2011年09月12日

【賛否両論】

原発を巡る議論に想うここ数日、西日本新聞のトップ紙面に『考・原発 「フクシマ」半年』という各界の著名人に原発に関する意見を求めた特集が組まれています。9月6日の菅原文太氏から始まって9月10日の岡村正氏(日本商工会議所会頭)でまだ5人目ですが、賛否両論様々な意見があるものだと思います。

これから何回かに分けてこの特集に出てくる著名人の方々の意見について自分なりの意見を述べて行きたいと思いますが、先ずは自分の原発に対するスタンスと今まで出てきた方々を参考に原発を推進する方々の一般的な共通点や特徴的な部分について明らかにしておきたいと思います。

【原発に対する僕のスタンス】

僕自身はこのブログの中で3月11日以降原発問題を追いかけていく中でも述べていますが、福島第一原発の核惨事以後は明確に即時原発停止が必要だし、可能であると考えるようになりました。

必要だと言う意味は、菅前首相が原発推進から脱原発に方向転換するに至った理由と同じです。菅氏の言葉がそのまま自分にも当てはまるので引用します。

(菅前首相の発言) 『地震・津波・原発の「3重のリスク」を負っている場所は、米国西海岸と日本列島と、世界に2か所しかありません。しかも日本は広大ではないので、原発事故が最悪のケースになれば、国家の機能が停止してしまいかねません。従来考えていた安全性の発想では、そんなリスクには耐えられないでしょう。そういうことを踏まえると、原発依存度を下げて、原発に頼らなくてもいい社会を目指すのが一番の安全性じゃないか、と考えが変わりました。』

すなわち、即原発を止める必要があるというのは、日本という地震大国に原発のリスクはあまりにも大きすぎるからという理由が最大であり、これ以外のいかなる理由もこのリスクを越えるほどのものではないと僕は考えています。もちろん原発推進側の人たちが原発が必要とする理由として挙げる電力不足の懸念や原子力技術の温存の必要性なども国家を崩壊させるようなリスクほどではない、努力すれば克服できるということです。したがって、大きな痛みを伴うものであっても国家の崩壊よりは原発即時停止のほうがまだいいという考え方です。

また、即原発を止めることは可能であるという理由は、原発がなくても電力は不足しないということがこの夏の電力事情や様々な文献を読むうちにわかってきたからです。もちろん即原発を止めれば電力会社の経営や原子力産業が大きな痛手を被り、少なからず国民の負担も一時的には増えることになると思います。しかし、国家目標としてきちっと脱原発の方針を定め、当面は効率の高いコンバインドサイクル・ガスタービン等の稼働率を高めることでしのぎ、将来的に自然エネルギー等も少しずつ増やしていけばこの難局を乗り切れると思っています。必要なのは今までのような原子力ムラぐるみの、自分たちの利益ばかりを優先し、安全をないがしろにする国民を愚弄するような原発オンリーのエネルギー政策ではなく、国民の大多数が納得できるような未来に希望の持てるより現実的なエネルギー政策の目標を持つことです。

【原発を推進する人たちが言わないこと】

そういう脱原発のスタンスなので、どうしても今回の西日本新聞の特集などを読んでいても原発を推進しようとする人たちの嘘やまやかしが見えてしまいます。

原発を巡る議論に想う今まで登場している人の中でも寺島実郎氏(多摩大学学長)や岡村正氏(日商会頭、東芝相談役)はそれぞれの立場からある程度の原発依存からの脱却は認めつつも、寺島氏は日本が原発から撤退すれば原発の安全技術が失われるからよくないとか、岡村氏は早急に脱原発を目指すには慎重な検討が必要だとか言ってある意味「逃げて」います。

しかし、彼らのような原発維持もしくは推進を目指している人たちが意見を言う時に共通していることで僕が許せないと思うことがあります。

原発を巡る議論に想うそれは、彼らは現在の原子力の体制がフクシマの核惨事を起こしたこと、現在の大規模な放射能汚染の責任を負っていること、現在苦しんでいる人々をどうするかについてほとんど言及しないか、敢えて言及することを避けているのではないかということです。(もちろんそれは自分たちの原発推進の論拠にマイナスに働くからだと思います)

そしてもうひとつは、僕の脱原発の論拠である国家を壊滅させるようなリスクが原発にはあって、日本は地震大国というひとつを取ってみても、またフクシマを起こしたような目茶苦茶な安全に対する無防備な体制しかないことをどう考えるのかについてもほとんど言及しない点です。

自分たちの都合のいいことばかり言っても、3/11で実際に多くのヒバクシャが出た以上はこの2点についてきっちりと説明しなければ彼らの言うことは信用できません。

みなさんはどう思われますか?

≪参考≫

・「菅首相と原発―週刊朝日インタビュー 」・・・2011年8月19日付の僕のブログ記事



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原発廃止、賛成です。
実際、電力はそれほど不足していないことが私たちには分かりました。まずはこの先原発無しでやっていく決断を。今回これほどのダメージをもたらした原発事故がさらに増えることには我慢できません。
誰もが尊厳を持って生きてゆく権利を有すると書いてある日本国憲法、もう一度思い出しましょう。

Posted by komorebigarden at 2011年09月12日 11:24

昨日のテレビ番組を見ていて
福島原発スタッフは先を予想しきらん
ナンチャッテ専門家ばかりの集団のようでしたね!

Posted by ji-anji-an at 2011年09月12日 11:52

チェルノブイリの事故のときは遠いロシアでの出来事でしたが、今回はフクシマやその周辺地域で実際に被爆した人が多数でているという現実を政治家は重く、重く受け止めるべきだと思います。他の国ならともかく地震が頻発するニッポンではさらなる原発事故で第二、第三の被爆者そして核汚染による広大な土地の放棄は避けられません。選択肢は早急な脱原発しかありません。

Posted by luckymentai at 2011年09月13日 09:26

ji-anさん、コメントありがとうございます。Ji-anさんのユーモアいっぱいのコメント大好きです。深刻な中にもユーモアは必要ですね。

Posted by luckymentai at 2011年09月13日 09:28

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