2008年03月21日
【台湾-22日に総統選挙】
"STRAIT TALKER"-「海峡の弁士」とでも訳すべきか?あるいはStraitをストレートと敢えて読み替えて、「直言居士」とでもするべきか?言い得て妙だといつもながら感心するのはタイム誌の記事のタイトルだ。 ("STRAIT TALKER", Page, 16-21,TIME dated on March 24, 2008)
3月22日に迫った台湾の新しいリーダーを決める総統選挙。2期と決められている任期が切れる与党民進党の陳 水扁(ちん すいへん)総統の後、野党国民党主席の馬英九候補と与党民進党の謝長廷候補の間で最後の熾烈な選挙戦が展開されている。
台湾独立を高々と掲げて8年間台湾を率いた陳総統・民進党の路線が引き続き国民に支持されるのか、それとも大陸中国との関係悪化で停滞気味の経済改革と中国との関係改善を掲げる馬英九候補が支持されるのか最後まで予断を許さない。
タイム誌の記事は、その馬英九候補を陳総統への果敢なる挑戦者、「ストレート・トーカー」と称して紹介しているのだ。
Ma Ying-jeou aims to transform the relationship between Taipei and Beijing. But first he must overcome a tough challenge: win election as Taiwan's President
【スマートなニューリーダー】
馬英九氏は、その容貌も経歴もスマートだ。香港生まれの「太子党(幹部の子弟)」出身の57歳。ハーバード大学で法学博士号を取得、帰国後は蒋経国に師事し国民党員として様々な行政経験を積んだ後、1998年に台北市長、2005年には国民党主席に選ばれた。
その馬候補の主張はわかりやすい。 「波風を立てるな」だ。
Ma's solution is simple: Don't rock the boat.
すなわち、陳総統の8年間に軋轢を増した中国を苛立たせず、中国との関係を改善し、台湾の経済を立て直すことだ。
The idea is to ditch the ideological hang-ups of the Chen years, stop irritating Beijing and pursue a new, pragmatic approach that focuses on improving relations with China wherever possilbe.....The most urgent matter concerns Taiwan's faltering economy.
確かに、かつてはAsian Tigerのひとつとして繁栄を謳歌していた台湾は、10%以上の成長を持続する中国本土はおろか、一人当たりのGDPでは韓国にも後塵を排しているのだ。政治的な孤立だけではなく、経済でもアジアから取り残されつつあるという危機感が国民の馬候補への支持に繋がっているのだ。
【馬候補のアキレス腱】
しかし、馬候補にもアキレス腱がある。それは彼はそもそも中国国民党であり、中国との融和を唱えれば唱えるほど、中国が主張する「ひとつの中国」に取り込まれていくのではないかという国民の懸念も厳然と存在するということだ。
もし馬候補が新総統に選ばれたとしても、チベット問題に揺れる中国がすんなりと新総統の思惑通り、経済関係だけで関係改善を進めていくかどうかは予断を許さないだろう。
いづれにしても、国民党の新総統の誕生が現実となれば、陳総統時代とは明らかに異なる政治的な動きが中国と台湾の間に出てくることは間違いないだろう。この総統選挙の行方はしばし注目しておく必要がありそうだ。

3月22日に迫った台湾の新しいリーダーを決める総統選挙。2期と決められている任期が切れる与党民進党の陳 水扁(ちん すいへん)総統の後、野党国民党主席の馬英九候補と与党民進党の謝長廷候補の間で最後の熾烈な選挙戦が展開されている。
台湾独立を高々と掲げて8年間台湾を率いた陳総統・民進党の路線が引き続き国民に支持されるのか、それとも大陸中国との関係悪化で停滞気味の経済改革と中国との関係改善を掲げる馬英九候補が支持されるのか最後まで予断を許さない。
タイム誌の記事は、その馬英九候補を陳総統への果敢なる挑戦者、「ストレート・トーカー」と称して紹介しているのだ。
Ma Ying-jeou aims to transform the relationship between Taipei and Beijing. But first he must overcome a tough challenge: win election as Taiwan's President
【スマートなニューリーダー】
馬英九氏は、その容貌も経歴もスマートだ。香港生まれの「太子党(幹部の子弟)」出身の57歳。ハーバード大学で法学博士号を取得、帰国後は蒋経国に師事し国民党員として様々な行政経験を積んだ後、1998年に台北市長、2005年には国民党主席に選ばれた。
その馬候補の主張はわかりやすい。 「波風を立てるな」だ。
Ma's solution is simple: Don't rock the boat.
すなわち、陳総統の8年間に軋轢を増した中国を苛立たせず、中国との関係を改善し、台湾の経済を立て直すことだ。
The idea is to ditch the ideological hang-ups of the Chen years, stop irritating Beijing and pursue a new, pragmatic approach that focuses on improving relations with China wherever possilbe.....The most urgent matter concerns Taiwan's faltering economy.
確かに、かつてはAsian Tigerのひとつとして繁栄を謳歌していた台湾は、10%以上の成長を持続する中国本土はおろか、一人当たりのGDPでは韓国にも後塵を排しているのだ。政治的な孤立だけではなく、経済でもアジアから取り残されつつあるという危機感が国民の馬候補への支持に繋がっているのだ。
【馬候補のアキレス腱】
しかし、馬候補にもアキレス腱がある。それは彼はそもそも中国国民党であり、中国との融和を唱えれば唱えるほど、中国が主張する「ひとつの中国」に取り込まれていくのではないかという国民の懸念も厳然と存在するということだ。
もし馬候補が新総統に選ばれたとしても、チベット問題に揺れる中国がすんなりと新総統の思惑通り、経済関係だけで関係改善を進めていくかどうかは予断を許さないだろう。
いづれにしても、国民党の新総統の誕生が現実となれば、陳総統時代とは明らかに異なる政治的な動きが中国と台湾の間に出てくることは間違いないだろう。この総統選挙の行方はしばし注目しておく必要がありそうだ。
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