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2012年02月07日

【こうもりの大量死】

1月30日号のタイム誌の「健康と科学」欄に掲載された「こうもりの警告」("Bat Signal")という記事が目に止まりました。

Bat Signal. Bats are dying in record numbers, heralding a real problem for people.

「こうもりの警告 こうもりの大量死が人間にとって重大な問題を告げている」

【カビと蝙蝠】

U.S.Fish and Wildlife Serviceの調査によると、2006年以来米国北東部とカナダで、蝙蝠が約570万から670万羽も大量死していることが判明したそうです。この大量死は2009年に推定されたときの5倍から6倍にも達するもので、野生生物の研究者が従来考えていたよりも相当ひどい状況だとタイム誌は伝えています。一体蝙蝠たちに何が起こっているのでしょうか?

それはwhite-nose fungusという一種のカビが蝙蝠に付着して彼らの命を奪っているからです。問題は蝙蝠だけにとどまりません。メスの蝙蝠は繁殖期には大量の昆虫を捕食するのですが、蝙蝠が激減すればそれらの昆虫が今度は大増殖する、そうなるとペストなどが繁殖して生態系を破壊し人間にまで影響が及んでくる可能性が高まるというのです。

以前、ハチが原因不明の大量失踪をすることが世界的に大問題になり、未だに解決されていませんが、この蝙蝠の大量死も今のところ解決策はないようです。一体地球全体に何が起ころうとしているのでしょうか。
  



2012年02月03日

【海氷による寒気】

最近の天気は地球温暖化というより、気候変動というほうが適切だと思われます。

『海洋研究開発機構は1日、北欧3国とロシアに面する北極圏のバレンツ海の海氷が少ない冬は低気圧が北寄りに進み、シベリア高気圧が拡大して強い寒気が形成され、日本が厳冬になる可能性があることが分かったと、発表した。2005~06年の「平成18年豪雪」や今冬の寒波・大雪も説明できるという。研究成果は米国気象学会発行の専門誌に掲載された。
 日本の厳冬は低緯度のラニーニャ現象(太平洋赤道域東部の海面水温が低い現象)と高緯度の北極振動(北極圏などでの気圧変動)が関係するが、今冬は両現象だけでは説明が難しいという。
 海洋機構が気象データを解析したところ、バレンツ海の海氷面積が少ない時は、低気圧が平年より北の北極海上を通過していることが判明。その結果、低気圧が持つ暖かい空気が南のシベリア大陸にまで流れ込まないため、高気圧が北極海沿岸まで拡大する。その後、強い寒気が形成され、日本に来襲するという。』(2月2日付時事通信)


【今冬一番の寒気】

昨日から今日にかけて日本列島はこの冬一番の寒波に見舞われました。気象庁によると、昨日から北日本の上空約5000メートルに氷点下42度以下の寒気が流れ込む冬型の気圧配置になっており、北日本から西日本にかけての日本海側では今日もかなりの降雪が強まっています。東北・北陸地方の積雪は例年よりもかなり多く、福岡でも今日の朝は氷点下になって平野部で5センチ、山間部では10センチ近い積雪になるとの予報が出ていました。

海洋機構が発表したようなバレンツ海の海氷面積が日本の厳冬に影響しているとしたら、今回の寒波もそのひとつかもしれません。人間はどうしても日々の気候の変化は敏感にわかっても、5年や10年単位の気候の変動は感じにくいし、すぐに忘れてしまうというのが一般的な感覚ではないでしょうか。しかし、昨年までの異常な夏の暑さに加えて、最近の厳しい冬の寒さも何年も続くようであれば、誰もがいよいよ気候変動の猛威が身近に迫ってきていることを実感せざるをえなくなるかもしれません。
今後は、たとえ長い時間がかかろうとも中朝的な気候変動に対する対策はしっかりと立てていかなければ取り返しのつかないことになるでしょう。

≪参考≫

・ バレンツ海の海氷減少がもたらす北極温暖化と大陸寒冷化 - 海洋研究開発機構(2月1日)
  



2011年05月24日

【孫氏、動く】

ほんの少しではありますが、日本にも希望の光が見えてきました。

 『東日本大震災と福島第1原発事故の発生以降、原発依存からの脱却を訴えているソフトバンクの孫正義社長が、全国10カ所に大規模太陽光発電所「メガソーラー」を建設する検討に入ったことが21日分かった。

【大阪府も】脱原発にメガソーラー検討 広域連合で提唱へ

 関係者によると、「脱原発」構想を掲げる橋下徹大阪府知事が孫氏に共鳴。これをテコに孫氏は7府県でつくる関西広域連合などと連携。総額約800億円を投じて、1施設当たり1万~5万キロワットのメガソーラーを建設したい考え。事業費については、各自治体にも一部負担してもらうよう要請する方向だ。

 埼玉県の上田清司知事は21日、県内で記者団の取材に応じ、孫氏側が79億円、県など地元自治体が1億円をそれぞれ負担して、80億円の事業費でメガソーラーを建設する計画を進めていることを明らかにした。発電能力は約2万キロワット以上という。』(5月21日付毎日新聞)

【「狂気の沙汰」に挑む】

3月11日にもしかしたら日本だけでなく世界が終わっていたかも知れない福島第一原発の核惨事。あの日以降もまだまだ水素爆発や再臨界の危機は去っていませんし、依然として1号機から4号機の破壊された建屋からは放射能が放出され続けて、福島周辺の空気と土地と水と海水を汚染し続けています。

れほどの事態を経験しても未だに原発依存から抜け出そうとしない原発メーカー、経産省をはじめとする官僚組織や電力会社、そして原発に関わる学術関係者。それらの勢力に支えられた政治家たち。

自分たちの利益のためには国家が破滅しようと、子供たちの健康が脅かされようと、地球環境がどうなろうと一顧だにしない人たちに何度訴えても無駄かもしれません。それよりも、孫さんのように別の切り口で彼らに方向転換を迫って行く方が賢明なのかもしれません。そのひとつが今回のような事業計画の実現でしょう。まっとうな事業家やまっとうな政治家、まっとうな市民が、反対運動ではなく、新たなエネルギー事業によって既得権益集団の方向転換を促す、すばらしいことだと思います。こういう動きが功を奏するかどうかは市民の支持、そして天然ガスや自然エネルギーが今後市場原理に乗るかどうかにかかっていると思います。孫さんや橋本知事には是非頑張ってほしいです。  



2011年03月09日

【深海温度上昇】

海の奥深いところでも温度の異常が起きているようです。

『深さ3000メートル以深の海水温が地球のほぼ全域で上昇していることを海洋研究開発機構が突き止め、5日付の米地球物理学誌で発表した。年間の貯熱量は、国内の全エネルギー消費量に換算して25~65年分に匹敵した。地球温暖化が原因とみられる。海水温の上昇は、海流の変化や海面上昇をもたらし、地球規模での異変につながる恐れがあるため、観測強化が急がれそうだ。

 09年までの10年間、海洋地球研究船「みらい」などを使って世界各地の海水温を測り、90年代の記録と比較。南極海を中心に深層の水温が10年間で最大0・077度上昇していることが分かった。地球の平均気温は100年間で0・7度上昇したが、もし深海の貯熱効果がなければわずか1年で気温を0・2度押し上げた恐れがある。

 原因として、温暖化で南極周辺の海面近くの水温が上昇したために、本来深海に沈み込んでいた氷になるような冷水の量が減り、海洋大循環で地球規模に広がったことが考えられるという。今後、深海のこれまで温暖化を和らげてきた「クッション役」が継続するのか注視する必要がある。』(3月4日付毎日新聞)


【深刻化する地球温暖化】

地球温暖化のメカニズムに関して素人にはなかなか事の重大さはわかりにくいのですが、地球のほぼ全域の3千メートル以上もの深海で海水温が上昇しているというのは現象面だけ捉えてもかなり深刻な事態だというのが僕らにもわかります。記事にあるように極地の温暖化によって深海に浸みこんでいくべき冷水の量が減り、海洋の大循環のサイクルが大きな異変を起こしているというのが科学者の見方のようです。

すでに温暖化の影響が海の奥深いところまで来ているとすれば、これはもう取り返しのつかないところまで来ているのではないかとの懸念が高まります。短期的に見てもここ数年から10年の期間に世界各地で起こった干ばつ、洪水、山火事、ハリケーンなどの自然災害の大規模化の少なからぬ原因は地球温暖化の進行にあると言われていますが、中長期的に見ても地球温暖化が関係していると見られる深海温の上昇はさらに大きな異変を地球全体にもたらすことになるのでしょうか。  



2010年12月15日

【閉幕】

何も決まらずに閉幕してしまいました。

『国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)は最終日の10日夜(日本時間11日午前)から11日未明(同午後)にかけて全体会合を開き、2012年末で期限が切れる京都議定書後の温暖化対策の枠組み(ポスト京都)について「できるだけ早い作業完了を目指す」とした議長案(カンクン合意)を採択して閉幕した。ポスト京都の合意を事実上、南アフリカ共和国で来年開かれるCOP17に先送りした形だ。
 ただ、カンクン合意には、途上国による温室効果ガス排出削減を促す新たな検証制度や支援基金の創設を明記。また、昨年のコペンハーゲン合意に基づき、先進国と途上国が示した削減目標・行動に締約国全体で留意することに言及するなど、京都議定書で削減義務のない米国や中国にも一層の削減を求める内容となった。
 最大の焦点だったポスト京都をめぐっては、新興国・途上国が、排出削減義務を先進国にだけ課す京都議定書の延長を主張。これに対して日本政府は、現在の議定書の単純延長に当初から強い反対姿勢を表明。先進国と新興国・途上国との対立は最後まで解けず、条件付きで延長を容認する欧州連合(EU)の思惑も絡み、最終的に主要議題での合意を先送りすることで決着した。日本政府は米中を巻き込む方向性を出せたことで、「納得できる内容」と評価をしている。』 (12月11日付時事通信)


【先送り】

京都議定書の期限は2012年末。もし次回の会合であるCOP17でポスト京都の合意が出来なければ今まで積み重ねてきた地球温暖化防止の国際的枠組みは流動化してしまう可能性が高い。行きつく先は地球全体の気温上昇がもたらす様々な被害の拡大、そしてそれらの対策コストの増大、その先には各国の対立の先鋭化、紛争の拡大といった負の連鎖であろう。負の連鎖が回避できる時間はもうあと数年しかないのだ。

もしかしたら、いや、すでに地球温暖化が自動的に進行してしまう「ポイント・オブ・ノーリターン」は通過してしまっているのかもしれない。そう、手遅れかもしれないのだ。それでも最悪のシナリオを出来るだけ回避する責任は今の世代の人類にかかっている。

人類に本当に「英知」はあるのだろうか?目の前の利害対立が、その「英知」を踏みにじり後戻りの利かない世界に地球上の生命すべてを追い詰めようとしている。  



2010年11月29日

【踊らない会議】

会議がもう目前と言うのに昨年とは打って変わって世界からは一向に注目されていないようです。

『地球温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が29日、メキシコで開幕する。京都議定書に基づく削減期間が12年末で切れるのを踏まえ、新たな枠組みづくりが主要議題となる。事前交渉では、議定書の枠組み延長論が浮上し、日本は、米国や中国など主要排出国が削減義務を負わない現行枠組みでは実効性が乏しいと反対する。松本龍環境相は12月7日からの閣僚級会合の前から現地入りし各国に理解を求める。

 日欧は米中を枠組みに加えるよう主張するが、中国は排出削減義務が経済に悪影響と反発。米国も参加に消極的で、これまでの事務レベル交渉は空転した。このままでは13年以降に削減目標がない空白期間が生じるとして、途上国を中心に現行枠組みを延長する声が強まり、日本は孤立しかねない状況になっている。

 議定書で削減義務を負う国の排出量が世界全体の27%で、米中不参加の枠組みは日本の産業にとって国際競争で不利になる。松本環境相は「議定書延長が世界全体で二酸化炭素を減らすという目標につながると思えない」と話す。』(11月27日付毎日新聞)

【遠のく合意、高まるリスク】

COP15が残した傷は深く、京都議定書に基づくCO2の削減期限が12年末に迫る中、世界各国を巻き込んだ実効性のある新たなCO2削減策が合意される可能性は極めて低い。これが世界の現実なのだ。

多くの科学者が危惧する地球規模の危機を回避しなければならないという総論には賛成しながらも、どこの国がどれだけ削減するかという各論に入っていけばいくほど各国の政治的思惑や自国の利害の前に一歩も進めなくなるという現実。

3年、5年先のリスクならば回避する術を持ち得ても、10年、20年先のリスクには目をつぶってしまう人間の愚かさ。他人の批判をすることには熱心でも、大きなリスクを冒して自ら行動することには躊躇する愚かな人間たち。

最も想像力を働かせて、今こそ立ち上がるべきときに何もなしえない人間たちには、この気候変動の危機を乗り切ることは本当に困難なことなのでしょうか。注目されないからこそ、今年のCOP16の帰趨をしっかりと見ておくべきだと思うのは僕だけでしょうか。  



2010年11月26日

【過去最高】

恐れていた現実がひたひたと忍び寄ってきているようです。

『世界気象機関(WMO)は25日までに、二酸化炭素(CO2)など地球温暖化の原因になる温暖化ガスの世界平均濃度が2009年に過去最高を記録したと発表した。特に温室効果が大きいとされるメタンは3年連続で高い伸びとなったが、WMOは「原因は十分に分かっていないため、今後の見通しははっきりしない」としている。

 WMOは世界各国の地上観測点や船舶、航空機などを利用し、温暖化ガスの大気中濃度を測定、年平均値を求めた。

 年報によると、09年のCO2濃度は386.8PPMで前年より1.6PPM増加。メタンは1803PPBで前年より5PPB、一酸化二窒素は322.5PPBで同0.6PPB、それぞれ増えた。産業革命前に比べ、現在の大気中濃度はCO2が38%、メタンが158%、一酸化二窒素は19%高くなっている。

 メタンの増加原因は詳しく分かっていないが、07年の北極地域の異常高温で永久凍土が溶け出し地中から大量に放出されたことや、07~08年の熱帯地域の多雨でメタン主要発生源となる湿地が拡大したことが影響していると考えられるという。』(11月25日付日経新聞)

【悪循環の悪夢】

昨年12月のCOP15が失敗に終わってからほぼ1年が経過して、世界のメディアから地球温暖化や気候変動のニュースがめっきり少なくなりました。一体、COP15前の騒ぎが何だったのかと思わせるほどです。もちろん、それはCOP15開幕の1か月位前から気候変動を支持する学者グループが地球温暖化の事実を歪曲したことがその多数の交信メールから発覚したとする、いわゆる「クライメートゲート事件」が起こったことで、IPCCの権威が著しく傷つけられたばかりか、その後のCOP15の議論にも少なからぬ影響を与えたことも関係しています。

しかし、人間がどんなに疑心暗鬼に陥ろうと、対策を取ろうと取るまいと、今回のWMOの発表に見られるように恐ろしい現実が刻一刻と地球上のすべての生命に降りかかってこようとしていることを忘れてはいけないと思います。

それは、いわゆるポジティブ・フィードバックと呼ばれる悪循環がすでにいくつか現実に始まっているという事実です。その意味を簡単に言うと、ひとつのきっかけが次の温暖化を招き、さらにその事態が温暖化を加速させる事態を招いて、もう人間にはどうすることもできないところまで来ているということです。いくつかあるポジティブ・フィードバックのうちのひとつがメタンの急激な増加でしょう。それが現実のものとなりつつあることを今回の報告は示しています。

比較的地球温暖化の変化が見えにくい日本でも、今後さまざまな影響が各地で報告されてくるでしょう。再び世界が「今そこにある危機」として地球温暖化を捉え、途上国と先進国が対話のテーブルにつくことを切に望みます。  



2010年11月22日

【異常高温の原因】

今年の夏の暑さは本当に異常だった。もう何十年にもわたって異常気象が続いているので、多くの人が無頓着になっているのだが、それにしても今年はまれにみる異常な夏の暑さだったことは論をまたないだろう。その原因についてある研究所から発表がありました。

『今年の日本の夏(6~8月)が気象庁の統計が残る過去113年間で最も暑かった要因について、スーパーコンピューターで再現実験を行ったところ、過去約30年間の長期的な海面水温上昇が高温原因の2割強を占める結果となった。東京大大気海洋研究所が19日発表した。
 気象庁の異常気象分析検討会長でもある同研究所の木本昌秀教授は「長期的な温暖化の『底上げ』分がなかったら、猛暑はここまでひどくなかった」と説明。長期的な海面水温上昇の原因の半分以上は、温室効果ガスの排出など人為起源とみており、排出量削減などの努力が必要としている。』(11月19日付時事通信) 


【本当におかしい】

データの上で出てきた結論はそれなりに尊重すべきだと思う。でもそれと同時に「なにかおかしい」と感じる普通の人たちの皮膚感覚も無視してはいけない。僕は気候変動や海水温の異常などについてはまったくの素人ではあるけれども、一介の釣り人として海の異常についての「ある皮膚感覚」を大事にしている。

身近な海の中がおかしいという話は、仲間の釣り人や遊魚船の船長たちからも幾度となく聞いている。また自分自身も釣りをする中で最近思うことだ。それが地球温暖化の影響かどうかは学者ではないのでわからないが、少なくとも21世紀になって、ここ10年くらいの近海の変化は尋常ではないような気がするからだ。

まず、1年を通じて季節ごとに釣れていた魚が釣れなくなった。秋から冬にかけての海水温が高いと感じる年が多くなった。今年はその最たる例だ。

果たして海水温は高くなっているのだろうか?そしてそれは人為的なものなのだろうか。僕ら、ただのサラリーマンはそうではないことを願うばかりだ。  



2010年11月04日

【難航の末】

難航の末になんとか合意にこぎつけたようです。

『名古屋市で開催中の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は最終日の29日夜から30日未明にかけて全体会合を開き、途上国と先進国との対立が続いていた生物遺伝資源の利益配分ルール「名古屋議定書」を全会一致で採択した。議定書は、途上国、先進国双方の主張に配慮した「議長案」として松本龍環境相が同日朝に各国に提示したもので、最終的に193のすべての締約国・地域から支持を得た。同条約が1992年5月に採択されて以来の懸案だったルールづくりが実現した。
 18日開幕の同会議で最大の焦点となった議定書をめぐっては、生物遺伝資源による新薬開発などで得られた利益について、より多くの還元を求める途上国側と、先進国側とが対立。特に途上国側は、新ルールの適用を議定書発効前にさかのぼり、植民地時代に持ち出された資源で開発された新薬なども利益還元対象とすることなどを要求。交渉は難航を極め、議長の松本環境相が事務レベル交渉の期限とした28日中にも合意に至らなかった。
 このため、松本環境相は、ルール適用時期を議定書発効後に限定して先進国側に配慮する一方、途上国側の主張に沿って利益還元の対象を遺伝資源の「派生物」に拡大することなどを盛り込んだ議長案を作り、29日午前に各国に提示した。議長案は途上国側の譲歩を引き出すため、資金援助の必要性も言及。日本政府は議定書採択を前提に10億円の追加支援も表明した。
 しかし、議長案に対する支持が広がりつつも、全体会合は採決の方法などをめぐって紛糾。30日未明になって採択にこぎつけた。
 このほか、2020年までの生態系保全計画を定める「ポスト2010年目標」についても採択された。その内容は陸地の17%、海域の10%をそれぞれ保護区とすることなどで、「愛知ターゲット」と名付けられた。』(10月30日付時事通信)


【車の両輪】

しかし、合意には至ったもののCOP10を実効性のあるものにするためにはこれからが本当の勝負となります。何が勝負か?

みなさんもご存じのとおり、生物多様性とは地球上に住む3000万種とも言われる生物のバランスをとることですが、そのためには地球環境の保全と密接に結びついたものでなければなりません。だからこそ、1992年にリオデジャネイロで開かれた地球環境サミットの翌年の1993年に真っ先に「生物多様性条約」が結ばれたのです。これは「気候変動枠条約」に先立つものです。

そして昨年12月のコペンハーゲンで暗礁に乗り上げた感のあるCOP15、気候変動枠組条約が取り組もうとしていた先進国と途上国が一体となったCO2削減、地球温暖化防止が地球の気候の破たんを招く前に実効性のある形で合意され、実施されていかなければ、生物多様性条約単体では人間を含む地球上の生物の多様性は守れないのです。

生物多様性条約と気候変動枠組条約。これは車の両輪として、今地球の生命と環境を破滅の淵に追いやろうとしている人間が地球に対して果たすべき義務であり、ここが勝負なのです。

とりあえずはまとまりましたが、これからもこの二つの条約の行方に注意しておく必要がありそうです。

それにしてもおらが町の福岡の国会議員松本龍氏が議長として頑張ったのはちょっぴり嬉しいですね。  


2010年10月22日

【人口爆発】

世界中に億単位の人間がひしめいている。

『国連人口基金は20日、2010年版世界人口白書を公表した。

 それによると、世界の総人口は、昨年より7930万人増えて69億870万人。世界最大人口を抱えるのは中国で13億5410万人、次いでインドの12億1450万人、米国の3億1760万人と続き、日本は昨年より20万人減って1億2700万人で10位だった。

 2050年の人口見通しでは、アジア、アフリカなどの発展途上国、最貧国の大幅な人口増加により、世界総人口は91億5000万人になる。インドの人口16億1380万人は、14億1700万人の中国を抜いて世界最大となり、日本は1億170万人で17番目に落ち込む見通しだ。

 地域別に見ると、日本同様に少子化に悩む欧州だけが、2010年の7億3280万人から6億9100万人に減少する。』(10月21日付読売新聞)

【危機の構造】

今、この地球上には人間との関わりの中で様々な問題が次々と起きている。地球温暖化、生物多様性の喪失、資源枯渇、環境破壊、貧困の増加、数え上げればきりがないほどだ。そしてこれらの問題の原因をたどっていくと人間そのものにぶち当たる。そう、人間が地球上に増えすぎていることが、今地球が抱える問題の根本原因だということが見えてくるのだ。

増えすぎた人間は、自分たちの生存のために、鉱物資源や食糧を奪いあい、資源を浪費し、環境を破壊し、他の生物たちの生存を脅かす。

有限な地球環境で、増殖しつづける人間は地球にとっては、まるで人間の体の中で増殖して人間自身を破滅させるガン細胞のような存在なのかもしれない。

40年後に人口が91億人に達する地球は、いったい人間を含む生物にとってどんな環境になっているのだろうか。  



2010年10月18日

【ついに消失?】
富士山の永久凍土が今年ついに消滅したようです。

『富士山の南斜面から地表近くの永久凍土が消滅したとみられることが、静岡大の増沢武弘教授(植物生態学)らの調査でわかった。

 16~17日に開かれる富士学会で発表する。

 静岡大と国立極地研究所(藤井理行所長)は共同で1976年から、南斜面の標高2500メートル以上の約100か所で測定した地中温度を分析し、永久凍土の分布状況を推測している。

 増沢教授によると、地下約50センチで永久凍土が存在する下限は、76年に3200メートル付近だった。98年は3300メートル付近に上昇し、2008~10年の調査で初めて下限が確認できなかった。

 気象庁によると、富士山頂の年平均気温は、76年が氷点下7・2度で、09年が氷点下5・9度に上昇している。また、標高2500メートル付近が生育上限とされていたイネ科のイワノガリヤスが山頂付近で自生しているのが確認されたという。

 増沢教授は「(南斜面からの永久凍土消滅は)地球温暖化の影響以外に考えられない。富士山の植生が大きく変化する可能性がある」と話している。』 (10月16日付読売新聞)


【地球温暖化が原因?】

永久凍土とは2年以上連続して凍結した状態の土壌のことを言い、主に極地に存在し、北半球の陸地の20%近くを占めると言われています。日本では富士山や北海道・大雪山系と北アルプス・立山で確認されています。

そして永久凍土の分布と深度を計測することで地球温暖化がどれだけ進展しているのかを測る指標となっています。シベリアやアラスカで近年永久凍土の融解が進んでいるという報告があり、これらは地球温暖化との関連が指摘されているのです。

また、永久凍土にはメタンハイドレートが含まれていて、融解すると、強力な温室効果ガスであるメタンや他の炭化水素を大気に放出し、世界的な温暖化を激化させると考えられています。すなわち、地球温暖化の指標となるだけでなく、融解が進めばさらに温暖化が加速するという恐ろしい現象なのです。
富士山での永久凍土の消失が意味するものは、世界的な地球温暖化が加速しているというひとつの証拠ではないでしょうか。信じたくない現実がまたひとつ増えたような気がします。

  


2010年09月07日

【広がるナラ枯れ】

東京都にもナラ枯れが予想以上に進行しているようです。

『東京都は2日、八丈島など伊豆諸島のうち3島でカシノナガキクイムシ(カシナガ)による樹木の枯死が都内で初めて確認されたと発表した。都は今月から飛行機による被害状況の調査を実施し、殺虫剤による駆除を始める方針。

 都によると、7月下旬に八丈島に自生するスダジイ(シイ属)でカシナガ被害を初確認。都が調査したところ2日現在、八丈島(約10万本)と御蔵島(約200本)、三宅島(約130本)の3島で被害が見つかった。

 カシナガはナラなど広葉樹に被害を与える体長約5ミリの昆虫で、夏に繁殖のため樹木の幹に穴を開け入り込んだメスを媒介に、樹木に菌が蔓延(まんえん)することで水分が行き渡らなくなり枯死する。

 カシナガによるナラなどの枯死被害は近年、西日本を中心に急増しており、問題となっている。』(9月3日付産経新聞)


【増える報道】

実はこのナラ枯れの被害については、このニュースだけではなく、最近いろいろな地域での被害実態がよく発表されるようになりました。

林野庁によると、平成10年度の被害は8府県で278ヘクタールでしたが、21年度には23府県で2511ヘクタールに拡大しています。また、被害エリアも、従来多かった日本海側だけでなく、愛知県や三重県など太平洋側にも広がっているとのことです。

こういう報道を見るにつけ、本当に日本はどうなるんだろうかと心配になります。もちろん、日本だけではなく世界的に生態系の異常が見られるのですが、やはり身近なところで起こると無関心ではいられなくなるものです。

政治は相変わらず、小さなコップの中で権力闘争を繰り返し、まったく日本の将来の展望も戦略もほったらかしにしか見えません。こんな人間たちの愚かさを笑うかのように、木が枯れ、生き物が死に、取り返しのつかない事態が迫っているように感じるのは僕だけでしょうか。  
タグ :ナラ枯れ



2010年09月03日

【数字も裏付け】

今年の夏が個人的な感覚以上のものだったことが数字でも裏付けられました。

『気象庁は1日、今夏(6~8月)の全国の平均気温が平年より1.64度高く、1898(明治31)年の統計開始以来最高だったと発表した。特に8月は平年を2.25度も上回った。暑さは9月も続く見通しで、1日も気象庁が観測する921地点中242地点で9月の観測史上最高気温を記録。157地点で35度以上の猛暑日、789地点で30度以上の真夏日となった。気象庁は「異常気象」として3日に専門家などによる分析検討会を開く。

 全国の平均気温は、都市化の影響が少ない国内17地点の平年との差を平均して算出。過去の夏の平均気温の1位は、94年の平年比プラス1.36度だった。地域別でも、北日本と東日本が過去最高で、西日本も4位。8月の平均気温は、沖縄・奄美を除く全地域で平年を2度以上上回り、過去最高だった。

 地点別では、全国154カ所の気象台・測候所などのうち、夏の平均気温は55カ所、8月の平均気温は77カ所で過去最高。夏の平均気温が最高だった主な地点は▽札幌市22.0度(平年比プラス2.4度)▽東京都心27.1度(同2.3度)▽名古屋市27.0度(同1.8度)--など。8月の平均気温が最高だった主な地点は▽東京都心29.6度(同2.5度)▽大阪市30.5度(同2.1度)▽福岡市30.3度(同2.7度)--だった。

 気象庁は高温の原因として▽偏西風の北への蛇行により、勢力の強い太平洋高気圧に覆われた▽オホーツク海高気圧などの影響がほとんどなかった--を挙げる。特に太平洋高気圧については、気象庁が大気に関する詳細なデータを解析し始めた79年以降で、最も勢力が強かったという。』(9月1日付毎日新聞)


【原因様々】

今年のこのような「異常な夏」は日本だけでなく、少なくとも北半球ではアメリカ、ロシア、欧州の一部などいたるところで見られたことも忘れてはいけません。

さらにその原因については、気象庁は次のように発表しています。

『期間を通して冷涼なオホーツク海高気圧や寒気の影響をほとんど受けなかったこと、梅雨明け後、上空の偏西風が日本付近で平年よりも北に偏って流れ、勢力の強い太平洋高気圧に覆われたこと、今春まで継続していたエルニーニョ現象の影響で北半球中緯度の対流圏全体で気温が上昇したこと等の要因が重なったためと考えられます。また、背景として二酸化炭素などの温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化の影響が現れているとみられます。』(9月1日の気象庁ニュースリリースより抜粋)

これを読むと今回の異常高温は偏西風の動きや高気圧の位置といった現象面の事実だけでなく、温室効果ガスの増加による地球温暖化の影響についても言及していることは、やはりというべきか、気象庁も無視できないと考えているのでしょう。

これが百年に一度の現象で終わるのか、それとも多少のブレを伴いながらも、今後も気温上昇が常態化しているのか非常に気になるところです。異常な高温とともにゲリラ豪雨による都市や山間地での被害も急増しています。おそらく、高温は海や山などに生息する動植物にも多大な影響を与えていることでしょう。

これほどの異常現象が起きる原因をとことん突き止める必要はあるのですが、今わかっている範囲で、あるいは想像力を働かせて「今やるべきこと」を一人一人が真剣に考えなければならないということを自然が警告しているのかもしれません。  



2010年08月24日

【電力と百貨店】

猛暑効果は電力をモーレツに押し上げているようです。

『記録的な猛暑が7月の経済統計に異変をもたらしている。家庭用の電力需要が過去最高となる一方、猛暑効果で百貨店の売上高の落ち込み幅も縮小した。

 電気事業連合会(電事連)が19日発表した全国の電力会社10社の7月の電力需要実績(速報)によると、家庭向けに販売した電力量は前年同月比6.1%増の225億8200万キロワット時で、7月の家庭向けとしては、調査を始めた72年以降最高となった。

 全国的に猛暑日が記録される中、エアコンの使用が増えたことが影響したようだ。電事連によると、8月も19日現在で、前年実績を上回っているという。

 日本百貨店協会が19日発表した7月の全国百貨店売上高は、前年同月比1.4%減と29カ月連続の前年割れだったが、減少幅は6月の6.0%から大幅に縮小した。1%台のマイナスは08年3月以来、2年4カ月ぶり。

 クールビズ関連が好調な紳士服の売上高が1.6%減と6月の減少幅から4.7ポイント改善。サングラスや日傘などの「身の回り品」も2%減で6月より3.4ポイント改善した。ウナギやそうめんなどの売れ行きが良かった食料品は1.9%増と3カ月ぶりに増えた。

 ただ、暑さが長引くと、商戦を迎えつつある秋物衣料品の売れ行きに影響が出る。秋物は単価が高いため「猛暑はそろそろ終わってほしい」(飯岡瀬一専務理事)との声も聞かれる。』(8月19日付毎日新聞)


【クーラーなしではいられない?】

それにしても今年の夏は異常です。35度以上の日が全国各地で連続しているのですから、かつて経験したことのない事態でしょう。正確にはわかりませんが、10年以上前は夏が暑いといっても30度少し上回るくらいの温度だったような気がします。それが気象庁の公式の数字で35度以上ということは、アスファルトばかりの都会や照り返しのひどい海辺などでは優に40度を超えているのではないでしょうか。
こんな異常事態にやせ我慢して、あるいはエコに配慮してクーラーなしで過ごそうとしたら、室内で熱中症になってしまいます。我が家も夜は多少クーラーの温度は上げてはいるものの、明け方までつけっぱなしの日が続いています。これほどの暑さはまさに未体験ゾーンといった感じです。

これでは電力需要がピークを超えて伸びるのはやむを得ないでしょうし、自衛手段として様々な猛暑対策のグッズが飛ぶように売れるのもわかる気がします。

21世紀に入ってからの10年間の気象はそれまでとは全く違った様相を呈しています。相次ぐ大規模洪水や干ばつ、森林火災などのニュースはそれ以前は遠い外国の話と思っていましたが、深層崩壊やゲリラ豪雨など身近なところで気象の大激変の予兆が見られるようになり、身の危険さえ感じることが出てきているのです。全地球的な規模での気候変動には私たち人間はなす術もないのです。

それにしてもこの猛暑、なんとか峠を越してほしいものですね。
  



2010年08月12日

【縮む北極海の海氷】

猛暑と関連がないことを祈るばかりです。

『今夏の北極海の海氷面積が急減し、観測史上2番目に小さくなっていることが、民間気象会社ウェザーニューズ(東京)の観測で分かった。温暖化で厚い氷が減り、解けやすくなっていることに加え、5~6月に海氷が大西洋に押し出されやすい気圧配置だったのが理由という。北極圏では猛暑のロシアなど異常気象が発生しているが、異変ぶりを示す現象として注目される。  ※ 写真は2000年時点の北極海の海氷
同社は人工衛星のデータを使って分析。8月5日現在の海氷面積は約600万平方キロで、同時期に過去最小だった07年の560万平方キロに次ぐ小ささだという。10年前の00年は880万平方キロだった。08、09年も今年より数%大きいだけで、ここ数年の縮小傾向が目立っている。』(8月10日付 毎日新聞)


【加速化する地球温暖化】

しかし現実に世界各地で進行する今年の猛暑などを見ていると、地球温暖化との関連がないとは言い切れないと個人的には思っています。というのは、衝撃的と言われていたIPCCの第四次報告が出たのは2007年2月。それからたった数年ほどしか経っていないのにIPCCの予測を大幅に上回るペースで地球温暖化が進行している事実が最近次々と明らかになっていることからも想定できるからです。※写真は2010年8月時点の海氷

その端的な例が北極海なのです。昨年9月のブログ記事でお伝えしたように、『北極圏の過去10年間の気温が、地球温暖化の影響を受けて、少なくとも過去2000年で最高の水準に上がっていること』が国際研究チームによって公表されているのです。しかも過去10年間というのは1990年代のデータなので2000年以降さらに気温上昇が加速化していることを考えれば事態はもっと深刻でしょう。

こういった北極の加速化する気温上昇によって、北極海の海氷が消滅するのは30年から40年後と言われていたのが、何と2013年にも消滅するという科学者も出始めています。それを裏付けるような現実が進行しているのです。

加速化する北極海の温暖化。北極の温暖化は即、地球全体の温暖化を加速することになると言われています。今年の猛暑もそのひとつかもしれません。果たして、人類はもう地球温暖化をとめることが出来ないテッピング・ポイントを超えて、ポジティブ・フィードバックの領域に踏み込んでしまったのでしょうか。

最後に冒頭の記事に戻って、日本に関して言いますと、北極圏での異変は大気循環を通して、日本のある中緯度にも影響が及ぶとされています。ウェザーニューズ社は「日本付近の猛暑など今年の異常気象との関係を探りたい」としていますが、私たち一般人は気象専門会社や気象研究者からいづれその因果関係について何らかの答えが出てくるのを待つしかないのでしょうか。そのときはすでに何もかもが手遅れになっているのかもしれません。

  



2010年08月02日

【広がる森林火災】

今夏のロシアは異常続きのようだ。

『記録的な猛暑に見舞われたロシアで森林火災が多発している。AP通信などによると火災による死者数は31日までに少なくとも30人に達し、民家1000軒以上が焼失した。避難した人も3000人以上とみられる。

 火は8万ヘクタール以上の森林や湿原に広がっているとみられ、24万人が消火作業などに当たっている。プーチン首相は30日、急きょ被災地を視察し、50億ルーブル(約140億円)を被災者支援に充てるよう指示した。

 猛暑が続くロシアでは農作物にも甚大な被害が出ている。29日にはモスクワで観測史上最高の気温38.2度を記録した。』(2010年7月31日付毎日新聞)


【いよいよ本格化?】

日本では梅雨明けから一気に35度以上の日が連日続き、熱中症の死者が200年以上も出るという異常な事態となっているが、ロシアや東欧などでも記録的な熱波や干ばつが発生しているのだ。

森林火災はアメリカやカナダの西部、オーストラリアや東南アジア等でよく発生しているが、今夏は記事にある通りロシアでの森林火災が広がっている。

逆にカナダや南米では異常低温に見舞われているということなので、地球全体の大気の動きが大きく変わっているのだろう。21世紀に入ってからの気候変動は人類だけでなく地球の生態系全体の存在を脅かすほど大きくなってきており、人間がなんらかの対策を打つにはもう手遅れではないかと感じさせる。

化石燃料の大量使用によるCO2の排出が原因であろうとなかろうと、地球規模の気候変動がすでに始まり、日々悪化していることをMother Natureが人類に警告を発し続けているのかもしれない。

  



2010年07月30日

【ブリ大量死】

陸上での異変と同じく海でもかつてない異変が起きているようだ。

『小康状態を保っていた長島町沖八代海の赤潮被害が19日以降、再び活発化し25日までに、ブリとカンパチが計144万4500匹死滅した。過去最悪の被害を出した09年の死滅数を上回った。被害総額は集計中という。県が引き続き厳重な警戒を呼び掛けている。
 原因は「シャトネラ・アンティーカ」と呼ばれる毒性の強い植物性プランクトンで、今年は7月上旬に発生した。県によると、被害の内訳は東町漁協管内でブリ132万7500匹▽北さつま漁協管内でブリ11万4000匹、カンパチ3000匹。
 09年は7月28日~8月10日(14日間)に発生し、8月上旬に被害が集中した。計121万匹が死滅し、被害総額は約20億3000万円と統計が残る76年以降で過去最悪だった。
 今年は、26日で発生から既に27日間が経過し長期化している。県によると、水温や塩分濃度などから8月上旬はプランクトンが繁殖しやすい環境となり、被害が広がる可能性が高いという。』(7月27日付毎日新聞)

【赤潮が警告する】

35度以上という猛暑が日本全国を席巻してすでに2週間近くが過ぎた。これから8月に入って、ますます気温が高い日が続きそうな気配であるが、異常高温は陸上だけでなく海上そして海中も確実に影響を与えているだろう。この記事にある赤潮はそのひとつの事例としての可能性がある。

先日もお伝えしたように、このブログを書き始めてからもう5年近くになるが、その間にも様々な海の異変を伝えてきた。最近だけでも巨大深海魚の漂着、玄界灘のウニの大量発生、明石のタコ大発生など水温の上昇が原因と推測されるような異変が続々と報告されている。

海水温の上昇に関しては、昨年7月26日に国連環境計画(UNEP)が最近の調査結果をまとめていますが、それによれば日本を含む各国の沿岸海域のほとんどで、過去25年ほどの間に地球温暖化による海水温度の顕著な上昇が観測され、魚の資源の減少が目立つとされ、特に日本海は1982年から2006年までの水温上昇が1・09度で、東シナ海(1・22度)などとともに「上昇傾向が特に大きい」六つの海域の一つとされたそうだ。

見た目には海は以前と変わらないように見えるが、海中では最近の急激な気候変動の影響で海流が大きく変化し、魚介類の生態系が様変わりしているのではないかと思われるのだ。そうなると、たとえ自然界の魚の資源の減少を養殖で補うといった人知の力で克服しようとしても、海中の急激な変化にはとても太刀打ちできないだろう。

ニュースになろうとなるまいと、人々が関心を示そうと示すまいと、自然界の異常は陸上だけでなく、海においても深く大きく進行しているのだ。

  



2010年07月29日

【アジアの子供たち】

みなさんは「アジア太平洋こども会議・イン福岡」という団体を御存じでしょうか?この団体はアジア・太平洋地域のこどもたちと福岡のこどもたちとの交流を目的に1988年に福岡に設立され、今年で活動を始めてから22年目になります。テーマは「We are the BRIDGE つなげます、世界の夢を」ということで、毎年7月になるとアジアの30カ国近い国・地域からたくさんの子供たちがやってきて、福岡の市民の家にホームステイしたり、福岡の子供たちと交流キャンプなどを通じて国際理解を深めています。

もう20年近くになるので、最初のころの子供たちは30代くらいに成長していて、アジア各国で活躍しており、そのネットワークは年々成長しています。これって福岡が地域としてやっている事業としては最も未来のある事業だと僕は信じて疑いません。なぜなら、子供たちが主役だからです。

【みらいサミットでの発表】

そのアジア太平洋こども会議が今年の事業のひとつの目玉として福岡市の協力を得て、福岡市の市議会議事堂で各国の子供たちが未来を語るという会議を7月24日の土曜日の午後に開催しました。幸いにもその会議に参加することができたのですが、正直感動しました。なぜでしょう。それは以下の理由からです。

1. 30カ国近いアジアの子供たちが、あの大きな議事堂の中で、堂々と家族の未来、学校の未来、地域の未来、地球の未来、人類の未来といったテーマで、しっかりと自分たちの主張を述べたことです。中にはそのまま政治家になってもいいくらいの立派な「演説」をしていた子供たちもいました。

2. まだ10歳にも満たない子供たちが英語という共通の言葉で、考え、発表し、行動し、お互いを理解しあっていることです。もちろん、言葉などなくても通じ合える正直な心が子供たちにはあることも実感できました。

3. 最後に、参加している国・地域の中に名前も知らなかった国や地域があったのですが、一番驚いたのはツバルやモルジブ、トンガといった太平洋の諸島国家から来た子供たちが地球温暖化の脅威にさらされている自分たちの国の将来を真剣に憂い、なんとかしたいと訴えていることでした。

これらの国々のこどもたちの未来は、もちろん子供たち自身と子供たちの国々の大人たちが第一義的には作っていくべきものですが、国レベルではどうしようもない地球規模の災禍である気候変動、地球温暖化には僕たち日本国を含め先進国といわれる国々が先頭に立って解決に向けた真摯な努力をしていかなければいけないと痛感させられました。

そうしなければ今回参加した太平洋の島嶼国の子供たちに未来はないのです。子供たちの真剣なまなざしに打たれた一日でした。  


2010年07月28日

【熱中症で死者】

連日の猛暑で熱中症の死者まで続出しています。

『全国的な猛暑が続く中、17日からの1週間で、熱中症とみられる死者が16府県で少なくとも52人に上ることが23日、読売新聞社のまとめで分かった。

 救急搬送された人は、少なくとも41都府県で5896人となり、気象庁は注意を呼びかけている。

 埼玉県では、自宅などで遺体が発見され、検視後に熱中症と判断された死者が18人だったことが県警のまとめで判明。持病に加えて暑さが原因で死亡したとみられる人も13人に上った。

 ただ、他の都道府県の死者数は0~3人で、自治体によって集計方法が異なるため、実際の死者はさらに増えるとみられる。

 23日は、最高気温が35度を超える「猛暑日」が全国で140地点に上り、群馬県館林市など3市で38・9度を記録。愛知や三重などで6人が亡くなった。』(7月24日付 読売新聞)


【油断は禁物】

梅雨が明けてからまだ1週間ほどしか経っていないと言うのに、これほどの被害が出ているというのは相当重大な事態だという気がします。おそらくこれから夏本番に突入する中で、さらに死者の数、病院搬送者の数は増えるのではないでしょうか。

全国的に37度以上となった地域として、多治見市が22日に39.4度、三重県桑名市と群馬県館林市は38.9度、群馬県伊勢崎市で38.4度、埼玉県熊谷市と前橋市で37.9度と気象庁は発表し注意を呼び掛けていますが、これらの地域だけでなく33度や34度といった地域でも厳重な警戒が必要だと思います。先日もビニールハウスにいた農家の方が亡くなったとのニュースがありましたが、計測値として発表される気温ではなく自分がいる場所が熱がこもりそうなところだと40度とか50度にもなりうることに注意しなければなりません。

例えば、車の中や家の中でもクーラーなどの設備を動かしていなければ外気温が体温近くになるような異常事態のなかでは予想もしないような温度に達することは十分ありうるでしょう。

通の夏ではないという意識を常に持って念には念を入れて健康管理、暑さ対策をする必要がありそうです。みなさんも気を付けてくださいね。
  


2010年07月23日

【猛毒の魚?】

小さいけれど猛毒の「サカナ」が南からやってきているようです。

『フグと同じ猛毒を持ち、かまれると死に至ることもある「ヒョウモンダコ」が九州北部で相次いで見つかっている。

 熱帯・亜熱帯海域が本来の生息地だが、専門家は温暖化による海水温の上昇で生息域が北上していると指摘する。海水浴シーズン真っ盛り。福岡県などは「海で見つけても絶対に素手で触らないように」と注意を呼び掛けている。

 ヒョウモンダコは体長約10センチと小さく、浅い海の岩礁や、砂と小石が交じる海底に好んで生息する。その名の通りヒョウ柄で、薄茶色の地に焦げ茶色のまだら模様がある。刺激を受けて興奮すると全体がやや赤みを帯びた色になり、まだら模様はリング状の青色に変化する。

 唾液(だえき)の中にフグと同じ神経毒の「テトロドトキシン」を含み、かまれるとおう吐やしびれ、けいれんを引き起こす。オーストラリアやインドネシアなどの太平洋、インド洋海域に生息し、かまれた人が全身まひで死亡した例もある。

 九州では鹿児島、沖縄両県にまたがる南西諸島が主な生息域とされ、ダイバーらの間で「要注意生物」として知られてきた。しかし、福岡県でも昨年11月、福岡市西区の博多湾でカキ養殖いかだにいるのを県水産海洋技術センターの職員が初めて発見した。

 センターが漁師らに注意喚起して情報収集を始めると12月以降、同市東区の志賀島沖で2匹、糸島市の玄界灘で4匹の発見報告が相次ぎ、今年4月12日には北九州市若松区沖の海底に沈めたイカ漁用のかごから1匹が見つかった。

 さらに、長崎県壱岐市沖で6月23日に1匹、佐賀県唐津市沖で7月6日に1匹を発見。大分市沖でも昨夏、2匹が捕獲されるなどしていた。幸い、けが人の情報はまだ寄せられていないという。』(7月22日付 読売新聞)


【広がる海の異変】

このブログを書き始めてからもう5年近くになりますが、その間にも様々な海の異変を伝えてきました。最近だけでも巨大深海魚の漂着、玄界灘のウニの大量発生、明石のタコ大発生など水温の上昇が原因と推測されるような異変が続々と報告されています。

海水温の上昇に関しては、昨年7月26日に国連環境計画(UNEP)が最近の調査結果をまとめていますが、それによれば日本を含む各国の沿岸海域のほとんどで、過去25年ほどの間に地球温暖化による海水温度の顕著な上昇が観測され、魚の資源の減少が目立つとされ、特に日本海は1982年から2006年までの水温上昇が1・09度で、東シナ海(1・22度)などとともに「上昇傾向が特に大きい」六つの海域の一つとされたそうです。

見た目には海は以前と変わらないように見えますが、海中では最近の急激な気候変動の影響で海流が大きく変化し、魚介類の生態系が様変わりしているのではないかと思われます。今回発見された「ヒョウモンダコ」も人間が引き起こした気候変動によって南の海からやってきた「招かれざる刺客」ではないでしょうか。
  




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