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2012年04月27日

【動物も左利き?】

動物たちもみんな左利きがあるんですね。

『2日付の英日曜紙サンデー・タイムズは、猫、犬はもとより、オウムや魚に至るまで、ヒトと同じように手足や目に「右利き」と「左利き」があることが判明したとし、これは生存競争にも有利に働いていると報じた。
 同紙によると、研究者たちはこれまで、左利き、右利きがあるのはヒトに限定されていると考えていたが、最近ではほとんどすべての生物が左右どちらかを主に使うよう進化したことが分かったという。
 魚の場合、自分の敵となる魚や動物が接近してきた場合、右利きの目をもつ魚は時計と同じ右回りに逃げ、左利きの魚は左回りに逃げる。左右差があった方が素早く反応でき、生存の確率が高まる。
 また、英クイーンズ大学(北アイルランド・ベルファスト)の研究によれば、性別で違いもあることも分かった。猫の場合、雌猫は瓶などから食べ物を引き出そうとする際、右手(右前脚)を使う傾向があるのに、雄猫は左手を使おうとする。犬の場合も同様に当てはまるという。』(5月2日付ロイター通信)

【仲間が増えた】

それにしてもこれは嬉しいニュースです。日本社会ではつい最近まで左利きの人たちは肩身の狭い思いをしていたのではないでしょうか。僕も小さい時はすべて左利きで、両親から一部だけ右利きに修正されました。でも今でも食事のときの箸は左、絵を描くのも左です。また、字は左右両方で書くことが出来ます。すべて左だったころにイジメにあっていたのかどうか定かではありませんが、日本社会では何もかも右利きが正当ということで箸の使い方から襖の開け閉めまで右手でやるのが当たり前だったのです。

それが数十年前から、「私の彼は左利き」とかいう歌が流行ったり、外国の元首や有名人が左手でサインしていたりと、日本社会の常識が世界の常識ではないことが少しずつ浸透してきて今ではあまり左利きに対する差別はさほど強くはなくなりました。(ちなみにオバマ大統領も左手でサインしています)

そんなところに今回は動物社会でも左利きが存在し、しかもそれが生存競争にも有利に働いているというのですから、左利きの僕なんかにしてみれば嬉しい限りです。これからは異能の人が活躍する時代です。右脳人間には左利きか多いとも言います。左利きのみなさん、これからも右利き社会をどんどん変革していきましょう!!!!  



2012年04月26日

【26年前の大惨事】

みなさんは26年前の今日、世界全体を恐怖のどん底に陥れた出来ごとをご存じだろうか。

それはチェルノブイリの原発事故だ。

1986年4月26日午前1時24分、旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発4号炉で原子炉停止実験が失敗、原子炉の暴走が始まり、数度の爆発で瞬く間に大量の放射能が全世界に撒き散らされた。 (写真は26年前、事故を起こした4号炉)

事故直後から数週間の間に起こったことは、事故そのものの悲惨さを上回るような出来事だった。旧ソ連政府による事故隠し。何も知らされないで捨て置かれた何十万人もの避難民の被爆。(あの当時、日本の原子力専門家は旧ソ連政府の事故隠しや情報公開の遅れをあざ笑っていた。)

その後も旧ソ連政府だけでなく、IAEA(国際原子力機関)を始めとする国際機関や各国政府の事故隠し。長崎・広島を経験した日本さえもその一団に加わった。事故後26年を経た今、事故そのものの記憶の風化が進んでいるが、これらの機関や政府のチェルノブイリの真実を出来るだけ小さく見せたいという意図は本質的には変わっていないように思う。(フクイチ後はあらゆる点で日本が最もひどいことが世界に知れ渡った)

そして昨年3月11日に東日本を襲った大地震と大津波の後、原発大国ニッポンは福島第一原発でチェルノブイリに匹敵する核惨事を引き起こした。世界中が事故の状況を心配する中、僕らだけでなく世界中の人たちが東電、経産省原子力安全・保安院、政府官邸などから発信される情報に不信感と疑念を募らせていった。その後昨年末には、政府が「冷温停止状態」に至ったとして事故の収束宣言を出したにもかかわらず、放射能は漏れ続けフクイチの廃炉には何年かかるかわからない状況が続く中、国民の政府や原子力ムラに対する不信感は膨らむ一方だ。

【恐怖の「見えない雲」】

しかし、福島第一原発の核惨事の本当の恐怖はこれから始まる。それはとりもなおさず空気、土、水、さらに加えて海の放射能汚染だ。事故当初は対外被ばくが恐怖の中心だったが、これからは食物を通じて起きる体内被曝が5年~10年後に子供たちを中心に顕在化してくるのだ。チェルノブイリはその原発事故による大規模な放射能汚染の貴重な教訓だったのだ。

僕自身は史上最悪と言われたチェルノブイリ原発事故当時のことは今でも鮮明に覚えている。事故発生後数日経ってから北欧や欧州各地で基準値を大幅に上回る放射性物質が大気中から検出され、世界中が大騒ぎとなり、特に欧州では「見えない雲」、すなわち目には見えないが恐ろしい放射能を含んだ雲の飛来に数週間、数か月にわたって人々は怯え続けたのだ。(それらの放射性物質が日本にまで飛来していたころ、5月のゴールデンウィークの最中に東京の皇居周辺ではあの亡くなったダイアナ妃の歓迎パレードが行われていた)

そしてそれは杞憂ではなかったし、実際にチェルノブイリ周辺数百キロの地域で大規模な放射能汚染が発生、甲状腺ガンなどによる事故の直接・間接的被害による死者は数十万人から数百万人にのぼったと言われている。福島第一原発の放射能汚染の規模はチェルノブイリの10分の1と報道されているが、福島がチェルノブイリと同じ道を辿るのは間違いない。

【生かせなかった教訓】

チェルノブイリは本当に恐ろしい体験だった。チェルノブイリから数千キロも離れた日本でもそう感じたのだから、全市民が避難したキエフやヨーロッパの人々の恐怖は並大抵のものではなかったはずだ。

あれから26年。その記憶は人々の脳裏から消えていた。そして起こった福島第一原発の核惨事。教訓は生かされなかった。

あのチェルノブイリのときに味わった恐怖を原発の専門家たちだけでなく、市民である僕たちも決して忘れてはならないと3/11前まで思っていた。そして忘れたころに災難はやってきた。もう福島周辺の土地は何十年にもわたって「放射線管理区域」として容易に人が住めない地区となった。

チェルノブイリよりもまだ恐ろしいのは、未だに放射能は大気中、土壌、海に汚染を広げており、いつ止められるのかわからないこと、そしてもしも福島で次の大地震が起これば四号機に残された千本以上の核燃料棒の入ったプールが建屋ごと崩壊し、フクイチの何倍、何十倍という大量の放射能放出の可能性が残っているということだ。しかも、福島だけでなく、地震の多発する日本列島には54基もの原発、3千トンもの使用済核燃料を貯蔵したままの六ケ所村再処理工場があるということだ。日本という国、そしてそこに住む僕たちは生き残れるのだろうか。

(注)上記写真はチェルノブイリではありません。今年満開になった福島の桜の森公園と放射能防護服を着た人たちです。なんと哀しいコントラストでしょうか。

チェルノブイリから26年経った今、チェルノブイリを超えたフクイチを作りだした僕たち日本人はこの恐るべき現実にこれから何世代にもわたって向き合っていかなければならないことを片時も忘れてはいけない。


≪参考記事≫

1.「チェルノブイリの真実」―2006年4月16日の僕のブログ記事

2.「ゴルバチョフ氏の回想」―2006年3月9日の僕のブログ記事
  



2012年04月25日

【橋下氏、政府に直談判】

橋下氏が政府に直談判しに行きました。

『関西電力の大飯原発(福井県おおい町)の再稼働に突き進もうとする野田政権に対し、関西電力の株主総会で脱原発の提案をしようとする大阪市が反発している。橋下徹市長が「日本の電力供給体制を変えるのは今しかない。ワンチャンスだ」と訴えながら再稼働に強く反対しているのだ。

 野田首相ら関係閣僚四人が安全対策の暫定基準案を決定したことについて橋下市長は「基準を慌てて作り一、二週間で安全性を判断することができるわけない」と批判。また滋賀県や京都府とも連携しながら、電力会社が原発から約一〇〇キロ圏内の自治体と安全協定を結ぶことを再稼働の条件にするよう橋下市長は主張している。

「地元」の範囲が広がれば、再稼働のハードルが高くなるのは言うまでもない。それでも野田政権が周辺自治体の同意を得ずに原発再稼働に踏み切った場合には、「選挙で決着をつけるしかない」と意気込んでもいる。次期総選挙で脱原発を争点にして、「再稼働ゴリ押しの民主党vs.再稼働反対の『大阪維新の会』」という構図にしようというわけだ。

 その一方で、マスコミが垂れ流す「再稼働をしないと今年の夏を乗り切れない。産業に大きな影響を与える」という根拠不明瞭の“脅し文句”の検証も進めている。四月一日には、橋下市長と松井一郎府知事が大阪府市の「エネルギー戦略会議」に出席。電力需給を含む再稼働問題などについて、元経産官僚の古賀茂明氏や環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長らと議論し、会議後の会見で橋下市長は「自分なりの理解ができた」と強調。「ピーク時」に対応する電力供給体制から、電力需要を平均化した「総電力量」で対応する体制に転換することの重要性を指摘しつつ、「ごく短期間のピーク時に節電を促すなどの知恵と工夫で、産業への影響も最小限に抑えながら原発再稼働なしで夏を乗り切れるだろう」と言い切った。

 しかし関電は、大阪市と神戸市と京都市が出した質問に対し、「原子力発電を引き続き推進する」と回答、原発再稼働ありきの野田政権と足並みを揃えている。

「政治が(脱原発に)舵を切らないといけない」と主張する橋下市長と、民意を無視する野田政権が激突する可能性は高まりつつある。(4月24日付「週刊金曜日」)

【選挙の争点になり得るか?】

橋下氏の大阪維新の会が掲げる「再稼働に関する8提案」は、今の原子力推進体制について多少知識がある人であれば当たり前の話ばかりです。にもかかわらず、この8提案に対する現時点で出来ること、出来ないことを国民の前に明言することもしないで、「支離滅裂だ」とか、「やや短絡的」とか、「この提案は再稼働とは直接関係ない」と言った言葉で橋下氏を批判する藤村官房長官は、政府としての国民に対する誠実な説明責任というものをまったく果たしていないと思います。

それもこれも過去30年近くにわたって原発の安全神話を作り、国民を欺き続けてきた自民党の歴代政権と原子力ムラと揶揄される原子力翼賛体制の悪事が、フクイチの事故によってすべて国民の前に明るみに出たことにその根本原因があります。

おそらく民主党の現政権も野党自民党も、原子力ムラの人間たちは原子力に関する今までの失敗をすべて認めて一からやり直すつもりは全くないのでしょう。であるならば、もう橋下氏のような新しい政治の担い手に委ねることしか日本が救われる道はないのかもしれないと思います。しかし、これとて至難の業です。でもやらなければ橋下氏の言うように日本は重大な危機に直面するでしょう。それは電力が足りないといった程度の危機ではありません。日本が国家として成立しなくなるような重大な危機です。

ひとりひとりがこの橋下氏の挑戦を少しでも後押しできるように、どんな小さなことでもいいから、声をあげていくことが必要だと思います。ひとりひとりが日本が破局の淵から逃れるかどうかの瀬戸際にあるという危機感を持つべきです。  



2012年04月24日

【中部電力の奇怪】

この人間たちの狂気を誰が止めることができるのでしょうか?

『中部電力は16日、南海トラフの巨大地震が発生し、浜岡原発(静岡県御前崎市)に高さ21メートルの津波が来た場合の影響評価についての報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。停止中の現状を前提に「安全を確保できる」としている一方で、冷却機能が失われ注水が停止すると、最短で6日後に燃料が露出する可能性があるとした。被災後に迅速な復旧作業ができるのか問われそうだ。

【写真で見る】浜岡原発:6号機新設を一時凍結する方針固める…中部電力

 同原発は昨年5月に政府の要請で停止しているが、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、海抜18メートルの防波壁などを建設している。しかし、今年3月末、内閣府の有識者検討会は巨大地震が発生すると、最大21メートルの津波が押し寄せると予測。保安院は中部電に対し、浜岡原発への影響を評価する報告書を16日までに提出するよう求めていた。

 報告書によると、「現状は冷温停止状態にある」とした上で、「敷地が浸水し原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能が喪失しても、燃料が冷却水の水面から露出するまでに最短で約6日ある」と分析。「高台に配備した可動式ポンプなどで代替注水できる」としている。

 一方、再稼働した場合の対策について報告書は「(今後入手するデータを)詳細に検討し、必要な対策を講じる」と追加対策の是非を検討する考えを示した。中部電の増田博武原子力部長は記者会見で「有識者検討会の試算の根拠となったデータが十分に提供されていない。評価には数カ月かかる」と先送りする考えを示した。

 中部電は12年中の防波壁完成を目指している。追加対策としては、防波壁の高さ見直しが想定されるが、大規模な追加工事が必要になった場合、工期が遅れ、再稼働が遠のく可能性がある。

 一方、保安院は今月中にも報告書が妥当かどうか判断。5~6月に有識者検討会が詳細な津波高を推計するのを踏まえ、専門家会合で浜岡原発で想定する津波高を引き上げるか検討する。【森有正、高橋昌紀、岡田英】』(4月16日付毎日新聞)

【想像力の欠如?】

この記事を読んでいると正直言ってコメントすることさえばかばかしく思えてきます。中部電力と原子力安全・保安院はまるで何かに憑りつかれているとしか僕には信じられません。浜岡原発を何が何でも稼働に導くためには、たとえ津波の想定が21メートルになろうが、津波によって原発の冷却機能が失われようが、自然の猛威なんてどんなことでも対処できると結論づけようとする精神構造は、もはや「狂っている」としか表現のしようがないくらいです。

そもそも巨大地震が来て、巨大津波が襲来して原子炉の冷却機能が失われても、高台にある可動式ポンプだけが「無傷」で、そんな大災害が起きた時にも運転員たちも「無償」でポンプを稼働できると考えること自体、あり得ないことだということは僕ら素人にでも「想像」できますし、机上の計算に過ぎないとわかります。

原発を稼働するために机上の計算で自分たちの都合のいい結論を導き出して「想定外」の大事故を起こしたのが東京電力であり、フクイチだったということをどうしても認めたくないのでしょう。あるいは自分たちだけはそんなことにはならないと信じ切っているのでしょうか。それはフクイチを経験した今となっては、原子力という人間にとって制御できないほどのリスクを抱えた技術を管理する専門家として、あまりにも想像力に欠け、あまりにも自然に対して傲慢な態度ではないでしょうか?

今、この瞬間もフクイチの4号機の千本以上ある燃料棒は、壊れかけた建屋が次の地震で崩壊すれば、格納容器もないむき出しのまま、フクイチ事故の何十倍もの放射性物質を大気中に拡散し、日本どころか世界中が緊急事態に陥るというのに、さらに加えて確実に起こると言われる東海地震の震源のど真ん中にある浜岡原発を単に防波堤を作るだけで動かそうとするその神経たるや、もう人間のなせる技ではないと断言できます。一体いつまでこんな狂気を僕ら日本人は許すのでしょうか?中部電力や原子力安全・保安院の狂気をこのまま許しておくのでしょうか?ひとりひとりが真剣に声をあげるべきです。

そうしなければ間違いなく、日本が壊滅するときが遠くない将来にやってくるでしょう。
  



2012年04月23日

【大飯を捨てて伊方へ】

何としても原発の再稼働を急ぐ政府・民主党。ますますきな臭くなってきました。

『四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働推進論が政府・民主党内で急浮上している。原発再稼働の手続きでは、関西電力大飯3、4号機(福井県おおい町)が先行しているが、近隣府県の強硬な反対に直面。国内で唯一稼働中の北海道電力泊3号機(泊村)が5月5日に運転を停止した後、「原発ゼロ」の事態が長引く可能性があるためだ。
 民主党の前原誠司政調会長は22日午前のNHK番組で、原子力規制庁の発足まで再稼働の手続きを進めるべきでないとの意見が出ていることについて「そうは思わない」と反論し、国の原子力安全委員会と経済産業省原子力安全・保安院で対応できるとの見解を示した。これに関し、民主党幹部は「伊方原発は安全委のチェックが済めば手続きを進める」と語った。』(4月22日付時事通信)


【何が何でも再稼働?】

大飯原発の再稼働が時間がかかりそうだと見るや、次は電力業界との関係が深いと言われる仙石由人民主党政策調査会長代行が全面に出てきて、「原発を止めたら日本は集団自殺をすることになる」と発言したり、今度は仙石氏が会長をつとめる前原グループの前原誠二政調会長が伊方原発の再稼働を急ぐ発言をしたり、政権内部の何が何でも再稼働を進めたいとの思惑ばかりが見え隠れします。

おそらく電力業界をはじめとする原発再稼働をなんとしても急ぎたい原子力ムラの圧力が政治家を駆り立てているのでしょう。フクイチの大惨事後も事故の収束はまったく見えない上に、原発をどうするのか中長期的な展望を国民の前になんら示すこともない政府・民主党が再稼働を急ごうとすればするほど原子力に対する国民の信頼はどんどん地に堕ちていくでしょう。

フクイチ事故が起こった後に原子力の専門家として総理官邸から協力要請を受けて内閣官房参与として3月29日からほぼ半年間、その苛烈で生々しい事故の内情をつぶさに知り、関東3千万人の避難という最悪の事態の直前まで行こうとした恐るべき惨事に立ち会った田坂広志氏が書いた「官邸から見た原発事故の真実~これから始まる真の危機~」という本がここにあります。

その著書の中で田坂氏は、原発事故の後の現在の「最大のリスク」は何かと問われ、「政界、財界、官界のリーダーの方々の中に広がっている「根拠のない楽観的空気」」だと語っています。

そして、フクイチ事故が一時は首都圏3千万人の避難もあり得たという事実の重みを真剣に受け止めていないリーダーが多いこと、そのために起こる最大の問題は「信頼の喪失」であると警告しています。さらに原子力はそのとてつもない危険性と原子力が本来抱える究極の問題である「高レベル放射性廃棄物」の問題に対して根本的な解決策が示されない限り、国民の信頼は得られないと述べています。

まさに今回の原発の再稼働を巡る政府・民主党、原子力安全・保安院を筆頭とする官僚組織、電力業界、産業界、一部大手メディアなどの原子力ムラといわれる人たちは、「根拠のない楽観的空気」に未だ支配され、国民の信頼を回復するどころか、新しい安全神話を作らんばかりに声高に安全対策は実施したと公言し、大飯が当面ダメと見るや、次は東海・東南海・南海地震と津波のリスクが高まる伊方原発を何が何でも再稼働させようとしているのです。
彼らはこんなやり方で国民の信頼が得られると思っているのでしょうか?ほんとうに恐ろしい国家だと思います。

≪参考≫

・田坂広志氏のブログ「新しい風」

・田中龍作ジャーナル「【福井報告】弱者の味方も今は昔 仙石氏『他の原発も再稼働する』」2012.4.16
  



2012年04月19日

【原子力希望者減る】

「夢の原子力」の時代が確実に終わったことを感じさせます。

『原子力関連の専門教育を施し、電力会社や原発関連メーカーなどに人材を提供してきた大学院(工学系)への今春の入学者数が昨年度に比べ、減少していることが7日、分かった。東京電力福島第1原発事故に伴う業界の将来性への懸念などが背景にあるとみられ、関西電力の原発全11基などを抱える福井県の福井大大学院は定員割れの事態に。福島第1原発の事故処理には30年以上かかるとされ、古い原発の安全確保にも技術者は不可欠で、大学関係者は「有能な技術者を絶やすわけにはいかない」と危機感を募らせている。

 ■定員に満たず

 福井大大学院工学研究科原子力・エネルギー安全工学専攻(修士課程)の今春の入学者は昨年度より15人少ない22人。「3次募集まで行ったが、定員(27人)に達しなかった」(同専攻担当者)といい、同大関係者は「学生が原発事故の影響に敏感になっているのかもしれない」と話す。

 原子力工学専攻や環境工学専攻などが統合され、平成17年に発足した大阪大大学院工学研究科の環境・エネルギー工学専攻(修士課程)は昨年度を8人下回る81人となった。

 昭和32年に原子核工学専攻が全国に先駆けて設置された京都大大学院工学研究科(修士課程)は、昨年度比1人減の23人だった。また、名古屋大大学院の量子エネルギー工学分野(修士課程)も1人減の21人。九州大大学院のエネルギー量子工学専攻(修士課程)も2人減の35人となっている。

 ■事故を教訓に

 こうした傾向について、杉本純・京大大学院教授(原子核工学)は「他の大学でも修士の志願者は23年度に比べ全体的に減っているようだ。福島第1原発事故の影響があるとみている」と話す。杉本教授によると、1986年に起きた旧ソ連でのチェルノブイリ原発事故以降、原子力関連専攻の学生数は低迷傾向にあった。しかし、数年前からはアジアを中心に新たに原子力を導入する国が増加するなどし、福島第1原発事故直前までは原子力が世界的に再評価され、学生数も持ち直していたという。

 杉本教授は「仮に『脱原発』を選択するにしても今ある原発を廃炉にするには長い時間が必要。事故を教訓として安全レベルを格段に上げるためにも、今後も技術者育成に貢献したい」と話している。』(4月8日付産経新聞)

【人材育成は不可欠】

そもそも日本では度重なる原子力発電の事故を主な原因として各大学の原子力関係学科の学生数は長期低落傾向にあると以前から聞いていましたので、この記事を読むと「やはりそうか」という印象です。

すでに大学の原子力専攻の学科名もこの記事にあるように「量子エネルギー工学」とか「環境・エネルギー工学」などと名称変更して「原子力」の文字をわざと消しているところが大半です。すでに学問の世界では「原子力」は日蔭者のような扱いを少なくとも表面上は受けているのです。

しかし、現実問題として脱原発の動きがこれから本格化してきたとしても、福島第一原発の廃炉処理だけでなく、次々と寿命を迎える老朽化原発の廃炉処理や放射性廃棄物の管理は全国各地の原発や放射性廃棄物の処理施設で必要とされ、その安全対策等に要する原子力技術者の必要性がますます高まってくるのは間違いありません。好むと好まざるとに関わらず、これから何世代にもわたって日本はこの悪魔のような原子力と付き合っていかざるを得ないのです。

ときおり、原子力を推進する原子力ムラの側から、脱原発を進めれば人材がますます枯渇するといった煽り方をする声が聞こえますがそれは本末転倒というべきでしょう。自分たちは今まで膨大な利益を享受しておきながら、フクイチ事故を引き起こした責任には頬かむりして、原子力を批判する人間に責任転嫁をすることは許されないことです。彼らのその不誠実な姿勢が「夢の原子力」を「悪魔の原子力」に変えることになり、学問の世界での人材枯渇を招いてきた最大の原因だということを認めるべきでしょう。

いづれにしても、安全な放射性廃棄物の処理や原発の廃炉処理はこれから日本が生き残っていくためには必要不可欠な技術です。そのための人材育成は脱原発を目指すとしても国民も政府もしっかりと考えていかなければなりません。その際、多くの御用学者のように自分たちの利益のためなら真実をねじまげることを平気でするような不誠実な専門家を作らないことは今後の人材育成の重要な課題でしょう。
  



2012年04月18日

【共同提言】

大飯原発の再稼働問題で、周辺自治体である京都府と滋賀県が共同提言を発表しました。

『ひとたび原発事故が起きれば、立地地域と変わらない影響を受ける「被害地元」だ-。関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題で、京都府と滋賀県が17日に打ち出した原発政策をめぐる7項目の共同提言は、原発周辺自治体の立場を強調する内容となった。一方の政府は「地元」の範囲も明確に示しておらず、再稼働に慎重な両府県の提言に国がどう対応するかが今後の焦点になる。

 「原発事故で被害を受ける可能性がある自治体の責任として、安全の担保を真剣に考えた」

 京都市内で会見した滋賀県の嘉田由紀子知事はこう述べた。共同提言は京都府の山田啓二知事と12日に大飯原発を視察した際、安全性に疑問を感じたのがきっかけだったという。

 原案を作成した嘉田知事がこだわったのが「被害地元」というキーワード。立地自治体だけでなく滋賀、京都も原発の「地元」であると強調することで、政府に真剣な対応を迫った。

 山田知事は大飯原発が立地する福井県に対し、「急に京都府と滋賀県が議論に割り込んだとの印象を持っているかもしれないが、被害地元として理解をいただきたい」と説明。政府には「説明責任を果たしていないのに、いつ同意をとるかの手続き論ばかりが先行している」と厳しく批判した。

 大阪府も16日、原発再稼働の8条件について表現を緩和した「提言」とし、大阪市と調整して政府に提出する方針を決めたが、嘉田知事は「大阪府市は政治的メッセージが強い。こちらは『被害地元』として政策提言している」と立場の違いを強調した。

 一方、藤村修官房長官は17日午前の記者会見で、共同提言をまとめたことについて「真摯に受け止め、必要に応じて(政府の立場を)説明する」と述べた。』(4月17日付産経新聞)


【今後の試金石】

原発の「地元」とはどこまでの範囲を言うのかを明確にせず、立地自治体の同意が得られれば、周辺自治体には「説明」だけすればいいとする政府のやり方は、地方を自分たちの都合のいいように分断して原発の再稼働への道筋をつけやすくする過去と変わらぬ小賢しい手口です。そんな政府のあくどい手口に騙されず、自らを「被害地元」として政府に原発政策を巡って7つの政策提言を共同提案した京都府と滋賀県には是非頑張ってもらいたいと思います。この府県が政府を動かせるかどうかに、日本の今後の命運がかかっているといっても過言ではないでしょう。京都・滋賀が「被害地元」と政府が認めればこの狭い日本の各地に点在する原発の周辺はすべて被害地元となります。もちろん玄海原発の周辺である福岡県も「被害地元」です。

京都府と滋賀県だけではなく、昨年の3月11日以降、日本の大多数の国民はすでに「地元」とはどこかについて直観的に肌で感じています。時代は3/11の前と後でまるっきり変わったのです。もうフランスがどうだとか、中国がどうだとかではない、福島において原発のシビア事故を経験したニッポンの国民にとっては「地元」がどこかなど議論の余地がないことなのです。そんなことを話題にするのは、原発から得られる利益を享受したい人たちだけです。どんなに原発推進をしてきた人たちが抵抗しても、その肌感覚は覆すことができないでしょう。

すなわち、「地元」あるいは「被害地元」とは日本全体です。原発の再稼働だけでなく、原発の存続の是非を決めるのは原発の周囲5キロとか10キロの何とか町や、その市町村がある県にとどまるわけがない。フクイチの核惨事がそれを証明したのです。しかもフクイチの事故は今まで起こった事故の中で最悪だったということに過ぎず、これから先、フクイチ以上の事故が起こって、何万人いや何十万人もの人々が急性放射線障害で死に至り、半径数百キロの範囲の市や町がどんな生物も住めない場所になる可能性は十分にあるのです。

百歩譲ってそんな原発の「地元」の範囲を現実的なところまで狭めるとしても数百キロになるでしょう。フクイチの核惨事とはそういうことだったということを原子力ムラの人間たちは認めるべきでしょう。それほどの大事故が日本で起こったということを。今までの「地元」と言われていた市町村、そして電力会社、原子力安全・保安院はそのことを正直に認めるべきです。もうあなたたちの都合のいいようには事は進まないのです。(今日の読売の社説を見ると、原発の再稼働問題について「冷静で現実的な議論が必要だ」と見出しをつけていますが、地元自治体の「反乱」を見て冷静でいられないのは原発推進に固執する読売新聞を含む彼らのほうではないでしょうか?)  



2012年04月17日

【政府対橋下市長】

市民・国民の不安を一向に真剣に受け止めようとしない政府に一撃をくらわせた橋下市長に政府・民主党が本性を見せ始めたようです。

『地域政党・大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長が、原子力発電所の再稼働問題で野田政権の打倒を宣言し、政府・民主党内に困惑の声が出ている。

 「選挙のマターとして、信を問う案件ではない」

 藤村官房長官(衆院大阪7区)は16日の記者会見でこう述べ、再稼働の是非をめぐる議論が過熱気味となっていることに懸念を示した。電力不足による経済への打撃などを考慮し、冷静に判断すべきだとの認識を強調したものだ。藤村氏は、大阪府・市が関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を認める前提として掲げた8条件についても「必要があれば様々な説明をしていく」と語り、丁寧に対応する考えを強調した。

 民主党内には「人気のある橋下氏と衆院選で直接対決する形だけは避けたい」との声も多い。同党の輿石幹事長が15日に橋下氏の政権打倒宣言に「受けて立つ」と応じたことについて、輿石氏に近い小沢一郎元代表のグループからも「大人げない」と不満が漏れた。輿石氏は16日の記者会見で「対決ではない。そんな発言をした覚えはない」と釈明に追われた。』(4月16日付読売新聞)


【問題を矮小化】

フクイチ事故に対する原因究明と真摯な反省、そして本気で国民の命を守るという意志を持たないままに、大飯原発を再稼働すれば政府と原子力ムラがなし崩し的に他の休止原発を次々と再稼働し、気が付いたら3/11前と何も変わらない原子力翼賛体制に戻り、次の大事故を無防備のまま待ち続けるということになるのは明らかです。

この問題を本当に真剣に考えるならば、誰しもが「民主党政権のやり方は危うい」と気が付き、橋下市長の主張に納得するでしょう。この原発再稼働問題というのは、藤村官房長官が言うような「選挙のマターとして、信を問う案件ではない」どころか、仙石氏が思わず口走った原発がなければ「日本が集団自殺」するのではなく、原発を稼働したがために「集団自殺」に追い込まれることになる国家非常事態とでも言える大問題なのです。

それを「信を問う案件ではない」と言う民主党政権は、多くの国民の支持が集まりつつある橋下維新の会を恐れ、出来るだけ問題を「矮小化」しようとする姿勢がありありとうかがえます。こんな姿勢だからこそ、今の政府は危機意識に乏しく、危ないのです。原発問題で国民の信を問うとする橋下市長の言葉はまっとうだと思うのは僕だけでしょうか?

それから自民党。原子力ムラの既得権益の前に原発の方向性について10年も議論しなければ結論が出せないというこの政党は、原発の在り方や安全性についてまともに信用できるとは到底思えません。政権党である民主党の影に隠れて過去の原発推進と安全軽視の姿勢が見えにくくなっていますが、民主党と同様、選挙で原発を争点にすれば自民党も同罪だということがはっきりするでしょう。

日本を破局の淵に追い詰めようとしている原発翼賛体制をどうするのか、しっかりと既存政党の愚に対して、選挙で信を問うべき時が来ていると僕も思います。  



2012年04月16日

【結論出ず】
一回くらいの訪問では結論は出せないでしょう。

『定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題で、枝野幸男経済産業相は14日、福井県庁を訪問し、西川一誠知事や時岡忍町長らに再稼働を要請した。枝野氏は政府が再稼働妥当と判断した経緯を説明したのに対し、西川知事や時岡町長は現時点での判断を保留した上で、「電力消費地の理解に責任を持って対応してもらう必要がある」と述べ、大阪市など関西圏の理解が必要との認識を示した。大阪市や滋賀県などは政府の再稼働に向けた性急な動きに反発を強めており、国は重い課題を突きつけられた格好だ。

【県庁前にはデモが】枝野経産相が福井入り

 枝野氏は知事、町長、田中敏幸県議会議長らと相次いで会談した。大飯原発の現行の安全対策や関電が9日提出した中長期の安全対策の実施計画(工程表)が、政府の策定した判断基準に沿っていると最終確認したことを報告。また、関電の全原発が停止し続けた場合、夏場の電力供給不足の割合が最大18・4%になるとの試算を示した上で「(原発を)引き続き重要な電源として活用する」と強調、再稼働の必要性を訴えた。枝野氏は、国が町民説明会を開催する方針も示した。

 これに対し、西川知事は「地元の努力がエネルギーの消費地に理解されておらず、それでは運転再開に県民の理解が得られない。原発の重要性をぶれることなく国民に説明してほしい」と主張。週明け以降に専門家を交えた原子力安全専門委員会を開き、技術的な安全性を議論した上で、町や県議会の判断を踏まえて再稼働の是非を判断する考えを示した。一方、時岡町長は「国の熱意は感じた」と一定の評価をした一方、原子力規制庁の早期設置などを要望した。

 会談終了後、枝野氏は記者団に対し、「まずは万が一の時に圧倒的に影響が大きい自治体に説明した。週明けに(京都府と滋賀県に)連絡して相談したい」と述べ、両府県にも政府から説明する方針を明らかにした。

 政府は今後、地元の一定の理解が得られたと判断すれば、野田佳彦首相と枝野氏ら関係3閣僚による会合を開き、再稼働を最終決定する。実現すれば、昨年3月の東日本大震災後に原発が再稼働するのは初めてとなる。北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)は5月5日に定期検査に入るため、大飯原発の再稼働がこれより遅れれば、国内の全原発54基が停止する。【小倉祥徳】』


【無為無策のツケ】

政府は、「地元の一定の理解が得られたと判断すれば」、再稼働を最終決定するとしていますが、「地元」と「一定の理解」を自分たちの都合のいい解釈で逃げることは許されないと思います。おそらく今までと同じように同意を求める「地元」とは立地自治体と限定し周辺の自治体は説明にとどめ、「一定の理解」とは何回かのやらせ的な地元説明会を行うことで得られたとして、最後には「政治判断」で強権発動をする魂胆でしょう。しかし、この原発問題が他の政治課題と決定的に違うのはそうすることによってフクイチのような事故が再び起これば日本が本当に消滅するかもしれないリスクを抱え込む国家の存立に関わる問題だということです。

再稼働を巡る混乱は、3/11以前の原子力ムラによる原子力翼賛体制で安全神話を醸成し国民を騙して原発を作り続けてきた上に、3/11以後もなんら抜本的な体制の見直しを行わずに無為無策のままに1年間をやり過ごしてきたツケが回ってきたことを意味しています。

これで見切り発車することは、許されないことです。政府は原発問題を性急に進めることは国家の破滅を意味するという危機意識を持って原子力ムラの解体、原発翼賛体制の抜本的な見直しを国民にすべての情報を開示しながら推し進めることしかないと腹をくくるべきだと思います。

夏の短期間の電力ピーク時の対策のために国家の破滅を招くような愚は避けるべきです。電力会社がすべての情報を開示し、国をあげてその短時間のピーク電力の対策を打てば解決できないことはない。その間に抜本的な改革を行うことでしか、多くの国民の納得は得られないことを肝に銘じるべきです。
  



2012年04月13日

【結論先送り】

何度会議を開いても根本的な考え方が誤っていては時間の浪費です。

『野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら関係3閣僚による第5回会合が12日夕、首相官邸で開かれ、定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題を協議したが、結論を先送りした。枝野氏は「何を議論しているのかも含めて、総合的に慎重に検討している途中段階という報告にとどめたい」として議論の詳細を明らかにせず、不透明さを残した。早ければ13日にも再度議論する。

 会合終了後に記者会見した枝野氏は「大変重要なことでもあり、さらに議論する必要がある。可能なら明日さらに議論したい」と述べ、慎重に協議を続けることを強調した。

 会合には藤村修官房長官、細野豪志原発事故担当相らが出席。経産省資源エネルギー庁が、9日の前回会合で示した関電管内の夏場の電力需給見通しをさらに精査した修正案を提示し、大飯原発を再稼働させる必要性があるかどうかを検討した。修正案の内容についても枝野氏は「詳細については報告できる段階にない」として明らかにしなかった。

 前回会合では、大飯原発の安全性について「おおむね判断基準に適合している」と結論を出していた。また、関電管内の電力需給については、今夏が10年並みの猛暑となった場合、供給力が19.6%不足するとの見通しも示していた。

 12日の会合では、原発を再稼働させなければ夏場の電力不足が避けられないと確認した上で、再稼働を妥当と判断するものとみられていた。』(4月12日付毎日新聞)


【許されない見切り発車】

この数週間の大飯原発の再稼働に向けた政府の動きが、「先ず再稼働ありき」ということは子供でもわかります。橋下市長が率いる大阪府市統合本部のエネルギー戦略会議から「再稼働に関する8条件」を突き付けられ、どうやったらウソの上塗りを国民に見破られずに再稼働できるか、非公開の会議を繰り返している野田政権。太平洋戦争末期にアメリカに追い詰められ、硫黄島や沖縄で無謀な特攻攻撃を繰り返した軍部や官僚が支配した大日本帝国の姿と極似してはいないでしょうか?
まさに、「日本原子力帝国」とでも呼べるような、国民の命をも顧みず、自らの保身のみに奔走する原子力ムラに操られる野田政権。

それで自分たちが自滅するだけなら勝手に自滅すればいいのですが、大飯の再稼働によってこれからなし崩しで他の原発の再稼働が行われ、根本的な原子力維持推進体制の見直しがさらに後退し、次のフクイチ事故を無為無策のまま招くことになれば、1億もの国民の命が果てしない放射能汚染にさらされることになるのですから絶対に許すことは出来ません。

今こそ、ひとりひとりの市民がツィッターでもいい、ブログでもいい、新聞への投書でも、テレビへの電話での抗議でもいい、政治家に対する直接の物言いでもいい、再稼働反対への声をあげることです。3/11前と決定的に違うのは、橋下氏のような原発に反対する政治家や孫正義氏のような経済人がどんどん声をあげていることです。絶対にあきらめないことが、子供たちの命を救うことになるのです。  



2012年04月11日

【怒りの8条件】

ここ数週間における大飯原発を何が何でも再稼働させようとする政府の茶番劇に、橋下市長が8つからなる再稼働のための条件を提示しました。

『大阪府と大阪市でつくる府市統合本部のエネルギー戦略会議は十日、大阪市内で会合を開き、関西電力の大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働などに際し、原発から百キロ圏内の自治体との安全協定締結など八条件を固め公表した。

 「独立性の高い原子力規制庁の設立」「使用済み核燃料の最終処理体制の確立」なども盛り込み、大飯3、4号機の再稼働に向け安全性を事実上確認した政府側には高いハードル。今後の政府の判断にも影響を与えそうだ。

 関電筆頭株主の大阪市の橋下徹市長は再稼働を急ぐ政府側の動きを批判。八条件提示の狙いについて十日、市役所で記者団に「有権者に政治的な判断をしてもらう材料だ。次の総選挙で判断してほしい」と説明した。

 八条件は(1)安全基準を根本から作り直す(2)新安全基準に基づく完全な安全評価(ストレステスト)の実施(3)電力需給の徹底検証-なども求めた。

 同市阿倍野区で開いた会合では、関電幹部も加わり関電の原発が再稼働しない場合の電力需給見通しなども再協議した。

 大阪市は三十項目以上の情報開示を求める質問状を二月に提出し関電と協議したが、回答内容が不十分だと判断。三月に再質問状を提出していた。再質問には、これまでに開示されなかった政治家のパーティー券の購入実績、役員ごとの報酬などが盛り込まれたが明らかにされなかった。』(4月10日付東京新聞)


【先ず自分の目で確かめよ】

橋下市長率いる府市統合本部のエネルギー戦略会議が示した再稼働の8条件は下記の「原発再稼働に関する八条件」をクリックすれば読むことができます。みなさん、先ずその内容を読んでみてください。野田首相や枝野大臣が進める再稼働に向けた動きがいかに欺瞞に満ち、本気で市民・国民の命を守ろうとしていないことが肌でわかると思います。まず自分の目でひとりひとりが確かめることが大事です。

「原発再稼働に関する八条件」・・・大阪府市統合本部エネルギー戦略会議から公表されたもの

ここに書かれた八条件は以下のとおりです。

1.国民が信頼できる規制機関として、3条委員会の規制庁を設立すること
2.新体制のもとで安全基準を根本から作り直すこと
3.新体制のもとで新たな安全規制に基づいた完全なストレステストを実施すること
4.事故発生を前提とした防災計画と危機管理体制を構築すること
5.原発から100キロ程度の広域の住民同意を得て自治体との安全協定を締結すること
6.使用済燃料の最終処理体制を確立し、その実現が見通せること
7.電力需給について徹底的に検証すること
8.事故収束と損害賠償など原発事故で生じる倒産リスクを最小化すること


これらの条件は、原発の再稼働を認める前に絶対に満たしておかなければならない最低必須条件だと僕も思います。8番目の倒産リスクの最小化などは関西電力のみならず原発を持つすべての電力会社が原発を持つことで抱えているとてつもない経営リスクのことであり、本来は電力会社が国にしっかりと働きかけるべき話です。原発の安全を過去何十年もないがしろにして、原発稼働による目先の利益ばかりを追い求め、事故による倒産リスクもほっぽり出して再稼働にまい進するのですから、電力会社の経営者は公益企業のトップどころか、普通の企業の経営者としてもまったく失格でしょう。

この8条件の前提として府市統合本部が挙げる「そもそも論」も拍手喝さいしたくなるような話です。政府を筆頭に原子力ムラの連中は、次のフクシマが起きたら日本は滅びるという危機感が欠如しているという点はまさにその通りだと思います。

大飯原発の周辺自治体である大阪だけでなく、日本全国の他の原発周辺自治体も大飯の再稼働は他人事ではありません。もっと危機感を持って、大阪や滋賀や京都と歩調を合わせて、各電力会社や政府を徹底的に追及すべきでしょう。今や、枝野大臣が自ら言ったように、原発の「地元」とは日本全国なのですから。日本国民であれば、当然の危機感です。
  



2012年04月10日

【アリバイ作り】

大飯原発の再稼働に向けて野田内閣はこれだけ慎重にやってますというポーズ作りだけに腐心しているように見えます。

『野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は6日夕、原発再稼働の関係閣僚会合を首相官邸で開き、運転再開を判断する新たな安全基準を決定した。政府は関西電力に対し、大飯原発(福井県おおい町)3、4号機について、新基準を踏まえた安全対策の実施計画を示す工程表の提出を要請。週明け以降の会合で、工程表の内容を確認した上で安全性を検証、電力の需給状況も考慮し、大飯原発の再稼働を判断する見通し。
 経産省原子力安全・保安院と原子力安全委員会は3月下旬までに、大飯3、4号機の再稼働に関するストレステスト(耐性評価)の1次評価結果を「妥当」と判断している。経産相らは新基準を踏まえ、全電源喪失の防止策に加え、東京電力福島第1原発事故並みの地震・津波でも燃料損傷に至らない対策を施しているか保安院に厳しく確認するよう指示した。』(4月6日付時事通信)


【中身のない新基準】

NHKのニュースウォッチ9でもやっていましたが、政府が発表した新基準というのは再稼働するためのアリバイ作りのような内容に終始しています。すでに実施済みの安全対策を言い換えただけの代物で、さも閣僚が真剣に討議しているようなポーズを何度も会議を開くことで取ろうとしているようにしか見えません。こんなことで原発立地の地元や国民全体の理解を得られるはずはありません。おそらく理解を得るつもりはなく、再稼働を強行しようとしているのでしょう。許せない暴挙だと思います。

では、再稼働すべきでない理由とは何か?それは今までの政府の安全に向けた取り組みというのは、次の大事故を起こさないためのフクイチの事故の教訓が生かされていないからです。そのフクイチの事故の教訓は以下の通りです。

1.原子炉には、放射能漏れを防ぐ壁がない。
2.メルトダウン事故に突入するスピードはきわめて速い。
3.日本の原子力専門家には大事故を防ぐ計算能力がない。
4.小さな地震の揺れでも配管が破損する。
5.日本では地震の活動期が数十年続く、世界的にも大地震が予想される。
6.津波の威力・破壊力は人知を超える。
7.原発事故には対策は存在しない。
8.フクイチの事故は収束できる見込みがない。
9.原子力安全・保安院はメーカーOBの欠陥集団である。
10.電力会社と自治体と国政は腐敗連合を形成してきた。
11.フクイチ事故の現場からは、とてつもない量の放射能が放出された。
12.フクイチ以外の原発も危機一発のところギリギリで助かった。


上記11の教訓は広瀬隆氏がその最近著書「第二のフクシマ、日本滅亡」(朝日新聞出版、P.101~143)で明らかにしているものです。
これに加えて、もし再びフクイチのような原発事故が起こったら再びその莫大な補償を巡って電力会社と政府が責任のなすりあいを行うことも目に見えており、事故の責任の所在もあいまいのままです。政府は、「再稼働後、福島第1原発のような重大事故が仮に起きた場合の責任には「政治責任は(首相ら)4人が負う」と言っているとのことですが、今まで責任を回避してきて、抜本的な対策も打てず、それでも再稼働すれば今度は出来ますなんて誰も信用していません。

今の原子力安全・保安院に安全を語る能力も資格もありません。再稼働を急ぐ前に抜本的に改革すべきことは山ほどあります。第二のフクイチを起こして国家が破滅に陥るようなことにならないためには、夏の電力ピークの問題や電力会社の一時的な赤字など国民の納得が得られない原発の再稼働に頼らずに乗り切るべきでしょう。それが政治の本物の責任です。
  



2012年04月09日

【シルエットのみの歌姫】

Youtubeにはシルエットしか出ていないのに、その圧倒的な歌声で俄然注目が集まっているようです。

『国籍、経歴など素性を一切明かしていない謎の女性シンガー、GILLEがメジャーデビューすることが3日、分かった。YouTubeにアップした邦洋のヒット曲を英語で歌うパフォーマンスが公開2カ月で累計再生数240万回という“大ヒット”。この人気に目を付けた20を超えるレコード会社が獲得に名乗りを上げ、ユニバーサルミュージックが正式契約した。いまだシルエットでしか姿を見せていない“謎の歌姫”。歌声だけでなく、その正体にも注目が集まっている。

 「Let my music be heard to the world」(私の音楽よ、世界に届け!)‐。たった一言のメッセージを添えたパフォーマンス動画でメジャーデビューという扉をこじ開けた。

 2カ月前、YouTubeに突然現れた謎の歌姫は、アデルの「Rolling In The Deep」、原田真二の「タイム・トラベル」などを英語でカバー。シルエットからも女性とみられるがその国籍、年齢など素性は一切明かされていない。

 ただ、そのパフォーマンスは圧倒的。ナチュラルな英語と洗練された歌声には、アクセスが殺到し、この日まで再生数は240万に達した。「ダイヤモンドボイス」とも称賛されているGILLEには、レコード会社からも問い合わせが殺到する事態に発展した。』(4月4日付デイリースポーツ)


【インターネット時代のグローバルデビュー】

Youtubeで有名になった歌姫と言えば、2009年に英国テレビの一般参加オーディション番組で「シンデレラ」のようなデビューを成し遂げた当時47歳のおばさんシンガー「スーザン・ボイル」でしょう。彼女を最初に見たときは、失礼ながらその容姿からは想像も出来ないような素晴らしい歌唱力に世界が息を呑んで、なんとYoutubeのクリック数は5千万回以上となったというから凄まじい注目ぶりでした。

そしてその後も様々な「インターネットの歌姫」が誕生してきました。今回は今までと違って動画サイトでのデビューながら、スーザン・ボイルさんとは違い、姿カタチはシルエットのみ。ただ、他の歌姫との共通点はその驚異的な歌唱力とインターネットを通じたグローバルでスピーディな話題性でしょうか。

果たして、本当の姿はどんな人なのか?ミステリアスな話題性が世界中の人を魅了しているようですね。興味津津です。みなさんも一度聞いてみませんか?

Youtubeの画像  「タイム・トラベル」(原田信二)/cover by GILLE  



2012年04月06日

【はじめに再稼働ありき】

結局、抜本的な安全対策などせずに再稼働にまい進していくようです。

『野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は5日夜、定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を巡り首相官邸で2回目の関係閣僚会合を行い、再稼働のために必要な安全性の判断基準を大筋で了承した。6日に再度会合を開き、基準の詳細な内容を協議、安全基準に照らして大飯原発の再稼働が妥当と判断できれば、来週にも枝野経産相が福井県を訪れ、西川一誠知事に対し再稼働を要請する。

 枝野経産相は協議終了後、記者団に対し、「大飯原発への当てはめも必要。関西電力にしっかり対応させないといけない」と述べ、大飯原発に追加対策を求める可能性を示唆した。

 この日了承した判断基準の骨子は、経産省原子力安全・保安院が福島第1原発事故の教訓を踏まえて作成した30項目の対策をもとに策定した。

 全電源喪失の進展を防ぐ電源設備対策や格納容器破損対策などの安全対策実施▽地震・津波が襲来しても燃料損傷に至らないことを国が確認▽さらなる安全対策の着実な実施計画が事業者により明らかにされていること--の3点が柱になっている。

 閣僚会合には藤村修官房長官、細野豪志原発事故担当相のほか、民主党の仙谷由人政調会長代行らが出席。枝野経産相は「文章表現がわかりにくいとの指摘があり、専門家以外にも理解が容易なように改める」と述べ、6日の協議でわかりやすい表現に手直しした安全基準を公表する方針を明らかにした。

 全国に54基ある原発のうち、北海道泊原発3号機(北海道泊村)以外は定期検査などで停止中。泊原発も5月5日から定期検査に入ることから、5月5日までに大飯原発が再稼働しなければ全原発停止の事態に陥ることになる。このため、大飯原発の再稼働に慎重姿勢を示す福井県の西川知事が求める暫定安全基準を定めることで、地元の理解を得る狙いがある。【丸山進、小倉祥徳】

 ◇政府が示した、原発再稼働に向けた判断基準の骨子

◆全電源喪失防止のための以下の安全対策の実施

 (1)発電所内電源設備対策

 (2)冷却・注水設備対策

 (3)格納容器破損対策

 (4)管理・計装設備対策

◆東京電力福島第1原発事故級の地震・津波が来ても、炉心や使用済み燃料プールの冷却を継続し、燃料損傷に至らないことを国が確認

◆事業者が以下の安全対策に関する実施計画を明示していること

 (1)原子力安全・保安院によるストレステスト(1次評価)で求められた事項

 (2)福島第1原発事故を受けた30項目の安全対策』(4月5日付毎日新聞)


【無為無策の末の官僚服従】

今回示された3つの基準というのは、昨年原子力安全・保安院が緊急に電力会社に要請した内容に今までの議論を整理しただけで、根本的な安全対策にはなっていません。この一年で抜本的な手立ては何も打たずに官僚の書いたシナリオどおりに「再稼働ありき」で駒を進めているとしか見えません。フクイチの事故原因は調査中で、新しい安全に関する組織は出来ず、「地元」の範囲も従来のままといったような従来のやり方でことを進めていては、国民の信頼を得るのは困難です。こんなことでは、次の事故は不可避でしょう。

さらに、藤村修官房長官は5日午前の記者会見で、政府が原子力発電所を再稼働させる方針を決めた場合の対応について、「何らかの法律などの枠組みで同意などが義務付けられているわけではない」と述べ、地元からの「同意」取り付けは必要ないとの見解を改めて示したそうですが、これもひどい話です。事故があれば最も被害を受ける地元の同意もなしに再稼働ですか?そんな権利が国のどこにあるんでしょうか?

橋下大阪市長の言うとおり、この政権はこんなことをやっていてはもたないでしょう。こんな「なにがなんでも再稼働」といったやり方を市民、国民である私たちは絶対に許してはいけません。ひとりひとりの命が今脅かされています。新聞社やテレビ局、原子力安全・保安院、内閣府、野田首相など安全をないがしろにして何が何でも原発の再稼働を目論む人たち、組織に対して、ツィッター、フェイスブック、電話、ファックス、なんでもかまいません。ありとあらゆる手段を通じて「再稼働は絶対に許さない」という声をあげましょう。

原発の問題は消費税や他の問題とは全く事の重大性が違います。何も行動しなければ、明日にでも自分たちがフクイチと同じ放射能汚染に晒されると思ってください。それほど緊迫した問題なのです。

今回の政府のやり方を許したら、これから従来と同じように原発が危険なまま稼働されていくことになると危惧します。
  



2012年04月05日

【再稼働へ】

大飯原発の再稼働に向けて国家の暴走が加速しはじめました。

『野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は5日、定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題を巡り、2回目の協議を行う。首相は3日の初会合で、東京電力福島第1原発事故の知見を反映した「暫定安全基準」を示すよう指示した。5日の会合では基準の妥当性と、大飯原発3、4号機が基準を満たしているかなどを検討するとみられる。

 首相は今後、会合を重ね、暫定基準をクリアしていると判断すれば、再稼働に向けた説明のため、早ければ来週にも枝野氏を地元自治体に派遣し、理解を得るための作業に入る。枝野氏は2日の参院予算委員会で、自身が説明に入る自治体について「原発の立地町とか立地県の意向はものすごく重要だ」と述べ、大飯原発の再稼働については福井県とおおい町に直接訪問する意向を示した。ただ、「事故の影響は全国に及び、そういう意味では日本全国が地元だ」とも述べており、理解を得る「地元」の範囲はあいまいなままになっている。

 一方、福井県に隣接する滋賀県、京都府には経産省原子力安全・保安院がこれまで説明に訪れている。これについて枝野氏は「県や政令市から説明を求められれば(保安院を)行かせる」と語り、他の自治体から要望があれば事務方に説明させる方針を示している。』(4月5日付毎日新聞)


【経産相のデジャブ】

つい前日に「再稼働に反対」と表明した舌の根も乾かない翌朝に「反対ではない」と前言を翻す枝野経産相の動きを見ていると、経産省という巨大官僚組織の猛烈な圧力が大臣にかかっていると想像できます。これは昨年、海江田前経産相が何度も苦悩の表情を浮かべてついには涙していたときとそっくりです。 「地元なんかどうでもいい、原発の安全なんていままで通りやってりゃいい、とにかく稼働原発がゼロになる前になんとしてでも大飯原発を再稼働するんだ!」という経産省や原子力推進を目論む原子力ムラ関係者の猛烈なチャージがそうさせているのでしょう。恐るべき暴走です。

こんなことで原発が今後も安全に運転できるのか?史上最悪の核惨事となったフクイチの事故原因も明らかになっていない今、一体何が安全なのか?とんでもない暴走国家です。百歩譲って再稼働が必要だとしても、少なくともしっかりしたフクイチの原因究明に基づいた原発を管理する政治、官僚組織、技術的枠組みなどの全面的な見直しを終えてからでしょう。これは、今度事故が起これば国家が破局の淵に立つかもしれない重大な事態なのですから。

橋下市長や京都府知事、滋賀県知事はしっかりと国の暴挙に「ノー」と言うべきだと思います。僕たち市民もしっかりと声をあげるべきだと思います。こんなことでは命は守れないことは明らかです。
  



2012年04月04日

【一代限り見直し】

博多の屋台は本当に生き残れるのでしょうか?

『福岡市の屋台の将来像を探る「屋台との共生のあり方研究会」の鳥越俊太郎会長は3日、営業許可を「原則一代限り」とする規制を撤廃し、公募制導入などを盛り込んだ提言書を高島宗一郎市長に提出した。市は近く、屋台共生推進本部(仮称)を設置して屋台の実態調査やルール違反の是正に努め、提言を踏まえた「屋台条例」制定の検討を始める。

 提言書は、既存の屋台で廃業者が出て後継者を選ぶ場合や、市の指定地域で新規参入者を募集する場合に公募制を採用するよう要請。業者による後継指名は営業権の売買などの問題が起きる恐れがあるため認めず、公募で第三者を交えた審査をして新たな許可を認めることを求めた。

 一方、市には、屋台従業員対象の講習会実施などを要請。屋台の公益性を認めると共に、ルール違反者への罰則を定めた条例の制定も求めた。』(4月3日付毎日新聞)


【鍵を握るのは経営者】

そもそもなぜ屋台の営業許可が「原則一代限り」となったのでしょうか?それは排水や悪臭、歩道の違法占拠などの問題が表面化したのがきっかけで、福岡市が2000年に「屋台指導要領」を制定し、その中で営業権を原則一代限りとする規則を盛り込んだからです。そして今回、高島市長が観光資源としての屋台を見直すとの方針を打ち出し、「屋台との共生のあり方研究会」という外部専門家を含む諮問機関を作って「原則一代限り」の撤廃を提言するに至りました。

僕は時々博多・中洲の那珂川べりにある屋台街を昼間歩くことがあります。「原則一代限り」の規制が敷かれる前はどれほどひどかったのかわかりませんが、今でも悪臭はするし、決して屋台の設置される場所がきれいになっているとは言えないと思います。

条例を作って行政が観光資源として屋台をバックアップするのはいいことかもしれませんが、結局屋台が本当に市民から愛され、観光の目玉になるためには、やはり屋台の経営者が自ら「原則一代限り」となってしまった原因を突き詰めて自らの姿勢を糾すしかないと思います。その原点がなければ、行政の努力もいづれ水泡と帰してしまうのではないでしょうか。屋台も含めて博多をこよなく愛する博多っ子としては、鳥越さんの今回の提言も複雑な思いで見ています。  



2012年04月03日

【「地元」の範囲】

原発の再稼働に対する同意を求める「地元」とはどこまでを指すのかが問題になっています。

『関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に関連して、政府が了解を求めるべき「地元」の範囲が大きな焦点になっていた。枝野幸男経済産業相は2日、京都、滋賀両府県知事の理解が前提との認識を表明。これに対し全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)会長の河瀬一治敦賀市長は「立地自治体が『地元』」と範囲拡大の動きをけん制した。了解の必要な範囲を隣府県に広げれば、再稼働に時間がかかるのは必至で、立地市町には戸惑い、反発の声がある。(原発取材班)

 再稼働をめぐっては、野田佳彦首相と関係3閣僚が3日に協議。その後、地元の理解を求める段階に入る。ただ、政府のいう「地元」の範囲は明確ではない。

 原発の防災対策の重点地域を国の方針より広い43キロまで設定する滋賀県の嘉田由紀子知事、大飯原発の半径30キロ圏内に約6万7千人が暮らす京都府の山田啓二知事は、いずれも「地元」に当たるとの立場。29日には安全性が確認できない状況での再稼働に慎重、反対の考えを示した。

 また、大阪府と大阪市でつくる府市統合本部エネルギー戦略会議は、原発から100キロ圏内の自治体と安全協定を締結するよう関電に求めることを検討している。

 一方、河瀬市長は2日の記者会見で「周辺(自治体)が福島の事故を受けて心配するのも理解できる。原子力災害があったときは日本全体が補償の対象地域」と語る一方で「(地元了解の)範囲が広すぎると収拾がつかない」と指摘。あくまで立地県と立地市町を「地元」とすべきだと強調した。

 県としても、原子力事業者と結ぶ安全協定の趣旨やこれまでの歴史的経緯から、「地元」は県とおおい町との認識。県の石塚博英安全環境部長は取材に対し「安全協定の趣旨に基づき、原発の安全や再稼働の是非について国や事業者をチェックするため暫定的な安全基準の提示を求めている」と説明した。

 ただ、おおい町の時岡忍町長は「町としては発言できる立場でなく、コメントは差し控えたい」とし、「地元」の範囲についても「国が決めること」とした。

 参院予算委の答弁で枝野経産相は、地元の範囲について「線引きはすべきでない」「より近いほど影響は大きく発言は重い」とする一方、両府県の意向も受け止めて判断する考えをにじませた。再稼働に向けた調整が長引くのは確実で、立地市町には「政府は本当に再稼働させるつもりがあるのか、真意が分からない」といぶかる声も出ている。』(4月2日付福井新聞ONLINE )


【「地元」とは日本全体】

正直言って、今ごろ何を言っているのかと言いたいです。昨年の3月11日以降、日本の大多数の国民はすでに「地元」とはどこかについて直観的に肌で感じているのではないでしょうか。時代は3/11のbefore/afterでまるっきり変わったのです。もうフランスがどうだとか、中国がどうだとかではない、原発のシビア事故を経験したニッポンの国民にとっては「地元」がどこかなど議論の余地がないことなのです。そんなことを話題にするのは、原発から得られる利益を享受したい人たちだけです。どんなに原発推進をしてきた人たちが抵抗しても、その肌感覚は覆すことができないでしょう。

すなわち、「地元」とは日本全体です。原発の再稼働だけでなく、原発の存続の是非を決めるのは原発の周囲5キロとか10キロの何とか町や、その市町村がある県にとどまるわけがない。フクイチの核惨事がそれを証明したのです。しかもフクイチの事故は今まで起こった事故の中で最悪だったということに過ぎず、これから先、フクイチ以上の事故が起こって、何万人いや何十万人もの人々が急性放射線障害で死に至り、半径数百キロの範囲の市や町がどんな生物も住めない場所になる可能性は十分にあるのです。

百歩譲ってそんな原発の「地元」の範囲を現実的なところまで狭めるとしても数百キロになるでしょう。フクイチの核惨事とはそういうことだったということを原子力ムラの人間たちは認めるべきでしょう。それほどの大事故が日本で起こったということを。今までの「地元」と言われていた市町村、そして電力会社、原子力安全・保安院はそのことを正直に認めるべきです。もうあなたたちの都合のいいようには事は進まないのです。  



2012年04月02日

【最大34メートル】

なんと、最大で34メールの津波の恐れがあるということです。

『内閣府の有識者検討会は31日、西日本の太平洋沖にある海底の溝「南海トラフ」で巨大地震が発生した場合の震度分布と津波高に関する推計結果を公表した。東日本大震災と同等のマグニチュード(M)9.0規模の地震が発生した場合、10県153市町村で震度7を記録すると予想。また、高知県黒潮町の34.4メートルを最大に、6都県23市町村で満潮時に20メートル以上の津波が起こると推計するなど、関東から四国、九州地方にかけての極めて広い範囲が大きな揺れと津波に見舞われる恐れがあるとしている。
 原子力発電所関連では、静岡県御前崎市の浜岡原発付近で、最大21.0メートルの津波が発生すると推計した。
 南海トラフの巨大地震は、近い将来発生する可能性が高いと指摘されており、政府の中央防災会議は2003年、M8.6だった宝永地震(1707年)をモデルに震度や津波を予想した。しかし、東日本大震災で想定を超える災害が発生した反省を踏まえ、検討会が昨年8月から見直し作業を進めていた。』(4月1日付時事通信) 


【これでも原発を動かすのか?】

内閣府の有識者検討会といえば、まさに政府からお墨付きを得ている検討会ですから、原発を推進している経済産業省と同じ「政府」そのものです。そこが南海トラフ地震の可能性について昨年の東日本大震災の結果を踏まえて再検討したのが今回の予測です。これは一体何を意味するのか?

対象となった地域の防災対策の見直しを早急にすることが必要なのは言うまでもありません。その中でも特に、対象となった地域の中にある浜岡原発と伊方原発は即刻廃炉にすべきでしょう。もう防潮堤を作るといった対応では原発の安全性が保てないのは明らかです。したがって、現在十数メートルの防潮堤を突貫工事で作っている中部電力は即刻工事を中断して地元の市町村と静岡県知事と再度協議して、浜岡原発の廃炉に向けた動きを始めるべきです。
四国電力は、これほどの大津波と巨大地震に伊方原発は耐えられないことを素直に認めて伊方原発の廃炉に向けて地元と話し合うべきです。
これらは一刻の猶予も許されないと思います。南海トラフ地震はいつ来てもおかしくないと言われているわけですから、原発の廃炉だけでなく、廃炉後の使用済み核燃料の厳重保管に早急に取り組むべきでしょう。津波や地震によってフクイチの4号機のように使用済み燃料プールが崩壊寸前になれば稼働原発よりも悲惨な状況になるからです。

今回の予測のように超巨大な地震や津波のリスクがとてつもなく大きい日本では、原発の立地というのはあり得ないということが改めて日本人ひとりひとりに突きつけられたということです。これは、ある意味日本人にとって生き残るための最後のチャンスかもしれません。

  



2012年04月01日

「フクシマ・アーカイブ」21日目。1年前の4月1日の報道で、東京電力の株価が連日ストップ安を繰り返し、とうとう上場来の安値である393円に近付いたと伝えていました。その時点で東電の株式時価総額は2011年3月10日の約3兆5千億円から7千4百億円に暴落しました。
1年後の今、東電の実質国有化が現実のものとなり、株価は208円ほどとなっています。破たんはしていないので株券は紙くずにはなっていませんが、原発事故というものが電力会社にとっていかにリスクが高いかが企業価値を計る株価でも明確にわかります。


電力は今日々の暮らしに欠かせません。でも考えてみればたかが電力です。電力のために、一度事故を起こしたら悪魔のように暴れまわる放射性物質を鎮めるのは至難の技で企業の存立まで脅かすようなとてつもないリスクになぜ電力会社という一私企業が向き合わなければならないのでしょうか。

東電は言うに及ばず他の電力会社の経営陣も今一度しっかりと考え抜く必要があると思います。目の前の赤字に目がくらんで、本気で原発の安全対策を施すこともしないならば、国民も市場もそんな電力会社の傲慢にもリスクにもはっきりと「NO」を突き付けるときがくるでしょう。


以下は、2011年4月1日の僕のブログ記事です。

【連日ストップ安】

東電が市場でも奈落の底に落ちています。

『東日本巨大地震で原発事故を起こした東京電力に対する市場の評価が厳しさを増している。

 株価は連日ストップ安を繰り返し、社債の利回りも上昇(価格は下落)している。被災者への損害賠償額の規模が不透明で、東電の経営の先行きが見通せないことが原因だ。

 ◇ストップ安

 30日の東京株式市場で、東京電力株(東証1部)は値幅制限の下限となる前日比100円安の466円まで売られ、3日連続のストップ安で取引を終えた。株価の500円割れは1962年12月28日(499円)以来、約48年ぶり。東日本巨大地震の前日の10日には終値で2153円あった株価は、わずか約3週間で旧商法時代の額面価格である500円も下回って下落し、1951年に付けた上場来安値(393円)に近づいている。

 この結果、東電の株式時価総額は、10日時点の3兆4599億円から、30日は7488億円まで縮小。企業価値が8割近く失われた計算だ。』(3月30日付読売新聞)


【原発の怖さ】

今回の福島第一原発の事故は、「想定外」の地震と津波が直接の引き金だったとはいえ、原発周辺に住む方々はもちろん、近隣県、首都圏、さらには日本全国、世界まで放射能の恐怖をまき散らし続けています。それだけではありません。当然のことではありますが、電力会社の存在そのものを脅かし続けています。東電は今企業価値はなくなり、存続そのものが風前の灯です。

電力は今日々の暮らしに欠かせません。でも考えてみればたかが電力です。電力のために、一度事故を起こしたら悪魔のように暴れまわる放射性物質を鎮めるのは至難の技で、企業の存立まで脅かすようなとてつもないリスクになぜ電力会社という一私企業が向き合わなければならないのでしょうか。

東電は言うに及ばず他の電力会社の経営陣も今一度しっかりと考え抜く必要があると思います。ただ、国策だからと推進してきた原子力発電を経営のリスクという観点から見直し、国と真剣にリスクの取り方について議論すべきでしょう。

これほどの大災害が原発で起こった以上、今後政府や電力会社がいくら声高に「地球温暖化のために」「クリーンなエネルギー」として原発を増やしましょうと叫んでも、このとてつもないリスクを担保するには莫大な保険・再保険が必要となって、経済原理からますます外れ、事実上市場から原発そのものが締め出される可能性が高まっています。当然の帰結でしょう。現代資本主義社会では経済原理が社会の最も基本的な行動原理なのですから。アメリカで原発建設がなかなか進まない最大の原因は、この市場原理にあります。日本では東電が今回その最初のケースになったと思います。
  




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