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2012年07月06日

【国会事故調、報告提出】

国会の事故調が事故から1年3カ月以上経ってようやく最終報告書を提出しました。

『東京電力福島第1原発の事故原因などを調べてきた国会の事故調査委員会(国会事故調、黒川清委員長)は5日、根源的な原因は「『自然災害』ではなく明らかに『人災』である」との判断を示した報告書を公表した。地震・津波対策を立てる機会が過去、何度もあったのに、政府の規制当局と東電が先送りしてきたと断定。その背景に「組織的、制度的問題」があると指摘した。

 報告書は641ページ。衆参両院議長に提出した。

事故の根源的な原因として、経済産業省と密接な関係にあった東電が、歴代の規制当局に規制の先送りや基準を軟化するよう強い圧力をかけ、「規制する立場と、される立場の『逆転関係』が起き、規制当局は電気事業者の『虜(とりこ)』になっていた」とした。

 その結果、経産省原子力安全・保安院の「原子力安全についての監視・監督機能が崩壊していた」とし、東電を「自らは矢面に立たず、役所に責任を転嫁する黒幕のような経営体質」と断じた。

 事故の直接的な原因として「事故は津波が要因」との見方を否定する見解も盛り込んだ。政府の事故調査・検証委員会(政府事故調、畑村洋太郎委員長)の中間報告書(昨年12月公表)や、東電の社内調査報告書(今年6月公表)は「非常用電源の喪失は津波による浸水が原因」との見方を示してきた。

 しかし国会事故調の報告書は、津波の到達時間などを検証した結果、少なくとも1号機の非常用電源の喪失は津波によるものではない可能性があると指摘した。原子炉圧力容器の圧力を下げるための弁が作動していなければ、「1号機では地震の揺れによる小規模の冷却材喪失事故が起きていた可能性がある」とした。

 東電が原発からの「全面撤退」を検討したとされる点は「東電内部で全面撤退が決まった形跡はなく(官邸側の)『誤解』だった」と結論付けた。

 ただ、誤解を生んだ最大の責任は「民間企業の経営者でありながら、自律性と責任感に乏しい清水(正孝元)社長が、あいまいな連絡に終始した点に求められる」と指摘。「東電は、官邸の誤解や過剰介入を責められる立場になく、そうした事態を招いた張本人である」とした。

 事故後の対応では、保安院や東電の説明不足に不信感を募らせた官邸が現場に介入したとし、「情報を把握できないまま介入し混乱を引き起こした。事故の進展を止められず、被害を最小化できなかった最大の要因」と批判。「官邸、規制当局、東電経営陣には、準備も心構えもなく、被害拡大を防ぐことはできなかった」と強く批判した。

 事故発生翌日の3月12日朝、菅直人前首相が現場を視察したことに関しても「現場の士気を鼓舞したというよりも、自己のいら立ちをぶつけることで、むしろ現場にプレッシャーを与えた可能性もある」と指摘した。

 こうした検証を踏まえ、報告書は▽規制当局に対する国会の監視▽政府の危機管理体制の見直し▽新しい規制組織に必要な要件--など7項目を提言している。【笈田直樹、奥山智己】』(7月5日付毎日新聞)


【かなり踏み込んだ責任追及と提言】

当時の官邸に対しても、東京電力や原子力安全・保安院、経産省などの原子力ムラに対しても厳しい責任追及をしていることが報告書のダイジェスト版からだけでも読み取れました。黒川委員長をはじめ、委員の顔ぶれからすれば原子力ムラの利害に惑わされることなく、きっちりと「仕事をした」と認められると思います。

先ず事故の原因は「人災」と断言して関係者を厳しく指弾した後の提言として、①規制当局に対する国民の監視、②政府の危機管理体制の見直し、③被災住民に対する政府の対応、④電気事業者に対する監視、⑤新しい規制組織の要件、⑥原子力規制の見直し、⑦独立調査委員会の活用の7つを示しました。それぞれの内容はみなさんが自分の目で確認していただければと思いますが、ダイジェスト版に目を通した限りにおいては日本の原子力推進、原子力安全に関する国家と電力事業者の責任に踏み込んだ提言だと感じました。

この提言を踏まえて、これから何が求められるかというと7つの提言に基づくこの国の原子力政策、原子力推進、原子力安全に関わる人的、組織的、社会的、文化的な分野までも含めた抜本的な体制の見直しを行い、実効性のあるものにすることです。

残念ながら、その事故調の報告書の前に大飯の再稼働は強行され、エネルギーの中長期的な政策を検討する会議は「先ず原発ありき」で強行されているという事実があります。すなわち、すでに政府や電力会社はこの報告書と事故調の委員のやっていることを最初から蹂躙しているということです。やはり、報告書を本気で活かすにはフクイチ事故の責任者すべてを刑務所に入れることから始めなければ何も始まらないというのが僕の意見です。

≪参考≫

・国会事故調の報告書のウェブページ
  




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