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2012年06月11日

【野田首相の最後通告】

野田首相が西川知事の求めに応じて、国民に最後通告を出しました。

『野田佳彦首相は8日、首相官邸で記者会見し、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について「国民生活を守るために再起動すべきだというのが私の判断だ」と述べ、運転再開の必要性を訴えた。事実上の再稼働表明で、先月5日以来続いていた「稼働原発ゼロ」は解消されることになる。
 首相の表明を受け、福井県の西川一誠知事は「重く受け止めている」とのコメントを発表。県の原子力安全専門委員会(委員長・中川英之福井大名誉教授)などを経て、来週にも再稼働に同意する見通しだ。首相は、知事の同意が得られ次第、速やかに関係閣僚会合を開き、再稼働を最終決定する考えだ。
 首相は会見で「原発を止めたままでは、日本社会は立ち行かない」と指摘。夏場に計画停電を行った場合、「日常生活や経済活動は大きく混乱する。事態回避に最善を尽くさないといけない」として、大飯再稼働の必要性を強調した。
 大阪市の橋下徹市長らが、大飯原発の再稼働を電力需給が逼迫(ひっぱく)する夏場に限るよう唱えていることに関しては「夏場限定では、国民生活は守れない」と否定的な考えを示した。』(6月8日付時事通信)


【美辞麗句の背後にあるもの】

野田首相の言っていることは、一見きれいで、再稼働やむなしという風に聞こえます。しかし、正直言って納得できません。なぜか。

1.野田首相は今まで出演したNHKのニュース番組などで「経済優先で安全をなしがしろにはしない」と再三強調していたにもかかわらず、今回の会見でやっぱり国民の生活を守るんだという理屈で経済を優先しました。すなわち、国民の命や生活よりも関電をはじめとする電力会社の経営を優先したのです。3/11からの無策が今日の事態を招いたことは棚に上げてです。

2.さらに「二度と福島のような事故を起こして子供たちを危険にさらしたくない」と言いながら、実は3/11以後何ら抜本的な安全対策は実施されていません。結局、津波などの緊急対策のままであり、それも関電が実際に実行に移した対策はほとんどありません。しかもつい数日前に大飯原発の真下に危険な活断層があるという一部専門家の指摘は保安院が言下に否定して終わりです。そんなことでシビアアクシデントに対応できるとは到底信じられません。

3.原発がなければこの国は立ちゆかないという説明も具体性に欠けます。何がどう立ちゆかないのか?原発が稼働しなければ本当に電気が足りないのか、すべてのデータを関電が出したのか、甚だ疑問です。そんな根本的なことが実はまだ明らかになっていない中、政治家の言葉だけで信じるにはあまりにも原発というのはリスクが大きすぎます。

4.この夏に向けて中長期のエネルギー政策を見直すさまざまな政府の委員会がいくつかの選択肢を示しつつありますが、それらの委員会も先日毎日新聞がスクープしたように原子力推進側の委員や経産省の事務局、さらには近藤委員長までがグルになって秘密会を開いて原発維持に向けたシナリオ作りをやっていました。こんなことで原発の安全などを担保できたなどちゃんちゃらおかしいと思うのは僕だけでしょうか。

5.最後に原発を出来るだけ減らすという方向を政府として打ち出していながら、大飯の再稼働にからめてこともあろうに首相が原発の必要性について電力料金の値上げの可能性などで脅しながら強調するなどというのは原子力維持の本音が出てきたとしか言いようがありません。安全神話を作り上げ国民を愚弄し続けてきた3/11前と何も変わらない論理に唖然とします。

一国の首相の判断は重たいものです。しかし、その首相があいまいな根拠に基づいて、いったん事故になれば国家を破たんに追い込みかねない原子力というとてつもないリスクについて、たったの十分ほどで国民に「説明」して、「はい、再稼働いたします」では恐ろしくてこんな国には住めません。野田首相は就任以来一貫して原発擁護のように見えます。正直言って、これがあのフクイチの事故を経た政治なのかと思うと絶望的になります。

僕たち市民は、どんなことがあってもこの国からゾンビのようにはびこる原子力ムラが解体され、原発をあきらめる日まで絶対にあきらめてはいけません。あきらめたときが最後です。

もうひとつ付け加えます。野田首相は立地自治体への感謝を示しました。当然だと思います。しかし、本当に感謝するためにはいづれやってくる原発の廃炉後の立地自治体の雇用や生活をどう守るのかということが言及され実行の道筋が示されなければなりません。そうでなければ、立地自治体を盾にして、国民全体の安全をもてあそんでいるとしか思えません。

果たして僕の言うことは間違っているでしょうか?野田首相には真摯にひとつひとつ国民に応える義務があります。根拠のないただの「説明」はダメです。
  




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