2010年03月15日

【廃止の決断】

世帯数21千、人口58千という佐賀の町の大きな祭りが廃止の決断を迫られました。

変わる日本の風景―伊万里の祭り廃止『 「日本三大けんか祭り」の一つとして知られる佐賀県伊万里市の「伊万里トンテントン祭り」で、メーンとなる合戦が廃止されることが決まった。2006年に男子高校生=当時(17)=が担いでいただんじりの下敷きになって死亡する事故があり、遺族の意向を重視した結果だ。祭りを主催する奉賛会の渋田正則会長は「長く続いた合戦をやめるのは大変な決断だったが、遺族の気持ちはよく分かる」としている。
 約550キロのだんじりと約600キロの荒みこしを組んで押し倒す合戦は、勇壮なけんか祭りの象徴。しかし、毎年けが人が絶えず、死亡事故の翌年からは3年連続で中止されていた。』(3月13日付時事通信) 

【伝統と責任】

正直、僕自身はこの記事を読む前までは「伊万里トンテントン祭り」というお祭りの存在を知りませんでした。しかし、このお祭り、決してマイナーな祭りではなく、新居浜の太鼓祭り、飯坂の喧嘩祭りと並んで日本三大喧嘩祭りとして全国的に有名なお祭りなのです。

歴史的には、この地方の五穀豊穣を祈願する香橘神社(こうきつ神社)と豊漁を祈願する戸渡嶋神社(ととしま神社)の祭礼争いが発端とする説が有力で、争いが絶えないためにルール化した喧嘩祭りとして発展させたのだそうです。

しかしながら、荒神輿(あらみこし)と団車(だんじり)をぶつけ合う合戦形式のお祭りは以前から事故が絶えず、ついに2006年には高校生の死亡事故が発生、その遺族の損害賠償の姿勢が祭りの廃止という決断につながったわけです。

たとえ伝統ある神事であっても、その主催者には個人の命に対する責任が厳然と存在する。当たり前のことなのですが、過去においては国家や伝統が個人よりも重視されていた社会が今大きく変わりつつあるということでしょう。

伊万里トンテントン祭りの廃止も現代という時代が大きく変わりつつあるという事例のひとつなのかもしれません。



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