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2014年03月25日


「フクシマ・アーカイブ」14日目。みなさんもしっかり覚えておられると思いますが、東京電力の清水社長は事故後しばらくして高血圧などの病気を理由に病院に「敵前逃亡」しました。日本をもしかしたら経済・社会もろとも崩壊させかねないほどの未曾有の大惨事を引き起こした当事者のトップがです。日本国民の誰もが耳を疑ったのではないでしょうか。しかもその東京電力の傲慢は今も変わりません。やはりあのとき「死亡宣告」をしておくべきだったと思います。

当時僕がブログで書いていたことは今でも正しいと思っています。福島第一原発の核惨事は日本というちっぽけな国家が文明のパラダイムを変えるくらいの決意で方向転換しなければならないことを教えました。


そういう大きな転換が出来るかどうかという意味で、日本の中枢である首都圏に近い福島原発が事故を起こし、その責任者が東京電力であったということは重大な意味を持つと思います。日本の電力会社の頂点に位置し、他の地方電力会社を事実上引っ張ってきたのが東京電力であり、ここが首都圏の近くでこれだけの大災害を起こしたということは、最も日本の中枢に近い人たちに原発事故の重大性を認識させ、大きな転換が必要だと思わせたのではないかと考えるからです。

以下は、2011年3月25日の僕のブログ記事です。


【謝罪行脚】

東京電力の幹部が事故後初めて原発周辺の住民に謝罪行脚をしているとの報道がありました。


『東京電力の皷(つづみ)紀男副社長が22日、福島県田村市の市総合体育館に設置された大熊町の町災害対策本部を訪れ、渡辺利綱町長や町民に謝罪した。

 また福島市内で記者会見し、福島第一原発1~4号機の廃炉について「収束に全力を尽くしており今は考える状況でない」と述べ、農作物などの被害に対する補償についても「どういう場合に可能か方向性を検討している」と話した。

 原発の事故以後、初めて福島県入りした皷副社長は同日午後、渡辺町長に「ご心配をおかけして申し訳ございません。一刻も早くこの事態を収束させたいと思っています」と謝罪。渡辺町長は「一刻も早く危機的な状態を脱してもらいたい」と訴えた。

 皷副社長は、約670人の避難住民に頭を下げて回ったが、「何しに来たんだ」と住民が怒りをぶつける場面もあった。』(3月22日付読売新聞)

【本当の謝罪】


これより前、福島県の佐藤雄平知事は22日午前に東京電力から清水正孝社長による謝罪訪問の申し入れがあったが、断ったことを明らかにしました。当然だと思います。謝って済むような問題ではない。ましてや福島原発の事故の直接の被害だけでなく、放出され続けている様々な放射性物質による農産物の被害が顕在化し、福島県の農業まで破局に瀕している今、どんな言い訳をされても許される事態ではないと思います。

では東京電力がこれからやるべきことは何か。それは先ず福島第一原発の核惨事の一刻も早い収束であることは間違いありません。次に、収束後の事故前の原状回復の努力です。そして最後に過去何十年にもわたって住民を懐柔したり騙したりしながら、「絶対に起こらない」と強弁していた原発事故を起こしたことを踏まえ、これからのエネルギー供給のあり方をどうしていくのか、国とともにしっかりとした青写真を書いて、それを着実に実施していくことです。

もちろん、それは文明のパラダイムを変えるくらいの決意で、中長期的な核エネルギーから自然エネルギーなどへの本気の転換を図ることが出来るかどうかです。

【東電が事故を起こした意味】

そういう大きな転換が出来るかどうかという意味で、日本の中枢である首都圏に近い福島原発が事故を起こし、その責任者が東京電力であったということは重大な意味を持つと思います。日本の電力会社の頂点に位置し、他の地方電力会社を事実上引っ張ってきたのが東京電力であり、ここが首都圏の近くでこれだけの大災害を起こしたということは、最も日本の中枢に近い人たちに原発事故の重大性を認識させ、大きな転換が必要だと思わせたのではないかと考えるからです。

九州や北海道でこんな核惨事が起きても首都圏に遠ければ遠いほど、エネルギー政策の大転換を図るのは困難が伴うでしょう。そういう意味でも、今回の福島第一原発の核惨事の意味は重大だと僕は考えます。
  


2014年03月22日

「フクシマ・アーカイブ」11日目。2011年3月22日の僕のブログには福島第一原発3号機の使用済燃料プールの記述がありますが、このときは3号機の爆発が1号機とは本質的に違うものだったことなどまったく知るよしもありませんでした。


ここに福島第一原発をはじめ日本に数十基あるGE製の欠陥原子炉マークI等について豊富な知見を有するアメリカの原子力技術者で、福島の事故の際もいち早くメルトダウンが起きたことを明言していたアーニー・ガンダーセン氏が書いた「福島第一原発-真相と展望」という本があります。ここには現在進行中のフクシマの核惨事の真実が明らかにされているのですが、中でも戦慄を覚えるのがこの3号機の状況です。


3号機の爆発は1号機と違い原爆のきのこ雲のようになっていた映像を記憶されている方も多いと思いますが、それは同氏によれば「3号機の使用済み核燃料プールで不慮の臨界が起きていたと考えるのが自然だ」とのことでした。また、もしこの爆発がデトネーションと呼ばれる即発臨界に達し格納容器が破壊されていたら、日本列島がほとんど分断され、何世紀にもわたって居住に適さず、高濃度汚染を前提とした特別な車両でしか移動できないような土地が広範囲に広がっていたというのです。

そして今でも3号機や4号機ではその可能性があるのです。フクシマでさえこんな状況でも原子力関係者は日本全国の原発を再稼働するつもりなのでしょうか。信じがたいことです。

以下は、当時の僕のブログ記事です。

【続く不安な状態】


ここ2日くらい福島第一原発の3号機の使用済燃料プールを中心に自衛隊、消防隊、警察の現場担当者の決死の放水を続けたことで、放射能の大量放出の継続という最悪の事態が僅かながら改善できる一筋の光明が見えてきたと多くの人が思ったのではないでしょうか。しかし、3号機の一部破損があると見られる格納容器の圧力が上昇しつつあり、もし炉の破損が広がればプルトニウム等の大量の燃料が放出されるという新たな危機が始まりつつあります。複数の原子炉で危機的な状況が進行しているために、複合的な事態が危機回避を難しくしているのです。

電源の復旧も今のところ進展しているように言われていますが、はたしてあれだけの津波と水素爆発などを乗り越えて、冷却装置等の機器が動くのかどうかもまだ未知数です。原子力安全保安院の言うレベル5の事態は、一気に6や7に進み、炉心が稼働を停止しているとはいえ、チェルノブイリのような核事故に進む可能性を誰も否定できないのではないのでしょうか。

【対外被ばくと体内被曝への備え】

すでに福島周辺の空気中には連続的にヨウ素やセシウムといった放射性物質が放出され、原乳やホウレンソウがかなり高濃度に汚染されているという報道がありました。例えばヨウ素(131)は半減期は8日と短いものの、ホウレンソウなどの葉っぱや牧草に付着し、それを食べる牛を通して食物連鎖で濃度が高まり、原乳に高い放射能が溜まっているのです。

発表では「「今すぐ」健康に影響があるレベルではない」ということですが、もうここまで現実が進んでいる以上、不測の事態に備えて個人個人でしっかりと事実を把握し、福島との自分との距離もよく考えて、空気からの被ばくと食物の摂取による体内被曝両方について事前の準備をしておく必要があると思います。主な点は以下のとおりです。

1. 時々刻々、自治体や原発団体などから発表される放射線の種類や濃度について正確な情報を収集し、原子力安全保安院の食品安全基準である「飲料水や牛乳に含まれる放射性ヨウ素の量が300ベクレル/kg、野菜類で2000ベクレル/kgとどれくらいの差があるかを知ること。→体内被曝への備え

特に赤ん坊や小さな子供さんはヨウ素等が大人の何十倍も蓄積されますので出来るだけ原発から離れることが必要です。

2. 対外被ばくを避けるため、屋内退避の勧告が政府から出されれば基本的にはそれに従う。水も汚染するのでポリバケツや水筒なども用意して水を保存しておくこと。また雨合羽やビニールシートも用意して放射能に出来るだけ当たらないようにすること。

3.ガーゼマスクや懐中電灯、小型トランジスタ等を用意しておくこと。原発周辺ではヨウ素が大量に放出される可能性があるので自治体などからヨウ素剤をもらうのを忘れないこと。


※詳しくは脱原発団体の原子力資料情報室(以下、CNIC)のホームページをご覧ください。→ http://www.cnic.jp/

【あまりにもお粗末な当事者】

福島第一原発の最前線の現場で決死の思いで放水等の作業を行う自衛隊や消防隊員、警察、そして保安作業員等の人たちには、僕ら市民はただ、ただ感謝の思いでいっぱいです。

それに対して、この後におよんでもトップが出てこない東京電力、住民の安全を確保するためにあるはずなのに情報をスルーするだけに見える原子力安全保安院(この機関のホームページの「原子力災害発生時の住民としての対応」というページのお粗末さには絶句しました。いかにもお役所的な体裁だけで、市民を守る真摯な姿勢など見えません。それに対して、CNICのほうが市民の防災の観点からしっかり書いており極めて充実しています)、未だに政争を繰り返して事態の重大さを認識しているとは思えない与野党の政治家たち(少なくとも官邸は必死に見えます)などを見るともう絶望的にさえなります。

さらに加えて、先週末に記者会見を開いた一部の地方電力会社のトップは、これほどの深刻な事態が福島原発で進行しているさなかに、「自分の原発で想定外のことはないと思うが、」とか、「万が一不測の事態があっても、炉心などに水がいかないようなことは絶対に防ぐ」といった発言をしています。大自然の猛威や人間のヒューマンエラーは想定外ばかりであり、「絶対に防ぐ」などというのは原子力広報や精神論では言えても、市民に信頼の得られる言葉ではないことは明らかです。これは彼らの考え方が事故前から何も変わってないことを暴露したようなものです。ましてや事故が起きて「想定外だからごめんなさい」なんて冗談ではないです。もう彼らには頼れない、自分たちは自分たちで守るしかないと強く思います。

  


2014年03月20日

「フクシマ・アーカイブ」9日目。2011年3月20日。この日は福岡で玄界沖地震が起きて7年目にあたります。日に日に深刻化する福島第一原発の核惨事は、ついに次なる脅威として食品汚染が問題になってきたと当時の僕のブログは伝えています。あれから3年経ってそのとき感じていた食品の放射能汚染の脅威は現実となって日本全国に広がっています。しかしながらメディアは魚に何十万ベクレルといった極端な汚染については伝えても日常の食品にどれだけ放射能汚染が広がっているかについてはほとんど伝えなくなりました。現実はそう甘くはありません。国土が狭いニッポンにどこにも逃げ場はないということが、海洋にまで広がった放射能汚染によっても証明されつつあります。

これほどの大事故を起こしておきながら、安倍自民党政権は原発ゼロを見直し、原発の再稼働にまい進し、核燃料サイクルにゴーサインを出し、次の巨大事故に向かって暴走し始めました。危機意識がなく、既得権益を守ることだけに汲々としている自民党議員たちは、出遅れている政府の発送電分離案さえ骨抜きにしようとしています。

また、東電は相変わらず次から次に起こる放射能汚染水漏れさえもどうしようもない状況で、フクイチ事故の反省は微塵も感じられません。原子力規制委員会も同じです。3年経っても何ら変わろうとしない原子力ムラの体質。恐るべき狂気の集団です。これでは次の巨大事故は必然です。

以下は、2011年3月20日の僕のブログ記事です。

【原乳とホウレンソウ】



最初の汚染食品が検出されました。


『政府は19日、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて実施した食品のサンプル調査で、福島県川俣町の酪農家が提出した原乳と、茨城県内の6市町村のホウレンソウから、食品衛生法の暫定規制値を超える放射性ヨウ素が検出されたと発表した。枝野官房長官は記者会見で「直ちに健康に影響する数値ではない。冷静な対応をお願いしたい」と述べた。

 食品衛生法に食品の放射能汚染を規制する基準がないため、厚生労働省は放射線の専門家でつくる「国際放射線防護委員会」(ICRP)が健康被害を防ぐために設けた基準を放射性物質の食品安全基準として暫定的に採用。これを受けて、福島県と茨城県がそれぞれサンプル調査を実施した。

 その結果、福島第一原発から約47キロ離れた酪農家が16~18日に生産した原乳から最高で1510ベクレルと、規制値の約5倍にあたる放射性ヨウ素が検出された。

 茨城県では高萩市、日立市、常陸太田市、大子町、東海村、ひたちなか市の農家のホウレンソウから最大で規制値の7・5倍の1万5020ベクレルの放射性ヨウ素が検出された。高萩市のホウレンソウからは、規制値を超える放射性セシウムも検出されている。

 これを受けて同県の橋本昌知事は19日、記者会見で地元農協などに露地栽培のホウレンソウの出荷自粛を求めたことを明らかにした。 』(3月19日付読売新聞)


【次なる脅威―食品汚染】


ひとまず自衛隊、警察、消防の努力によって放水車、ヘリコプターによる3号機への放水が行われ、3号機については使用済燃料プールに水が溜まり燃料棒からの放射能放出は少なくなってきているようです。ただし、1号機・2号機・4号機もそれぞれ外部の損傷や燃料棒の損傷などが続いていて全体として危機が去ったとはとても言い難い状況が続いているようです。

そして19日、次なる脅威が迫っていることがわかりました。それは放射能による食品汚染です。放射能汚染が見つかったのは、原乳とホウレンソウ。それぞれ原乳は福島第一原発から47キロの地域で放射性ヨウ素1510ベクレル、ホウレンソウは茨城県のいくつかの市町村で放射性ヨウ素15020ベクレルだったそうです。ホウレンソウには規制値を超えるセシウムも一部検出されたそうです。それらは政府によれば「直ちに健康に影響する数値ではない。」とのことですが、油断は禁物です。

1986年のチェルノブイリ原発事故のときには、ロシア・欧州からやってくる輸入食品に対する放射能汚染の基準値はどの食品でも一律370ベクレル/kgでした。その当時とは比較にはならないかもしれませんが、今後の福島第一原発からの放射能汚染の拡散がどれくらい防げるかによりますが、原発周辺の農産物を中心に次々と汚染された食品が問題となってくるでしょう。

それらのデータをチェックしておいて、刻一刻と変化する各種食品の汚染状況の政府発表や民間の公開情報に常に目を光らせておく必要がありそうです。汚染の広がりの深刻度によっては、情報公開が遅れたり、いづれは規制基準の緩和といった措置が取られていく可能性もありうると考えています。政府の情報を鵜呑みにすることなく、これからは自分の家族を守るのは自分だという覚悟を持って、しっかり監視していく姿勢が必要だと思います。

最後にこれを読んでおられる福岡のみなさん、今日は福岡玄界沖地震からちょうど8年目にあたります。あの地震は震度6弱だったと思いますが、僕も会社のビルの10階にいて地震の怖さを知りました。でも今回の東北地震はそれを大きく上回るものでした。福岡も被災した東北の各地同様海辺に面しています。また50数キロ西には玄海原発も存在してます。さらには対岸の韓国には釜山近郊も含め海岸沿いに5基もの原発が稼働しています。心しておかなければならないと思います。
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2014年03月19日

「フクシマ・アーカイブ」8日目。福島の事故から1週間近くが経った2011年3月19日。そのとき、僕は黒澤明監督の「赤富士」という短編映画を思い出していました。黒澤監督が20年以上前に映画を通して警告していた原発事故が現実に起こってしまったことに改めて戦慄を覚えました。フクシマは、危機管理無能国家ニッポンにとって黒澤の「赤富士」の描く地獄絵図の未だ「序章」かも知れないからです。そして事故から3年経った今も再度の地震によって4号機の1500本以上の使用済み核燃料プールが崩壊し(少しずつ燃料棒の移動が行われてはいますが)、「赤富士」の映画を凌ぐ大惨事となって日本を襲う危険性も、自民党政権の原発推進政策の下で、その他の原発や六ヶ所村再処理工場がフクイチ以上の事故を起こす可能性も消えるどころか大きくなってきています。

以下は、2011年3月19日の僕のブログ記事です。


【ついに起こった核惨事】


3月11日の巨大地震発生、その後の巨大津波、そして東北各地の目を覆うばかりの被害。まるで戦後の焼け跡のような市街地。信じられないような夥しい数の死者行方不明者の発表。原発事故がなければすべての救援活動はこの地震・津波被害に遭った人々に向けられていたはずでした。

そんな悲惨な被災地を「後回し」にせざるを得ないほど、政府を狼狽させている福島第一原発の事故。多少、緊迫さが薄れつつあるものの、使用中そして使用済みの燃料の発熱が止められない限り、何が起こるかわからない状況は全く変わっていないのです。広大な土地があるロシアやアメリカと違って、国土が狭いニッポンに逃げ場はありません。「みえない雲」の恐怖に怯え逃げ惑う先には海しかないのです。


1990年に公開された黒澤明監督「夢」という映画の8つの短編の中に 「赤富士」 という一篇がありました。富士山麓で大勢の人が何がおこったかわからずに逃げ惑っている場面。原発が次々と爆発し、赤や黄色の色のついた霧が人々に迫ってきます。それらは原発から出た様々な放射性物質でした。フィクションだから黒澤監督がわざと放射能に色をつけて警告していたのでしょう。爆発したとされるのは富士山麓の6つの原発。浜岡原発を想定していたのでしょうが、福島第一原発も6機というところは同じです。巨匠は20年以上も前にわたしたちに警鐘を鳴らしていたのです。でもそれはただの映画。どんなに怖くても、映画館を出れば済みます。そして福島第一原発の惨事。この日が来てほしくなかった。チェルノブイリの後もこの映画を観た後もいつもそう思っていました。でも「夢」であってほしいとどんなに願っても非情な現実は次々と深刻度を加えていきます。

【為政者と国民】

日本国憲法第25条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 」とあり、第二項には「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。 」と規定されています。

その基本的権利が今東北の被災地で、そして福島原発の周辺で、さらには日本国全域で侵されようとしています。でも、よく考えると原発に関してはその立地の過程から、立地地域で苦悩する農業者や漁業者を中心とする住民の基本的人権を、ときには懐柔し、ときには威嚇しながら、ないがしろにし続けてきたのは誰だったのでしょうか。もちろん直接の当事者は電力会社であり、官僚組織であり、政治家ですが、何十年もの間見て見ぬふりをしてきたのは他でもない電気の恩恵だけを受けてきた都市を中心に住む僕たち国民なのです。

スリーマイルが起きようと、チェルノブイリが起きようと、国内ではJOC東海村の臨界事故をはじめとする大事故や大事故寸前の原発事故が何度起きようと、その都度、「事故」を「事象」と読み変えたりして国民から事実を隠し、事故を矮小化しようとしてきた人たち。それに本気で怒り、方向転換を迫らなかった国民。今回の事故の責任が私たち日本人すべてにあるのは間違いありません。


【海外からの冷たい視線】


地震発生当初から今日まで、アメリカやヨーロッパ、そしてアジアから届くのは日本に対する励ましと応援、そしてこれほどの災禍の中でも暴動も起こさずじっと耐える国民に世界は驚嘆し、賞賛する声でした。

しかし、地震や津波に被災した国民の姿とは裏腹に、原発事故に臨む電力会社や政府の信じられないような愚かな対応を見るにつけ、海外の目は日増しに厳しくなってきています。なぜなら、被害は日本にとどまらず「見えない雲」に乗っていづれ彼らの頭上にも到達するからです。

為政者の人たちに素直に従い、現実は現実として受け止め、あきらめ、何も抵抗しない僕たち多くの日本人。一体いつからこうなったのでしょうか。これは本当に日本の美徳として納得していていいのでしょうか。自分も含め今まではそうしてきました。でもこれほどの核の惨事が起こった以上、ひとりひとりが声を上げ、為政者のひとたちのやり方がおかしければ、その誤りを糺すべきではないでしょうか。そうしなければ再び、同じような事故、いやそれ以上の惨禍がいづれ避けられないでしょう。

その際、ひとつ気をつけないといけないのは、海外がすべて正しいとは限らないということです。国際原子力機関(IAEA)が日本に乗りこんできましたが、この機関もチェルノブイリ原発事故の後、ロシア以上に事実を矮小化しようとしてきたことを忘れてはいけません。しっかりと僕ら国民がその行動を監視しておく必要があると思います。

東北の被災地で助けを求める被災者の方々、高濃度の放射能の中で身体を張ってこの美しい日本を守ろうとする自衛隊や消防士、警察官、電力会社の運転員など現場で奮闘する方々。本当に哀しい思いが毎日募る中、今書き留めておかないいけないと感じ、今の正直な気持ちを書きました。
  


2014年03月18日

「フクシマ・アーカイブ」7日目。2011年3月18日のブログを読むと、このころからテレビメディアに多くの原子力や放射能の専門家と称する人間が登場し、「ただちに健康に影響はない」とか「原発はメルトダウンしていない」とか異口同音に唱え始めたことが記録されています。ある時点からテレビメディアが同じ方向の「宣伝」を始めたのです。これは本当に恐ろしいことです。そして政府はtwitterといったインターネットなどのメディアで「流言飛語」が飛び交っていると非難し始めました。「流言飛語」は政府と大手メディアが流していたのに。

そして3年後の今。日本のメディアはアベノミクスに浮かれ、ほとんどフクイチ事故がなかったかのようにふるまっているようです。

以下は、2011年3月18日の僕のブログ記事です。


【決死の放水】


自衛隊による決死の放水作業がやっと始まりました。


『東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の事故で、自衛隊は17日午後7時半すぎ、使用済み核燃料プールの水が蒸発している3号機建屋に向け、高性能消防車で地上から放水した。防衛省によると、消防車は5台で約30分間に計30トンを放水。水は建屋内に届いたが、経済産業省原子力安全・保安院は効果について「まだ評価できる段階ではない」としている。
 防衛省は、ヘリによる水の投下と地上放水について、18日も同様の態勢を取っており、東京電力などから示される17日中の効果を見て、18日以降の放水方法を決める。
 一方、警察庁によると、警視庁の高圧放水車は同7時ごろから放水。約5分後、放射線量を示す線量計の警告アラームが鳴ったため、中断した。』(3月17日付時事通信)


【変化する情報の質】



国家的危機とも呼べる緊迫した状況が続く中、「おやっ?」と思うような変化が見られてきました。というのは、日に日にテレビ等のメディアに出てくる情報の質が変わってきていることに気がついたのです。

その最大のものは放射能の危険性に関する情報。福島原発周辺の放射線量が日増しに増加する中、国だけでなくテレビ等に出てくる専門家と呼ばれる人たちも「原発敷地周辺は危険だが、その他は安全だ」(現時点では安全でも刻々と変わる可能性があることを十分認識すべき)といった発言が多くなり、放射能の危険性に対して意図してかどうか、抑制気味の発言になってきているようなのです。もちろん、パニックを防ぐ必要からかもしれませんが、テレビにその傾向が強くなっている気がします。これは一体何を意味するのでしょうか?

テレビメディアは活字メディアよりも流せる情報量が少ないのと反比例して映像を中心に大勢の大衆に瞬時に影響を及ぼします。これほどの危機的状況の中、各テレビ局の報道する内容はあまりに似通っていると事故当初から懸念しているのですが、事態の悪化とともにあまりいい言葉ではありませんが、政府の「大本営発表」を流すのみか、パニックを恐れてか正確な放射線などの情報を流すのに躊躇しているのか、伝えなければならない本当の事実がどんどん遠のいているのではないかと思われます。

【バランス感覚】


海外の主要メディアでは東北大地震と福島原発の事故発生以来、連日トップ扱いの報道が続いています。最初はセンセーショナルな日本礼賛といったトーンばかりが目立ちましたが、ここ数日はあまりの事態の悪化の速さと広がりと日本政府の危機対応能力の低さなどに対する様々な恐怖心を高めながらも、今回の原発事故の自国と世界に与える影響などを比較的冷静にわかりやすく伝え始めているように思われます。

110318アンダーソン・クーパー例えば、日本のiPodで視聴できる米国のCNNのテレビ番組「Anderson Cooper 360 Daily」ではメインキャスターのアンダーソン・クーパー氏が日本で取材、米国の核や放射線の専門家との衛星中継でのやり取りで福島原発の事故の説明や米国への影響などについて素人でもわかりやすいように解説していました。この番組の専門家の解説でひとつ参考になったのは、福島原発の危険性を格納容器の炉心溶融と使用済燃料プールの二つに分けて、炉心溶融と同じくらい、あるいはそれ以上に使用済燃料プールのほうが危険性が高まっているというものでした。

BBCは日本の冷静な対応を賞賛しつつも、今回の原発事故の深刻さに大きな危機感を抱いていることがうかがわれます。

いづれにしても、日本が危機の震源地ですから日本の新聞やテレビの報道が最も詳細にわたって福島原発の状況を伝えているのですが、あまりにも細かかったり、技術的すぎたりすぎるかと思うと、焦点を当てるべきトピックがどこも似通っていたり、世界的な視野が欠けていたり、事故の全体像が一般の僕たちにはわかりにくくなっているという懸念があります。こんなときだからこそ、出来れば海外の報道とも見比べて自分なりの立ち位置をしっかりと定めるバランス感覚が必要だと感じます。

中でも最も危惧することは、自衛隊が決死の放水作業をするところまで来てからは、東電に対するヒステリックな非難とは裏腹に決死の作業を過度に美談化するような方向に走りすぎたりすることで、本当の事故の本質が見失われていくのではないかということです。これは戦時中の日本のメディアにも多く見られたことではないでしょうか。とにかく僕たちはどんなに危機が高まっても出来るだけ冷静にバランス感覚をもってこの未曾有の危機を「監視」し続けることが求められると思います。流言飛語的な情報を鵜呑みにしないこと、同時に大手メディアの報道も鵜呑みにしない判断力が求められます。

  


2014年03月17日

「フクシマ・アーカイブ」6日目。敦賀や東海の廃炉が確定的となる中、事業の先行きが見えない日本原電を債務保証して助けようとする電力業界。総合資源エネルギー調査会総合部会から脱原発を唱える委員を大幅に排除してエネルギー基本計画を脱原発から原発推進路線に先祖がえりさせた安倍自民党政権。こんなことをやっていては次の巨大原発事故は避けられないでしょう。フクイチを防げず、未だに責任も取らず、旧来のやり方に固執する無能で傲慢な原子力ムラの実態。看板の掛け替えではなく、組織の抜本的な見直しも、地震対策も含めた原発の安全対策の全面的な見直しが行われなければ全国の原発の再稼働など絶対にあり得ないと思います。本来ならば1986年のチェルノブイリ原発事故の後、日本は脱原発に舵を切るべきだったと心底思います。

以下は、2011年3月17日の僕のブログ記事です。


【核惨事の現実】



福島第一原発で今起きていることが如何に深刻か、3つの原発がボロボロになって白煙を出している映像だけでもわかるのですが、海外の専門家もそれをチェルノブイリの原発事故と同等と表現しています。

『米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)は15日、声明を出し、福島第1原発事故の状況が国際原子力事故評価尺度(INES)で2番目に深刻な「レベル6」に近く、最悪の「レベル7」に達する可能性もあるとの見方を示した。
 日本の経済産業省原子力安全・保安院は先に、今回の事故の暫定値を「レベル4」と発表していた。
 ISISは声明で、福島第1原発の1~3号機で爆発があったことや、4号機の原子炉建屋で火災が起きたことを踏まえ、「この事故はもはや(局所的な影響を伴う)レベル4とはみなせない」と指摘。緊急措置と広範な放射能汚染対策で国際社会の支援が必要だと強調した。
 INESは、安全上の懸念がないレベル0から8段階で評価。1986年の旧ソ連のチェルノブイリの原発事故を「7」、1979年の米スリーマイル島原発事故を「5」としている。』(3月16日付時事通信)



【気になる現実】


それにしてもこれほど毎時間、毎日連続して事態が急速に悪化していく現実を目の当たりにすると、自暴自棄的な気持ちになっていきます。上記記事にあるように、もう福島第一原発がチェルノブイリの惨禍をはるかに超えることは確実のように思われます。現場の方々の決死の作業でそれをいくらかでも遅らせるか、被害の程度を少しやわらげることができるように心から祈るばかりですが、もうその望みも刻一刻と絶たれようとしています。

今その責任を東京電力に求めようとする声が大きくなってきているようですが、確かにその対応のお粗末さが事態の悪化を招いているのは明らかなように思えます。しかしながら、同時にそもそもここに至った根本的な原因を考えておかなければならいないとも思います。それについて少し僕の考え方を整理しておこうと思います。

【責めを追う人】

日本は数十年も前から原発なしには生きていけない経済構造になっていて、今から見直すとしても膨大な時間と費用がかかってしまうでしょう。僕は原発には個人的には反対ですが、それでも現実を考えると原発の安全性をある程度確保しながら現状追認していくしかないと素人ながら思っていました。でも今回の事故でどんなに時間と費用がかかっても新しい文明のあり方のひとつとして原発から自然エネルギーに、集中電源から分散電源にしていくべきだと思っています。

日本は1986年に起こったチェルノブイリ原発事故のときに、文明の大きな転換点に立ったのですが、多くの欧州の国々とは違い(フランスは例外です)、大きな転換を図らずに現状追認の方向を選びました。いや何もしなかったというべきでしょうか。あのときが日本のひとつの大きな転機だったと思います。

あのとき欧州の多くの人たちが感じた危機感、現代文明に対する「揺らぎ」の感覚が当時の西ドイツを中心に、環境政策の大転換、エネルギー政策の見直しなどを市民のひとりひとりが声をあげながら実行したと僕は認識しています。政治もそのときから大きく変わりました。もちろんその後揺り戻しもありましたし、最近ではもうひとつの待ったなしの環境問題である地球温暖化を避けるためのひとつの方策として原発への回帰が多くの国で行われているという事実もあります。しかしあのチェルノブイリの後の文明のパラダイムシフトともいえる変化ほどではないと思います。

日本では僕ら都市に住む人間を中心に、それ以前も、そのときも、そして今回の事故が起こる前まで、電力会社にも、官僚にも、政治家にも、原発の見直しについて決死の思いで迫ったことはなかったのではないでしょうか。唯一、原発立地地域の農業者や漁業者の方々たちだけが生活をかけて、命を賭けて原発の危険を訴え続けてきたのです。それを思えば、電力会社や、官僚や、政治家だけを責めることはできません。日本の多くの国民が今まで容認してきたのですから。

【日本の行く末】

日本は残念ながら、今回の福島第一原発の惨禍を機にとてつもなく大きな国力の衰退に見舞われるのではないかと危惧しています。放射能汚染の厳しさを考えれば復興には10年単位で20年とか30年以上かかるのではないでしょうか。


国民の多くがこれを契機に日本の文明のあり方そのものを変えるくらいの決断をしなければ今までの延長線上でのエネルギー政策、環境政策しか実行できず、結果としてより大きな社会全体の変革は実行できないと思います。もちろんその見直しの中には原発の現状維持も含まれます。そしてもっと深刻で早急な対応を必要とされる地球規模の気候変動、地球温暖化問題についても抜本的な社会全体の方向転換は出来ないと懸念しています。(もちろん他の国々はもっとひどいのかもしれませんが。) みなさんはどう思われますか?
  


2014年03月16日

「フクシマ・アーカイブ」5日目。3年前の3月16日の衝撃はものすごかったです。あの日、西日本新聞の見出しは「原発の現状把握困難」でした。確か、その前日に最も広範囲に、そして最も深刻な放射能雲が東北から関東を中心に日本列島を覆い尽くしたというのを後で知りました。政府はSPEEDIによる放射能の拡散予想をこの時点では隠していました。そしてあれほど情報の隠ぺいを批判された今でも、それら住民の命にかかわる情報を再び事故が起こったときに活用する気はさらさらないとの報道もありました。この国は原子力ムラと呼ばれるゾンビのような集団が解体されないかぎり、次の原発事故による国家の滅亡的な事態は防げないのではないかという絶望的な気持ちになります。そしてその気持ちは3年経った今でも変わりません。なぜなら、阿部自民党が政権の座について政府も原子力ムラ全体も原子力規制委員会に原発の技術的な安全審査だけを丸投げして、それさえクリアすれば住民の避難誘導などが整っていなくても次々と原発を再稼働すると言明する有様であり、本質的には3/11前と何ら変わっていないからです。

そんな危機的状況が続く中で絶望を立ち切れるのは、ひとりひとり、僕たち市民の危機感と怒りしかないとの思いが再びこみ上げてきます。


以下は2011年3月16日の僕のブログ記事です。

【予測不能の大惨事へ】


朝起きて、新聞の紙面を見て本当に身の毛のよだつような思いです。福島第一原発は常駐の運転員が放射能濃度が高まって制御室から退避し、原発の現状把握が困難な状況だそうです。恐れていた最悪の最悪というか、複数の原発が制御不能でメルトダウンを次々と起こしていく可能性が高まっています。チェルノブイリ以上の惨禍になる可能性があると思います。これからの事態の推移は、出来る限りの情報を集めて、ひとりひとりがしっかりと想像力を働かせて次にどうすべきかを自ら判断していく必要があると思います。

日本全国が原発被災地になり、地球全体が汚染される可能性が高まっているのかもしれません。本当に大変なことです。地球汚染の責任は日本が背負い、世界は日本礼賛から日本非難へと向かうかもしれません。

  


2014年03月15日

ブログによるフクシマ・アーカイブ4日目です。

事故後3年が経って何が変わったのか?事故後、原発の安全性は何も変わっていないし、原発に対する市民の信頼はまさに事故以前とは比較にならないほど地に落ちました。そんな中、唯一変わったのは民主党政権から自民党政権になってフクイチ事故以前の「原発行け行けドンドン」の安倍首相による原発回帰が急速に進んだところでしょうか。再稼働に前のめりになればなるほど本当の意味での安全はまたしても二の次になっています。

たとえば、四国電力の伊方原発3号機。原子力規制委員会のガイドラインに沿って大型ポンプ車や放水砲などの6項目の安全対策を終えて再稼働できるように準備をしているそうです。しかし、伊方原発は敷地内に活断層はなくても日本最大の活断層と言われる「中央構造線」が近くにあり、そこが動けばひとたまりもありません。

そういう状況を知るにつけ、福島第一原発の核惨事という日本を壊滅させたかもしれない大事故を経験しても、なんらその反省をすることもなく、本当に自らの命を賭けてでも住民を日本を守るという姿勢ではなく、ただ原発を維持したいという姿勢しか見えない人間たちの欺瞞だけが目につきます。そしてその頂点にいるのがひたすら原発再稼働を唱え、東京オリンピックを勝ち取るためにフクイチの地下水は完全にコントロールされているといい放った安倍首相その人です。こんな人にニッポンの将来がかかっていると思うと背筋が凍ります。

3年前の3月15日。この日は2号機を中心に大量の放射能がまき散らされた「運命の日」となりました。すなわち、福島第一原発では原子力安全委員会等の無能集団が右往左往する中で、1号機・3号機の水素爆発や2号機の燃料棒の空だき状態など身の毛もよだつ事態が進行したのです。

次にどうなるか見えない状況の恐ろしさ。原発事故の恐怖をまざまざと思い知らされた長い長い一日でした。


以下に2011年3月15日のブログ記事を掲載します。

【危機続く】


まだまだ予断を許さない状況が続いています。


『東日本大震災に見舞われた東京電力福島第1原発で14日、2号機の燃料棒が一時、冷却水から完全に露出するという、前例のない事態が起きた。一時的な「空だき状態」で、最悪の場合は米スリーマイル島原発事故のような非常事態につながりかねない。同日午前には、3号機の原子炉建屋(たてや)で水素爆発が発生。完璧な管理によって、その安全性を強調してきた日本の原発は、前代未聞の制御不能状態に陥っている。

 2号機では14日午後、原子炉圧力容器内の水位が一気に低下し始めた。このため、原子炉建屋が爆発した1、3号機よりも優先して注水作業が続けられたが、水位の低下を止められず、約4メートルある燃料棒全体が露出する「空だき」状態が一時的に発生した。

 その後の注水で水位は上昇したが、万が一、水位が回復しなければ、燃料棒が溶ける炉心溶融が進行し、原子炉内の燃料の大半が溶ける「メルトダウン」と呼ばれる事態になる恐れがあった。

 これは原子炉自体が損傷し、放射性物質が外界に拡散しかねない事態だ。』
(3月14日付毎日新聞)


【現場の努力に敬意】


原子炉の「空だき状態」が一時的にせよ起きたことにショックを受けました。報道にある通り、冷却水がなくなって燃料棒全体が露出することを「空だき」状態と言い、これが続くと最悪の場合原子炉内の燃料が溶ける「メルトダウン」に陥るのです。メルトダウンとなれば原子炉内の放射能が外部に放出されることが予想されますから、絶対に避けなければならないのです。

問題なのは空だき状態となった2号機だけでなく、1号機も3号機も建屋が爆発で破壊され依然として安心できる状況ではないことです。ひとつの原子炉だけでも大変なのに3つも同時に危機的状況にある。これはもはや最悪の事態を想定して、福島県だけでなく首都圏も含め、ヨウ素剤の頒布や大規模な避難計画を実施すべきときに来ているのかもしれません。そして長期的な電力不足に対応した経済の立て直しを早急に検討すべきだと思います。

平和で安全な日本という国が今脆くも崩れ去ろうとしています。日本に今いる僕たちは福島原発の周辺の方々だけでなく、すべての地域で戦争以上の国家存亡の危機にあることを肝に銘じておかなければならないと思います。

今はとにかく、そんな危機的な状況の中で必死になって、死を覚悟で現場の方々がメルトダウンという最悪の事態に至らないように動いている。僕らはこの方々たちの無事を祈り、最悪の事態にならないように祈りたいと思います。

  


2014年03月14日

ブログによるフクシマ・アーカイブ3日目です。
2011年3月13日の時点では、国内では政府がやっきになってメルトダウンによる大量の放射性物質の放出を否定する中、海外メディアが「核の大惨事が近い」と報道し、米国は日本在住の米国民の避難範囲を80キロまで広げていました。日本のメディアはこともあろうにそんな海外メディアの報道を否定するような政府の大本営発表を鵜呑みにしていたのです。読売新聞は今でも原発の再稼働が必要だとの社説をしゃしゃあと掲げていますが、国民を愚弄するメディアの最たるものでしょう。
そして危機回避の願いも空しく3年前の3月15日の「運命の日」、2号機を中心に大量の放射性物質が放出され日本を覆い尽くしました。まさに3年前の今日は日本が終わっていたかもしれない日だったのです。

以下に昨年3月14日の僕のブログ記事を掲載します。

【依然、危機的状況】

海外メディアは福島原発の危機的状況について詳しく報道しています。


『米メディアは福島第一原発1号機の事故について「緊急事態の一層の悪化」(ニューヨーク・タイムズ紙)、「最も深刻に懸念される事態」(CNNテレビ)などと最大級の扱いで詳報している。

 CNNでは、専門家が「核の大惨事が近い」などと危機感を表明し、「避難範囲を広げよ」と求めた。

 12日夕の番組では、出演した藤崎一郎駐米大使に、キャスターが「チェルノブイリ原発事故の再発をどう防ぐのか」「外国からの支援が必要ではないか」と問い詰め、大使が「放射線量は減少している」「我が国だけで対応している」と反論する一幕もあった。』(3月13日付読売新聞)


【予断を許さず】

13日(日)午後8時半現在、福島第一原発の1号機、3号機とも一応海水を注入することで落ち着いているように報道されています。しかし、本当のところ、どこまでメルトダウンが進んでいるのかいないのか報道からだけでは窺い知れません。政府は今回の事故ではかなり情報開示と住民の不安の払しょくのために全力で努力しているという姿勢が読み取れます。しかしながら、危機的状況はまだ現在進行形で続いていると思った方がいいと思います。
まだまだ1986年4月26日に起こったソ連のチェルノブイリ原発事故のような放射能の大量放出という事態に至らないという確信は誰ひとりとして持てない状況が続いているのです。
「もしも」ということは考えたくないし、そうなってはいけないのですが、想像力を働かせて、次にどうすべきかを日本国民すべてが考え抜く必要があると思います。もちろん現場の東電社員などのスタッフ、消防士、自衛隊の方々などは死を覚悟しながら必死の努力を続けておられます。それは絶対に忘れてはならない。と同時に僕ら一般市民も今考え抜くことが次の事故を防ぐことにつながることになると思います。たとえ今回の最悪の事態は防げなくてもです。
とにかく、僕らは市民は現場の方々の努力が実ることを祈り続けましょう。  


2014年03月13日

ブログによるフクシマ・アーカイブ2日目です。

一昨年の3月13日。「福島第一原発でとんでもないことが起こっている」・・・そう思いながらも、メルトダウンに至らないことだけを祈っていました。
このときは、まだ枝野官房長官の言葉をわずかながら信じていました。だから水素爆発が起こっても、まだ格納容器の破壊には至っていないとしてブログでは一縷の望みを書き込んでいます。でも、実際はそうではありませんでした。このときすでに福島のみならず日本全国が非常事態の真っただ中にあったのです。

以下に2011年3月13日のブログ記事を掲載します。

【メルトダウン】


ついに起こってしまいました。1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故から25年。あのときの恐怖がよみがえります。あの事故の後、日本でも福島原発や美浜原発、浜岡原発、志賀原発などできわどい事故を繰り返しながら、1999年には東海村のJOC核燃料加工施設の臨界事故という重大事故を起こし、ついに今回の福島第一原発のメルトダウンに至りました。

もう昨日から刻々と流れるニュースをテレビやインターネットのニコニコ動画などを見ながらTwitterやfacebookで情報交換し、ただただメルトダウンが圧力容器の破壊→大量の放射能放出にならないようにと天に祈りました。

【とりあえず最悪を回避】


そして昨夜の枝野官房長官による政府発表。少ない情報開示にいら立ちながらも、午後3時半ころに起きた爆発は建屋のみを破壊しただけで格納容器・圧力容器は破損を免れたと聞き、本当に、本当にとりあえず安堵しました。記者会見場にいたメディアも日本全国の人たちも同じ気持ちだったと思います。

もし、建屋だけでなく格納容器も破壊されていたら、大量の放射能が大気中に放出され、福島原発の周辺から風の向きに従って放射能雲が漂い、日本の中枢である首都圏を中心に非常事態に陥っていたと思います。そうなったら放射能にまみれながら津波や地震の被災地域を救助するというまさに「地獄絵図」そのものになったことでしょう。そしてそれは地震の復興であればある程度の期間で出来ますが、放射能災害となればチェルノブイリ同様、放射能汚染という目に見えない怪物との闘いとなり、高濃度の汚染地域を見捨てるなどの悲惨な状況となるほか、これからほぼ永久に放射能汚染と闘い続けることになるのです。

【油断は禁物】

政府は福島第一原発の事故を起こした炉に海水とホウ素を注入し、大量の放射能放出を全力で回避すると発表しました。現場ではおそらく死を覚悟した東電社員、自衛隊員などの必死の努力が続けられていると思います。日本の運命はまさにその現場の方々にかかっています。とにかく僕らは祈るしかないです。


しかし、油断はまったく出来ません。福島第二原発も緊急事態だと聞いています。また、大きな余震によって第二のメルトダウンが起きるかもしれません。

日本全国に存在する55基の原子力発電所。今回の地震が想定外だったとかいろいろな言い訳は言えても、一旦放射能が大量に放出されればそんな言い訳では誰も助からないのです。これからも原発が稼働する限り、活動期に入ったと言われる日本列島の住民である僕たちはこの現実から逃れることは出来ないと肝に銘じておかなければなりません。

今回の事故はまさに天からの啓示だと思います。天は人類への警告として日本を選んだ。「日本人よ、目覚めよ。」と。「いつまでこんな綱渡りを続けるつもりなのか」と。

きっと政府や関係者は事故が落ち着いたらまた言い訳の世界に戻ることでしょう。でも本当に本気でどうするのか考えてほしいと思います。日本列島にどこも誰ひとりとして逃げ場はないということを。  


2014年03月12日

昨年の3月11日、僕はたまたま東京に出張で来て、英国大使館で東日本大震災が発生した時刻である午後2時46分に一分間の黙とうをしました。大使館では英国国旗を半旗にされていました。そして今年はまた明日から東京に出張し、英国大使館に行く予定です。東京にいる間大きな地震で起きないように祈るばかりです。

さて、今日から3月末まで、3年前の3月11日の東日本大震災による福島第一原発の核惨事に関する僕のブログ記事を再度掲載します。当時のブログを見ることで、あのとき自分がどう感じていたのか、何が問題だったのかなどについてもう一度深く考えてみたいと思うからです。

2011年の3月12日の時点では、大震災へのお見舞いと福島第一原発への懸念が書かれていました。まだこの時点では福島で何が起こっているのか報道からはあまりわからなかったからだと思われます。残念なことにこのとき思っていた「炉心溶融」などの事態は現実になっていくのですが。

以下、2011年3月12日のブログ記事です。

【未曾有の大地震】


とてつもない大きさの大地震、大津波、それに伴う災害が東北・関東を中心に日本全国で発生しています。
『東北や関東地方を襲った「東北地方太平洋沖地震」で、各地では12日も被害の報告が相次ぎ、死者と行方不明者は1000人を超える見通しとなった。警察庁によると、死者は岩手・福島両県を中心に同日午前4時50分現在で計184人が確認され、行方不明者は708人。このほか、仙台市若林区で水死とみられる200~300人の遺体が発見されており、被害はさらに拡大する恐れがある。
 気象庁は同日午前3時20分、国内の全66予報区で大津波警報、津波警報、津波注意報のいずれかを発令した。全66予報区での発令は初めて。
 宮城県気仙沼市や岩手県の太平洋側では大規模な火災が発生している。また防衛省によると、福島県南相馬市では約1800世帯が壊滅状態という。』(3月12日付時事通信) 


【お見舞い】

あまりの災害の大きさに、次々とメディアに流れてくる報道に絶句しています。報道に寄れば今回の地震は国内最大規模・マグニチュード8.8で、阪神淡路大地震の180倍以上のエネルギーだったそうです。また千年に1度の大きさとの説明もありました。今最も気になるのは福島第一原子力発電所の状況です。原子炉建屋内ではかなり深刻な事態が進行している可能性が高いと思います。もしも炉心溶融などの事態となれば、通常の災害復旧すらできなくなる恐れがあります。
今はとにかく被災地の方々に心からお見舞い申し上げますとともに、出来るだけ冷静に行動されるように思います。
  


2014年03月11日

【戦後日本最悪の日】

2011年3月11日は戦後の日本にとって最悪の日として歴史に刻み込まれました。「最悪」という言葉の中には様々な意味が含まれています。


先ずは、「最悪」の自然災害ということ。マグニチュード9.0の大地震とそれに続く巨大津波の襲来は少なくとも太平洋戦争後という区切りで言っても、未曾有の災害と呼べると思います。すべては人知を超えていました。この大地震で日本列島は実際に歪み、その歪みが次の大地震を引き起こす可能性が高まっています。

二番目に、「最悪」の人災を招いたということ。それは言うまでもなく、福島第一原発の核惨事を指します。経産省を中心とする政府の原子力関係機関、電力業界、原子力に関する研究機関と御用学者、原子力メーカー、大手メディアなどのいわゆる「原子力ムラ」の過去何十年にもわたる無責任な原発推進体制が、この事故を引き起こしたことは疑いようもない事実となりました。自分たちの利権を守るために多くの手抜きをして、それらを「安全神話」で覆い隠してきたことが、福島を中心に日本全土のかけがえのない土壌、水、空気、山、川、海、そして何の罪もない子供たちや市民を放射能に汚染させ、これから何世代にもわたって取り返しのつかない災禍をもたらしてしまったのです。自然災害とちがってこの人災には終わりはありません。それは、今すべての原発が止まっても、膨大な崩壊熱を出し続ける放射性廃棄物が地震や津波、人的ミスで再び冷やせなくなれば、今回の事故よりもはるかに深刻な事態が日本のどこかで起こる可能性があるからです。

三番目の「最悪」とは日本の政治と社会の機能不全です。これほどの大規模で深刻な自然災害と人災が起こったにもかかわらず、先頭に立って国民を救うべき政治はまったく無能でしたし、今でもその状況は続いています。官僚機構は国民を救うどころか、生死をさまよう被災地の人たちに救いの手を差し伸べるどころか、自分たちの保身のために被災者を見捨てる場面がいたるところで見られました。大量の放射能がまき散らされたとき、住民の避難に役立つ情報を持っていたにもかかわらず、住民の方々にそれを知らせず、無用な被爆を強いたというのがその典型例です。
そんな政治や官僚の無能に、さらにメディアの大本営発表が混乱を助長しました。この国がこれほどの無能と混乱の極にまで至ったのは、政治の責任ですが、その根底には国民である僕たちひとりひとりの無責任があるのを思い知らなければなりません。

【破滅に向かう日本】

それほどの「最悪」の事態から3年経った今でも被災した東北の復興はままならず、未だに15万人以上の方々が避難生活を余儀なくされています。さらにはそんな状況の中でも誰も責任を取らないままの政治家や官僚たちはなんとかかんとか言い訳をしながら一向に本気で原発で被災した人たちの救済を行うとはしていません。さらには安倍首相は原発災害に打ちのめされさらなる原発災害をもたらすであろう原発を止めてほしいと願う庶民の願いを完膚なきまでに無視し、なんと再稼働まっしぐらという狂気の沙汰という状況です。そういう安倍政権と日本を世界は半ば恐怖を込めて見つめています。

もちろん、福島第一原発の収束はまったく見通せません。原発自体、1号機から4号機までメルトダウンした燃料がどうなっているのかわかりませんし、4号機の使用済燃料プールが再度の地震で崩壊するようなことになれば、今度は本当に関東壊滅のような事態もあり得ます。


原発が一体どうなっているのか、そしてこれからどうしたらいいのかについては、過去数十年にわたって日本全国で反原発の論陣を張ってきた広瀬隆氏が書いた「第二のフクシマ、日本滅亡」という本が非常に参考になります。広瀬氏は福島第一原発の核惨事が起こる1年近く前に「原子炉時限爆弾」という著作を出し、原発震災の危険性を訴えていました。その心配が的中したのです。氏は大手メディアからはその主張が過激だとして書評欄でさえも紹介されませんが、言っていることは御用学者のようにバイアスがかかった意見ではなく、真実や事実に基づくものが多く傾聴に値します。あまりにまっとうで論理的なので、素人メディアや原子力ムラは反論できないため、出来るだけ広瀬氏を表に出したくないというのが本音なのだと思います。
今回の著作でも次の大事故が迫っているとして、以下の6章にわたってこれからどうすべきかを提言しています。


第一章 六ヶ所再処理工場の即時閉鎖
第二章 全土の原発の廃炉断行と使用済み核燃料の厳重保管
第三章 汚染食品の流通阻止のためのベクレル表示義務づけ
第四章 汚染土壌・汚染瓦礫・焼却灰の厳重保管
第五章 東京電力処分とエネルギー問題
第六章 原発廃止後の原発自治体の保護


どれもまっとうな提案ばかりです。とくに、この中で僕ら素人が知っておくべきことがひとつあります。それは全54基の原発が停止しても、その中にある使120311原子炉時限爆弾用済み核燃料プールにある使用済み核燃料は地震や津波、人為ミスで冷却できなくなればプールが過熱して水素を発生し大爆発を起こす可能性が高いということです。そう、原発が停止するだけではまだ危険は去らないということを肝に銘じておかなければなりません。

これまで原発の事故のほとんどは、スリーマイルとチェルノブイリ以外は日本で起こっています。そして起こるたびに深刻になっていって、現時点で最悪の事故がフクシマなのです。おそらく次の最悪の事故も日本で起こる可能性が高いでしょう。それも大地震が引き金になる可能性が最も高いと思います。残された時間はあまりないかもしれない。でも指をくわえて待っているべきではないのは明らかです。

そして最後に一つ。これほどの原発事故が起こったことを被災地以外では多くの人が忘れようとしています。しかし、忘れてしまっては次の惨事は防げません。あの事故の責任をとことん追求し、あの事故から多くの教訓を学び、本気で日本を変えていく意志を持ち続けなければ次の事故、そして日本の崩壊は到底防げないでしょう。
  



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海や山、自然が好きな九州男児です。あらゆる機会をとらえて、時代の変化をいつも感じていたいと思っています。
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