2012年05月09日

【いつ見ても原発推進】

読売新聞の5月4日の社説に使用済み核燃料のことが書かれていました。

何が起きても原発ありき-読売新聞『 内閣府の原子力委員会が、原子力発電所で生じる使用済み核燃料の処理方法を変更した場合のコストを試算した。

 変更に伴う費用は兆円規模の巨額に上る。

 東京電力福島第一原発の事故を受け、原子力政策は見直しを迫られている。検討に当たる政府のエネルギー・環境会議は、試算を踏まえ冷静に議論すべきだろう。

 主要な論点は二つある。「脱原発」を目指すのかどうか。各原発などに大量に存在する使用済み核燃料をどう処理するかだ。

 試算は、2020年以降は原発ゼロとする場合と、最大で現状並みに発電量の20~35%を原発で賄う場合に分け、30年までの使用済み核燃料の処理費用を出した。

 日本は、これまで、使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出し、核燃料に再利用する「核燃料サイクル」を採用してきた。

 ウラン資源を有効活用でき、放射性廃棄物の量も大幅に減らせる利点があるためだ。

 原発をゼロにすると使用済み核燃料の増加は止まる。残る使用済み核燃料は、そのまま地中に埋める「直接処分」だけになり、他の政策を選ぶより最大で約5兆円コストが下がる、としている。

 問題は、原発に代わる火力発電の燃料費だ。年に約3兆円、30年までに計約30兆円以上かかる。負担の大きさからも、脱原発は非現実的な政策と言えよう。

 一方、原発利用を続けたまま直接処分に完全に切り替えると、費用は約2兆円拡大する。

 核燃料サイクルより放射性廃棄物の量が増え、その分コストが膨らむからだ。青森県六ヶ所村で完成目前の核燃料再処理工場も廃棄され、投資が無駄になる。

 この場合も、代替の燃料費が深刻な問題となる。

 核燃料サイクル政策を放棄すると、青森県との約束で、これまでに六ヶ所村に搬入された使用済み核燃料約3000トンが、各原発への返送を迫られる。

 使用済み核燃料の置き場が満杯になる原発も多く、運転できなくなる。順次止まる原発を火力発電で補うと、30年までに最大32兆円の燃料費が必要と試算された。

 いずれにせよ、電力料金は大幅に上がる。産業界や家庭にとっては大打撃となろう。

 やはり、再処理工場を完成させることが必要だ。

 核燃料サイクルは高い技術を要するが、核兵器を持たない国で実用段階にあるのは日本だけだ。簡単にあきらめるべきではない。』(2012年5月4日付 読売新聞)


【原子力ムラの広告塔?】

フクイチの事故が起こってもまったく揺るがない原発推進の大号令をかけつづけている大新聞の筆頭は、僕の知る限りではこの読売新聞です。現政権に対する批判のトーンも「早く再稼働しろ」ではあっても、住民の安全を最優先に考える姿勢はまったく見えません。まるで原子力ムラの広告塔です。

今回の社説も原発をゼロにして使用済み核燃料を直接処分することによるコスト減よりも、原発の代替火力の燃料費がかさむから脱原発は非現実的だと主張します。社説の中で、コストの前提となる条件も時間軸もあいまいなまま、膨大なコストをかけているにもかかわらず今までもこれからも再処理実現がまったく見通せないことも棚に上げて、再処理工場も含め原発事故がもたらす超巨大なリスクには目もくれずにただ脱原発は非現実的だというその主張には、福島第一原発の教訓などひとかけらもありません。3/11以前も以後もただ主張したいのは、原発推進だけ。

こんな硬直的な大手メディアが、未だに論理の飛躍ばかりが目立つ、無反省な原発推進の論調をしゃあしゃあと社説に繰り広げている非常識のほうを問題にしたくなります。

原子力がこれほどの災禍をもたらすことなど想像も出来なかった時代に「読売の中興の祖」と言われる正力松太郎氏が日本に原発を導入した功労者だから、日本が原発事故によって破滅の危機に陥ろうが先輩の功績に泥を塗るような脱原発になど絶対に与しないということなのでしょうか。そう勘ぐられても仕方がないほど、どうしようもない新聞だと思います。

ただ、各新聞の主張は主張として、その新聞が読むに値するかどうかは読者ひとりひとりの判断です。しっかりと読んで、ひとりの市民としてその姿勢にモノ申すことが大事だと思います。



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