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2011年07月05日
【ふたつの試算】
日本学術会議と東大准教授がまとめた試算に関するふたつの記事を紹介します。先ずは日本学術会議の試算に関する読売新聞の記事。
『東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、原発存続の行方が注目される中、日本学術会議の分科会(委員長=北沢宏一・科学技術振興機構理事長)は、原発の撤退から現状維持・推進まで六つの政策の選択肢ごとに、標準家庭(1か月約6000円)の電気料金が、どれくらい増えるかの試算をまとめた。
原発を放棄し、太陽光などの再生可能エネルギーに移行した場合の負担は大きく、逆に維持すると負担は小さくなるが、同分科会は、今後、原発の安全規制が強化され、存続しても負担増になる可能性もあると指摘。秋にも最終報告をまとめる。
試算は、エネルギー政策の議論に役立てるのが狙い。政府や大学などが公表する発電コストのほか、温室効果ガス削減の国際的取り組み、15%の節電、人口減少、原発の安全対策などにかかる費用をもとに検討した。選択肢は、大きく分けて原発の「撤退」、全発電量の約30%を原子力が占める「現状の維持」、50%まで拡大する「推進」。撤退は、全原発停止の時期によって4ケースに分けた。
現在、稼働中の原発が定期検査を迎える来夏までに全原発が停止した場合は、火力発電に切り替えた後、温室効果ガスを減らす再生可能エネルギーの比率を高めていく。国際的な削減目標を達成するための対策が本格化する2030年には、標準家庭1か月の電気料金の上乗せは、2121円と算出した。』(7月2日付読売新聞)
そして、茂木源人(げんと)・東京大准教授がまとめた試算に関する記事。
『2050年に「脱原発」を実現した場合の国内の経済影響はほとんどないとの試算を、茂木源人(げんと)・東京大准教授(社会戦略工学)がまとめた。太陽光パネルをすべて国内で生産し、未利用の土地を活用することなどの条件が前提で、実現には政府の姿勢が鍵になりそうだ。
試算は電力会社の依頼を受け実施した。
現在、日本の電源は原発約3割、火力約6割、太陽光を含むその他が約1割。試算では、太陽光パネルの寿命は20年で、発電量は年率1%で劣化するとした。50年までの電力需要を考慮し、(1)原発を段階的に廃止し、その分を太陽光が代替する(2)原発はそのままで、太陽光が普及していく分、火力を減らす(3)原発はそのままで、太陽光は住宅への普及限度の1000万戸まで増え、その分の火力が減る--の3ケースで分析した。
その結果、50年の国内総生産(GDP)は、(1)536兆円(2)533兆7000億円(3)536兆1000億円で、ほぼ同レベルになった。
この理由を、(1)と(2)で太陽光パネル製造や設置費など40年間で162兆8000億円が投入され、製造工場などで雇用が生まれるためと説明している。
東日本大震災前の原発の平均発電量を得るには、1万平方キロの設置面積が必要だが、現存の耕作放棄地などを活用すれば可能という。
一方、電力料金については、20年代半ばに1キロワット時あたり0・6円上がるが、大量生産が実現する30年に元に戻ると分析した。
茂木准教授は「当初の太陽光発電のコストは他電源より高いが、国内ですべて生産すれば経済の足を引っ張ることはない」と話す。』(7月3日付毎日新聞)
【ふたつの試算から見えてくるもの】
試算結果の詳細がわからないので、あくまでもたったこれだけの記事の内容だけから僕なりの印象を以下に書きます。
・ふたつの試算はその目的も違えば、手法も違っているので単純な比較は出来ないと思いますが、驚くべきことは日本学術会議の試算では国内の原発を停止して自然エネルギーに代替すると2030年までに一般標準家庭で月2千円近い電気料金の負担が増すとしているのに対し、東大の茂木准教授の試算では、電力料金は、20年代半ばに1キロワット時あたり0・6円上がるものの、太陽光発電の大量生産が実現する30年に元に戻ると分析していて、印象としては正反対とも言える試算結果になっていることです。
・多少の独断と偏見を持ってこの試算結果についてコメントさせていただくとすれば、試算というものは試算をする機関なり団体の目的・意図によってどうにでもなるということ、そうであれば政府の独立行政法人である日本学術会議はその権威でもって政府の原発推進・維持方針を擁護する方向で結論ありき、あるいは誘導的な試算を発表しようとしているのではないかということです。なぜなら、日本学術会議の試算は原発事故やこれから厳格にせざるをえなくなる安全対策などのコストの上昇の可能性はあまり強調せず、原発の現状維持ばかりを正当化しようとする姿勢が見え隠れするからです。
・さらに、正直言って今までの政府や政府関係機関の原発に関する様々な嘘八百の発表を考えれば、日本学術会議の試算も何らかの意図をもって出そうとしているのではないかとの疑念を持ってしまうからです。もっとはっきり言えば、これは学術会議という権威を利用した国家による原発広報ではないかということです。
・もしもそうでないと日本学術会議が反論するのであれば、少なくともこの試算を正式に発表するときには、試算に関するすべての根拠、データ、プロセスなどをすべて一般市民の前に全面的にわかりやすく公開するとともに、日本学術会議が関係する学者や政府関係機関などについても中立・公平である根拠を明らかにすべきだと思います。
日本学術会議と東大准教授がまとめた試算に関するふたつの記事を紹介します。先ずは日本学術会議の試算に関する読売新聞の記事。

原発を放棄し、太陽光などの再生可能エネルギーに移行した場合の負担は大きく、逆に維持すると負担は小さくなるが、同分科会は、今後、原発の安全規制が強化され、存続しても負担増になる可能性もあると指摘。秋にも最終報告をまとめる。
試算は、エネルギー政策の議論に役立てるのが狙い。政府や大学などが公表する発電コストのほか、温室効果ガス削減の国際的取り組み、15%の節電、人口減少、原発の安全対策などにかかる費用をもとに検討した。選択肢は、大きく分けて原発の「撤退」、全発電量の約30%を原子力が占める「現状の維持」、50%まで拡大する「推進」。撤退は、全原発停止の時期によって4ケースに分けた。
現在、稼働中の原発が定期検査を迎える来夏までに全原発が停止した場合は、火力発電に切り替えた後、温室効果ガスを減らす再生可能エネルギーの比率を高めていく。国際的な削減目標を達成するための対策が本格化する2030年には、標準家庭1か月の電気料金の上乗せは、2121円と算出した。』(7月2日付読売新聞)
そして、茂木源人(げんと)・東京大准教授がまとめた試算に関する記事。
『2050年に「脱原発」を実現した場合の国内の経済影響はほとんどないとの試算を、茂木源人(げんと)・東京大准教授(社会戦略工学)がまとめた。太陽光パネルをすべて国内で生産し、未利用の土地を活用することなどの条件が前提で、実現には政府の姿勢が鍵になりそうだ。
試算は電力会社の依頼を受け実施した。
現在、日本の電源は原発約3割、火力約6割、太陽光を含むその他が約1割。試算では、太陽光パネルの寿命は20年で、発電量は年率1%で劣化するとした。50年までの電力需要を考慮し、(1)原発を段階的に廃止し、その分を太陽光が代替する(2)原発はそのままで、太陽光が普及していく分、火力を減らす(3)原発はそのままで、太陽光は住宅への普及限度の1000万戸まで増え、その分の火力が減る--の3ケースで分析した。
その結果、50年の国内総生産(GDP)は、(1)536兆円(2)533兆7000億円(3)536兆1000億円で、ほぼ同レベルになった。
この理由を、(1)と(2)で太陽光パネル製造や設置費など40年間で162兆8000億円が投入され、製造工場などで雇用が生まれるためと説明している。
東日本大震災前の原発の平均発電量を得るには、1万平方キロの設置面積が必要だが、現存の耕作放棄地などを活用すれば可能という。
一方、電力料金については、20年代半ばに1キロワット時あたり0・6円上がるが、大量生産が実現する30年に元に戻ると分析した。
茂木准教授は「当初の太陽光発電のコストは他電源より高いが、国内ですべて生産すれば経済の足を引っ張ることはない」と話す。』(7月3日付毎日新聞)
【ふたつの試算から見えてくるもの】
試算結果の詳細がわからないので、あくまでもたったこれだけの記事の内容だけから僕なりの印象を以下に書きます。
・ふたつの試算はその目的も違えば、手法も違っているので単純な比較は出来ないと思いますが、驚くべきことは日本学術会議の試算では国内の原発を停止して自然エネルギーに代替すると2030年までに一般標準家庭で月2千円近い電気料金の負担が増すとしているのに対し、東大の茂木准教授の試算では、電力料金は、20年代半ばに1キロワット時あたり0・6円上がるものの、太陽光発電の大量生産が実現する30年に元に戻ると分析していて、印象としては正反対とも言える試算結果になっていることです。
・多少の独断と偏見を持ってこの試算結果についてコメントさせていただくとすれば、試算というものは試算をする機関なり団体の目的・意図によってどうにでもなるということ、そうであれば政府の独立行政法人である日本学術会議はその権威でもって政府の原発推進・維持方針を擁護する方向で結論ありき、あるいは誘導的な試算を発表しようとしているのではないかということです。なぜなら、日本学術会議の試算は原発事故やこれから厳格にせざるをえなくなる安全対策などのコストの上昇の可能性はあまり強調せず、原発の現状維持ばかりを正当化しようとする姿勢が見え隠れするからです。
・さらに、正直言って今までの政府や政府関係機関の原発に関する様々な嘘八百の発表を考えれば、日本学術会議の試算も何らかの意図をもって出そうとしているのではないかとの疑念を持ってしまうからです。もっとはっきり言えば、これは学術会議という権威を利用した国家による原発広報ではないかということです。
・もしもそうでないと日本学術会議が反論するのであれば、少なくともこの試算を正式に発表するときには、試算に関するすべての根拠、データ、プロセスなどをすべて一般市民の前に全面的にわかりやすく公開するとともに、日本学術会議が関係する学者や政府関係機関などについても中立・公平である根拠を明らかにすべきだと思います。