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2011年10月31日
【事故後の初試算】
とても本当だとは信じがたいというのが正直な感想です。
『原子力発電にかかるコストを試算している、国の原子力委員会は、事故が起きた場合の追加的なコストについて、1キロワットアワー当たり最大で1円程度とする、初めての試算をまとめました。これまでの原発のコストに上乗せしても、ほかの発電方式より依然安くなっていますが、今回の試算には広範囲にわたる除染費用などが含まれず、委員の間から異論が相次ぎました。
原子力委員会の25日の会合では、福島第一原発事故を踏まえて、深刻な原発事故が起きる確率と事故にかかる損失額を基に、事故が起きた場合のコストを算出しました。このうち、事故の確率は、福島第一原発事故を参考に、500年に1回起きるとする場合から、国際的な安全目標である10万年に1回の場合まで、幅を持たせました。そのうえで、損失額は、避難の費用や風評被害などの損害賠償に加えて、廃炉の費用を合わせて、1基当たり3兆8800億円余りと算出しました。ただ、森林を含めた広範囲に及ぶ除染費用や廃棄物の保管費用などは、正確な金額がまだ分からないとして含まれませんでした。この結果、事故が起きた場合のコストは、1キロワットアワー当たり1.2円から0.0046円になると試算されました。
これに対して委員の1人は、除染や廃棄物の費用などを含めると損失額は48兆円に上るとする独自の試算を提示し、コストは1キロワットアワー当たり最大で16円になると主張しました。議論の結果、独自の試算も参考として併記したうえで、事故が起きた場合のコストは0.1円から1円として、政府の委員会に報告することで合意しました。原発のコストは、過去の試算では1キロワットアワー当たり5円から6円とされ、25日に合意した事故のコストを上乗せしても6円から7円程度で、依然、ほかの発電方式より安くなっています。座長を務める、鈴木達治郎原子力委員長代理は、「試算の参考にした数字には不確定なものが含まれるので、参考にする場合は、議論の前提や内容をよく理解していただきたい。特に損失額はまだ分からないので、あくまで現時点での報告だ」と話しています。』(10月25日付NHK)
【重要な論点】
僕は10月17日のブログ記事「発電コスト見直し-要監視」において、原発のコスト比較は今後の原子力エネルギー見直し論議の中で重要な論点になると次のように指摘しました。
『電源別の発電コストについては、以前も何度かお伝えしていますが今後原発をどうするかの議論を進めていく際に、最も重要な論点となるのは間違いありません。それがわかっているから従来から経産省は原発の発電コストは安いという宣伝を自らやったり、日本エネルギー経済研究所などの同省所管の外郭団体を使ったりしてきました。もちろん、その計算根拠をすべてつまびらかにすることなく、自分たちの都合のいいデータだけだして言わば国民をだましてきたのです。
福島第一原発がこれほどの核惨事を起こして、まさに日本が壊滅するのではないかという瀬戸際までのリスクを経験した以上、これからはこんなでたらめなことは絶対に許してはいけません。市民がしっかりと経産省をはじめとする原子力ムラを監視していかなければならないのです。
そんな中で政府の「エネルギー・環境会議」が電源別エネルギーコストの見直しに当たって、原発について、事故に備えた賠償費用や安全対策費のほか、立地補助金などの政策経費もコストとみなす方向を決定したとのことですが、これとて真正直に信じていいのかどうか慎重に見極めなければなりません。まずは議論を公開して議論の途中でも細部までデータのすべてを国民の前に示しながら見直しを進めていくことが最低条件でしょう。そうでなければまた最後のところで自分たちの都合にいい方向にもっていこうとするのは見ているからです。』
そして、今回の原子力委員会で出された電源別発電コスト。案の定というか、やっぱりというか、まるで初めに結論ありきのような結果が出てきました。福島で未曾有の核惨事を起こしても、不確定な要素が多いからと除染費用や賠償費用は含まずに、1円程度のコスト上昇として他の電源よりも安いというものです。
しかも、例によって確率論とやらで10万年に1回の確率で試算していた原発の過酷事故は、福島を経験して500年に1回の確率も考慮するとか。まだ日本で原発が稼働し始めて30年ほどしか経っていないのに福島の核惨事を引き起こし、それ以前にもさまざまな原発事故を起こしているにもかかわらず未だ500年に1回ですか、市民感覚からすると到底信じられない数字です。
僕らは素人なので理論だった反論はできませんが、まさに今この時も福島周辺の子供たちを中心に放射能の恐怖にさいなまれているという命の現実を無視して冷酷な数値計算で自分たちの都合のいい数字を並べたてる人たち。
以前にも述べましたが、この原発問題に関しては徹底的に議論を公開して議論の途中でも細部までデータのすべてを国民の前に示しながら見直しを進めていくことが最低条件です。どんなごまかしも許すべきではないと思います。民間の調査機関や研究者の方々にはそんなごまかしを明らかにする勇気ある調査や議論を望みます。
とても本当だとは信じがたいというのが正直な感想です。

原子力委員会の25日の会合では、福島第一原発事故を踏まえて、深刻な原発事故が起きる確率と事故にかかる損失額を基に、事故が起きた場合のコストを算出しました。このうち、事故の確率は、福島第一原発事故を参考に、500年に1回起きるとする場合から、国際的な安全目標である10万年に1回の場合まで、幅を持たせました。そのうえで、損失額は、避難の費用や風評被害などの損害賠償に加えて、廃炉の費用を合わせて、1基当たり3兆8800億円余りと算出しました。ただ、森林を含めた広範囲に及ぶ除染費用や廃棄物の保管費用などは、正確な金額がまだ分からないとして含まれませんでした。この結果、事故が起きた場合のコストは、1キロワットアワー当たり1.2円から0.0046円になると試算されました。
これに対して委員の1人は、除染や廃棄物の費用などを含めると損失額は48兆円に上るとする独自の試算を提示し、コストは1キロワットアワー当たり最大で16円になると主張しました。議論の結果、独自の試算も参考として併記したうえで、事故が起きた場合のコストは0.1円から1円として、政府の委員会に報告することで合意しました。原発のコストは、過去の試算では1キロワットアワー当たり5円から6円とされ、25日に合意した事故のコストを上乗せしても6円から7円程度で、依然、ほかの発電方式より安くなっています。座長を務める、鈴木達治郎原子力委員長代理は、「試算の参考にした数字には不確定なものが含まれるので、参考にする場合は、議論の前提や内容をよく理解していただきたい。特に損失額はまだ分からないので、あくまで現時点での報告だ」と話しています。』(10月25日付NHK)
【重要な論点】
僕は10月17日のブログ記事「発電コスト見直し-要監視」において、原発のコスト比較は今後の原子力エネルギー見直し論議の中で重要な論点になると次のように指摘しました。
『電源別の発電コストについては、以前も何度かお伝えしていますが今後原発をどうするかの議論を進めていく際に、最も重要な論点となるのは間違いありません。それがわかっているから従来から経産省は原発の発電コストは安いという宣伝を自らやったり、日本エネルギー経済研究所などの同省所管の外郭団体を使ったりしてきました。もちろん、その計算根拠をすべてつまびらかにすることなく、自分たちの都合のいいデータだけだして言わば国民をだましてきたのです。
福島第一原発がこれほどの核惨事を起こして、まさに日本が壊滅するのではないかという瀬戸際までのリスクを経験した以上、これからはこんなでたらめなことは絶対に許してはいけません。市民がしっかりと経産省をはじめとする原子力ムラを監視していかなければならないのです。
そんな中で政府の「エネルギー・環境会議」が電源別エネルギーコストの見直しに当たって、原発について、事故に備えた賠償費用や安全対策費のほか、立地補助金などの政策経費もコストとみなす方向を決定したとのことですが、これとて真正直に信じていいのかどうか慎重に見極めなければなりません。まずは議論を公開して議論の途中でも細部までデータのすべてを国民の前に示しながら見直しを進めていくことが最低条件でしょう。そうでなければまた最後のところで自分たちの都合にいい方向にもっていこうとするのは見ているからです。』
そして、今回の原子力委員会で出された電源別発電コスト。案の定というか、やっぱりというか、まるで初めに結論ありきのような結果が出てきました。福島で未曾有の核惨事を起こしても、不確定な要素が多いからと除染費用や賠償費用は含まずに、1円程度のコスト上昇として他の電源よりも安いというものです。
しかも、例によって確率論とやらで10万年に1回の確率で試算していた原発の過酷事故は、福島を経験して500年に1回の確率も考慮するとか。まだ日本で原発が稼働し始めて30年ほどしか経っていないのに福島の核惨事を引き起こし、それ以前にもさまざまな原発事故を起こしているにもかかわらず未だ500年に1回ですか、市民感覚からすると到底信じられない数字です。
僕らは素人なので理論だった反論はできませんが、まさに今この時も福島周辺の子供たちを中心に放射能の恐怖にさいなまれているという命の現実を無視して冷酷な数値計算で自分たちの都合のいい数字を並べたてる人たち。
以前にも述べましたが、この原発問題に関しては徹底的に議論を公開して議論の途中でも細部までデータのすべてを国民の前に示しながら見直しを進めていくことが最低条件です。どんなごまかしも許すべきではないと思います。民間の調査機関や研究者の方々にはそんなごまかしを明らかにする勇気ある調査や議論を望みます。