2012年04月03日

【「地元」の範囲】

原発の再稼働に対する同意を求める「地元」とはどこまでを指すのかが問題になっています。

原発立地の「地元」とはどこか?『関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に関連して、政府が了解を求めるべき「地元」の範囲が大きな焦点になっていた。枝野幸男経済産業相は2日、京都、滋賀両府県知事の理解が前提との認識を表明。これに対し全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)会長の河瀬一治敦賀市長は「立地自治体が『地元』」と範囲拡大の動きをけん制した。了解の必要な範囲を隣府県に広げれば、再稼働に時間がかかるのは必至で、立地市町には戸惑い、反発の声がある。(原発取材班)

 再稼働をめぐっては、野田佳彦首相と関係3閣僚が3日に協議。その後、地元の理解を求める段階に入る。ただ、政府のいう「地元」の範囲は明確ではない。

 原発の防災対策の重点地域を国の方針より広い43キロまで設定する滋賀県の嘉田由紀子知事、大飯原発の半径30キロ圏内に約6万7千人が暮らす京都府の山田啓二知事は、いずれも「地元」に当たるとの立場。29日には安全性が確認できない状況での再稼働に慎重、反対の考えを示した。

 また、大阪府と大阪市でつくる府市統合本部エネルギー戦略会議は、原発から100キロ圏内の自治体と安全協定を締結するよう関電に求めることを検討している。

 一方、河瀬市長は2日の記者会見で「周辺(自治体)が福島の事故を受けて心配するのも理解できる。原子力災害があったときは日本全体が補償の対象地域」と語る一方で「(地元了解の)範囲が広すぎると収拾がつかない」と指摘。あくまで立地県と立地市町を「地元」とすべきだと強調した。

 県としても、原子力事業者と結ぶ安全協定の趣旨やこれまでの歴史的経緯から、「地元」は県とおおい町との認識。県の石塚博英安全環境部長は取材に対し「安全協定の趣旨に基づき、原発の安全や再稼働の是非について国や事業者をチェックするため暫定的な安全基準の提示を求めている」と説明した。

 ただ、おおい町の時岡忍町長は「町としては発言できる立場でなく、コメントは差し控えたい」とし、「地元」の範囲についても「国が決めること」とした。

 参院予算委の答弁で枝野経産相は、地元の範囲について「線引きはすべきでない」「より近いほど影響は大きく発言は重い」とする一方、両府県の意向も受け止めて判断する考えをにじませた。再稼働に向けた調整が長引くのは確実で、立地市町には「政府は本当に再稼働させるつもりがあるのか、真意が分からない」といぶかる声も出ている。』(4月2日付福井新聞ONLINE )


【「地元」とは日本全体】

正直言って、今ごろ何を言っているのかと言いたいです。昨年の3月11日以降、日本の大多数の国民はすでに「地元」とはどこかについて直観的に肌で感じているのではないでしょうか。時代は3/11のbefore/afterでまるっきり変わったのです。もうフランスがどうだとか、中国がどうだとかではない、原発のシビア事故を経験したニッポンの国民にとっては「地元」がどこかなど議論の余地がないことなのです。そんなことを話題にするのは、原発から得られる利益を享受したい人たちだけです。どんなに原発推進をしてきた人たちが抵抗しても、その肌感覚は覆すことができないでしょう。

すなわち、「地元」とは日本全体です。原発の再稼働だけでなく、原発の存続の是非を決めるのは原発の周囲5キロとか10キロの何とか町や、その市町村がある県にとどまるわけがない。フクイチの核惨事がそれを証明したのです。しかもフクイチの事故は今まで起こった事故の中で最悪だったということに過ぎず、これから先、フクイチ以上の事故が起こって、何万人いや何十万人もの人々が急性放射線障害で死に至り、半径数百キロの範囲の市や町がどんな生物も住めない場所になる可能性は十分にあるのです。

百歩譲ってそんな原発の「地元」の範囲を現実的なところまで狭めるとしても数百キロになるでしょう。フクイチの核惨事とはそういうことだったということを原子力ムラの人間たちは認めるべきでしょう。それほどの大事故が日本で起こったということを。今までの「地元」と言われていた市町村、そして電力会社、原子力安全・保安院はそのことを正直に認めるべきです。もうあなたたちの都合のいいようには事は進まないのです。


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