放射能汚染を引き起こし、今も止められないという事実を見れば、これが世界一の原子力の安全技術などと胸を張れる状態ではないことは子供でもわかります。

もちろん、未曾有の津波、未曾有の地震が世界一の技術を持ってしても核惨事を防げなかった根本的な原因だと原子力関係者は言われるかもしれません。それは事実でしょう。でもそれならなぜ未曾有の天災が日本には多発することがわかっていて原発を導入したのか、それを敢えて導入した責任も原子力関係者には歴然としてあるということです。

【原発輸出再開なんて早計過ぎる】

福島第一原発の核惨事の徹底的な原因究明なくして、日本の原子力の安全なんて到底できないでしょう。それさえ済んでいない今の状況で、なぜ原発輸出なのか?まったく理解不能です。枝野経産相が九電の経営陣に投げかけた言葉をそのままご本人にぶつけます。原子力のいいとこどりをして、住民や日本国民の安全をないがしろにするようなことでは、地に堕ちた経産省の信頼は二度と回復することはできないでしょう。それほど福島第一原発の日本国にもたらした影響は甚大であり、どんなに時間がかかろうともすべては福島原発の原因究明を徹底的に行ってからしか前に進めないということを肝に銘じるべきだと思います。

津波にせよ、地震にせよ、あるいは人為的な事故にせよ、今度第二のフクシマを招来すれば日本は壊滅の危機に陥ることは必定だということを政治家はしっかりと考えてから発言するなり、行動してほしいと思うのは僕だけでしょうか。  



2011年10月18日

【厳しい批判】

政府からこれほど厳しい批判が来るとは予想していなかったのかもしれません。

『九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の再稼働を巡る「やらせメール」問題で九電の真部利応(としお)社長が14日、経済産業省に提出した最終報告書で、佐賀県側の関与などを認定した第三者委員会の指摘を盛り込まなかった点について、枝野経産相は同日、外遊先の中国で報道陣の取材に応じ、九電の姿勢を厳しく批判した。

 枝野経産相は、「第三者機関の報告書のつまみぐいをするやり方は、公益企業のガバナンス(統治)としてあり得るのか。そのことが大変深刻な問題」と話した。第三者委員会の指摘を取り入れなかった点には、「どういう神経でなさっているのか理解できない。(真部社長の)続投以前の問題」と述べ、報告書の再検討を求めることもあり得るとの考えを示した。

 九電の第三者委員会は、佐賀県の古川康知事の九電幹部に対する発言がやらせの発端になったと認定し、2005年のプルサーマル公開討論会を巡っても佐賀県側の関与を指摘したが、報告書では県側の関与を認めなかった。最終報告書を了承した臨時取締役会では真部利応社長の続投も正式決定した。』(10月14日付読売新聞)

【真摯な姿勢】

枝野経産相の真意がどこにあるのかはわかりませんが、少なくともメディアの報道から判断する限りは正当性があるのは九電経営陣ではなく、枝野経産相にように思えます。なぜか?

それは、きっと誰の目にも九電経営陣による自らを正当化しようとする姿勢が到底真摯な姿勢には見えないからであり、枝野経産相が言うように、「第三者機関の報告書のつまみぐいをするやり方は、公益企業のガバナンス(統治)としてあり得るのか。そのことが大変深刻な問題」というのが大方の市民の共通の思いではないかと思われるからです。

もともとは政府の原発推進姿勢がもたらした電力会社とのもたれあいが今回のような「やらせ問題」の原因なのですが、少なくとも経産相レベルではそこを国民の目線に合わせていこうとしているのに、九電の経営陣はそこをまったく理解していないか、理解しようとしていないと思われるからです。その証拠にこの期に及んでも九電経営陣は、「経産相がそう仰るなら考え直さないでもない。」といった姿勢で、当局のほうは向いていても佐賀県民や国民の目線なんかこれっぽっちも考えていないということを暴露しています。

先ずはすべてを真摯に認めてそれなりの責任を取ることです。そうでなければ誰も信用しないでしょう。もちろん、原発の再稼動なんてそんな人たちに任せられるわけはありません。枝野経産相が再稼動目当てに発言しているとは思いたくありませんが・・・国民全体の命が懸かっている問題ですから。  



2011年10月17日

【コスト見直しスタート】

福島第一原発の核惨事を経験してはたしてどこまで本当の見直しが進むでしょうか。

『政府は7日、「エネルギー・環境会議」(議長・古川元久国家戦略担当相)に設置した「コスト等検証委員会」の初会合を開き、電源別発電コストの見直し作業に着手した。福島第1原発事故を受け、最も割安とされてきた原子力発電のコストを厳しく見直すとともに再生可能エネルギーのコスト低下の余地も検証する。政府は年末までに検証結果をまとめ、12年夏までに行うエネルギー政策の見直し作業に反映させる。

 初会合では、原発について、事故に備えた賠償費用や安全対策費のほか、立地補助金などの政策経費もコストとみなす方向を決定。また、エネルギーすべてに関して、20~30年後の発電コストが技術開発や普及などでどう変化するかも推計するとした。核燃料サイクル費などの算出には原子力委員会の協力を得る。委員長の石田勝之副内閣相は「これらのデータを踏まえ、将来のベストミックス(適切な電源構成)を考える」と説明した。

 政府は従来、1キロワット時当たりの発電単価を原発5~6円▽液化天然ガス(LNG)6~7円▽太陽光37~46円などとし、原発が最も割安として推進の根拠としてきた。ただ、試算は発電所の稼働率や運転期間、燃料費などで大きく変動する上、原発の政府試算は廃炉費用などを十分に織り込んでいないとして「原発推進のための数値」と批判されてきた。

 委員に就任した大島堅一立命館大教授が電力各社の有価証券報告書を基に試算したところ、原発は稼働率低下や再処理費用の膨張などで11~12円と倍増。事故時の賠償費用などを加えれば、更にはね上がる可能性がある。

 また、火力発電は新興国の需要急増などで燃料費の上昇圧力にさらされる。温室効果ガス排出削減対策などの費用も増えそうだ。

 一方、再生可能エネルギーは固定価格買い取り制度などで普及が促進される見通しで、量産効果や技術開発によるコスト削減が期待される。最も割高とされる太陽光発電も、技術革新の余地が大きいとされ、今後20年で7円程度まで下がるとの試算もある。ただ、再生エネは出力が不安定な弱点をカバーするための技術開発や投資が必要。技術開発の見通しなどの前提にも大きく左右されるため、適切な試算は難しそうだ。』(10月7日付毎日新聞)


【重要な論点】

電源別の発電コストについては、以前も何度かお伝えしていますが今後原発をどうするかの議論を進めていく際に、最も重要な論点となるのは間違いありません。それがわかっているから従来から経産省は原発の発電コストは安いという宣伝を自らやったり、日本エネルギー経済研究所などの同省所管の外郭団体を使ったりしてきました。もちろん、その計算根拠をすべてつまびらかにすることなく、自分たちの都合のいいデータだけだして言わば国民をだましてきたのです。

福島第一原発がこれほどの核惨事を起こして、まさに日本が壊滅するのではないかという瀬戸際までのリスクを経験した以上、これからはこんなでたらめなことは絶対に許してはいけません。市民がしっかりと経産省をはじめとする原子力ムラを監視していかなければならないのです。

そんな中で政府の「エネルギー・環境会議」が電源別エネルギーコストの見直しに当たって、原発について、事故に備えた賠償費用や安全対策費のほか、立地補助金などの政策経費もコストとみなす方向を決定したとのことですが、これとて真正直に信じていいのかどうか慎重に見極めなければなりません。まずは議論を公開して議論の途中でも細部までデータのすべてを国民の前に示しながら見直しを進めていくことが最低条件でしょう。そうでなければまた最後のところで自分たちの都合にいい方向にもっていこうとするのは見えているからです。

いづれにしても議論の行方を注視していきたいところです。

≪参考≫

・『「安い原発の発電コスト」を垂れ流す御用機関、マスコミの大罪』・・・2011年9月7日付の僕のブログ記事
  



2011年10月14日

【ビール党に朗報?】

ビール党にとっては朗報だと言うべきでしょうか?いやあ、違うか。

『中高年男性にみられるぽっこりと出た「ビール腹」は、ビールを飲む量とは関係ないことが、滋賀医科大の上島弘嗣・特任教授らの調査でわかった。

 ビールをよく飲む中高年の男性と、そうでない人を比べても、腹囲に差はみられなかった。13日から名古屋市で開かれるアルコール・薬物依存関連学会合同学術総会で発表する。

 同大学などのグループは2005~08年、無作為で抽出した滋賀県草津市内の40~70歳代の男性1095人に面談し、飲酒量や腹囲などを調べた。アルコールの総摂取量のうち、ビールが30%を超える「ビール党」(166人)の腹囲は平均85・3センチだったのに対し、日本酒などほかの酒を主に飲んだり、飲酒しなかったりする「非ビール党」(924人)は85・5センチで、0・2センチ大きかった。腹囲85センチ以上は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の基準に該当する。

 年代別に見ると、50~60歳代ではビール党の腹囲が上回ったが、差は0・3~0・8センチしかなく、40歳代と70歳代では非ビール党が0・3~1・8センチ大きかった。日本酒などを含む飲酒の総量も、統計的に計算すると、腹囲とはあまり関係なかった。同グループでは、食べ過ぎと運動不足が「ビール腹」の原因とみる。』(10月12日付読売新聞)

【中高年のシンボル?】

ビール腹は日本では中高年男性のシンボルのようなものです。町を歩いていると、あっちを見てもこっちを見ても樽のようなお腹のオンパレード。一体どうしてあんなにモッコリとお腹が出てくるんでしょうか。不思議ですよね。

ビール腹というのはもともとビール樽のようなお腹という意味もあるのかもしれませんが、必ずしもビールを飲みすぎたからビール腹になるのではないという今回の調査結果はビール党にとってはひとつの安心材料(?)になるのかもしれませんね。

でも油断は禁物。というのは、ビールのカロリーの3分の2はアルコールですが、残りの3分の1は糖質であり、アルコールは体内に蓄積しないものの、糖質は脂肪に変わって体内に蓄積されていくため、飲み過ぎればその分、体重に反映されていくということがわかっています。また、ビールとともに食べるおつまみも、当然、体重増加の大きな要因となりますから、やはりビールを飲みすぎるのはお腹だけでなく肥満の原因になっていくということは肝に銘じておく必要がありそうです。あなたはビール腹、それとも?  



2011年10月13日

【先送り?】

自民党が過去の責任を棚に上げて頬かむりをしようとしています。

『自民党が東京電力福島第1原発事故を受けて党内で始めたエネルギー政策の見直し作業にブレーキをかけている。同党は菅直人前首相が「脱原発」を掲げて衆院解散・総選挙に踏み切るのを警戒し議論に着手したが、野田政権の発足で解散は遠のいたとの判断から先送りに転じた。政府・民主党の議論の行方を注視する構えだが、脱原発の世論もいずれ落ち着くとみて、時間を稼ぎたい原発推進派の思惑も働いている。

 自民党が「総合エネルギー政策特命委員会」(委員長・山本一太参院政審会長)を設置したのは7月。1955年の結党以来の原発推進政策が事故によって批判を浴び、菅前首相の脱原発解散に対抗できるよう8月中の中間報告を目指していた。しかし、原発の再稼働や輸出に前向きな野田佳彦首相に代わり、特命委幹部は「解散も遠のき、向こうの出方をみないといけない」と結論を来年まで先送りする考えを示唆する。

 エネルギー政策の見直しに積極的だった石破茂前政調会長が9月末の党人事で交代したことも影響している。これまでの議論は事故後の世論に押されて原発依存を減らす方向で進んでいたが、党内は見直し派と原発推進派に分かれ、意見集約は難航していた。

 野田政権発足後の9月14日の特命委では、旧通産省出身の細田博之元官房長官が「原発をやめろとか推進しろとか政治家が言うことは無用の議論を起こす。世論が中庸でいかざるを得ないと認識するまで1、2年はかかる」と発言。ほとぼりが冷めるのを待つよう主張する原発推進派に対し、見直し派は「基本方針は早く出すべきだ。世論が沈静化したらコソッとやろうなんてあってはならない」(柴山昌彦衆院議員)と反発する。

 自民党との連立政権時代、原子力を「過渡的エネルギー」として容認した公明党も「他党の議論を見ながらでいい」(党幹部)と様子見の構え。事故を受けて8月中に原発縮小の新方針をまとめる予定だったが、先送りしている。』(10月4日付毎日新聞)

【無責任政党】

もともと「特命委員会」などという仰々しい名前を付けた時から何もできもしないとは思っていましたが、やはりそのとおりほとぼりが冷めるまで様子を見ようという姑息な手を使ってきました。河野太郎氏など一部の議員がこういった党内の姿勢を批判しているようですが、大勢は脱原発に傾く世論が落ち着くまで先送り賛成のようです。

自分たちが政権与党から引きずりおろされた最大の原因がどこにあるかもわかっていない自民党。彼らは既得権益の擁護ばかりに走って本当の国民の要請に応えることができなくなったから野党に転落したはずです。

それが福島第一原発の核惨事という未曽有の原発震災を体験した後も、またしても原子力ムラの権益擁護を優先して国家と国民の安全をないがしろにしようとする無責任政党の本性がむき出しになってきました。こんなことでは政権奪取など永遠に無理でしょう。国民の真意をくみ取れない政党は早く解党して出直してもらいたい。恥を知れ、自民党。  



2011年10月12日

【巨人逝く】

常に時代を先取りして生きてきたIT界の巨人が亡くなりました。

『米電子機器大手アップルの創業者で会長のスティーブ・ジョブズ氏が5日、死去した。56歳だった。ジョブズ氏は2004年に膵臓(すいぞう)がんが発覚し、いったん復帰したものの、11年1月から再び病気療養で休職、8月には最高経営責任者(CEO)を退いていた。

 ジョブズ氏は1976年に友人とアップルコンピュータ(現アップル)を共同創業し、パーソナルコンピューター「Apple」や「マッキントッシュ」など、革新的な製品を発表した。

 退社後の97年に業績が悪化したアップルの経営トップに復帰し、2000年からCEO。斬新なデザインのパソコン「iMac(アイマック)」や、音楽ネット配信のきっかけになった携帯デジタルプレーヤー「iPod(アイポッド)」を相次いでヒットさせた。

 07年にスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」、10年にはタブレット型情報端末「iPad(アイパッド)」を投入し、株式時価総額で世界最大のIT企業にのし上がった。

 ジョブズ氏の死去を受けて6日、東京・銀座のアップルストア銀座にはたくさんの花がたむけられた。』(10月7日付産経新聞)

【芸術的作品で時代をリード】

ジョブズ氏は今では誰もが知っているMac コンピューターやiPod、iPhone、そしてiPadなどの革命的な商品を世に送り出し続けてきた巨人です。彼はアップルのCEOというよりも、ひとりの偉大な芸術家であり、革命家でした。

僕も多くのアップルファン同様、20年以上前からアップルのコンピューターに憧れ、マックパソコンを愛用し、一時仕事の都合でウィンドウズのパソコンに浮気したことはありましたが、アップル製品への思いは変わりませんでした。そしてパソコンからインターネットへ時代が移っていく過程でジョブズ氏が創り出し世界の音楽市場を席巻したiPodが出るに至って、その手軽さや安さ、革新性などに魅了されました。最初は半信半疑だった消費者もその圧倒的な革新性と利便性にたちまち魅了され、インターネットを通じたエンターテインメントの世界はiPodに席巻されていったのです。

そしてiPhoneの登場。これも衝撃的なデビューでした。今でこそ「スマートフォン」という呼び名で携帯電話の市場には第二、第三のiPhoneが市場に出回り、人々は競ってスマートフォンに走っていますが、iPhoneが登場した当初はこんなにスマートフォンが普及するとはだれも想像していなかったでしょう。それもこれもジョブズ氏の先を見る目の確かさがもたらしたものなのです。

【ジョブズ氏亡き後】

僕はジョブズ氏その人にそれほど興味があったわけではありません。彼自身の生い立ちなどもあまり知りませんでした。なぜなら、ジョブズ氏個人を知らなくてもアップルの製品を通じて彼の考え方や生き方が同時代に生きる一人としてものすごい親近感を抱かせてくれていたからです。「あのジョブズ氏が創っているんだ」という信頼感が自然に生まれていたからだと思います。

そのジョブズ氏がいなくなった。これは衝撃です。アップルはおそらく短期的にはジョブズ氏の創造的な考え方を継承し、それなりの製品を世に送り出し続けてくれると思いますが、中長期的には偉大な芸術家による未来への指針を失ってただの「家電製造会社」になっていくのではないかと危惧します。人々に夢を与え、その夢を実現させてくれる製品を生み出し続けるということは、やはり一人の天才の存在なくしてはできない~そう思います。

さようなら、ジョブズ。同時代を生きてくれてありがとう。

【僕の一言 My thoughts on Jobs】

僕はジョブズ氏と同時代に生きたことを幸せに思います。
I was quite happy to be with Steve Jobs in the same decades.
「ハングリーであれ、愚かであれ。」彼の言葉が今も同時代に生きる僕らの指針です。
"Stay hungry, stay foolish." His words still govern our principle in contemporary life.

≪参考≫

・ジョブズ氏のスタンフォード大学卒業式での式辞(2005年)

  



2011年10月11日

【全焼】

博多の歴史的建造物のひとつが焼け落ちてしまいました。

『8日午後0時10分ごろ、福岡市博多区堅粕1の「石蔵酒造」の木造2階建て酒造場「博多百年蔵」から出火。消防車26台が出て消火活動にあたったが、建物の屋根付近から高さ数メートルの火柱を上げて炎上し、数十メートルの黒煙が立ち上った。けが人はない模様。

 同社関係者によると、出火当時、2階スペースで結婚披露宴があったが、出席者らは避難し無事だった。

 現場は県立福岡高校などに隣接し、周辺は避難した客や高校生、付近の住民らで騒然とした。披露宴に出席していた熊本市の会社員男性(35)は「宴が始まって約30分後に突然停電し、サイレンが鳴り響いた。まさかこんなことになるなんて」と驚いた様子だった。

 博多百年蔵は明治初期の建築で、築約140年の国の登録有形文化財。白壁土蔵に赤れんがの煙突で知られ、地酒の酒造のほか、コンサートや美術展などのイベントスペースとしても市民に親しまれていた。

 同社はJR博多駅から直線で約700メートル。国道3号に近く、マンションなどが並ぶ一角にある。』(10月8日付毎日新聞)

【歴史と風格】

博多百年蔵は、博多に残る唯一の造り酒屋『石蔵酒造』さんのホームページに紹介してあるように石蔵酒造の酒造場として石蔵利八正則が明治初頭に建築したもので、白壁土蔵に赤れんがの煙突など明治初期に建てられた時の面影を残し、昔ながらの造り酒屋として古き良き時代を今に伝えています。

隣には伝統ある福岡県立福岡高校があり、博多の伝統を感じさせる町並みでした。僕が高校の通っていた頃から、百年蔵のずっしりとした風格と佇まいに魅せられていたことが縁となって、数年前には英国人のピアニストによるコンサートを開かせていただいたこともありました。あのとき、コンサートの準備のために百年蔵の中に何度か入って打ち合わせをしたりしたことが懐かしく思い出されます。本当に明治時代にタイムスリップしたような雰囲気が心地よく、英国人ピアニストも日本の伝統ある蔵の中で演奏する機会に恵まれたことに感謝していました。

その百年蔵が全焼した。悲しい思いで一杯です。もうあの蔵の姿を見ることができないなんて本当に残念でなりません。石蔵酒造さんは今は大変だと思いますが、百年蔵は石蔵酒造さんの「顔」でもあるわけですから、この不幸な出来事から立ち直るためにも是非再建に向けての歩みを進めてほしいと思います。そのときは博多っ子のひとりとして何かお手伝いできればと思います。
  



2011年10月07日

【連合の方針転換】

民主党の支持母体の方針転換はこれからどういう影響をもたらすのでしょうか。

『連合の古賀伸明会長は4日午前、東京都内で始まった定期大会で「原子力エネルギーに依存しない社会を目指していく」と述べ、従来の原発推進の立場を転換し、脱原発を目指していくことを表明した。東京電力福島第1原発事故の深刻な影響を踏まえた判断。民主党最大の支持母体の連合が方針転換したことで、今後の政権運営にも影響を与えそうだ。

 古賀会長は冒頭のあいさつで、「原発事故の甚大な被害を現実のものとして知った。原子力に代わるエネルギー源の確保、再生可能エネルギーの推進、省エネの推進を前提に中長期的に原子力への依存度を低減していく必要がある」と述べた。ただし短期的には、電力の安定供給の観点から、定期点検などで停止中の原発は、地元の合意や国民の理解を前提に活用するとした。』(10月4日付毎日新聞)


【無視できない動き】

フクシマの核惨事という重大な事態を経験しても、政治が一向に脱原発の方向に向かないのはもともと電力会社や大手原子力メーカー等を擁護しようとする経団連などの経済界と、20万人近い原発関連の労働者を擁護しようとする連合等の労働団体野党自民党、与党民主党双方の支持基盤としてしっかりと原子力を支えているからだと言われていました。

そこに原子力を支える一角である連合の脱原発への方針転換の発表です。はたしてどこまでの脱原発を唱えようとしているのか、方針転換の詳細を吟味してみなければわかりませんが日本社会の脱原発に向けたはじめの一歩であるとは言えるでしょう。

もちろん、古賀会長の発言にあるようにあくまでも中長期的な観点での脱原発ですから、もともと原発の新規増設が困難となっている現状では単に原発の自然減を時間をかけて待つというだけで本物の脱原発ではない可能性も高いと思います。したがって、今後も連合の方針転換の真意について厳しく追及していく必要がありそうです。  



2011年10月06日

【電力への天下り】

あまりにも遅く、あまりにも中途半端と言わざるを得ません。

『枝野幸男経済産業相は4日の閣議後記者会見で、東京電力を含む各電力会社への経産省職員の天下りについて、「少なくとも自分の経産大臣の在職中に、再就職することがないよう強く求めたい」と述べ、認めない意向を示した。東電には8月末時点で、中央省庁の元官僚51人が天下り、再就職していることが明らかになっている。

 また電力会社を担当する同省幹部の子が東電に就職している事例が複数あることについて、「(親子は)それぞれ独立した別人格だが、疑われないよう努力する必要はある」と指摘し、情実人事につながらない仕組みを確立するよう求めた。』(10月4日付朝日新聞)


【永続性のある仕組みを】

電力会社と経産省がつるんでいるからこそ、九電をはじめとする電力会社がプルサーマルの導入や原発の再稼働を巡って数々の「やらせ」を演じていたことは周知の事実です。それほど自分たちの利益を守ることばかりに奔走しているからこそフクシマの核惨事を起こしたことに思いをいたすべきでしょう。天下りによる構造的な癒着関係が組織内、さらには国と電力会社との不透明なもたれ合いを確実に助長し、住民の安全などそっちのけで原発推進にまい進する歪んだ体質をもたらしているのです。

枝野経産相の判断はいいことでありますが、一大臣が自分の在任中に限って、しかも単に天下りを求めるだけではこの癒着を完全に断ち切ることは不可能でしょう。枝野大臣は即刻法律を作って経産官僚の電力への天下りを全面的に禁止してこの腐った癒着関係の息の根を止めるべきだと思います。今はフクシマの核惨事を経て国民の怒りは頂点に達しているのだから経産省の天下りを突破口にして官僚の天下りをやめさせる好機だと思います。後は枝野大臣、そして野田総理、さらには与党民主党の覚悟次第です。みなさんはどう思われますか?  



2011年10月05日

【内部報告書】

やむを得なかった?「ふざけるな!」と言いたくなります。

『福島第一原子力発電所の事故原因などを調査している東京電力の福島原子力事故調査委員会がまとめた中間報告案は、「やむを得なかった」との表現が多用され、事故の拡大を防げなかったことへの厳しい分析や反省の視点に乏しい。

 政府の事故調査・検証委員会の調査で明らかになった機材の誤配など、自社に不都合な内容や指摘は見あたらず、社内調査の限界を浮き彫りにしている。

 東電が2008年春に出した津波の試算は、遡上高を今回の津波とほぼ同じ、最大15・7メートルとし、同年12月に行った貞観津波(869年)をモデルとした試算は最大9・2メートルとしていた。しかし中間報告案は、これらの試算を「仮想的な『波源』を立てた試行的なもので、津波対策のベースになるものではない」と一蹴した。

 その一方で、土木学会が02年に出した「津波評価技術」に基づく、従来の想定である津波の高さ5・7メートルについて、「確立された最新の知見に基づく想定」と強調し、「今回のような大津波は想定できなかった」と結論付けた。

 初期対応の遅れについては、とりわけ「自己弁護」と受け取れる見解が目立つ。

 東電は、1号機の炉心損傷開始を「地震発生後約4時間」と解析するが、消防車による1号機への注水が始まったのは3月12日午前5時46分。格納容器内の圧力を下げるベントの成功は、同日午後2時頃だった。2、3号機では、緊急炉心冷却装置などがしばらく動いていたが、この停止後、消防ポンプによる注水再開までは6~7時間を要した。

 政府事故調の調査では、東電は手動でのベントを想定しておらず、本店が手配した機材が別の場所に誤配されたり、現場がベントや注水に必要なバッテリーや空気圧縮機の備蓄状況を把握していなかったりしたことも明らかになっている。

 だが、中間報告案は、津波によるがれきの散乱や放射線量の上昇など過酷な作業環境を強調し、注水について「厳しい環境の中、できる限り迅速な対応を行った」とした。さらに、「アクシデントマネジメント(過酷事故対策)を含むリスク低減の取り組みが効果を発揮した」とし、その根拠に自動車のバッテリーを使った弁の操作などを挙げて、「臨機かつ直接的に安全設備を操作する応用動作により、炉心の冷却を行った」と評価した。』 (10月2日付読売新聞)

【日本を破局の淵に追い込もうとした罪】

この人間たちはいったいどこまで傲慢に振る舞えるんでしょうか?一体、自分たちが何をしでかそうとしたかわかっているのでしょうか?あれほどの大惨事を引き起こした責任についてどこまでうそぶくつもりなのでしょうか?絶対に許されないと思います。なぜか?

ひとつ。菅前首相が証言しているように、3月11日に大地震と大津波が来た後福島第一原発は次々と水素爆発を起こし首都圏いや東日本が壊滅するかもしれないという危機的状況に陥ったのはほかでもない東電の過去から現在に至るまでの原発の安全に対する無策がもたらしたものであるということです。もちろん政府の責任もあるでしょう。しかし、現場を預かる事業者としての自覚も能力もなかったからこそここまでの惨事につながったのは紛れもない事実です。

ふたつ。その危機的状況の最中に東電はトップ自ら逃げようとしたことです。また、清水社長は菅前首相から止められた後も部下を見捨てて病気を理由に現場を離脱したことは周知の事実です。こんなデタラメな企業がほかにあるでしょうか?

みっつ。フクシマの核惨事がもたらした大量の放射能物質は福島周辺の大地も水も空気も食物も汚染し、何の罪もない子供たちや住民の方々の普通の生活を根こそぎ奪ったのはいったい誰なのかということです。その償いは結局金でしかないわけですが、その賠償請求の書類を信じられないほど複雑にしているという報道がありましたが、まさにそういう被害者を蔑むような行為は今回の中間報告の無責任さにも表れています。日本の大地をここまで穢したのは先ず東電、そして政府、原子力ムラの人間たちの所業です。

枝野経産相が言うように、東電は生かさず殺さずフクシマの被害者の補償を払い続けさせるしかないのでしょうが、この腐った精神のまま「公益企業」などと名乗り続け、汚れた原発の延命を図っていくことは即刻やめていただきたいと思います。また他の電力会社の経営者も原発に対する本当の安全管理能力もないのに盲目的に政府・経産省の原発推進にただ乗りするのではなく、明日は我が身と心得、一刻も早く原発から撤退し、本当の経営をするべくすべての過去の悪事を白日の下に晒すべきだと思います。

そうでなければ次なる「フクシマ」の破局を避けるのは困難でしょう。  



2011年10月04日

【わさびで受賞】

こんなユニークな研究もあったんですね。

『ユーモアがあり、かつ意義深い科学的研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が29日に行われ、わさびのにおいを使って火災を知らせる「わさび火災警報装置」を開発した今井真滋賀医科大講師(49)、田島幸信・香りマーケティング協会理事長(57)ら日本人7人が「化学賞」を共同受賞した。

 わさび警報装置は、火災発生時にわさびのにおいがする気体を噴射し、眠っている人を起こす仕組みだという。

 このほか、「医学賞」は尿意が意思決定に及ぼす影響を調べた米ブラウン大学などのチームに、「公衆衛生賞」は高速道路で運転するドライバーの注意力の散漫について研究したカナダ・トロント大学のジョン・センダース氏にそれぞれ贈られた。「心理学賞」は、人がため息をつく理由を解明しようとしたノルウェー・オスロ大学のKarl Halvor Teigen氏が受賞した。

 授賞式は米ハーバード大学で行われ、過去のノーベル賞受賞者らが賞を授与した。日本人の受賞は5年連続だという。』(9月30日付ロイター)


【5年連続の快挙】

このイグ・ノーベル賞は「裏ノーベル賞」とも呼ばれていて、米国の「ユーモア科学研究ジャーナル」誌の編集長、マーク・エイブラムス氏が91年に創設したそうです。これまでに日本人は31人が受賞しているとのことで、あの発明家のドクター中松氏や犬語翻訳機「バウリンガル」の開発者なども受賞していてなかなかユニークです。そんな中、2007年からは日本人が連続して受賞しているとのことで、政治や経済の世界では衰退の一途と言われる日本人も捨てたものではないなあと嬉しくなりますね。

※「イグ・ノーベル賞日本人受賞者の一覧表」

それにしてもわさびの火災報知器とは、よく考えたなあと感心します。わさびって刺身には欠かせないものとして日本人にはなじみ深い食べ物ですが、その鼻にツンと来る匂いを火災報知器に使うというのはホントに日本人らしい発明ですよね。「七人のサムライ」先生方に脱帽!!!
  


2011年10月03日

【最終報告】

第三者委員会は市民の側に立ったいい仕事をしたと思います。

『九州電力の「やらせメール」問題などを検証している九電の第三者委員会(委員長・郷原信郎弁護士)は30日、東京で第5回会合を開いて調査の最終報告書をまとめ、九電に提出した。第三者委は、原発再稼働をめぐる県民説明番組やプルサーマル導入の公開討論会で、古川康佐賀県知事の意向に沿って九電が社員らにやらせの意見投稿を指示し、質問者を仕込んだと認定。「賛成の民意を作り出す手段」として県や九電が計画を推進するために綿密に連携したと結論づけた。

 同日記者会見した郷原委員長は「事前了解を行う立場の知事の要請に応える意図で行われ、世論が作り上げられた」と批判した。

 第三者委は、2005年12月の公開討論会が「やらせメール」問題の原型だったと分析。公開討論会では、反対意見ばかりに偏らないことを望んでいた知事の意向に沿って、「動員や台本作成が県と九電の綿密な連携協力で行われ、県も『仕込み質問』を容認した」と指摘した。古川知事の関与については「把握していた」との直接的な証拠はないが、「全く気づかなかったとは考えにくい」と知事が認識していた可能性に言及した。

 やらせメール問題でも同様の構図があるとし、古川知事が九電幹部にメール投稿を要請していた九電作成のメモについて、「同趣旨の発言を行った」と認定。「知事発言が決定的な影響を与え、九電が動いた」と断定した。その上で、一連のやらせメールや仕込み質問は「経営トップと古川知事の間に何らかの意思疎通があったと見るのが合理的で、社員はトップの方針に沿った」との認識を示した。

 問題の本質として、九電と佐賀県の不透明な関係や、福島原発事故後の環境変化に対応できなかった九電の体質を指摘。知事や県の関与を否定し続ける真部利応(まなべとしお)社長を批判し、「知事との関係の真相を明らかにせず、逆に妨害して信頼失墜を一層深刻にした」と強調。責任は実行した社員ではなく、「経営トップにある」と非難した。

 再発防止や信頼回復への提言として▽消費者との直接対話による企業活動の透明化▽原発立地自治体の首長との不透明な関係の根絶▽原子力部門の社内監視組織の設置-などを挙げ、知事らへの政治献金やパーティー券購入などを一切しないことなどを求めた。』(10月1日付西日本新聞)


【合理性のある結論】

報告書を全文読んだわけではありませんが、やらせメール問題発覚から今までの第三者委員会の調査の状況、郷原委員長の会見、九電側と佐賀県知事の対応を客観的に眺めていると最終報告書の結論は概ね事実に沿ったものであるとわかります。

そもそも経産省からの指示があったとはいえ、九電は自らの姿勢を正す目的で第三者委員会を設置したのではなかったでしょうか。その委員会が自分たちの予想していた結論とは違ったからといって経営トップが最終報告に対する会見を開かないとか、副社長が報告書の修正もありうるなどと言うのは、報告書の結論が正しいと間接的に認めるのと同じことではないでしょうか。こんなことで市民の目をごまかせると考えているとしたらフクシマの核惨事を経ても会社の安全に対する姿勢や今までの企業の体質を変えることは不可能でしょう。公益企業という名に恥じる行為であり、社内のコンプライアンス以前の問題です。

【問題は原子力ムラの体質】

それにしてもプルサーマルの導入という周辺地域住民だけでなく、僕らの故郷・福岡、九州、もっといえば日本全体の安全にかかわる重大な問題について株主総会と同じシャンシャンで結論づけようとしていたというのは、疑念は持っていましたが弁護士の委員会に突き付けられては本当に怒りを覚えます。これは同じような手口で市民をだましながら原子力を推進してきた他の電力会社や国、そして利権がらみの政治家たちが原子力を何がなんでも推進するために堂々とやっていたということのひとつの証明です。

したがって、九電だけでなく全国の電力会社、経産省の役人、政治家、原子力を擁護する学者、原子力産業といった原子力ムラの人間たちはこの第三者委員会の最終報告を自分たちの問題として真剣に受け止め、原子力ムラの強引な推進体制、隠ぺい体質を深く反省し、すべてをゼロベースに戻してすべての情報を公開して原発のない社会に向けた出直しをすべきです。この期に及んでまた隠ぺいや現状維持を図るならば、第二のフクシマの核惨事を招き、日本だけでなく世界を緊急事態に陥れるのは必定でしょう。  




< 2011年10>
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海や山、自然が好きな九州男児です。あらゆる機会をとらえて、時代の変化をいつも感じていたいと思っています。
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