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2013年04月02日

1年前の3月31日に内閣府の有識者検討会が発表した東南海地震の規模推計は驚愕すべきものでしたが、今年3月にその追加の検討結果が発表され、それによれば被害想定は最大で死者32万3千人、倒壊家屋238万6千棟という身の毛もよだつ推定結果でした。原発被害はなぜか想定に含まれていませんが、原発震災が同時に起こるのは間違いなく「日本壊滅」は免れないと思います。以下は昨年4月1日の僕のブログ記事です。

【最大34メートル】

なんと、最大で34メールの津波の恐れがあるということです。

『内閣府の有識者検討会は31日、西日本の太平洋沖にある海底の溝「南海トラフ」で巨大地震が発生した場合の震度分布と津波高に関する推計結果を公表した。東日本大震災と同等のマグニチュード(M)9.0規模の地震が発生した場合、10県153市町村で震度7を記録すると予想。また、高知県黒潮町の34.4メートルを最大に、6都県23市町村で満潮時に20メートル以上の津波が起こると推計するなど、関東から四国、九州地方にかけての極めて広い範囲が大きな揺れと津波に見舞われる恐れがあるとしている。
 原子力発電所関連では、静岡県御前崎市の浜岡原発付近で、最大21.0メートルの津波が発生すると推計した。
 南海トラフの巨大地震は、近い将来発生する可能性が高いと指摘されており、政府の中央防災会議は2003年、M8.6だった宝永地震(1707年)をモデルに震度や津波を予想した。しかし、東日本大震災で想定を超える災害が発生した反省を踏まえ、検討会が昨年8月から見直し作業を進めていた。』(4月1日付時事通信) 


【これでも原発を動かすのか?】

内閣府の有識者検討会といえば、まさに政府からお墨付きを得ている検討会ですから、原発を推進している経済産業省と同じ「政府」そのものです。そこが南海トラフ地震の可能性について昨年の東日本大震災の結果を踏まえて再検討したのが今回の予測です。これは一体何を意味するのか?

対象となった地域の防災対策の見直しを早急にすることが必要なのは言うまでもありません。その中でも特に、対象となった地域の中にある浜岡原発と伊方原発は即刻廃炉にすべきでしょう。もう防潮堤を作るといった対応では原発の安全性が保てないのは明らかです。したがって、現在十数メートルの防潮堤を突貫工事で作っている中部電力は即刻工事を中断して地元の市町村と静岡県知事と再度協議して、浜岡原発の廃炉に向けた動きを始めるべきです。
四国電力は、これほどの大津波と巨大地震に伊方原発は耐えられないことを素直に認めて伊方原発の廃炉に向けて地元と話し合うべきです。
これらは一刻の猶予も許されないと思います。南海トラフ地震はいつ来てもおかしくないと言われているわけですから、原発の廃炉だけでなく、廃炉後の使用済み核燃料の厳重保管に早急に取り組むべきでしょう。津波や地震によってフクイチの4号機のように使用済み燃料プールが崩壊寸前になれば稼働原発よりも悲惨な状況になるからです。

今回の予測のように超巨大な地震や津波のリスクがとてつもなく大きい日本では、原発の立地というのはあり得ないということが改めて日本人ひとりひとりに突きつけられたということです。これは、ある意味日本人にとって生き残るための最後のチャンスかもしれません。
  



2012年05月14日

【一年ぶりの訪問】

天皇、皇后両陛下が1年ぶりに東日本大震災の被災地をご訪問されました。

『仙台市を訪れた天皇、皇后両陛下は13日、同市若林区の荒井小学校用地応急仮設住宅を慰問した。30分以上にわたって訪ね歩き、被災者に「冬は寒くて大変だったでしょう」などと声を掛けた。両陛下の東北被災地入りは約1年ぶりで、仮設住宅訪問は初めて。

 この仮設住宅は、津波で甚大な被害を受けた荒浜地区から近く、194世帯381人が暮らす。会社員の三浦洋子さん(35)は、同地区に家族5人で住んでいたが、震災で両親と妹が津波の犠牲となり、祖母(97)も心労のためか1カ月後に老人ホームで亡くなり、独り暮らしになった。三浦さんが「亡くなった母は美智子さまが大好きでした」と伝えると、皇后さまは「たくさんの思い出がお母さんとの間にあるのね」といたわり、天皇陛下も「大変でしたね」と気遣っていた。

 入居者の4割以上は60歳以上。両陛下は、「お大事になさってください」と次々に話しかけ、夫を震災で失った渡辺みねさん(76)は皇后さまと握手をして「大丈夫ですか」と聞かれると、感極まったように座り込んだ。

 子供たちも両陛下に現在の生活の様子を伝えた。間借りしている東宮城野小にバスで通う荒浜小6年、大学はるなさん(11)は、天皇陛下から「何が一番楽しいですか」と聞かれ、「体育で走ったりすることです」と答えていた。

 この後、両陛下は、表面科学の研究者らが集う第14回IACIS(国際コロイド・界面科学者連盟)国際会議の開会式に出席した後、新幹線で帰京した。【長谷川豊】』(5月13日付毎日新聞)

【心を救う】

今から1年以上前に起こった東日本大震災の悲惨な状況は当時は連日報道されました。そして1年たった今、メディアで報道されることは大幅に減る一方、被災地に暮らす方々の状況は大きく変わっていないように見えます。被害を受けた地域が広範囲にわたっていること、福島第一原発の核惨事が福島県を中心にかなり広い範囲で被災地復興に暗い影を落としていることがその原因だと思われます。

さらには与野党の政治家や政府の動きに今ひとつ全力で被災地を救おうという「心」が見えてこないのも、1年たっても被災地の方々の心が休まらない原因のひとつのようにも見えます。

そしてもうひとつ。震災前には技術立国と胸を張っていたニッポンの核汚染の収束が見えないこと、その人災の元凶となった東電首脳陣や政府・官僚トップに一向に被災地の人々への「誠意」が見えてこない、1年たった今でも自分たちの保身ぱかりが目立つことも被災地の人々の憤りを誘っています。

そんな中、天皇、皇后両陛下の「こころ」が日本の唯一の救いです。特に天皇陛下は心臓の手術をされて体調が万全だとは言えないにもかかわらず、自ら被災地の仮設住宅に赴いてひとりひとり被災された方々の心を思いやる姿。本当に、本当にありがたいと思います。  



2012年04月24日

【中部電力の奇怪】

この人間たちの狂気を誰が止めることができるのでしょうか?

『中部電力は16日、南海トラフの巨大地震が発生し、浜岡原発(静岡県御前崎市)に高さ21メートルの津波が来た場合の影響評価についての報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。停止中の現状を前提に「安全を確保できる」としている一方で、冷却機能が失われ注水が停止すると、最短で6日後に燃料が露出する可能性があるとした。被災後に迅速な復旧作業ができるのか問われそうだ。

【写真で見る】浜岡原発:6号機新設を一時凍結する方針固める…中部電力

 同原発は昨年5月に政府の要請で停止しているが、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、海抜18メートルの防波壁などを建設している。しかし、今年3月末、内閣府の有識者検討会は巨大地震が発生すると、最大21メートルの津波が押し寄せると予測。保安院は中部電に対し、浜岡原発への影響を評価する報告書を16日までに提出するよう求めていた。

 報告書によると、「現状は冷温停止状態にある」とした上で、「敷地が浸水し原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能が喪失しても、燃料が冷却水の水面から露出するまでに最短で約6日ある」と分析。「高台に配備した可動式ポンプなどで代替注水できる」としている。

 一方、再稼働した場合の対策について報告書は「(今後入手するデータを)詳細に検討し、必要な対策を講じる」と追加対策の是非を検討する考えを示した。中部電の増田博武原子力部長は記者会見で「有識者検討会の試算の根拠となったデータが十分に提供されていない。評価には数カ月かかる」と先送りする考えを示した。

 中部電は12年中の防波壁完成を目指している。追加対策としては、防波壁の高さ見直しが想定されるが、大規模な追加工事が必要になった場合、工期が遅れ、再稼働が遠のく可能性がある。

 一方、保安院は今月中にも報告書が妥当かどうか判断。5~6月に有識者検討会が詳細な津波高を推計するのを踏まえ、専門家会合で浜岡原発で想定する津波高を引き上げるか検討する。【森有正、高橋昌紀、岡田英】』(4月16日付毎日新聞)

【想像力の欠如?】

この記事を読んでいると正直言ってコメントすることさえばかばかしく思えてきます。中部電力と原子力安全・保安院はまるで何かに憑りつかれているとしか僕には信じられません。浜岡原発を何が何でも稼働に導くためには、たとえ津波の想定が21メートルになろうが、津波によって原発の冷却機能が失われようが、自然の猛威なんてどんなことでも対処できると結論づけようとする精神構造は、もはや「狂っている」としか表現のしようがないくらいです。

そもそも巨大地震が来て、巨大津波が襲来して原子炉の冷却機能が失われても、高台にある可動式ポンプだけが「無傷」で、そんな大災害が起きた時にも運転員たちも「無償」でポンプを稼働できると考えること自体、あり得ないことだということは僕ら素人にでも「想像」できますし、机上の計算に過ぎないとわかります。

原発を稼働するために机上の計算で自分たちの都合のいい結論を導き出して「想定外」の大事故を起こしたのが東京電力であり、フクイチだったということをどうしても認めたくないのでしょう。あるいは自分たちだけはそんなことにはならないと信じ切っているのでしょうか。それはフクイチを経験した今となっては、原子力という人間にとって制御できないほどのリスクを抱えた技術を管理する専門家として、あまりにも想像力に欠け、あまりにも自然に対して傲慢な態度ではないでしょうか?

今、この瞬間もフクイチの4号機の千本以上ある燃料棒は、壊れかけた建屋が次の地震で崩壊すれば、格納容器もないむき出しのまま、フクイチ事故の何十倍もの放射性物質を大気中に拡散し、日本どころか世界中が緊急事態に陥るというのに、さらに加えて確実に起こると言われる東海地震の震源のど真ん中にある浜岡原発を単に防波堤を作るだけで動かそうとするその神経たるや、もう人間のなせる技ではないと断言できます。一体いつまでこんな狂気を僕ら日本人は許すのでしょうか?中部電力や原子力安全・保安院の狂気をこのまま許しておくのでしょうか?ひとりひとりが真剣に声をあげるべきです。

そうしなければ間違いなく、日本が壊滅するときが遠くない将来にやってくるでしょう。
  



2012年04月02日

【最大34メートル】

なんと、最大で34メールの津波の恐れがあるということです。

『内閣府の有識者検討会は31日、西日本の太平洋沖にある海底の溝「南海トラフ」で巨大地震が発生した場合の震度分布と津波高に関する推計結果を公表した。東日本大震災と同等のマグニチュード(M)9.0規模の地震が発生した場合、10県153市町村で震度7を記録すると予想。また、高知県黒潮町の34.4メートルを最大に、6都県23市町村で満潮時に20メートル以上の津波が起こると推計するなど、関東から四国、九州地方にかけての極めて広い範囲が大きな揺れと津波に見舞われる恐れがあるとしている。
 原子力発電所関連では、静岡県御前崎市の浜岡原発付近で、最大21.0メートルの津波が発生すると推計した。
 南海トラフの巨大地震は、近い将来発生する可能性が高いと指摘されており、政府の中央防災会議は2003年、M8.6だった宝永地震(1707年)をモデルに震度や津波を予想した。しかし、東日本大震災で想定を超える災害が発生した反省を踏まえ、検討会が昨年8月から見直し作業を進めていた。』(4月1日付時事通信) 


【これでも原発を動かすのか?】

内閣府の有識者検討会といえば、まさに政府からお墨付きを得ている検討会ですから、原発を推進している経済産業省と同じ「政府」そのものです。そこが南海トラフ地震の可能性について昨年の東日本大震災の結果を踏まえて再検討したのが今回の予測です。これは一体何を意味するのか?

対象となった地域の防災対策の見直しを早急にすることが必要なのは言うまでもありません。その中でも特に、対象となった地域の中にある浜岡原発と伊方原発は即刻廃炉にすべきでしょう。もう防潮堤を作るといった対応では原発の安全性が保てないのは明らかです。したがって、現在十数メートルの防潮堤を突貫工事で作っている中部電力は即刻工事を中断して地元の市町村と静岡県知事と再度協議して、浜岡原発の廃炉に向けた動きを始めるべきです。
四国電力は、これほどの大津波と巨大地震に伊方原発は耐えられないことを素直に認めて伊方原発の廃炉に向けて地元と話し合うべきです。
これらは一刻の猶予も許されないと思います。南海トラフ地震はいつ来てもおかしくないと言われているわけですから、原発の廃炉だけでなく、廃炉後の使用済み核燃料の厳重保管に早急に取り組むべきでしょう。津波や地震によってフクイチの4号機のように使用済み燃料プールが崩壊寸前になれば稼働原発よりも悲惨な状況になるからです。

今回の予測のように超巨大な地震や津波のリスクがとてつもなく大きい日本では、原発の立地というのはあり得ないということが改めて日本人ひとりひとりに突きつけられたということです。これは、ある意味日本人にとって生き残るための最後のチャンスかもしれません。

  



2012年03月12日

今日から3月末まで、昨年3月11日の東日本大震災による福島第一原発の核惨事に関する僕のブログ記事を再度掲載します。当時のブログを見ることで、あのとき自分がどう感じていたのか、何が問題だったのかなどについてもう一度深く考えてみたいと思うからです。

昨年の3月12日の時点では、大震災へのお見舞いと福島第一原発への懸念が書かれていました。まだこの時点では福島で何が起こっているのか報道からはあまりわからなかったからだと思われます。残念なことにこのとき思っていた「炉心溶融」などの事態は現実になっていくのですが。

以下、2011年3月12日のブログ記事です。

【未曾有の大地震】

とてつもない大きさの大地震、大津波、それに伴う災害が東北・関東を中心に日本全国で発生しています。

『東北や関東地方を襲った「東北地方太平洋沖地震」で、各地では12日も被害の報告が相次ぎ、死者と行方不明者は1000人を超える見通しとなった。警察庁によると、死者は岩手・福島両県を中心に同日午前4時50分現在で計184人が確認され、行方不明者は708人。このほか、仙台市若林区で水死とみられる200~300人の遺体が発見されており、被害はさらに拡大する恐れがある。
 気象庁は同日午前3時20分、国内の全66予報区で大津波警報、津波警報、津波注意報のいずれかを発令した。全66予報区での発令は初めて。
 宮城県気仙沼市や岩手県の太平洋側では大規模な火災が発生している。また防衛省によると、福島県南相馬市では約1800世帯が壊滅状態という。』(3月12日付時事通信) 

【お見舞い】

あまりの災害の大きさに、次々とメディアに流れてくる報道に絶句しています。報道に寄れば今回の地震は国内最大規模・マグニチュード8.8で、阪神淡路大地震の180倍以上のエネルギーだったそうです。また千年に1度の大きさとの説明もありました。今最も気になるのは福島第一原子力発電所の状況です。原子炉建屋内ではかなり深刻な事態が進行している可能性が高いと思います。もしも炉心溶融などの事態となれば、通常の災害復旧すらできなくなる恐れがあります。

今はとにかく被災地の方々に心からお見舞い申し上げますとともに、出来るだけ冷静に行動されるように思います。
  



2011年10月24日

【深刻さ増すタイの洪水】

タイの洪水が首都バンコクにまで迫っているようです。

『タイのインラック首相は22日、毎週恒例のテレビ演説で「首都バンコク(中心部)に洪水が迫っている」との危機感を表明し、国民に政府の対策への協力を呼びかけた。また、首相に災害対策の最高権限を与える災害防止法を21日に発令したことも明らかにした。

 災害防止法発令は、野党・民主党を中心に出ていた「政府の対策が後手に回っている」との批判を封じるねらいがあるとみられる。インラック首相は、被災地の大部分から水が引くまで今後4~6週間かかるとの見通しを示した。

 また、インラック首相は今後の洪水対策として、首都の運河の水門をすべて開き、北側から流れ込む水を南方のタイ湾に流す方針を改めて示した。民主党出身のスクムパン・バンコク都知事は、首都冠水を防ぐために水門を閉じていたが、首相は「閉じたままでは水があふれ、(首都外に)被害が広がるだけだ」と、開放への理解を求めた。10月28~30日は満潮で海面の水位が上昇する。

 一方、インラック首相によると、政府は国内各地に約1740カ所の避難所(収容能力80万人)を設け、これまでに約11万3000人の被災者を受け入れたという。』(10月22日付毎日新聞)


【世界各地で頻発する大自然災害】

タイの洪水の規模は尋常ではないようです。すでにバンコクでは、北部・東部計9区の住民100万人以上に避難準備勧告が出され、住民らが避難を始めているようですし、バンコク北部の工場団地も浸水しているため日系企業約460社が被害を受けているとの報道もありました。

このような大規模な自然災害は世界各地で頻発しています。アメリカでも竜巻の大量発生やミシシッピー川流域の大洪水がありましたし、パキスタンでも大洪水による甚大な被害が続いています。身近には韓国のソウルでの大水害もありました。日本も例外ではありません。つい最近では奄美大島や紀伊半島での大雨被害などが出ています。

これらの洪水被害は、気候変動による気圧・気流の世界的変化がもたらしているものと考えられますが、山間部や農村部だけでなく都市部へも被害が拡大し、その規模が従来では考えられないような巨大のものになってきているため、企業や都市住民の活動に重大な脅威を与えています。

これからはいつどこで過去の経験則では測れないような自然災害が起こるか分からないということを肝に銘じておく必要がありそうです。  



2011年06月17日

【まだ続く減少】

訪日する外国人の減少が止まりません。

『日本政府観光局が16日発表した5月の訪日外国人数(推計値)は前年同月比50.4%減の35万8000人だった。東日本大震災や福島第1原発事が響き、海外の観光客らが訪日を自粛しており、減少率は単月で過去最大だった4月(62.5%)に次ぐ2番目の落ち込みを記録。震災を機に、3カ月連続で5割を超える減少となった。
 この結果、1~5月の累計も前年同期比31.9%減の240万人と低迷。観光業界や地方自治体にとって逆風が続いている。』(6月16日付時事通信)


【ふたつの真実】

3月11日に東日本大震災が発生して、津波と地震の被害に加えて福島第一原発の事故が日増しに悪化していく中、大勢の外国人が日本から脱出していきました。その外国人の大量エクソダスの最中、多くの日本人は大げさすぎるのではないか、福島周辺ならともかく首都圏や関東地区から大使館職員まで避難したり、出国したりするのは外国人が放射能に過敏に反応しているからだという反応が多く見られました。本当にそうだったのでしょうか?

3ヶ月が経った今振り返ると、福島第一原発の核惨事に対する日本政府や東電の当事者能力のなさ、後手に後手に回る対応、度重なるウソ、メディアの混乱、また、福島第一原発の事故そのものも3つの原子炉がメルトダウンを起こし、信じられない量の放射性物質が政府の発表をあざ笑うかのように広範囲に飛散していたことなど、在日外国人が日本から脱出しようと思ったのが正しかったのがわかります。脱出した大方の外国人の反応はそういう意味では「正常」だったのです。

そしてもうひとつの真実は、いったん狭い日本で原発事故が発生すれば、原発周辺の放射能汚染が取り返しのつかないほどの悲惨な状況を作り出すこと、そしてそれがニッポン全体に対する風評被害となって来訪する外国人の激減、それによる観光産業などさまざまな産業への被害の拡大につながっていくことです。

東電や政府は風評被害までは補償しません。日本のどこで再び原発が核汚染を引き起こしたとしても海外は日本全体が核汚染したと思うでしょうし、ますます日本は核汚染国として世界から孤立していくことになるでしょう。でも日本人はこの日本から逃げることはできないのです。原発が必要だと言う方々、それでも原発ですか?僕にはわかりません。  



2011年04月08日

【増え続ける犠牲者の数】
東日本大震災の犠牲者は依然として増え続けています。

『東日本大震災は7日、発生から28日目を迎えた。警察庁の同日午後8時時点のまとめによると、死者は1万2690人、行方不明者は1万4736人で、合わせて2万7426人となった。18都道県の2340カ所で、約15万7000人が避難生活を強いられている。
 同庁によると、岩手、宮城、福島の3県で収容された遺体のうち、同日までに身元が確認されたのは1万427人に上る。
 死者は宮城県7743人、岩手県3709人、福島県1177人など12都道県に及ぶ。同庁が把握している行方不明者は宮城県6646人、岩手県4422人、福島県3664人など6県にわたっている。これまで集計されていなかった宮城県山元町の不明者数も含まれる。』(4月7日付時事通信) 


【増え続ける義えん金】

今回の地震と津波、そして福島第一原発の核惨事は現代日本が経験したことのない未曾有の大災害ということが、連日のメディアの報道でも逐一日本だけでなく世界中に流れているために、義えん金の額も桁外れに大きいようです。

ここ福岡でも様々な団体や個人が義えん金や募金を募っていて、どこの募金でも今までの災害とは二桁くらい違うお金が集まっているようです。実際募金箱にも千円以上入れる方が多いのを目にしました。海外からの支援で目立つのは台湾。すでに100億円以上の義えん金が主に民間から集まっていると聞いていますが、台湾の方々の日本に対する思いが伝わってきて本当に感謝の気持ちでいっぱいになります。これらの義えん金は、それだけ今回の災害や被災者への救援に対する人々の意識が高いからだと思われます

【意外に少ない支援】

しかし、意外な事実もあります。4月11日付のタイム誌はその経済欄の記事「手を差し伸べる」("Helping Hands?" by Josh Sanburn, p.13, TIME magazine issued on April 11, 2011)の中で、東日本大震災に対する海外から日本への支援金の額はその損害額の大きさと比較すると、それほど集まっていないというのです。

具体的な損害額と海外からの支援金の額を挙げると、アメリカのハリケーン・カトリーナは損害額6.9兆円に対して、支援金2900億円、チリ地震では2.6兆円に対して63億円、2004年のスマトラ沖地震では1.3兆円に対して5800億円、ハイチ地震では1.2兆円に対して3900億円となっているそうですが、東日本大震災の場合には損害予想額が20兆円近いのに対して、海外からの支援金は598億円(3月29日現在、7億ドル)となっています。絶対額でも割合にしても他の世界の災害と比べるとけた違いに支援金が少なくなっているのです。これはなぜか?

タイム誌によれば、大方の海外の国は「日本は災害に対する救援の仕組みがきっちり確立されている先進国だから(大きな支援は要らない)」と考えているからではないかとのことでした。

地震が起こった後の日本国民の秩序だった行動や迅速な救援活動などに海外の賞賛が集まっているのもそういった「日本は立派に自助努力でこの困難を克服できる」という海外の見方につながっているのだと思います。原発の核惨事という人災もありますが、ここはその海外の見方を裏切らないようにしっかりと日本人が自らの意志で克服していくことが求められていると思います。僕もひとりの日本人としてしっかり頑張って行きたいと思います。  



2011年04月06日

【ようやく公開】

気象庁がようやく公開に踏み切りました。

『気象庁は5日、東京電力福島第1原発の事故を受けて、国際原子力機関(IAEA)に提供している放射性物質の拡散予測を公表した。枝野幸男官房長官の指示を受けた対応だが、より詳細な政府の予測システム「SPEEDI」の情報は、1度公開されて以降は非公表というちぐはぐな対応となっている。
※写真はドイツ気象庁の予測

 気象庁は、世界気象機関(WMO)が86年のチェルノブイリ原発事故を受けて作った枠組みに基づき、事故直後から4日までに計23回、IAEAに情報提供した。予測の基になるデータは放射性物質放出の実測値でなく、IAEAが示す仮定の条件を使っている。

 同庁は「予測は周辺国への影響を調べるためのもの。100キロ四方ごとに計算した大ざっぱなもので、国内の原子力防災に利用できるものではないと考えている」と説明する。

 気象庁は今後、予測を不定期に同庁ホームページに掲載するが、「実態を表したものではないので注意してほしい」としている。』(4月5日付毎日新聞)


【市民を愚弄する政府】

一体、こんな先進国がどこに存在するのでしょうか。先ず自らの市民、自らの国民に具体的なデータを提供して、市民を守るのが国家というものではないのでしょうか。こんなことが戦前も戦後もずっと当たり前としてまかり通ってきた結果のひとつがこの放射性物質の拡散予測の非公開措置だったのではないでしょうか。気象庁は「仮定の数値の為予測の精度が低い」からといった言い訳をしているようですが、ドイツや英国、オーストリア、フランスなどの気象当局や原子力関係機関は同様の予測を公開しており、きちんと説明して公開すればいいことだと思います。

※写真は台湾政府の公表した予測図

そもそもこれほどインターネットでの情報がどこでも得られる時代に自分たちの都合のいいように情報が隠せると信じていたこと自体、市民の感覚からすれば信じられないことです。そして不安を抱えたまま市民の被ばくは広がりました。さらに情報を公開しない政府への不信感の高まりも一役買って、放射線の危険はますます流言飛語によって市民の不安感を増幅することになったのです。

国は福島第一原発の放射能に関するあらゆる情報を市民に今すぐに公開するべきです。それはもちろん今の情報だけでなく、3月11日の地震発生以降の過去も含めたすべての情報です。その際出される文書のあちこちに黒い隠ぺいの跡や必要なデータが白紙となっているようなでたらめは許されないと思います。命の危険にさらされている市民のためは言うに及ばず、世界への放射能汚染の拡大を阻止するために、世界中の英知が必要とされているときにそれらのデータが最も重要になるのですから。  


2011年04月05日

【増設断念?】

一体住民の命をどこまで蹂躙したら気がつくのでしょうか。

『東京電力は4日、東日本大震災で運転停止し、深刻な状況に陥った福島第1原発について、既存の1~6号機に加えて新設を計画していた7、8号機の増設を断念する方針を固めた。同原発の事故で安全性に対する不信感が世界的に高まっているため、新たな原発の建設は困難と判断した。発電効率が高く、温室効果ガスの削減にも貢献すると評価されてきた原発の新設を諦めることで、日本の電力政策の転換を象徴する事例となりそうだ。
 東電の藤本孝副社長は4日、民放の番組に出演し、福島第1原発の7、8号機の増設に関して「無理だと思う」と発言。同原発の発電量の拡大は難しいとの認識を表明した。同社は3月末までに、経産省・資源エネルギー庁に提出した2011年度の電力供給計画に、震災前の段階で計画していた福島第1原発7、8号機の増設をそのまま盛り込んだ。東電は、震災の影響を踏まえて供給計画を修正する意向を示したものの、地元の福島県などが原発増設に反発していた。
 福島第1原発については勝俣恒久会長が深刻な危機が続く1~4号機を廃炉にする考えを表明した他、枝野幸男官房長官は冷温停止状態となり安定している5、6号機についても同様の措置を取るべきだとの見解を示している。』(4月4日付時事通信)


【すべての危険は日本にあった】

東電と政府は今回の東日本大震災が想定外だったことが、福島第一原発の4機もの原子炉の核災害を招いたと言っていますが、それは間違いです。今回の地震がなくてもいづれ日本ではどこかで大規模な原発災害が起きていたでしょうし、これからもいつ起きてもおかしくない状況が続いています。

なぜか?それはチェルノブイリ原発事故から25年が経過し、その間に起こった原発事故の歴史を振り返ると、原子力の歴史に残されるべき大きな事故のほとんどはこの日本で起こっていることから明らかです。大きなものだけでも、1989年1月6日に起こった福島第二原発三号機の水中軸受けリングの落下事故、1991年2月9日の美浜原発二号炉のギロチン破断事故、1997年3月11日の動燃東海再処理工場爆発炎上事故、2007年7月16日の中越沖地震による柏崎刈羽原発の原子炉緊急停止などがあります。これらの事故ではあわや大気中への放射能の大量放出寸前あるいは実際に一部放出されたにもかかわらず、重要な情報は電力会社と政府が住民に知らせなかったと言われています。

そして今回の福島第一原発の核惨事。過去の危機的事故を教訓とせずに、住民そして国民をだまし続けてきた政府と電力会社にとってこの事故は自然が突きつけた最後通告だったと言えます。

【懲りない面々】

日々政府や東電から発表される放射能汚染の状況。みなさんは信じられますか?過去の行動から判断すれば到底鵜呑みにはできないというのが正直なところです。幸か不幸か、民主党政権だったために、官僚との不協和音が様々なところでポロを出す結果となり、今までの嘘や情報隠しのやり口がどんどん明らかになっています。

「原発をやめたら電気はどうするんだ、日本経済は沈没するぞ」といった脅しをこれからどんどん国民にかけてくるでしょう。もし仮に本当にそうであるなら、そして国民を脅す暇があるなら、原子力を動かしてきた官僚機構や政府機関、電力会社、原子力産業の指導層の人たちは自らの命を賭けて国民のために新たな文明観に基づいてその代替手段を開発・実行し、国民の命を救うべきではないでしょうか。福島の7号、8号の新設断念なんてまだまだ序の口、小手先だと思います。今、福島第一原発からの放射能汚染と風評被害で生殺しのような状態にある福島の町や村の方々のことを思えば、死ぬ気でやるべきです。毎日テレビに映し出される原発被災地の方々を見ていると、こんな不条理を許すべきではないと心底思います。  



2011年04月03日

【圧力容器損傷?】

事故後3週間が経過しましたが、2号機の圧力容器の損傷など事態の重大さは変わっていないようです。

『福島第1原発について、内閣府原子力安全委員会は29日、高い放射性物質を含む汚染水が漏れ出している2号機の原子炉圧力容器が損傷している可能性が高いとの見解を示した。

 会見した代谷誠治委員はその理由について、「圧力容器内は高温なのに圧力が上がってこない。どこかが損傷している可能性がある」と説明した。

 圧力容器は厚さ16センチの鋼鉄製で、核燃料を封じ込めるための最も重要な防護壁と言える。

 しかし、2号機では表面の放射線量が1時間当たり1000ミリシーベルト以上の汚染水がタービン建屋やその外で見つかった。これまで、政府や東電は漏えい経路について、「原子炉内で破損した核燃料に触れた水が、何らかの経路で漏れた」とみている。』(3月29日付毎日新聞)

【次々と重大事態】

4月2日にはこの圧力容器が損傷していると見られる2号機の取水口付近のピットから毎時千ミリシーベルトという高濃度の放射能汚染水が海に流出していることもわかりました。

出口が見えない福島第一原発の核惨事。3月11日の地震・津波による事故発生から今まで、自分なりに刻々と変化するこの事故の重大性と緊急性について、テレビや新聞、インターネット等のメディアが報道する内容を確かめながら、自分なりの見通しをこのブログに書いてきました。事故発生日から今まで1日も欠かすことなく、毎日このブログをご覧になっている方々にこの原発事故に対する認識をお伝えしてきたのですが、今までの事故の進展具合を見る限り、自分が予想していた以上に深刻さの度合いを加えて行ったのではないかと思っています。

ここ数日の報道ではフランスやアメリカなどの国際支援体制が少しずつ整ってきたこともあり、原子炉の再臨界による爆発→大量の放射性物質の放出という最悪の事態には至っていませんが、それを避けるための作業は一進一退を繰り返しており、依然として予断を許さない状況が続いていると思います。

【次々と出てくる醜悪な事実】

この週末も自分の事故に対する事実認識を確かめようと、本屋に行っていくつかの週刊誌等を読みました。週刊文春や週刊現代などかなりセンセーショナルな記事もありますが、それなりの真実も含まれていると思います。現場に近いところで取材してきたり、各メディアが総力を挙げて調べているので、相当多くの証言や事実が記事の裏付けとなっています。これらメディアの取材力には僕が敵うわけはありませんが、ただ、自分でこの3週間考えてきた事故に対する大きな見方や予測についてはそれほど間違っていなかったし、メディアよりも先にブログで伝えることが出来たと考えています。

週刊誌等の記事の中でいくつか気になったことがありますのでご紹介しておきます。

1. 菅首相の事故後の対応について大きく評価が分かれていること。僕自身は少なくとも菅首相が事故後ほどなくして原発に赴いたことはリーダーとして評価していたのですが、あれはただのパフォーマンスで現場を混乱させただけという批判も多くありました。もしそうだとしたら、僕の菅首相の初動対応に対する考え方も180度変えざるを得ないと思います。これは後日現場で見た人たちの証言などを丹念に分析しなければならないでしょう。

2. 政府・東電の今までの原発推進のあり方、さらには今回の原発事故対応については、ほとんどのメディアが猛烈な批判をしています。東電、原子力安全保安院、原子力安全委員会、経産省、官邸等どれをとっても硬直化して適切な判断を下せなくなった官僚組織のとてつもなく醜悪な姿が日々メディアで報じられていますので、敢えて個別の事象を取り上げる必要はないと思います。

特に東電に関しては相当厳しい批判がされています。特に原発で命を賭けて闘っている現場の作業員、自衛隊、消防隊等に対するあまりの配慮のなさには驚愕します。具体的にはその方々が宿泊している「Jヴィレッジ」という施設には90室もの宿泊部屋があるにもかかわらず、それらにはカギをかけ、食堂や大講堂に雑魚寝させているというものでした。「指示がないからそうしている」という東電の姿勢には呆れてしまいます。

これから、福島第一原発の核惨事のとりあえずの収束にも年単位、最終的に放射能汚染の心配がなくなるまでには何十年というとてつもない時間がかかることが予想されます。その間にも再臨界に至らなくとも4つの原子炉、使用済核燃料プールから放射能は放出されつづけ、空気と水と土壌の汚染、そして食物連鎖を通じて生物の体内に蓄積される放射性物質の危険は継続・拡大していくことになるでしょう。これからはそれらの汚染について長期的な監視が必要になってきますし、それらの監視結果が適切に市民に公開されるかどうかについて市民が監視していく必要があります。ただ、今の段階では、もうただ少しでも被害が小さく収まることを祈るのみです。

今後はこの福島第一原発の核惨事を巡るレポートは回数を減らしていこうと考えています。人間は緊張状態を持続するのには限界があるものです。これからは元の元気が出るニュースを少しずつ増やしていきたいと思っています。

≪追記≫

今朝、図書館から借りてきた「原子力発電で本当に私たちが知りたい120の基礎知識」(広瀬隆、藤田裕幸著、東京書籍 2000年11月18日発行)を読んでいたらスリーマイル島原発事故の記述の中に興味深い個所(p.257)を見つけました。

スリーマイル島原発はニューヨーク州に近いペンシルバニア州にあったため、事故が発生した1979年3月28日以降、原子炉が爆発するのではないかという懸念でニューヨーク、首都ワシントンも大パニックに陥ったものの、「結果的には、NRC(原子力規制委員会)が原子力の専門家を集めて内部解析を進め、水素爆発を防ぐために膨大な計算を迅速に成し遂げ、危機一髪で爆発を食い止めた。日本であれば、NRCのような高度解析は不可能で、爆発したと言われている。」

この本が書かれたのは10年ほど前ですが、スリーマイル島原発事故から30年あまりたった今、福島第一原発事故ではまさにこの記述どおり、原子力安全委員会も原子力安全保安院も政府全体も東電もNRCのような高度解析など出来ず、慌てふためいて水素爆発を招いてしまったのです。米国はこの事故の後も原子力発電所の事故や核戦争に備えて着々と危機対応能力を高め、今回の日本での核惨事に対しても迅速で大規模な有事即応体制を取りました。その後のメディアに出てくる御用学者や原子力関係の指導層の見解などを聞いても一体この人たちは今まで何をしていたのだろうかと不信感ばかりが募ります。日本とアメリカ、なんという違いか。僕たちも含めて社会全体として、日本には原子力発電を管理する能力が本当にあるのでしょうか。根源的な問い直しなしには日本の未来はありません。

  



2011年03月28日

【怒涛のような2週間】

3月11日に東北関東大地震が発生して16日が経過しました。地震と津波による死者・行方不明者は2万人を超えてまだまだ増えて行きそうだとメディアは伝えています。現代日本が未だかつて経験したことのない大災害です。2週間以上経過した今、助かった被災者の救援が最優先の課題となっています。

そしてもうひとつの大きな災害である福島第一原発の事故。こちらは直接の死者こそ出ていませんが、原発周辺の住民の方々、福島県をはじめとする近隣県、そして関東・首都圏を中心に日本全国、世界にまで放射能汚染の恐怖のどん底に陥れました。

この二つの災害の大きな違いは、地震と津波は災害発生後の救援にステージが移っているのに、原発事故は未だ救済どころか恐怖が現実のものになるかも知れない、出口の見えない状況に陥っているところです。

怒涛のように経過したこの2週間。僕自身はチェルノブイリ事故以来、日本での大規模原発事故を心配していたので、それが現実となったことに衝撃を受け、この未曾有の原発事故の経過を追い続けています。

【見えてきたもの】

昨日は本屋に行って週刊誌を中心とした雑誌メディア(AERA、週刊朝日、週刊文春、サンデー毎日等)が地震と原発事故をどう報道しているか、いくつかの週刊誌を手に取って見てきました。事故から2週間近くが経過した今、テレビ、新聞、そして雑誌、さらにはインターネットという媒体を通して、ここで一度事故発生から今までに見えてきたもの、未だ見えないものが何かについて考えてみたいと思います。

1. 福島第一原発事故は天災ではなく、人災だということ

事故発生当初から僕は今回の原発事故は、東電や政府の言う「想定外」の津波が直接の引き金とはいえ、「原発は安全」としてきた原発に携わる当事者の方々の原発そのものや防災、危機管理、そして市民社会に対する認識の甘さ、傲慢さ、怠慢がもたらした「人災」であると思っています。それは事故後の東電、原子力安全保安院、原子力安全委員会、政府官邸等の対応があまりにもお粗末で見るに堪えない狼狽ぶりだったことからもうかがえます。しかもそれは政府・電力会社・原子炉メーカーが三位一体となって進めてきたわけですから、東電だけを責めるのは事の本質を見誤る可能性があります。いづれにしても、それら当事者たちの上層部の怠慢のために現場で必死で作業している人たちや近隣住民の方々がどれだけ命を脅かされていることか。そしてそれは今も続いています。

以前にも書きましたが、スリーマイル事故やチェルノブイリ事故、さらには国内での無数の重大事故、専門家の巨大津波の警告等をないがしろにし、特にチェルノブイリ事故の鳴らした警鐘を文明観の転換に結びつけることもせず、事故後25年間という貴重な時間も無駄にしてしまったことが今回の事故の原因だと思います。

こんなに酷い事故を起こしてなおも情報を隠そうとし、「想定外だから」と言い訳をし、国家のエネルギー政策の抜本的見直しを怠るようなことがあれば、国民は黙っていないでしょう。もちろんその際忘れてはならないのは、国や電力会社に対して、今まで何十年も怒りの声を上げずに見て見ぬふりをしてきたのは他でもない電気の恩恵だけを受けてきた都市を中心に住む僕たち国民だということです。(3月19日に書きました)

2. インターネットによる情報社会の存在の大きさと国際的な情報発信の貧弱さ

もうひとつ見えてきたものがあります。それはツィッターやフェイスブックといったソーシャルネットワークを中心にインターネットによる個人を中心とするメディアが巨大災害の発生後、とてつもない役割を果たしているということです。

先ずは負の側面。僕も経験しましたが、地震発生直後から数日にわたってチェーンメールやツィッターのRT(リ・ツィート)を使って様々な流言飛語が飛び交い、インターネットがなかった時代には考えられなかったスピードで拡散していったことです。特に被災した現地よりも、被災地以外の地域での間接情報に基づくチェーンメール等が流言飛語を増幅したのではないかと推測します。幸いなことに、日本人の国民性でしょうか、比較的多くの人が冷静に対処したのではないかと思いますが。

プラスの側面もあります。それは僕自身が経験したことですが、福島第一原発事故についての政府発表の真偽、事故の進捗・拡大の可能性、メルトダウンの可能性、専門家の意見などについて様々な考え方や事実、参考となるデータなどがツィッターやブログ、各機関のホームページ等を通じて公開され、個々人が判断する材料が比較的多く得られているということです。枝野官房長官や東電、原子力安全保安院の記者会見などと比べながら真実はどこにあるのか、見極める手掛かりが少しでも得られるということはパニックを防ぐうえでも重要だと思われます。

具体例をひとつ申し上げます。3月22日に配信された村上龍のメールマガジン「ジャパンニースメディア」で環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏のレポートが紹介されました。村上龍自身も福島第一原発の状況に不安と疑心暗鬼が深まるなか、事故がどこまで進むかについてこのレポートは貴重な示唆といくらかの安心を与えてくれたとのことでした。僕も読んでそう思いました。

以下から、pdf.でダウンロードできます。

http://www.isep.or.jp/images/press/script110320.pdf

もうひとつ国際的な情報発信の問題があります。海外のメディアの福島第一原発に関するニュースを見ていると、日本に対する不安感がものすごく大きくなっているということと、日本に対する不信感が大きくなっていることを感じます。その原因のひとつは、政府から出てくる情報があまりにも統一性がなくて信頼感に乏しいこと、さらにはそれらの公式発表が英語でしっかりと出来る人がいないこと、英語での文書による資料も極端に少ないことが挙げられます。特にBBC、ABCやNBC、CNNといった欧米のテレビやiPadの放送で放映される枝野長官等の政府発表に女性の同時通訳の声がかぶさっているのですが、それらも信頼感を損ねている一因かもしれません。

世界に発信できるかどうかについては政府・東京電力の当事者能力が低いことから考えると今すぐに対応するのは難しいでしょうが、であればIAEAなどの力を借りて世界に向けた一貫性のある発表を急ぐべきです。もちろん、その前提となるのは信頼できる公開情報を出来る限りだすことが必要です。

3. 福島と首都圏、九州の温度差

3つ目に福島第一原発の周辺地区、首都圏、そして九州の事故に対する温度差についてです。東北の方々は辛抱強いと昔から言われていますが、今回の地震・津波災害、原発事故においても、テレビを見る限り現地で被災された方々や原発の放射能被害に遭われている方々、自治体の関係者などのインタビューで感情を抑えた表情で語っておられるのが目につきます。しかし、実際にはこの後に及んでも情報を出し渋ったりする東電や政府関係者の対応にハラワタが煮えくりかえる思いだと察します。

そして首都圏。これも関東に住む知人に聞いたり、テレビなどで見たりする情報に限られますが、首都圏の方々は福島第一原発の事故の進展具合では大規模な首都圏での放射能汚染の可能性も指摘される中、平静を装いつつも相当緊張感を持って事故の状況を心配して見ておられるのではないかと思います。すでに首都圏の水や食品の放射能汚染も起きています。場合によっては、プルトニウムという半永久的に残留する猛毒物質を含むMOX燃料(プルサーマル用)が装填されている福島第一原発3号炉等の放射能のさらなる拡散といった事態が来れば、首都圏も無傷ではいられない差し迫った状況も考えられるからです。

これに対して福島や関東からは遠く離れた九州、福岡ではそれほど差し迫った危機感は感じられません。友人や知人や家族が福島や関東におられる方は相当の懸念を持ってあると思われますが、多くの一般の人々は現地の人たちに比べれば不安感は低いと思います。

この福島、首都圏と九州あるいは北海道など他の地域との温度は僕は実は事故収束後に大きな影響を与えると考えています。なぜなら日本全国には高速増殖炉を含め55基の原発があり、福島と同じ事態はどこの地域でも起こる可能性があるからです。これから原発を中心とするエネルギー政策の見直しは必至です。そうした中で、福島原発周辺地域と関西・四国・九州・北海道などとの事故に対する温度差は、原発の是非についての大きな意見の相違につながってくる可能性があります。ただ、全国の電力会社の頂点に位置する東京電力、事故に大きな責任のある経済産業省が事故の被害を被る可能性のある首都圏にあるということは今後の原発の議論に大きな意味を持ってくると思います。

【見えないもの】

そして最後に見えないものについてです。それは事故の最終的な出口です。福島第一原発は事故を起こした現在1号機から4号機まですべての原子炉の状況が東電や政府にさえ明確に詳細までは把握されていないのではないのでしょうか。しかも、高濃度の放射能汚染の中、現地での効果的な作業までも滞っている状況です。炉心の状態がどうなのか、使用済燃料プールは大丈夫なのか、自信を持って答えられる人が事故の当事者にいない。これは身の毛もよだつ事態です。普通の事故ならまだしも、大規模な放射能汚染のさらなる拡散の可能性がある原発が1機ではなく、4機もあるのです。

原発事故がこれほどの規模で起こったために、政府も民間も本来救援を急ぐべき地震と津波の被害に遭った他の東北の地域の初動対応から今まで相当の遅れが生じていることは間違いないと思います。

これから福島第一原発の放射能汚染をどう食い止めていくのか、政府と東電は全力で対応してもらわなければなりません。そして僕ら国民は事態の推移と対応を厳しく監視し、事故の推移について想像力を働かせて次に取るべき行動を自ら判断していく必要があると思います。  



2011年03月24日

【驚愕の数値】

恐れていた事態が次々と現実に起こっています。

『東京都は23日、都内に水道水を供給する浄水場から、乳児が飲む規制値の2倍を超える放射性ヨウ素を検出したと発表した。

 都は、乳児が水道水を飲むことを控えるよう呼びかけている。

 呼びかけの対象地域は東京23区、武蔵野市、町田市、多摩市、稲城市、三鷹市。

 検出されたのは、葛飾区の金町浄水場で、22日午前9時に採水したところ、210ベクレルを検出した。食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な規制値は100ベクレルとなっている。

 都では、この水道水を乳児の粉ミルクなどに使うことを控えるよう呼びかけている。ただ、指標は乳児が長期にわたり飲み続けた場合を想定しており、他の飲用水が確保できない場合は飲んでも構わないとしている。』(3月23日付読売新聞)

【水も食品も土壌も】

福島から200キロ以上離れた東京のど真ん中で、しかも水道水がここまで汚染されていると聞いて本当にびっくりしました。国や東京都の乳児に対する注意は適切だとは思いますが、関東におられる方々、特に乳児や幼児をお持ちのご家庭の心配に心が痛みます。冷静に行動することは必要ですが、出来る限りのデータやアドバイスをインターネットやテレビなどあらゆる情報源から得て自ら判断していく必要があると思います。

もうひとつ驚愕したのは、数日前に福島原発周辺の原乳やホウレンソウの放射能汚染が報じられた後、23日の時点ではそれが様々な葉物類、そして地域も広範囲になっていることです。すでに相当広範囲に放射性物質が広がっていることがわかります。

最後に23日夜のNHKニュースで報じられたセシウムによる土壌汚染です。福島原発の北40キロほどの場所で何と通常の1600倍近いセシウム137が土壌から発見されたと報じられていました。これはチェルノブイリ原発事故現場から数10キロから50キロ付近で検出された放射能量に匹敵する値であり、高濃度であることは間違いありません。また、セシウム137は土壌に残る可能性は高いものの、半減期は30年近くあり、食品から人体に取り込まれると筋肉に付着しやすく外部被ばく、内部被ばくを長期にわたり及ぼす可能性が高いものです。

【日本全国どこも可能性あり】

次々と明らかになる毎日の生活に欠かせない水、食品への放射能汚染の広がりに、恐れていたことが現実のものになったという驚きを隠せません。被害の度合いは桁違いかもしれませんが、状況的には25年前に経験したチェルノブイリ原発事故の光景が福島周辺から関東のあちこちに広がっているという印象です。

福岡から見ている分は毎日ニュースで報道される数値を冷静に見ることが出来ますが、東北や関東の方々は気が気ではないと思います。とにかく様々な情報源からデータを出来るだけ集め、パニックにならずに自らの判断をしていくことしかないと思います。

それから東北、関東以外の地域でこのブログ、あるいは放射能汚染のニュースを見てられる方も安心は禁物だと思います。福島第一原発からの放射能は様々な条件で放射能雲となって風下に流れ、思わぬ高濃度の放射性物質を広範囲に運んでくることを肝に銘じておくべきです。また、日本には狭い国土に55基もの原発が全国にある原発過密国であり、今回の食品や水の汚染の原発からの距離が100キロから200キロ近くに及んでいることを考えればどこにも逃げ場はないということです。(ちなみに玄海原発から福岡までは50数キロしかありません)  



2011年03月23日

【続く不安な状態】

ここ数日福島第一原発の3号機の使用済燃料プールを中心に自衛隊、消防隊、警察の現場担当者の決死の放水を続けたことで、放射能の大量放出の継続という最悪の事態が僅かながら改善できる一筋の光明が見えてきたと多くの人が思ったのではないでしょうか。しかし、3号機の一部破損があると見られる格納容器の圧力が上昇しつつあり、もし炉の破損が広がればプルトニウム等の大量の燃料が放出されるという新たな危機が始まりつつあります。複数の原子炉で危機的な状況が進行しているために、複合的な事態が危機回避を難しくしているのです。

電源の復旧も今のところ進展しているように言われていますが、はたしてあれだけの津波と水素爆発などを乗り越えて、冷却装置等の機器が動くのかどうかもまだ未知数です。原子力安全保安院の言うレベル5の事態は、一気に6や7に進み、炉心が稼働を停止しているとはいえ、チェルノブイリのような核事故に進む可能性を誰も否定できないのではないのでしょうか。

【対外被ばくと体内被曝への備え】

すでに福島周辺の空気中には連続的にヨウ素セシウムといった放射性物質が放出され、原乳やホウレンソウがかなり高濃度に汚染されているという報道がありました。例えばヨウ素(131)は半減期は8日と短いものの、ホウレンソウなどの葉っぱや牧草に付着し、それを食べる牛を通して食物連鎖で濃度が高まり、原乳に高い放射能が溜まっているのです。

発表では「「今すぐ」健康に影響があるレベルではない」ということですが、もうここまで現実が進んでいる以上、不測の事態に備えて個人個人でしっかりと事実を把握し、福島との自分との距離もよく考えて、空気からの被ばくと食物の摂取による体内被曝両方について事前の準備をしておく必要があると思います。主な点は以下のとおりです。

1. 時々刻々、自治体や原発団体などから発表される放射線の種類や濃度について正確な情報を収集し、原子力安全保安院の食品安全基準である「飲料水や牛乳に含まれる放射性ヨウ素の量が300ベクレル/kg、野菜類で2000ベクレル/kgとどれくらいの差があるかを知ること。→体内被曝への備え

特に赤ん坊や小さな子供さんはヨウ素等が大人の何十倍も蓄積されますので出来るだけ原発から離れることが必要です。

2. 対外被ばくを避けるため、屋内退避の勧告が政府から出されれば基本的にはそれに従う。水も汚染するのでポリバケツや水筒なども用意して水を保存しておくこと。また雨合羽やビニールシートも用意して放射能に出来るだけ当たらないようにすること。

3.ガーゼマスクや懐中電灯、小型トランジスタ等を用意しておくこと。原発周辺ではヨウ素が大量に放出される可能性があるので自治体などからヨウ素剤をもらうのを忘れないこと。


※詳しくは脱原発団体の原子力資料情報室(以下、CNIC)のホームページをご覧ください。→ http://www.cnic.jp/

【あまりにもお粗末な当事者】

福島第一原発の最前線の現場で決死の思いで放水等の作業を行う自衛隊や消防隊員、警察、そして保安作業員等の人たちには、僕ら市民はただ、ただ感謝の思いでいっぱいです。

それに対して、この後におよんでもトップが出てこない東京電力、住民の安全を確保するためにあるはずなのに情報をスルーするだけに見える原子力安全保安院(この機関のホームページの「原子力災害発生時の住民としての対応」というページのお粗末さには絶句しました。いかにもお役所的な体裁だけで、市民を守る真摯な姿勢など見えません。それに対して、CNICのほうが市民の防災の観点からしっかり書いており極めて充実しています)、未だに政争を繰り返して事態の重大さを認識しているとは思えない与野党の政治家たち(少なくとも官邸は必死に見えます)などを見るともう絶望的にさえなります。

さらに加えて、先週末に記者会見を開いた一部の地方電力会社のトップは、これほどの深刻な事態が福島原発で進行しているさなかに、「自分の原発で想定外のことはないと思うが、」とか、「万が一不測の事態があっても、炉心などに水がいかないようなことは絶対に防ぐ」といった発言をしています。大自然の猛威や人間のヒューマンエラーは想定外ばかりであり、「絶対に防ぐ」などというのは原子力広報や精神論では言えても、市民に信頼の得られる言葉ではないことは明らかです。これは彼らの考え方が事故前から何も変わってないことを暴露したようなものです。ましてや事故が起きて「想定外だからごめんなさい」なんて冗談ではないです。もう彼らには頼れない、自分たちは自分たちで守るしかないと強く思います。

≪参考≫

・日本各地の放射線量がわかるマップ → 

『東日本大震災・非公式・放射性物質モニタリングポストMAP / Japan quake radioactive material monitoring post MAP』
http://ow.ly/4dGhQ

・各地の放射線量がわかるリンクまとめ →

http://getnews.jp/archives/104544
  



2011年03月20日

【原乳とホウレンソウ】

最初の汚染食品が検出されました。

『政府は19日、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて実施した食品のサンプル調査で、福島県川俣町の酪農家が提出した原乳と、茨城県内の6市町村のホウレンソウから、食品衛生法の暫定規制値を超える放射性ヨウ素が検出されたと発表した。枝野官房長官は記者会見で「直ちに健康に影響する数値ではない。冷静な対応をお願いしたい」と述べた。

 食品衛生法に食品の放射能汚染を規制する基準がないため、厚生労働省は放射線の専門家でつくる「国際放射線防護委員会」(ICRP)が健康被害を防ぐために設けた基準を放射性物質の食品安全基準として暫定的に採用。これを受けて、福島県と茨城県がそれぞれサンプル調査を実施した。

 その結果、福島第一原発から約47キロ離れた酪農家が16~18日に生産した原乳から最高で1510ベクレルと、規制値の約5倍にあたる放射性ヨウ素が検出された。

 茨城県では高萩市、日立市、常陸太田市、大子町、東海村、ひたちなか市の農家のホウレンソウから最大で規制値の7・5倍の1万5020ベクレルの放射性ヨウ素が検出された。高萩市のホウレンソウからは、規制値を超える放射性セシウムも検出されている。

 これを受けて同県の橋本昌知事は19日、記者会見で地元農協などに露地栽培のホウレンソウの出荷自粛を求めたことを明らかにした。 』(3月19日付読売新聞)

【次なる脅威―食品汚染】

ひとまず自衛隊、警察、消防の努力によって放水車、ヘリコプターによる3号機への放水が行われ、3号機については使用済燃料プールに水が溜まり燃料棒からの放射能放出は少なくなってきているようです。ただし、1号機・2号機・4号機もそれぞれ外部の損傷や燃料棒の損傷などが続いていて全体として危機が去ったとはとても言い難い状況が続いているようです。

そして19日、次なる脅威が迫っていることがわかりました。それは放射能による食品汚染です。放射能汚染が見つかったのは、原乳とホウレンソウ。それぞれ原乳は福島第一原発から47キロの地域で放射性ヨウ素1510ベクレル、ホウレンソウは茨城県のいくつかの市町村で放射性ヨウ素15020ベクレルだったそうです。ホウレンソウには規制値を超えるセシウムも一部検出されたそうです。それらは政府によれば「直ちに健康に影響する数値ではない。」とのことですが、油断は禁物です。

1986年のチェルノブイリ原発事故のときには、ロシア・欧州からやってくる輸入食品に対する放射能汚染の基準値はどの食品でも一律370ベクレル/kgでした。その当時とは比較にはならないかもしれませんが、今後の福島第一原発からの放射能汚染の拡散がどれくらい防げるかによりますが、原発周辺の農産物を中心に次々と汚染された食品が問題となってくるでしょう。

それらのデータをチェックしておいて、刻一刻と変化する各種食品の汚染状況の政府発表や民間の公開情報に常に目を光らせておく必要がありそうです。汚染の広がりの深刻度によっては、情報公開が遅れたり、いづれは規制基準の緩和といった措置が取られていく可能性もありうると考えています。政府の情報を鵜呑みにすることなく、これからは自分の家族を守るのは自分だという覚悟を持って、しっかり監視していく姿勢が必要だと思います。

最後にこれを読んでおられる福岡のみなさん、今日は福岡玄界沖地震からちょうど6年目にあたります。あの地震は震度6弱だったと思いますが、僕も会社のビルの10階にいて地震の怖さを知りました。でも今回の東北地震はそれを大きく上回るものでした。福岡も被災した東北の各地同様海辺に面しています。また50数キロ西には玄海原発も存在してます。心しておかなければならないと思います。  



2011年03月17日

【核惨事の現実】

福島第一原発で今起きていることが如何に深刻か、3つの原発がボロボロになって白煙を出している映像だけでもわかるのですが、海外の専門家もそれをチェルノブイリの原発事故と同等と表現しています。

『米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)は15日、声明を出し、福島第1原発事故の状況が国際原子力事故評価尺度(INES)で2番目に深刻な「レベル6」に近く、最悪の「レベル7」に達する可能性もあるとの見方を示した。
 日本の経済産業省原子力安全・保安院は先に、今回の事故の暫定値を「レベル4」と発表していた。
 ISISは声明で、福島第1原発の1~3号機で爆発があったことや、4号機の原子炉建屋で火災が起きたことを踏まえ、「この事故はもはや(局所的な影響を伴う)レベル4とはみなせない」と指摘。緊急措置と広範な放射能汚染対策で国際社会の支援が必要だと強調した。
 INESは、安全上の懸念がないレベル0から8段階で評価。1986年の旧ソ連のチェルノブイリの原発事故を「7」、1979年の米スリーマイル島原発事故を「5」としている。』(3月16日付時事通信)


【気になる現実】

それにしてもこれほど毎時間、毎日連続して事態が急速に悪化していく現実を目の当たりにすると、自暴自棄的な気持ちになっていきます。上記記事にあるように、もう福島第一原発がチェルノブイリの惨禍をはるかに超えることは確実のように思われます。現場の方々の決死の作業でそれをいくらかでも遅らせるか、被害の程度を少しやわらげることができるように心から祈るばかりですが、もうその望みも刻一刻と絶たれようとしています。

今その責任を東京電力に求めようとする声が大きくなってきているようですが、確かにその対応のお粗末さが事態の悪化を招いているのは明らかなように思えます。しかしながら、同時にそもそもここに至った根本的な原因を考えておかなければならいないとも思います。それについて少し僕の考え方を整理しておこうと思います。

【責めを追う人】

日本は数十年も前から原発なしには生きていけない経済構造になっていて、今から見直すとしても膨大な時間と費用がかかってしまうでしょう。僕は原発には個人的には反対ですが、それでも現実を考えると原発の安全性をある程度確保しながら現状追認していくしかないと素人ながら思っていました。でも今回の事故でどんなに時間と費用がかかっても新しい文明のあり方のひとつとして原発から自然エネルギーに、集中電源から分散電源にしていくべきだと思っています。日本は1986年に起こったチェルノブイリ原発事故のときに、文明の大きな転換点に立ったのですが、多くの欧州の国々とは違い(フランスは例外です)、大きな転換を図らずに現状追認の方向を選びました。いや何もしなかったというべきでしょうか。あのときが日本のひとつの大きな転機だったと思います。

あのとき欧州の多くの人たちが感じた危機感、現代文明に対する「揺らぎ」の感覚が当時の西ドイツを中心に、環境政策の大転換、エネルギー政策の見直しなどを市民のひとりひとりが声をあげながら実行したと僕は認識しています。政治もそのときから大きく変わりました。もちろんその後揺り戻しもありましたし、最近ではもうひとつの待ったなしの環境問題である地球温暖化を避けるためのひとつの方策として原発への回帰が多くの国で行われているという事実もあります。しかしあのチェルノブイリの後の文明のパラダイムシフトともいえる変化ほどではないと思います。

日本では僕ら都市に住む人間を中心に、それ以前も、そのときも、そして今回の事故が起こる前まで、電力会社にも、官僚にも、政治家にも、原発の見直しについて決死の思いで迫ったことはなかったのではないでしょうか。唯一、原発立地地域の農業者や漁業者の方々たちだけが生活をかけて、命を賭けて原発の危険を訴え続けてきたのです。それを思えば、電力会社や、官僚や、政治家だけを責めることはできません。日本の多くの国民が今まで容認してきたのですから。

【日本の行く末】

日本は残念ながら、今回の福島第一原発の惨禍を機にとてつもなく大きな国力の衰退に見舞われるのではないかと危惧しています。放射能汚染の厳しさを考えれば復興には10年単位で20年とか30年以上かかるのではないでしょうか。

国民の多くがこれを契機に日本の文明のあり方そのものを変えるくらいの決断をしなければ今までの延長線上でのエネルギー政策、環境政策しか実行できず、結果としてより大きな社会全体の変革は実行できないと思います。もちろんそこには原発の現状維持も含まれます。そしてもっと深刻で早急な対応を必要とされる地球規模の気候変動、地球温暖化問題についても抜本的な社会全体の方向転換は出来ないと懸念しています。(もちろん他の国々はもっとひどいのかもしれませんが。) みなさんはどう思われますか?

  



2011年03月15日

【危機続く】

まだまだ予断を許さない状況が続いています。

『東日本大震災に見舞われた東京電力福島第1原発で14日、2号機の燃料棒が一時、冷却水から完全に露出するという、前例のない事態が起きた。一時的な「空だき状態」で、最悪の場合は米スリーマイル島原発事故のような非常事態につながりかねない。同日午前には、3号機の原子炉建屋(たてや)で水素爆発が発生。完璧な管理によって、その安全性を強調してきた日本の原発は、前代未聞の制御不能状態に陥っている。

 2号機では14日午後、原子炉圧力容器内の水位が一気に低下し始めた。このため、原子炉建屋が爆発した1、3号機よりも優先して注水作業が続けられたが、水位の低下を止められず、約4メートルある燃料棒全体が露出する「空だき」状態が一時的に発生した。

 その後の注水で水位は上昇したが、万が一、水位が回復しなければ、燃料棒が溶ける炉心溶融が進行し、原子炉内の燃料の大半が溶ける「メルトダウン」と呼ばれる事態になる恐れがあった。

 これは原子炉自体が損傷し、放射性物質が外界に拡散しかねない事態だ。』
(3月14日付毎日新聞)


【現場の努力に敬意】

原子炉の「空だき状態」が一時的にせよ起きたことにショックを受けました。報道にある通り、冷却水がなくなって燃料棒全体が露出することを「空だき」状態と言い、これが続くと最悪の場合原子炉内の燃料が溶ける「メルトダウン」に陥るのです。メルトダウンとなれば原子炉内の放射能が外部に放出されることが予想されますから、絶対に避けなければならないのです。

問題なのは空だき状態となった2号機だけでなく、1号機も3号機も建屋が爆発で破壊され依然として安心できる状況ではないことです。ひとつの原子炉だけでも大変なのに3つも同時に危機的状況にある。これはもはや最悪の事態を想定して、福島県だけでなく首都圏も含め、ヨウ素剤の頒布や大規模な避難計画を実施すべきときに来ているのかもしれません。そして長期的な電力不足に対応した経済の立て直しを早急に検討すべきだと思います。

平和で安全な日本という国が今脆くも崩れ去ろうとしています。日本に今いる僕たちは福島原発の周辺の方々だけでなく、すべての地域で戦争以上の国家存亡の危機にあることを肝に銘じておかなければならないと思います。

今はとにかく、そんな危機的な状況の中で必死になって、死を覚悟で現場の方々がメルトダウンという最悪の事態に至らないように動いている。僕らはこの方々たちの無事を祈り、最悪の事態にならないように祈りたいと思います。


そして最後に、福岡でこのブログをご覧になっているみなさんも決して遠い地域のことと思わないようにしてください。想像力を働かせてください。今の状況がさらに悪化すれば、食べる物、着るもの、生活する人間もすべて日本全国はつながっているのです。私たちはどこにいても日本にいる限りは運命共同体なのです。(このブログを更新した15日午後6時半の時点では福島第一原発2号機は「空だき状態」から圧力容器の一部が損傷し、外部に高濃度の放射能が放出する事態となっています)  



2011年02月08日

【最高水準

食料価格が過去最高に高くなっているそうです。

 『国連食糧農業機関(FAO)は、1月の食料価格指数が1990年に統計を取り始めて以来最高の水準になったと発表した。

食料価格指数は世界の砂糖、穀類、乳製品、油脂、食肉などの価格から算出している。1月の指数は3.4%増となり、7カ月連続で上昇した。

砂糖、穀類、乳製品、油脂はいずれも先月値上がりし、食肉は横ばいだった。FAOの専門家は、今後数カ月にわたって高値が続くと予想している。

商品価格の高騰は、中東と北アフリカで反政府デモが拡大する一因にもなっている。非政府組織(NGO)のオックスファムは「価格の高騰が続けば、世界の貧困層が新たな食料価格危機に見舞われるのは時間の問題だ」と述べ、各国の政府に対応を訴えた。

エコノミストのヌリエル・ルービニ氏は先にスイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムで「チュニジアの事態はエジプトへ飛び火し、モロッコ、アルジェリア、パキスタンでも暴動が起きている。これは高い失業率や富の不均衡だけでなく、食料と商品価格の急騰にも起因する」と指摘していた。』(2月4日付CNN.co.jp)


【食糧難が政変誘発?】

これほどの食料価格の高騰を招いている原因として、中国など新興国で肉や砂糖の需要が増え、ロシアの猛暑や米国の大雪、オーストラリアの洪水など異常気象などが取り沙汰されています。特に最近の異常気象は、その規模や世界的な広がりにおいて年々ひどくなっているように思われます。気候変動の振幅の大きさが食糧価格に悪影響を与えているのは間違いないでしょう。また中東情勢が不安定になるとの思惑から原油価格が高騰していることも食料価格に悪影響を与えているようです。

これから夏の収穫がわかるまで食料価格は高止まりし、インフレなど不安定要因がさらに価格を押し上げる恐れがありますし、2007~08年の食料危機ではエジプトを含む30カ国以上の途上国で暴動が起きたように、食料の輸出制限や買いだめが一段の価格高騰を招くようなことになれば、中東や北アフリカだけでなく世界各地で反政府デモが拡大、政変が頻発することも考えられます。

2008年のリーマンショック後、世界経済が回復し始めてきた矢先の食料価格高騰は世界の政治情勢に不安定要因を加え、悪循環に陥るのではないかと危惧しています。
  



2011年01月06日

【想定外】

かつて大雪でこんなことが起こったことは少なくとも島根・鳥取ではないとのことです。

『山陰地方の記録的な大雪の影響で、雪の重みで転覆・沈没した漁船が鳥取、島根両県で計約380隻に上ることが3日、両県の現地調査で分かった。一部の港では油漏れも広がっており、漁協などはオイルフェンスを設ける対策を続けている。

 鳥取県では、境港市の境港など14カ所で3~5トン未満の漁船を中心に265隻の被害が確認された。油膜も広い範囲で海面を覆っている。港ではカレイ漁などを目前に控えており、県漁協境港支所の高見信悟支所長(60)は「船を起こして排水作業をすぐにしたいが、復旧作業には10日ほどかかる」と話している。

 島根県でも、松江市の港や中海周辺など計20カ所で、小型漁船を中心に112隻の被害が確認された。

 停電は同日午後6時現在、鳥取県で70戸、島根県で1400戸で続き、島根では約1200世帯で断水している。交通機関は両県ともほぼ復旧した。』(1月3日付毎日新聞)


【これからの自然災害】

最近の天候変化というのは、過去の経験則が役に立たないことが日本国内だけでなく、世界各地で起こっています。それは例えば昨年のパキスタンの洪水がピーク時には国土の3分の1以上が水没してしまうというかつてない規模で発生し、数千万人が被害に遭ったというように想像を絶するような災害になることもありますし、今回の漁船転覆被害のように自然災害の規模としてはそれほど大きくなくても、その地域ではかつて経験したことのないような災害として地域に降りかかってきたりしているわけです。

想定外なわけですから、なかなか予防的な措置を取ることが出来ないわけです。昨年の奄美大島の集中豪雨もそうでした。ではどうすればいいか。やはりこういう想定外の自然災害が世界的に増加傾向にあることを行政も地域もしっかりと頭に入れて、今までの被害想定の延長線上ではなくて、あらゆる可能性を視野に入れて、最悪のシナリオに対しても事前・事後のシュミレーションをしておくことが必要になってきていると思います。

おそらく、これからも地球温暖化や気候変動などの加速化がもたらす「想定外」の自然災害は増えることはあっても減ることはないと肝に銘じておく必要がありそうです。  



2010年10月21日

【猛烈な雨】

奄美大島で過去に経験したことのないような雨が降り続いています。

『発達した前線が停滞していることに伴い、鹿児島県奄美地方は18日夜から大雨に見舞われており、鹿児島地方気象台の観測によると、奄美大島では20日、同県瀬戸内町古仁屋で1時間に86.5ミリ、奄美市名瀬では同78.5ミリの猛烈な雨が降った。地元の消防組合によると、この雨で同市住用町西仲間のグループホーム「わだつみ苑」では、入所者9人のうち7人が救助されたが、女性2人の死亡が確認された。男性職員1人とも一時連絡が取れなかったが、その後無事が確認されたという。
 市教育委員会によると、この大雨で、同市住用町の東城小中学校で55人、市小中学校で6人、住用小で49人、住用中28人の児童・生徒が下校できず、校内に取り残されたままになっている。
 県によると、同町西仲間の特別養護老人ホーム「住用の園」では、裏の川がはんらんし、入所者や職員約100人が避難できない状態になっているという。』(10月20日付時事通信) 


【想定外の災害】

20日の夜に各メディアから伝えられる奄美大島の映像は猛烈な雨の中に沈む道路や家屋でした。見ていると今までよく見てきた集中豪雨や台風に伴う大雨と大差ないように思えるのですが、1時間に80ミリ以上も降り、それが1日も2日も続くというのはあれだけ台風や大雨の被害に慣れた奄美大島の人々にとっても過去30年といった経験ではなかったような「想定外」の出来ごとだということです。

自衛隊に災害要請をしているそうですが、自衛隊でさえあまりの大雨にヘリコプターや車が出せないというのです。また、電話回線や道路の寸断で孤立している人々の実態が掴めず、まだ被害の全貌は見えてきません。

このブログをアップした21日の早朝にはある程度の被害状況が出てくると思われますが、本当に最近の雨は恐ろしい。とても他人ごとには思えない奄美大島の集中豪雨禍です。  



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