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2007年09月11日

【メコンの流れ】

中国からベトナムまで8カ国に接し、全長4千キロ、水源から河口までの標高差5千メートルにも及ぶ悠久のメコン川の流れ。過去何世紀にも亘って、その川辺に棲む人間たちの生活や争いをつぶさに見て、清濁併せ呑んできたメコン川。その流れがある国の力で大きく変わろうとしている。

そう、変えようとしているのはメコンの源流の中国であり、変わろうとしているのはメコン川とその周辺国だ。

9月10日号タイム誌「メコン川の湾曲」("A Bend in The River")と題して、中国がメコンを活発な交易のためのハイウェイと新たな電源に変えることで、周辺諸国の経済を活性化させている一方で、水路の命を脅かしているとレポートしている。

【南下する中国の功罪】

すなわち、過去数千年にわたって偉大なメコンには手をつけなかった中国が、ここ数年顕著な動きを見せているのだ。

先ずはダム建設。すでに雲南省には2つのダムが完成し、3つが建設中、2つが計画中だ。これらのダムによる発電は中国だけでなく、川下にあたるラオス、タイ、カンボジア、ベトナムといった国々にも恩恵をもたらすだろう。電力以外でも中国との交易のためのハイウェイとしてメコンの重要性が以前にも増して高まっているのだ。

しかし、メコンの変貌は必ずしもいいことばかりではないようだ。メコン周辺の7カ国に住む7千万人近い人々の暮らしは、まさにメコンのもたらす自然の恩恵で成り立っている。米の栽培にしても、水産物にしてもそうだ。

それらの自然の恩恵がダムの建設や大きな交易船の航路のための浚渫などにより脅かされる可能性も大なのだ。

Yet Chinese dams, along with engineering projects to make the river navigable by larger vessels, have begun to ravage the river's ecology by blocking sediment and produing unnatural water flows that dissuade fish migration and spawning.

【国を跨ぐ河川の争奪戦】

メコンが我々に語ろうとしているのは何か。それは、石油や希少金属などと同じように、陸続きの国々にとってこれから河川がもたらす水そのものが資源争奪戦の対象物になるということだ。

そのとき、誰が河川の水を支配し、誰がそこから利益を享受することができるか。アジアでは今、メコン川を巡って巨大国家中国とインドシナ諸国の協調と争奪のせめぎ合いが始まった。

果たしてメコンの周辺の国々、中国、そして日本にとってメコンの変貌は吉と出るのか、凶と出るのか。これからは国境よりも大河の流れにも目を向けていく必要がありそうだ。  



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海や山、自然が好きな九州男児です。あらゆる機会をとらえて、時代の変化をいつも感じていたいと思っています。
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