2010年11月26日

【過去最高】

恐れていた現実がひたひたと忍び寄ってきているようです。

CO2濃度過去最高―進む地球温暖化『世界気象機関(WMO)は25日までに、二酸化炭素(CO2)など地球温暖化の原因になる温暖化ガスの世界平均濃度が2009年に過去最高を記録したと発表した。特に温室効果が大きいとされるメタンは3年連続で高い伸びとなったが、WMOは「原因は十分に分かっていないため、今後の見通しははっきりしない」としている。

 WMOは世界各国の地上観測点や船舶、航空機などを利用し、温暖化ガスの大気中濃度を測定、年平均値を求めた。

 年報によると、09年のCO2濃度は386.8PPMで前年より1.6PPM増加。メタンは1803PPBで前年より5PPB、一酸化二窒素は322.5PPBで同0.6PPB、それぞれ増えた。産業革命前に比べ、現在の大気中濃度はCO2が38%、メタンが158%、一酸化二窒素は19%高くなっている。

 メタンの増加原因は詳しく分かっていないが、07年の北極地域の異常高温で永久凍土が溶け出し地中から大量に放出されたことや、07~08年の熱帯地域の多雨でメタン主要発生源となる湿地が拡大したことが影響していると考えられるという。』(11月25日付日経新聞)

【悪循環の悪夢】

昨年12月のCOP15が失敗に終わってからほぼ1年が経過して、世界のメディアから地球温暖化や気候変動のニュースがめっきり少なくなりました。一体、COP15前の騒ぎが何だったのかと思わせるほどです。もちろん、それはCOP15開幕の1か月位前から気候変動を支持する学者グループが地球温暖化の事実を歪曲したことがその多数の交信メールから発覚したとする、いわゆる「クライメートゲート事件」が起こったことで、IPCCの権威が著しく傷つけられたばかりか、その後のCOP15の議論にも少なからぬ影響を与えたことも関係しています。

しかし、人間がどんなに疑心暗鬼に陥ろうと、対策を取ろうと取るまいと、今回のWMOの発表に見られるように恐ろしい現実が刻一刻と地球上のすべての生命に降りかかってこようとしていることを忘れてはいけないと思います。

それは、いわゆるポジティブ・フィードバックと呼ばれる悪循環がすでにいくつか現実に始まっているという事実です。その意味を簡単に言うと、ひとつのきっかけが次の温暖化を招き、さらにその事態が温暖化を加速させる事態を招いて、もう人間にはどうすることもできないところまで来ているということです。いくつかあるポジティブ・フィードバックのうちのひとつがメタンの急激な増加でしょう。それが現実のものとなりつつあることを今回の報告は示しています。

比較的地球温暖化の変化が見えにくい日本でも、今後さまざまな影響が各地で報告されてくるでしょう。再び世界が「今そこにある危機」として地球温暖化を捉え、途上国と先進国が対話のテーブルにつくことを切に望みます。


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