2010年03月09日

【深刻な不足】

原発の現状と今後に対する困難な状況が政府から報告された。

変わらない無策―政府の原発計画『原子力発電所の現在の新設計画(14基)がすべて実現しても、2030年以降の20年間にさらに20基の新設が必要という試算を資源エネルギー庁がまとめた。既存原発の寿命による廃炉の目減り分を埋め合わせるためで、現在よりハイペースな「年平均1基の新設」を実現しなければならない困難な状況が浮かび上がった。

 5日に開かれた総合資源エネルギー調査会原子力部会で報告された。同庁によると、現在国内で稼働中の原発は54基、総出力は約4900万キロワット。国は温室効果ガス削減対策の一つとして原発を位置付けており、20年までに温室効果ガス25%減(1990年比)という方針の実現には8基の新設が必須となる。30年までにはさらに6基の新設を計画している。

 これらが完成した場合の総出力は約6800万キロワット。この出力を維持するには、既存原発の寿命を現在の40年から60年に延長しても30~50年の20年間に150万キロワットの大型原発20基が必要だと分かった。

 既存原発には増設の余地は乏しく、新たな立地選定が課題となる。一方、寿命を40年のままとすると30年時点で3000万キロワット、寿命50年でも1500万キロワット分が不足する計算になるという。

 試算は、人口減少や家庭の電化、電気自動車の普及など今後の電力需要の見通しや、再生可能エネルギーの拡大などは考慮していない。一方、中部電力浜岡原発1、2号機(計138万キロワット)のように寿命前にコスト判断で廃炉が決まるケースもあり得るなど、流動的な面もある。

 部会では「稼働率向上や点検間隔の延長など(発電量を増やす)目先の政策だけしか論議されていない。新設を継続するために国が何をするかの政策がない」などの厳しい意見が相次いだ。』(3月6日付毎日新聞)


【変わった風向き】

変わらない無策―政府の原発計画日本の商業用原子力発電所は東海村で1966年にスタートした。それからほぼ半世紀。深刻な事故を何度も経験しながらも、2010年2月末現在でこの狭い日本の国土に稼働中の原発は54基。数の上ではアメリカ、フランスに次いで3番目だ。

1986年のチェルノブイリ原子力発電所の大事故からすでに24年近くが経過し、事故の教訓もそれなりに取り入れて、大地震などの自然災害による事故を除けばあの事故ほどの大惨事は幸いにも起きていない。

しかも、あの事故以来世界中に吹き荒れた反原発の嵐の中、1990年代まではアメリカでは新規原発の着工がストップ、欧州でもフランスを除いて脱原発のうねりが世界を席巻していた。日本も脱原発の動きにまではならなかったものの、原発建設がしばらく停滞した。

しかし、2000年代以降、エネルギー価格の高騰と地球温暖化問題の認識が原発への風向きを大きく変えた。世界は再び、それらの理由を背景に原発への傾斜を強めている。

【無策が生んだ原発依存】

日本政府も放射性廃棄物や原発事故の可能性など様々な問題を抱えて原発推進のための理由付けに困っていたところに、今は、地球温暖化問題が広く認識され、原発が温室効果ガスを出さないという地球温暖化の解決のための有力な手段と説明できるようになったことでまさに「渡りに船」のような状況になっているのだ。(僕は政府のそのような説明には納得していない。残念ながら、原発推進は地球温暖化問題の根本的な解決につながらないと考えている。日本の場合には特に原発に偏ったエネルギー政策が今日の日本の選択肢を狭めている原因のひとつなのだ)

しかし、チェルノブイリ事故をきっかけに人間や自然環境と根本的に相いれない原子力エネルギーに対する真剣な見直しを行い、エネルギー多消費社会のパラダイムの転換を図ろうとしたドイツを中心とする欧州各国とは違い、大量生産・大量消費社会の現状を容認したまま走り続けた日本は、原発依存政策の代償として地球温暖化への対応のための根本的なパラダイムシフトである自然エネルギーを活用した新しい社会の構築に乗り遅れたため、さらなる原発依存への道しか残されなくなってしまっているのだ。今の政権党の民主党もそういう意味では原発依存から抜け出せないだろうし、そうなれば日本社会全体での自然エネルギーへの抜本的な転換も世界から大幅に遅れていくだろう。

その挙句の果てが政府の無策を自ら吐露する今回のようなレポートである。あと何基造らなければ間に合わない・・・・一体何回聞かされたことか。そして、再び災難は忘れたころにやってくるのである。もういい加減に目覚めたらどうだろうか。



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