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2012年10月31日

【関電が先陣】

関西電力が他の電力会社の先陣を切って電気料金値上げ表明を行いました。

『関西電力の八木誠社長は29日、電気料金値上げについて「具体的な検討を開始した」と正式表明した。原発停止に伴う財務悪化を食い止めるには値上げしかないとの判断で、九州電力も30日に値上げ検討を表明する方針。北海道、四国、東北電も値上げを模索しており、9月の東京電力に続き電気料金値上げが全国に波及する。

 値上げ時期や値上げ幅について八木社長は「未定」としたが、同社は13年4月にも家庭向けで平均15%程度、企業向けで20~30%値上げする方向で検討している。家庭向けは規制料金のため政府の審査対象になる。審査には4カ月程度かかるとみられ、その結果、関電は追加コスト削減などを求められる可能性がある。認可申請を伴う関電の本格値上げは第2次石油危機後の80年以来33年ぶり。

 関電が29日発表した12年9月中間連結決算は、最終(当期)損益が1167億円の赤字(前年同期は204億円の黒字)で、上期としては創業以来最悪だった。7月に再稼働した大飯原発3、4号機を除く原発9基の停止で、火力発電燃料コストが前年同期比1800億円増加。福島第1原発事故前との比較では、年7000億円の燃料費増となる見通し。関電は、原発による発電比率が5割程度と大手で最も高く、発表済みのコスト削減策だけでは燃料費増の影響を補い切れなかった。

 13年3月期通期の業績見通しは「未定」としたが、資源エネルギー庁の試算によると、大飯以外の原発が停止したままでは13年3月末時点の純資産額は前期比5820億円減の5747億円に減少、14年3月期中に債務超過に陥る可能性が高い。八木社長は「再稼働できない状況が継続すると財務体質が大幅に悪化し電力の安定供給に支障を来しかねない」と値上げへの理解を求めた。

 九電も、原発6基すべてが停止しており、エネ庁試算で今期4700億円の追加コストが発生し、13年3月末時点の純資産は3088億円まで減少する見通し。30日の中間決算発表で値上げの意向を正式表明し、関電と同時期の値上げ実施を目指す。北海道、四国、東北電も原発停止で赤字体質に陥っており、関電、九電に続く値上げを模索している。中部、北陸、中国電は値上げに慎重だが「今後も原発停止が続くようなら値上げも視野に入る」(中部電関係者)。東京電力も柏崎刈羽原発の13年4月再稼働ができなかった場合、追加値上げなどの対策が必要になる。【宮島寛、和田憲二】』(10月30日付毎日新聞)


【初めに値上げありきでいいのか】

「傲慢不遜」という言葉はまさに今日のニッポンの電力会社の姿勢を表すために作られた言葉ではないかと思うほど、八木社長の値上げは当然という態度にはあきれてモノも言えません。 「電力の安定供給に支障をきたしかねない」という脅しをちらつかせる様は、原子力発電を金科玉条として推進し、反面地域独占にあぐらをかいて経営の合理化努力を怠ってきた自らの経営の失敗をすべて電力の需要者である消費者や企業に押し付ける傲慢不遜な電力会社の姿勢を象徴しています。

最初は国家の原子力政策に協力してきただけだったかもしれません。しかし、最近では東京電力を頂点に電気事業連合会という業界団体が政府との力関係を逆転させ、原子力の安全対策もないがしろにしてきた結果が東電福島第一原発の核惨事だったことをもう忘れたのでしょうか。債務超過の可能性に至っているのは、そのツケが今回ってきたということです。特に関西電力は東電が国有化されてしまい、電力業界の雄の立場からずり落ちたことから東電に代わって地域独占の甘い汁を守るべくますます傲慢な姿勢を強めています。

関電をはじめとする電力会社は、ここは公益企業の原点に立ち戻って、お客様である消費者や企業のために自分たちがまず何をなすべきかをしっかりと反省し、資産売却や経営陣の報酬返上などにより肥え太った体質を思い切って改善すること、さらには不良資産となってしまった原子力施設の国家への譲渡などにまで踏み込んだ交渉を政府とやっていくべきではないでしょうか。いつもいつも、「電力の安定供給が脅かされる」とか「計画停電にするぞ」といった脅しだけでは国民は納得しないでしょう。
  



2012年10月29日

【博多の女(ひと)】

カーネギーホールで歌ったことのある博多出身のボーカリストって知ってますか?そう、高橋真梨子です(彼女のオフィシャルサイトはここをクリック!)。


その高橋真梨子のコンサートにまた性懲りもなく行ってきました。今回もファンクラブに入っているので、いい席だろうと期待していたら、昨年からは少し後ろになりましたがそれでも1階席の10列目のステージの真ん中近くの席! 2年続いた真ん前の席もよかったですが、少し離れたところで見るのもいいものです。

今年のコンサートのタイトルは「No reason 3」。その中身は真梨子さんが幼いころから慣れ親しんだ洋楽の楽曲が詰まっている今年9月発売のアルバムのタイトルです。コンサートは、昨年は9月中旬でしたが、今年は10月末となりました。真梨子さんは、27日の土曜日に博多に入り、懐かしい場所をいくつか訪れたように語っておられました。そんなトークといつもの曲やアルバムの新曲を一通り歌った後、ヒット曲である「For You」等の持ち歌で締めくくりました。

今回のコンサートも、中高年のファンを中心に人気が高く、土日二日間の博多での会場となっているサンパレスは相変わらず立ち見も出るほどの盛況でした。
僕も大人の雰囲気とさりげなさを持ち、世界にも通用する歌唱力を持つ彼女は、博多っ子として大ファンです。そう、彼女は博多っ子の元気の源なのです。

【根強いファンの支持】

いつものことですが、真梨子さんは博多に帰ってくると本当にリラックスして唄えるようです。毎回真梨子さんは博多に「戻ってくる」のが楽しみという語りでコンサートが始まります。今回もコンサートのトークどおり、博多の町をブラブラしてみたり博多の空気を満喫しておられたようです。

それもそのはず、真梨子さんは博多出身で、小学校も大楠小学校出身。後輩には氷川きよし、森口博子がいたそうです。昨年はタモリが同級生と語っていたと思っていましたが、タモリは高宮小学校だったとか。その他にも博多からは井上陽水や浜崎あゆみなど有名な歌手が多数輩出していることについて語り、自分は小者だけれど一番長く歌手をやっているとちょっぴり自信ものぞかせていました。

そんな博多を愛する真梨子さんを前に、コンサートが始まってしばらくは静かだった観客も、中盤以降は結構立ちっぱなしの状態になり、恒例の「グランパ」での総立ちの前から手を振って、会場はずっと熱気に包まれていました。この真梨子さんのコンサート、今年で39年目だそうです。凄い。そしてヘンリーさんも69歳、ヘンリーバンドの平均年齢も50代。あと何年見られるのでしょうか、少し不安になります。

ファンのほうもヘンリーさんたちに負けず劣らずシニア層と呼ばれる50代から60代以上と見られる人ばかり。そう、僕の母が若い頃、高橋真梨子は中洲の「あざみ」という老舗のスナックの近くの彼女の母親が経営するライブハウスで「ペドロ&カプリシャス」のヴォーカルで唄っていたのです。(彼女の母親は10年ほど前に亡くなり、例年9月に福岡に来られるのは彼岸に合わせて供養も兼ねているのかもしれません。) その頃の人たちが皆そういう年代になっているのです。だから、彼女は全国でも知られていますが、博多ではシニアほどよく知っているのです。

【同時代に生きる】

さて、コンサートでの衣装は、今回は4回も変えられました。最初は赤系のあざやかな模様のドレス、それからイエロー、ブラック、そして最後はピンクでした。真梨子さんは、どちらかというとスカート姿よりもロングパンツのほうが似合いますが、今回はすべてスカート。最後のピンクのドレスは少し恥ずかしいと自ら語っていました。

本人は歳のことをいつも気にしますが、そんなこととは関係なく、生のコンサートの醍醐味というか、ファンを中心に歌手の歌とリズムにあわせて皆が立ち上がり会場全体が一体感に包まれるところは老いも若きも一緒です。

10年後ならともかく、100年後にはこのコンサート会場にいる10代も70代も皆この世にはいません。その中で同時代に生きているという共感、証(あかし)を得たいという心理が自然とそうさせるのでしょう。この瞬間を精一杯生ききる・・・これって大事にしたいですね。折しもコンサートの直前、ある方の葬儀に参列したばかりだったのですが、本当に命のはかなさを感じさせられるとともに、人間いつ死ぬかわからない、だからこそ今この瞬間を大切にしたいと今回のコンサートではいつも以上に思わされました。また、同時にいつも一緒に行くパートナーも大切にしなければと思いました。

また、来年もファンクラブでいい席をゲットして来たいと強く思った、秋も深まる10月末の高橋真梨子コンサートでした。
  



2012年10月26日

【都知事辞任】

石原都知事が突然辞任を発表しました。

『東京都の石原慎太郎知事(80)は25日、都庁で記者会見し、次期衆院選に向け、自らが党首を務める新党を結成し、国政に復帰する意向を明らかにした。同日、都議会議長に辞表を提出した。石原氏は、日本維新の会(代表・橋下徹大阪市長)との連携に前向きな姿勢を示しており、民主、自民に対抗する「第三極」の構築を目指す。新党は11月上旬にも立ち上げ、自身は衆院選に比例代表で出馬する意向だ。
 石原氏は「きょうをもって知事を辞職する」と表明。後継に関しては、猪瀬直樹副知事の名前を挙げた。石原氏は現在4期目。任期半ばでの辞任については、「都民は理解してくれると思う。放り出すわけではない」と述べた。
 公職選挙法の規定では、辞職の申し出を受けた議長が選挙管理委員会に通知してから50日以内に都知事選が行われる。
 国政復帰の理由は、「明治以来続いている官僚制度をシャッフルしないと、国民が報われない。命あるうちに最後のご奉公をしようと思う」などと説明した。新党には、たちあがれ日本に所属する衆参国会議員5人全員が合流する見通し。石原氏は新党への参加者について、「予想外の人もずいぶんいる」と語った。今後、日本維新との連携協議も進める。
 石原氏は4月に表明した沖縄県・尖閣諸島の購入問題への対応などを理由に、新党構想に一時慎重な考えを示していたが、結局、同諸島は国有化が決定。今月12日の記者会見では、新党結成の可能性について「あとは私の年齢と健康(次第)だ」などと発言。その後、健康診断の結果に問題はなかったことを明らかにしていた。』(10月25日付時事通信)


【期待薄

「明治以来続いている官僚制度のシャッフルが必要」という点についてはその通りだと思いますが、その他の石原氏の政治信条にはあまり賛成できないです。特に尖閣問題などに象徴される石原氏による国民のナショナリズムを煽るような政治手法には危うさを感じます。また、原発政策についても常日頃から推進の立場を表明しており、到底支持する気にはなれません。

一方、少数政党の核として第三極を結集すると本人はおっしゃっているようですが、これも政策と価値観で一致点が見いだせなければ難しいと思われます。 単に数合わせで集まるとすれば有権者はそっぽを向くでしょう。

最後に御年80歳という高齢であることが最も大きな懸念材料です。これから10年、20年、そして100年後のニッポンの形を自分自身の問題として背負っていけるのは若い世代です。どんなに憂国の情が熱くても、その思いを継いでくれる若手に任せる度量がなければ、「老害」と言われても仕方がないのではないでしょうか。思い切って若い人に委ねるべきときだと思います。早く政界を引退して、自分の後継者のアドバイザーとして進まれることを望みます。

  



2012年10月24日

【お別れの会】

俳優の大滝秀治さんに多くの人が最後のお別れを告げました。

『肺がんのため2日に亡くなった俳優の大滝秀治さん(享年87)の「お別れの会」が22日、東京・青山葬儀所で営まれた。

 「お別れの会」には女優の八千草薫(81)や白川由美(76)、俳優の阿部寛(48)、浅野忠信(38)、フジテレビの「北の国から」の脚本家倉本聰氏(77)ら、一般のファンも合わせ約980人が参列した。

 劇団民藝の後輩である女優の樫山文枝(71)の進行のもと、最初に参列者が黙とうをささげた。続いて会場に設置されたモニターに、大滝さんの舞台「審判」「らくだ」などの映像が流れ、参列者は会場のモニタを見つめ、故人をしのんだ。

 参列者には、大滝さんが死の10日前に描いたという絵入りの色紙が配られ、「もう駄目だと思ったり まだやれると思ったり」という自筆の文字が書かれていた。』(10月22日付スポニチアネックス)


【高倉健の言葉】

僕は大滝秀治さんをもう数十年前、まだ東京に住んで間もないころ見かけたことがあります。確か、西武新宿線の沿線だったのですが、何気なく見かけた銘俳優の姿に「ああ、あれが大滝さんかあ」と何故か記憶の片隅に残っていました。

そして今、87歳で天寿をまっとうされた大滝秀治さん。最近、また、その名優ぶりを見かけたのは先月。福津の映画館の映画の中でした。その姿と言葉は依然にも増して鮮烈に僕の頭の中に残っていました。そのシーンは高倉健さんが妻の遺骨を海に散骨するために漁師の大滝さんにやっとの思いでお願いして、港に帰ってきた後、大滝さんが「久しぶりにきれいな海ば見た」という短いセリフのシーン。

それをまたNHKで高倉健さんが語っていました。

「大滝さんが言われると、ああいうふうに、なんかこの作品のテーマみたいなね。すごいなあと。ぼくはその話は、佐藤くんと草彅くんにしたんですけど。たった一人の俳優さんが、今回の出演者の中では最高齢の人ですよね、ああいうことができる仕事なんだなあと。はあって思いましたね。誰かがスナップ写真を撮ってるとき、大滝さん帰られる時、旅館の前で僕、最敬礼してるよね。あれ正直な反応だよね。
メイクの佐藤が言ってたのかな、『これ大滝さん、何なのかな、メイキャップも何もしてない顔が神々しい』って言ったよ。神々しいお顔されてるって。神々しいって・・・神々しいってメイキャップしてないのにそれどういうことなのかなって。それを知りたいよって。それでどうやったら神々しくなれるか分かれば、俳優として何段も上がったわけだから、ぜひなんて。仏像のようだって言ってた。仏像の顔していらっしゃる。
ものすごい参考になりましたね。ああいう芝居を目の当たりで見ただけで、この作品に出てよかったと思ってます。それぐらい強烈だった。うへえって思いましたよ。そういうことができる、俳優って言うのが商売なんですよね。(大滝さんに)負けたくないねえ、負けたくない。勝負しようとは思わないけど、なんとか追っかけたいと思いますよ。まだ何年かは働けるもんね。追っかけたいと思う。縁があって俳優を選んだんだからね。やっぱり出会う人でしょうね。どういう人に人生で出会うか、そこで決まるんじゃないですかね。やっぱりいい人に出会うと、いろいろなものをもらいますよね。」


このとき、高倉健さんは大滝さんを「神々しい」「仏像のようだ」と語っていたのです。そのとおりだと僕も思いました。その大滝さんが亡くなる前に高倉さんとまたご一緒したいとおっしゃっていたそうです。実現はしませんでしたが、もうひとりの大俳優に間違いなく大きな命を吹き込まれたと思います。

大滝秀治さん、安らかにお眠りください。

  



2012年10月22日

【川島の訴え】

川島の訴えはフランス人の心に響いたでしょうか。

『日本代表のGK川島永嗣(29=スタンダール)が当地で、東日本大震災の被災地に向けた会見を開いた。フランス国営テレビが、川島の腕が4本ある合成写真を映し「福島(第1原発事故)の影響」と発言したことに対して「冗談にもならない」と反発。さらに「福島には、いまだに家に帰れない人もいるんです。世界中の人々が日本を救って欲しい」と訴えかけた。

 初冬を迎え周囲の木々が紅葉した練習場から会見室に入ってくると、川島はしっかりした口調で語った。日本代表として出場した12日フランス戦後、フランス国営テレビが、自身の腕が4本ある合成写真を放送。司会者が「福島(第1原発事故)の影響ではないか」と発言したことは現地でも大きな波紋を呼んでいる。

 川島 私たち日本人にとって、それは冗談では済まされないことです。非常に悪いジョークだ。福島には今でも家に帰れない人がいる。家を失ってしまった人もいる。私だけでなく、日本にとって、重要な問題なのです。世界中の人々に、日本を救って欲しい。

 被災地の光景が浮かんだのだろう。英語で話すと感極まった表情になり、目頭を熱くした。昨年夏に仙台、冬には原発から近い福島県相馬市、今夏にも岩手を訪問。帰国すれば、必ず被災地へ足を運ぶ。

 川島 原発の被害は、目に見えるものではない。常におびえている人がいる。子供たちは外で遊ぶこともできず、心おきなく(サッカーの)練習もできない。当たり前のことが、当たり前にできない。復興だけでなく、心の傷は簡単には癒えないのです。

 この日の会見は、自ら希望して開いた。自分の口で言いたかったのだという。

 川島 今回の出来事は、日本人がどうあるべきかを示す機会にもなる。僕がどう考えているか、しっかり主張をする。今まではなかったことかも知れませんが、これからの日本人はどうあるべきか。それを伝える責任がある。サッカー以外でも、行動を起こしたい。

 最後に、被災地への思いも残した。

 川島 常に一緒だということを忘れないでほしい。日本人のメンタリティーは世界に誇れるものですから。

 遠いベルギーから発信した言葉の数々。それは、心から伝えたい思いだった。』(10月19日付日刊スポーツ)

【今問われているもの】

福島第一原発の事故で避難された方の被った被害というのは、ご本人しかその痛みとか苦しみというのはわからないというのが正直なところではないでしょうか? 自然災害ならある意味仕方がないとあきらめざるを得ないこともありますが、今回の福島原発事故は国会事故調が指摘するように「人災」以外の何物でもありませんから決してあきらめられるものではないと思います。故郷さえも捨てざるを得ない放射能の災禍というのは筆舌に尽くしがたいものでしょう。同じ日本人でさえ、その苦しみや痛みは福島以外に住む人たちにはなかなか理解できないと思います。ましてや日本から数千キロ以上離れたヨーロッパの人たちには理解するのは難しい。
そんな状況で川島に対するフランスのテレビ局の心ない仕打ちが行われた。それは川島個人というより、福島の人に対する侮辱であり、無理解でした。それに対して川島が涙目でヨーロッパの人たちに訴えたのは立派だと思います。
まず被災地の痛みに寄り添い、被災地の身になって考える、そして堂々と間違いを正す。これから日本人ひとりひとりが持つべき行動規範のようなものを川島が示してくれたと思います。
未だに原発が引き起こしたこの悪夢のような災禍をまるでなかったかのように振る舞い、再び原子力を復権させようと目論む原子力ムラの人間たちにはひとかけらもない行動規範であり、被災者の人たちに寄り添う優しさです。川島のような決意がひとりひとりの日本人に広がっていくことで、腐りきった日本の統治機構や原子力ムラの横暴を根底から覆す原動力になっていくことを信じます。
  



2012年10月19日

【規制委の評価】

原子力規制委員会への厳しい評価について、毎日新聞がインタビュー記事を載せています。

『先月発足した原子力規制委員会は、安全規制の刷新に大きな期待がかかる一方、人選や透明性などについて批判の声も上がる。日本科学者会議福井支部代表幹事の山本富士夫・福井大名誉教授(72)に、規制委の評価を聞いた。【佐藤慶】
 −−規制委をどう見ていますか?

 防災、避難など災害の専門家がいない。災害が発生した場合にどのように避難するのか、災害をできるだけ小さくするためにはどうすればよいのか、どうやって住民、国民を守るのか、という観点で専門的に議論できる立場の人が入っていない。

 現在の委員が議論できるのは、設計ミスに関わる過酷事故時の対応など限られた範囲。それでは国民の安全は守れない。非常に力量不足の委員会だ。また、消費者を代表する委員がいないことも不公平に感じる。

 −−規制委は「原子力ムラ」と決別できますか?

 旧原子力安全・保安院が電力業界からプレッシャーを受けて規制がなし崩しになったのは、国会の事故調査委員会が「規制当局が事業者の虜(とりこ)になっていた」と書いた通りだ。日本原子力学会も、原発推進で固まり、批判する人を排除してきたが、福島第1原発事故後も自分たちの科学者としての見識、社会的責任に対する自覚がない。規制委の田中俊一委員長は、日本原子力研究開発機構出身で日本原子力学会会長も務めており、「原子力ムラ」の最たる人。変化は期待できない。

 −−規制委は40年廃炉ルールの妥当性も検討します。

 科学者なら誰でも気づくと思うが、40年という数値の根拠はあまりない。なんとなく、出てきた数値に過ぎないと思う。老朽化のファクターをきちんと評価できない限り、原発の寿命は分からない。

 −−「30年代に原発稼働ゼロを可能とする」との目標を盛り込んだ「革新的エネルギー・環境戦略」をどう評価しますか?

 原発に依存して、核のごみの最終処分も決まらないまま延々と原発推進でやっていけるはずはない。だから政府が原発ゼロを盛り込んだことは間違っていないと思うが、可能というあやふやな言葉を使うなど信用できない。

 (原発ゼロに向けては)再生可能エネルギーだけではとても持たないので、再生可能エネルギーにシフトする段階ではやはり化石燃料を使わざるを得ない。二酸化炭素排出量が増えても、食料や水、住む場所を絶たれてしまうような原子力災害に比べればましだ。電気料金の上昇も国民が受け入れないといけないだろう。』(10月18日付毎日新聞)

【国民の命を守れない国】

本当にこの国の為政者たちには呆れはててしまいます。この記事にあります原子力規制委員会もそのひとつ。フクイチの事故を受けてようやく発足した原子力規制委員会は、まさに原子力に対する国民の失われた信頼を取り戻すために作られた組織のはずです。しかし、発足からすでに正規の手続きさえ踏まずに、人選と言えば田中委員長をはじめ、この国を破滅の淵に立たせた原子力ムラの人間たちばかり。山本富士夫さんという名誉教授が指摘するとおり、防災の専門家もいなければ、消費者や脱原発の専門家もいない。さらには事務局と言えば市民を取り締まる元警視総監がトップの旧経産相の保安院の職員ばかり。一体何なのでしょうか?次の破局を準備するような組織です。

おそらく、これから数カ月後に自民党が政権を取って再びゾンビのように蘇る原子力ムラの勢力に強力にバックアップを受けて全国の原発の再稼働が粛々と行われていくでしょう。それも強大な権力となった規制委の太鼓判を得ての再稼働ですから誰も文句は言えないし、市民のデモも元警視総監の組織に蹴散らされる日が待っているでしょう。こんな暗黒帝国のような国になりさがった日本は次の破局的な原子力事故の発生で国ごと世界から見捨てられる日が来るのは間違いありません。

それを阻止できるのは市民である僕たちだけ。どんな小さな穴でも見つけてそこから原子力ムラに対抗する手立てを考え抜いていくしかありません。

それにしてもあれほど連日報道されていた原子力関連のニュースはまるで何事もなかったかのように、ほとんど大手メディアの紙面や画面から消滅してしまいました。経団連は自民党にすり寄り、大方の国民は自民党の安倍総裁に原子力帝国の復活を任せようとしています。それでも良識ある人たちはいます。希望を捨てずに頑張りましょう。
  



2012年10月18日

【現地調査】

原子力規制委員会が来月早々に大飯原発の活断層調査を実施するそうです。

『関西電力大飯原発(福井県)の敷地地下で活断層の存在が指摘されている問題で、原子力規制委員会は17日、定例会を開き、来月2日に初めての現地調査を実施することを決めた。年内にも活断層かどうか判断し、運転の可否を検討する。また、Jパワー(電源開発)が建設中の大間原発(青森県)などについても活断層調査の必要性を検討する。

【図で見る】全国の原発の敷地内にある断層の検討状況

 現地調査団のメンバーは、規制委の島崎邦彦委員長代理(前地震予知連絡会会長)のほか、岡田篤正・立命館大教授▽重松紀生・産業技術総合研究所主任研究員▽広内大助・信州大准教授▽渡辺満久・東洋大教授--の計5人。調査の公平・中立性を保つため、過去に原発の安全審査に関わった専門家は外して選考したとしている。

 活断層の疑いが指摘されているのは大飯原発1、2号機と、3、4号機の間をほぼ南北方向に走る「F-6断層(破砕帯)」と呼ばれる地層。旧経済産業省原子力安全・保安院が全国の原発について断層調査を実施する中で、大飯など六つの原子力関連施設について、敷地内に活断層がある可能性が浮上した。

 先月発足した規制委は、全国で唯一稼働している大飯原発を優先して現地調査を実施することを決め、人選を進めてきた。残り5施設についても順次、メンバーと日程を決め、現地調査を行う。

 大飯原発の断層をめぐっては、関電も8月から調査を始めており、月内に中間報告を公表する見通し。【中西拓司】』(10月17日付毎日新聞)


【調査結果と規制委判断を注視】

そもそも大飯の活断層は再稼働の前から東洋大の渡辺満久教授などの専門家がその存在を指摘していたにも関わらず、断層の再調査もせずに再稼働に踏み切っていました。もし活断層であれば、今断層が動いても原子炉に重大な危険が及び、原子炉崩壊といった事態が起これば日本列島が東西に分断されかねない重大なことなのです。それを事業者の関西電力や保安院は今の今まで資料が紛失してないとかいろいろな屁理屈をこねて調査さえしてこなかったのは言語道断でしょう。

今回の調査団のメンバーの中にはその危険性を指摘した渡辺満久教授も入っているということですから、一応学問的、中立的な調査が行われることを期待しますが、調査結果によっては規制委が何らかのバイアスをかけてくる可能性も否定できません。まさに今回の活断層調査は規制委の姿勢をリトマス試験紙にかける最初の「踏み絵」として注視しておきたいと思います。  



2012年10月16日

【CSファイナルへ】

ソフトバンクが日曜日の大敗を引きずることなく、西武を下して札幌に行くことを決めました。

『(パ・リーグ、クライマックスシリーズ第1S、西武2-3ソフトバンク、最終戦、ソフトバンク2勝1敗、15日、西武ドーム)リーグ3位のソフトバンクが、2位の西武を破り、ファイナルステージ進出(17日から札幌ドームで日本ハムと対戦)を決めた。2試合8打数無安打の4番・ペーニャが先制の2点適時打を放つと、4投手のリレーで逃げ切った。

【写真で見る】試合前、客席で爆発物などを探す警察官

負ければ終わりの大一番。秋山采配がピタリと的中だ。打線を組み替えたソフトバンクが四回に2点を先制。“新”1番と、4番が仕事を果たした。

1番に座ったのは右打者の松田。5番に座っていたチーム一番の元気印を持っていくことで、前日の大敗を引きずらずに試合に入ろうという狙いだ。一回の第1打席は三直ながら、当たりは悪くなかった。走者を一人も出せずに迎えた四回、カウント1-2からの4球目、外角の134キロの直球を中前に運んだ。

右手甲の骨折から今月上旬に復帰したばかり。打席数確保のため、レギュラーシーズン最後の2試合は1番に入った。図らずもそれがテストとなっていた。

続く本多の投犠打で二進すると、内川が四球を選んで一死一、二塁とチャンスを広げ、2試合8打席無安打のぺーニャが打席へ。指揮官は前日、「寝てる」と切り捨てていたが、この日も4番に起用した。1ボールからの2球目、内角のスライダーを引っ張ると、打球は左翼手の頭上を越えて一気に2者が生還した。

投げては先発の大隣が、中村に一発を浴びながらも粘りの投球。「特別な投球をする必要はない。12勝を挙げた球を自信をもって投げていってほしい」という斉藤投手コーチの期待に応えた。

八回には内川が適時打を放ち、貴重な追加点。八回は森福がピンチをしのぎ、九回は岡島がオーティズにソロ本塁打を浴びるも、締めくくった。

埼玉・所沢、札幌を経由して福岡帰還へ-。下克上を狙う鷹軍団が第一関門を突破した。』(10月15日付サンケイスポーツ)


【下剋上】

それにしても土曜日の試合とよく似て、最後まで手に汗握らせる戦いでした。ソフトバンクは日曜日の大敗を引きずることなくよくぞ西武を下したと思います。これはまさにチームの勢い以外の何物でもないでしょう。ファイナルでの日本ハムとの戦いも、そして日本シリーズでもやってくれることを期待しています。

ソフトバンクと言えば、そのオーナーである孫正義社長はまさにビジネスの世界で野球にも勝る「下剋上」を成し遂げようとしています。

『携帯電話大手ソフトバンクの孫正義社長は15日夕、東京都内で記者会見し、米同業3位の「スプリント・ネクステル」を買収することで両社が合意したと発表した。ソフトバンクがスプリントの発行済み株式の70%を取得、子会社化する。買収額は約201億ドル(約1兆5700億円)で、来年半ばまでに買収手続きを完了する。両社の日米加入契約数は計約9000万件と、国内首位のNTTドコモ(約6100万件)を上回る。孫社長によると、買収でグループの年間売上高は計約6兆3000億円となり、世界の携帯電話会社で首位のチャイナモバイル(中国)、2位のベライゾン・ワイヤレス(米国)に次ぐ第3位の通信グループが誕生する。』(10月15日付毎日新聞)

買収後のソフトバンクは、その携帯加入契約数で日本最大の携帯電話会社であるNTTドコモを上回り世界第三位に躍り出るとのこと。凄い挑戦です。これを下剋上と呼ばずして何と呼びましょうか。市場ではソフトバンクの財務体質悪化を見越して株価が下げたそうですが、孫社長はそれでも勝算ありとして一歩も引かないようです。野球でも携帯電話市場でも本当にやってくれますね。

大きくなってもファンや顧客のことを忘れないでほしいと思います。
  



2012年10月15日

【待望の釣果】

やっと、やっと、1年ぶりにヒラメをゲットすることができました。

釣れたのは福岡県新宮町の相島浮波止。昨日の日曜日、念願のヒラメは午前10時ごろに僕の釣竿に食いついてくれました。ありがとう、ヒラメくん。

思えば、ヒラメを釣り上げたのは、昨年の10月10日でした。あれからほぼ1年。長い道のりでした。といっても、今年はまだ2回目の釣行です。ここ1年ほど仕事で週末もイベントごとに出ることが多く、なかなか釣りに行けない日が多かったのですが、これで一息です。

【二人で釣行】

今回も、釣り友と二人での釣行でした。午前5時50分、いつものように福岡県の新宮港を遊漁船で出航。気温は15度前後と例年通りでしたが、それでも朝は冷えます。新宮港にも朝4時頃から波止に大勢の釣り人が来てすでに釣りをしていましたが、渡船場にも数隻の遊漁船がすでに来ていて青物狙いの釣り客が大勢集まっていました。僕らの乗る「福昇丸」にも15人の釣り客が乗り込み、船は相島へ向かいました。

6時過ぎには浮波止に上がり、友人は浮波止で釣り開始、僕は相島漁港に行って他の釣り客2人でさっそく餌となる小アジ釣りを開始。なんとか小アジを20尾ほど確保、浮波止に戻って次々とヒラメの仕掛け竿を準備しました。

最初のヒットは、友人の竿に来ました。しかし上げてみるとエソ。そのあとは友人にアオリイカが来た以外はほとんど当たりなし。

満潮時刻の8時40分を過ぎること1時間半、浮波止と浮波止の間に置いていた置き竿がヒット。待望のヒラメをゲットしました。45センチの中型サイズ。やった!!!

釣り友は今回は駄目でしたが、これは順番。きっと次回は大物をゲットするよう祈ってます。

【夕餉の支度に奔走】

さて、1時の船で新宮港に戻り、2時に家についてからが大変でした。直ぐに近くの魚屋さんでさばいてもらい、釣り道具を片付けて夕食の支度です。といっても料理はワイフが手際よくやってくれました。

そして、母を呼んでヒラメの刺身と、それから一緒に釣ったカワハギの味噌汁、子鯛の煮つけ、小アジの唐揚で勝利の美酒を堪能しました。   



2012年10月12日

【黒川委員長へのインタビュー】

少し長い記事ですが、国会事故調の委員長だった黒川清氏の忌憚のないコメントが述べられていますので取り上げました。

『東京電力福島第1原発事故の調査・検証を行った国会事故調査委員会の委員長を務めた黒川清氏(76)が産経新聞のインタビューに応じ、事故の背景には組織のトップが能力でなく、年功序列で決まる仕組みや、いったん決まった方針を見直せない日本社会の体質があったと説明。「今回を変わるきっかけにしないと沈没する」と語った。

◆公開はよかった

--政府や民間なども事故調を立ち上げているが、国会事故調として意識した点は

「調査を一生懸命すると調査した人の価値判断がでてきてしまう。それを避けるため、できるだけファクト(事実)だけを書き、判断を加えないようにした。報告書では『原子力ムラ』とか『安全神話』とかいう言葉は使っていない。使った途端、読んだ人は『そうだよね』となる。事実を淡々と述べるだけにした」

--関係者への聴取を原則公開でやったという点も、他の事故調にはない特徴だった

「20回の委員会は全部オープンでやったし、ウェブサイトでも中継した。英語の通訳も入れた。プロセスの透明性も大事だし、参考人の人たちが、どういう反応をするかは、私たちの評価ではなく、みんなに見えるようにしたかった」

--公開には長所と短所があったと思うが



•未曽有の原子力災害 事故調はどこまで…

•日本の運命を変えた 事業者のいいなり…


「38人を参考人として呼んだが、一人も断らなかった。東電は私企業だから、資料も出さなくても良いが、出さなかったら出さなかったと書くだけだった。しかし、東電は資料も、テレビ会議映像も見られるようにしてくれていた。菅直人首相(当時)が東電本店に乗り込んだときの(テレビ会議)映像については『音声がない』と新聞社などが騒いだ。結局、東電も映像を公開しなければいけなくなった。公開はよかった」

◆行政府チェックを

--報告書では事故を「人災」と断罪した

「責任あるポストの人は責任あることをしないといけない。その人が知っていてやらないとどうなるか。それがボロボロ出てきたのが今回の事故。これまでに世界中で原子力の事故は起きている。米国ではスリーマイル島の事故後にリポートが出たが、その内容は私たちの報告書に似ている。30年前に起きたことが日本で起きている。日本は事故のことを知っていた。知らないならともかく、日本は先進国。しかも原子力を輸出しようとしている国だ。知っていてやらないのは人災以外の何ものでもない」

--なぜ、そういう状況になったのか

「エネルギー不足が深刻な時代に、国家戦略として原子力を始めたが、役所は前に進むことしかしない。ガバナンス(統治能力)がないため、日本は止めることを知らない」

--日本の社会自体に問題が潜んでいる?

「日本社会は大企業も役所も年功序列だ。能力で適材適所に置かないから、能力がない人がトップにいる問題がある。東電は地域独占型の企業。地域独占だと選挙を応援することになるから政治ともくっつく。みんな原発を推進するという方向でグルになっていた」

--政治家にも責任があるということか

「日本では政治が全然駄目で、行政府をチェックするメカニズムがない。日本は役所が全部政策を作り政策も執行する。役所に作らせている限りは、自分たちの利権を守ろうとするので変わるわけがない。国会事故調は立法府が初めて機能した事例だろう」

◆単純思考は駄目

--日本社会や日本の政治は変われるか

「今回を変わる始まりにしないと日本は沈没する。どうしようもない上の人間を排除しないといけない。組織の中に女性と若い人、外国人を入れれば違う考えが出てくる。それがプラスになる。年寄りは違う考えが思いつかないし、思いついても否定するだけだ」

--原子力規制委員会も発足した

「報告書でも新規制組織では、(出身の役所に戻らない)『ノーリターンルール』にしろと提言したが、原子力規制を本当に自分のキャリアにしようとする人を集めるべきだ。どんどん海外の研修に行かせればいい。10年もすれば国際的なキャリアとなり、世界から評価されるようになる」

--日本は今後も原発を持ち続けていいか

「しっかり頭を使って世界の動向をみないといけない。イエスかノーの単純思考では駄目だ。(原発立地の見返りに交付金を自治体に出す)電源3法などの歴史もある。突然変わるというのでなく、もう少し議論すべきだ」』(10月11日付産経新聞)


【問題だらけ】

黒川委員長は1年近くにわたって公開でしっかりと福島第一原発の原因解明に努力されただけあって言葉の重みが違います。 黒川氏は「今回を変わる始まりにしないと日本は沈没する」ときっぱりと断言しています。まさにその通りです。そして変わるべきものとして、年功序列で適材適所に人材は配置されず、トップが無能で誰も責任を取らない日本社会全体だとして、特に行政府の無能、さらにはそれをチェックすべき政治の無能も指摘されています。フクイチ事故以降1年半経っても、保安院や原子力安全委員会は看板を替えただけで役所が焼け太りして、政治家は選挙対策ばかり考えて真剣に原子力政策を根本的に変えようとしない現状はまさに黒川氏の指摘するとおりでしょう。

国会事故調による報告書を、作成を指示したはずの国会が真剣に審議しようとしていない実態を見れば、政治家が依然として無能だということは明白です。これで総選挙になって自民党が主導権を握ればさらに脱原発への道のりは後退を余儀なくされるでしょう。この問題だらけのニッポンを少しでも前に前進させることができるのは、市民である僕たちの粘り強い戦いしか残されていないことを知るべきでしょう。

《参考》【プロフィル】黒川清(くろかわ・きよし) 政策研究大学院大学教授。昭和11年9月11日生まれ。東京大学医学部を卒業後、44年に渡米。ペンシルベニア大学医学部生化学助手を経て、54年にはカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部内科教授となる。58年に帰国以後、東大医学部内科教授、東海大学医学部長、日本学術会議会長などを歴任。平成18年には安倍晋三内閣で内閣特別顧問にも就任した。福島第1原発事故では、国会に設けられた事故調査委員会の委員長を務め、今年7月に同事故は「人災」だったとする報告書をまとめた。  



2012年10月11日

【原発の新増設】

経産相は未着工原発の新増設は認めないそうです。

『枝野幸男経済産業相は9日の記者会見で、計画中で着工前の原子力発電所9基への原子炉設置について原子力規制委員会から意見を求められた場合、反対する考えを明らかにした。原子炉等規制法では、電気事業者から原子炉設置許可申請が出た場合、経産相の意見を聞くことを規制委に義務づけた。枝野氏は政府の「脱原発依存」方針を鮮明にしたが、意見は認可の際の参考にされる程度で、新増設を止める法律上の決定打にはならない見通しだ。

【枝野経産相】未着工原発「自主撤回を」電力会社に促す考え

政府は先月14日に決めた「革新的エネルギー・環境戦略」で、原発の新増設をしないことを明記しており、枝野氏は「原子力規制委から意見を求められれば、戦略に基づいて、新設すべきではないという意見を出す」と述べた。

全国で計画中の原発は9基。このうち6基は住民同意を得て新増設に向けた手続きが進んでおり、日本原子力発電敦賀原発3、4号機(福井県敦賀市)と中国電力上関原発1号機(山口県上関町)は事業者側から経産省に設置許可申請が出され、規制委発足とともに審査権限は規制委に移管された。設置許可が下りれば電気事業者は工事計画を策定し、規制委の認可を経て原発が着工される。

規制委設置の法案審議の際、原案では経産相が同意しなければ原子炉設置許可は出ない仕組みだった。しかし、規制委の権限強化を訴えた野党の修正で、経産相は意見聴取を受けるにとどまり、権限が大幅に縮小された。このため、経産相の意向で原子炉設置を止めることはできないこととなり、資源エネルギー庁は「経産相しか知り得ない安全に関する意見なら重視されるが、それ以外の意見では聞き置くだけになるのではないか」と見ている。【丸山進、中西拓司】』(10月10日付毎日新聞)

【規制委員会への政治介入排除】

規制委員会は現在、フクイチによって崩壊した原子力の安全に関する国民の信頼を回復すべく様々な取り組みを行っていると聞いています。その取り組みを真に国民のための取り組みとするために、規制委員会の設置法案は審議され、国会を通過し、その法律は出来あがったと聞いています。今回問題になっている経産相の権限についても法律では当初原案より大幅に縮小され、経産相がいくら原発の新増設を止めたいと思っても規制委はそれを参考意見としか聞かないとのこと。それはそれで政治介入を排除するという目的で筋が通っているのかもしれません。

しかし、それもこれも規制委が国民に信頼できる機関なのか、原子力災害から国民を本気で守る気があるのかという根本的な部分がクリアされての話です。そこは規制委のメンバーの任命の過程、その後の規制委の審議の傍聴監視を公安に委ねるといった動きを見ていると、クリアされていないと僕は見ています。フクイチで権威を失墜した役所が名前を変えて規制委の事務局となり、そのトップには原子力推進をやってきた人たちが平然と座っている。旧原子力安全委員会と保安院の完全な焼け太りだと見られても仕方ないのではないでしょうか。規制委とその事務局は、先ず国民に一点の疑念も抱かせないようなクリーンな機関であることをひとつひとつ丁寧に示していかなければ、どんな議論を尽くしても、外見はどんな立派な安全規制を作り上げても、国民の真の信頼は得られないでしょう。

権限ばかりが肥大した規制委には不断の国民の監視が求められるし、もっといえば規制委を監視する第三者機関もしくはオンブズマンが必要なのではないでしょうか。
  




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海や山、自然が好きな九州男児です。あらゆる機会をとらえて、時代の変化をいつも感じていたいと思っています。
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